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    元スレ別に新ジャンルじゃない「ひょんなことから女の子」Part2

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    201 = 194 :

    「あのー本当に大丈夫なんでしょうか」
    少年はひどく不安げに問う。
    「大丈夫、死ぬ事はたぶんないわ」
    たぶんという副詞をつけ死ぬ可能性をアピールする女。
    「たぶんって……」
    が提案した「もう一度ぶつかる」という行為は間もなく開始されようとしていたのだが、
    男はあまり乗り気でない。
    代わりに女は思いっきりぶつかるつもりでいる。
    「だいたい、体はわたしのものじゃないんだし、いくらぶつけても平気よっ!」
    そんなことさえ言い放つ。
    「そんなぁ」
    不安げな男。

    そして、
    「じゃあ行くわよっ」
    女が加速を始めた。
    「は…はい……」
    男も乗り気でないにしろ走り出す。
    「うらあああ」
    「うわあ……」
    ちなみに後者が男。

    202 = 194 :

    数分後

    「……痛いわね」
    「……ですね」
    「なんかこう、失敗みたいね」
    「……失敗みたいですね……」
    二人は道路に倒れこんでいた。
    「それじゃあさ」
    「はい、何でしょう」
    「当分このままでいようか」
    「はい…………ってえ!?勘弁して下さいよ!」
    「だってもう疲れたし……」
    「このままいるほうが疲れますよっ!!」
    「そういやあなた家どこ?」
    「なんでそんなこと聞くんですか!?」
    「いやー、帰って寝ようと思って」
    「だーー、やめて下さいっ!!」
    「じゃあ、どうすんのよ」
    女が攻めるように聞く。
    「どうしろって……」

    203 = 194 :

    「どうしようもないじゃないですか」
    「そうよね、だから家を教えなさい」
    「だからなんでっ!……それに僕アパート暮らしですよ」
    「え?一人暮らし?」
    「はい、この4月から……」
    女はにっこりと微笑んだ。
    「余計都合いいわ」
    「だから僕の部屋に行く考えは捨てて下さいっ!!」
    「えーーー」
    女がつまらない、というふうに声を出した。

    204 = 194 :

    「それじゃあさ」
    女が代換え案を出す。
    「家に住まない?」
    「え?」
    男がマヌケ声を上げた。
    「その、つまり、不本意だけど、あなたを、いや、今は私自身を、彼氏とかそんな感じで」
    「いや、そんなのあなたの両親が許すわけないでしょう!」
    「いや、それがね、実は今家に私ともう一人、姉しか住んでないのよね」
    「え、」
    「だから、あなたは別に普通にわたしを演じればいいのよ。それで、上手く姉を説得してくれない?」
    「そんなの無理ですよっ」
    男が声をあげた。
    「僕嘘とか苦手です」
    「使えない奴……」
    女がぼそりと漏らす。悪かったですね、と男が反撃する。
    「やっぱり、正直にお姉さんに言ったらどうですかね」
    「……信じてもらえる自信ないわ……」

    205 = 194 :

    「信じる」
    「本当ですか?」
    「うん、だってあなた美也子らしくないもの」
    「やったー、香奈姉大好きーっ」
    と男の姿のままの美也子が抱きついた。
    「わかった、わかった、もう……」

    (補足、姉:法条香奈、妹=女:法条美也子、男:坂谷翔)

    「でも、一つだけ条件があるわ」
    と香奈が切り出したのはその時だった。
    「一体なんでしょう」と翔。
    「それはね、」

    香奈が一拍おいてから言った。
    「私はいつもと同じような生活を送らせてもらうわ。翔君と」
    美也子が驚愕の声をあげる。
    「え、うそっ、そんなっ」
    翔は全く何のことだか分からなかったが、なんか凄くマズイらしい。
    そして、

    ふふふ、と小悪魔的微笑をしつつ香奈が言った。
    「翔くん、わかってないみたいね。

    つまり、私は「あなた」と毎日風呂に入って同じ布団で寝るって事よ」

    「えーーーーっ!!!!」

    206 = 194 :

    一応、これで終了です。
    あと>>199のレスは忘れて下さい。では。

    209 :

    死んでる・・・

    211 :

    メガザル



    あとは・・・まかせた・・・グハァ

    212 :

    そろそろ続き書くか…二ヶ月近くほったらかしww

    216 :

    >>213-214
    結局別のものつくってたwwwwサーセンww(でも1/3くらいは書いたんだぜww)

    >>215
    「これは、一体どういうこと?」
    「せっかくのタイ出張だったので、思い切って性転換してきました!」
    「思い"切って"おちんちん"切っちゃった"のね…」
    「えへへ…これでキツネさんと同性ですね!」
    「せっかく君のおかげで男嫌いが治りそうだったのに…
      君が女になったから、また"好きになれる男"がいなくなったじゃないの」
    「もういいじゃないですか、女だけで……」
    「や、ちょっと、くっつくかないでよ!」
    「だが断る、のですww」
    「あ……やめなs…あん…」
    (省略されました続きを読むにはワッf(ry
    こうですか、わかりません><

    218 :

       どんだけ☆エモーション(その8)

