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元スレ少女「コミケ行くので泊めてください!」男「は……?」
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少女「むぅー……」
スタッフ「みなさーん、お知らせでーす! つい先ほど、待機列確定しましたー!」
スタッフ「でも8時半には戻ってきてくださいねー! 遅れたらパワー系のスタッフが押し出します!」
男「おっ、列確定きたか」イソイソ
友人「それでは近くのダルイーズで時間を潰しますかな」イソイソ
少女「……? ちょ、ちょっと! 二人とも、列を抜けてどこに行こうとしてるんですか!」
男「ん?」
少女「こ、ここまで並んだのに、入場せずに帰っちゃうんですかぁ!?」
友人「んんwww少女氏www違う違うwwwwww」
少女「え……?」
男「ああ……。少女。COMIKEには、待機列確定というシステムがあってな」
男「スタッフが待機列を確定させたら、しばらく持ち場を離れててもいいんだ」
友人「ただしwww列を離れていて良い時間にも制限があるwww」
友人「今回は8時半を過ぎて列に戻っていなかったらwww問答無用で並び直しですなwww」
少女「そ、そんなシステムが……。知らなかった……」
男「まあ、誰も教えてくれない部類のハナシではあるな」
友人「前後左右の人確認や現在地の暗記は必須ですぞwww」
男「さて。目印となるモノは、何を置いておく?」
友人「んんwwwでは、コレをwww」ニョキッ
少女「わああ!!? なに、これ……」
少女「男のヒトの、巨大な、板?」
友人「等身大パネルですなwww炎の妖精のwww」
男「『できる!』、『君は最高だ!』……」
男「……相変わらず、アツい」
少女「……ほう。……ほう、ほう、ほう」
男「友人、こんなモノ、いったいどこで手に入れたんだ?」
友人「もとは書店の店頭宣伝用のパネルですなwww」
友人「ソレを、フェア期間が終わって、廃棄するのは忍びないというコトで」
友人「ならばと我が貰ってきたのですぞwwwwww」
男「お前の家、こんなのばっかで溢れかえってそうだ」
男「ちょっと待て。ソレはソレとして、今お前、コレどっから出した……?」
友人「んん、深く追究してはいけませんぞ」
友人「彼のパネルを置いておけば雨雲も吹き飛ぶかもしれませんなwww」
少女「……なるほど!! テルテルボーズのような方なんですね、この彼は!!」
友人「おおwww少女氏、炎の妖精氏が気に入りましたかなwww」
友人「彼は、諦めない、絶対できるをモットーとする熱血漢で有名な男ですぞwww」
友人「一説によると元プロテニヌプレイヤーらしいですなwww」
男「ソッチのほうがサブなのかよ。いや、俺も試合は見たコト無いけど」
少女「諦めない……、絶対できる……。スバラシイ! 最高のコトバです!!」
少女「私も信じています。前向きに生きていれば、絶対必ずイイコトあると!!」
友人「んんwww熱血少女ですなwww」
友人「では少女氏には、炎の妖精のポジティブで暑苦しい教えを伝授しますぞwww」
少女「ええ! ゼヒ、よろしくお願いします!!」ギュッ
友人「頑張れ頑張れ出来る出来る絶対出来る頑張れもっとやれるって!!」
少女「ガンバれガンバれ出来る出来るゼッタイ出来るガンバれもっとやれるってェェッ!!!」
男「!?」
待機列「!?」
友人「やれる! 気持ちの問題だ、頑張れ頑張れ、そこだ! そこで諦めんな!」
少女「やれる!! 気持ちの問題だっ、ガンバれガンバれ、そこだァ!! そこで諦めんなァァ!!!」
待機列「マツオカ…?」
待機列「シジミ?」
待機列「ザワザワ」
友人「絶対に頑張る積極的にポジティブに頑張る頑張る」
少女「ゼッタイにガンバる積極的にポジティブにガンバるガンバるゥッ!!」
友人「―――北狂だって頑張ってるんだから!!」
少女「―――ペキンだって、ガンバってるんだからァァァァァァッッッ!!!!!!」
待機列「……オオオオ」パチパチパチ
待機列「熱くなれよぉぉ!!」
待機列「オコメタベロ」パチパチパチ
男「……いつの間にか、人が集まってきてる……」
男「まあ、大声で北狂のアレ、復唱してたらなぁ」
男「しかも友人のヤツ、完コピしてるし」
男「……こりゃあ今回のマンレポに載るかもなぁ」
男「あ、マンレポってのは、COMIKEのカタログや公式ホームページに載ってる」
