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    元スレ別に新ジャンルじゃない「ひょんなことから女の子」Part2

    新ジャンル覧 / PC版 /
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    101 = 97 :


    「はいはい、そこまで~。
    ヒロちゃんも実由ちゃんも落ち着いて。」
    俺と実由のやり取りをようやく止めにかかる母さん。
    「う~んヒロちゃん、その格好良く似合っているわね~。」
    「えへっ、そうでしょ♪」
    ちなみにそう言われて嬉しそうにしているのは俺じゃなくて実由の方。
    「こうなってしまった以上、ヒロちゃんは女の子として生活しなきゃならないみたいね。」
    「う、うん、それしか無いんだろうけど…」
    表情が曇る俺。いきなりこんな姿になって今後どうすればいいのか分かんないよ。
    「大丈夫~。お母さんに任せて。色々手を打っておいたからね。」
    俺の気持ちを察したのか母さんは俺を抱き寄せ頭を撫ぜ撫ぜする。
    「ち、ちょっと! 恥ずかしいからっ」
    顔を真っ赤にして俺は母さんから離れようとした。
    「やだ、何照れてんのよ~。可愛いっ!」
    「お姉ちゃんっ、最高に可愛いっ!!」
    俺のささやかな抵抗も空しく、母さんと実由は嬉しそうに俺に抱きつく。
    もう、何なんだ、この母娘は…。
    しかし不思議なことにさっきまでの不安が和らいでいるのを俺は感じていた。

    102 = 97 :

    忙しくて続きが作れないです。
    眠い…。

    104 :

    おつおつんぽ

    106 :

    つづきがない

    107 :

    ある朝、佐原 洋はベッドの上で目覚めると自分が女性になっているのを発見した。

    「えええぇぇぇっっ!!??」

    と、驚きの声をあげてしまったところで自己紹介。僕は佐原 洋、読みはさはらよう。年は17、性別は男のはず。
    着替えようと寝ぼけ眼で制服を布団の中に引きずり込んだところで気づいた。
    あるはずのモノがなく、ないはずの脂肪の塊が二つ。

    そこで混乱して叫んでしまったわけです。

    「んー、なんだい、うるさいな。 こっちは一仕事終わらせたところなんだからゆっくり寝かせてくれないか」

    とか言いつつ僕の布団から出てきたのは従姉の佐原綾。
    ちなみにマッドサイエンティスト。

    「綾姉、僕の体に何かした?」
    「女の子にした」
    「即答か!!」

    いつもこうだ……人を実験台にしようとする……

    「失礼だな。 今回は実験じゃないぞ」
    「じゃあどんな理由だよ」
    「うむ。洋も知っての通り私はレズだ。しかし、ここ数年従弟――つまり、男であるはずの洋に恋愛感情らしきものを抱いてしまった。だから、あるべき形にしてみた」
    「どこからツッコミ入れればいいんだ、それは!?」

    108 = 107 :

    「大丈夫だ、私がレズだということは未来永劫変わらない。 つまり、洋が女の子であれば万事解決するんだよ!!」
    「自分の性癖を治そうとは思わんのか」
    「それで、私はどさくさ紛れに告白してしまったわけだが、返事は?」
    「え、ちょ、この流れで!?」
    「私は君に割と想われている自覚はあるのだが。
     そうでなければ私が入浴している最中にわざわざ用事を作り脱衣場に入ってきて、私の下着を横目でチラチラ見た挙げ句、シャンプーの補充という名目で私の裸を見ようと……」
    「昔から好きでしたがなにか問題でも!? っていうか自分で言ってなんだけど、女同士っていうのが一番問題じゃ……」

    「なに、大丈夫だ。 洋、君は自自分を男だと思うか?女だと思うか?」
    「え?お、男だけど」
    「うむ、ちなみに私は女だ。男と女で問題ないじゃないか」
    「……あれ?」


    まで書いて眠くなった。

    110 :

    うっほー

    111 :

    [同性的な彼女]

     午前2時、深夜の公園にボクは来ていた。昼間は沢山の人で賑わいを見せているこの公園も、この時間になると人気は無くなり、静寂な雰囲気が漂っている。
     ボクは今、女物の服を着せられている。勿論、ボクの性別は間違いなく男である。
     どうしてこうなったのかというと、それはボクの背後から付いてくる幼馴染みの女の子の所為である。ボクは彼女にゲームで負け、その罰ゲームとして女装をしながら公園一周を課せられているのだ。
     彼女の名前は“ハルカ”。近所で有名所の私立女子校に通っていて、才色兼備な上に人当たりが良いためにとても人気者である。しかし、そんな彼女にも一つだけ欠点がある。

     それは、彼女は天性的なレズビアンなのだ。

     そもそも、そのことを知ったのはボクとハルカが小学生の時だった。家が隣同士だったボク達は小さい頃から仲が良かったのだが、小学6年生の頃にボクはハルカに校舎裏へと呼び出された。
     その頃のボク達は、クラスメイトから“ラブラブ”と冷やかされるほど仲が良かった。その為、呼び出されたあの時は告白されるものだとばかりボクは思っていた。そして、実際にボクは校舎裏でハルカに告白された。まあ、その告白はどちらかというとカミングアウトに近かったけど。
     自分が女の子にしか恋心を抱けず、ずっとボクが好きだったということ。そして、ボクを今までずっと女だと勘違いしていたこと。ボクはあの時、この二つの事実を知ることになった。
     その後、ハルカはボクが本当は男であったことにショックを受けたのか、暫く口をきいてはくれなかった。そしてハルカはそのまま中・高一環の女子校へと進学して行き、ボクとハルカは別れ離れになる・・・・・・はずだった。
     しかし、その後ハルカは頻繁にボクの元へと遊びに来ることになる。
     理由は簡単だった。「ユキちゃんより可愛い女の子が居ないんだもの」だそうだ。
     こうして、今に至るまで、ボクとハルカの変な関係は続いてきた。

