私的良スレ書庫
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元スレ少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」
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少女「おっ! 昨日の運転手さん!」
運転手「またお会いしましたな」
男「この地区の担当なんですか?」
運転手「そんなところです。では、どうぞ」
ブロロロロロ…
バシャバシャ
運転手「今日はドシャブリの雨ですなあ」
男「ええ。雨の日は、やっぱり客足も遠くなるモンなんですか?」
運転手「いかにも。今朝は、お二人が最初のお客様で」
男「そうですか……。やっぱり雨の日はCOMIKEの人も少ないのかな」
運転手「経験則から言うと。ですが、しかし」
運転手「やはり行くヒトは行っておられますよ」
少女「私たちも今から行くところですもんね!」
男「お前、言っておくがそんなジマンするハナシじゃないからな……」
運転手「はっは。しかしこの十数年、COMIKEもずいぶん一般的になりました」
運転手「私としては喜ばしくも、フクザツでもありますな」
男(この運転手さんも、あるいは一家言あるヒトなのか……?)
――秋羽原
ゴー
少女「やっぱり朝はスイスイですね」
男「夕方はえらく混んでたがな」
運転手「東狂という街の日常ですな。……と!」
プァーン
少女「あ……っ! 左手の路地から、別のクルマが!」
男「危ない、ぶつかる!!」
運転手「――――――ふ」
キキッ!!
シュゴオオオオオオオオ!! ジャバアアアア
少女「な……っ!」
男「ドリフト走行で、回避した……ッ!?」
運転手「ほっほ」ギュウウウウン
男「運転手さん、あなたはいったい……?」
運転手「東狂という街の日常ですな」
――豊州
少女「ちょっと、男さん! 何ですかアレは!」
少女「前方の水たまりが、毒沼のような瘴気を発していますよ!」
ゴポゴポ…
男「音がおかしい! アレ絶対入ったらダメージ受けるやつじゃん……!」
男「明らかに色もグレープ味のそれだし!」
男「運転手さん! 何かご存知ですか……!?」
運転手「ああ。アレは、いま話題の“土壌汚染”の影響ですな」
男「土壌汚染!? それってそんな殺人的な問題でしたっけ!?」
運転手「新市場予定地から漏れ出した化学物質が、突然変異して道路を侵食しているのです」
運転手「東狂という街の日常ですな」
少女「と、東狂とはいったい……!!」
運転手「さて、日が昇れば、行政が対処に動き出すでしょうが……」
運転手「我らは悠長に待っていられませんな」キキッ
シュバ!! シュババ!! シュババババババ!!!!!!
男「た、ターンに次ぐターンで毒沼をかわしていく……!」
少女「車体は方向転換と、急失速、急発進を繰り返している……」
少女「なのに!!」
少女「サイドブレーキ脇の、紙コップに入れられた水が、一切こぼれていない……!!!」
運転手「一万一千回転まで」
運転手「キッチリ回せ!!」バッ!!
男「ソレは誰に向けて!?」
ブオオオオオオオオ…
――鷲ントンホテル前
運転手「さて、今日もココで良かったですかな」
男「ありがとうございます……。あの、スゴいドライビングテクニックでしたね」
運転手「なんの。ココは峠でもなければ、張り合う相手もいない」
運転手「文字通り、ロートルの朝飯前ですよ。では」
ブロロロロロ…
少女「……なんで、ただのタクシー運転手さんに、あんなヒトがいるんですか?」
男「ううむ、わからん。東狂、おそるべし……」
――鷲ントンホテル 1029号室
友人「おやwww男氏、少女氏wwwヤケモーニンwwwwwwぴゃっwww」
白い死神「来たか。男とカノジョさん」
少女「おっはよーございまーす!!」
男「二人とも揃い踏みか。……だから、そういうんじゃないからな」
男「ていうか死神、今日はお前もいたのか?」
白い死神「ああ。昨日は初日だから、下見も兼ねて、早くに出てたが……」
白い死神「今日は二日目だからな。しかも雨だ。濡れネズミになるシュミは無い」
友人「それでは死神氏www最後の作戦確認をwww」
白い死神「ああ。まず今日は二日目、女性向けの日だ。さらにこの天気、低い気温」
白い死神「さして混むというコトはあるまい」
白い死神「だが、それでも待機列は既に徹夜組でごった返している……」
