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    元スレ提督「墓場島鎮守府?」

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    151 = 1 :

    特警3「魚雷だというのに、とんでもない、爆音ですな……」

    特警4「なんと、容赦ない……」

    A提督「……き、北上! もういい! もう、十分だ!」

    北上「あ?」ハイライトオフ

    A提督「……お、終わりだ! もういいぞ北上!!」

    北上「あー、そう。終わりでいいんだね?」ニコ

    A提督「あ、ああ。よくやった。よく処断してくれた。あそこまで容赦ないとは思わなかったが……」

    北上「そーぉー? ……この北上様は、誰にだって容赦しないよ」


    北上「もちろん、てぇとくー? あんたに対しても、ねぇ?」ニヤァ


    A提督「……っ!」ゾッ

    A提督「はは、じょ、冗談がきついな。ご苦労だった、ゆっくりと休め」

    士官「……A提督、近くに他の鎮守府の艦娘の反応が」ヒソッ

    A提督「……わかった、引き上げるぞ」

    A提督「よし、では速やかに帰投せよ! 急げ!」

    152 = 1 :

     * A提督鎮守府 トイレ *

    北上「はぁぁ……」

    北上「……うぶっ……うえ、げぇぇぇ……」

    北上「おぐぅえぇぇ……げほっ、げほ……」

     ジャーッ

    北上「……あ゛ー、気分わる……はぁ……」

    北上「!」

    「北上さん……」

    満潮「……ねぇ……大丈夫なの?」

    北上「んん? あー……どっか行きなよ。駆逐艦なんかに心配されるよーな、北上様じゃないよ」シッシッ

    「……」

    満潮「……」

    北上「ほらー、うざいからさっさと……」

    「嫌」

    北上「……」

    満潮「残念だけどね、私たちは北上さんを手伝ったのよ……他人とは言わせないわ」

    「だから、一緒にいる……一緒にいたい」

    153 = 1 :

    北上「……」

    「……北上さん」

    北上「……駄目だから。どっか行きなよ」

    満潮「なんでよ!」

    北上「だって……」



    北上「今、ゲロ臭いし」

    「」

    満潮「」

    北上「……ぷ。なにさ、その顔」

    満潮「ちょ……心配したのよ!?」

    「……」ムス

    北上「ひひっ……あー、はいはい。ついてきたいんなら、まー……適当に、ついてきなよ」

    満潮「適当にって……ああもう、わかってるわよ! ついて行くわ!」

    「……」コクン



    北上「……ありがとね。あんたたち」ヒソッ

    154 = 1 :

    とりあえずここまで。

    次回は敷波の予定。

    156 :

    続きです。

    157 = 1 :

     * 少し時間をさかのぼって 墓場島付近の外洋 *

     ザザーン

    敷波(小破)「……あー、いい天気」

    敷波「こういう穏やかな海は久しぶりかなー」

    敷波「……」

    敷波「はぁ……」

     * 回想 B提督鎮守府 *

    敷波「だから言ったじゃんかさー、電だって心配してたでしょ?」

    B提督「うるさい! 電がいなくても作戦は遂行できる!」

    敷波「目先の戦果に釣られて電を失ってから、ずーっと海域突破できてないじゃん。ショックなんでしょ?」

    B提督「……そんなことはない!」

    敷波「そう言ってもさ、今回の作戦が成功したら中将の配下に入れるチャンスだっていうのに、被害しか増えてないよ?」

    敷波「評価が下がるのは仕方ないにしてもさ、焦らないでいったん引いたほうがいいと思うんだけどなー。士気にも関わるよ?」

    B提督「だ、黙れ敷波! いくら付き合いが長いとはいえ俺は上官だぞ! 言って良いことと悪いことがある!」

    敷波「えー、なにそれ! 今の話のどこが悪いって言うのよー! 初期艦だった電まで犠牲にした司令官は悪くないっていうの!?」

    B提督「……うるせえ! ああ、そうかよ! 電がいなきゃ駄目だって言ってんだなお前は!」

    B提督「だったらお前が電を探して連れてこい! 探し当ててくるまで戻ってくるな!!」

     * 回想終わり *

    158 = 1 :