男「前回のCOMIKEの様子を1コマ漫画にまとめた、まんがレポートのコトな」
男「……あれ? なんか、晴れてきた?」
スタッフ「えー、西待機列に炎の妖精発見。北狂だって頑張ってるなどと意味不明なコトを……」
――喫茶店 ダルイーズコーヒー
少女「いやあ! スっとしました!!」
少女「大声で叫ぶってのは良いモノですねぇ!!」
男「……もう、謝るの俺なんだから、やめてくれよ……」
友人「んんwww我一人ならカクジツにしょっぴかれていたwww」
友人「やはりおにゃのこ補正おそるべしwww」
友人「あとは、炎の妖精氏の人徳ですかなwww」
男「あー、もうネットに動画アップされてるよ……」ガタタン
少女「え、マジですか? 見せてください!」
男「見切れてるけど、俺もハシッコに映ってるよぉ……」
友人「んんwww一部始終が完全に撮影されているwww」
男「ヘンなコトしたら、こうやって晒し上げられて一生残るんだから、気を付けろよ」
少女「一生、ですか……。うぅ。スイマセン」
少女「でもソコはソレ、なかなか良く撮れていますね! この動画!」
少女「もうちょっとお腹から声出したほうが良かったかな……」
友人「ジューブン男らしい声でしたぞwww」
友人「あ、それポチ。ダウンロード」ヴヴゥン
友人「少女氏は学校で応援団長でもやってたのですかな?www」
少女「応援団長、ですか……。いわゆる、チアガール、とかいう?」
男「いや、友人の言ってるのは、ソレじゃないと思うぞ。ソッチじゃなくって……」
男「ほら。頭にハチマキ巻いてて、膝下まである丈の長い黒の学生服のやつだろ」
友人「んんwwwいかにもwww」
友人「先程の大音声は、まさに経験者のソレでしたなwww」
少女「なるほど。ソレでしたら、似たようなモノをやったコトがあります」
少女「大きな声でテンション上げていくのは! ダイジですからねぇ!!」
男(応援団長……ねぇ。けっこう似合いそうだな)
男「……さて。この喫茶店も、けっこう混んできたな」
友人「ココのダルイーズは、列確定後によく利用するのですがwww」
友人「COMIKE期間中でも混んでないのに、今日はヤケに混んでいますなwww」
友人「おっとwwwヤがついていても、そのままヤケという意味なので悪しからずwww」
少女「やっぱ雨だからですかねえ?」
男「今日は雨だから人少ないとかいうのは何だったのか……」
少女「……ん?」
少女「おっ、窓の外を見てください男さん、友人さん! 空、晴れてきましたよ!」
男「ああ。さっきから明るくなってきてたが、雨もやんできたみたいだな」
友人「雨雲レーダーでも、徐々に赤い部分が通過しつつありますなwww」
少女「コレはさっきのペキン、効果テキメンですね!!」
少女「やっぱりやまない、雨は無い!!」ガタッ
少女「もう一回、いっちゃいますよぉぉ――――!!!」ダンッ
男「やめろ! 店の中だぞ……!」
男「コラ待て片足をテーブルに乗り上げるなァァァ!!!!」
友人「んんwww男氏の声がイチバン大きいwww」
――西待機列 某所
男「さて、もうすぐ8時半だし、待機列に戻ってきたワケだが」
ザワザワ ザワザワ ザワザワ ザワザワ…
少女「なんだかんだで、人、多いですねえ……!」
友人「んんwww晴れたはいいが、気温が上がって蒸してきたwww」
友人「すなわち、ここから開場の10時までが、戦いの佳境ですなwww」
少女「勝負とは山場の一瞬で決するモノ! 頑張りますよーっ!!」
サワ…
少女「あ、でも、風が涼しい……」
男「うん……。気温が高ければ、風なんて吹いても熱風だが」
男「気温の低い朝の風は、こうも快いか……」
少女「かすかに聞こえる波の音、あまねく漂う潮の香り……」
少女「これぞ海に面した港町、ってカンジがします」
友人「でも少し……この風……泣いています……」
友人「…………」ジジジ
友人「……んんwww」
男「……? 友人、どうした」
友人「いや、今またスタッフの無線を傍受していたのですがwww」
友人「やはり今日は待機列の人が少ないとのコトwwwwww」
男「そうか。俺にはいつも通りの数に見えるが」
男「俯瞰で見れば、案外列が伸びてなかったりするのかな」
友人「だがwww少し気になるのがwww」
友人「既に入場している参加者が、気持ち多いというスタッフの発言ですなwww」
男「何……? まだ一般参加者が入場できる時間じゃないだろう」
