私的良スレ書庫
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元スレ少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」
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男「やれやれ」
男「…………」
男「……いや、ないな」
男「目当ても無いのに行っても、疲れるだけだ」
男「が、目が覚めちまったモンは、仕方がない」
男「どうしようかね」
男「…………明るいな」
男「……月か」
男「満月とはいかないが、たいした光だな」
男「それでも、夏は空気中の水分が多いから」
男「さほどクッキリ見えているワケじゃないんだろうが」
男「でも、たとえば冬なら、空気が澄んで」
男「星も瞬いて……」
男「…………」
男「……やめだ、やめだ」
男「アイツは、自分の意思で、行った」
男「ソレを俺がああだこうだ考えてどうする」
男「こんな時は月見酒だ」
ガサゴソ
男「一杯いくらの安物の酒でも」
男「気晴らしくらいにはなりますよってね」
トクトク
男「…………」
ズズッ
男「…………」
男「まっず」
ケータイ「プルルル! プルルル! プルプルプル!」
男「ん……?」
男「こんな時間に誰だ。メイワク電話か?」
男「…………」
男「友人か」
男「真夜中にいったい何なんだ。ったく……」ピッ
男「はい、もしもし。俺だが」
友人『んんwww男氏wwwヤケモーニンwwwwwwぺゃっwww』
男「おはようという時間でもないだろう」
友人『それはwwwたしかにwww』
友人『しかし業界のアイサツは、すべてヤケモーニンですなwwwぴゃっwwwwww』
男「そんなコンビニか何かみたいな……」
男「いや、そんなコトはどうでもいい。こんな時間に何の用だ」
友人『んんwww男氏、黒ずくめ氏から聞きましたぞwww』
友人『三日目の今日はコスプレで参加する予定だとwww』
男「…………」
男「いや、その予定だが」
男「申し訳ないが取りやめるコトになった」
友人『んん!?www何故ですかなwww』
友人『少女氏は乗り気であったと聞いているwwwwww』
男「その少女がいないんだ」
友人『…………んん?www』
友人『それはwwwいったいwwwどういうコトですかなwwwwww』
男「だから、少女は、もう俺の家にいないんだよ」
男「昨日は、昼は俺のメシ食って、夜は出前で寿司とって」
男「それでさっさと寝たんだが」
男「いま起きたら、少女の姿が消えていた」
男「荷物も無い。自分の家に帰ったんだろう」
友人『……んんwwwだからソレはどういうコトですかなwww』
友人『我、まったく状況がつかめないwww』
友人『少女氏は、ザシキワラシか何かであったとwwwwww』
男「どうしてそうなる」
友人『男氏、少女氏とケンカでもしたのですかなwww』
男「あいにく、一切断じて何も無い」
友人『では、何故wwwwww』
男「俺にもわからんよ」
男「ただ……」
友人『ただ?www』
男「アイツはどうも、満足したみたいだ」
男「この街に来た目的を終わらせてな」
友人『んんwwwそのような抽象的なコトを言われても、まったくワケがわからないwww』
友人『我にもわかるよう説明するべきwww』
男「そう言われても、俺もこうとしか説明しようがない」
男「少なくとも、目的の一つはCOMIKEみたいだったが……」
男「それも、昨日、ああだったしな」
友人『…………』
男「そういうコトだ」
男「で、お前、結局何の用だったんだ?」
友人『……いや、我、今日の朝はちと所用がありますのでwww』
友人『今のうちに、コスプレに関して、何か手伝えるコトがないかとwwwwww』
男「お前、コスプレの用意まであるのか……。ホント全方位だな」
男「だが。ソレも必要無くなった」
男「コスプレする当人がいないんだからな」
友人『…………』