    敷波「……はぁ」

    敷波「馬鹿だよねー、あたしも。頭に来てたのは本当だから、しょうがないけどさー」

    敷波「燃料も弾薬もほぼ空っぽ、そして艦影もなし、孤立無援っと」

    敷波「あーやだやだ、3日も独りきりだと独り言が多くなっちゃってさー」

    敷波「……」

    敷波「どっか停泊できる島とかあればいいんだけど……んー?」

     ドーン

    敷波「? なに? 今の爆発音」

     ドーンドーンドーン

    敷波「……な、なんかたくさん聞こえるんだけど」

     ドーンドーンドーンドーンドーン

    敷波「やっばいじゃん……すごい激しい戦闘してる? 大艦隊が来てるのかな」

    敷波「……」

    敷波「……で、でも、あたしが行ったって、役に立てないだろうし……」

    敷波「……」

    敷波「気になる……ち、ちょっとだけ、見に行こうかな……」

    159 = 1 :

     * * *

    敷波「確か、もう少し行ったあたり、かな……!?」

    魚雷 <シャァァァァ

    敷波「うえっ!? もしかして流れ弾!? やっば、回避できな……!」

     ドォォォォンン!

    敷波「くうっ!? う、げほげほっ! す、すごい煙! ……って、あれ?」

    敷波「直撃したのに殆ど被害なし? ……ど、どういうこと?」

    魚雷 <シャァァァァ

    敷波「うわ、また来た! 回避回避っ! っていうか多すぎだよ!」ザザッ

    敷波「……向こうの音がやんだ……終わったのかな?」

     ザァァッ

     * * *

    160 = 1 :

    敷波「確か、この辺だよね……」キョロキョロ

     ザバッ ガシッ!

    敷波「うわあ!? だ、誰!? 潜水艦!?」ビクーッ!

    敷波「ち、違うや、艦娘の手だ!」ガシッ

    敷波「ああもう、今引き上げるから……って、重っ!?」グイーッ

    敷波「!? やばっ、なんか流されてる! 早く引き揚げないと!」

    敷波「こ、このぉ……っ!!」

     ザバーッ

    (大破)「……!」ゼェッゼェッ

    敷波「や、やっと、引き揚げられた……!」

    「ま、だ……よ……! もう、二人いるわ……!」ゲホッ

    敷波「……ええ?」

    「このロープを引っ張って……手伝って!」

    敷波「……ああもう、なんなんだよお!」グイーッ

     * * *

    161 = 1 :

     * * *

    朝潮(大破)「ありがとう、ござい、ます……明石さん、しっかり……!」ボロッ

    明石(大破)「は、はい……」ボロッ

    敷波「ちょっとー、3人がかりであたしに寄りかからないでよ! 重いってば! あたし駆逐艦なんだから!」ヨロヨロ

    「し、仕方ない、でしょ……あんたしか、まともに航行できないんだから……」

    敷波「うーん、それなんだけどね。あたし、もう燃料ないんだー」

    霞明石朝潮「「「え」」」

    敷波「だからもう、潮の流れに任せて漂うしかないんだよね」

    霞明石朝潮「」

    敷波「絶句されても困るんだよね。あたしももう3日間ずっと補給なしだし」

    敷波「それにあたし、家出したようなもんだから戻る鎮守府もないしさー」

    敷波「そういうわけなんだけど、あたし一人で寂しかったからさ、気長におしゃべりしよーよ! ね?」

    「」シロメ

    明石「」キゼツ

    朝潮「」シッシン

    敷波「ちょっとおー!? 一人くらい目を覚ましてよーー!!」

    敷波「もー……どんどん流されてるし……ん? あれ、島かな? 良かったあ、これで休める……」

    162 = 1 :

     * その日の夕方、墓場島北西の砂浜 *

    敷波「」スヤァ…

    「」Zzz...

    朝潮「」ムニャムニャ…

    明石「……う、うう、ん……ここは……?」

    提督「おい、風邪ひくぞ」

    明石「うひゃああ!?」ガバーッ

    提督「随分とぐっすり寝てやがるな。何しに来た」

    明石「えっ、何をしに、って、その……」

    提督「……」

    明石「……えーと、ここ、どこでしょう? 私たち、流れ着いたんだと思うんですが……」

    提督「なんだそりゃ……とりあえず、自殺志願者じゃあねえんだな?」

    明石「は、はい! 死ぬ気はないです! ……で、ここ、どこなんでしょう?」

    提督「どっかの誰かが『墓場島鎮守府』とか呼んでる場所だ」

    明石「墓場!?」

     * * *

     * *

     *

    163 = 1 :

