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    元スレ【らき☆すた】新ジャンル?「ヤンデレこなた」Part10【(=ω=.)】

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    701 = 681 :

    >>688
    の件ですが、ネットでチョコチョコ調べた結果、原作でもグレーゾーンな感じになってるようですね。
    なので、「こなた達四人は文系」「みゆきさんは医者志望」という普通はありえないような設定で俺もゴリ押ししようと思います。

    702 :

    では、今日の投下逝きます。

    703 = 702 :

     日下部さんは水溜りの中で動かなくなっていた。

     苦しそうな呻き声だけが雨音に混じってかすかに聞こえてくる。

    「本来ならば、これで男さんと同じ痛みを味あわせてあげたいところですが……」

     みゆきが日下部さんから奪ったナイフを見つめながら言った。

    「やめろ! もういいみゆき! 十分だ!」

    「……ええ、そうですね。男さんならそう仰ると思いました」

     ナイフを日下部さんから遠い場所へ放り投げる。

    「しっかりしてください。今、救急車を呼びますから」

     駆け寄ってきたみゆきは俺の体をゆっくり起こしてくれた。

     俺は、上半身を遊歩道と芝生を分ける低い柵に預け、みゆきが119番に電話するのを眺める。

     腰と脚の痛みがひどくてとても立ち上がれそうにない。

     互いの服を裂いて作った即席の包帯を使って、みゆきに簡単な止血を施してもらった。

     だが、まだ出血はなかなか収まってくれない。

     血を失ったからか、頭がボーっとする。

     ふと、脇に目をやる。

     日下部さんは、うずくまったまま、小刻みに身体を震わせているだけだった。

    704 = 702 :





    「一緒に警察にも連絡しておきました。すぐに駆けつけてくれると思います」

     みゆきが傘を差した状態で俺の横にしゃがみこんだ。

    「今更な感じはしますが…… 傘をお持ちしました」

     ばつが悪そうに苦笑するみゆき。

     俺も思わず、苦笑い。

    「……みゆき、強いんだな」

    「お恥ずかしながら…… 少々、合気道を含め武道の心得がありまして…… 昔取ったなんとやら、です。うふふ、私ドジなところがありますので、実力を発揮できないことが多いのですが、運動が苦手というわけじゃないんですよ?」

     そうか、こなたが前に言ってたな。みゆきは運動もできるって。

    「今日は、ドジを踏まずにできて良かったです」

     と、にっこり。

    「……でも、あんなに躊躇なく日下部さんの腕をへし折ったり、投げ飛ばしたりするなんて…… ちょっと驚いたよ」

    「いえ…… あれは肩の関節を外しただけですから、病院に行けばすぐに元通りになりますよ。手荒なマネでしたが、彼女の動きを止めるにはあれが一番効果的だったと思います。それに、彼女は男さんを……」

    「……俺を傷つけたから、か?」

    「はい…… こんなにそれもこんなにひどい傷を……」

    「ああ、正直ヤバかった…… 助けてくれてありがとう」

    「いいえ、当然のことです」

    705 = 702 :

    「みゆき…… さっきは、ほんとにごめん。みゆきの手をはたいて、走って逃げたりして……」

    「いえ…… いいんです」

    「……なあ、正直に答えてくれ。みゆきは本当にかがみを殺したのか?俺はみゆきがかがみを殺したものと思い込んでて…… それでみゆきのところから逃げ出したんだけど。でも、日下部さんもかがみを殺したって言ってて、俺わけがわからないんだけど……」

    「……私だって、かがみさんを殺したようなものです」

    「だからそりゃ、どういう意味なんだ?」

    「男さんの話によると、直接的に手を下したのは日下部さんなのでしょう…… ただ私には動機がよくわかりませんが……」

    「ああ、動機なら日下部さん本人から聞いたよ。正直理解に苦しむ内容だったけど……」

     俺は日下部さんが俺に語ったことを掻い摘んで説明した。

    「愛する人を傷つけるなんて…… 本当に理解に苦しみますね……」

     俺はどっちか言うと、百合の部分のほうが理解できなかったんだが……

     ……まあ、いいか。

    「それより、さっき言った直接的がどうとかってのは……?」

    「私も、かがみさんに対し敵意を持って行動しました。ただ方法が間接的な方法だった、というだけです」

    「間接的?」

    「ええ。うちに…… 高良家に、伝わる禁術を行使したのです」

    「……は?」

    706 = 702 :