男「……いや。そうか、……サクチケか。キナ臭いな」
スタッフ「然りwww加えて、スタチケの使用者もいるもようwww」
少女「何なに、どうかしましたか?」
男「既にサクチケやスタチケで入場しているヤツが多いらしい」
少女「スタチケ……? って、何ですか」
少女「サクチケはわかりますけど。サークルチケットのコトですよね」
友人「んんwwwスタチケとは、スタッフチケットのコトwww」
友人「サクチケと理由は同じwww当日、頒布物を買えないスタッフのためのモノですなwww」
少女「ああ、たしかに……。スタッフのヒトも、サークル参加者と同じで」
少女「COMIKE中は、自分の持ち場を離れられないから」
少女「気になる頒布物があっても、買いにいけませんもんね」
友人「また、COMIKEのスタッフはボランティアですがwww」
友人「連日の労働に対する、実質的な報酬という側面もありますなwww」
男「スタチケの場合も、サクチケと同じで、あらかじめ一人に配られる枚数は決まっている」
男「もっとも、全員が均一、というワケではないだろうがな」
友人「これらチケットを使用すればwww我ら一般参加者よりも早い入場が可能www」
友人「そんなチケット使用での入場者が今日は多いというハナシですなwww」
少女「なるほど。つまりそのヒトたちは、今日出てるサークルやスタッフの代わりに」
少女「頒布物を買うために、先に入ってる、ってコトですか!」
男「…………。まあ、そうだな」
少女「……なんですか、その沈黙は」
友人「……しかし、オカシイとは思いませんかな、少女氏www」
少女「え?」
友人「今日の一般参加者は、スタッフ自身が“少ない”と証言しているwww」
友人「なのに、チケットを使っての入場者は“多い”と、これまた別のスタッフの発言www」
男「……ちっ。そういうコトか」
少女「ど、どういうコトですか?」
少女「ええと。おハナシを聞く限りだと、チケットはサークルやスタッフのためのモノで……」
少女「別に一般参加者や、その数には関係ありませんよね?」
友人「いかにもwwwですが、こうも考えられませんかなwww」
友人「“一般参加者が少ないのは、チケット入場者が多いからだ”」
少女「……!」
男「むろん、参加者が少ない主な理由は、さっきまでの雨と、今日が女性向けの日であるコトだろう」
男「パっと見ればわかるが、COMIKEに限っては、男の参加者が多いからな」
男「だが……。それらがカモフラージュに利用されていたとしたら」
男「普通は、今日は雨だし二日目だから、人が少ない」
男「物事の表面だけ見れば、そう思うだろう」
友人「むろんwwwただの人間が天候や日程をどうこうするコトは出来ませんなwww」
友人「だが、あらかじめ予想される事象を、利用するコトができるのも人間だけwww」
少女「で、でも……。仕方なくないですか?」
少女「チケットを使って入場するヒトたちは、サークルやスタッフのために……」
男「本当にソレだけだと思っているのか」
少女「…………えっ」
友人「他の参加者よりも自分が早く入場したいと思うのは、単純な心理www」
友人「徹夜組や、我ら始発組とて、動機自体は同じですなwww」
男「それにだ……。すべてのサークルが、スタッフが、全日の頒布物を欲しいワケじゃない」
男「必然、チケットは余る場合もある。すると、どうなると思う?」
少女「……。早く入場したいヒトに、チケットを、譲る……?」
男「“無償で”譲るだけなら良いな。チケットの理念範囲内だ」
少女「……ちょ、ちょっと待ってくださいよ……」
友人「COMIKEのサークルの当落発表は、開催の数ヶ月前に行われるwww」
友人「そして、その時期になると、ネットオークションを湧かせる“商品”がありますなwww」
少女「……サークル、チケット……ですか……」
男「そうだ。サクチケやスタチケは、誰よりも早く入場できる魔法のチケット、という見方もある」
少女「そ、そんなの……。まちがってないですか!?」
少女「チケットは、当日のサークルやスタッフのためのモノなのに!!」
友人「もちろんチケットの転売行為は準備会に禁止されているwww」
友人「ですが、サクチケやスタチケに高額で取引される需要があるのも、また事実www」
男「当然チケットは、早くに入場し、貴重な大手の頒布物を手に入れるために使われるが」
男「そういった貴重な大手の頒布物は、貴重ゆえに金銭的な価値を持つ」
