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    元スレ勇者「最期だけは綺麗だな」

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    51 :


    【#3】頑張る人、隠れる人

    僧侶「(うん、これなら大丈夫かな)」

    僧侶「(これくらいの強度なら持続出来るだろうし、低位の魔物の攻撃なら防げるはず)」

    僧侶「(後は朝日を待つだけだ。そう、後は朝日を待つだけ)」

    僧侶「(……仕方ないのかな?)」

    僧侶「(私が戦っても、あの人の足手まといになるだけだ。それは、これまでの戦いで分かってる)」

    僧侶「(でも、本当にいいのかな? このまま、何も変わらないままで……)」

    僧侶「……良いわけない」

    僧侶「(そんなことは分かってる。だけど、あの人はどうなんだろう?)」

    僧侶「(助けられたことはあっても助けたことはない。助けを求められたこともない)」

    僧侶「(……私は、あの人の後ろにくっついて歩いて来ただけ。お荷物だ)」

    52 :

    読者と作者には見えない壁みたいなものがあるからね。
    スケルトンハウスで黙々と書いてる作者に何をほざいても無駄だろって話よ

    53 = 1 :


    僧侶「(半端者、臆病者……)」

    僧侶「(そう言われると悔しいから、口では否定してみせるけど、結局はあの人の言う通り)」

    僧侶「(一緒に戦って言ったけど、それって同じ場所に立ってるから成立することだ)」

    僧侶「……私は、あの人の背中ばかり見てる」

    僧侶「顔を見るのは口喧嘩をする時だけ。本当に立派だよ、何もしてないくせに」

    僧侶「あの日から今まで、何もしようとしなかったくせに……この、臆病者……」ギュッ

    ーーー
    ーー


    勇者「相変わらず数だけは多いな、お前等」ブンッ

    ゴシャッ ドサドサッ

    勇者「(もう壊れやがった。武器足りるか?)」ポイッ

    勇者「灰色の化け物。オークだっけ?お前等は洞窟で殺した奴等の親戚? 仲間の仇討ち?」ガシッ

    54 = 1 :


    勇者「報復?復讐?」

    ゾロゾロ

    勇者「まあ、理由なんて何でもいいや」

    勇者「此処でお前等をまとめて殺せば、ここら辺の被害はなくなる」

    >>殺せ 殺せ あいつを殺せ

    >>あいつだ あいつが やったんだ

    >>一人だ 囲め 囲め

    >>千切れ 千切れ 千切って 喰うぞ

    勇者「……それが当たり前だよな」

    勇者「化け物だろうが何だろうが、家族を殺されて黙っていられる奴はいねえよな」ダッ

    55 = 1 :


    勇者「なあ、化け物よぉ?」

    >>!?

    ザンッ ゴロン

    勇者「(一撃で壊れやがった。粗悪品だな)」ポイッ

    勇者「あの村の連中より人間してるよ、お前等」

    勇者「仇を取りたいなら掛かってこい。お前等の仲間は俺が殺ったんだ」

    ゾロゾロ

    勇者「ところで、一つ聞きたいんだ……」ガシッ

    勇者「人間の、女子供の肉ってのはそんなに美味いのか? 兎や猪じゃあ駄目なのか?」

    勇者「……駄目なんだろうな、満足出来ないんだろ? 洞窟でぐちゃぐちゃにしてたからな」

    勇者「髪の毛剃って、体毛剃って、爪剥がして、丁寧に丁寧にやってたもんなぁ」

    >>弓だ 弓を使え

    >>槍だ 槍を使え 遠くから 刺せ

    >>あいつの武器 壊せ

    勇者「人間はお前等を喰わねえのに、何でお前等は人間を喰うんだ? なあ?」

    勇者「お怒りのようですけども、お前等だって人間に殺されても文句言えねえんだよ。つーか、言わせねえからな」ダッ

    56 :