    「黒魔術のようなものといえばお分かりでしょうか? 父の書斎で偶然見つけた本に記されていたのですが……」

    「ぷっ!は…… ははは。黒魔術って…… いくらなんでも、このご時世に……」

    「亡舞『生者必滅の理』と幽曲『リポジトリ・オブ・タカラ』このふたつを行使すると、行使された対象はさまざまな、そう、場合によっては死に至らしめるようなものを含めてさまざまな厄災を被ると言い伝えられています」

     ……それ、なんてスペルカード?

    「確かに迷信の類に過ぎないのかもしれません…… しかし、現にかがみさんは亡くなりました。日下部さんがかがみさんを手にかけてしまったのも、もしかしたら私の禁術のせいかも……」

    「そんなバカな…… 少なくとも俺は信じねーよ」

    「でも…… でも…… そこに私の悪意が働いていたのは確かです。私の悪意が間接的とは言え…… かがみさんを……」

     みゆきはぐっと唇をかみ締める。

    「……私、さっき日下部さんに偉そうなことを言っておきながら、私だって力を行使することで男さんのことも傷つけていたんです。そのことにも気づいていたんです」

    「俺のことも傷つけてた?」

    「私がかがみさんに敵意を向けるたびに、男さんが傷ついていたことはわかっていたはずなんです。しかも、それは私よりかがみさんが好きだからという理由からではない、ということも」

    「ああ…… そうだな…… 」

    707 = 702 :

    「そもそも…… 考え方が間違っていることもうすうす気づいていました。大切な人のためなら自分を含め、周りの人間はどうなってもいい…… そんな考え方…… でも他に男さんに対する誠意の表し方がわからずに…… 気づかないフリをしてたんです」

     誠意……

     受け取る側の俺にも問題があったってことだ……

     俺がもっとみゆきのことを一番に思ってやれば……

    「最低ですね、私。散々かがみさんに嫉妬しておきながら、散々かがみさんに敵意を向けておきながら、散々かがみさんのこと『許せない』だとか『邪魔だ』だとか言いながら……」

     涙を必死にこらえているようだった。

    「今更、悲しむ資格なんかないのに…… なのに……」

     搾り出すように言う。

    「かがみさんとの思い出が…… 頭の中でぐるぐる回ってるんです。」

     涙は流さない。

     こらえている。

     それはかがみに対する精一杯の誠意なのだろう。

    「かがみさんがもういないって実感が今頃になって湧いてきたんです…… いなくなって初めて……」

    「じゃあ、かがみに謝ろう」

    「え?」

    「天国のかがみに」

    「許してもらえるでしょうか?」

    「許してもらえるまで。一生かけてでも」

    「……はい」

    708 = 702 :

    「ま、許してもらえるんじゃないかな? だって……友達だったんだろ?」

    「本来ならこんなこと口が裂けても言える立場じゃないですが…… 『だった』だなんて過去形に…… したく…… ないです……」

    「………」

    「かがみさんは…… 私の高校での最初のお友達…… 少し遠いところに行ってしまいましたが…… 今だって……」

     肩を震わせる。









     ……みゆきは気づいた。 

     自分の過ちに。

     ……そして、俺も共犯者みたいなもんだ。

     俺は、それ以上の声をかけることはできなかったが、

     そっと、肩を抱くことはできた。

    「男…… さん……」

     雨で冷えたからだに互いの体温を感じる。

    「暖…… かい…… です」

    709 = 702 :

     救急車だかパトカーだかのサイレンがかすかに聞こえた。

     なんだか、頭がボーっとする。

     とんでもなく眠い。

     血を流しすぎちまった…… かな……?

