元スレ勇者「ニートになりたい」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ○
151 = 15 :
魔法使い「そ、そんな……私、お礼を言ってこなくちゃ」ギュウ
老人「マクならもういなくナタヨ」
魔法使い「えっ、そ、そうなの?」
戦士「チャンピオンなのにか?」
老人「すぐに返上したらしいヨ。運営は嘆いていたが、今日にも新しいチャンピオンは決まるアルネ」
戦士「いったい、どこに……」
老人「弟子よ!! いつまで荷台に引きこもってるアルか! 出てきて挨拶するアル!!」クワッ
勇者「……おい、じいちゃん」
老人「黙るアル。最後の指導に口を挟むの良くない」
武闘家「……」スッ タンッ
魔法使い「あ、元チャンピオン」
武闘家「お初にお目にかかります。よろしく」プイ
戦士「な、なんとも……」
僧侶「愛想がないですねぇ~」
老人「なにはともあれ、気楽にやるヨロシ」
152 = 15 :
~~第1章『マッスルタウンのチャンピオン』~~
完
153 = 15 :
くぅー疲。
というわけでここまでを昨日に書ききってしまいたかってんですが睡魔には勝てず。。
これにて一章と位置づけした武闘家が仲間にくわわるまでが終了となります。
わりとオーソドックスな勇者SSを書こうとはじめ、新鮮味はなかったでしょうが、どこかで読んだような安定感はあったはずと自負します。
昔ながらのSS好きな人の琴線に触れることはできたんではないでしょうか?
どんなもんだったでしょ?
批判も含み感想をお待ちしております。
154 :
いいね
155 :
乙!
もう……好き。(語彙力)
156 :
おつー
王道が好きな俺にはどストライクだったよ
157 :
批判なんて気にしなくていいよ。
そもそも金とって読ませてるもんでないし
不満ならそれ以上のもの書いて読ませてくれってなもんで。
面白いから続けておくれ。
待ってる。
158 :
乙!
一気に読んでしまった
159 :
なろう系というよりは自分はワンパンマンみたいなチートの中に爽快感を感じた
サイタマと似てる気がする
全員に個性持たせてるのが本当にいい
160 :
あらかた感想はいただいた感じでしょうかね
書いていただいたみなさんありがとうございます
批判はなければないでいいのですが、別の見方もできますから
やりすぎてる感があるときはたしかにと自分でも思ったりします
では第二章をスタートします
162 = 15 :
【馬車 荷台】
魔法使い「ふんふーん♪ うふふ♪」ニッコニッコ
僧侶「よかったですねぇ、魔法使いさん」
魔法使い「はぁ、マク様……。ありがとう」スリスリ
戦士「チョロイやつだ。物で釣られるとは」
魔法使い「つ、釣られてなんかっ! ……あんまり、プレゼントもらったことなぃんだもん……」
僧侶「それが欲しいものなら尚更嬉しいですよねぇ~、偶然を加味するとロマンチックですぅ」
戦士「ふん、男なら腕っ節だろ」
僧侶「それもわかりますぅ。強い男性に惹かれるのは、種の生存本能に訴えかけてきますしぃ~」
魔法使い「わからないのは顔だけよね。どんな顔してるのかしら? イケメンだったらどうしよう」
戦士「顔なぞ……」
僧侶「良いにこしたことはないと思いますよぉ? 男性だって、容姿端麗な女性に惹かれるじゃないですかぁ~」
戦士「男の目線はみんな下心だ。女は違うだろ」
魔法使い「戦士はどう思うの?」
戦士「あたしは……さっきも言ったが男は腕っ節だと思う。ほかのは付加価値だな」
僧侶「占める割合が大きいんですねぇ。やっぱりぃ、自分より強い人が好きとか?」
戦士「それもある。嫌だろ、あたしよりなよっちぃ男なんて」
魔法使い「た、大抵の男は戦士より弱いんじゃないの?」
戦士「だから、男は――」
僧侶「マクさんはどうですかぁ?」
魔法使い「……それもそうね、戦士が敵わないっていう条件ならクリアしてるし」
戦士「顔もわからないやつを好きになれるかよ……」
僧侶「んー、顔は重要じゃないってぇ~」
戦士「ちっがぁーうっ! 内面を知らないやつを好きになれるかっての!」
魔法使い「そもそも、オンナ捨ててたわよね」
戦士「うっ、いや、それは」
163 = 15 :
僧侶「……武闘家さんはどう思いますかぁ?」
武闘家「……」
魔法使い「ねえ、元チャンピオン。パーティにはいったんならもうちょっと愛想良くしたらどう?」
戦士「無理にとは言わないが、まだまだ旅は続くわけだしな。コミュニケーションをしてくれると助かる」
武闘家「……アホくさ」
魔法使い「なっ⁉︎」
武闘家「男だとかなんだとか、そんなのでキャアキャア言ってるなんて」
魔法使い「ちょ、ちょっとあんた! まともに喋ったかと思えばそれ⁉︎」
僧侶「まぁまぁ。おさえておさえてぇ」
戦士「すまない、あたしたちも初対面で馴れ馴れしくしすぎたかもしれん」
僧侶「でもぉ、なんでパーティに入ろうと思ったんですかぁ?」
武闘家「関係ないでしょ」プイ
魔法使い「大方、あのおじいさんに言われたんでしょ? だから拗ねてるんだ?」
武闘家「うるさいなぁ」
魔法使い「あたし達は仲間になってんのよ? 命を預けられる? そんな態度で」
武闘家「別に。自分の命くらい自分で守れば?」
魔法使い「ぐぬっ! じゃあなんでここにいんのよ! 一人旅でもすれば⁉︎」
僧侶「おー、よしよしぃ」ナデナデ
魔法使い「犬扱いすんな!」
戦士「……決勝は残念だったが、その他の戦いは見事だった」
武闘家「あっそ」
戦士「どうだ? 今度手合わせしないか? なんだったら、勇者も一緒に。あいつは私と同じくらいの強さで」
武闘家「戦士……って言ったっけ?」
戦士「そうだぞ。よろしく」
武闘家「それ本気で言ってる?」
戦士「ダメか? 良い鍛錬に――」
武闘家「そこじゃなくて。誰と誰が同じくらい?」
戦士「む……今の話の中でか? あたしと勇者だが」
武闘家「ぷっ、くっくっくっ」
魔法使い「……?」
戦士「なんだ? なにがおかしい」
武闘家「ザコ。勝負なんて願い下げよ」
164 = 15 :
【馬車 手綱】
勇者「のどかやなぁ~。お前もそう思わんか?」
馬「ブルルッ」パッカパッカ
勇者「ほんにのどかやでぇ~。このまま時間が止まれば――」
――ドゴォンッ!!――
馬「ヒヒーンッ」ビクゥ
勇者「おっ⁉︎ ちょ、ちょっ! どーどー! 静まれ!」
馬「ブフォ」タンタン
勇者「な、なんだ? 荷台が揺れた……?」
戦士「自分で吐いたその言葉! 簡単には飲むなよ……!」バキィッ
武闘家「ほんとのこといってなにが悪いってのさ」バキィッ
勇者「あんれまー。新品の馬車の荷台をぶっ壊して出てきたように見えたけど。疲れてるのかな」
魔法使い「勇者!」
勇者「やめて。現実逃避してるのにやぶれた穴から話しかけないで」
魔法使い「二人を止めないと!」