     そして話は現在に戻る。突然、ポシェットに入れていた携帯電話が鳴り響く。ディスプレイにはハルカと表示されていた。
    「もしもし、どうしたのさ。もう終了なら大歓迎なんだけど」
    「バカね、そんなはずないでしょ」非常な答えが返ってきた。「それよりも、あそこのベンチを見てちょうだい」
     そう言われ、ボクはベンチを目で探した。50m先に、一つのベンチが寂しそうに蛍光灯のスポットライトを浴びていた。そこに人が座っている。
    「あれがどうかしたの?」ボクはそう尋ねながらも嫌な予感がし始めていた。「まさか・・・・・・」
    「ユキちゃん、あそこに座ってる人に話しかけてくれるかしら」ハルカは電話越しでとんでもない指令を出してきた。「もちろん、出来ないとは言わせないわよ」
     ボクは何か反論しようと思い後ろを振り返った。しかし、物陰に隠れているハルカはこれ見よがしに自分のデジカメをヒラヒラとさせている。ボクは途端に観念せざるを得なかった。なぜなら、彼女の持っているデジカメの中には、ボクの女装した恥ずかしい写真が沢山残っているからである。そして、この罰ゲーム中に少しでも反論したらその写真をボクの学校にばら撒くと脅されているのだ。
    「わかったよ!話しかければ良いんでしょう!」ボクはもう自暴自棄に陥っていた。
    「ふふん、解かればよろしい。」そう言い残し、電話は一方的に切られた。

    112 = 111 :

     ボクは恐る恐るベンチに近づいてゆく。暫く近づいたところで、そこに座っているのが男性であることに気が付く。それも、この熱帯夜に冬用のロングコートを着込み、襟を立てて顔を隠している。
    (怪しい・・・・・・)ボクはそう思い、作戦の中止を指示してもらうために後ろを振り返った。
     しかし、ハルカは親指をグッと突きたて、ゴーサインを出し続けている。ボクは観念してその男性に話しかけた。
    「あの、こんばんは」男性がボクの方を振り向く。隠れていて良くわからないが、40後半くらいの年だろうか。「今夜は暑いのに、そのコートは暑くないですか?」
     男性は何も言わずにスッと立ち上がり、ボクのほうに近づいてきた。ボクは反射的に同じ歩数分だけ後退りした。
    「お嬢さんこそ、こんな夜中に一人で何をしているのかな?」男はニヤリといやらしく笑う。
    「ボ──、私はちょっと眠れなくてお散歩を・・・・・・」
     ボクは危険を察知し、ハルカに助けを求めようと後ろを振り向いた。しかし、それがいけなかった。
    「あぐっ!」突然、横腹に鋭く重い痛みが走る。どうやら棒のようなもので力いっぱい殴られたようだ。「うぅ・・・・・・」
     痛みに耐え切れず、地面に膝を付く。見上げると、あの男が卑猥な笑みでボクを見下していた。
    「だめだよぅ~お嬢ちゃん。こんな夜中に一人で歩いたら危ないんだよ~?」ボクは男に茂みの中へと引きずられていく。「オジサンがどんなに危ないか教えてあげるねぇ」
     抵抗する間も無く、テープのようなもので口や手足を封じられ、マウントポディションを取られる。必死に抵抗するが、非力なボクの力では抜け出すことが出来なかった。
    「さーて、お洋服をヌギヌギしましょうねぇ」男の嫌らしい手が、ボクのワンピースの裾を掴んだ。

    「こらこらオジサマ、それより先は私の所有地よ」

     不意に、男の背後から声がした。男は驚いた様子で後ろを振り返る。そこには、ハルカが腕を組み仁王立ちしていた。笑顔ではあるが、どす黒いオーラを放っている。
    「なんだ、お友達が居たのか」男は声の主が女の子だと解かり油断したのか、立ち上がるとハルカの腕を掴み取った。「盗み見とは悪い子だねぇ~。お嬢ちゃんもお仕置きが必要だねぇ」
     しかし、ハルカはどんなことでは動じていない様子だった。それもそのはず、だって彼女は──。
    「ハァ!」静かな公園に、怒声が響き渡る。その直後、ドシンッという振動と共に、男の体が地面に叩きつけられた。「あら?ごめんなさいね。私、柔道で赤帯なのよね」
     男はどうやら、一発で気絶をしてしまったらしく、ピクリとも動かない。ハルカはその姿を見てふんっと鼻を鳴らすと、もう興味が無いというようにその男を見捨てて、ボクの元に寄ってきた。ハルカによって口を封じていたテープが剥がされる。
    「ぷはぁ~!危なかった・・・・・・。これも全部ハルカの所為だよ!」開口一番、ボクはハルカを叱り付けた。
     一方ハルカは・・・・・・というと、反省するどころか、なぜかあの男のように呼吸がハァハァと荒くなっていた。
    「ユキちゃんの縛られてる姿・・・・・・」ハルカの喉がゴクリと鳴るのが解かった。「もう我慢できない~!」
    「な、なんだってー!?」
     その後、縛られたままハルカの部屋に担ぎ込まれたボクは、またしても彼女により涙で枕を濡らすことになるのだった。そんな夜のお話。


    おしま・・・い?

    113 = 111 :

    このスレがエロ路線になりつつあるのを察知して、過去作の続きではなく新作を書いてみたお!

    過去作の作者的イメージがこのスレと反比例しだしたから、過去作は後日纏めて別のところで再開することにするお

    ( ^ω^)<そんなわけですお]

    114 :

    路線とかは気にする事はないんだぜ
    GJ

    115 :

    どんだけ☆エモーション  (その3)