    「行ってきまーす♪」

    実由はいつものように学校指定のバッグに母さんの弁当を詰め込むと
    学校に出かける。

    「行ってらっしゃい~」
    「おう、頑張れ」
    俺と母さんもいつものように返事をする。

    いつもの朝の光景。
    何事も無いいつもの日常。  
    いつもであれば俺もこの後準備をして学校に向かうところであるのだが。

    「それじゃ、ミヒロちゃんお願いね~」
    「うん、分かった」
    …俺は母さんに頼まれて朝食の後片付けをしている。
    何でこんな事しないとならんのだろうか。

    今の俺の姿は女の子。
    まだ女の子歴三日目ではあるがすっかりお料理と後片付けの仕事は板についてきている。

    「今日は母さん、いろいろ用事があって忙しいからお昼は一人で済ませておいてね~」
    「ふーん、どこか行くの?」
    洗い物を済ませて居間のソファに腰掛けていると外出着でおめかしをした母さんが
    ぱたぱたと忙しそうに何やら準備をしていた。
    「まぁ、いろいろね~、帰りは夕方になるからよろしくね~」
    「うん」
    …夕方、という事は夕食の準備をしないといけないな。

    母さんが出かけた後、夕方の買出しまで時間がある俺はとりあえず編入試験に向けた
    勉強などしてみる。性別が変わってから不思議に俺の嗜好が変わってしまったようで
    ネットはおろかPCもほとんど触れる事無く家事に専念するようになってしまった。
    人間とは不思議なものだ。
    (家事というより、買ってもらったお洋服の着こなしの研究で忙しくなってますよね)
    ええい、マルさん五月蝿い。
    とにかく色々変わった事は事実なのっ!

    …とはいえ、勉強が好きで無いのは相変らずではあるが。

    219 = 218 :


    「ふう…、ちょっと休憩するかな」
    時計をみると勉強を始めてから1時間位経過していた。
    久々の勉強なのでちょっと集中しただけで疲れてしまった。
    今までどんだけ勉強を怠けてきたか、ホントに困ったもんである。

    外の空気を吸うために庭に出る。
    初夏を迎えつつある外の風景は好天のせいか空の青と草木の緑がやけに鮮やかに見える。
    梅雨時であるにもかかわらず大気もスッキリしているし非常に気持ちがいいなぁ。
    母さんの育てている庭の花々も咲いているものがあって、俺は不思議と
    気持ちが浮き立ってくるのを感じざるを得なかった。

    「ふふっ、母さんが育てた花がこんなに咲いているよ。男のときには
    何とも思わなかったのに、どうしてこんなに嬉しくなるんだろ?」
    (ミヒロちゃん、すっかり気持ちが女の子になりつつあるよね)
    俺の心の中からもう一つの意識が浮び上がる。
    色々あってすっかり親しくなったマルさんは俺のもう一人の人格のようになっている。
    俺と同じ意識を共有する存在。多分考え方とか好みは違えども
    これだけ友人、親兄妹よりも深い関係の存在は有り得ないかもしれない。
    「えっ? そ、そうかなっ? 自分はそんな風には感じないんだけど」
    (いえいえ、ミヒロちゃんは明らかに変わりつつあるのはこの私が感じるところなの)
    「う~ん、良く分からないなぁ…」
    マルさんと(心の中で)会話しつつ、俺は庭の外から見える街並みを眺める。

    いつもと変わらない街並みでいつもと変わらない日常のはずなのに
    俺は外見はおろか気持ちまで変わりつつあるのか…な?
    別に不安とか無いといえば嘘になるけど…なるようにしかならないしなぁ。

    「ミヒロちゃん、こんにちは」

    「え?」
    俺の思考を不意に遮る声。俺は声の主の居る方向を見る。
    「あ…サトシ、…くん」
    塀を挟んでサトシが学校帰りと思われる制服姿で立っている。
    (あ、サトシ君だww)
    …今週いっぱいまで定期試験だもんな。サトシの家の帰り道の途中に俺の家があるし、
    タイミングが良いと言うか。

    220 = 218 :

    サトシ君、今 帰りなの? 昨日といい、早いよね?」
    とりあえず白々しいと思いつつも特に(今の俺の姿で)話す事も無いのだが
    ありきたりな会話をしてみる。
    「うん、今試験期間中でさ。今週はずっと早く帰れるんだよね。」
    「へーっ、試験かぁ、大変だね。どう? 調子は?」
    「うん、まあまあかな。 一応ちょこちょこ試験対策はしてきているから
    何とか答案は埋めれているけど結果はどうなるか」
    「スゴイねー、勉強してるんだ。じゃあ、いつも学年トップ10に入っているんじゃない?
    サトシ君って頭良さそうに見えるし」
    「えーと、そんな風に言われると…。まあ、確かに常連と言えば常連かも知れないけどね」
    頭を掻きつつ何だか照れくさそうに答えるサトシ。
    …知っているよ。サトシ、お前っていつも学年トップ10どころかトップだろうが。
    俺はそう思いつつも顔には出さない。
    (もう、ミヒロちゃんって意地が悪いというか素直じゃないというか)
    うるさい、マルさん。
    「そういえば、ミヒロちゃんってウチの高校に編入するんだよね?
    編入試験とか受けるの?」
    「うん、受けるよ。今週受ける予定になっているけど?」
    急なサトシの質問に怪訝な表情を浮べつつ答える俺。
    「そうだ、良かったらさ、一緒に勉強しない? 俺は定期試験、君は編入試験で
    同じ学年だからきっと何かの役に立てると思うし。」
    「え?」
    思わず固まる俺。試験勉強? 俺とサトシが?
    (うっわー二人きりww もう、サトシ君ったら、行動が早いんだからww)
    「…」
    「…?」
    「…」
    「ミヒロちゃん?」
    思考が止まり固まっている俺に思わず声をかけるサトシ。
    「あ、ハイ、勉強会だよね?」
    ハッと気が付き答える俺。
    …この姿でサトシと勉強会かぁ。マルさんの言うとおりサトシの奴、手が早いなあ。
    「うーん、どうしようかな…」
    「ミヒロちゃんが忙しいなら別にいいけど…」
    悩む俺の姿を見てちょっと落胆気味のサトシ。
    ああ、もう、そんな顔すんなよ。そんな顔されるとすごい罪悪感を感じるし、
    俺の気持ちまで沈んで来るじゃないか。
    「ううんっ、そんな事ないよ。私、勉強分からないところあるし、調度良かったよ」
    …とりあえずサトシのお誘いに乗る俺。
    別に奴のために誘いに乗ったわけでは有りませんから。
    あくまでも自分の勉強のためです。ホント。