男「本来なら俺から断りを入れるべきだが」
男「お前さえ良ければ、黒ずくめさんに伝えてくれないか」
男「少女がいなくなったから、コスプレは出来ない」
男「俺も、三日目は、行く気は無い」
男「……って」
友人『…………』
男「理にかなってはいないんだろうが」
男「……それだけのために会うのも、バツが悪くてな」
友人『……わかりましたぞ』
友人『ですがwww男氏はソレで、いいのですかなwww』
男「……? どういう意味だ」
友人『んんwww文字通りの意味www』
友人『男氏はソレで後悔は無いのですかなwwwwww』
男「…………」
友人『……んん、では我はまだ今日のサークルチェックが終わっていないwww』
友人『それではこれにてwwwぺゃっwwwwww』
プチ
ツー ツー ツー…
男「…………」
男「言いたい放題、言いやがって……」
男「…………」
男「だけど俺は、アイツの保護者でも何でもないんだぞ……」
男「何の権利があって、何の責任がある……」
男「…………」
男「…………」
男「……ちょっと、外の空気でも吸うか」
ガチャ
――アパートの外廊下
ヒュウウウウウウ…
カタカタカタ
男「…………」
男「……月がまぶしいな」
男「相変わらず、ボロっちいアパートだ」ギシ
男「風呂設置する余裕があるなら」
男「リフォームの一つでもしやがれっての」
大家「いやー、すみませんね。そんなお金無くって……」
男「……!」
男「な……。……、な……」
大家「私が出店した稼いだお金で、少しでも男さんたちに還元できればいいんですけどね」
大家「というのは冗談ですが」
男「冗談なんですか。断固リフォームする気は無いというコトですね」
大家「ええ。そんなコトしても、私に一銭のトクもありませんので」
男「コッチはコッチで、現金なヒトだ」
大家「……で。男さん」
大家「こんな朝早く、いや夜遅くに、いったいどうしました?」
男「…………」
男「……それは、コチラのセリフですよ」
大家「え? 私ですか?」
大家「私はホラ、大家として、アパートの掃除なんかもしなきゃいけないのでー」サッサッ
男「…………」
大家「で、どうしましたか」
大家「もしやとは思いますが、……少女ちゃん案件ですか?」
男「……!」
男「…………」
大家「ふふっ、その顔は、アタリって顔ですねー」
男「……どうして」
大家「え? だって私、会いましたもん」
大家「少し前、男さんの部屋を出ていく、少女ちゃんと」
男「……!!」
男「お、おい! アイツは! アイツはどこへ行った!?」
大家「…………」クス
大家「気になりますか?」
男「……!」
男「……いや。べ、別に」
大家「ふっ、ふっ、ふっ。男さん、面白いなあ」
大家「そこまで取り乱しておいて、真逆のウソつくんですか?」
男「……ちっ」
大家「もう。オトコのヒトって、ほんとメンドクサイですねえ」
大家「心配だから、行き先を知りたい」
大家「気になるから、追いかける」
大家「それでいいじゃないですか」
男「…………」
大家「…………」
大家「だーっ、もう。ホントにスナオじゃないんだから……」
大家「……じゃあ。コレは私のヒトリゴトです」
大家「聞くも聞かないも、動くも動かないも、男さんの自由です」
大家「それに関して私は何も思いませんし、何も言いません」
大家「ソレでいいですね?」
男「…………」
大家「ヘンジが無いってコトは、承諾と捉えますよ」
大家「……そうですね。少女ちゃん、荷物を持って向こうの道に走っていきました」
大家「方角でいえば西。ちょうど太陽の沈む、夜明けとは逆の方向ですね」
大家「もっとも、今はまだ、朝焼けの時間には早いですが」
大家「あと少女ちゃん、なんでどこか行くのかって私が尋ねたら、こうも言ってました」
大家「『私はもう、ココにいちゃいけないから。ココにいる資格は無いから』」
大家「『男さんのメイワクになりますから』……」
大家「って」
男「…………」
男「……アイツめ」
男「勝手なコトを……!!」ダッ
