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元スレ少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」
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黒ずくめ「晴れだから人が集まったのか、人が集まったから晴れたのか」
黒ずくめ「三日目の参加者が晴れ男、晴れ女説。あるね」
男「集まってる人間の性質からして、あまり前向きに考えたくはないが……」
少女「ああ。でも、おぼろげな白い雲がまばらにかかった、朝の青い空を背にした」
少女「ビッグサイトの前に、色んな格好をした人々が集まって……」
少女「いよいよCOMIKEの最終日が。はじまるんですね!!」
男「……。そうだな」
黒ずくめ「ふふ。本当にCOMIKEをイチバン楽しんでいるのは、彼女のようなヒトなのかもしれないね」
スタッフ「東待機列は既に封鎖されました。西待機列に回ってくださーい」
スタッフ「Hey, you! I said that you can not enter the east!」
スタッフ「不要打入列! 子曰! 學而時習之! 不亦説乎!!」
待機列「おぉー……」パチパチパチ
男「今のは……。日本語の後のやつは、英語か?」
黒ずくめ「そして最後は中国語ですね。ウワサのトリリンガルスタッフかもしれない」
男「さ、三か国語……? スゴいヒトがスタッフにいるんだな……」
――LAMSON 国際展覧場駅前店
店員「ラー…」
店員「ラーシャッセー…」
少女「て。店員さんも、息絶え絶えです……」
男「コンビニもついに三日目だからな」
男「しかしこのヤツれよう。まさかワンオペ? まさかな……」
黒ずくめ「あ。男さん、この白い透明なゴミ袋でいいですか?」
男「ああ……。うん。いいよ」
少女「……!」
少女「み、見てください男さん!!」
男「……? どうした」
少女「あ、あれだけ食べ物が詰まっていた商品棚が!」
少女「まるで虫に食い荒らされたかのように、穴だらけになっています!!」
男「本当だ、品揃えがまばらになっている……」
男「いよいよ佳境というワケか……」
店員「……!!」ガタッ
シュババババババ
少女「うっ……。店員さん、ものすごい速さで商品を補充していきます!」
男「寸分の狂いも無い手つき……。コンビニ店員も極めればアレほどか」
黒ずくめ「コンビニ店員ってたまにとんでもないヒトいるよね」
黒ずくめ「でも、僕の売り子も負けていない」
黒ずくめ「もし僕のところの金髪が太陽の下であれば、通常の三倍の速さで品出しを……」
男「黒ずくめさんの売り子はサンフラワーか何かか……?」
――LAMSON 国際展覧場駅前店 前
男「梅おにぎりは買ったな。それじゃあ、そろそろビッグサイトに行くぞ」
少女「ま、また梅おにぎりですかぁ……?」
黒ずくめ「くっ、くっ。梅干しは、腐りにくいからね」
男「そういうコトだ。おにぎりの具の定番なだけはある」
少女「ツナマヨが食べたいですよぅ」
男「さっきハンバーガー食ったろう、まだ味の濃いモノ食い足りないのか」
黒ずくめ「それじゃあ行こう。待機列を尻目にビッグサイトに入るのは、ちょっと気が引けるけどね」
――ビッグサイト コスプレ参加者 先行入場入口
黒ずくめ「3人。登録料、3000円です」
スタッフ「はい、確認しました。更衣室は男性女性ともに会議棟ですが」
スタッフ「女性は東8ホールも使えます。混雑の分散にご協力ください」
黒ずくめ「ありがとうございます」ニコ
男「ふぅーっ。怪しまれずに通れたな」
黒ずくめ「オドオドしてたら当然怪しまれます。こういうのは思い切りがダイジですよ」ニコ