    ・艦隊に、敷波、明石、朝潮、霞が加わりました。


     * 数か月後、入渠ドック内 *

    明石「なんてことがありましたねえ。よくもまあ、無事にこの島に流れ着いたなあって思いますよ」

    長門(中破)「……もしかして、そんな艦娘ばかりなのか?」

    明石「ええ。この前も、初春ちゃんと暁ちゃんが漂着してきまして……」

    長門「そして、今回は私と潮が流れ着いた、と」

    明石「長門さんと潮ちゃんはレアケースですね。轟沈しないでこの島に辿り着いたのは、今までだと敷波ちゃんしかいませんでしたから」

    長門「……酷い話だ。提督もよくこんな島で提督を続けていられるな」

    明石「海軍将校のくせに人間嫌いだって話ですから。こんな島だからこそ働けているのかもしれませんよ」クス

    長門「信用できるんだろうな、その男は?」

    長門「人間が嫌いなら、同じように個性を持つ艦娘にも良い感情は抱いていないだろう」

    明石「ところがそうでもないんですよねえ……」

    明石「多分ですけどね」ヒソッ

    明石「提督も、人間にはいい思いをしてないみたいなんです。だから、私たちみたいに人間にひどい目にあわされた艦娘には、同情的らしいです」

    長門「……屈折しているな」ヒソッ

    明石「かもしれませんね」


    ・艦隊に、暁、初春、長門、潮が加わりました。

    164 = 1 :

    今回はここまで。

    166 :

    舞台がいきなり変わります。

    167 = 1 :

     * 本営そばの居酒屋 *

    Y「うちの鎮守府についに金剛が来たぜ!」

    V提督「マジか、やったな!」

    U「お、ついに俺たち同期の中で初の高速戦艦か!」

    Y「苦労したぜえ~! これで深海との戦いが楽になったってもんよ!」

    W「戦艦はいいぞ! うちの伊勢も大活躍だぜ!」

    X「みんないいなあ、うちは重巡すら来てないよ」

    U「Xはのんびり屋だからな、まあ焦ることはねえよ」

    W「よぉし、俺たちの戦力強化を祈念して、乾杯だー!」

    「「おおー!」」

     * * *

     * *

     *

    168 = 1 :

    *それから1か月後*

    U「どうよ、お前さんとこの戦艦、うまくやれてるか?」

    Y「金剛型が揃ったのはいいんだがよ……比叡には困ったもんだ」

    U「ああ、比叡か……やっぱり飯つくりたがるのか?」

    Y「そうなんだよ! この前食堂が立ち入り禁止になって、何かと思ったら比叡カレーの異臭騒ぎでよ!」

    U「うちもだよ! うちにあった食材全部使ってだめにしやがったんだ! 厳重注意したけど、まいったぜあれは……」

    V提督「そ、そんなにひどいのか?」

    Y「お前んとこは榛名だけだったか? 比叡が来たら気をつけろよー」

    U「そうそう、飯のありがたみがすげーわかるぜ」

    X「そんなにひどいの?」

    W「個体差があるみたいだぞ。俺の先輩のとこにはカレーだけが致命的にまずい比叡もいるみたいだし」

    X「ふーん」

    W「で、お前んとこはまだ戦艦こねえの? うちには日向と扶桑が来たけど」

    X「来ないなあ。この前大型建造やったらしおいちゃんだったし……」

    U「」

    Y「」

    V提督「」

    W「」

    X「えっ、なにその顔、みんなどうしたの」

    169 = 1 :

     * 数日後、V提督鎮守府 *

    V提督(そしてついに……うちの鎮守府にも、比叡が来た)

    比叡「比叡です! よろしくお願いします!」

    V提督「ああ、よろしく頼む。金剛型はお前のほかには榛名がいる、仲良くやってくれ」

    比叡「はいっ! ありがとうございます! 不在の金剛お姉様の分まで頑張りますね!!」グッ

    V提督(……なんだ、いい奴じゃないか)

    V提督(だが、料理の腕前は殺人級……絶対に厨房には立たせないようにしないとな)


     * 数日後、厨房 *

    比叡「ふんふんふ~ん♪」グツグツグツ

    榛名「比叡お姉様!? いったい何を!?」

    比叡「あ、榛名! 司令に召し上がっていただくお料理を開発してたの! ちょっと見てくれる?」


    異臭を放つ鍋「」ムラサキイロー


    榛名「……」ムラサキイロー

    170 = 1 :