勇者「ゆ、夢じゃなかったの? ウソ、ウソだといってよバーニィ」
戦士「コミュニケーションしようと思ったのが間違いだったようだ」チャキッ
武闘家「……ふん。ザコのくせに」スッ
勇者「お、おまえらぁぁぁぁああっ!!」クワッ
戦士「口を出すな、勇者」
勇者「出すに決まっとるわい!! どうすんだよ! いきなり穴あけちまいやがって!! まだ出発して半日もたってねぇぞ!」
武闘家「それは、こいつが……」
勇者「お前もしっかり穴あけとるやないかい! 2つ! わかる? ふーたーつぅー!」
武闘家「うっ」
戦士「穴ぐらいなんだ。男のくせに細かいやつだな」
勇者「ホワッツ⁉︎ アナタ、イマナントイッタカ⁉︎」
戦士「うっ、いや、男のくせに」
勇者「アーユークレイジーッ⁉︎」
魔法使い「僧侶。勇者が言ってるあれ。どこの言葉?」
僧侶「さぁ~。でもぉ、いいんじゃないですかぁ? 勇者様の勢いにタジりだしてますしぃ」
武闘家「あ、アタイは……」
勇者「シャラップッ!!」
戦士「お、おい、勇者、さっきから何語を……」
勇者「シッダウン! シッダウン!!」
戦士&武闘家「……?」
勇者「……はぁ、あのなぁ、知り合ったばかりだし、喧嘩するのもしゃーないけど。物は壊さないようにやれよ」
武闘家「やっぱり、アタイはこのパーティから」
勇者「じいさんと約束してんだろ? 会って日にちが長いわけじゃないけどさぁ。俺に連れてけって言ったんだ。お前はここにいろ」
武闘家「……戦士とは別にしてほしい」
勇者「お安い御用です! 個室を用意します! ……できるわけねーだろ。馬車に仕切りなんか作れるか」
武闘家「……」ブスゥ
戦士「やはり、力で決着を」
勇者「もう太陽が傾きはじめてる。やるなら止めないから、次の村についてからやれ」
165 = 15 :
【ミンゴナージュの村】
勇者「はぁ、どうすんだよ。この穴」ジー
僧侶「アップリケでもつけますかぁ?」
勇者「トホホ。なんで半日でズボンの穴あき処置みたいなことを……」
魔法使い「あ、蝶々」
勇者「わぁー、ほんとだぁー! ってなるかい!」
魔法使い「暇なんだもん。ここアルデンテの村みたいな田舎だし。それに――」
武闘家「あちょお~~~~っ!! ハイィッ」ダダダッ
戦士「むっ、このっ……! くっ!」キンキン
魔法使い「あっちは脳筋だしさ」
勇者「……」
僧侶「勇者様ぁ、テントの生地がありますよぉ」ビリビリ
勇者「そ、僧侶さん? 普通、ありますって言う時はその後の対応を聞くものでは? なぜに破ってらっしゃる?」
僧侶「使わないんですかぁ?」ビリビリ
勇者「どーすんだよ! これから野宿するとき!」
魔法使い「いいんじゃない?」
勇者「なんでだよ!」
魔法使い「勇者は知らないんだっけ? 私達、今、ちょっとした小金持ちなの」
勇者「へ? こ、小金持ち?」
僧侶「はい~。マク選手に賭けていたお金がありますのでぇ」
勇者「あ、そなの?」
魔法使い「細かく数えてないけど、30万ゴールドは持ってるわよ」ドサッ
勇者「さ、ささささっさんじゅう⁉︎」
僧侶「大穴の150倍だったんですよぉ~」
勇者「そ、そうなんか……」
166 = 15 :
【宿屋】
店主「祟りじゃ!」クワッ
勇者「え、えぇ……」
店主「祟りじゃ、祟りじゃ、この村は呪われておるぅ~!」
勇者「落ち着けよ。ばあちゃん」
僧侶「あのぉ、部屋をとりたいんですけどぉ」
店主「部屋などと呑気なことを言うとる場合ではない。早々に立ち去るんじゃ」
魔法使い「そんな、困る」
店主「えぇい! 今は満室じゃ!」
魔法使い「なんなのよ、もう」
僧侶「ご無理を言っても申し訳ないですぅしぃ、道具屋でテントを買いますかぁ?」
勇者「しかたない、そうするか」
店主「店じまいしてるよ」
魔法使い「へ?」
店主「みぃ~んな祟りのせいじゃ。道具屋の店主も倒れてしまったわい」
魔法使い「え? え? じゃ、じゃあ買い出しは?」
店主「マッスルタウンに戻るとええ」
勇者「なあ、ばあちゃん、日は沈みはじめてるし、今からってのは」
店主「今宵、儀式がある」ボソ
僧侶「儀式……? なんのですかぁ?」
店主「よそ者は帰れ。あたしゃこれ以上は話す舌を持たん」
勇者「祟り、ねぇ」ポリポリ
167 = 15 :
【ミンゴナージュの村 入り口】
戦士「くっ、不覚……! 剣がっ!」カキーーン
武闘家「はぁっ、はぁっ」ピタ
戦士「さ、さすが、チャンピオンといったところか。言うだけはある」
武闘家「ふぅ……」
戦士「それほどの力を持ちながら、なぜ、先ほどはあのような態度を」
武闘家「力と性格になんの因果関係があるっての。アタイはあんたが気に入らないのはたしかだけど」
戦士「むっ、あたしのどこがだい」
武闘家「弱いくせに。アタイより弱っちいくせに誰と同列で語ってんさ」
戦士「……?」
武闘家「はぁ、まだわからないの? いい? 勇者はね――」
僧侶「戦士さぁ~ん! 武闘家さぁ~ん!」トテトテ
戦士「僧侶? どうしたんだ?」
僧侶「今日の宿が決まらないんですよぉ~」
戦士「なに? ……おい、武闘家。さっきはなにを言いかけて」
武闘家「……」プィ
僧侶「喧嘩もいいですけどぉ、問題解決に向けてみんなで協力しましょ~?」
勇者「決着ついたか?」スタスタ
魔法使い「脳筋ってほんと単純だから。どうせ仲良くなってんじゃないの?」
戦士「いや……」
魔法使い「あ、あれ? 違った?」
武闘家「勇者。道具屋でテントを買えば?」
勇者「それがそういうわけにもいかねぇんだわ。武器屋、防具屋、道具屋、全部店を閉めてる」
戦士「……なにがあったんだ?」
僧侶「なんでもぉ、祟りのせいみたいですよぉ~?」
武闘家「タタリ? タタリって、呪いとかそういう類の?」
僧侶「そうみたいですねぇ」
魔法使い「今夜、儀式があるって言ってたけど、なんの儀式かしら」
勇者「……」ジー
僧侶「……? 勇者さまぁ、なにを見てるんですかぁ?」
勇者「気がつかなかったけど儀式ってこの石像が関係してんじゃね?」
戦士&魔法使い&僧侶&武闘家「……?」
勇者「“淫夢王、サキュバス。ここに祀る”……なんだこれ?」
168 :
【淫夢城 玉座】
サキュバス「ミンゴナージュ村の様子はどう?」
リリム「精を搾り尽くしている最中でございます。若い淫魔はじめ、かっこうの餌場かと……」
サキュバス「田舎村で人口が少ないのが難点だけど、目立ちにくさという利点もある。このまま枯れ果てるまで絶頂を味あわせておやり」
リリム「もちろんです、お姉様。夢の中という、無防備な空間。どうやって抵抗できましょう」
サキュバス「私達は、“相手の望む姿になれる”」
リリム「それに加えて抜群の性技も……うふふ」
サキュバス「人間にはもったいなさすぎるけどね」
リリム「所詮はエサ……行為自体に愛情のかけらもございません」
サキュバス「我らを軽々しく言った魔族はどうした?」