    221 = 218 :

    「! 本当かい!? 良かった、じゃ、いつやろうか? 今週中なら早くやるに越した事は
    ないけど?」
    打って変わって嬉しそうにするサトシ。
    …あれ? サトシの笑顔を見たら俺も嬉しくなるのは何故?
    「そうだね、じゃサトシ君、時間があるなら…えーと、今日でもいい?
    まだ夕方まで結構時間があるし、私ちょうど今試験勉強をしていたところなんだ。」
    「そうなんだ? じゃ、これからやろうか? えーと、場所はどうしようかな…」
    「ここでいいよ。サトシ君なら晴子さんや実由ちゃんが帰ってきても問題無いし。」
    「確かにそうかも。それじゃ、俺の家はここから近いから準備をしに帰ってから
    ミヒロちゃんのところに来るよ。」
    「わかった。じゃ、私も準備して待っているよ。」
    「じゃ、この後すぐね」
    俺の返事に嬉しそうに返すとサトシは自分の家に向かっていった。
    「…」
    (どうしたの? ミヒロちゃん?)
    「いや、別に。」
    …サトシと二人きりで勉強会かぁ。
    不思議に胸が高鳴るんですけど。…仕様ですかね。

    222 = 218 :

                    ◇

    サトシが来るまでの間、俺は急いで客間の掃除を済ませつつ何気に得意になるつつある
    料理というか、お菓子作りに挑戦してみたりしてみる。
    そんなわけでサトシが来るまでの30分位の間でおもてなしの用意を済ませてしまった。
    (うわー、ミヒロちゃんって才能あるかもww)
    …うん、俺もそう思う今日この頃です。すぐにでもお嫁に行けますね、…って、ちっがーう!!

    ピンポーン。

    おっと、サトシが来たみたいだ。
    俺はサトシを迎え入れると客間に通す。
    さすがに自分(ヒロアキ)の部屋はサトシには知られているので今のミヒロでは通せないよな。
    客間のテーブルに勉強道具を広げ、俺とサトシはさっそく試験に向けた勉強を始める。

    「…で、これはこうすると解けるんだ」
    「へーっ、そうかぁ、なるほど」
    さすがに頭のいいサトシだけあって面白いように様々な試験問題が解かれて行く。
    うん、これは一人でやるより効率が良いな。
    始めはテーブルを向かい合わせで各々の勉強をするつもりであったが
    俺が余りにも色々と聞いてくるのでいつしかサトシは俺の横について教えてくれている。
    「それじゃ、これはどうすればいいの?」
    「…ミヒロちゃん、さっきからほとんど俺に聞いてばっかりだよね」
    「だって分からないし。頭のいいサトシ君に聞けば一発で解るからいいよね」
    「うーん、それじゃあんまり勉強にならないような気がする。
    ミヒロちゃんのためにまずは自分で出来るところまでやってみないと。」
    そう言うとサトシは俺の側から離れようとする。
    「だめー、横に居ないと困るよっ!」
    俺は立ち上がろうとするサトシの腕に両腕でしがみついた。
    「ええっ!? ち、ちょっと、ミヒロちゃん!?」
    「だめだよー、勉強見てくれないと。 誘ってきたのサトシ君でしょ?
    だから私の面倒みてよっ!」

    223 = 218 :