白い死神「主な大手は瞬殺と考えるべきだろうな」
友人「んんwwwCOMIKEの厳しい現実www」
白い死神「お前さんたちが狙う黒ずくめも、結構な大手だが……大丈夫か?」
友人「ダイジョウブかwwwダイジョバナイかでいえばwww断言はできないwww」
友人「COMIKEには常に例外が存在するwww」
友人「だがwwwその例外の中でwww最善を尽くすwww」
友人「それが我ら“戦士”たちのやり方wwwwww」
白い死神「さすが、ベテランは言うコトが違うね」
白い死神「じゃあ、黒ずくめはお前たちに任せるとして」
白い死神「俺たちは天帝をはじめとした商業作家の大手に波状攻撃を仕掛ける」
白い死神「いちばん人気は、おそらく、ボッチ系ラブコメの柑橘類だろうが……」
白い死神「今回、俺たちはココはトラッシュだ。リスクが高すぎる」
友人「委託もありますからなwww適切なリスクマネジメントと言わざるを得ないwww」
白い死神「俺も柑橘類の絵は好きなんだがな……」
白い死神「しかし、限5なら、派遣するのは一人で十分といえる」
白い死神「また、同じ理由で、企業もパスだ」
白い死神「企業といえば、昨日レジ1台で牛歩作ってたところもあるらしいから、恐ろしいハナシだ」
友人「それでも一時期に比べればwww企業の失態も聞かなくなったwww」
友人「スナオに喜ぶべきか、なんとするべきかwww」
白い死神「逆に今回速攻をかけるべきは、限3の行楽地だ」
白い死神「よほど在庫に自信があるのか、それともただのバカなのか……」
白い死神「開場一時間くらい経ってから行って、やっぱ限1にしましたー」
白い死神「なんて言われたら、たまったモンじゃない」
友人「自分の人気を適切に見極めるのもwwwサークル主の重要なスキルですなwww」
友人「謙虚すぎるのも、傲慢すぎるのもいけないwww」
白い死神「ちなみにお前は昨日、売れ行きはどうだったんだ?」
友人「んんwwwあの後、宅配便を利用しましたなwwwwww」
白い死神「余ったってコトね。やっぱオワコンじゃねえの?」
友人「委託は売れているからwww根強いファンはいると信じたいwww」
少女「……お、男さん! 専門用語がバンバン飛び出していて、ワケがわかりません!」
男「別にわからなくてもいいよ。俺たちには関係の無いハナシだ」
少女「でも、気になりますよぅ……」
男「そうだな……。じゃあ、何が訊きたい」
少女「まず、二日目が女性向けの日、というのは?」
男「文字通りだな。二日目は、女性向け作品の頒布物が多い日だ」
男「そもそも、COMIKEは、開催日ごとに頒布物の傾向がある」
男「ちなみに一日目は小説・ゲーム・アニメ中心。三日目は……、男性向けだな」
少女「ほう。私がキョーミありそうな作品も、頒布やってますかね?」
男「そんなの知らん。自分の…………、……胸に訊け」
少女「……? ハイ、わかりましたとも」
少女「じゃあ、限5とか、限3というのは?」
男「限は限数のコトで、そのサークルで一人が一度に買える頒布物の数のコトだ」
男「たとえば限5なら、一人が一度に買えるのは5セットまで、となる」
少女「そんなの、あらかじめ決めておく必要あるんですか? 適宜対応すれば?」
男「決めておかないと、転売屋に在庫根こそぎ持っていかれるんだよ」
男「限数決まってないのを良いコトに、ダダコネられると、列も停滞するしな」
少女「なるほど……。色々と、メンドクサいんですね」
男「もしこんなコトを何も知らないCOMIKE初参加の大手なんか現れたら、大事故だろうな」
男「つまらん暗黙の了解で参加の敷居が上がるのも、如何なものかと思うが……」
少女「秩序と自由の兼ね合い、ですか」フーム
男「そんなところだ。まあ、売れるのがわかってるなら、限1にしてもらえると親切だな」
男「限1にすると、今度はアイツらファンネルが苦しむコトになるんだが……」
男「まあ、それでも転売屋なら、一度買って、二周目並んだりするけどな」
少女「むーぅ。二回以上並ぶのって、オッケーなんですか?」
男「マナーとして良くはないが、並んだヤツの顔一人なんて、覚えられないからな……。黙認だろう」
少女「それでは、柑橘類とか、行楽地っていうのは?」
男「それは、参加サークルの名前の隠語だ……。わからないなら、深く追究するな」
男「検索しても出てこないぞ! もし出てきても人違いだ!」
少女「別にしませんよ……」
白い死神「おっ、そろそろ始発の時間だぞ」
友人「んんwwwではwww出陣といきますかなwwwwww」