    比叡「どうしたの?」

    榛名「いえ、これは一体?」

    比叡「紫色のジャガイモを使ったカレーなんだけど……」

    榛名「ジャガイモ、とけてどこにも見当たらないんですが……」

    比叡「とけたほうがおいしいって言うし、どうかな?」

    榛名「あの、比叡お姉様? 味見はしました?」

    比叡「してない」

    榛名「それではだめです!」クワッ

    比叡「ヒエッ!?」

    榛名「作ったお料理の味は自分の舌で確かめないといけません!」

    比叡「そ、そう? おいしいと思うんだけど……」

    比叡「」パクッ

    比叡「……」

    榛名「……」

    比叡「……」ムラサキイロー

    榛名「!?」

    比叡「」バターン

    榛名「比叡お姉様ーー!?」

    171 = 1 :

     * 比叡と榛名の部屋 *

    比叡「ひえええ!?」ガバッ

    榛名「きゃあ!? ひ、比叡お姉様! 大丈夫ですか?」

    比叡「こ、ここは?」

    榛名「私たちの部屋です。比叡お姉様は、自分の作ったカレーを食べて気を失ったんですよ」

    比叡「……ヒエー」

    榛名「比叡お姉様があの料理に使った調味料を見ましたが、めちゃくちゃです。あんな組み合わせでは味覚がおかしくなってしまいます」

    比叡「おいしいと思ったものをいろいろ入れてみたんだけど……」

    榛名「あれでは駆逐艦に41センチ連装砲を持たせるようなものですよ。バランスが悪すぎて転覆してしまいます」

    比叡「バランス……」

    榛名「はい。潜水艦には対潜装備、空の相手には対空砲……戦う相手によっても装備を変えますよね」

    榛名「お料理も似てると思うんです。からいものでも甘いものでも、余計なものをいれないで、狙いを定めて作るものだと」

    比叡「……」

    榛名「そして、榛名は、味見が一番大事だと思います。食べてくれる人がおいしいって言ってくれるかどうかは、そこで決まると思うんです」

    榛名「斜角や射撃制度を調整するための、演習や試射。料理で言うなら、味の微調整をするためにするのが、味見」

    榛名「どちらも同じくらい大事だと、榛名はそう思います」

    比叡「榛名……!」

    172 = 1 :

     * その後の厨房 *

    比叡「んむむむむ……榛名、これ、どう思う?」

    榛名「甘さがありませんね……」

    比叡「でも、ここにお砂糖入れると、変に甘くなっちゃって。どうしたらいいと思う?」

    榛名「……では、みりんを加えてみてはどうでしょうか?」

    比叡「みりん……って、何?」

    榛名「Oh...」

     * *

    榛名「どうしたんですか、その手!」

    比叡「大根のかつらむきがうまくいかなくて……」

    榛名「……この包丁、刃が波打ってます。どうしてこんな包丁を使ってたんですか」

    比叡「でもほら、弘法は筆を選ばずって」

    榛名「比叡お姉様はまだ弘法大師様ではありません」

    比叡「はい……」

     * *

    比叡「どうやったらカレーがもっとおいしくなるかなあ……」

    榛名「比叡お姉様、どうして焼肉のたれを見ながらカレーの話題になるんですか」

    比叡「焼肉のたれを隠し味にカレーに入れるって聞いたから、どうなのかなーって。しょっぱくならない?」

    榛名「そうですね……成分表を見てみるといいと思います」

    比叡「……果物も入ってるんだ。りんごとか試してみようかな?」

    173 = 1 :

     * そして *

    榛名「比叡お姉様……」

    比叡「……」ドキドキ

    榛名「美味しいと思います。このカレーでしたら、どこへ出しても恥ずかしくありません」ニコ

    比叡「ほ、本当!?」

    比叡「良かった、本当に良かったぁ……!」

     * *

    V提督(……ついに、比叡の作ったカレーが、ここにきた)

    榛名「提督、どうぞお召し上がりください。榛名は整備がありますから、30分後にまた来ますね」

    V提督「あ、ああ……」

    V提督(いい匂いがする……しかし作ったのはあの比叡)

    V提督(同期の連中が言うには、胃薬じゃなく病院を用意しておけとまで言われたあの比叡カレー)

    V提督(しかし……)

    カレー「」ホカホカー

    V提督(うまそうなんだよな……ええい、一口。まずは一口だ!)パクッ

    V提督「……」モグモグ

    V提督「……」モグモグ

    V提督「……」ゴクン

    V提督「……うめえ」キラキラキラッ

    V提督「どういうことだ!? あいつら、嘘言いやがったのか!?」ガツガツ

    V提督「……スプーンが止まらねえ」ガツガツ

    174 = 1 :