    「えーっと…その…」
    困った表情で俺を見るサトシ。
    「その? 何?」
    「勉強見るから、腕を離して欲しいかなって…」
    「あ、ゴメンね」
    サトシに言われてとりあえず腕を離す俺。サトシはそのまま座り直す。
    「…」
    「? どうしたの?」
    サトシが黙り込んでしまったので思わず聞く俺。
    何だかサトシの顔が赤くなっているような気がするけど、気のせいかな?
    「…こうして勉強しているとヒロアキの事を思い出してさ。」
    「え?」
    急に俺の名前を言われ驚く俺。
    俺の状況など知らないサトシは思い出し笑いを浮べつつ話しはじめる。
    「ヒロアキは勉強が苦手でさ、試験のときにはいつも俺が勉強をみてやってたんだ。
    あいつはやれば出来るのに普段全然勉強しないから試験前は自分の勉強よりも
    ヒロアキの勉強で忙しかったなって。本当に大変だったよww」
    「ふーん…そうなんだ」
    ちよっとムッとする俺。確かに俺は勉強は好きではないが
    サトシに迷惑に思われていたのかと思うと気分的に良くないなぁ。
    「今回ヒロアキは出かけて居ないから勉強の面倒を見る必要は無いかなと思ってたんだけど
    …まさかこんな形で試験勉強を教えることになるなんてさ、ハハハ」
    「…自分の勉強で大変なのに迷惑かけたなら、ごめんね」
    笑うサトシとは対照的に棘のある言い方で返す俺。
    「え? 別に迷惑なんじゃないよ、むしろ俺にとっては楽しかったんだよね。」
    「え?」
    「昔からヒロアキとつるんでいるのが俺にとっては当たり前でさ、あいつがサッカー部を
    辞めてからつるむ機会がめっきり減ったせいかな? 何だか毎日がつまんなくてさ。」
    「…」
    「毎日学校の授業と部活と充実しているといえば充実しているのかも知れないけど、
    ヒロアキとのやりとりが無いと何だか味気無いというか何というか…ね。」
    「…」
    「だから試験期間に行なう勉強会が俺にとってはヒロアキと馬鹿やりながら
    昔のような時間を過ごす事の出来る貴重な機会だと思っててさ、
    試験は試験で大変と言えば大変なんだけど不思議と楽しみにしているんだよね。」
    俺は黙ってサトシの話を聞いていた。さっきまでのムッとした気持ちが
    サトシの話の中でどんどん無くなっていくのを感じる。

    224 = 218 :

    「正直なところ俺が無理矢理勉強させていたからヒロアキのほうが
    迷惑だったんじゃないかな、って俺の方がそう思うんだけどね。」
    そういうとサトシは俺の顔を見てニコッと笑う。
    「そ、そうなんだ、…そうかぁ、てへへ」
    思わず何とも言えないこそばゆい気持ちになる俺。
    不思議に顔がニヤニヤしてしまうのは何故だろう?
    ああ、もう何だかわかんないけど嬉しい気持ちだよっ。
    「サトシ君って、ヒロアキ君の話をする時って結構楽しそうに話をするよね?
    ヒロアキ君の事をどう思っているの?」
    「ヒロアキ、…うーん、そうだな…」
    サトシは俺の問いにちょっと考え込む。
    あれ? そんなに考え込む程の質問だったかなと不安に思う俺。
    「…俺にとっては親友だよ。
    すごく馬鹿な奴だけど…違うな、馬鹿やってる振りして周りを盛り上げるのが
    上手いんだよな。そして周りの皆の事を大事に思っているすごくいい奴なんだよな。
    あいつといると不思議に楽しいんだ。気持ちが乗らない時でもあいつと馬鹿やってると
    ホントやる気が湧いてくる。俺、あいつにはどれだけ励まされたか分からない位だよ。
    今頃あいつは海外で何してるんだろうな…」
    真面目な表情で俺の事について語るサトシ。
    最後にちょっと遠い表情をしたのは俺が海外にいる(と思いこまれている)せいか。
    (やっぱりサトシ君はヒロアキ君の事、親友として大事に思っているんだねー)
    ―うん、そうかも知れないなぁ。
    マルさんのいう通り、俺の事について色々考えているんだな。
    ふふっ、良かった♪ …って、あれ?

    そんな中ふと俺はある質問をしてみたくなる。
    「…ねえ、サトシ君?」
    「何? ミヒロちゃん」
    興味深そうに俺の言葉を待つサトシ。
    「もしもの話なんだけど、…ヒロアキ君が居なくなったらどう思う?」

    225 = 218 :

    「え?」
    急に表情が固まるサトシ。
    一瞬俺が何を言ったのか理解できない表情をしている。
    「ヒロアキが居なくなったらどう思う…って、なんでそんな事聞くの?」
    「さあ。…何となく」
    とぼける俺。
    「うーん、例えば今頃ヒロアキ君は海外に居ると思うんだけど、そのまま帰って来なかったら?
    …事故とか? …可能性は有るよね。」
    「…」
    マルさんの話から俺はヒロアキの姿でサトシの前に現れることは二度とできないかもしれない。
    そうなってくるとどうしてもサトシに俺が居なくなったらどう思うかを
    確かめたくなるのが人情ってものかも?
    俺としてはこの姿(ミヒロ)でもサトシに会えないことはないのでとりあえずは
    …問題は無い(訳が無い)が。
    しかし俺はともかくサトシはそうはいかない。
    ミヒロの正体がヒロアキだという事を知らない限り
    サトシにとっては親友、ヒロアキの存在が居ない事になるわけだから。

    「…ミヒロちゃん」
    「はい?」
    サトシの声に反応する俺だがサトシの雰囲気がさっきとは
    一変していることに気付く。
    「…冗談でもそんな事言わないでくれるかい。言っていい事と悪い事があるよ。」
    「え、…!」
    俺はサトシの表情を見てビックリした。
    今まで見た事の無い、いや一度だけあるかも、とにかくサトシの表情が
    もの凄く険しくなっている。…怒っている?
    俺はサトシの表情を見てビックリした。
    今まで見た事の無い、…いや一度だけあるかも。
    とにかくサトシの表情がもの凄く険しくなっている。…怒っている?