男「これをまたネットオークションで転売し、儲けるヤカラもいるワケだ」
少女「許せない……。そんなの、チケットが、ただの転売の引換券に成り下がってる!!」
少女「COMIKEはお金儲けのためのイベントじゃないでしょう!!?」
男「その思想は、あまり極端に振りすぎないほうがいいがな」
男「実際、COMIKEの開催によって近隣の印刷所やホテルが儲かるのは、正当な権利だし」
少女「……。でも……」
少女「サークルのヒトたちが、魂を込めて作った同人誌を、食い物にするなんて……」
少女「まちがってますよ……」
友人「んんwwwまあwww転売屋の是非は別としてwww」
友人「今日この場に、転売屋が多いかどうかは、我らの仮説に過ぎないwww」
友人「あまり本気にしすぎないほうがいいですなwww」
少女「……。はい……」
男「おどかして悪かったよ。あまり、気を落とすな」
男「ほら、エナジーバーでも食え」ポイッ
少女「……はい」モシャモシャ
男「…………」
男「それで、実際のところ、どうなんだ。友人」
友人「……んんwww」
男「その顔は知っている顔だな。正直になれよ」
友人「……今日のチケット入場者に、転売屋らしき人物が多いのは、まず間違いありませんなwww」
友人「というかソレそのものな、スタッフの発言がチラホラwww」
男「見た目で転売屋かどうかなんて、わかるモノかね」
友人「何年も毎回チケットで入場して、列に二周三周並んでるヤツはまちがいなくクロですなwww」
友人「そしてその領域になると、スタッフも顔を覚えているwww」
友人「また、死神氏も、実は同様の作戦で入場しましたなwww」
男「サクチケを持ってるな、とは思ってたが。ふん、推理そのものが受け売りだったか」
男「相変わらず、限りなくクロに近い部分を踏み込んでいくヤツだ」
友人「そうでもしなければ、と本人は言っていましたがなwww」
スタッフ「それでは列移動開始しまーす。並んでるヒトは前に進んでくださーい」
スタッフ「待機列ダイエットしまーす! 詰めてー!」
スタッフ「オイイイイイ!!! 今から入ろうとした奴はパンケーキだぁぁ!!!」
男「お……。もう8時半か」
友人「ここからは止まりつつ進みつつ、館内のいけるところまでマッシグラですなwww」
少女「…………」
男「……おい、何ぼーっとしてる。行くぞ」
少女「……え? あ、ハイ……」
――ビッグサイト 入口
l ̄ ̄li ,.、 ll ̄ ̄l
_______|__|l____,z_壬个爻_z、____l|__|______
\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;:、'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::::/
\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::/人\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::/ _,n_00 _n__ _,n_00 _n__
\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;//圭\\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;:/ └l n | └i┌z」 └l n | └i┌z」
,ィE\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::/イニニニニト、\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;::'::;:/ U U U U U U
, イ:l:l:E圭\;::'::;::'::;::'::;::'::;::'/イ三三三三三三ト\;::'::;::'::;::'::;::'::;::/
, イ:l:l::レ''´  ̄ ̄\;::'::;::'::;::':/iニニニニニニニニニニi\;::'::;::'::;::'/
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::l::レ''´∠二∠二∠, ヘ l三三三liil;;;;l ゝュ'/ _゙ヽ l;;;lil三三三lへヽ'二ヽ'二ヽ'二ヽ'二