    カレー皿「」カラッ

    V提督「……うまかった……」クチモトフキフキ

    V提督「ほ、本当に比叡が作ったのか……?」

    榛名「失礼します。……あ、提督! いかがでしたか? 比叡お姉様のカレー!」

    V提督「あ、ああ……うん。ま、まあまあ、だな」

    榛名「え……ま、まあまあ、ですか……?」

    V提督「……ああ……さ、下がっていいぞ」

    榛名「は、はい。お下げします……」


     * 数日後 本営そばの居酒屋 *

    U「ああ!? 比叡の作ったカレーを食ったぁ!?」ヒック

    Y「あれをか!? 全部食ったのか!?」ヒック

    V提督「……そんなに引くことか?」

    U「お前ん家、そんなに貧乏だったっけか?」

    Y「だよなあ。天地がひっくり返っても比叡のカレーをうまいだなんて言う奴はいないと思ってんだけど……」

    U「お前、相当な味覚音痴だったんだな……」

    Y「あれ食えるとか人間じゃねえぞ? 一度病院行ってみてもらったほうがいいんじゃねえの?」

    V提督「……」

    X「……そこまで言う?」

    W「とはいえ、俺のところにはまだ金剛型が来てないからな。無責任なことは言えん……お前のところもまだか?」

    X「……うん。いまだに戦艦が来ないんだよねー。Wのところには山城が来たんでしょ?」

    W「ああ。……お前んとこの主力は?」

    X「まだ軽空母の祥鳳さんと……まだまだ軽巡が主力だね。あとは潜水艦かなあ……あ、最近ドイツから駆逐艦が来たんだ」

    W「は?」

    175 = 1 :

    今回はここまで。

    177 :

    比叡くるんかな

    178 :

    そしてここから胸糞展開なんだ、申し訳ない。

    続きです。

    179 = 1 :


     * それからまた数日後、V提督鎮守府 *

    比叡「……どうしたらいいんだろう」ブツブツ

    榛名「……」

    榛名(いまだに提督から「おいしい」の一言をいただけてません……)

    榛名(ほかの艦娘たちも口を揃えて「おいしい」と言ってくれるのに……)

    榛名(提督だけは、いまだに言いよどんで……)

    比叡「もっと薄味か好みなのかな? ……あんまり濃すぎるのも……」ブツブツ

    榛名(比叡お姉様はこんなに苦しんでいるのに……提督は、いったい何を躊躇してらっしゃるんでしょうか)

    180 = 1 :


     * 更に数日後、本営そばの居酒屋 *

    U「絶対おかしいだろ! 比叡の飯がうまいとかよぉ!」ヒック

    Y「お前と一緒に酒を飲むのもこれっきりかなあ!」ヒック

    V提督「……うるっせえな」ヒック

    U「いやいや、V提督の鎮守府の連中全員味覚がおかしいんだろ」

    Y「そーだよなー、比叡が飯作ってるってことは、他の艦娘も比叡の飯食ってるってことだもんなー」

    U「勘弁して欲しいぜー!」

    Y「ぎゃはははは!」

    V提督「……だったら、お前ら俺の鎮守府に来てみろよ」

    V提督「食ってから文句を言えよ!」ダンッ

    Y「あー、中毒性あるんだろ? 行きたくねえなあ!」

    U「まったくだ! うちの厨房だけでお腹いっぱい吐き気いっぱいだよなぁ!」

    W「ったく、毎度毎度……付き合わされるのが馬鹿馬鹿しくなってきたな」

    X「僕もこの飲み会に来るのやめようかな。やっと戦艦が来てくれたし、彼女に馴染んでもらわないといけないから……」

    W「もしや、ビスマルクか」

    X「うん。よくわかったね」

    W「ここ最近の話を聞けばな。さて、俺も今後はお暇させてもらうか。帰って鈴谷と新しい瑞雲を開発しないと」

    X「……」

    181 = 1 :

     * 更に数日後、V提督鎮守府 *

    V提督「そういうわけで、客人を4人招くことになった。比叡に料理の準備をさせてくれ」

    榛名「わかりました」



    比叡「お客様ですか?」

    榛名「はい、提督のご友人だそうです」

    比叡「……なるほど、これは御召艦として気合いを入れて腕を振るわないといけないですね!」

    榛名(……これも、比叡お姉様の晴れの舞台……なのに)

    榛名(この胸騒ぎは一体……!)