男「本当に、あの待機列に並ぶのか……。苦労しそうだな」
白い死神「お前らが並んでるとこ、まずは文字通り高みの見物と洒落込ませてもらうよ」
少女「あれ? 死神さんは、列には並ばないんですか?」
白い死神「ああ。俺は7時半ごろ、サークル待機列から入場させてもらう」
少女「え……? 死神さん、サークル参加してたんですか?」
白い死神「いやいや、違うよ。コイツを使うのさ」ピラッ
少女「それは……、サークルチケット……!」
白い死神「ああ。始発組よりも、徹夜組よりも早く入場できる、魔法のチケットさ」
友人「んんwwwその言い方はwww」
白い死神「おっと、悪い悪い。本来そういう使い方じゃなかったな」
白い死神「んじゃま、お三方。健闘を祈るぜ」ビッ
少女「ええ! 死神さんも、お目当てのモノが買えるように!」
白い死神「ああ。この白い死神の名にかけて、狙い撃つぜ」
――鷲ントンホテル前
男「雨、だな……」
少女「今朝からずっと、降ってますね……」
友人「んんwww待機列につくまで、傘は必須www」ブバッ
友人「ついでに今日の始発ダッシュも見ていきますかなwww」
――シーサイド線 国際展覧場駅
始発組「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」ドドドドドドドド
コ ミ ケ ッ ト
スタッフ長「 C o m e G e t (来たりて取れ) !!!!!!」
スタッフ「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」
アナウンス『は し ら な い で く だ さ い』
ヽ`
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...‐''゙ . ` ´ ´、 ゝ ''‐...
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ノi|lli; i . .;, 、 .,, ` ; 、 .; ´ ;,il||iγ
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`;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `, ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/`゙
´゙`゙⌒ゞ;iill|||lli|llii:;゙|lii|||||l||ilil||i|llii;|;_゙ι´゚゙´`゙
´゙゙´`゙``´゙`゙´``´゙`゙゙´´
ブアァァァァァァァァッ
少女「う……、ぐ。すさまじい、風圧……!!」
男「二日目だってのに、元気なコトだ……」
友人「ですが始発組は毎回、同じ人間とは限りませんからなwww」
友人「真に賞賛するべきは300人のスタッフ兵ですぞwwwwww」
ダン!! ガン!! ギン!! グチャァ ドン!!
始発組「ぶるああああああああああああああああああ」
始発組「なのはは完売しましたーー!!!」
――LAMSON 国際展覧場駅前店
店員「ラーシャッセー」
男「今日はココで本格的に食糧調達していくか」
友人「ツナマヨとかいう邪道具材は悪ですぞwwwwww」
少女「ツナマヨもオイシイのに……。あっ、私イクラにしようーっと」ガシッ
男「やめておけ、生モノは腐りやすい。しかも今日湿ってるからな」
少女「えぇ? でもさすがに数時間じゃ……」
男「死にたいヤツだけ前に出ろ……」
少女「やれやれ……」ポス
少女「あれ、ていうか商品棚、なんか食べ物減ってます?」
少女「ところどころに穴が……」
男「消費期限切れの早いモノは、即日入れ替えしてるだろうが……」
男「それでもやっぱり、減ってるな」
友人「んんwww昨日どれだけの人が食糧を買い求めたかは想像に難くないwww」
友人「むしろLAMSONの在庫入荷能力に感心せざるを得ないwww」
少女「ある意味ちょっとコワいですね」
男「戦いはこれからだ。さて、明日にはどうなってるかな……」
――ビッグサイト周辺
男「さて、待機列の最後尾は、このへんか……」
スタッフ「COMIKEに参加される皆さんはコチラでーす!!」
スタッフ「東待機列と、西待機列に分かれてくださーい!」
少女「おや。二つの列のどちらかに分かれないといけないみたいですが」
少女「いったいどっちに並ぶんですか?」