    「ごめん、みゆき。ちょっと…… 寝るわ……」

    「ふふ、男さんたら、風邪をひきますよ」

    「………」

    「男さん?」

    「男さん!?」

    「男さんッ!?」

    「……そんなッ!?また出血がひどくなってきてるなんてッ!?」

     みゆきが必死で俺の下半身を押さえて止血しようとしてくれるのが見えた。

     しかし、きつく縛った即席の包帯も、渾身の力を込めたみゆきの手も、血の染みがどんどん広がっていくのを止めることはできない。

    「男さん!男さん!目を閉じちゃダメです!もうすぐ救急車が来ますからッ!」

    710 = 702 :

     みゆきの声がなんだか遠くに聞こえる。

     同時に、俺の頭に一つの言葉が浮かんだ。

     今、この瞬間に、どうしても伝えなきゃいけない、と。なぜだかわからないが強くそう思った。

     俺は必死に口を動かした。

     空気の漏れるようなか細い声にしかならなかった。

     みゆきが何か言ってるようだが、俺の耳に聞こえてくるのは、もはや耳鳴りのような音だけだった。

     目も霞み始めて、みゆきの姿がどんどんと滲んでいく……

     俺の言葉は、ちゃんと届いただろうか?

     真っ暗な闇の中に落ちていくように俺の意識は、ゆっくりと途切れていった。















    「俺、やっぱ、みゆきのこと、大好きだ……」

    711 = 702 :

    今回はここまでです。

    気がつけば60話を超えてたこの話ももうすぐ終わりです。最後までお付き合いいただければ幸いです。

    712 :

    おちゅ

    713 :

    あらまぁ、男の奴みっともねぇのぅ

    714 = 702 :

    こんばんわ。今日の分の投下逝きます。

    715 = 702 :

    「ねえ、ゆきちゃん。ここわからないんだけど、教えてもらえるかな……?」

    「えっと、ここはですね…… 教科書のこの部分を参考に……」

    「みゆきさ~ん! 私にも教えて!」

    「ええ、泉さん。どこをお教えすればよろしいでしょうか?」

    「あ、え~とね、ここと、ここと、ここと、ここと……」

    「こなちゃん…… それって、ほぼ全部じゃ……」

    「いーのいーの! 私ゲームクリエイターになるって決めたから、こんな教科は要らないの!」

    「どんだけ~」

     ヴヴヴヴヴヴ……

    「あっ、メールだ…… ちょっとごめんね。

     ――えーと…… よし、返信っと!」

    「おや~? つかさ? それって例の……?」

    「う、うん。この前言った、定期届けてくれた人。この学校の生徒だったんだって!」

    「いや~、フラグ立ちまくりじゃん! しかも落し物を届けてもらうなんて、なんてベタな展開…… ニヤニヤ」

    「こ、こなちゃん! まだそんなんじゃ……」 

    「選択肢間違っちゃダメだよ! つかさのバッドエンドなんて見たくないからね!」

    716 = 702 :

    「う、うん…… えへへ、頑張るよ!」

    「つかささんならきっと大丈夫ですよ」

    「いや~、つかさにもついに春がね~」

    「い、いや、だからまだそんなんじゃ…… それにこなちゃん、声が大きいよ…… そ、そういうこなちゃんのほうは、何か浮いた話無いの?」

    「私? 私ね、実は近々結婚するんだ!」

    「え~!? こなちゃん!? うっそー!?」
    「えええ!? ご結婚されるのですか!?」

    「あの、二人とも…… 声、大きいよ?」

    「あ、ご、ごめん……」
    「あ、す、すみません……」

    「でも、学生結婚!?」
    「お相手は、誰なんです!?」

    「む~…… こういう時、かがみんの貴重さを特に感じるよね……」

    「え?」
    「え?」

    「いや、実は結婚ってネトゲでの話なのよ。しかも私、男キャラ」

    「あ~、何だそういうことか~」
    「びっくりしてしまいました」

    「ツッコミ役がいないと、こういうとき悲しいよね。説明的なセリフがまたなんとも虚しく響く感じでさ~」

    「わかった! じゃあ、私が天国のお姉ちゃんの分もツッコんであげるよ!」

    ( =ω=.)……」

    「あからさまに、不安げな視線を感じるんだけど……」

    717 = 702 :






     