    ひどいことしてるけど実は勇者はいいことしてるいい人だったみたいなのやりたいのかもしれないけど勇者としては考え方が短絡的すぎてタダの自己満正義くんにしかなってなんですが

    57 = 1 :


    勇者「叩いて」

    ゴシャッ

    勇者「刺して」

    ゾブッ

    勇者「斬って」

    ザンッ

    勇者「殴って」

    メキャッ

    勇者「千切って」

    ミヂミヂ ブチッ

    勇者「潰してよぉ」

    ドチャッ

    勇者「結局は無惨に殺されるんだ」

    勇者「お前等がいつもしてるやつだ。やり方は嫌でも覚えたよ。どうだ、上手いもんだろ?」

    58 = 1 :


    勇者「数が少なくなってきた」

    勇者「武器より先にお前等の方が尽きそうだな。どうするよ。まだ続ける?」

    >>逃げる ぞ

    >>逃げろ 逃げろ

    >>あいつは 喰えない あいつに 喰われる

    勇者「逃がすわけねえだろクソが。続けるしかねえんだよ。お前等は全員ぶち殺ーー」

    ズズンッ

    勇者「何だぁ?何が降って来やがった? まさかーーー」

    ズオッ

    勇者「危ねえ!」

    ビタンッ! グシャッ

    勇者「(オークは今ので死んだな。それより)」

    勇者「(まだ土煙でよく見えねえが、あれは確かに尻尾だった。ってことは龍だ。あの時の奴か?)」

    59 = 1 :

    また明日

    60 = 52 :

    あ、そう。一生懸命頑張ってね

    61 :

    あ、はい。一生懸命頑張ります

    62 :

    ひどいことしてるけど実は勇者はいいことしてるいい人だったみたいなのやりたいのかもしれないけど勇者としては考え方が短絡的すぎてタダの自己満正義くんにしかなってなんですが

    63 :

    なんか変なの涌きすぎだろ?もう冬休みか?

    64 :

    通常運転だろ

    66 :

    >>65
    読んだ
    実力差を感じさせる

    68 :

    >>66
    耳クソか鼻クソかの違いだよ

    69 :


    【#4】未だ、勇者は現れず

    勇者「(奴か?それとも違う龍か?)」

    勇者「(どっちでもいい。あの野郎じゃなくても龍だったら殺す。龍だけは……)」


    勇者「(さあ、姿を見せろ)」ガシッ

    サァァァ

    古龍「この場合、久方振りと言うのか。人間は」

    古龍「あれから四年か五年か……大きくなったな、小僧。いや、今は勇者だったか」

    勇者「ッ!!」ダッ

    古龍「眼付きが変わったな」

    古龍「射殺さんばかりの眼をしておる。随分と恨まれているようだな、儂は」

    70 = 1 :


    古龍「小僧、儂が憎いか」

    勇者「当たり前だクソが!くたばれや!!」

    ズギャッ!

    古龍「此度は話があって来たのだが、貴様は話も聞けぬのか」

    古龍「あまりにも歩みが遅いものだから、儂が直々に会いに来てやったというのに」

    勇者「お前と話すことなんざねえよ」

    勇者「黙って俺に殺されろ。死んで、骸になって、化け物共の餌になれ」

    古龍「……やれやれ」

    勇者「(駄目だ、こんな剣じゃあ傷一つ付けられねえ。大槌だ、大槌はどこにある)」

    71 = 1 :


    古龍「たかが五年……」

    古龍「儂からすれば瞬きの間。その瞬きの間に、貴様は随分と様子が変わった。濃密な時間を生きたと見える」

    勇者「(……あった)」ダッ

    古龍「聞いておらぬか」

    勇者「取り敢えず死ね。話はそれからだ」ガシッ

    古龍「死んだら話せんだろう」

    勇者「地獄で聞いてやるよ」

    ドゴンッ!