男「営業スマイルとか、トクイそうだもんな……。ハハハ」
少女「…………」
男「……? どうした、少女」
少女「……本当に、これで良かったんでしょうか」
黒ずくめ「…………」
少女「黒ずくめさんのお連れさんが、間に合わなかったのは、仕方ないとしても」
少女「ルールを破って、私たちが入っちゃって……」
男「…………」
黒ずくめ「……そうだね」
黒ずくめ「これは人間の集まりだ」
黒ずくめ「当然ルールは守るべきだが、バカ正直でいては痛い目を見るコトもある」
黒ずくめ「……昨日の、君たちのようにね」
少女「…………」
黒ずくめ「いや。ソレに関しては、僕にも責任があるんだが」
男「黒ずくめさん。アレは……」
黒ずくめ「わかっています。友人さんや死神から聞いている」
黒ずくめ「昨日はイレギュラーな事態があったと」
男「……。そういえば、今日は、友人たちは……?」
黒ずくめ「さあ。朝に所用があるとは聞いていますが」
黒ずくめ「……もしかしたら、その“後始末”に動いているのかもしれませんね」
男「アイツら……」
黒ずくめ「とにかく。色んな人が集まる大きなイベントである以上、臨機応変な対応が必要だ」
黒ずくめ「モチロン、ルールを破るコトを正当化してるワケじゃない」
黒ずくめ「でも、少しずつ助け合い、少しずつ出し抜き合う」
黒ずくめ「それがCOMIKEというイベントの実情なのかもしれない」
少女「…………」
黒ずくめ「だけど。他人の裏をかいて、出し抜き合うのが人間であれば」
黒ずくめ「他人を慮り、支え合って助け合うコトが出来るのも」
黒ずくめ「また人間だ」
黒ずくめ「僕がこんなコトを言うのも、おこがましいかもしれないが」
黒ずくめ「どうか、COMIKEを嫌いにならないでほしい」
少女「…………」
少女「……はい。わかっていますよ」
黒ずくめ「…………」ニコ
黒ずくめ「少なくとも、僕は今日、ココでソレを表現したいと思う」
黒ずくめ「さて。女子更衣室はコチラ、男子更衣室はアチラだ」
男「ひとまずココでお別れだな。着替え終わったら、またこの逆三角形の下に集まろう」
黒ずくめ「ええ」
少女「……あれ。そういえば、私、どんなコスプレをするんですか……?」
黒ずくめ「そうだね。いくつか衣装はあるんだが、どれにする?」
男「ああ……。それなら」
男「俺に一つ、アイデアがある」
少女「……?」
――数十分後 ビッグサイト 逆三角形下
参加者「……?」
ザワザワ
男「…………」
参加者「メジェド…?」
参加者「デマセイ」
参加者「フケイデアルゾ」
ザワザワ
男「…………」
男(この、ビニール袋に目を書いて、足から上を覆っただけのコスプレ……)
男(本当にこれでいいのか?)
男(他の、クオリティの高いコスプレとは、比べるべくもない……)
男(穴があったら入りたい……)
メジェド「…………」ゾロゾロ
メジェド「…………」ゾロゾロ
男(……あ)
男(でも、他にもメジェド様のレイヤー、いっぱいいるな)
男(ちょっと安心した)ホッ
参加者「……う、うう……」ボロボロ
男(う。あれは、浮浪者……!!)
男(の、ようなコスプレか。『無人島で100年生きたのび太』って書いたスケッチブック持ってる)
男(COMIKEに来るのは友人について回ってだから)
男(コスプレはさほど詳しくはないが、スゴいな……)
参加者「…………」スタスタ
男(ん? スーツのヒトだ。日曜出勤の社畜がCOMIKEにまぎれこんで……)
男(なワケ無いか。となると、アレも何かのコスプレ……)
男(……待てよ。あの髪型。最近、どこかで見たコトがある)
キラン☆
男(あ。あの、小脇に抱えているのは……。将棋ゴマ!!)
男(まさかこのまえ公式戦で29万連勝を果たした、あの四段のコスプレか!?)