リリム「ご指示通り。性交を通して魂を抜き取ってやりました」
サキュバス「くふっ、くっはっはっはっ! あわれな。所詮はオトコ。オンナであっても我らの前では……」
リリム「生物はみな種を残すため、そのために性欲をもっている。その性欲を意のままに操る我らこそが魔王軍における最強の眷属でございます」
サキュバス「良い子ね……リリム」スッ
リリム「あっ……お姉様」ウットリ
サキュバス「勇者の捜索は……?」
リリム「ハッ⁉︎ す、すみません、あまりの美しさに……アデルの城が勇者発祥の地であるようです」
サキュバス「アデル……というと、サルマニア国との兄弟国ね」
リリム「伝承を参考にすると、“ロト”がやはり鍵を握っているかと」
サキュバス「どの部分?」
リリム「“東のサルマニア、北のハーケマル、南のクイーンズベル、西のアデル。光は西から登り、東へと進む”」
サキュバス「……勇者、忌々しいオトコ」
リリム「引き続き、調査します」
サキュバス「くれぐれも、ミンゴナージュも手を抜かないように」
リリム「私におまかせください。お姉様のご期待以上の結果をご覧にいれますわ」
サキュバス「魔王様も期待なさっておいででおられる。頼んだわよ」
169 = 15 :
今日はここまで。
170 :
乙
なろう流行りだしてからなろう系テンプレにアレルギーだす子供増えたけど
なろう系主人公のテンプレの元がなにかっていったらSS界隈だからねぇ
カップリング、ハーレム、俺TUEEE系はSSでもめちゃくちゃ流行ってた
171 :
【ミンゴナージュの村 入り口】
魔法使い「ねぇ、いつまで村の入り口にたむろしてるの? 戻るならはやく戻らないと」
勇者「いや、今日はここで一泊する」
僧侶「宿がないのにですかぁ?」
戦士「そうだぞ、テントを予備に複数個買えばいいじゃないか」
勇者「それは、そうなんだが……」
武闘家「……? なにか、気になることでも……」
村娘「もし、旅のお方」
魔法使い「……うわっ、露出度高い服」
村娘「うふふ。なにやらお困りのご様子。よければお話を聞かせていただけませんか」
戦士「いや、今日の宿がなくてだな」
村娘「まぁ。テントはお持ちではないのですか?」
僧侶「それがぁ、切らしておりましてぇ」
村娘「大変。日が沈みはじめるというのに。寝る場所がないと辛いことでしょう」
魔法使い「だからぁ、マッスルタウンに戻ろうよぉ~」
村娘「よければ……私の家でよければ面倒を見ますが」
戦士「いや、しかし、いきなりは困るだろう」
村娘「ご遠慮なさらずに。先日、母に先立たれ、さみしい思いをしていたところでございます」
僧侶「それはそれはぁ、お悔やみ申し上げます~。私でよければ祈りを捧げますがぁ」
村娘「神職様でございましたか、ありがとうございます。そのお礼ということで、いかがでしょうか?」
魔法使い「ねぇねぇ、お世話になろうよ、勇者」
勇者「うーん」
魔法使い「最悪、場所の荷台で寝るんじゃないの? このままなら。寝っ転がれないなんて私は絶対にイヤ!」
勇者「……見ての通り、えぇと、いち、に、さん……俺たちは4人いる。寝床はある?」
村娘「粗末な我が家ですが、布団ならご用意できます」
戦士「すまない、素性もわからない旅人に親切にしていただいて」ペコ
村娘「困った時はお互い様というじゃありませんか。お気になさらず。ささ、どうぞ」スタスタ
勇者「……」
魔法使い「あぁんもうっ、はっきりしないやつ! 勇者は荷台で寝れば⁉︎ 私はついてくからね!」タタタッ
僧侶「勇者さまぁ~。行かれないのですかぁ?」
戦士「好意を無碍にするのは失礼だ」
勇者「……わかった。俺は少しぶらついてから行くよ。みんなは先に行っててくれ」
武闘家「アタイも、残ろうか?」
勇者「いや、いい。腹減ったろ? きっと料理もだしてくれると思うから、お前も行ってろ。僧侶」
僧侶「はい~」
勇者「お返しを忘れるなよ。しっかり包んでやれ。金」
僧侶「かしこまりましたぁ~」ペコ
武闘家「……」スッ スタスタ
戦士「(勇者の言うことを素直に聞くのは、なんでだ……?)」
172 = 15 :
【村娘 家】
村娘「どうぞ」ギィー
魔法使い「わっ、結構ひろーい!」タタタッ
僧侶「失礼ですよ、魔法使いさん」
村娘「かまいません。見ての通り、一人で住むには広すぎるので」
戦士「手荷物はどちらに置いたらよろしいか?」
村娘「あちらにお願い致します」
戦士「わかった」スッ ボサッ
村娘「お連れの男性の方は……?」
武闘家「ぶらついてから来るそうよ」
村娘「なにもない村ですのに。……今夜はあまり外出なさらない方が」
僧侶「なぜでしょう~?」
村娘「儀式、がございますので」
魔法使い「宿屋のお婆さんも同じこと言ってたわね……なんの儀式?」
村娘「この村は今、不幸続きなのでございます」
戦士「……と、いうと?」
村娘「ある日ぱったりと村の男衆が、倒れてしまったのです。その後は、ベッドから起き上がることも叶わず」
武闘家「呪い?」
村娘「原因不明な病なのです。話を聞こうにも、幸せそうな顔をして眠るばかり。ですが、日に日に体は痩せ細り、弱ってゆく……」
戦士「不可思議な話だ。眠ったままとは」
魔法使い「病気だとしても男だけってのは変ね」
村娘「村の女衆にも異変が――」
僧侶「異変……?」
村娘「口が過ぎました。なので、くれぐれも今夜は外出なさらぬよう。沈める儀式がございます」
戦士「まて、その肝心の儀式とやらの内容がわからん」
村娘「……祈祷師に依頼したところ、おそらく淫夢の仕業だろうということを言われまして」
魔法使い「淫夢? まさか、サキュバス?」
戦士「魔法使い、知ってるのか?」
魔法使い「伝説のモンスターの一角。実際にいるのか怪しい。その祈祷師、大丈夫? 詐欺師じゃない? 困ってるからそれっぽいこと言ってお金だけふんだくろうって」
村娘「しかし……ほかには頼るところも……」
戦士「サキュバス、か……」
173 :
【ミンゴナージュの村 広場】
祈祷師「キエエエェエエイッッ!!」バサッ バサッ
勇者「なんじゃあれ。キャンプファイヤー?」
村人達「お怒りをお沈めください。サキュバス様」ドゲザ
祈祷師「南無 三曼多伐折羅赧 悍(ノウマク サンマンダ バザラダンカン)! 悪霊ッ! 退散ッ!」バッ バッ
勇者「ははーん……あれが儀式ってやつか。もうはじめてんのね」
店主「……っ! まだこの村におったのか!」
勇者「宿屋のばあちゃんも参加すんのか?」
村娘達「オトコ、オトコよ」ヒソヒソ
店主「いかん! こっちにこんかい!」グイッ
勇者「おっ、とと。いきなりナンパ? いくつになっても乙女だね」スタスタ
店主「お主! さっき早々に立ち去れと言うたじゃろうが!」
勇者「都合もあってね。引き返すのはやめとこかなと」
店主「この村は呪われておるんだぞ!」
勇者「さっき、村の入り口で石像を見つけたよ。サキュバスって書いてあった。あれに関係してんじゃないの?」