     * *

    榛名「提督、ご友人の皆様がお見えになりました!」

    W「失礼する。お招きいただき感謝する」

    U「むしろ感謝して欲しいけどな?」

    Y「よお、V提督、来てやったぜ!」

    X「お邪魔します」

    Y「で、わざわざ俺たちを招待してまで、お前の艦娘の手料理食わせたいってか」

    U「勘弁して欲しいぜ……」ゲンナリ

    W「……」

    X「……はぁ」

    182 = 1 :


    V提督「お前ら、比叡の作った飯がまずいって言ってたよな。まあ、いいから食ってみろよ」ニコー

    榛名「お待たせいたしました」ガチャ

    U「!?」

    Y「!?」

    W「!」

    X「!」

    V提督「……」ニヤニヤ

    Y(なんだ、この食欲をそそるいい匂いは……!)

    U(ウソだろ……これが比叡の料理だって?)

    W(参ったな。匂いだけでよだれが出てきたぞ)

    X(いい匂い……なんていうか、品のいい匂い!)

    V提督「俺の鎮守府の比叡が作ったカレーだ。なあ、比叡?」

    比叡「はいっ!」ムネハリー

    榛名(比叡お姉様、報われて良かった……)ニコ

    V提督「……食べないのか?」

    Y「い、いや、そんなことは……」

    U「……と、とりあえず、食べるか?」

    W「ああ……いただきます」パク

    X「いただきます!」パク

    183 = 1 :


    U「……WとXが食った……」

    Y「……お、おい、どうなんだ?」

    W「これは……!」キラキラキラッ

    X「んんん!!」ペカーッ

    W「こんなに美味しいカレーは初めてだ……!」モグモグ

    X「うん! うんっ!!」パクパク

    比叡「やりました!」フンス

    榛名「良かった……!」

    U「……まじかよ」

    Y「……お、俺たちも……」オソルオソル

    V提督「ん? 俺の味覚がおかしいとか、そういう話じゃなかったのか?」

    U「い、いや……」

    Y「……そうじゃなくてだな、俺たちも実情を知らなかったし、なあ」

    V提督「食べるのか」ニヤリ

    U「あ、ああ……」

    Y「……そ、そう、だが……」

    V提督「これをか?」

    V提督「お前らが言う『こんなもの』を、か?」グッ

    184 = 1 :


     ポイ

     ガチャン

    X「!?」ビクッ

    U(自分のカレーを……)

    Y(皿ごと投げ捨てた!?)

    W「な!?」アゼン

     シーン

    U「……」

    Y「……」

    X「……」

    W「……」

    V提督「お前らが散々まずいと言ってきたんだぞ? それを捨てて見せただけだ。なんでそんなに驚いてる?」

    V提督「お前らは自分の鎮守府で、同じことをしてきたんだろ!? 同じことをしてやったんだ!」

    V提督「これがお前らが貶めてきた『こんなもの』だ! お前らはこんなもの食えないんだろう!? どうなんだ!?」

    V提督「食えよ。食って見せろよ! おまえらにとってはこんなもんなんだろう!? ああ!?」

    U「……い、いや、それは……」

    Y「……それとこれとは、話が……」

    185 = 1 :


    W「V提督……お前、何をしてるんだ!!」ガタッ

    V提督「あ?」ジロリ

    W「あ? じゃない。お前は……どうかしている」

    V提督「……」チッ

    W「……会食の空気ではないな。悪いが帰らせてもらう」

    榛名「は、はい……」ボウゼン

    比叡「」コウチョク

    W「……大変、申し訳ない。私はこれで失礼する……!」ペコリ

    U「お、おい! W!! 待てよ!」ガタガタッ

    Y「……邪魔して、悪かった」ガタッ

    X「ご、ごちそう、さまでした……!」ペコリッ

    V提督「……」

    V提督「……」

    V提督「……ちっくしょうが!!」ガンッ

    186 = 1 :


     * 一週間後 V提督鎮守府 *

    V提督「なんだこの飯は!」ガシャアン

    「うう、ここ最近V提督が荒れてて怖いよ……」

    「比叡さんも全然厨房に立たなくなっちゃったし……」

    「比叡さん、このところ食事も食べてすらいないでしょ? 今回の作戦、不安だよ」

    榛名(大破)「……」ユラッ

    「は、榛名さん!? いつ戻ってきたんですか!?」

    「どうしたんですかその怪我っ!!」

    「早く入渠ドックに……!」

    榛名「……その前に、提督にご報告しないと」ニコ

     スタスタスタ…

    「……榛名さん、すっごく怖かった……」

    「ね、ねえ、比叡さんは?」

    「そういえば……」

    187 = 1 :