男(は? まるで将棋だな……)
少女「……男さーん!!」
男「おお。来たか」
少女「どうですか!? この、応援団コス!!」
男「ああ。とても似合ってるぞ。黒い服と白いハチマキが良いカンジだ」
少女「~♪♪」
黒ずくめ「男さん、お待たせしました」
男「黒ずくめさんも。今日も黒ずくめ、キマってるな」
黒ずくめ「いえいえ。男さんも」
黒ずくめ「メジェド様でしたっけ? よく似合っていますよ」
男「絶対できる誰でもコスプレナンバーワンだと思うがな」
黒ずくめ「ふふ。たしかに」
少女「え? 絶対できる!!?」ガタタッ
男「なんでお前は特定のワードに反応してるんだ。スクリプトか?」
少女「いえ、そういうワケじゃないんですが」
少女「どうも、この格好だと、絶対に諦めないという情熱が湧き出てきまして!!」ゴオオオオオ
男「アツい……。暑苦しい」
黒ずくめ「でも、ホント似合っていますね。少女ちゃん」
黒ずくめ「僕は普通にカワイイコスプレをしてもらおうかと思ってましたが」
黒ずくめ「まさかの応援団長風のコスプレとは。たしかに、アツい彼女にピッタリだ」
黒ずくめ「前から似合いそうだなー、とか思ってたんですか?」
男「そうだな……。昨日、待機列中で、ちょっとした事件があったんだが」
男「着想はソレだ」
男「どうもアイツには、とにかく頭カラッポにして燃え上がるような」
男「そんな格好が似合うような気がしてな」
黒ずくめ「…………」クス
黒ずくめ「ずいぶん、彼女のコト、わかっちゃってるんですね」
男「そうか? ただの第一印象だがな」
黒ずくめ「ご謙遜を。繰り返しになりますが、長年連れそった……」
黒ずくめ「そんなカンジがしますよ」
男「だとしたら、アイツがヤケに馴れ馴れしくしてくるからだな」
男「でも……」
男「なんだか俺も、そんなカンジがしてきたよ」
――ビッグサイト 某所
男「…………」チク タク
男「あれから数時間が経った」
男「ついにこの時が来たな」
少女「ええ! 最後まで、張り切っていきますとも!!」
黒ずくめ「そうだね。きっと、悔いの無いように」
ピンポンパンポーン
アナウンス『みなさん、長らくお待たせしました』
アナウンス『ただいまより、COMIKE 92――――』
アナウンス『三日目を、開催します!!』
ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
待機列「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」
ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
,-=  ̄  ̄!
', r¬ l ___ /,、\ , 、
Lノ | l └―┐ 〉 く/ l l く\ /, 、\
/ / 「l ノ/ くヽく/ __\\ く/ \ ヽ .t__┐
く_/ 〈/ ` Ll ノ ノ// _ く\く/ ,__ l |
く/  ̄ └-、ヽ __ i ! l .l[_ノ l二¨7
「l〈_/ ニ7 / L,l L」 nく/
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\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::/人\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::/
\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;//圭\\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;:/
,ィE\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::/イニニニニト、\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;:/
, イ:l:l:E圭\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'/イ三三三三三三ト\;::'::;::'::;::'::;::'::;::/
, イ:l:l::レ''´  ̄ ̄\;::'::;::'::;::':/iニニニニニニニニニニi\;::'::;::'::;::'/
, イ:l:l::レ'´_____ l三三三liY\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/Yl三三三l _________
,イ:l::l::レ''´ \/\/\/i l三三三liil;;;;;/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \;;;;lil三三三l ト、\/\/\/\/\/
::l::レ''´∠二∠二∠, ヘ l三三三liil;;;;l l;;;lil三三三lへヽ'二ヽ'二ヽ'二ヽ'二
-- 、 「 ̄l| l ̄ ̄l |升l三三三liil;;;;l l;;;lil三三三lヒ|__イ「 ̄|三i三i三
| l l| l__l |干l三三三liil;;;;l l;;;lil三三三l;;| i─‐i l |r-i|「r──‐
ドドドドドドドドドドドド…
ウオオオオオオラッシャァァァァァァァァァァァァァァァァァァイイイイイイ!!!!!!