     5月のあの事件から、早くも3ヶ月ちょっと。
     
     季節はすでに8月。もうすぐお盆です。
     
     とっくに夏休みですが、私たちは受験生なのでこうして毎日課外授業に出て、放課後は、図書室で勉強しています。
     
     あの事件以後、しばらくは泉さんも、つかささんもひどく沈んでしまい、お二人ともしばらく学校に来なくなってしまいました。

     しかし、次第に元気を取り戻し、学校にも来るようになって、前までは意識的に避けていたかがみさんの名前が話題に上るようにもなりました。





     一番変わったのはつかささんでしょう。

     ……本当に強くなりました。
     
     『天国のお姉ちゃんが安心して見ていられるように!』というのが今や口癖に。
     
     料理の得意なつかささんらしく『家庭科の先生』になりたいとのことです。

     現在では、彼氏候補(?)も見つかり、時折楽しそうにメールをしています。

    718 = 702 :







     泉さんは、ぱっと見は相変わらずですが、どことなく真面目になった気がします。
     
     本人曰く『だってもうツッコんでくれる人がいないし』
     
     そういえば、先ほども言ってましたね。希望進路はゲームクリエイターらしいです。

     マインスイーパーとソリティアくらいしかやったことのない私にとっては未知の世界ですが、なんでも専門学校に入るとかなんとか……

     







     ……そして、日下部さんは、今は病院に入っているとのことです。

     かがみさんの話題が上るようになった今でも、日下部さんの話題が上ることはありません。

     泉さんも、つかささんも、言葉にこそ出しませんがきっと彼女を恨んでいることでしょう。

     かがみさんという存在を奪った彼女を……

    719 = 702 :

     しかし、私はかがみさんと日下部さんのことを思うと複雑な気持ちになってしまいます。

     罪悪感に似た、心の奥に重石を乗せられたような気持ち……

     私が、かがみさんに対して抱いた感情は、日下部さんのそれとは大きく違うものではありましたが(そう、やはり私には、愛する相手を手にかける気持ちというのは理解できません)、もしかすると、かがみさんを手にかけていたのは私かもしれなかったのですから。

     でも、じゃあ日下部さんに対して同情のような感情や共感のような感情を抱くかといえば、それは皆無です。

     

     ……ここには、男さんがいません。

    720 = 702 :









    「さてさて、今日で課外も終わったことだし、これでようやく夏コミの準備に専念できるというものだよ!」

    「こなちゃん、張り切ってるね~」

    「そういうつかさは、うわさの彼と遊びに行ったりしないのかね?」

    「え……? う、うん、じつは今度一緒に遊びにいく約束を……(モジモジ)」

    「ヒュー!ヒュー!」

    「それはおめでとうございます」

    「えへへ、ありがとう。ゆきちゃんは今年もブルガリアな海外旅行?」

    (ブルガリア?) いえ、今年はちょっと別に行くところがありまして……」

    「行くところ……?」

    ( =ω=.)! なるほど…… じゃあ、みゆきさん、私たちの分もよろしく言っといてね」

    「あ、そっか! ゆきちゃんの行くところって…… こなちゃん、また私たちも一緒に行こう?」

    「む~、男には悪いけど、とりあえず夏コミ後だね」

    「どんだけ~」

    「うふふ、お二人の近況も伝えておきます。男さんも…… 喜ぶと思います」

    721 = 702 :

    今日はここまでです ノシ

    722 :

    何故だろう
    墓場のイメージしか浮かばない

    723 :

    乙です!
    みゆきさん…色々あったし幸せになってほしい…
    私の方はあなざー・すたーさんがエンディングを迎えるまで自重して書きためようかと思います。

    724 :

    こんばんわ。いよいよエンディングです。
    では逝きます。

    725 = 724 :

     車椅子の扱いにも、だいぶ慣れてきた。

     正直言うと、慣れる気なんてさらさらないんだが、医者の話によるとリハビリには時間がかかるということだった。

     今日だって、本当は松葉杖でもいいから自分の足で立って出迎えたかった。

     リハビリ施設に入っている俺を見舞いに来てくれるみゆきを。

     しかし、それはまたいずれということになりそうだ。

    「男さん!」

     ロビーで俺を見つけたみゆきが俺に駆け寄ってきた。

    「よ!」

    「お元気そうで何よりです」

    「みゆきも元気そうで安心したよ」

    「リハビリは順調ですか?」

    「まあね。ほんとは車椅子じゃなくて自分の足で立って出迎えたかったんだけどな」

    「焦っちゃダメですよ」

    「わかってるよ」

    「このところあまり来れなくてすみませんでした。でもやっと、夏休みの課外授業が終わりましたから、明日からは毎日来ますね」

    「ありがとう。でも勉強は大丈夫?」

    「ええ、受験勉強も今のところ順調ですから。男さんにも教えて差し上げますよ」

    「はは、最強の家庭教師だな」

    726 = 724 :