    昼飯もそこそこに俺は母さんと実由に連れられショッピングセンターへ向かう。
    理由は俺の服と下着もろもろの購入の為である。
    現状の俺に合う服と下着が無いから已むを得ないわけだが
    今後それを着なければならないかと思うと気が重い。
    母さんは自家用車でショッピングセンターに向かう車中において
    俺に今後の事について語り始める。
    「でね~、あそこのタルトが美味しくって絶品なのよ~」
    「…あの」
    「そうだ! 今度ヒロちゃんと実由ちゃんも一緒に行こうねぇ~」
    「うん! お母さん約束よっ!」
    「はいはい♪」
    「え~と…」
    「そうそう知ってる? お母さんが持ってきたあのケーキ、実はね~」
    「え~! そうなのぉ? さすがお母さん!!」
    …楽しそうにやり取りをする母娘。取り残される助手席の少女。
    「あのう…」
    「そういえば今朝テレビでねぇ、○○が紹介されていt」
    「もう! 母さんってばっ!」
    「え? どうしちゃったの、ヒロちゃん? そんな恐い顔して~、
    もう、折角の可愛い顔が台無しじゃない~」
    「母さん、俺の今後について色々話してくれるって言ったじゃないか?
    なんで全然関係ない話してんだよっ!」
    これじゃ俺の脳内ナレーションが全く意味ないっつーの!
    「あはは、ごめんねぇ~、怒っちゃった? 今話すから機嫌直して~」
    手を合わせてニッコリと謝る母さん。
    …ガクっ。えらい脱力感。
    この気の抜け加減はさすが天然キャラ全開の母さんだ。       
    「さっきお父さんと電話でお話したんだけどね、とりあえず今のヒロちゃんは
    男の子のヒロちゃんとは別の人物として生活したほうがいいんじゃないかって事に
    なったのよ~」
    「え? それってどおいう事?」
    母さんの言ってることが分からず首を傾げる。
    「ヒロちゃんが女の子になったのがどういう原因なのか分からないけど、
    もしかしたら男の子から女の子になったのとは逆に戻ることができるかも知れない。
    それを考えたら変にヒロちゃんの戸籍を変えるより新たにもう一人の女の子としての
    ヒロちゃんの戸籍を作ったほうがいいかも知れないって事になったのよ。」
    「悪くない話だけど…そんな事できるの?」
    「えー、戻るの? そんなのもったいないよ! あたしは可愛いお姉ちゃんがいい!!」
    騒いで俺に抱きつく実由。冗談でも勘弁してくれ。
    「ふふ、すっかり仲良しさんね。あら~、着いちゃったわ~。」
    俺の問いには答えずに母さんはゆっくりと車のステアリングを切る。
    俺達を乗せた乗用車はショッピングセンターの駐車場の入り口に入っていく。
    俺と実由は辺りをキョロキョロしながら場内の様子を眺める。
    まぁ、平日の何も無い日なのでそんなに車は停まってはいない。
    車を適当な場所に停めた後、三人は車から降りる。
    「さあ、行きましょうか~」
    「ねぇ、母さん、さっきの話…」
    母さんの話の続きが気になる俺は思わず訊ねようとする。

    116 = 115 :

    いきなり母さんは俺の口にひとさし指を立てる。
    「ヒロちゃん、心配無用よ~。私とお父さんを何者だと思っているの~?」
    にいっと自信満々に微笑む母さん。
    ああ、そうだった。母さんは地元の有力者の娘で、父さんは某県議員の敏腕秘書だったか。
    色々とコネがあるってことね…。
                      ◇

    とりあえず俺の女性の戸籍を作り、今の学校にそのまま通うことにする。
    実際のところ俺が女になった理由は不明であり、どうやったら戻るのか
    それとも元に戻らないのかは病院で調べることにする。
    場合によっては治療してもらうことも有り得る。
    今のところ解決策が無い以上、現状を乗り切るためにこうしたほうがいいんじゃないか
    というのが両親の提案である。
    俺はどうすることもできないのでその提案に従うことにした。
    他にいい方法も無いしな。

    「もー、お姉ちゃん何やってんのよ! 早く来てー」
    俺が色々考えていると実由が俺の腕を引っ張っていく。
    「うわ、ち、ちょっと、待てよっ」
    「お姉ちゃんに絶対似合う服を見つけたよっ! 早く着て!!」
    「もう、実由は強引だな…」
    俺は衣料売り場の試着室に押し込まれ、実由から渡された服を渋々チェックした。
    「何だよコレ、えらく露出度が高いシャツだな~」
    肩を思い切り出す感じの薄地のシャツ。レースのついたそれは淡いピンク色で
    えらく可愛らしい感じがする。
    「シャツ? 何言ってんの? 恥ずかしい~。それキャミだよ。」
    何故か実由も一緒に試着室に入っている。
    母さんは俺に似合いそうな服を先程から物色している。
    「キャミ? ああ、キャミソールね…。」
    キャミの肩紐をプラプラさせながら俺はそれを眺める。
    自分が着込んだ姿を想像してみるがどうしても男の姿で想像してしまうので
    思わず「似合わねぇ…」と呟く。
    「もう! 合うか合わないか着てみないと分からないでしょっ?
    早く着てよ、まだ着てもらいたい服があるんだから!」
    「さあ、どんどん入れていくわよ~」
    母さんが服をどんどん試着室に入れていく。
    おいおい! 何やっているんだよ!! 投入される洋服の数に思わず後ずさる俺。
    この母娘、どんだけ俺を着せ替えるつもりなの!?

    「お姉ちゃん次はコレ!」
    立て続けに実由は俺にミニスカートを渡してくる。黄色い生地に花柄がプリントされた
    フリフリのスカート。思わず硬直する。これ、俺が着るの?
    「時間が無いのでゴメンね、お姉ちゃんっ、えいっ!」
    「ひゃうんっ!?」
    実由は素早い動きで俺が着ている実由のワンピースを脱がした。
    実由から借りたスポーツブラとショーツのみになった俺は慌ててしゃがみ込んでしまう。
    うう~っ、恥ずかしいようっ。
    「その反応女の子ぽくって(・∀・)イイ! でも時間無いんだよねっ」
    実由は俺を立たせるとスカートを穿かせる。上は白いフリルの入ったノースリーブ。
    「きゃー可愛いっ!」
    嬉しそうに騒ぐ実由。

    117 = 115 :

    「ヒロちゃん、どんな感じ?
     う~ん、いいじゃない? とっても可愛いわね~」
    母さんも覗きにやって来た。
    「うっう~、有り得ないよ、こんなの…」
    「何言ってるの? すっごい似合ってるよ! じゃ、次コレっ!」
    実由は間髪入れずに白いデニムのショートパンツを寄こす。
    「上は青いチェック柄のチュニックで涼やかな印象がいいわね~」
    母さんも上着を寄こしてくる。
    「何というか…脚や肌の露出の多いのばかり…、なんとかならないの?」
    困惑の表情を浮かべる俺。ホントどうにかならんものか。
    「何言ってるの!? そんな格好が出来るのは若いうちだけなのよ?
    今出さないで、何時出すというの!!」
    旬を過ぎたオバサンが自分の娘に対し力説しているような感じで言ってくる実由。
    一体お前はいくつなんだと問いたい。
    「さぁ、どんどん行くよ!」
    「ええ!? こ、これ!?」
    「いいからいいから~♪」
    「いくないっ!」
    洋服選びはこうして俺を巻き込んでどんどん進んでいく。