少女「ど。どこからか鳴り響く、この叫び声は……」
男「向こうも向こうで戦いが始まったらしいな」
黒ずくめ「スタッフ長さんたち、今年もやってるんだ? 懲りないなぁ~」
黒ずくめ「さて。じゃあ僕たちも、行動を開始しようか」
少女「そうですね!!」
少女「……って、コスプレをするヒトは、どこに行ったらいいんですか?」
男「そうだな。基本的に、ビッグサイトの会場内なら」
男「どこでコスプレをしていてもいいんだが……」
黒ずくめ「コスプレをするならココがオススメですよ、と」
黒ずくめ「コスプレエリアといってね。準備会に推奨されている場所もある」
少女「ほう。それはいったい、どこに?」
黒ずくめ「うーん。毎年コロコロ変わって、ややこしいんだけど……」
黒ずくめ「今年は逆三角形付近や、屋上、あとは東館のトラックヤードかな」
男「じゃあ、トラックヤードにするか。人は多いが、行列も見れるし」
黒ずくめ「え……。行列を見に行くんですか? 変わってますね」
男「ははは……」
少女「……黒ずくめさん」
黒ずくめ「うん? どうしたの?」
少女「やっぱりこれだけ晴れてると、倒れるヒトとかも出ますよね?」
黒ずくめ「そうだね。そりゃ、まあ」
少女「……そうですか」
黒ずくめ「……?」
――ビッグサイト 東館外 トラックヤード
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ ガヤガヤ
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ
少女「……う、ウワァ――――!!!」
少女「こ。こここ、この黒いの。全部ヒトですか……!?」
黒ずくめ「あはは。もしかしたら、ヒトじゃないのも、混じってるかもね」
男「まあ、チミモーリョーが一匹や二匹混じってても、わからんかもな……」
少女「す、スゴい人の量ですよ」
少女「長い行列がいくつも出来ていた一日目も、私も並んだ二日目をも、しのぎます」
少女「本当に、スゴい、スゴい人の量です!!」
少女「ボキャブラリーが不足しててバカみたいですが、そうとしか言えません!!」
男「昨日はこんな列の中に並んでたのかと思うと、ゲッソリするな」
黒ずくめ「といっても、列の勢い自体は、昨日よりかはマシのようだけど」
男「ちなみに今日の大手は、どんなカンジなんだろう?」
黒ずくめ「そうですね。Eマンガ先生のヒトをはじめとして、常連大手サークルが多いようです」
参加者「おい、三日目もサーキットが始まるらしいぞ!」
参加者「見に行こうぜ!!」
男「……はは」
黒ずくめ「サーキットをやるのは大手のアカシですね」
黒ずくめ「あとは、FG○島と、その関連の商業作家の列が延びるのではないかと」
男「FG○って今日だったか。こりゃあ、人も多くなるぞ……。いや、もう多いか」
少女「これは、男さんじゃないですが、まるで。人がゴミのよ……」
レイヤー「人がゴミのようだ!!!」
少女「!?」クルッ
レイヤー「目が、目がァァァァァァ」
カメコ「「「パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!」」」
レイヤー「三分間待ってやる……」
カメコ「「「パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!」」」
男「スゴいな。大佐のコスプレもいるのか」
黒ずくめ「あのヒト毎年いますよ」
少女「うわぁ……」
少女「人がゴミのようだ、とか、本当に言うヒトいたんですね」
男「いやそういうネタだからな?」
少女「そ、そーなんですか。変わってますね……」
カメコ「バルス!!」
レイヤー「あァァ、目がぁ、目がァ、っ……ああああアアアア~~~!!!」
カメコ「「「パシャパシャパシャパシャパシャパシャ!!!」」」
男「しかし……。大佐のあの作品って、いったい何十年前の作品だっけ?」
黒ずくめ「うーん。二十年……、いや、それ以上前かと」
黒ずくめ「僕や男さんが生まれる前からあるのはマチガイないですね」
男「そんな前の作品だったか……」
男「なのに、発表から数十年経った今でも、こうしてコスプレするヒトがいる」
男「あらためてスゴい場所だよな。COMIKEは」
黒ずくめ「好きなら何でもアリ、の精神ですからね」
レイヤー「いいこと? 暁の水平線に勝利を刻みなさい!」