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男「……さ、さすがに昼前の入場と違って、人も多いな……」
友人「ですがwwwこの、ウォーリアズ・ラダーを昇って逆三角形に向かう人々を見ているとwww」
友人「COMIKEに来ている、というカンジがしますなwwwwww」
男「まあ、たしかにな……。壮観ではある」
少女「…………」
男「おい。大丈夫か?」
少女「えっ? あっ、ハイ!!」
少女「大丈夫です! 私は、大丈夫ですとも!!」
男「…………」
男「顔が青白いぞ。目の焦点も、ところどころ合っていない」
男「あまり大丈夫とは言えんな」
少女「…………」
男「……。ムリはするな。汗をふけ」ポイッ
少女「あ……。ハイ」ゴシゴシ
男「それとスポーツドリンクだ。一気には飲まないほうがいいが、それでも苦しければ言え」ポンッ
少女「…………」ギュッ
少女「……すいません」
男「……なぜお前が謝る」
少女「私が、朝並びたいとか言ったからですよね。こんなコトになってるのは」
男「並びたいと言ったのがお前なら、並んでもいいと言ったのは俺だ」
男「お前だけの責任じゃない。自分を追い詰めすぎるな」
少女「……優しいんですね、男さんは。いつでも」
男「……はんっ。俺に任せやがれ」
友人「男氏、イケメン~」
男「うるせ。お前がぶっ倒れてたら天日干しにしてやる」
――ビッグサイト 逆三角形下
男「はー……っ。冷房だー……」
男「日陰だし、風は吹いてるし。なんだココはァ!?」
少女「い、生き返る~~~……!!」
友人「まさに天国ですなwww」
友人「ですが、このまま逝ってしまわぬよう注意をwww」
男「この場面で言うと冗談じゃないからな。な?」
友人「おうふwwwwww失礼wwwwww」
少女「……おや。また、列が二つに分かれていますね」
少女「最初の待機列選び以来ですが。今度はどちらに?」
男「今度も左が東ホール、右が西ホールか……」
友人「今回は迷わず東ホール行きですぞwww」
友人「もはや会話の時は終わり、いざ行動の時www」
友人「ヘタな小細工は無用の真剣勝負ですなwww」
少女「なるほど……。あとは押し通るのみ、というコトですか!!」
男「ここからが最終ステージだ。気を抜くなよ……!」
アナウンス『リンゴンリンゴンリンゴン! 一斉点検の時間だよ~』
アナウンス『晩鐘は汝の荷物を指し示した』
少女「……? なんですか、この放送」
男「ああ。昨日は気付かなかったが、COMIKEでは定刻に不審物の一斉点検を行っている」
男「一日に三回ほどだな。コレがその一回目、開場前のタイミングだ」
スタッフ「あ、このへん点検しますねー。不審物、不審者などいましたら、お声かけくださーい」
友人「了解しましたぞwwwwwwぴゃっwww」
男「お前がイチバンの不審者では……?」
――館内 東西連絡橋
少女「あれ……。ココは、昨日も通った気がする……」
男「ビッグサイトの東館と西館を繋ぐ、東西連絡橋だな」
友人「連絡橋といってもwww入口と出口以外、完全に密閉されている通路www」
友人「その出入口の狭さと、天井の低さから、ゴキブリホイホイなんて言われていますなwww」
少女「ゴキブリホイホイ……。たしかに、ソレそのものですね」
男「ゴキホイとか誰が言い出したんだろうな。ドンピシャすぎる」
友人「言い得て妙な俗称というモノは世代を超えて受け継がれるモノですなwww」
少女「……しっかし、アッッッづゥイ゙ぃぃぃっっ!!!」
少女「む……。蒸し焼きになる……」
男「ぐぅ……。この狭い通路に、バカみたいな量の人が集まって、熱気がスゴい……」
友人「んんwwwココは、早朝からCOMIKEに並ぶ者にとって、最大の難所www」
友人「実際にゴキホイに並ぶのは、わずか十数分www」
友人「しかして、この地獄は、今までのすべての待機時間の苦しみに匹敵するwww」
少女「ふやけちゃいます。ふやけちゃいますよぅ」
友人「ゴールまで、あとほんの少しwww頑張りますぞwww」
ゴゴゴゴゴゴ…
男「なっ? なんだぁッ!?」
ゴゴゴゴゴゴ…!!
少女「きゅ、急に地鳴りが……! これはいったい!?」
ゴゴゴゴゴゴ…!!!!!!
友人「んんwwwwww我にもわかりませぬwww」
待機列「お……、おい! アレを見ろ!!」
待機列「窓が! ―――ああ、窓が!!!」
ゴゥン… ゴゥン…!!