    勇者「ハハハッ! おら、ぶっ壊れろ!!」

    72 = 1 :


    古龍「(人の身で、儂の鱗を砕くか)」

    古龍「(やはり、この力は侮れん。絶たねばならぬ。が、絶つには惜しい。此奴も惜しい)」

    勇者「何だぁ?何を見てやがる? いつまでも見下ろしてんじゃねえぞボケが!!」ダンッ

    古龍「図に乗るなよ」

    古龍「儂を糞だなんだと言ってくれたな。ならば、貴様は蝿だ。糞に集り飛び回る蝿よ」グワッ

    勇者「(大口開けた。火を吐く気だ)」

    古龍「飛び跳ねたままでどう避ける? 勇者といえども飛べはせんだろう?」

    ゴォォォォッ…ヌッ

    古龍「!?」

    勇者「ハナっから避ける気なんざねえんだよ。焼けて爛れても、お前を殺す」

    古龍「(此奴め、火に巻かれて尚も向かって来るか。これでこそ、これでこそ来た甲斐があったと言うものよ)」

    73 = 1 :


    勇者「(熱い。この臭いは何だ?)

    勇者「(肉の焼け…焦げる臭いがする。焦点が定まらねえ。っていうか殆ど見えねえ)」

    勇者「(っ、どうした。しっかりしろボケ。あいつが目の前にいるんだぞ。機を逃す気かクソバカ野郎)」

    勇者「(ほら、思いっ切り打っ叩け)」

    ドギャッ

    勇者「(当てた。当てたが……)」

    古龍「力はあるのだろうが武器が脆い。それが人の武器の限界か」

    勇者「……くそっ…」

    ドサッ

    古龍「これで、話が出来るな」

    勇者「……うるせえ。見下ろしてんじゃねえ」

    74 = 1 :


    古龍「そう睨むな」

    古龍「……しかし、刃が立たないと分かっていながら儂に牙を剥くか。あの時の人間を思い出す」

    勇者「人間じゃねえ、勇者だ」

    古龍「そうだったな。厳密には、あの男は勇者であった人間だ。今は、貴様が勇者なのだろう」

    勇者「はっ、俺が勇者?笑わせんな」

    勇者「……俺は違う。俺は勇者なんかじゃない。お前さえ殺せりゃあ、それでいい」

    古龍「………」

    勇者「何だよ?何か問題あんのか?」

    勇者「お前を殺せば、人間様は大層お喜びになる。俺だって嬉しい。その後どうなろうが構わねえ」

    古龍「………」

    勇者「……ゲホッ…お望み通り喋ってやってんだ。何か言えよこの野郎。殺るなら殺れよ」

    75 = 1 :


    勇者「ただ……」ズリッ

    古龍「(立ち上がるか、あの体で……意気は衰えていない。寧ろ、先程よりも……)」

    勇者「ただ、黙って殺されてやるわけにはいかねえな。目玉の一つでも潰さねえと格好が付かねえ」

    古龍「これは残りの一つだ。この目を潰されるわけにはいかんな……勇者よ、聞け」

    勇者「うるせえ、勇者って呼ぶんじゃねえよ。勇者はあの人だけだ」

    勇者「後にも先にも、勇者はあの人だけなんだよ。あの時、お前が殺した男……あの人が、勇者だ」ジャキッ

    古龍「……そうか。では小僧、一つ言っておく」

    76 = 1 :


    勇者「あ?」

    古龍「儂を殺したいのなら殺すがいい。殺せればの話だがな」

    古龍「だが儂は、貴様に殺されるまでもなく死ぬ。直に、老いて死ぬ。そこで話がある。取り引き、と言ってもよい」

    ーーー
    ーー


    僧侶「はぁっ、はぁっ」

    僧侶「(あの人のところに行ったらいないし、地響きがしたと思ったら森は燃えてるし、一体何が起きてるの?)」

    僧侶「(何が起きたのか分からない。だけど、きっと何かが起きたんだ。早く捜さなきゃ)」タッ

    77 = 1 :