    226 = 218 :


    「ヒロアキは一人っ子だった俺にとってはかけがえの無い親友であり、兄弟みたいな
    ものだと俺は思っているんだ。」
    「…」
    黙り込む俺。
    「例え話でもヒロアキが居なくなる、海外に行って何らかの状況で帰って来ない、来れない
    …ひょっとしたら最悪の事が有るかも知れない。
    考えたくないけど俺にとって奴が居なくなるなんては有り得ないし想像もつかないし、
    したくもない事だと思っている。」
    「…」
    「ヒロアキは俺の事をどう思っているのか俺には分からない。でも俺にとってはそのくらい
    奴を重みのある存在だと思っているんだ。あいつに何かあったら俺はすぐにでも
    飛んでいく覚悟はあるし、出来れば早く無事に帰ってきて欲しいと願っているよ。
    …ミヒロちゃんにしたらほんの軽い気分の質問だったのかも知れないけど
    俺にとっては我慢できない質問だ。」
    「…」
    「俺の前でそんな話は二度としないでくれるかい? 今は我慢しているけど次はどうなるか
    分からない。たとえ、…俺は女の子でも許さないから」
    「…」
    (うわぁ…すごいね、サトシ君の友情は。)
    …うん、そうだね。
    サトシがどんだけ俺の事を考えているか再認識する。
    「…ごめんなさい」
    俺はサトシに謝る。
    俺の為を思って言ってくれた事に対し嬉しいといえば嬉しい事なんだけど。
    …何だろう、この感情は。
    「いや、俺も強く言ってしまって、ミヒロちゃんを驚かせてしまったね。」
    さっきとは打って変わり穏やかな表情のサトシ。
    「…ううん、私の方こそサトシ君に嫌な気持ちにさせてしまったよね…」
    我ながら馬鹿な質問をしてしまったと反省する俺。
    サトシはサトシで俺の存在を大事に考えているのに俺は無神経にも奴に何て事を
    言ってしまったんだろうか。

    227 = 218 :

    …。
    そんな情けない気持ちだけでなく、
    さっきサトシがミヒロ(俺)に向けた厳しい視線と口調が俺の頭の中で
    ぐるぐると回っている。何気に…いや、かなりショックを受けている俺。
    さっきのサトシの姿が頭に焼き付いているだけでなく、
    その姿を目の当たりにした状況で俺自身の身体が恐さですくんでいる。
    悪いのは俺だ。分かっている。
    …だけど。
    だけどあんなに恐い顔で言わなくてもいいじゃないか。
    あんなに強い口調で言わなくてもいいじゃないか。

    ―私は"女の子"なんだよ?

    …酷い。
    …酷いよね?
    …酷いじゃないかよっ!
    色んな感情が俺の中でごっちゃになっていく。
    冷静になろうと努力してみる…でも、マイナスの気持ちが勝っているみたいで。
    …。
    …あ。
    何だか目の前がぼやけてきた。何とか堪えようとする俺。
    女になってから何だか変なんだよなぁ。気分がころころ変わるし、涙腺が緩いのか涙が溢れやすいし
    …。

    「…ミヒロちゃん?」
    俺の様子の変化に気付いたサトシは俺に呼び掛ける。
    「…」
    俺は溢れ出そうになる涙を堪えるのに必死だったが、
    …駄目みたい。 泣いちゃうっ。

    …ポロポロ
    …ポロポロポロ

    「!! ミ、ミヒロちゃん?」
    俺を見て驚くサトシ、というか慌て気味のサトシ。
    「…」
    「ひょ、ひょっとして俺が怒ったから泣いてるの!?」
    目の前で涙をボロボロこぼして泣くミヒロを見てどうしたらいいか分からず
    オロオロするサトシ。

    228 = 218 :

    「…ううん、…そんな事無い、…けど」
    溢れ出る涙を何とかしようとするのだがどうにもならずなすがままの俺。
    「でも俺がミヒロちゃんの気持ちを害したから泣いちゃったんだよね?
    本当にミヒロちゃんゴメン、ゴメンね!」
    サトシはサトシでミヒロに必死に謝る。
    「…謝らなくてもいいっ、…悪いのは自分だからっ」
    あー、もう、どんだけ涙が出れば気が済むんだよっ、この瞳はっ。
    必死に涙を両手で拭うが全然止まる様子が無い。
    側にあったテイッシュペーパーを何枚かまとめて引っ張り出し、目にあてる俺。
    「ミヒロちゃんゴメンね、ホントにゴメン」
    「しつこいっ、サトシは謝らなくていいの!」
    「でも…」
    困った顔のサトシ。
    「…もうすぐ、もうすぐで止まるから、待っててよっ」

    …といいつつも俺の涙が止まるまで結構時間がかかってしまい、
    その間サトシはずっとオロオロしっ放しであった。

    229 = 218 :