    さらにこの後には下着選びが待っているのだが、流石の俺も
    男としての尊厳というか、何と言うかそのようなものが残っているため
    ここでの内容については省略させていただく。

    「今更何言ってるの~?」
    「そうそう、ここまで可愛くなって尊厳も何もないって☆」
    え!? 何故俺の脳内ナレーションが読まれているの?
    「何を今更。さぁ、洋服選びも済んだし、今度は下着買いにいこっ♪」
    がしっ。
    「ほえ?」
    母さんと実由は俺の腕をそれぞれ両側から掴むとずるずると俺を下着売り場へと
    引っ張っていく。
    「ち、ちょっとぉ~? い、いやぁ~!!」
    下着購入描写の省略もそこそこに俺は下着売り場へ連れられる。
    「ううっ、これは…」
    「きゃー!カワイイ!」
    「あらあら~、いいわね~」
    思いっきり引いている俺を尻目に母さんと実由は下着を物色し始める。
    「いらっしゃいませ、本日は何をお求めですか?」
    女性の店員さんがやってきた。
    「こんにちは~。今日はね、この子の下着を買いにきたの~。
    まずはこの子のサイズを測って頂けないかしら~」
    「かしこまりました。それではこちらにどうぞ。」
    「え? え?」
    事態が飲み込めない俺を店員さんは試着室へと引っ張って行く。
    一畳程の広さの試着室に連れていかれて呆然としている俺をよそに
    女性の店員さんはメジャーを取り出す。
    「では、サイズを測りますので服を脱いで頂けますか?」

    118 = 115 :

    「ええっ!? ぬ、脱ぐの?」
    思わず大きな声で反応する俺。今度は見知らぬ人の前で裸になれというの?
    「ハイ、正確にサイズを測る為には出来るだけ服は脱いでもらった方が
    よろしいかと思います。特にバストは正確に測らないと肩こりの原因になったり、
    後々形が崩れたりしますからとっても大事なんです。」
    「そ、そうなんですかぁ…だ、大事なんですね…」
    説得力のある言い方にどんどん声が小さくなる俺。
    ううっ、そんな風に言われたら覚悟しなければならないようです…。
    「…」
    仕方なく服を脱ぐ俺。服を脱ぐ(脱がされる)のは今日だけで何回目なんだろうか。
    スポーツブラもかなり躊躇ったのち、おずおずと脱ぐ。
    試着室には当然鏡があるので目の前にはショーツ一枚のみの俺の姿が映る。
    裸の自分自身の姿を見るのは考えてみると今回が初めてだ。
    さっきは何だか実由や母さんのせいで落ち着いて見る暇も無かったからな。
    こうしてみると一応は女性らしい身体つきになっているようで
    多少小振りながらも形の良いバスト、そこそこくびれたウエスト、相応のヒップと
    スレンダーでまだ成熟には遠いながらも多少メリハリのある身体つきになっている。
    「…」
    一応自分の身体ではあるが女性の裸を直にみるのは母さんと実由以外では
    初めてではないだろうか。元々男である自分にとって興味津々なのは言うまでも無い。
    鏡の中の少女は恥ずかしいのか頬を赤らめながらぎこちなく身体を動かしている。
    なんだかその姿が可愛らしく、さらにこの少女が自分自身であるので
    妙な陶酔感に浸りそうである。
    他人が今の俺を見たらどう思うんだろう?
    この娘が俺自身でなかったら惚れてしまいそうな程可愛いし、そそるよなぁ…
    「…」
    横から視線を感じる。
    「あ…」
    店員さんが俺の様子をさっきからじっと見ていたことをすっかり忘れていた。
    やべ、今の様子をしっかり見られていたよ。
    恥ずかしさのあまり顔が赤くなっていく俺。ううっ、恥ずかしいぜ…。

    119 = 115 :

    「よろしいですか、では測りますよ。」
    何事もなかったように店員さんがメジャーを手に俺の胸を測りはじめる。
    「…う」
    店員さんの手やメジャーが俺の肌に直に触れ、その都度俺は過敏に反応する。
    「えーと、アンダーが64で、トップが78なので65Bといったところですね。」
    「…そうなんですか?」
    バストサイズについてよく分からない俺は曖昧な返事をする。
    「お客様はまだ若いのでまだ大きくなる可能性はあると思いますが、現状は
    このようですので今のサイズに合ったブラジャーを買うのがベストだと思います。」
    「そういうものなんですか…」
    「それでは次はヒップのサイズですね。…えーと、82ですのでSサイズで充分ですね。」
    「はあ。」
    計測は呆気ない感じで終わったが、まあそんなもんであろう。
    「測ってもらったかな~」
    「お姉ちゃん、試着!試着!!」
    ばたばたと母さんと実由がそれぞれ思い思いの下着を持ってやって来る。
    …二人の展開の速さについて行けません。
    「で? どうだったの~」
    「え~と、店員さんは65Bとか言ってたなぁ。」
    「えー!? あたしより大きい! 羨ましいなぁ~、あたしAカップなんだよね…」
    「実由ちゃんはまだ中学2年でしょ~、まだまだ大きくなるわよ~」
    「そうかなぁ(///)? よーし、頑張るぞ!」
    …何を頑張るのか良く分からないが流石にこの母娘、俺を置いて暴走しっ放しである。
    「でね、ヒロちゃん? さっそく選んできたの~、着てみてくれる~?」
    「あたしの選んだのも着てよっ! 絶対カワイイから!」
    「ふぇ?」
    色とりどりでレースの付いたのやら何やらと様々なブラジャーを俺に渡す二人。
    これを俺にどうしろと?
    「決まっているじゃない~、着けて~♪」
    …ある意味、俺の自我が崩壊しかかった瞬間であった。