大家「ちょ、ちょっと! どこへ行くんですか!!」
大家「まさか本当に少女ちゃんを追いかけるつもりですか!?」
大家「西ってコト以外何もわからないんですよっ!?」
男「そんなコト、知ったことか!!」
男「ココにいる資格は無い? 俺のメイワクになる!?」
男「そんなコト、一方的に聞かされて、黙ってられるかっ!!」
大家「…………」
男「……大家さん。情報ありがとう」
男「アテはある。だから、あとは俺一人で探します」
男「それでは」ダッ
大家「……待ってください」
男「……?」
大家「…………」キュポ
無線『……繰り返します。お嬢、目的の少女、発見しました』
無線『どうやら高雄山に向かっているもよう。タクシーを使用しています……』
男「……、そ、それは……」
大家「もしかするとこういう事態になるかと思って、組のヒトに尾行してもらっていました」
大家「私のこまやかな心遣いに感謝してくださいね?」
男「…………」
大家「さて、高雄山といいましたか」
大家「けっして近くはない場所ですが、クルマかっ飛ばせば、まだ間に合います」
大家「さすがに朝のタクシーは巡回していない時間帯ですので」
大家「深夜勤務のタクシーのケツを叩く、というコトになりそうですが」
大家「……どうしますか?」
男「そんなの、考えるまでもない」
男「少女を追います」
大家「…………」フフ
男「ありがとう、大家さん。やっぱり優しいですね」
大家「ふふ。カタギのヒトに良い印象与えるのも、大切なシゴトなのでー」
大家「あんまりカン違いしないでくださいねー?」
男「わかってますよ」
男「それでは、俺はこれで……!」ダッ
大家「ええ! 思う存分、やっちゃってきてくださーい!!」
大家「……さて」
大家「組員さん。高雄山に向かうとおぼしきヒトは、本当に少女ちゃんだけですか?」
無線『いえ。少女さんと同時に、いえ、少女さんを追うようにして……』
無線『数台のナンバープレートの無い車も高雄山に向かっています』
大家「……なるほど。私の直感も、捨てたモンじゃないですね」
大家「コチラ側ではないにしろ、尋常ではないのも確かでしたか」
大家「―――では皆さん。この夏、大一番のシノギです」
大家「組長には私から伝えます。組員の皆さんは、いつでも“動ける”態勢で、山へ」
大家「有事の場合は、現場判断での介入も許可します」
無線『了解です。お嬢』
大家「ええ。お互い、頑張りましょう」ピッ
大家「……今日はCOMIKEの、三日目でしたか」
大家「まったく。どこのシマの人間だか知りませんが」
大家「カタギのヒトが楽しむお祭の日をジャマするのは、いただけませんね」
大家「さーてと。東狂、救っちゃいますか!」
最終章 前編は以上になります。
最終章 中編は、明日18時ごろの開始を予定しています。
最終章 中編は、明日18時ごろの開始を予定しています。
しかしこの男落ち着きすぎというか老け過ぎてて三十代後半くらいにしか思えん
大学生はないわ
大学生はないわ
絶対に「~コポォ」とか語尾についてるはこの大学生たった数回でここまで詳しいとか怪しすぎる
友人とかにだまって絶対何度も足運んでる歴戦の戦士やんか
友人とかにだまって絶対何度も足運んでる歴戦の戦士やんか
それでは、最終章 中編を開始します。
今回は100レスほどの予定です。
今回は100レスほどの予定です。
――高雄山 頂上
ヒュウウウウウウ…
少女「…………」
少女「さすがに、夏でも、晴れてても」
少女「標高の高いところの夜は、寒いなあ」
ヒュウウウウウウ…
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少女「…………」
少女「真夜中なのに、あんなに煌々とネオンが輝いている」
少女「この世界は、あんなにもたくさんの人が暮らしてて……」
少女「そして、その人々には」
少女「それぞれ一人一人に、目的が、嗜好が、人生がある……」
少女「かぁ」
少女「…………」グス