     みゆき。

     俺の彼女。
     
     容姿端麗。頭脳明晰、品行方正、理想の女神様だ。
     
     あえて不満を言うなら、自分がちっぽけに見えてしまうところと、たまに黒いところを出すところ、ちょっと思い込みが激しいくらいかな。
      
     でも、以前、ドーナツ屋で俺がフラれたときや、かがみにひどく当たったときのようなあのみゆきはもう出現しなくなった。
     
     俺が生死の境をさまよっている時や、その後の入院生活、リハビリにおいて献身的に看護してくれて、そのときの経験から医者になりたいという気持ちを強めたらしい。
     
     現在、医学部目指して猛勉強中だ。

     俺との格差は開いていくばかり……

     授業にまったく出てない俺に定期的にノートを持ってきてくれていたが、今では家庭教師みたいな感じになっている。

     みゆきだって受験生なのだから、なんだか申し訳ないが、みゆき曰く

    『他人に教えることで自分の理解も深まりますから』

     ……何という、優等生発言。

    727 = 724 :

    × ちょっと思い込みが激しいくらいかな。
    ○ ちょっと思い込みが激しいところくらいかな。

    728 = 724 :




     ……え? 俺?

     これでも法学部を目指して勉強中だ!

     ぶっちゃけ、合格どころか、出席日数が足りなくなりそうで今年中に卒業できるかどうかも不明だが……

     何故、法学部かというと…… それはかがみが弁護士を目指していたということを知ったからだ。

     俺なりの罪滅ぼし…… なんてカッコつけるつもりじゃないけど。

     まあ、サッカー辞めて以来、初めてちゃんとした目標ができたし、それに無事に弁護士になれればみゆきとの格差もそんなに気にしなくていいだろう、という安直な理由もある。







    「こなたやつかさちゃんは元気?」

    「ええ。泉さんは夏コミとか言うお祭りの準備で忙しそうでした」

    「……相変わらずだな~ あいつも」

    「つかささんは最近、懇意にしてる男性がいるらしく、お付き合いするのも時間の問題のようですよ」

    「おお~! ま、つかさちゃん、かわいいしね。でも、あのつかさちゃんの不思議ワールドについていけるとは、なかなかの強者だな」

    「うふふ。今度、またお二人ともお見舞いに来てくださると言ってましたよ?」

    「そっか、ありがたいな」

     俺とみゆきの関係と、かがみの事件との係わり。それらのことをこなたやつかさちゃんがどこまで知っているのかはわからなかったが、以前と同じように接してくれるのは本当にありがたかった。

    729 = 724 :







     俺は、窓の外を見やる。入道雲がひろがり、完全に季節は夏だ。

     俺がここに来た時にはまだ梅雨の頃だったのに。
     
    「いいお天気ですね」

     施設内の廊下を進みながら、みゆきも窓の外を見やった。

     車椅子はみゆきが押してくれている。

    「でも、外は暑いだろーな」

    「ええ、今日も35℃以上あるとか……」

    「まったく埼玉って何でこんなに暑いのかね~?」

     セミの鳴き声が建物の中にまで聞こえてくる。

    「男さん……」

    「ん?」

    「早く良くなってくださいね。それまで…… 私、こうして男さんのそばにいますから」

    「ありがとう。でも……」

    「え?」

    「良くなった後も、そばにいて欲しいけどな」

    「え? あ、はい。も、もちろんです!」

     真っ赤になったみゆきが言う。

    「ずっと…… 男さんのそばに」

    730 = 724 :






     転入して、辛いこともあった。

     かがみというかけがえのない存在を失った。

     けれど、それを乗り越え、今に繋げて、この人生を生き抜いていかなきゃならない。

     そして、俺たちは現在進行形のこの人生をさらに未来へと繋げていかなきゃならない。

     それができなかったかがみの分も……

     ――願わくば、辛いことよりも、楽しいことのほうが多いものになりますように。

     窓の外に広がる夏の空を、そしてやさしく微笑むみゆきの顔を見上げて、俺は切に願った。




     Fin.