    120 = 115 :

                     ◇

    洋服&下着選びは3時間にもおよび、俺はぐったりしてカフェラウンジのシートに座り込む。
    「あの服良かったよね~」
    「うん! 可愛かった!! あれならあたしも欲しかったかも!」
    俺とは対照的に母さんと実由は楽しそうにケーキを食べつつ会話に花を咲かせている。
    そんな二人の様子を見つつ、俺は横目で購入された服の詰まっている買い物袋を
    眺める。一体何着買ったのだろうか。大きな買い物袋が4つ、全て俺の洋服である。
    しかもその内容は俺用の服で有りながら自分の好みや希望などが一切入ってないところが
    不思議なんですけど。
    …これを俺が着なきゃなんないのか。思わずため息。
    さらに…ため息の理由がもう一つ。
    「そうそう、ヒロちゃん試験勉強は無くなったけど一応ヒロちゃんは別の人間で
    学校に行くことになるから編入試験の準備が必要よ~」
    ミルクのたっぷり入った紅茶を美味しそうに飲む母さんは
    ぼんやりと買い物袋を見つめる俺に言う。
    両親の提案で男のヒロアキとは別の人間で今まで通っていた高校に通うことになった
    俺だが、編入試験という避けられない問題が今俺の目の前に立ちふさがる。
    勉強か。折角、試験から開放されると思ったらこれだ。

    「さて、それじゃ帰りましょうか~」
    「うん! 沢山買ったよね、帰ろっ!」
    母さんと実由はカップの紅茶を飲み干すと立ち上がる。
    「しかし、この荷物半端ねぇなぁ…」
    大きな買い物袋の山を見つめる俺。
    俺が男だったら、この位一人でも何とかできるかも知れないけど
    今の俺じゃちょっと…なぁ。
    「みんなで運べばいいじゃない~?
    流石にヒロちゃんはもう女の子だし、一人で荷物は持ちきれないからね~」
    母さんは買い物袋を三人で分担して運ぶように言う。
    「そうそう、みんなで協力しよっ!」
    「ああ、そうだな。」
    俺と実由はそれぞれ荷物を手分けして駐車場の車まで運んでいく。
    「あれ? もう夕方だ。」
    「そうね~、もうこんな時間ねぇ~」
    外に出るとすっかり日も暮れかかっていた。
    結構長く店の中にいたからなぁ。
    帰りの車中で俺は今後の事について様々な想いを馳せる。

    121 = 115 :


    すっかり変わってしまった俺自身の姿。
    元に戻れるのか分からない状況。
    今後の俺の生活。
    今分かる事は今まで通っていた高校に女として通うこと。
    しかしこれまでの俺とは全くの別人として通うわけだから当然今までのようにいかない。
    別の人物の俺である以上、友人も改めて作る必要がある。
    友人か…そういや、サトシとはどうなるんだろうか…?
    俺にとってはかけがえの無い親友だったんだけどなぁ…。
    別に同じ学校に通うわけだから会う事ができないわけではない。
    しかし今の俺は女の子、これは紛れもない事実。
    こんな俺を奴は受け入れてくれるのかな。いや、それ以前にこんな馬鹿げた姿になった
    俺の事をあいつは俺だと信じてくれるかな?
    様々な想いが浮ぶが答えは当然浮ばない。
    「…」
    俺はうっすらと赤く暮れ始めた空を車の中からぼんやりと眺めていた。
    「ふふっ、大丈夫よ~ヒロちゃん、サトシ君はきっとあなたの事分かってくれるわ~」
    「そうそう、お姉ちゃん心配無用よっ♪ サトシくんはお姉ちゃんといい関係になるかも♪」
    何故か分かりませんがこの母娘、さっきからずっと俺の考えていることを読んでくれるんですが。
    俺は色んな意味で恥ずかしさが込みあがってくる。
    「あのぉ~、俺の脳内ナレーションを読むのを止めて欲しいんですけど!!」
    もう、やだ。
    そうこうしているうちに車は俺の自宅に到着した。
    俺と実由は荷物を車から降ろし、入り口まで歩いていく。
    母さんは車庫に車を入れに行く。
    「あれ?」
    実由が家の入り口前に誰かがいる事に気付く。
    「ん?」
    俺は荷物を抱えている為、前の状況が分からないが誰かが入り口前で俺達を
    待っているのは見えた。
    「あれ? サトシくんどうしたの?」
    「こんにちは実由ちゃん。ちょっと、ヒロアキに用事があってさ。」
    聞き慣れたその声に俺は思わず身体を硬直させる。
    今の俺にとって最も顔を合わせづらい相手。

    そこにサトシが立っていた。

    122 = 115 :

    とりあえず出来てる分だけうPしました。
    次回はいつのことやら。

    123 :

    (´・ω・)っ旦
    最近はスレも落ち着いてるし、ゆっくりでも大丈夫そうですぜ?
    俺は気長に待ってます。

    125 :

    「ぐーたっち」の続きがよみたい

    126 :

    あまり続きを期待されて無い俺はゆっくり書くとしよう

    続きを期待されるような続きを書きてぇwwwwww

    127 :

    続きを!一心不乱の続きを!!

    128 :

    一話っぽいのだけ投下してその後音沙汰ないのが多いなぁ。

    129 :

    >>128
    投下あるだけマシとおもいましょうや!wwwwww
    たとえ一話だけでも、たとえ似たような話でも、
    この過疎スレではあるとないとでは大違いww

    130 :

    投下するよー

    これまでの話 >>24-26 >>41-44

    131 = 130 :