     * 執務室 *

    榛名「ただいま、戻りました」

    V提督「榛名か。その顔……作戦は失敗か」

    榛名「はい」

    榛名「旗艦、戦艦榛名が大破。随伴艦の重巡2隻と軽巡2隻は全員中破……」

    榛名「そして、戦艦比叡が、轟沈しました」

    V提督「……なに?」

    榛名「復唱いたします」

    榛名「旗艦榛名、大破。重巡2隻、軽巡2隻は全員中破。戦艦比叡、轟沈」

    V提督「……なぜだ」

    榛名「……」

    V提督「答えろ榛名!! なぜだと訊いている!」

    榛名「比叡お姉様は大破した後、艦隊を離脱するように戦闘海域へ進路を取り……そのまま交戦に入りました」

    V提督「……!」

    榛名「帰還しようとした私たちの制止も聞かず……ふらふらと海へ……」

    188 = 1 :


    V提督「……」

    榛名「提督。重巡と軽巡の4名をドックに入渠させてください。榛名には必要ありません」

    榛名「榛名は……もう大丈夫ではありません」ツー

    榛名「これを、受理していただくようお願いいたします」スッ

     『解体願』

    榛名「……お世話になりました。失礼いたします」フカブカ

    扉 <パタン

    V提督「……」

    V提督「……は」

    V提督「は、ははは……!」

    V提督「……」

     ガンッ ズダンッ ガァンッ





     ドンッ

    189 = 1 :

    今回はここまで。

    190 :

    あけおめおつん

    191 :

    乙乙。
    大丈夫、過去の時間線って理解してるから
    まだ傷は浅い……

    192 :

    ことよろと続きです。

    193 = 1 :


     * 二日後 墓場島鎮守府、入渠ドック内 医務室 *

    (包帯をぐるぐる巻きにされた比叡がベッドの上で目を覚ます)

    比叡「……」

    比叡「……?」キョロ

    「!」

    「し、司令官!! しれーかーーん!!」

    「比叡さん、目を覚ましたわ!! しれーーーかーーーーん!!」

     タタタタッ

    比叡「……」

    比叡「……」キョロ

     タタタタッ

    「ほら! ちゃんと起きてるわ!」

    提督「ん、ああ、目ぇ覚ましたのか。骨ガラになってたから、もう目を覚まさないと思ったんだが」

    「司令官!? ひどいこと言わないでよ!」

    194 = 1 :


    比叡「……?」ムク

    比叡「!」ズキッ

    提督「ああ、無理すんな。それよりお前、頭は大丈夫か?」

    「司令官!? そんなでりかしーの無い言い方しちゃだめよ!」

    提督「……」

    比叡「……」ボンヤリ

    「……ちょ、ちょっと司令官! 無視しないでよ!」

    提督「落ち着け暁。比叡……だったか、まだ受け答えできねえか」

    「きっとお腹がすいてるのよ! ほほもこけてて、腕だってこんなに細いし!」

    提督「そうか。んじゃあ飯は比叡は暁に任せる。頼んだぜ」

    「え!? わ、わかったわ! 暁に任せなさい!」

     * *

    「とは言ったものの、お料理は自信ないわ……」

    「料理の上手な人にお願いして作ってもらうと良いのです」

    「だ、だめよ! 暁が任されたんだから、暁が頑張らなきゃ!」

    「それなら、上手な人に先生になってもらうのです」

    「……そ、そうね! 先生になってくれる人……っていうと……」

    195 = 1 :