男「むう……」
少女「……? 男さん、どうしたんですか?」
男「……いや、どちらにするべきか、と思ってな」
少女「え。男さんにも、列の意味わからないんですか?」
男「いや、列の意味はわかる。東ホールに行く待機列と、西ホールに行く待機列」
男「今回は大まかにいって、同人サークルが目当てなら、東ホール」
男「企業サークルが目当てなら、西ホールだ」
少女「なあんだ! ソレならカンタンじゃないですか!」
少女「黒ずくめさんは当然同人サークルでしたよね」
少女「ならば、東ホールに行く列でキマリです!」
友人「…………、いや、少女氏www」ジジジ
友人「ここはあえて西ホールに行く列へ行く列を選ぶwwwwww」
少女「ええっ! どうしてですか!?」
男「なるほど……。西東、というワケか」
友人「いかにもwwwwww」
少女「え……。西東……、って、何ですか?」
友人「んんwwwこれはCOMIKE上級者の高等テクwww」
友人「たしかに本来、東ホール、つまり東館が目当てなら」
友人「当然東ホールに行く列を選ぶべきwww」
男「だが、“東ホールに行く列のほうが早く東ホールに入れるか”、」
男「“西ホールに行く列のほうが早く東ホールに入れるか”は」
男「開催されるCOMIKEごとに傾向が違ってな」
友人「この場合、後者が“西東”と呼ばれるルートになるワケですなwww」
少女「えぇ……。東に入るのに、西から行ったほうが早いコトがあるんですか?」
男「ある。常識的に東に入るなら東からだから、東に待機列が殺到するコトが多い」
男「その結果、西のほうが空いて、西からのほうが東に入りやすくなるんだ」
男「実際、一日目の昨日はそうだったらしい」
友人「そして今日もwwwどうやらその傾向にある様子wwwwww」
少女「その傾向って……。どうしてそんなコトがわかるんですか?」
友人「それはwwwコレを聞いてみるといいですぞwww」ジジジ
少女「イヤホン……? ハイ、わかりました」
男「おい……」イラッ
友人「んんwwwこうみえて耳の穴は毎日洗っているwww」
スタッフ『こちら東待機列。西待機列の現状は?』
スタッフ『こちら西待機列。雨足は強く、人影もまばら』
スタッフ『東も雨はキツいが、既に待機列は長いな』
少女「……こ、これは……!」
男「無線傍受か。なかなかハデなコトをやるな」
友人「んんwwwコレは死神氏の贈り物www」
友人「我は盗聴器を自作できるほどキカイには強くないwww」
男「だけどソレ、ちょっとヤバくないか? 見つかったらどうする?」
友人「死神氏にはwwwカン付かれたらキカイごと壊せと言われているwww」
友人「ですが、そもそもこの雨では傍受してる音なんて周りに聞こえませんなwww」
少女「おお……。なんか、キンチョー感出てきましたね!」
友人「とにかくwwwスタッフの無線によるとwww」
友人「今日も西待機列のほうが空いているwwwwww」
友人「つまり、西東が正解ですなwwwwww」
男「よし。じゃあ、西ホールに行く列に並ぶとしよう」
少女「しかしこの盗聴器。いったいどういう仕組みなんですか?」
友人「借り物なので我にも詳しいコトはわからないがwww」
友人「どうやら市販のトランシーバーを受信専用にしてwwwwww」
友人「かつ、周波数をスタッフが使っている数値に固定しているもようwww」
少女「へえ……。けっこうアナログなんですね」
友人「ちなみに、西待機列のほうが、コンビニやトイレなどの施設もジュージツしていますなwww」
少女「え? 東待機列のほうは、無いんですか?」
男「ああ。人気ジャンルを狙う時は、東待機列に並ぶコトになるが……」
男「施設も無いし、日陰も無い。本当にタイヘンだぞ」
友人「そのため、仮設トイレなどの施設が当日のみ出現しますがwww」
友人「まさに最大手の名に恥じぬ威容を誇りますなwww」
少女「うへえ……。さすがに行きたくないなぁ……」
男「欲を出さなければいいんだ。欲を」
男「もっとも、本当に欲しい頒布物があるなら、なりふり構ってられないだろうがな」
署長「……?」ギロ
署長「おい、君」ポン
友人「あひぃっ!」ビクッ
友人「なっ、ななな、なんですかなwww」
少女「うっ!」
男「……!」
男「……、警察官か……」
署長「……いや。……君の持っている、この、黒いキカイ……」
署長「コレは、何かね?」
友人「んんんんんwwwwwwこ、コレはwwwwww」
友人「……そ、そう!」