    731 = 724 :

    もうちょっとだけ続きます。

    732 = 724 :









    『……って、ちょっと! 勝手に終わらないでよね!!』

    『あらあら、どうしたの? かがみちゃん?』

    『あ、いえ、別になんでもないです。こなたのお母さん』

    『うふふ、こっちに来るのは久しぶりだから、色々と感慨深いのかしら?』

    『あ、まあ、そんな感じです……(どうして、この人からこなたみたいのが生まれたんだろう? 顔はそっくりだけど)』

    『あ、ほら、こなたや、あなたの妹さん達がいるわよ。元気でやってるみたいね。でも良かったの? 現世にいられる時間をご家族がいらっしゃる自宅のほうを見るんじゃなく、こっちのほうに使って……』

    『ええ、いいんです。みんなの顔見たかったし』

     今日は、男が入院してる施設にこなたやつかさや…… みゆきがお見舞いに来ているようだ。

     ホントだ。みんな元気そうで良かった。

     つかさはだいぶしっかりしてきたみたいね。彼氏なんて作っちゃって、まあ。

     こなたは…… 相変わらずね。

     あ~あ、あんたのお母さん、横で苦笑いしてるわよ。

     男とみゆきは…… 仲良くやってるみたいね。

     ちょっと…… 切ないけど、よかった……

    733 = 724 :





    『さあ、行きましょうか?現世にいられる時間は短いから……』

    『はい、こなたのお母さん。みんなの元気そうな姿が見られて良かったです!』

     みんなの元気な……

    「でさ~、かがみんが夢に出てきてさ~ 私が宿題やってないの怒るんだよ!」

     みんな…… の……

    「きっとあの世でも、小うるさいキャラのままだよ!」

    「それでいて、寂しがり屋なんだろ?」

    「そうそう! よくわかってるね、男! きっと天国でもツンデレの王道まっしぐらだよ! あはははは!!」

     こ、こ……

    『こいつらやっぱムカつく!! 化けて出てやるわ!』

    『うちの娘が…… ごめんなさいね……』






     今度こそFin.

    734 = 724 :

    GWに軽い気持ちで書き始めて早3ヶ月。途中で放り出さなかったことに自分でもびっくりです。
    ぬるく見守ってくださったみなさん、ご愛読ありがとうございました。
    病み猫さんやkyoronosukeさんもありがとうございました。病み猫さん、クライマックスの執筆頑張ってください!

    では、俺は普通の名無し(パー速民?)に戻ってROMります ノシ

    735 = 724 :

    すみません、こんなん書いてたので、最後にちょっとだけどうぞ。


     65.番外編

     一同「おつかさまで~っす!」

     こなた「いや~、ようやくクランクアップか。あ、乙カレー!男くん!」
     「あ~、泉さん、お疲れっす!」
     かがみ「二人ともお疲れ様」
     こなた「あ、かがみん、乙―!!」
     「お疲れっす、かがみさん」
     かがみ「(なんか、素の男くんってセバスチャンとキャラ被ってるな)」
     みゆき&つかさ「お疲れ様でーす」
     こなた「二人ともO2~♪いや~、今回みゆきさん大活躍だったね!」
     みゆき「お恥ずかしながら、こんな大役初めてでしたから大変でした」
     「いや、でも良かったですよ~ 共演してた僕も本気で惚れそうになりました」
     みゆき「いや、それはちょっと……」
     かがみ「それは、無いわ」
     つかさ「どんだけ~」
     「Σ(´Д`;)」
     こなた「現実は厳しいのだよ」
                                          男 orz
     みゆき「なんか、凹んでしまいましたね、男さん」
     かがみ「ほっときゃいいわよ。それより今回の話、私死ぬ役だなんて何か納得いかないわ」
     つかさ「お姉ちゃんはいいよ~ 私なんかほとんど出番無かった上に、登場人物紹介が一言だけだよ?」
     こなた「つかさはまだいいよ。自分視点の話がひとつでもあったんだから……」
     つかさ「そういえば…… こなちゃんは……」
     こなた「そう! 私視点の話なんかゼロだよ!? ゼロ!! 黒の騎士団かっつーの!!」
     みゆき「お気の毒に……」
     こなた「というわけで行ってくる」
     かがみ「どこによ? って、あんた、それ…… 鉈!?」
     こなた「ちょっと、書き手のところへ」