    車は草原を走っていた。車といっても自動車ではない。
    馬車…の馬の代わりに大きなネズミ(のようなもの)が引いている鼠車だ。
    ゴトゴトと舗装されていない道を走る振動で目が覚めた。
    「おはようございます、王女様」
    猫のキャシアがすぐに起きたことに気づき、挨拶をしてきた。
    「おはよう。城には…まだ着かないのか?」
    「人間界とつながっているモンプの村からお城まで二日ほどでございます。
     明日の昼頃には到着する事でしょう。」
    「遠いな、ずっと車なのか?」
    昨日は車に乗ってすぐ寝たのだが、
    途中宿にもとまらず、夜通し車を走らせていたようだ。
    ネズミが引いているのは夜目が利くからだろうか。
    だが、さすがの巨大ネズミも二日も走り続ける事はできまい。
    「今日は早めに宿をとりまして、そこでお城に上がる準備も致します。」
    「そうか。宿まではあとどれくらい?」
    「昼過ぎに着きます。ところで朝食は車中でお召し上がられますか?
     それとも外にテーブルをご用意致しましょうか。」
    「中でいいよ。早く行って宿でゆっくりしたい」
    「かしこまりました」
    外が良いと言った場合、どうやって猫がテーブルなど出せるのだろうと思ったが、
    脇にあるバスケットから器用にパンとポットを出しているところを見ると、
    この世界の猫は人間並みに手足が動くようだ。心配はいらないのだろう。

    132 = 23 :

    と、起きてからここまで、この状況に全く違和感がなかった自分が恐ろしい。
    昨日の夜に、男から猫耳女に突然変身してしまった上に、
    わけのわからない世界につれて来られている。それなのにこの冷静さはなんだろう。
    この姿が本来の自分であることを体が知っていたのだろうか。それほど違和感がなかった。

    改めて変身した体を眺める。
    一晩寝て落ち着いたからか、これもなかなか良いなと思い始めた。
    小さくなったから体がずいぶん軽くなった気がするし、
    胸が小ぶりなのは…邪魔にならないって喜べば良いのか、それとも悲しめば良いのか。
    人間じゃない変化も新鮮だ。耳の聞こえが良くなって、遠くの音までクリアに聞こえる。
    尻尾は慣れないな。全く使ったことが無いから、どう使えば良いのかわからない。

    「王女様、紅茶が入りました」
    「お、ありがと」
    人間界のポット、それも魔法瓶のポットでお湯を運ぶようにしてから、
    猫の国では移動中に熱い紅茶を飲むことが流行っているそうだ。
    「…っんぁ!」
    車のゆれに合わせて、想定以上の紅茶が口の中に入ってしまった。
    猫人間になったからじゃなく、元々猫舌だ!熱い!

    133 = 23 :

    「だ、大丈夫でございますか?」
    「らいりょうう(だいじょうぶ)」
    「すみません、もう少しさめてからお渡しすれば…」
    「いいっれ。…あれ?れこのくにっれみんなれこりらっれわけらないの?」
    (良いって。…あれ?猫の国ってみんな猫舌ってわけじゃないの?)
    「人間界にはそういう言葉があるそうですね。
     でも私たちは特に熱いのが苦手というわけではないのですよ」
    「そうらのか。今度から僕用には少しさめたものを頼む」

    親が猫の国「ニャンス王国」の人間だからといって、
    自分はニャンス王国の事をよく知っているわけではない。
    人間界で育ってきたから、人間界のことしかしらない。
    今でも、この猫のパーツが付いた体を見ても、ちょっと良いなって思っても、
    心の表層では、自分はまだ人間だと思いたかった。

    134 = 23 :

    でもこんな風に、自分は猫の国を知り、猫の国の住人も自分を知り…
    いずれ、名実ともに猫の国の住人になってしまうんだろうか。
    いや、本当に猫の国の住人なのだ。この耳も、この尻尾も。
    そしてそれを「良い」と思ったこの心も。もう戻れないんだ。元の生活には。

    「王女様…?どうされました?」
    「ん、なにがどうした」
    「涙が…」
    「なんでもない。」
    「しかし、」
    「なんでもない!」

    そう、なんでもない。こんなこと、なんでもないはずだ。
    涙もろくなったな、と苦笑いしながら涙をぬぐう。
    自分は、王女だ。うん。きっと王女だ。
    こうなってしまった以上、それで通すしかない。もう泣き言はヤメだ。
    それに出発前に聞いた話ではニャンス王国が存亡の危機ということだ。
    「すまない。だが心配はいらん。そろそろ、ニャンスの話を詳しく聞こうか」
    キャシアは静かに頷いて、語りだした。

    135 = 23 :

    投下おわりー。
    方向性は固まってきたにゃぁ。

    137 :

    ぴたっーーーーーとレス居なくなったなww

    138 = 137 :

    あ、「居」消しわすれorz

    139 :

    (´・ω・)みんな忙しいのかもね?ま、まったりと待とうぜ。

    あ、この場を借りてwikiのdatとまとめ手伝いしてくれた方さんくす!超乙です。

    142 = 141 :



      どんだけ☆エモーション(その4)

    俺は買い物袋で自分の顔を隠しつつサトシの様子をうかがう。
    サトシと実由が家の玄関前で立ち話をしているようだ。

    「誰も居なかったから帰ろうかな、と思ったけど丁度良かったよ。」
    「みんなでお買い物行ってたんだよね。色々買わなきゃならないものがあったからね。」
    「ふーん、そうなんだ。みんなって言う事はヒロアキも一緒なの?」
    サトシはキョロキョロと辺りを見回す。
    「サトシくん、お姉ちゃ…いや、お兄ちゃんにどんな用なの?」
    実由はちらりと俺の方を見る。
    「…」
    俺は荷物を持って固まったまま「俺は居ない!」ことを
    実由に目配せする。
    「分かったわよ」という表情で応える実由。
    一応は実由も俺の状況を考えてくれているようだ、ちょっと安堵する。
    「ウチの高校が試験期間に入ったからサ、あいつの為に試験勉強の足しになればと
    一応ノートをまとめてきたんだ。」
    サトシはノートを見せる。
    「サトシくん、相変らずデキるオトコだよね~、ウチのお兄ちゃんとは大違いだよ。
    どうしてこんなに外見、運動、勉強、人格全てにおいて完璧超人なサトシくんと
    お兄ちゃんが親友なのか、あたし理解できないよぉ。」
    ニヤニヤしながら俺の方を見る。
    うるさい、実由。大きなお世話だ。
    それにしてもサトシ、お前って奴は律儀というか何というか…。