友人「知り合いと連絡を取るためのトランシーバーですなwww」
署長「…………」ギロ
友人「んんんwwwwww」
友人「COMIKEではwww通信回線が渋滞しwwwケータイでの連絡もままならないwww」
友人「ゆえに一般人でもトランシーバーが重宝されるのですなwwwwww」
少女「……ちょっと。男さん。ポリスメンですよ……」
男「ああ……。ウワサをすればナントヤラ、だ……」
男「なんで警察って、会いたくない時に限って会っちまうんだろうな」
男「COMIKEだと本当に会いたいヤツには会えないのに」
少女「まあ、昨日から待機列の外、見回りしてましたからね……」
少女「……しかし、あのおまわりさん。すっごい威圧感だな」
少女「大家さんとはまた違った、別種の凄みを感じます」
少女「東狂のおまわりさんって、皆がああなんですか?」
男「いや……。いくら大都市の警察官でも、あんなのがゴロゴロはいないだろう」
男「あのヒトがたぶん特別なんだと思う」
署長「このあたりを管轄する警察署の署長だ」
少女「……!」
男「……き、聞こえてたんですか」ダラダラ
署長「COMIKEの開催にあたって、治安維持のため」
署長「私をはじめとした警官隊自ら会場近辺に赴き、都民の“保護”を行っている」
署長「……あまり、かぶいたマネはせんコトだ」
男「は……、はぁぁいっっっっっっ!!!」
少女「お、お勤めご苦労様です!!」ビシィッ
署長「うむ」
署長「君たちも、法律と法令を守って、健康的な営みに努めるように」
男「……は、はい……」
署長「それで、君」
友人「……ん、んんwwwなんですかなwww」
署長「……ふん。トランシーバーか……」
署長「たしかに、COMIKEでは、一般都民でもトランシーバーを重宝しているのを見るが……」
友人「…………」
署長「重宝、ね」フン
署長「諜報のマチガイではないかね?」
友人「……!!!」
男「……、…………」ダラダラ
友人「めめめ、めwww滅相も無いwww」
友人「コレはスタッフの中にいる知人と連絡を取っているだけにあるからしてwww」
署長「…………」
署長「……そうか。なら、構わないが」
友人「ほっ」
署長「だが」
友人「……!!」
男「……!」
署長「無線通信を傍受して存在や内容を漏らし、また窃用した場合は」
署長「国が定める電波法第59条に抵触するコトになる」
友人「……、…………」
署長「もし当該行為が発覚し、物的証拠が提示された場合には」
署長「われわれ警察も。それ相応の対処を迫られる」
署長「ゆめ、忘れぬコトだ」
友人「りょ、了解でございまするwwwwww」
署長「……では」
ザッ、ザッ、ザッ…
少女「…………」
少女「…………あー、キンチョーしたぁー!」
男「はあ、はあ……。焦った……」
友人「んんwwwあやうく豚箱行きかと思いましたなwww」
男「友人、やっぱソレ使うの、やめたほうがいいんじゃね?」
友人「たしかにwww常用しないにしても、油断はキンモツですなwww」
少女「情報の漏洩は生死に関わる。まさに、戦場……」
少女「警察の方とこんなにカンタンにエンカウントするとは。気を抜けませんね!」
男「なんでお前は燃えてるんだ」
友人「ふとした行動が犯罪に繋がるのはコワいモノですなwww」
スタッフ「おはようございまーす! 雨の中ですが、大丈夫ですかー? 生きてますかー?」
スタッフ「本日のCOMIKE、シャワー機能が開放されておりまーす」
スタッフ「ただしみなさんの心の醜さは洗い流せませーん」
少女「うへぇ……、相変わらず雨はやむ気配がありませんね……」
男「昨晩から降り続けてるんだったか? いい加減やんでほしいが」
男「というか今回もスタッフ、相変わらずキレッキレだな」
友人「んんwwwここまで寒い夏コミは世にも珍しいwww」
友人「ですが、その影響で体調を崩している参加者も少なくない様子www」
スタッフ「本日、低体温症が多発していまーす」
スタッフ「具合の悪いヒト居ませんかー。冷たくなってるヒトいたら声かけてくださーい」
スタッフ「そいつは死んでる!! 置いていけ!!」
男「ここは冬将軍に襲われたナポレオンの陣営か何かか……?」
少女「まさに、カコクな戦場ですね……」
少女「かくいう私も……。ブルブルブル」
男「おい、大丈夫か? 革ジャンを貸してやる」ホイッ
少女「あ、ありがとうございます。はーっ、ファーがあったかい……」
男「あとはモノ食べてカラダあっためるくらいだな」
少女「やったー! あさごはん、あさごはん!」バタバタ