店主「うっ、そ、それは……」
勇者「そんで、悪霊退散って叫んでるところを見るとお祓いしてるってとこ?」クィ
祈祷師「滅っ!! めえぇつっ!! めえええぇえつっ!!」バサッ バサッ
店主「左様じゃ。この村は今、サキュバスの脅威に晒されとる」
勇者「店じまいしてるのもそれが原因か」
店主「正確には男連中に、じゃ。精気を抜き取られておる」
勇者「へぇ……そりゃ、男にとっては幸せだ」
店主「適度ならば、の。精気とは生命力と深い関わりをもっておるでな。抜き取られすぎると、命にかかわる」
勇者「サキュバスってあれだろ? エロいことしてるんだよな? だったら、腹上死か」
店主「夢の中だけじゃよ。ワシも絵本でしか知らぬが、姿を消したサキュバスが枕元に立ち、意識だけ夢の中にはいってくるらしい」
勇者「擬似的なもんか」
店主「なんでも、“理想の姿に変化させる”ようじゃ」
勇者「自分を? それって、例えばペチャパイが好きだったら……」
店主「そういう意味じゃ。男なら誰しもが一度は妄想するであろう。あの子としてみたい、と。そこにサキュバスはつけこむ」
勇者「でも、まぁ、男からしてれば夢が叶うわけだ」
店主「あくまで幻じゃよ。そこに実体はないからの」
勇者「ばあちゃん、よく知ってんね」
店主「古い古い伝説の話じゃ。魔王軍の一角に、サキュバスあり……」
勇者「……」
店主「さぁ、もうわかったろう。さっさと立ち去るがよい」
勇者「もひとつ。男にしか影響ないの?」
店主「いらぬ首をつっこむでないわ!」クワッ
勇者「いや、今日泊まるからさ。ここに」
店主「な、なんじゃと……⁉︎」
174 = 15 :
勇者「心配してくれるのはありがたいけども」
店主「……いかん、いかんぞ」プルプル
勇者「どした? 俺のことなら別に」
店主「女にも……影響は、ある」
勇者「……? どんな? あ、サキュバスって男もいるの?」
店主「サキュバスは女じゃよ。女に悪影響をもたらすのは、瘴気」
勇者「瘴気……?」
店主「悪い気のようなものじゃ。淫魔の魔力にあてられ、発情しだす。村娘達を見て気がつかなんだか」
勇者「ん?」チラ
村娘「きゃっ、こっち見たぁ」モジモジ
村娘「あたしよ、あたしを見てたのよぉ」フリフリ
店主「わしは歳のお陰で影響は低い。しかし、若い活発な女たちには、これ以上ない毒となって思考を鈍らせておる」
勇者「つまり……ビッチ化してんな」
店主「勘違いするでない。本来は慎ましかで初心(ウブ)なオナゴたちよ。男と目も合わせられんような」
勇者「なるほど」
店主「異性を求めはじめておる。しかし、男はこの村にいる限り、サキュバスの餌食。女たちのぶつけようのない欲求不満はたまる一方じゃて」
勇者「なんかよくわからん被害だな」ポリポリ
店主「この恐ろしさがわからぬのか。一国でさえ狂わせられてまうぞい」
勇者「ふぅーん。まぁ、とりあえず経緯は把握したよ」
175 = 15 :
【村娘 家】
村娘「勇者……?」ピクッ
戦士「おい、魔法使い」
魔法使い「あっ、言っちゃだめなんだっけ? つい」
戦士「勇者がなぜ我々にまで最初黙っていたか聞いたろう? 立ち寄った村々に被害が及ぶのを防ぐために」
魔法使い「ぶっちゃけ、怪しいけどね」ボソ
村娘「あの、勇者とはいうのは本当に……?」
魔法使い「僧侶、パス。私、しーらない」プイ
僧侶「困った人ですねぇ~叱られるかもしれませんよぉ」
魔法使い「うっ。べ! べつに! あんなへっぽこに叱られたって」
戦士「……はぁ。ああ、本当だ」
村娘「まぁ、なんということでしょう。あの、失礼ですが、勇者と証明できるものは――」
僧侶「戦士さんも~。だめですよ~」
戦士「他言はしないよう言えば大丈夫だろう。あたしたちは一泊の恩がある。勇者も納得してくれるさ」
村娘「そ、それで?」
戦士「“聖痕”があるんだ」
村娘「それは、まさか……女神ルビスが勇者にしか刻まないといわれている伝説の?」
戦士「そのまさかだよ。あいつにはそれがある」
村娘「……そう、ですか。こんなところに……」
魔法使い「驚くのも無理ないけど。秘密ね?」
村娘「ええ、ええ。もちろんですとも。あの、ちなみにですが、聖痕はどこに……?」
戦士「ん? あぁ、あたしたちが嘘をついてると?」
村娘「す、すみません。あくまで可能性の話で」
戦士「いや、当然だ。ニセモノも実際にいたしな。聖痕の場所は、ケツだよ」
村娘「お尻……ですか。なるほど……普段は見えない場所。てっきり、わかりやすくデコか手にあるものかと」
魔法使い「へんてこりんな場所よね」
村娘「そうでしたか。見える場所ばかりを探していても見つからぬハズ……」
戦士「……? 探していた?」
村娘「あっ、いえ。勇者様にあこがれてまして。うふふ」
魔法使い「すぐに幻滅することになるわよ。残念ながら」
村娘「……ここ二、イタのネ……」ニタァ
武闘家「……アタイ、ちょっと出てくる」
村娘「ハッ! な、なりません! もう儀式がはじまりだしています!」
武闘家「大丈夫。サキュバスかなんだか知らないけど、クンフーがあるから」
村娘「お、お腹すきましたでしょう⁉︎ すぐにご用意いたしますよ!」バタバタ
戦士「おい、武闘家。用もないのにほっつきあるくな」
武闘家「どきなよ。どうしようとアタイの勝手だろ」
戦士「恩人に対してそれはどうなんだ。言うことを聞け」
武闘家「……」
戦士「それとも、勇者が言わないとだめなのか?」
魔法使い「……? なんで、そこで勇者が出てくるの? あっ、もしかして、武闘家って勇者がタイプなの?」
武闘家「あんたら……」イラァ
僧侶「すとっぷですよぉ~~。まずは矛をおさめておさめてぇ~~。腹が減ってはなんとらやらと言いますしぃ~」
176 = 15 :
【道具屋 寝室】
勇者「よっと」カタン
店主「Zzz……」スヤァ
勇者「不用心だなぁ、窓が空いてたら泥棒に入られちまうぜ。道具屋のおっちゃん」
店主「むにゃむにゃ」スヤァ
勇者「昨夜は、お楽しみでしたね」
店主「……!」ピクッ
勇者「昨夜は、お楽しみでしたね」
店主「ぐふっ、ぐふふふっ……むにゃむにゃ」
勇者「幸せそーな顔しちゃって。こりゃ淫夢を見せられてるって話がウソってわけでもなさそーだな」
店主「……っ、う、うぅ、っ、く、苦しい……もうやめてくれ、もう出ない」ビクンビクン
勇者「どーやって淫夢を見せてるんだ? 呪文か?」
店主「Zzz」
勇者「伝説だと枕元に立つんだっけ? ……なにもいない」スカッ
店主「うっうぅ……」
勇者「なにか、タネがありそうだな。精子だけに」
店主「た、たすけて、たすけて、くれぇぇ……うーん、うーん」
勇者「待ってろよ。男だって、無理やりされたら嫌だもんな」タンッ
177 = 15 :
【村娘 家】
魔法使い「おっそい! なにやってんのよ! あいつ!」
戦士「ご飯、ご飯」