     ……その後、あなざー。すたー書き手の姿を見たものはいなかった。

                                           終劇

    736 = 722 :

    お疲れさまなんだぜ
    鉈は、怖いよな…

    737 :

    あなざー・すたー終了のお知らせ(二つの意味で)

    738 :

    乙です!
    多分最後のみゆきさんとの絡みはあなざー・すたーさんの願望ですねわかります

    739 :

    あなざー・すたーさんお疲れ様です。終幕までサクッと読めていい終わりでした。
    お疲れ様です

    741 :

    あなざー・すたーさん、長らく乙でした!

    742 :

    普通にお疲れ!!
    本当にお疲れ!!

    743 :

    あなざー・すたーさん、長らくお疲れ様でした。
    最後も綺麗にまとまってハッピーエンドで最高でした!

    744 = 738 :

    それでは私の方も投下行きますね

    745 = 738 :

    そうじろう「こなたを…!!こなたを捜さなければ!!!」

    「おっ…落ち着いて下さい!こなたがその病院長に捕まったとは限らないですよ!第一病院長は意識無いんじゃないですか?」

    そうじろう「いや…!実は一週間位前、こなたに問い詰められて全て喋ってしまったんだ!オレの原稿を見たらしい。」

    「でもだからと言って…」

    そうじろう「こなたは…きっと一人で乗り込んだんだ!」

    「いくらこなたでも知らない病院に一人で乗り込んだりしませんよ!」

    そうじろう「…知らなく無いんだよ。」

    「…え?」

    そうじろう「こなたは君と一度行っている。…それにあそこは…」

    「…ま…さか…その病院て…」

    そうじろう「…高翌良総合病院。君の…こなたの…クラスメートの実家だ…。」

    …俺は理解した。最近のみゆきさんの様子が少し変だった理由を。
    …俺とこなたの事をしつこく聞いてきた理由を。

    みゆきさんは知っていたんだ…。
    …知っていて様子をうかがってた。

    …そしてもし、こなたが過去を知ってみゆきさんのところに行ったのだとすれば…

    746 = 738 :

    こなたが危ない!!!

    いや、みゆきさんがこなたを危険な目に遭わせるとは考えたくない。

    しかし今日1日みゆきさんはこなたの事に関して何も言ってなかった。
    それはつまり、『みゆきさんはこなたの失踪について何も知らないが、みゆきさんの親などがこなたを拉致した』か『みゆきさんは全てを知っていて、かつこなたの事に関して嘘をついている』のどちらかだ。

    もうこの際、みゆきさんは関係ないなどと考えていたら、こなたにたどり着けない。
    確かニアもそんな事言っていた気がする。

    俺は考えがまとまり、おじさんに言った。

    「俺が行きます。みゆきさんは俺がこなたの事を知っているとは思っていないはずです。」

    そうじろう「オレも行く。このままじゃこなたが…!」

    「おじさんは今行ってはいけないと思います。今行けばこれまでの事がフイになるかもしれないです。」


    そうじろう「しかし…!」

    「命に代えても、こなたを守りますから!」
     
     

    夜の糖武鉄道に乗る。
    糟日部に近付いて俺はかがみの事を思い出した。
    かがみ『糟日部駅にいた』…。
    もしかしたらかがみは、何らかの事情でみゆきさんの秘密に気付いたのかもしれない。
    そしてやはり一人で乗り込んだ…?

    どちらにしろ急がなければならない気がした。

    747 = 738 :

    もうすぐ最寄り駅に着く。
    みゆきさんの、そしてかつての俺とこなたの最寄り駅だ。

    こなたの言葉を思い出す。
    『私の周りはテキばっかりだ!』

    …あの時の言葉の意味が、やっと今になって分かった気がする。
    こなたは…俺の事だけはミカタだったって言った。
    でも俺がつかさと手をつないで歩いていたのを見て、もう誰も信じられなくなったのかもしれない…。