    僧侶「はぁっ、はぁっ、火の勢いが強く……これは」

    僧侶「(これはオークの死体? 何かに押し潰されて……というか、地面が抉れてる。範囲も広い)」

    僧侶「(これはあの人がやったんじゃない。他の何かがやったんだ。何だろう、凄く嫌な予感がする)」

    僧侶「早く、早く見付けないと」

    タッタッタッ

    僧侶「はぁっ、はぁっ」

    僧侶「(ダメだ、此処にもいない。一体何処まで行ったんだろう。この先かな? でも、この先は火の勢いが……?)」

    僧侶「なに、あれ……」

    僧侶「(炎の奥に、何かが見える)」

    僧侶「(恐ろしく巨大な何かがいる。揺れているのは尻尾? あの影を作っているのは翼? だとしたらあれはーーー)」

    僧侶「……………龍」

    78 :


    【#5】選択

    僧侶「……あれが、龍」

    僧侶「魔の頂点、悪の権化、神に仇なす邪悪なる蛇、世に終わりをもたらす者」

    僧侶「……私はあんなモノと戦おうとしていたの?」

    僧侶「(脚が震える。火に囲まれているのに寒気がする。視界が揺らぐ。怖い、逃げ出したい)」

    僧侶「(あの人はあんなものと戦っているの? たった一人で? 私は、私はどうしたら……)」

    勇者『だったら戦え。誰も助けちゃくれないんだ』

    勇者『本気で誰かを救いたいと思うなら、血塗れになってでも救え。その手を汚さなけりゃ誰も救えない』

    僧侶「っ、いつまで繰り返すんだバカ、臆病者」

    僧侶「やるべきことは分かってるはずだ。何を迷う必要がある。さっさと行け」

    79 = 1 :


    僧侶「そうだ。行くんだ。私が助けるんだ」

    ーーー
    ーー


    勇者「寿命で死ぬ?ふざけたこと抜かすな」

    古龍「事実だ。残り一年かそこらだろう。儂は死に、大地に還る」

    勇者「ふざけんな、その前に俺が殺してやる。そうしねえと力を継いだ意味がねえ」

    古龍「それならばそれでよい。先程もそう言ったであろう。よく聞け、小僧」

    古龍「ここ最近、儂の死期を知った者が争い始めた。次なる王の座を巡って対立しておるのだ」

    勇者「あ、そう。それは大変良いことだ」

    勇者「お前は困ってるみたいだけど、俺はすっげえ嬉しい。そのまま滅べ」

    古龍「……儂の亡き後、人ならざる者達を導く者が必要となる。そこで、取り引きだ」

    80 = 1 :


    勇者「どんな取り引き内容か知らねえが……」

    勇者「お前にはこれが取り引きに応じる奴の顔に見えるか? 爛れて分かんねえか?」

    古龍「儂は、貴様を次なる王に指名しようかと思っておる」

    勇者「はぁ?寝惚けたこと言ってんじゃーーー」

    古龍「人間とは醜く、浅ましく、救い難い。小僧、貴様も憎かろう。勇者を奪った人間が」

    勇者「………」

    古龍「小僧、こちらに来い。その力を使い、迷える者達を導くのだ。魔の王となれ」

    古龍「強き者に従うのが魔のものよ。その力あらば、姿形が人間であろうと認めざるを得まい」

    古龍「取り引きの材料は儂の命」

    古龍「時が来れば存分にやるがよい。存分に力を奮い、他の者に力を誇示するのだ」

    81 = 1 :


    古龍「小僧、貴様の中にあるのは復讐の念のみ。不満はあるまい?」

    勇者「それ本気で言ってんの? どんだけ人材不足なんだよ、お前等」

    古龍「身内で争っておる時点でたかが知れる。今の民が欲するのは、人間を脅かす王なのだ」

    古龍「貴様は人を救おうなどとは毛ほども思っていない。憎み、蔑み、見下しておる」

    古龍「ならば、行くべき道は一つ。復讐を果たした後に、魔となりて生きるのだ」

    古龍「その力は聖邪併せ持つもの。つまりは使い手次第よ。人など捨てよ、人こそが邪なのだ」

    古龍「貴様は憎んでいながら未だに迷っておる。迷いを捨て去れば、その力は増すであろう。儂を凌ぐ程にな」

    勇者「………」

    古龍「さあ、自らを縛る人の世から解き放ーーー」

    ザッ

    僧侶「………その人から、離れて下さい」

    古龍「あのまま隠れて居れば良かったものを、愚かな娘だ」

    82 = 1 :