レイヤー「問おう。あなたがわたしのマスターか」
男「……っと。とは言っても、やっぱりコスプレの中心、ハナガタは」
男「最近のアニメやゲームのキャラクターのようだが」
黒ずくめ「美人なレイヤーさんのほうが、人目も引きますからね」
黒ずくめ「ていうか男さん、ああいうのが最近のアニメやゲームのキャラとか、わかるんですか?」
黒ずくめ「なんだかオタクじゃない風を装っていたように見えますが」
男「……ん? ふふーん、さて何のコトだか」
男「それに。ニワカがソレを名乗っちゃ、ホンモノに失礼だよ」
少女「あの。男さん、男さん」
男「ん……?」
少女「あの、レイヤーさんの周りで、カメラ持ってるヒトたち……」
少女「アレはいったい、何なんですか?」
男「ああ。アレは、“カメコ”といってだな」
男「カメラ小僧の略で。COMIKEで、レイヤーを撮影するヒトたちだ」
黒ずくめ「カメラマンさんだね。レイヤーは撮影に快く応じるモノさ」
少女「へえ……。うーん、撮ってるヒトもスゴい情熱だなあ」
黒ずくめ「まあ、マナーの悪いカメコだって、いるにはいるんだけど……」
ドローン「バラバラバラバラバラバラ!!!」
少女「……?」
少女「お、男さん。なんですかアレは」
少女「上を飛んでる、ちっさいヘリコプターみたいなのは……」
男「ん? アレはドローンだな」
男「最近流行りの、上等なラジコンみたいなモンだ」
黒ずくめ「アレでレイヤーを撮影してるのかな」
黒ずくめ「でも、ソレはさすがに……」
ヒュルルルル…
ドローン「チュドオオオオオオオオオオオオンンンンンン!!!!!!」
映画泥棒「ド、ドローン!!?」
自宅警備隊「ドローンでのコスプレイヤーの撮影はマナー違反だ!!」
自宅警備隊「おとなしくナワにつけ! 映画泥棒!!」
少女「……!?」
映画泥棒「へっ、こんなところで捕まってたまるかよってんだ……!」
映画泥棒「あばよ! パトランプのとっつぁ~ん!!」ダダダッ
自宅警備隊「待てー! 映画泥棒!!」
ダダダダダダダダ
黒ずくめ「うわー、彼らも彼らで、今年もやってるなー」
少女「……黒ずくめさん。今のは?」
黒ずくめ「ん? ああ、今のコントかい?」
黒ずくめ「特殊部隊みたいなほうは、非労働武装集団、自宅警備隊 M.E.E.T.」
黒ずくめ「絶対に働かないコトにイノチをかける集団だ」
少女「……は?」
黒ずくめ「普段は自宅だけを警備しているんだが、この期間はCOMIKEにも出張しているという設定らしい」
黒ずくめ「そして逃げていったビデオカメラ頭が、映画館のCMでオナジミの映画泥棒だね」
黒ずくめ「あはは。ビックリした? 面白いでしょ」
少女「…………」
男「……安心しろ。アレもコスプレの一つだ」
男「今朝の特殊部隊に姿は似ているが、別に関係は無い」
少女「……そうですか。なら良いんですが……」
黒ずくめ「…………」
黒ずくめ「……少女ちゃん!!」
少女「はいっ!?」
黒ずくめ「それじゃあ、僕たちも。そろそろ、コスプレ、始めようか」
少女「は……、ハイ……」
黒ずくめ「カラーコーン置いて。仮の設営して……、と」
カメコ「あの、撮影、いいですか?」
少女「えっ……」
黒ずくめ「はい、モチロンですよ。何かご要望はありますか?」
カメコ「それじゃあ、ソッチの応援団の女の子に、何かセリフを!」
少女「え……」
少女「お。男さん……。どうしましょう」
男「ん? 何か好きにソレっぽいコト、言えばいいじゃないか」
少女「そんなコト言われたって思いつきませんよ!!」
男「……うーん。そうだな……」
男「あっ。ほら、“アレ”があるだろう」
少女「“アレ”……?」
男「昨日待機列でやっていた……」
少女「え。あんなので、良いんですか?」
男「良いんだ。思いっきり、やってやれ」
カメコ「お願いします!!」
少女「…………」
少女「それじゃあ、失礼して」スゥゥ…
黒ずくめ「え? 何が始まるんです?」
男「まあ見てロッテ銘治ブルガリアヨーグルト」
少女「ガンバれガンバれ出来る出来るゼッタイ出来るガンバれもっとやれるってェェッ!!!」
黒ずくめ「!?」
参加者「!?」
少女「やれる!! 気持ちの問題だっ、ガンバれガンバれ、そこだァ!! そこで諦めんなァァ!!!」
参加者「シュウゾウ?」
参加者「イワナ?」
参加者「ザワザワ」
少女「ゼッタイにガンバる積極的にポジティブにガンバるガンバるゥッ!!」