魔法使い「見てみなさいよ! 戦士なんて幼児退行しちゃってんじゃない!」
僧侶「私たちだけ先に食べてしまうのも~」
村娘「温めなおせばまだございますよ。今夜はとろぉ~り、濃厚な……シチューでございます」
戦士「白い、ドロドロの」
魔法使い「美味しそう」
村娘「そうでございましょう? 腕によりをかけてご用意いたしましたので。あつあつなままどうぞ」
戦士「な、なぁ、僧侶。ほっておくと、逆に申し訳ないっていうか」
魔法使い「そ、そうね。べ、別に。お腹すいてるからじゃないんだからね」
僧侶「はぁ~。ホントにおふたりはしょうがないですねぇ」
戦士「食べていいのか……?」
武闘家「……」スッ カチャ
戦士「あっ! ず、ずるいぞ! いけないんだぞ! いただきますをしないでスプーンを手にとっちゃ!」
武闘家「……これ、いつ作った?」
村娘「今しがたです。固形ルーがあまっていましたので……得意料理なのですが、お嫌いでしたか?」
武闘家「いや……そうじゃないけど」
戦士「食に対する冒涜は許さん! 好き嫌いせずに食べるんだ!」
武闘家「アタイは、いいや」
村娘「そ、そんな。やはり、お嫌いでしたか」
戦士「武闘家……っ! きさまぁっ! 恩人を悲しませた挙句! 振舞われた料理に口をつけずに……!」
武闘家「ぎゃーぎゃーうるさい」
戦士「……斬る」チャキ
武闘家「まだやる気? さっきやられたくせに」
戦士「届かぬ背中ではなかった。あと数戦もすればいい勝負をしていたと確信する」
武闘家「……調子に乗ってるでしょ」ポキパキ
戦士「そっくりそのまま返そう。何様のつもりだよ」
僧侶「あぁ~~んもう! やめなさぁ~~い! ……戦士さんも、武闘家さんも。食べましょ~」
魔法使い「はぁ、犬猿の仲ってやつね。あむっ……ん~……んっ! 美味しい!」
戦士「いただきますしてないのに!」
魔法使い「戦士も武闘家も食べてみなさいよ! すっごく美味しいわよ! これ!」
戦士「食べる食べる! ……いただきます!」ガツガツ
武闘家「……」ジー
僧侶「武闘家さんも。座って食べましょぅ?」
武闘家「ちっ、しかたないなぁ」
僧侶「くすくす」
武闘家「なにがおかしいのさ」
僧侶「いえ~根は優しいと思いましてぇ~」
武闘家「……なによ」プイッ
178 = 15 :
【数十分後 同部屋】
魔法使い「ねぇ、なんだか暑くない?」パタパタ
僧侶「そういえば少し~。なんだか身体がぽっぽっとしてきたようなぁ~」
戦士「すまない。窓を開けてもいいか?」
村娘「申し訳ございません。戸締りの調子が悪く」
魔法使い「えぇ~~? 開かないのぉ?」パタパタ
村娘「すみません……。ただいま、氷をお持ちしますので」
戦士「氷、氷といえば、魔法使いの冷気魔法で」
魔法使い「あ、あのねぇ。生活魔法じゃなく攻撃魔法なのよ? 放ったら制御できない」
戦士「そ、そうか」シュン
村娘「しばし、お待ちを。気休めかと思いますが、お香をたかせていただきます」
僧侶「お香……?」
村娘「はい。心身ともに緊張をときほぐす効果がございますので」
魔法使い「暑いだけなんだけど」
村娘「我慢というのはストレスがたまるものでございましょう。ですから、気休めなのです」
戦士「すまない、なにからなにまで」
村娘「いえ、母がいなくなってから……こんなに楽しい夕食は……」
魔法使い「ちょっと、戦士」ドンッ
戦士「あっ、うっ、あたしは、そんなつもりで。決して思い出せるような」
武闘家「食は済んだし、外の風に……っ⁉︎」ガタッ クラッ
魔法使い「どうしたの? 立ちくらみ?」
武闘家「なっ……なんだ、こ、れは……」ガクッ
戦士「体調でも悪い……⁉︎」クラッ
僧侶「まってくださいねぇ~、今回復魔法を~……あ、あらぁ」フラァ
魔法使い「ちょ、ちょっと、どう……した……はれ?」クラッ
村娘「こちらがお香になります」カチッ
武闘家「お、おのれ……っ! 一服、もった、な……っ!」キッ
魔法使い「そ、んな……」ズリ
戦士「くっ、なんと」
僧侶「はふぅ~」
村娘「うふっ、うふふふふふっ。……なんともはや。間抜けな女達よ。こうもあっさりひっかかってくれるとは」
戦士「な、なぜっ……!」ググッ
村娘「なぜ? 簡単なこと。最初からこうするのが目的だったから」バサっ
武闘家「そ、そのっ、はね、はぁっ」
村娘「キレイでしょう? 淫夢族は、人間どもが思い浮かぶ悪魔と酷似している。そう、漆黒の翼を持って」スゥー
魔法使い「サキュ、バス……っ⁉︎」
リリス「――お前たちの旅はここで終着点だ。……言え。勇者はどこにいる?」
179 = 15 :
武闘家「モンスターめ……! 勇者、が狙いか……!」
リリス「聞かぬでもわからないでか。我が魔族の宿敵。ルビスの加護をその身に宿した者……お前らに価値なぞない」
戦士「ぬぅ、ぬぅうううっ!」ググッ
リリス「シチューには、痺れ薬と幻覚薬を混ぜてある。そう簡単には戻らんぞえ」
魔法使い「か、身体が……意識も……」
リリス「まさかこのような場所に勇者がいるとは。とんだ偶然……いや、僥倖だったわ。貴女達がペラペラと喋ってくれたお陰で。淫夢王様にご報告できる」
僧侶「ん、んんぅ~、き、キアリク」ポワァ
リリス「ふんっ!」ドゴォ
僧侶「あうっ⁉︎」ズザザッ
戦士「そ、僧侶っ!! 大丈夫か⁉︎」
リリス「解毒魔法は使わせないよ。面倒だから、あんたは気絶してな」
僧侶「」
魔法使い「そ、そんなっ! 僧侶! 目を覚まして!」
リリス「ああ、我が愛しいサキュバスお姉様ぁん。……他にまだ聞けるやつはいることだし。さぁ、言え。勇者はどこだ」
武闘家「……すぅー……はぁー……」スゥ
リリス「……? なにもできや――」
武闘家「あちょお~~~っ!!」バッ
リリス「な、なにっ⁉︎」バサッ バサッ
武闘家「ちっ、出遅れた。……飛べるんだ。飾りじゃなかったんだね、その羽」
リリス「な、なんだ⁉︎ なぜ、動ける⁉︎」
武闘家「……くっ」ズキン
リリス「……? ま、まさか……⁉︎ くっ、あっはっはっはっ! お前! 自分の指を折ったねっ⁉︎」
武闘家「だったら、なんだってのさ」ズキンズキン
戦士「そ、そうか、その手が! よし!」ザクッ
魔法使い「う、うわぁ、剣で足を刺した」
戦士「あたしは指を折っては剣を握れない。……くっ」ズキン
リリス「迷いもなくやるとは、なかなかに見上げた根性だ」バサッバサッ
戦士「たしかに痛い。だが、そのお陰でクラついてた頭はすっきりしてる」
武闘家「麻痺は、まだ残ってるけど、ちょうどいいハンデよ」
魔法使い「わ、私も刺さなきゃいけない流れ……?」
戦士「好きにしろ」カチャ
リリス「人間風情がッ! 淫夢族の恐ろしさ!! 舐めるでないよッ!!」バサッバサッ
180 = 15 :
【武器屋】
勇者「むっ……! こ、この気配は……!」キュピーン
ピロリロリーン
勇者は週間少年ジャ○プを手に入れた!