    勇者「お前、何で……」

    僧侶「遅れてごめんなさい。もう、迷いませんから」

    勇者「はっ、何だよそれ。バカじゃねえのお前。隠れてろって言っただろうがよ」

    古龍「邪魔だ小娘。儂は今、この小僧と話しておるのだ。今ならば見逃してやる。失せろ」

    僧侶「っ、嫌です。それに、幾ら話したことろでこの人は魔の王になどなりません」

    僧侶「(この人は素行も性格も悪いけど、魔の甘言に惑わされるほど愚かじゃない。それだけは確かだ)」

    古龍「作られし神を崇める愚か者、人間が如何に邪悪かも知らぬ盲目者が………小僧!!」

    勇者「んだよ。うるせえな」

    古龍「興が削がれた。儂はあの場所で待っておる。して、答えは」

    勇者「……首洗って待ってろ」

    古龍「どちらとも取れるが、まあよかろう。待っておるぞ。人間に、神の僕などに足下を掬われるなよ」

    83 = 1 :


    古龍「人間を信じたが最期」

    古龍「真に救おうなどと思ったが最期、あの時の勇者のようになる。ではな」

    バサッバサッ

    勇者「………言われるまでもねえ。んなことは分かってんだよ」ポツリ

    僧侶「た、助かった。それより傷を治さないと」

    勇者「辺りを見ろよ。そんなことしてる暇はねえ」

    僧侶「そんなことって……酷い火傷を負っているんですよ? このままでは危険です」

    勇者「この姿を見て悲鳴一つ上げないのは褒めてやる。でもな、治療なんざしてたら二人揃って死ぬ」

    僧侶「っ、でもその体で動くのはーーー」

    勇者「僧侶、聞け」

    勇者「俺はこの様だ、治るまでに時間が掛かる。火に巻かれる前に森を抜けるんだ」

    84 = 1 :


    勇者「行くぞ!!」

    僧侶「は、はいっ!!」

    タッタッタッ

    勇者「……危ないとこだった、正直助かったよ」

    僧侶「え?(幻聴?)」

    勇者「ありがとな」

    僧侶「へっ?(何言ってるんだろう、この人)」

    勇者「何だよ」

    僧侶「い、いえっ。私はあの場に行っただけです。結局、何の役にも立てなくて……」

    勇者「ハハハッ、そういやそうだな。礼言って損した」

    僧侶「(何で笑えるの? 痛くないわけないのに、苦しくないわけないのに……)」

    85 = 1 :


    勇者「ぼさっとしてんな、死ぬ気で走れ」

    僧侶「はいっ」

    タッタッタッ

    勇者「はぁっ、はぁっ……」フラッ

    ドサッ

    僧侶「!!」

    勇者「(こいつはやばいな。もう何も見えねえぞ。息も、出来ねえ……)」

    僧侶「し、しっかりして下さい!!」

    勇者「…………」

    僧侶「(呼吸が……まずい、火の勢いが増してる。早く森から抜けて治療しないと……?)」

    僧侶「(何だろう、背中に焼き印がある。これは確か……って、そんな場合じゃないでしょバカ)」

    僧侶「ん~っ、んっしょ。よし、行こう!」

    86 = 1 :

    また明日

    91 :

    乙乙
    最近はファンタジー系のSSってあまり見なくなってきたから嬉しいわ
    続き楽しみにしてる

    92 :