男「騒ぐな……。メイワク女としてネットに晒しあげられるぞ」
友人「非日常の場とて、公共の場には違いありませんからなwww」
友人「テンションが上がっても常識はわきまえるべきですぞwww」
男「あ。スレに不審者情報の書き込みだ」
友人「ほうwwwBIPの民が食いつくような参加者でも現れましたかなwww」
男「リアルで論者口調のヤバい奴が近くの待機列にいるんだって」
友人「んんwwwwwwwwwwwwwwwwww」
男「やっぱお前その口調やめられないの?」
友人「んんwww我がもしこの口調を変えてしまったらwww」
友人「それはもはや我ではありませんなwwwwwwぴゃっwww」
男「バンダナ、メガネ、チェックのシャツじゃ周りに埋没しちまうもんな」
男「ほら、梅おにぎりとスポーツドリンクだ」
男「涼しいように思えても水分と塩分は確実に失ってる。補給を怠るな」
少女「はーい。いただきまーす」モシャモシャ
少女「うーん、しゅっぱぁーい!!」
男「酸っぱいのはニガテか?」
少女「いや、そーじゃないですが。それでも酸っぱいモノは、すすす、しゅっぱ……」
男「つらかったら、スポーツドリンクで押し流せ」
少女「はぁい。んっ、んっ、んっ……。ぷはぁ」
少女「……おコメとスポーツドリンクってあんまり合いませんね」
友人「んんwww白米と牛乳の次に合いませんなwwwwww」
男「……お茶は、利尿作用が強いんだ……」
男「もっとも、この雨なら漏らしてもわからんかもしれんがな」
少女「それはヒトとしての尊厳を失っています」
男「しかし、ここまで寒くなるとは、さすがに予想外だな……」
友人「今朝の東狂の気温は23度wwwwww」
友人「さすがに半袖は死にますなwww」
男「結局のところ、登山服が大正義ってワケですか……」
男「スタッフはさすがに透明のゴミ袋みたいなの被ってるヒトばかりだな」
友人「メジェド様のコスプレイヤーも混じっていますなwwwwww」
男「俺もジャンパーを着るとするかな」
友人「男氏wwwジャンパーは死語ですぞwww」
男「うっそだろお前」
カイロ屋「えー、カイロ。カイロはいりませんかー」
男「カイロ……? そんなモノを売ってる店まであるのか」
友人「普段の暑い夏コミなら、ただの嫌がらせですがwww」
友人「低体温症の犠牲者が出ている現状では、かなりオトクな買い物ですなwww」
男「……。……って、ちょっと待て……」
カイロ屋「はい、一つ300円! ありがとうございます。カイロー……」
男「ちょっと、大家さん!!」
カイロ屋「ん……? …………、あっ」
カイロ屋「その声、さては男だなオメー」
少女「大家さんじゃないですか! こんなところで何を?」
カイロ屋「少女ちゃんもおはようございます。見ての通り、カイロを売っています」
男「えぇ……。この、雨の中?」
カイロ屋「火の中、水の中、なんのその。商売チャンスは逃しませんよ!」
男「商魂たくましいコトで」
カイロ屋「だけど、さすがに寒いので自分でも使います。さながらマッチ売りの少女ですね……」
男「そこまで貧しい身の上じゃないでしょう……。しかも若干ボッタくってるし」
友人「あ、我もカイロ一つー」
少女「……っていうか、男さん」
少女「なんか、私たちより前に並んでるヒト、多くないですか?」
男「うん、多いな。1000人ではきくまい」
少女「私たちって始発組のヒトの、すぐ後についてきましたよね?」
少女「なのに、何でこんなに人が多いんですか……?」
友人「それはwwwひとえにwww徹夜組が多いからwww」
友人「おそらく現在の列の3分の2は、徹夜組と思われるwww」
少女「3分の2……。そんなに多いんですか」
少女「私たちは、ルールを守って並んでるのに」
少女「ちょっとシャクですね。納得いきません」フンス
男「まあ、徹夜は禁止されてるとはいえ、別にペナルティとか無いからな……」
少女「えっ、無いんですか? ペナルティ!?」
友人「COMIKEの徹夜組は数が多すぎて、処罰しきれないのが現状ですなwww」
男「むしろ、準備会もあらかじめ徹夜組に整理券を配ったり」
男「非公式だがスタッフが列を誘導したり、事実上、徹夜を黙認している」
少女「……。じゃあ私も徹夜してやりましょうか」
男「しんどいだけだから、やめときなさい。そこまでして欲しいモノも無いだろう」
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