                ◇

    結局あの後、盛り上がらないまま何となく勉強が始まり何となく時間だから
    終了してしまった。
    「ごめんね、今日は…」
    帰ろうとするサトシを玄関まで見送る。
    サトシの前で泣いたせいか何となく気恥ずかしい。
    多分、顔も赤くなっているに違いない。
    「いや、俺の方こそゴメンね。何ていうか…」
    サトシは何か言いたそうであったが何も言えずもごもごしている。                   
    「? 何ていうか?」
    首をかしげる俺。
    「何というか…」
    サトシは下を向いたまま何か言うかどうか悩んでいる様子であったが
    とりあえず一呼吸置く。
    「…あ~、もう、俺って駄目だな。あんまり普段女の子と接する機会が無いからさ、
    あんな時どうすればいいのか分かんなくて」
    「…」
    「俺、ミヒロちゃんにどうすればいいのかずっと戸惑っていた。
    気の利いた言い回しも浮ばないし、ずっと泣かせてしまったままで何のフォローも
    してあげられなかった。俺自身が原因とは言え、情けないなぁ…」
    「…」
    「俺は周りから何でも出来る人間とか言われているけど、女の子の扱いは
    なんとも…苦手というか…分かんないというか」
    普段のサトシらしからぬ発言がミヒロ(俺)の前でこぼれる。
    何だろう、この感じ。
    クールなサトシがこんなに弱気になるなんてよっぽど俺(ミヒロ)を泣かせたのが
    堪えたようで。…なんだかカワイイ。

    230 = 218 :

    「サトシ君、私は別に気にしてないよっ」
    「え?」
    俺は俯き加減のサトシの前に立ち、両手でサトシの顔に触れると自分の顔の前に近づける。
    「ミ、ミヒロちゃんっ?」
    俺の行動が理解できずに目を白黒させるサトシ。自分の顔の前にミヒロの顔が接近したせいか
    どんどんサトシの顔が赤くなっていく。
    …ふふっ、真っ赤になっちゃって。
    「私だって人前で泣くなんて恥ずかしかった。サトシ君はそんな私をどうすることも
    出来ずに自分自身を情けなく思った。これって…おあいこだよねっ?」
    「ミヒロちゃん…」
    「元はと言えば私がヒロアキ君の事でサトシ君を怒らせてしまった事がいけないんだもの。
    サトシ君は何も悪い事は無いよ。 それとサトシ君が女の子の扱いが分からないっていったけど
    …私だって同じだよ? だから別に恥ずかしい事なんてないよっ」
    「…そうかな?」
    「そうだよっ、サトシ君っ」
    「…ミヒロちゃん、…そうだね」
    ミヒロの笑顔につられて笑顔を浮かべるサトシ。
    「そうそう、笑顔が一番だよww」
    俺はそう言うとサトシの肩口に手をかけ、Vサインをしてサトシに( ̄ー ̄)ニヤリッ、と笑いかける。
    「…」
    サトシは何も言わずに笑う。
    「あ、そうだサトシ君、ちょっと待ってて」
    「?」
    俺はサトシを玄関に待たせたままキッチンに向かいあるものを手にするとすぐ戻る。
    「実は休憩中に食べてもらおうと思ったんだけど…コレ貰ってくれる?」
    俺は紙袋をサトシに渡す。
    「これは?」
    「私が作ったカップケーキ。急ぎで作ったから味は保証できませんww」
    「見ていい?」
    「どうぞ」
    サトシは紙袋を開けて中身を見る。中には俺手作りのカップケーキが3個入っている。
    一応、生地の中にドライフルーツを入れたもの、アーモンドやナッツ類を入れたもの、
    ココアパウダーを生地に混ぜ込んだものと3種類のケーキとなっている。
    「ありがとう、嬉しいなぁ、ミヒロちゃんの手作りが食べられるなんて」
    本当に嬉しそうなサトシ。 そんなに喜ばれるとあげた甲斐があるよねっww
    俺自身もなんだか嬉しくなってくるよっ。

    231 = 218 :

    「…それじゃ、ミヒロちゃん」
    「うん、またね」

    サトシが帰った後俺は部屋の片付けをする。

    片付けをしながら俺はさっきのサトシのやり取りを思い出す。
    サトシの前で泣いた自分とそれを見て慌てふためくサトシ。
    その光景を思い出すと非常に滑稽で笑ってしまう俺。
    …それにしても。
    さっきのサトシの帰り際の状況で俺はサトシに対してすごく自然に女の子らしく
    振舞う事が出来たような気がするなぁ。
    サトシを気遣うセリフも何だか自然に出来たし、まるで元がガサツなヒロアキとは
    思えない位可愛いミヒロを演じていたような気がする。
    (ミヒロちゃん、私に感謝してねww)
    ―え?
    (私、意識をミヒロちゃんに重ねたんだよね。…上手くいって良かった)
    ―え? え? え?
    (でもミヒロちゃんもまんざらでも無いし、私もミヒロちゃんと同じ気持ちだし、
    …いいよねww うふっ♪)
    ―ひょっとして、マルさん!?
    意識をシンクロさせた? 操られた? まさか?
    でもこれまでも俺の知らないうちに自分の身体が活動した形跡があったりして、
    …マルさんって、一体?