勇者「お、おお~! 家にいる時は読んでたんだよなぁ! どれどれ、今週のワ○ピは……と」ペラ
店主「う、うぅ~ん」
勇者「……あれ? なんだか読んだことある。おっかしいな~。たしか昨日が発売日のはず……ん~……が、合併号⁉︎ あら~、てことは来週まで続きはお預けか」
店主「うっ、わ、ワシは」ムクッ
勇者「おっ、目が覚めたのか?」
店主「ここは……ワシの家だよな。お前、誰? なんで人ん家のタンス漁ってるんだ……?」
勇者「あ、いやー、あの~。手がかり探しといいますか、勇者の本分といいますかぁ」
店主「さ、さては泥棒……うっ」クラッ
勇者「ああ、無理すんなって。淫夢からの生還おめでとう」
店主「うっ、うぅ」ポフン
勇者「なぁなぁ、夢の中はどうだった?」
店主「夢……そうか、あれは夢だったのか」
勇者「夢を見てるって自覚はないんだ?」
店主「とても……とても、じゃないが。あれは現実だった」
勇者「リアルに感じるなら気持ちいいってこと? せ、セックスってどんな感じ?」
店主「お前、童貞か」
勇者「ど、どどどどっ童貞ちゃうわ!!」
店主「……最初はよかった。若い子を相手にしていた」
勇者「ほ、ほうほう」
店主「だが、気持ちいいのは最初の何発かまで。それ以降は、ただ、搾り取られている。そう感じた」
勇者「牛の乳みたいな?」
店主「それでも、笑うんだ。やめてくれ、もう勘弁してくれと言っても、笑い続ける……ひ、ひぃっ」ガタガタ
勇者「……」
店主「魂を……吸われてた。笑いながら、口から魂を吸ってたんだ……」
勇者「寝る前になにか兆候はなかったのか?」
店主「なにも……あの日、ワシはお香を焚いて寝ただけだよ」
勇者「お香……? 匂いなんかしないが」
店主「するだろう。イチゴのような甘い香り……たしか、枕元に……むっ、どこだ?」ゴソゴソ
勇者「なくなってると……。これはなにやら、きな臭い匂いがプンプンしてくるねぇ」
181 = 15 :
【再び 村娘 家】
魔法使い「ひ、ひぃ~ん。戦士が短刀をおいてくれたはいいけど決心がつかないぃ~」
武闘家「はあぁぁぁっ!! ハイィッ!!」ビュッ
リリス「……っ!」バサッバサッ
武闘家「くっ、テーブルを足場にしてもだめか……逃げ回るしか能がないの? それも狭苦しい室内で飛んじゃってさ。天井低くない?」
戦士「大層なクチをたたいていたが、薬に頼る時点でわかりきっている。戦闘能力はそうでもないな?」
リリス「くっ」バサッバサッ
武闘家「鳥族に変更したら? ただ飛び回るだけなら」
リリス「き、きさまらあぁぁあっ!! 淫夢族をバカにしたなっ⁉︎」
戦士「怒った怒った。本当のこと言われて怒ってやんの」
武闘家「悔しかったら降りて戦ってみなさいよ」スッ
リリス「……ふふっ、ふぅ、安い挑発ね。貴女達はもはや我が手中のナカ」
戦士「……?」
リリス「若い淫夢のサポートアイテム。それをご覧なさい」
武闘家「なに……?」
リリス「私がただ飛び回っていたと思うのか。羽で部屋に充満する空気をかき乱していたまでのこと」
戦士「この、お香か……?」
リリス「お前タチ。さぞかし身体を動かしていたわねぇ。運動をすれば、多くの酸素を人体は必要とする……たぁっぷり、染み込んだでしょう?」
武闘家「……っ!」クラッ
魔法使い「ぶ、武闘家!」
戦士「なんだ、これは。身体の芯が、暑い」ガクッ
魔法使い「戦士! ……あ、あれ、なんだか、私も」モゾモゾ
リリス「人が……否、生物は種の生存本能からは逆らえない! 子を残すために我らは生まれおちるッ!!」
武闘家「くっ、淫夢って、まさか、女にも」ドサッ
リリス「うふふ。淫らな術中にハマり、悶えて……快楽に身をゆだねなさい」スタッ
戦士「よ、ようやく地に足をついたな……くっ」ドサッ
リリス「もちろん。だって、貴女達は正真正銘、なにもできないから」スタスタ
魔法使い「うぅ、うぅっ」モゾモゾ
リリス「自分で弄ってもいいのよ? それとも、貴女達、みんな処女?」スッ
戦士「不埒なまねを……! 魔法使いに触れるな!」
魔法使い「うっ」ビクッ
リリス「まずはお前から。淫夢に堕ちろ」スッ
魔法使い「あ……あぁっ……」ガクガク
武闘家「せ、戦士ッ! このままじゃやばい!!」ググッ
戦士「わかってる!! わ、わかってるが、か、身体が……」ググッ
リリス「待っていろ。この者が堕ちたら、次はお前達の番だ」スッ
魔法使い「ゆ、勇者……」ガクガク
183 = 15 :
――ガシャーーーンッ――
勇者「――……呼んだ?」
武闘家&戦士「ゆ、勇者っ!!」
勇者「内鍵閉めてるから窓から入るしかなかったじゃないの。ごめんな、窓ガラス割っちゃって」
リリス「……お前が……勇者?」
勇者「なぁ~んで知ってるんですかねぇ」
戦士「す、すまない……私たちが……っ!」ググッ
勇者「おお、なんか随分と緊迫した雰囲気だな。寝転がってなにしてんの? 床になんかいる?」ジー
魔法使い「」ドサッ
僧侶「」
勇者「……二人気絶の、二人戦闘不能か。あ、そういや四人じゃなかったわ。俺含めて五人だ。布団の数足りる?」
リリス「なんともふてぶてしい男だ。余裕を装っているつもりでいるのか」
勇者「ありのままの現実を受け入れてます」
戦士「き、気をつけろッ! そいつは淫夢族だ! 男には特に!」
勇者「なにができんの? オラわくわくすっぞ」
戦士「手だ! 魔法使いに触れてた手がなにやら怪しい光を放っていた! そいつに触れてはだめだ!」
リリス「チッ」
勇者「やっぱり触れる必要はあるんだ? そこのテーブルにあるのがお香だろ。それはなんのために」
戦士「おそらく、導入剤のようなものだろう、それを嗅がされて、あたしたちも、その」モゾモゾ
勇者「待て、待て待て! え? お前ら、もしかして発情ナウ?」
武闘家「……っ!」キッ
勇者「冗談だって。頼むから襲わないでくれよ。俺を」
戦士「お、襲うかっ!」
勇者「それで、何匹いるんだ? この村には」
リリス「なに……?」ピクッ
184 = 15 :
勇者「村の男人口に対して、お前ひとりじゃ数が足りないだろ? それとも何人も相手にできるの?」
リリス「……バカじゃないみたいだね」
勇者「どーにもわからねぇんだよなぁ。カラクリが。たぶんどんどん近づいていってるんだろうけど」
リリス「……」バサッバサッ
勇者「飛べるんだ、それ」
武闘家「アタイも同じこと言った」
勇者「伝説によるとさぁ、枕元にたってるんだろう? んで、お香が導入剤。ここまではわかる。納得できる」
戦士「……?」
勇者「触れるのが必要なら、わざわざひとりずつ触っていってたのか? 一度触れてしまえば、後は放置プレイ? 勝手に夢の中で?」
リリス「我が一族の秘密……。きさま、それを探っているのかっ⁉︎」バサッバサッ
勇者「武器屋のおっちゃんが言うには、魂を吸われていたって。てことはだよ? 夢の中にもなんらかの実体があるはずだよなぁ? 吸えねーだろ? じゃないと」
リリス「こ、こいつ……!」
勇者「そこで、今の質問に戻るわけだ。何匹ここにいる」
リリス「答えると思うか……うふふ、女よりも男は容易い」
勇者「ん?」
リリス「男なぞ、所詮タネを飛ばすだけの生物。ヤリたい気持ちが先行するだけの愚鈍な生き物」スッ
勇者「……」ジィー
リリス「……はぁっ!!」バサァッ
勇者「翼目一杯広げて、どうし……あら?」クラッ
リリス「オンナの秘密はね、知りたいのなら命をかけなくちゃ。男ならわかるわよね?」スタッ
勇者「あ、あいにくと、付き合ったことがないもんで」フラフラ
戦士「勇者っ! おい、どうした!」
武闘家「余裕ぶってるから……!」
リリス「あら? 勇者なのに童貞なの? 股間のソードは未使用のまま?」
勇者「とっておいてあるんだ。ここぞって時のために」ガクッ
リリス「経験を積んだ方がいいわよ? 私が相手になりましょうか?」