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男「ご、ゴキホイの……」
少女「窓が、開いた……っ!?」
友人「んんwwwまさか、ゴキホイが変形するとはwwwwww」
友人「不覚にも男のロマンをくすぐられてしまいましたぞwww」
友人「それもゴキホイにwwwwww」
待機列「うおお、涼しいー……!!」
待機列「ゴキホイ最高ォォォーーー」
少女「皆さん、換気の雄叫びを上げています!」
男「その漢字で間違いないんだな? ……と。来るぞ!」
アナウンス『お待たせしました。ただいまより、COMIKE 92――――』
アナウンス『二日目を、開催します!!』
ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
待機列「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」
ババババババババババババババババババババババババババババババ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
少女「おおっ、これは! 昨日は、外で聞いていた……!」パチパチパチ
男「ああ。スゴいだろう、間近で見る拍手は」パチパチパチ
友人「奇跡のカーニバル 開 幕 だ 」
待機列「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!」ドドドドドド
待機列「突撃だああああああああああああ」ドドドドドド
少女「あっ、皆さん一斉に走り出しました! 私も……」
男「待て! 動くな!!」
少女「え……!?」
友人「んんwwwこんな光景を、つい最近、どこかで見かけませんでしたかなwww」
スタッフ長「―――走らないでください」ザッ
スタッフ長「―――ゆっくり。ゆっくり、ご移動お願いします」
| |
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少女「あ、あれは。……こ、国際展覧場駅の……!」
男「300人の、スタッフ兵……!!」
待機列「うおおおおおお俺が一番乗りだああああああ」ドドドドドド
待機列「どけどけどけェェェェェェェェェェェェ」ドドドドドド
スタッフ長「我らは参加者を守るために存在する」
スタッフ長「そのためならば、参加者を害するという、ムジュンさえ呑み下そう」ジャキン
スタッフ長「選ばれし300人の精鋭よ!! 武器を取れ!!」
スタッフ「「「「「「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」
コ ミ ケ ッ ト
スタッフ長「 C o m e G e t (来たりて取れ) !!!!!!」
スタッフ「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」ドドドドドド
待機列「「「「「「うああああああああああああああああああ!!!!!!」」」」」」
待機列「徹夜で並んだのに、こんなところでぇぇぇぇぇぇ」グサグサグサ
スタッフ「ルールを守らぬからだ……」ビチャァ!!
待機列「なのはは!!! 永遠です!!!!!!」バタッ
少女「血祭り!! アレは完全に血祭りですよ!!」
男「いや……。あの最前列に並んでいるならば、おそらく歴戦の徹夜組だろう」
男「徹夜組は、ああ見えて精強だ。槍の十突きや二十突きでくたばりはしまい」
友人「しかし傍目には、コレで徹夜組が制裁を受けているように見えるwww」
友人「一種のプロレスですなwwwwww」
少女「そ。そーなんですか……」
スタッフ長「仕留めた徹夜組の首は、逆三角形の前に晒せぇぇぇぇぇぇ」
スタッフ「「「「「「うおおおおおおおおおおおお」」」」」」
男「そんなコトより、早く黒ずくめさんのサークルに向かうぞ」
少女「は、ハイ! ええと、どっちに……」
友人「コチラですなwwwゴキホイを通りぬけて、通路に出ますぞwww」
――東館 館内 2階
友人「東ホールへの入口は、ココの1階ですなwww」
少女「わあ、もうスゴい人の数……!!」
男「降りるぞ! 乗り遅れるな!」
友人「エスカレーターへフリーフォールですぞwwwwww」
――東館 ホール内
黒ずくめ「新刊2部ですね。ありがとうございます」
売り子「コチラ黒ずくめ、限2となっておりまーす」
少女「ありました! あのサークルですよね!?」
男「ああ、そうだな。……だが」
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八从人从八__}
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r-‐‐- 、 ヽ /.|/
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======={. |/ /.:::::::::::::::::::::::::::::: : | 〔二二}i:」|. | | | |二二
少女「ものすごく、並んでいます……!!」
男「くっ……。壁というからには、人気なのはわかっていたが……」
男「これほどか!? さすがに異常だ……!!」
友人「…………」
男「おい、友人!!」
友人「……んん、なんですかなwww」
男「この行列の最後尾はどこだ? まったく見えんぞ……!」
少女「最後尾には何か目印とかないんですか!?」
友人「最後尾なら、サークル名が書かれたカンバンを持っている者がいるハズですがwww」
少女「わかりました! カンバンですね、探してきます!」タタッ
友人「…………」
男「……おい。さっきからどうした」
男「ホールに入ったとたん、黙りこくって」
友人「……男氏、悲報ですぞ」
男「は?」
友人「“悪いニュース”と、“もっと悪いニュース”。どっちから聞きたいですかなwww」
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