     *

    長門「それで、私に教えを乞いたいと」

    「はいなのです。長門さんならお願いできると思って……」

    「お願いします!」ペコリ

    長門「……比叡の容体を明石にも診てもらったが、芳しくない。私も彼女の顔を見てきたが、彼女は生きる希望を失っている。あのまま沈めてやっても……」

    「だ、駄目よ! 本人はまだそんなこと言ってないもの!」

    長門「……暁。厳しいことを言うが、お前はあの比叡を背負って生きていけるか?」

    「え?」

    長門「私が知る比叡は、明るく、力強い、ちょっとやそっとじゃへこたれない、活力の溢れる艦娘だ」

    長門「その比叡があのように自失茫然として無反応になったのだ。彼女が何を経験してきたのか、もはや想像できるレベルではないと考えている」

    「そんな……」

    「……」

    長門「彼女を救おうとしても、どうなるかわからんぞ? 下手をすれば暴れだすかもしれん。それでも助けようと言うのか?」

    「……助けるわ。暁はレディーだもの。後悔したくないし、全力を尽くすわ!」

    長門「そうか。フフ、レディーか……悪くない」

    長門「暁。比叡はここ数日何も食べていない。凝った料理は作らず、おかゆを作ってやるべきだろう」

    「そ、それでいいの!?」

    長門「ああ。何も食べていないところに濃い味のものを食べるとお腹がびっくりするからな。水分も多めにした方がいい、さ、手伝おう」

    「あ、ありがとう長門さん!!」

    196 = 1 :


     * 厨房 *

    「長門さん、このくらいでどうかしら」

    長門「……ああ、いいと思うぞ。汁気も柔らかさも、塩加減もちょうどいい」

    「ありがとう! 比叡さんのところに持っていくわね!」

    長門(暁、大変なのはこれからだぞ……!)

     *

    比叡「……」ボンヤリ

    「比叡さん! おかゆ作ってきたわ! さあ、食べて!」カチャン

    比叡「……」

    「ど、どうしたの? ほら、スプーンを持って!」

    比叡「……」

    「……そ、そう! 食べさせてほしいのね!? ちょ、ちょっとベッドの隣に……んしょ、んしょ」

    比叡「……」

    「ふー、ふー……あ、熱くないかしら……ふー、ふー」

    比叡「……」

    「ん……はい! 大丈夫だと思うわ! 比叡さん、あーんして!」

    比叡「……」

    197 = 1 :


    「比叡さん? あーんして! あーん、って!」

    比叡「……」

    「比叡さん……?」

    比叡「……」

    「ど、どうしたの? おかゆが、おいしくなさそうなの?」

    比叡「……」

    「だ、駄目よ! 濃い味付けにしたらお腹がびっくりしちゃうんだから! ほら、あーんして! あーん!!」

    比叡「……」

    「……比叡さん、食べないと駄目だってば……! 死んじゃうよ……?」

    比叡「……」

    「比叡さん……!」ユサユサ

    比叡「……」

     *

    「……」モグモグ

    長門「電、暁はどうだった」

    「駄目だったのです……おかゆが冷たくなるまで声をかけてたんですけど、比叡さんは全然反応してくれなくて……」

    「暁ちゃんが食べてるのは、その冷たくなったおかゆなのです……」

    長門「おそらく、比叡はずっとあのままだ。暁には、私から諦めるように言うよ」

    「長門さん……」

    198 = 1 :


     * 翌朝 *

    「比叡さん! 新しいおかゆを持ってきたわ! ほら! おいしいわよ!」パク モグモグ

    「だから、はい! あーんして! 口をあけて!」


    長門「電、すまない。暁は躍起になっているようだ……」

    「暁ちゃん……」


     * その翌日 *

    「比叡さん! 今度は少し塩味にしてみたの! はい、あーん! 比叡さん!」

    長門「……」

    「……」

    朝潮「まだ続いてましたか」

    「遠征にもいかないで、いいご身分ね」

    「そういう言い方、ないと思います」

    「なによ」ムス

    「なんですか」ムス

    「……別に、そういう気で言ったつもりはないわ」

    朝潮「大丈夫です。わかってます」

    199 = 1 :


     * そのまた翌日 *

    「比叡さん! 今度のはおいしくできたわ! 比叡さん! 口をあけて!」

    長門「……」

    「……」

    神通「……」

    「じ、神通さん、遠征、行きましょう?」

    敷波「うう、見てるこっちがつらいよ……」


     * 更にその翌日 *

    「比叡さん。これ以上食べないと体が駄目になっちゃうわ。ほら、口をあけて」

    長門「……ああもう見ておれん! こうなれば無理やりにでも比叡に……!」

    「長門さん落ち着くのです!」ガシ

    吹雪「ここまで来ると、暁ちゃんに頑張って欲しいけど……」

    由良「難しそうね……」

    如月「どうやったら比叡さん食べてくれるのかしら……」

     * 一方の執務室 *

    不知火「不知火、初春、ただいま帰投しました」

    提督「おう、首尾は」

    初春「これが報告書じゃ。まあ、酷な話じゃぞ」

    提督「……」ペラリ

    200 = 1 :

    今回はここまで。


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