勇者「結構です」キッパリ
リリス「……人間が。淫夢に溺れれば、そのような減らず口をたたけなくなる」
185 = 15 :
勇者「……お、おうふ。やはり、体験するって大事だ。ただいまオナ禁14日目に突入した状態だぜ」
リリス「うふふ。切ないでしょう? いてもたってもいられないでしょう?」
勇者「う、うぅ。発情させるのは触れなくてもいいんだね」
リリス「もちろんよ。男はただたぎらせるだけですもの。この翼でね」
勇者「……」
リリス「鱗粉がまけるようになっているの。男に対して、超強力な媚薬効果のある」
勇者「蛾みたいだな」ガクッ
リリス「おだまりッ! ペラペラペラペラと軽口をたたきおって!」チラ
戦士「あの、バカ! なにしに来たんだよ……!」
武闘家「ぐっ! ……身体、動け……っ!」ググッ
リリス「ふふふっ、勇者よ。あそこにメスがいるわよ」スッ
戦士「触られたらダメだ! 勇者!!」
リリス「意識は、ぼやけてくる。種を残したい。それが男の本分。勇者であっても変わらない――」ピト
勇者「あ、あぁ」
リリス「本能を解放なさいな。勇者という枠に捕らわれないで」
武闘家「戦士! 不本意だけど、アタイの腕を折れ!!」
戦士「う、腕を……! し、かし、あたしも、身体が……! それに折ったところでどうする」
武闘家「何かで上書きするしかないだろ! まだ痛みが足りないんだ! というか、それしかない! 最後の力を振り絞れ! このままじゃ、勇者が! 人間の希望が……っ!!」
戦士「くっ! ぐぅぬぬううぅっ!!」ググッ
186 = 15 :
リリス「さぁ、勇者よ。あそこにメスがいる。よくごらん」
勇者「メ、メス、オンナ」
リリス「そぉ。オンナだよ。衝動をぶちまけたいだろ? 荒ぶる男根をしずめたいだろう?」サワッ
勇者「うっ、はぁっ、はぁっ」
リリス「なかなかにかわいい反応するじゃない。そんなに苦悶の表情を浮かべて……さっきまでの余裕はどこにいったの?」
武闘家「戦士、まだか! まだなのか⁉︎」
戦士「お前は待ってるだけだろうが! こっちだっめ必死でやってるよ!!」ググッ
リリス「うふふ。いいんだよぉ? あいつらを好きにして。勇者なんて忘れちまいなよ。勇者だからしちゃいけないなんてことはないんだから」
勇者「勇者を、忘れる……」
リリス「そぉ……みんな生き物なんだ。魔族も人も動物も。みぃ~んな、本能には逆らえない」ニタァ
勇者「だ、めだ。僕は、勇者なんだ」
リリス「……ボクぅ? ぷっ、クックックッ、ボクっ子だったの?」
勇者「勇者、勇者なんだ……」ブツブツ
リリス「かわいいね。母性本能をくすぐられる……ほら、あそこのお姉ちゃん達と遊んでおいで……?」
勇者「うっうぅ……」
戦士「そんな、まさか。勇者! 目を覚ませっ!!」
武闘家「集中しろッ!! かまうな!!」
戦士「しかし……っ!!」
リリス「くっふっふっふっ! これが伝説か! ルビスの加護とはこんなものか! なんだこのあっけなさは! 」
勇者「う、あう」フラフラ スタスタ
リリス「これなら、淫夢王様に報告するまでもない。ここでお前らは全滅だ!!」
187 = 15 :
勇者「オンナ、オンナ……」スタスタ
戦士「や、やめろよ、勇者。冗談、だよな? いつもの冗談だろ?」
武闘家「最初から全力でやってれば、勇者ならあんなやつワンパンでいけたはずなのに……!」ボソッ
勇者「はぁっ、はぁっ、たまんねぇ、戦士、武闘家」スタスタ
戦士「く、くんなよっ! こっちくんな!」
勇者「興奮させようとしてるんだろ……? そうやって嫌がって」
戦士「や、やめろ! そんな品定めするような目で見るな! いつもの勇者に戻ってくれよ!」
リリス「クスクス。無駄だよ。そこにいるのはただのオスなんだから」
勇者「お前らだって発情してんだろ? そうだよな?」
戦士「い、いやだっ! あ、あたしは、こんなの……」
武闘家「師匠、ここまでのようです。先立つ不孝をお許しくださ……うぶっ⁉︎」
勇者「おっとぉ、なに舌かもうとしてんだ。させねえよ」
武闘家「ゆ、指を、クチに、いれて、ふぉのっ(このっ)」キッ
勇者「……ここまでかな。良い子に見せられるのは」ボキィ
戦士「ゆ、勇者……?」
勇者「淫夢族のチャームとでもいうのかね。たしかに強烈だ」ダラン
武闘家「ぷはっ、ま、まさか……勇者!」
戦士「お、お前、自分の腕を――」
勇者「傀儡にするというなんとまぁありがちなパターンで。おまけに催眠効果だけど、単純だから強烈。いやはや、危ないもんだ」
リリス「……っ! またか! お前も折りやがったのか!」
勇者「ネタバラシを聞き出すつもりが、まんまと蜘蛛糸にひっかかりそうだった。肝心なところ……どうやって精気を吸い取るのか。淫夢族の秘密とやらは、まだ聞けそうにないな」バチ バチバチッ
リリス「……? なんだ?」
勇者「この村から出て行け。それで話をつけよう」バチ バチィッ
リリス「ふざけるな!! なぜそんなことを――」
勇者「ライデイン」ピュン
リリス「う、うっあっ?」
勇者「反応できないだろ。稲妻の速度は。壁に穴あけるぐらいに抑えたけど、次はもっと強烈なのいくぞ」
リリス「……い、いまのが、伝説の」
戦士「み、見えたか? 武闘家」
武闘家「いや、なにかが、指先から光ったとしか」
リリス「くっ! な、舐めるんじゃな、い……」
勇者「二度は言わないぞ。腕が痛いんだ」バチィ バチバチッ
リリス「うっ」ズサッ
戦士「こ、これが、勇者だけが持つ、攻撃魔法」
武闘家「……」ゴクリ
勇者「あのなぁ、これでもめちゃくちゃ加減してんだ。頼むから帰れよ」
188 = 15 :
リリス「(ど、どうする、もう一度、翼で……!)」
勇者「変な気起こさない方がいいぞ。指先大ほどのちっちゃな穴がどでかい穴にかわる。お前が反応して避けられるってんなら別だが」
リリス「(バレてる。……しかし、勇者に我が一族の特技が通用する……! これは有益な収穫だ……!)」
勇者「お帰りは俺が割った窓か、玄関。お好きな方をどうぞ。手下がいるかわからずじまいだけど、そいつらもね」
リリス「いいのか? 私がこのまま帰れば、お前の所在もバレるぞ。全魔族に」
勇者「まぁ、しゃーないよね。こうなったら」
リリス「安心して眠れる夜はなくなるぞ」
勇者「うん、まぁでもそれももう少しの辛抱だから」
リリス「……? もう少しの、辛抱?」
勇者「(だって俺、勇者やめて遊び人になるし。勇者いなかったら追いかけるのもやめるだろ)」
リリス「なにかたくらんでるのか……?」
勇者「いやいや。そんなたいしたものでは」
リリス「……いいだろう。この場は退散してやる。帰る理由もあるし」
勇者「助かる」
戦士「い、いいのかっ⁉︎ このまま逃して! ライデインを撃てよ! そうすれば口封じできるだろ!」
勇者「いや、いいよ。不要な殺しは」
リリス「なるほど……やはり伝承は事実か」
武闘家「勇者! そんな甘さではこの先生き残れないぞ!」
リリス「くっふっ。たしかに甘い。魔族との友好など! そんな幻想! 実現するものか!!」
勇者「(友好? なぁーにいってんだこいつ)」
武闘家「ま、魔族との友好?」
戦士「勇者、そんなことを考えていたのか……」
勇者「えっ? いや、あの」
リリス「夢物語は絵本の中だけにしておくんだね!」
勇者「(なんか勘違いして盛り上がってるけど、ま、いいか。ほっとこ)」
リリス「その甘さがいつか命とりになる! あーっはっはっはっ!!」バサッバサッ
勇者「ほーい。おつかれさーん」
戦士「ゆ、勇者、お前ってやつは」
武闘家「飛び立ったばかりの今からでも遅くない、さっきの魔法を! なんなら追いかけてでも!」
勇者「いや、いいんだ。これで」
189 = 15 :
今日はここまで。
2章はここで終わりません。もうちょっと続きます。
196 :
この一連のage荒らしって同一人物か?