    232 = 218 :

    ガチャ。
    入り口の扉の鍵の開く音。

    「ただいま~、あら? どうしたのこんな所で~」
    俺が玄関で思考を回転させていると母さんが帰ってきた。
    「あ、母さんお帰り。別に何も無いけど」
    「ふ~ん、それならいいけど。あ、そうそう決まったわよ~」
    母さんは靴を脱ぐと脇に抱えた紙袋を持って居間に向かう。
    「え? 何が決まったの?」
    俺も母さんの後について行く。
    「ミヒロちゃんの編入試験よ~。いきなりだけど明日だって~」
    「え? 明日? ちょっとぉ、まだ心のじゅんb」
    「試験は簡単な面接だけだから大丈夫だって~」
    「え?」
    動きが止まる俺。え? 勉強しなくていいの?                
    「良かったよね~、ヒロちゃん、勉強苦手だもんね~」
    …あの~、お母様? 自分の子供にそんな事言いますか?
    とはいえ、正直安堵する俺。
    そうかぁ、勉強しなくて済むんだ。エヘヘっ。
    着替えを済ませて普段着に戻ると母さんは居間のソファに腰掛ける。
    俺は自分と母さん用に紅茶を淹れると母さんに渡す。
    「母さん、今日は学校に行ってきたんだ?」
    「うん、そうなのよ~、色々手続きがあってね~大変だったのよ~」
    「そうなんだ、俺のためにわざわざありがとう」
    俺はそう言うと紅茶をすする。
    「だめ~! ミヒロちゃん!!」
    急に俺に強い口調で言うとビシッと指をさす母さん。
    「え? な、何?」
    驚く俺。思わず紅茶がこぼれそうになったよ。
    「もうあなたは女の子なんだから『俺』なんていうの禁止~!」
    「え? ええっ!?」
    驚く俺、じゃなかった、わたし?
    「ミヒロちゃんみたいな可愛い女の子が『俺』なんて凄く変~!
    だから駄目~!」
    「駄目って、そんなぁ…」
    「いい~? 数日後には確実にミヒロちゃんは学校に通うことになるのよ~?
    今のうちから特訓しておかないとこの先苦労するのは目に見えているわよ~」
    「でも…」
    「でもも何もないのよ~? 今から特訓開始~」
    「えー…、そんなぁ…」
    俺はうなだれる。ただでさえ色々あって今の自分を保つのに苦労しているのに
    振る舞いまで気を遣わないといけないなんてっ。
    (晴子さん、大丈夫です。私がミヒロちゃんを立派な女の子として
    育て上げますから。)
    「あ~、そうよねぇ~、マルちゃんが居れば安心よねぇ~」
    妙に自身満々のマルさんとマルさんの発言に嬉しそうに納得する母さん。
    実由といい、母さんといい、マルさんといい、この3人は
    どんだけ俺を引っ張り回してくれるのか。
    …もう、やだ。
    それはともかく、明日は学校に行くのか。
    う~、どうなるんだろうかぁ…。

    233 = 218 :

    久々の投下ですた。
    間があいたせいか長めになってます。
    間があきすぎてこのまま投げそうになりましたが…継続は大変ですね。
    次回は、このままだといつになることやら。

    234 :

    ここの人はみんな気が長いから平気だと思います。

    235 :

    ねー。じゃなかったらとっくにスレ見なくなってるはずだwwww

    237 :

    以前この新ジャンルスレで作品を書いていたのですが
    文自体の変更、それと設定の再確認を兼ねて
    同じ作品を書き直したものを投下してみたいと思います

    大して面白くなかったり、他の人の投下の邪魔になってしまったら済みません
    先に謝っておきたいと思います

    238 :

    >>237
    それわかるわー。
    新ジャンルとしては重すぎて続きを書いたらえらいことになりそうで悩んでるwwww

    239 :

    私の酉に見覚えのある方、私のかつての作品を読んだ方、読んでいない方
    前回の作品とは関係なく、この作品を楽しんで貰えれば
    そして始めて私の作品を読む方も楽しんで貰えれば幸いです
    それでは失礼して、投下開始とします

    240 = 239 :

    ---幸福と不幸の間に関係式はあるのだろうか

    ---幸福と不幸を足したら0になるという説もある

    ---幸福と不幸は生まれた時点で決められた数与えられているという説も・・・

    どっちが正しいの?

    ---両方正しい

    ---今幸福を味わっている人に対する渇であり、今不幸を味わっている人に対する励ましであるからだ

    じゃあ、どっちが間違ってるの?

    ---両方間違っている

    ---幸福や不幸は、1や2で表せるものではない、虚数でも無理、記号なんか論外

    ---君はどっちだと思う?

    僕は・・・




    どっちも正しい、けど間違っている。幸福を求めることに、理屈はいらない。それは僕が『人間』だから


    ---私には分からない考え・・・ね

    243 = 239 :

    第一話


    不思議な夢を見た

    誰かが僕に話しかけてくる夢

    いや、話しかけてくる、ではない

    僕も話しかけていた、会話は一方通行ではなかった

    何かを聞かれ、そして何かを答え、そして何かが起きた

    うーん、夢って何で起きると記憶が曖昧(3cm)になるんだろ

    中途半端に覚えていることほど気味の悪いものはない、はっきり思い出したい

    でもそれですぐに思い出せたら苦労しないんだけどさ・・・

    「あー超お腹減ったし♪」

    そんなこんなで考え事をしていたらうるさい奴がやってきた

    「う゛~」

    「どうした?腹痛いのか?ゴーWC、ヤンキーゴーホーム」

    人のことお構いなしに呑気な奴だ、というかヤンキーゴーホームって何だよ、家帰れってか

    「うるさい奴が人の思考邪魔して頭が痛くなったんだ」

    「そいつは残念だったな、ゆっくり考え事してってね!」

    244 = 239 :

    残念なのはお前の頭の中だ、というか最初のあれなんだよ、かなりヤバイ台詞だな、頭と著作権的な意味で

    「まあいいから昼飯食べようぜ、勇人(ゆうと)」

    「へいへい」

    僕の名前は秋空勇人(ゆうと)、現役のピチピチ高校生、リアルタイムで青春を謳歌中さ!