少女「あはは、なんで泣いてるんだろ」
少女「おじいちゃんにはたくさんメイワクかけちゃったなあ……」
少女「でも」
少女「ホテルのバイキングで、魚のカブトやお肉ばっか取って怒られたり」
少女「カップ麺に一緒にお湯をそそいだり」
少女「スーパーで食材買ってきて、一緒に料理作ったり」
少女「お寿司の出前でイチバン高いヤツ頼んじゃったり……」
少女「小っちゃいころみたいで、楽しかったなぁ」
少女「って、食べるコトばっかりだ」
少女「あはは。他には……」
少女「…………」
少女「COMIKEかぁ」
少女「ありえないくらい、いっぱい人がいて……」
少女「ふふ。えっちな本やアクセサリーなんかも、いっぱい買って」
少女「……タイヘンなコトもいっぱいあったけど」
少女「想像通りの。いや、想像以上のお祭だった」
少女「でも」
少女「あのお祭は、集まった数十万人という人々が」
少女「あんなに色んなヒトがいるのに」
少女「皆。少しずつルールを守って」
少女「絶妙な自由と秩序のバランスの上で成り立っている」
少女「だから」
少女「私みたいなヤツが、いちゃいけないんだ……」
少女「私みたいな、心の汚れたヤツが……」
少女「…………」グス
少女「おじいちゃん。ごめんね……」
男「ココにいたか」ザッ
少女「……!」
少女「……お。…………男、さん……」
男「…………」
少女「…………」
男「…………」
男「……まあ、その、なんだ」
男「別れのアイサツのヒトコトくらい、しておくべきかと思ってな」
少女「…………」
少女「……どうして、ココがわかったんですか?」
男「あー……」
男「一つは、情報のタレコミ」
男「プライバシーに配慮して名前は伏せるが。お前を心配してくれている、ヒトがいた」
少女「…………」
男「そして、高雄山でも、頂上にいると思ったのは」
男「東狂の海のハナシしてたろう。眩い海、瞬く星……」
男「海でも空でもないが、山でそれらにイチバン近い場所といえば」
男「この頂上だと思ってな」
少女「…………」
男「俺の推理は以上だ」
男「だけど、なんでお前がココに来たのか、そんなコトはセンサクせん」
少女「…………」
男「…………」
男「だけど、ゴカイは解いておきたい」
少女「……?」
男「お前、俺のメイワクになるから帰る、とか言ったらしいな」
少女「え……!」
男「あー。タレコミ元、バレちまったか……」
男「まあいいや。大家さんも共犯ってコトだ」
男「あのヒトも、あのヒトなりにお前のコト、心配してたぞ」
少女「……そうですか」
男「とにかく。お前が自分のコト、俺のメイワクになるとか思ってるなら」
男「ソレはマチガイだ」
男「お前のコトをメイワクだなんて、一度も思ったコトは無い」
少女「男さん……」
男「それよりもな。この二日間……。いや、出会った日も含めれば、三日間か」
男「俺はお前と一緒にいて、楽しかった」
男「そりゃあ人の多いCOMIKEは苦行のヒトコトだったが……」
男「それでも、お前と行くCOMIKEは、楽しかった」
男「ガラにもなく、今日も行ってやろうか、なんて一瞬思ったくらいだ」
男「お前がいないんなら、行く意味も無いけどな」
少女「…………」グス
男「少なくとも、この三日間、俺は娘が出来たみたいで楽しかった」
男「だから……」
男「俺のメイワクになるとか、言わないでくれよ」
ギュッ
少女「……!」
男「こんな明るい子に、そんな風に自分を責められたら……」
男「哀しくなるだろ……」
少女「……男さん…………」
男「お前はメイワクなんかじゃない。俺が断言する」
男「お前さえ良ければ、来週も、来月も、いつまでも……」
男「俺と一緒にいてほしい」
少女「男さん……」
少女「……うぅ。私も、私だって……」
少女「男さんと一緒にいたいですよぉ……!!」
男「…………」
少女「うっうっ。うぅ、うわぁぁぁ――――ん…………」
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