197 :
乙
面白い
198 :
乙。>>196sageも知らないチンパンジーが沸いてるだけだろ気にするな
199 :
【数十分後 村娘 家】
村娘「みんなが目覚めはじめたわぁ~! 祈りが通じたのよぉ~っ!」タッタッタッ
村人「待てよぉ~っ! こいつぅ~!」タッタッタッ
村娘「きゃっ! いたっ!」ドテン
村人「だ、大丈夫かっ⁉︎」ササッ
村娘「もう、私、寂しかったんだから……ほっとかれて。ずっと寝たままで」
村人「村娘……」スッ
勇者「窓の外じゃキャッキャウフフな光景がひろがってるというのに――」チラッ
戦士「……」ギロッ
武闘家「……」ギロッ
勇者「――なぜにわたくしめは、腰に手をあて仁王立ちしているお二人に正座させられてるので?」
戦士&武闘家「自分の胸に聞いてみろっ!!」
勇者「なんだよぉ~いいじゃないかべつにぃ~」
僧侶「ちょっとぉ~戦士さん動かないでくたざいよぉ~。まだ回復魔法終わってないんですから~」ポワァ
魔法使い「さすがに擁護できないわね」
勇者「異議ありッ!! いったいいつ魔法使いが俺を擁護したと……」
戦士&武闘家「勇者ッ!!」
勇者「はい。すんまへん」
戦士「なんということだ! なんたることだっ!!」
武闘家「どうするつもり? これから。明日にも魔王軍が大挙で押し寄せてくるかもしれないよ」
戦士「いまわかった! いや、前々から掴み所のない奴だと思ってはいたが……お前には圧倒的に自分がわかっていない!!」
勇者「……」
戦士「勇者なんだぞ! ゆ・う・しゃっ! わかってるのか⁉︎ 自分の立ち位置が!」
勇者「わかってる」
戦士「いいや! わかってない! 魔族に甘いのがわかってない証拠だ!!」
魔法使い「横から言うけど、魔族は敵なのよ? 起きていなくなってるからてっきり倒したと思ったのに。聞いてびっくりしたわ。まさか、友好を考えていたなんて」
勇者「俺はべつに」
武闘家「魔法使いが言っていたな! なんでもモンスターの墓を作っていたそうじゃないか! 隠そうとしても無駄だよ!」
勇者「それは、ほら。墓ないとかわいそうかなーって」
僧侶「これで、よしと。足の傷口はふさがりましたけど無理しないでくださいねぇ~。次は、武闘家さん~」
戦士「それがわかってないというんだ! 人間と魔族は敵対してるんだぞ⁉︎ お前は人間の代表的な存在だろう⁉︎」
勇者「そ、そりは、まわりが勝手に」
武闘家「喋るんならハキハキ喋りな!!」バンッ
僧侶「ほらほらぁ~動かないでぇ~。ベホイミ~」ポワァ
勇者「……う、うるさいわいっ! お前らこそ! 勇者に対する扱いというものがなっちゃいないんじゃなかろうか⁉︎」
魔法使い「自分で気楽に接してくれって言ったんじゃない」
勇者「うっ」
戦士「勇者様よ。敬えというのなら敬おう。だが、もっと考えろよ……!」
勇者「す、すんません」シュン
200 = 15 :
武闘家「……はぁ、過ぎたことをいってもしかたないのはわかってる」
勇者「そ、そうだぞ! ここは頭を切り替えてだな!」
武闘家「黙れ」ギロッ
勇者「ひゃ、ひゃい」
魔法使い「ほらほらぁ~。申し訳ないと思うならワンと鳴いてみなさ~い」
勇者「ワンワン!」
魔法使い「よくできたわねぇ~。お手」
勇者「ワンッ!」ピト
戦士「こ、こいつ。プライドないのか……。怒るのがバカバカしくなってきた……」
僧侶「私たちも悪いんですよぉ~? わざわざ勇者だって教えたのは戦士さんと魔法使いさんですよねぇ~」ポワァ
戦士&魔法使い「うっ」
僧侶「肝心なときに戦闘不能に陥っていたのはどこの元チャンピオンさんでしたっけぇ~」ポワァ
武闘家「そ、それは……」
僧侶「最初に会敵したのは勇者さまではなく私たちなんですからぁ~。助けていただいて感謝すべきではぁ~? あのままだと成すすべありませんでしたよねぇ~?」
勇者「……」
戦士「たしかに、そうだが」
勇者「ペッ!」ビチョ
魔法使い「きゃ、きゃぁっ⁉︎ 勇者! なに人の手にツバとばしてんのよバッチい!!」ゴシゴシ
勇者「あ~ん? なんだぁ? その態度は? 助けていただいてそんな態度でいいのかぁ~?」
魔法使い「こ、こいつ……!」
勇者「僧侶。貴様は我が参謀に格上げいたそう。良きに計らえ」
僧侶「は、はぁ……」
戦士「今はそういう話では!」
勇者「だまらっしゃい! ウダウダいってもしょーがないの! これからどうするかなの! 重要なのは!」
武闘家「ゆ、勇者がそれを言うか」
みんなの評価 : ○
類似してるかもしれないスレッド
- モバP「ヒモになりたい」 (143) - [65%] - 2014/7/8 13:00 ☆
- 勇者「ハーレム言うな」 (1001) - [65%] - 2011/11/28 7:15 ★★★
- 勇者「もうがんばりたくない」 (317) - [61%] - 2012/12/14 5:45 ★
- 八幡「ボッチはつらいぜ…」 (116) - [57%] - 2014/2/2 2:00 ★
- 提督「バンドがしたぁい!」 (985) - [54%] - 2018/10/15 2:47
- 武内P「ムラムラ、ですか」 (673) - [53%] - 2018/9/3 12:30 ☆
- 提督「トイレを覗きたい」 (450) - [52%] - 2015/2/25 10:30 ☆
- 提督「デリヘルを呼ぼう」 (398) - [52%] - 2015/5/20 19:00 ○
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について