    ちょっと自分が言うと気持ち悪くなりそうな文だ・・・もちろんこんな酷いキャラじゃないぞ、画面の前の君

    「今日は面白い物持ってきたんだぜ」

    そして僕の目の前で自分の鞄を漁っているのが西田真希(にしだまさき)である

    「マキちゃんコレクションまた増えたのか」

    「だから俺の名前はマサキだっていつも言ってるだろ!」

    そう、本名はマサキなのだが、マサキで変換しても真希とは出ない、変換したいときはマキと入力するしかない、だから僕はマキと呼んでいる

    それをネタによくからかっているのだ、ちなみにれっきとした男、マキって呼び方だと女って勘違いしそうになるからな

    「だってマサキじゃ変換出ないからさ、不便じゃん」

    「いや不便じゃないって!話し言葉に変換とか関係ないから!」

    「ビル・ゲイツに認められてないのが悔しいんだろ・・・分かるよその気持ち・・・」

    「いやビル・ゲイツとか全然関係ないから!変換とか関わってないからあの人!というか勇人って変換で普通に出るじゃん!気持ち分かってないよ!」

    それにしてもこのマキちゃん、ノリノリである

    245 = 239 :

    「で、マキが今日持ってきたのって何さ」

    「あ、そうそう。ちょっと待ってて」

    少し話題を逸らすとすぐ忘れるという、やっぱり頭の可愛そうな子なのかもしれない・・・

    「今失礼なこと考えなかった?」

    「ソンナコトアリマセンヨ」

    「何で片言なんだよ!」

    ・・・相手は読心術の使い手のようだ、いかんいかん、気をつけないと

    そしてマキが取り出したのは一冊の本だった

    タイトルを見ると『フロイトの夢判断』と書いてあった

    「何この凄そうな本は」

    「オーストリアの有名な精神分析学者、フロイトが書いた本を参考に書かれた本だ、これで夢を分析出来るらしい」

    そういえばそんな偉そうな学者の名前何処かで聞いたことがある、しかし

    「そんな難しそうなこと、マキに出来るのか?」

    「それがこの本は普通の人でも分析出来るように、分かりやすく書かれているんだ」

    「それってつまり、ただの夢占いじゃね・・・?」

    246 = 239 :

    途端に胡散臭くなった

    「占いじゃねーぞ!れっきとした精神、心理学に基づいたものだ!」

    そんなこと言われても僕、心理学の勉強なんかしてないから分かるわけがない

    まあそこまで言うなら、付き合ってやるのも悪くはないかな

    「というわけで勇人が今日見た夢の内容教えてくれ」

    「いや何で僕が最初の実験台なんだよ、自分の夢でやったらどうなんだよ」

    例え実害がなくても、最初の実験台って嫌だよね、なんか知らないけど

    「そうしたいところなんだが、あいにく俺今日見た夢忘れちゃってさ」

    なんだ、結局僕と同じなのか

    しかしうるさいマキのことだから、僕も忘れたよ、なんて言ったら絶対思い出せって言ってくるだろう

    ある程度覚えているけど、夢にしては少しリアルだったから言いたくなかった

    「今日見た夢ね・・・」

    思い出すフリをして適当な夢を考える、夢って訳分からないものだし、カオスな想像でもなんとかなるだろ

    「たしか『大きな蛇』が『海』に潜り込んだと思ったら『剣』で『りんご』を突き刺しまくってる夢だった」

    我ながらカオスな夢を思いついたものだ

    247 = 239 :

    これはこれでどういう結果が出るか楽しみかも

    「なになに・・・蛇に海に剣にりんごか・・・」

    まあ流石にここまで変な夢だと該当するものとか無さそう・・・

    「あった!」

    おいおいマジかよ

    「どれどれどんな結果がでた?」

    あれ程カオスな物でもしっかり分析出来るとは、やっぱりフロイト先生って凄いのか・・・?

    「えーっと、欲求不満、主に性的な意味で」

    ・・・はい?

    「あー・・・えっと、勇人」

    何か可愛そうなものを見る目だ・・・止めろ・・・!僕をそんな目で見るな!

    「この話は無かったことにしよう、さあ昼飯タイム再開だ」

    なん・・・だと・・・・、いやいやちょっと待ってくださいよマキさん

    「ちょっと待った!それ違うんだ!」

    「まあ・・・否定はしないさ、そんなもんだろ?男って」

    248 = 239 :

    違う!違う!それは・・・それは・・・

    「誤解だああああああああああああああああああ!」

    昼休み、教室に僕の声が反響する




    僕にとっての日常

    僕にとっての幸福

    僕にとっての不幸


    何もかもが変化する、今とは違った世界

    少し不思議で、少し甘い世界


    これまでの世界が、今日で終わりだとは・・・・




    このときの僕が、そんなこと知るはずもなかったんだ・・・

    249 = 239 :




                           第1章:その名はドッペルゲンガー





    ------------------------------------------
    今日の分の投下はここまでです
    それでは失礼しました


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