    こなたが一人で乗り込むきっかけを作ったのは…俺かもしれない…。
     
    駅を出た。
    …よく考えたら、なんて言ってみゆきさんの家に行けばいいんだ…?
    完全にノープランだった…

    少し考えた末、俺はみゆきさんに電話をした。

    トゥルルル…
    トゥルルル…
    ピッ

    みゆき『男さんですか?どうしたんですか?』

    『あ、みゆきさん?実はさ、かがみが失踪した日に、かがみを昔の俺の家の近くで見たって人が居たから今その辺まで来たんだけど、ちょっと道に迷っちゃってみゆきさんの家の方まで来ちゃったみたいなんだ。それで、本当に悪いんだけどちょっと道教えてくれない?』

    みゆき『…分かりました。では、とりあえず家に来ていただけますか?』

    『うん、ありがとう。』

    748 = 738 :

    ふぅ…何とか不自然じゃない程度にみゆきさんの家に行けそうだ。
    それにこう言っておけば、かがみの事も探れる気がした。

    みゆきさんの家の前に行くと、玄関にはすでにみゆきさんの姿があった。

    みゆき「こんばんは、男さん。」

    少し緊張した。
    今日学校で会ったみゆきさんとは、何か違う気がした。

    「あ、こんばんは、みゆきさん。」

    みゆき「…折角なので、お茶でも飲んでいきますか?」

    「うん、ありがとう。」

    みゆきさんに家に通され、リビングのソファに座った。

    「あの…家の人は誰もいないの?」

    みゆき「…ええ、つい先ほど祖父が亡くなりまして、母はそちらにいます。」

    「えっ?!みゆきさん、行かないでいいの?!」

    みゆき「大丈夫です。男さんの話を聞いた後に向かいますから。」

    「ご…ごめん。」

    みゆき「いえ、気になさらないでいいんですよ。」

    『みゆきさんの祖父…たぶん病院長のことだな…』

    みゆき「では、本題に入りましょうか?」

    749 = 738 :

    みゆき「かがみさんがいなくなった日…男さんの昔の家の付近でかがみさんを見た、と仰る方がいたという事ですが…」

    「う…うん、そうなんだよ。それで俺も気になって今日この付近で手がかり無いか探してたんだけどさ。」

    みゆき「それで…収穫はありました?」

    「残念ながら何も。」

    みゆき「そうですか…。男さんの昔の家と言えば私の家も近所という事ですよね?私も調べてみます。何かあればご連絡致しますね。」

    「う…うん。」

    『ダメだ…みゆきさん動じたりしないな…やっぱりかがみの事は何も知らないのか?』

    埒があかないと思った俺は、少し大胆な事を言ってみることにした。

    「…ところでさ、ちょっと聞きたいことがあるんだけど。」

    みゆき「なんですか?」

    「実は昨日こなたとケンカしてさ…さっき謝りにいったら家にいないみたいなんだ。…みゆきさん、知らない?」

    750 = 738 :

    みゆき「…こなたさんですか。」

    「うん。」

    みゆき「…知ってますよ。今日、家にきました。」

    「……え?」

    みゆき「こなたさんは言っていました。男さんもテキになったと。」

    「…こなたは…」

    みゆき「それで安心していました。でもこうして男さんが来たという事は、やっぱり嘘だったんですね。」

    「…みゆきさん?」

    みゆきさんはそう言うと、紅茶を飲み、無言で立ち上がるとこちらに歩いてきた。

    「みゆきさん…何を…っっ?!!!」

    一瞬だった。みゆきさんの唇が俺の唇に触れた。
    そしてみゆきさんの手が俺の首筋と頭を抑えると、舌が少し強引に俺の口をこじ開け、何かが俺の中に流れ込んできた。
    流れ込んできた紅茶は少しにがかった。余りの出来事に驚いた俺はそれを飲み込んだ。

    みゆき「ふふふ…びっくりしました?」

    みゆきさんは微笑みながら元の自分の席に戻る。

    みゆき「男さんが自分から来ていただいて本当に助かりました。」

    俺はまだ目がパチパチして何も言えない。

    みゆき「やっぱり…男さんにも喋ってしまったんですね、泉さんは。」

    「あ……みゆきさん…?」

    みゆき「お祖父様は死にました。…だからここからは私がやらなければならないんです。」

    体に力が入らなくなってきた。

    みゆき「ごめんなさい…みなさん…。」

    俺は意識を失った。


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