    今のところ全然面白くないし登場人物全員ウザいけどスレタイの文には期待してるからな

    93 :

    今のところ全然面白くないし登場人物全員ウザいけどスレタイの文には期待してるからな

    94 :

    >>93
    メール欄「saga」になってるよ

    95 :


    【#6】傷痕に思うこと

    僧侶「はぁっ、はぁっ」

    僧侶「(もう少しで抜ける。火の勢いは増してるけど、この風向きなら此方には来ない)」

    僧侶「(屋内で治療出来れば良いけど、こんな森に囲まれたような場所に家屋があるとは思えない)」

    僧侶「(だったら今此処で治療した方が……ん? 向こうに何かある。あれは、家?)」

    僧侶「(辺りにも何かあるみたいだけど此処からじゃあ見えないな。とにかく行ってみよう)」ザッ

    ーーー
    ーー


    勇者「…スー…スー…」

    僧侶「……よし、何とか間に合った。でも、ここは一体何なんだろう?」

    僧侶「辺りはお墓ばかりだし、この廃屋以外には民家らしきものはないみたいだし。それに」チラッ

    勇者「…スー…スー…」

    96 = 1 :


    勇者「…スー…スー…」

    僧侶「(それに、この人はこの人で分からないことが多すぎる。あの龍と面識……因縁があるようだったし)」

    僧侶「(会話は断片的にしか聞こえなかったけれど、憎んでいるのは確かだと思う)」

    僧侶「(だけど、全身焼けるくらいの火傷を負っても戦い続けるのは正直言って異常だ)」

    勇者「…スー…スー…」

    僧侶「全ては自己満足、ですか?」

    僧侶「(旅を始めたばかりの頃、この人は私に向かってこう言った……)」

    勇者『神の為だとか奉仕だとか、自己犠牲だとか救済だとか、バカじゃねえの?』

    勇者『お前等はそうやって、私達は他人の為に生きてます。みたいに言ってるけどさーーー』

    97 = 1 :


    勇者『結局のところは自己満足だろ?』

    勇者『どんなに綺麗な言葉で飾っても行き着く先は其処なんだ。自分がそうしたいからそうするってだけの話だ』

    勇者『善行も悪行も、何をどうするか決めるのは自分だろ?生きる理由を何かに預けるなよ』

    僧侶「(……そう言った後で、人間なんてものは自己満足の塊だ。そう言ながら笑っていた)」

    僧侶「(世界中の誰もが認めるような、非の打ち所のない正義なんてものもはないと思う)」

    僧侶「(だけど、この人の中の正義が異質であることは分かる。独善的と言うか捻くれてるというか……)」

    勇者「…スー…スー…」

    僧侶「(一体どんな生き方をしたら、そんな風に考えるようになるんですか?)」

    僧侶「(一体どんな生き方をしたら、こんな風に傷だらけになるんですか?)」

    勇者「…スー…スー…」

    僧侶「(切り傷、刺し傷、擦り傷、火傷。他にも沢山、数え切れないほどの傷痕がある)」

    98 = 1 :


    僧侶「(特に酷いのは背中)」

    僧侶「(焼き印。鞭か何かによる裂傷。肉が盛り上がってるから、かなり深い傷だったはずだ)」

    僧侶「(出来ることなら治したいけれど、過去に負った傷痕までは治せないし消せない)」

    勇者「…スー…スー…」

    僧侶「(毛布、掛けておかなきゃ)」ファサ

    僧侶「(服は焼けちゃってるから、予備の服とかを縫い合わせて何か羽織るものを作らないと)」

    僧侶「(それから、傷痕について詮索するのは止そう。焼き印、烙印についても……)」

    勇者「…スー…スー…」

    僧侶「……お休みなさい」

    勇者「…スー…スー…」

    僧侶「………さて、始めよう)」パカッ

    僧侶(裁縫道具持ってきてて良かった。裸で歩かせるわけにはいかないし、朝までに作らなきゃ)」チクチク

    100 :

    おつ


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