少女「―――ペキンだって、ガンバってるんだからァァァァァァッッッ!!!!!!」
参加者「……おおおおおおおおおおおおっっっっ!!!!!!」パチパチパチ
参加者「昨日の娘じゃん!」
参加者「この夏に、あえて応援団の服とは……」
参加者「正直に言おう、俺も水着は好きだ」
参加者「熱くなれよぉぉ!!」
少女「はぁ、はぁ、はぁ……」
パチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチ
少女「え……? ……あっ」
カメコ「いいね、今の叫び! コッチ向いて!」
少女「あっ……。ハイ!!」
パシャッ
黒ずくめ「…………」アングリ
男「どうだ。驚いたか?」
黒ずくめ「ええ。そりゃ、驚きますよ……」
黒ずくめ「なんですか、今の?」
男「知らないか? ほら、いるだろう。よくテレビに出てる、日本一アツい元テニヌプレイヤーが」
黒ずくめ「……ああ。その、彼が、……え?」
男「彼が出てる動画を編集して、既存の音楽に乗せた、MAD動画群があってな」
男「今のは、その動画群の中でも、トップクラスに有名なセリフだ」
男「昨日、友人の奴がな。朝の待機列で教えやがったんだよ」
男「ほら。これが、その時の動画だ」スイッ スイ
男「ハシッコで俺が見切れてるのは気にしないでくれ」
黒ずくめ「……うわぁ。本当だ……」
黒ずくめ「なるほど。それで、あの衣装を……?」
男「ああ。でも、事前には何も言わなかったけど、黒ずくめさんがピッタリの服持ってて良かった」
黒ずくめ「いえいえ。黒い服なら、なんなと、ありますからね」
黒ずくめ「……そっか」
男「…………」
黒ずくめ「……いや、ね。実は気にしてたんですよ」
黒ずくめ「朝、電話もらった時から、少女ちゃんの声が暗くて」
黒ずくめ「だからあんなコト言ったんだけど」
男「…………」
黒ずくめ「でも、安心しました」
黒ずくめ「少女ちゃんは、一昨日に友人さんからおハナシを聞いたのと同じ、少女ちゃんだって」
黒ずくめ「僕が知ってる中で、最も“COMIKEを楽しもうとする”、女の子なんだって」
男「……そうだな。俺も、そう思う」
黒ずくめ「ふふ。いや、昨日会ったとき少女ちゃん、グッタリしてたじゃないですか」
黒ずくめ「だから、一昨日は、あんなにCOMIKEを楽しもうとしてたのに……」
黒ずくめ「もしかしたら、COMIKEのコト、嫌いになっちゃったのかなって」
男「……それは」
黒ずくめ「でも、杞憂だったようですね」
黒ずくめ「僕は、少女ちゃんにこのまま帰ってほしくないと思って、コスプレに誘ったんですが」
黒ずくめ「そもそも。COMIKEのコトが嫌いなら、今日は来てくれなかったろうし」
黒ずくめ「COMIKEのコトが好きだから、あんな元気いっぱいに、楽しめるんだろうなあ」
男「…………」
黒ずくめ「まあ、人間がいっぱい集まるんですし、色々ありますが」
黒ずくめ「……少なくとも、僕は。色んなヒトの全力が見れる」
黒ずくめ「COMIKEのコトが大好きですから」
黒ずくめ「少女ちゃんが楽しんでくれるのは、スナオに嬉しいです」
男「……ああ。俺も楽しいよ」
男「全力で楽しんでるヤツってのは、見てるだけで、コッチも楽しくなってくる」
カメコ爺「ふおおお! 貴女が黒ずくめさんですな!?」
黒ずくめ「え……? あ、ハイ」
カメコ爺「やはり。タクシーでお見かけした時から」
カメコ爺「すばらしいコスプレイヤーだとお見受けしていましたぞ」
カメコ爺「はい! 目線をコッチに! 心底見下したカンジで!!」パシャパシャ
黒ずくめ「ハァ……?」
カメコ爺「んん、その冷ややかな目線がたまらない!!」パシャパシャ
男「……って、ちょっとちょっと! ソコのカメコさん! あんた!!」
カメコ爺「おや、どうしましたかな。メジェドどの」
男「あんたタクシーの運転手さんでしょう!!? 今朝の!!」
カメコ爺「おや。バレましたかな」
男「バレましたかなじゃないですよココで何やってるんですか!!」
カメコ爺「見てのとおり、カメコですが」
男「カメラ……。……小僧?」
カメコ爺「ほっほ」
カメコ爺「たんパンこぞうは、いくつになっても、たんパンこぞう」
カメコ爺「カメラ小僧は、いくつになっても、カメコですぞ」
男「いや意味がわかりませんから」
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