    「あらぁ~、サトシちゃんじゃない~、こんにちわ~」
    母さんは車庫から戻ってきた。
    「こんにちは、晴子さん。そろそろ”ちゃん”付けは厳しいんですけど。」
    サトシは俺の母さんのことを晴子さんと呼ぶ。
    どうやら母さんがサトシにそう呼ばせているようだ。
    「おばさん」と呼ばれるのが嫌らしいけど…何を今更というか
    …って、やば。母さんが俺を見てるよ、とびっきりの笑顔でwwwwww
    ううっ、脳内ナレーションが読まれてるよ…。
    「サトシはね~色々用事があって居ないのよねぇ~」
    「…そうなんですか。それなら仕方無いです。さっきから携帯をかけているんですが
    連絡取れないのは用事のせいですかね。」
    そうなんだ。ショッピングセンターの帰り際からサトシから俺のケータイに連絡が
    何度か来ていたのは知っていた。だけど、こんな状況だったからずっと無視していたんだ。
    「ふ~ん、そうなの~? ここの所あの子も忙しくなってるからね~、お父さんの
    お手伝いとか何やらで~」
    流石、母さん。
    母さんの頭の中にはもう既に俺の今後の展開が作られているようで
    サトシにも今の俺の存在を教えるつもりは無いようだ。
    ハッキリ言ってありがたい。

    143 = 141 :

    「はぁ…、そうなんですか。それじゃ仕方ないですね。
    俺帰りますけど、このノートヒロアキに渡してもらえますか。
    あいつの試験勉強の参考になればと思って持って来たので。」
    「 サトシちゃんったら~もう! なんていい子なの~!
    ホント、ヒロちゃんには勿体無いくらいよ~!!」
    「うわわっ、は、晴子さん! こんな事で感激されても俺困るんですがっ!」
    思わずサトシを抱きしめる母さんに対し、抱きつかれて慌てるサトシ。
    って、いきなり何やってんだよっ! 母さんは!!
    サトシが顔を赤らめつつ、困惑の表情であたふたしている。
    「やだぁ、サトシくんったら照れちゃって可愛いんだぁ♪」
    実由は二人のそんな様子を見てニヤニヤしている。
    って、そこは笑うところじゃなくて止めるところだろ、実由は!!
    「~っ、もう!!」
    俺は思わず荷物を置いて母さんとサトシのところにダッシュで行くと
    二人を引き剥がした。
    「あら~?」
    「? ん? あれ?」
    意外な表情を浮かべる母さんと俺を不思議な表情で見つめるサトシ。
    実由も俺の意外な行動に目を見開いている。
    「…」
    俺は衝動的とは言えども自分の起こした行動にワケが分からなくていたが、
    ふと正気に返ると黙り込んでそっぽの方を向く。
    何でこのような行動を起こしたのかは俺自身分からなかったが
    サトシに抱きつく母さんの姿を見ていたら何故かイラっときてしまったのは何でだろ?
    平静を取り戻し周囲を見ると母さん、実由、そしてサトシが俺の事をじっと見ている。
    特に母さんに限っては妙にニヤニヤして俺を見ている。
    …正直、3人の視線が耐えられないのですが。
    「え~と、この子は?」
    サトシは俺の事を母さんに尋ねる。
    「ゴメンなさいね~、サトシちゃんが余りにステキすぎて紹介するの忘れちゃったわ~。
    この子は今日から我が家で預かる事になった親戚の子で、ミヒロって言うの。よろしくね~」
    「そうなんですか、どうも初めまして。俺、サトシって言います。」
    「……(゚Д゚)ハァ?」
    硬直する俺。ミヒロって誰ですか?…って、俺?
    呆然としつつ母さんを見ると俺に向かって軽くウインクしてきた。
    …どうやら俺の名前は「ミヒロ」に決定したようです。
    「ミヒロちゃん、たぶん高校の試験期間明けに編入することになると思うから
    サトシちゃん、仲良くしてあげてね~」
    「俺やヒロアキと同じ高校ですか? それは楽しみですね。ミヒロさん、よろしくね。」
    俺にニッコリ笑い、サトシは俺の姿をじっと見る。
    サトシの視線に多少たじろぐ俺。俺がヒロアキだとバレやしないか正直冷や汗ものだ。
    しかし、今の俺の姿は女の子。しかも母さんや実由によってお出かけ用とばかりに
    顔に化粧をされたりミニスカばりの丈の短いワンピースを着せられたりしていて
    どこをどう見ても可愛い女の子にしか見えない。って、俺が言うか?
    自分で自分の事を可愛いだなんて俺もあの母娘と同じ血を持つ家族ってことか。
    それはともかく様子を見る限りではサトシは俺がヒロアキである事に気付いてないようだ。

    144 = 141 :

    当然の事だが今現在女の俺は男の時の俺の面影が残っている。
    だからもし俺がヒロアキだと言う事を疑おうと思えば難しい事では無いかも知れない。
    しかし、俺と同じ面影を持つ妹の実由と今の俺が姉妹のように似ているのと同様、
    男の頃の俺と同じ面影を持つ親戚の女の子、ミヒロという設定にしておけば誰も
    その存在を疑わない。定番といえば定番な感じだが、俺の姿かたちで今後心配する事は
    無いように思える。
    あとは俺が変にボロを出さなければ今後の俺の生活において何の支障も無いわけだ。
    …まぁ、この状況自体支障をきたしているんだけどね。
    「ミヒロお姉ちゃん、何ぼーっとしているの? サトシくん挨拶してるよ?」
    「あ、そ、そうだった。…よ、よろしく」
    考え事をしていたのですっかり今の状況を忘れてしまっていたが
    実由に突かれ現実に戻り、あらためてサトシに挨拶を返す。
    笑顔が引きつり気味の俺。
    「…」
    「…? ど、どうしたんですか?」
    さっきからじっと俺を見ているサトシに思わず尋ねる俺。
    正直なところ他人行儀であったりとか敬語を使ったりとか俺にしてみれば
    違和感バリバリなのは言うまでもないのだが、俺はともかくサトシにしてみれば
    俺はきっと初対面の人間としか見ていないんだろうなと思う。
    「あ、ジロジロ見ててゴメン。何かミヒロさんが全くの初対面な感じがしなくて。」
    …初対面な感じがしないか、そりゃそうだろうよ。
    「あと、それに…」
    「それに?」
    「…いや、何でもないや、ハハ…」
    何かを言いかけて頭を掻きながら俯くサトシ。妙にそわそわしていて落ち着きが無い様子だ。
    こんなサトシの仕草は初めて見る。何だろ?

                      ◇

    145 = 141 :

    サトシが帰ったあと、俺達は夕食の準備をすることになった。
    これまでは母さんと実由の二人で食事の準備をしていたのだが何故か俺も
    やらされる羽目になった。母さん曰く、「料理は女のたしなみ」だそうで
    全く面倒なことになったものだ。
    「ったく、今までやったことないんだからできるわけないだろ…」
    「お姉ちゃん、ブツブツ文句言わないの」
    「あら、でもミヒロちゃん初めてにしてはジャガイモの皮むき上手じゃない~」
    「え? そうかな? エヘヘ」
    「喜んでいるよ、この人」
    本日の夕食はカレーということで料理初心者の俺にはうってつけとのことであるが
    しかしこの下ごしらえが面倒だよなぁ…ホントに俺に出来るのだろうか?
    「それにしてもさ」
    ジャガイモに続きニンジンの皮むきを始める俺。
    「ん~?」
    「さっき、いきなり俺の名前『ミヒロ』ってなってたけどそれって」
    「うん、今度からヒロちゃんのこと『ミヒロ』ちゃんってよぶことにしたからね~」
    「ミヒロお姉ちゃんかぁ、いいよね♪」
    本人の意思とは無関係に盛り上がる母娘。…慣れてますけどね。
    「…まぁ、そんなに変な名前でも無いし。」
    しばらくはこの『ミヒロ』という名前が女としての俺の名前になるわけか…。
    なんとも不思議な感じである。

    そうこうしている間にも調理は着々と進む。
    肉と野菜を熱した鍋で炒めた後、ブイヨンスープを投入。
    沸騰したら出てきたアクを掬い取って最後にカレールーを入れる。
    「えーっと、これで後は煮込んで完成って…、おい!」
    俺が料理に集中している間に母さんと実由はキッチンから離れ居間でお喋りに興じていた。
    「お姉ちゃんできたー?」
    「うふふ、ごめんねぇ~ww ミヒロちゃんがあまりに真剣にお料理を作っていたから
    お邪魔したら駄目かなって思って~」
    「そりゃもう完成かもしれないけどさ」
    もう、これだから女って奴はよぉ…、俺もその一人になっちまったけど。
    「それにしてもお姉ちゃん、そのエプロン姿最高っ!」
    「ホント~カワイイわぁ~」
    …さっきから実由と母さんが俺のエプロン姿を携帯カメラで撮影しまくっている。
    とりあえず今の俺の格好は実由から借りっ放しの(実由は俺にあげると言っているが)
    青い色のワンピース。その上には母さんから渡された黄色い薄地のエプロン。
    あちらこちらにあしらわれたひらひらのフリルと生地にプリントされた沢山の花柄模様が
    このエプロンがあまり実用に向いていないことを何気に表わしているような。
    …それにしても撮影音が非常に耳障りなんですけど。
    「とりあえず、恥ずかしいから撮影は止めてもらえますかっ!!」

    146 = 141 :


    なにはともあれ料理は無事に完成した。
    早速3人で夕食をとる。父さんは帰宅が遅いのでいつもこのような感じである。
    「あら~! とっても美味しいわ~、ミヒロちゃん~!」
    「ホント!! 料理初めてなんて信じられない位美味しくできてるよっ♪」               
    俺の作ったカレーを母さんと実由が大袈裟に褒めちぎる。
    「二人ともオーバーだな。カレーなんて誰が作っても同じだろ。
    使っている材料はいつも同じなんだから…(パクッ)、…お、美味しいっ!?」
    カレーを口にして思わず顔がほころぶ俺。
    苦労して作ったからかな? なんだか普段よりも美味しく感じる。
    これって…実は俺の隠された才能だったりとか?
    「ね~☆ とっても美味しいでしょ~」
    「はいはい♪ 才能才能♪」
    お皿のカレーを平らげてゴロリと横になる実由。…太るぞお前。
    「初めてにしては良く出来てたかな」
    「ミヒロちゃん~、女の子は料理は上手なほうがいいわ~
    これからどんどん特訓して素敵な男の子のハートをGETよ~!」
    「母さん話が飛躍しすぎ」
    「そうそう♪ サトシくんとお姉ちゃんなんてステキかもねっ!」
    「実由、お前なぁ! 変な想像するなよ!! BLかよ!?」
    食事の後はいつもこんな風にグダグダとしょうも無い話で盛り上がっていく。
    俺自身の状況は変わってしまえども母さんや実由がいつも通りなので
    俺も別に何事もなく普段通りに振舞えるんだよなぁ…。
    そういう部分ではありがたいと思ったりして。

    食事の片付けも3人がかりだったせいか作業はあっさりと終了し、
    やることのなくなった俺はとりあえず自分の部屋に戻ろうとする。
    「あ、お姉ちゃん待って!」
    「ん?」
    「あたしもお姉ちゃんの部屋に行くよっ」
    実由はパタパタと俺の側にやって来ると俺の腕に組み付いてきた。
    「なんだよ実由は」
    「今日買った服とか片付けるでしょ? あたし手伝ってあげる!」
    ものぐさな実由にしては珍しい…何か魂胆があるような。
    「そんなことないよ! ヒドイなーお姉ちゃん!!」
    ぷくっと頬を膨らます実由。
    …えーと。
    「でもまぁ、否定はしないけどねっ! 片付けるの手伝ったら一緒にお風呂入ろっ♪」
    「まぁ、いいけどさ…、って、ええっ!?」
    適当に答えた後、我に返る俺。おいおい、それってどういう事?


    147 = 141 :

    久々の投下ですた。
    前回から間が空いてしまったですがあまりスレが伸びてないですね。
    前スレの終了あたりに投下されていた方々の投下をまったりとお待ちしてますwwwwww

    148 :

    ROM専が多いだけだと思います。
    何か書くと予想外にレスがつくし。

    150 :

    >>147
    GJ!!
    ROMってたかいがあった


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