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    元スレ提督「墓場島鎮守府?」

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    601 :


    ここの提督は妖精と話せる稀有な能力の持ち主なんだっけか
    N中佐鎮守府がどうなるか楽しみ

    602 :

    お疲れ様です

    比叡は正妻枠かぁー

    603 :

    この鎮守府の比叡は肝っ玉母ちゃん枠かと。

    続きです。

    604 = 1 :


     * 一方、N中佐鎮守府 駆逐艦寮ロビー *

    卯月「ううーー……」

    弥生「……」

    卯月「退屈だっぴょーーん!」

    弥生「……おとなしくして」

    卯月「そうは言うけど、この鎮守府に配属されてからずーーっとお留守番ぴょん!」

    卯月「一度も出撃してないし、暇で暇で仕方がないっぴょん!!」

    弥生「……静かにして」

    卯月「どうやったらうーちゃんも出撃できるぴょん!? 遠征にすら駆り出されないぴょん!」

    卯月「というか出撃チームはいつお休みしてるぴょん! ご飯食べてるとき以外出突っ張りぴょん!?」

    卯月「遠征チームも遠征チームで全然お休みもないし、勤務体系が極端すぎるっぴょん!!」

    弥生「……文句言わないで」

    卯月「弥生はどうしてそこまで我慢できるぴょん。もしや、司令官に弱みでも握られてるぴょん!?」

    弥生「卯月が騒ぐから、煙たがられて私たちにお呼びがかからないんだと思う」

    卯月「辛辣ぴょん!?」

    望月「つーか卯月マジうるさいんだけどー。黙っててくんない?」ヒョコッ

    卯月「こっちも辛辣ぴょん!?」

    605 = 1 :


    望月「そんなに出撃したいんなら遠征部隊に志願してもいいんじゃないの~? 今なら行けるかもよ?」

    弥生「もっち……なにかあった?」

    望月「あー、や、悪いニュースなんだけどねぇ……遠征部隊の初雪が、行方不明になったってさ」

    弥生「行方不明……」

    卯月「ぴょん!?」

    望月「この前から司令官が出てったのはそういうことらしいよ~?」

    望月「その司令官がいないから言うけど、遠征中の艦娘が行方不明になるなんて、普通の鎮守府じゃあ起こりえないし」

    望月「ここ一月前から、みんな酷使されてたじゃん? あたしのよく知ってる初雪なら、遠征中に逃げたって可能性もあるかなあ……」

    望月「余所の鎮守府に逃げられたとしたら、この鎮守府に本営の査察が入ってもおかしくないよねえ?」

    弥生「査察……」

    望月「司令官はそれを防ぐために、初雪がいなくなった海域を回ってるんだって話だよ」

    卯月「……事件の臭いがする話になってきたぴょん」

    望月「ま、そうでなくても、主力艦隊の艦娘のみんなの様子がおかしいのは、前々から噂になってんじゃんか」

    弥生「うん……鳳翔さんも、赤城さんたちの様子がおかしいって言ってた」

    卯月「異常なほど少食になった、って話ぴょん? それ、赤城さんだけじゃなくて、戦艦の人たちもそうみたいぴょん」

    卯月「話しかけても上の空。殲滅できても大破しても、ぜーんぜん感情の起伏なしらしいっぴょん」

    606 = 1 :


    望月「しかも、主力のひとたちがあんだけ休みなしに働いて、でもご飯はあたしたちと変わらない。どう考えてもおかしいよねえ」

    望月「こんな状態で査察が入ったら、どうなんのさ? って話だよ。絶対怪しまれて、何かされるよねえ」

    卯月「……」

    弥生「卯月?」

    卯月「冗談じゃないっぴょん……司令官に一度もいたずらしないまま、鎮守府が解体されるようになったら卯月の名折れっぴょん!!」

    望月「いやそれおかしくね?」

    卯月「冗談じゃないっぴょん! いたずらしないうーちゃんはうーちゃんじゃないっぴょん!!」

    弥生「それ、二回言うの?」

    卯月「何度でも言ってやるぴょん! 冗談じゃないっぴょーーーん!!」

    卯月「決めたぴょん! 次に司令官に出会ったら問答無用でいたずらしてやるぴょん!!」

    望月「ええー……」

    弥生「……」

    望月「弥生さあ、怒ってもいいんだよ?」

    弥生「怒ってなんかないですよ……」ハァァ

    望月(これは呆れてるっぽいねえ……)

    607 = 1 :


     * N提督鎮守府 ロビー *

    卯月「むむっ!? あそこに見えるのは司令官っぴょん!?」


    妙高「検査の結果まで時間がありますので、なにかお飲物でも……」

    提督「いや、気を使わないでいい」


    望月「……確かに制服着てるけど、なんか違くね?」

    卯月「妙高さんと話してて隙だらけっぴょん! チャンスは今! 卯月、行っきむぁああす!」ダッ

    弥生「あっ」

    卯月(くらえ、うーちゃん奥義! スライディーング、ひざかっくんぴょーーん!!)カクーン!

    提督「うおっ」グラッ

    卯月「ぷっぷくぷぅ~!! いたずら大・成・功・だっぴょーん!」キャッキャッ

    妙高「卯月さん!? 何をしているんです!」

    弥生「う、卯月……」オロオロ

    卯月「成功したなら脱兎のごとく逃げるぴょー……」アタマガシッ

    提督「……おい」

    卯月「ん……!?」グリッ

    608 = 1 :


    提督「……」(←注:包帯ぐるぐる巻き)

    卯月「ぴょおおおおおおん!?」ビクーッ

    卯月「あ、あんた誰っぴょん!? N中佐じゃないぴょん!? ミイラ男だっぴょん!!」ガクガクブルブル

    提督「いたずらしたのはお前か」グッ

    卯月「い……いぎゃあああああ!?」メキメキメキメキ

    弥生「え……」

    卯月「痛い痛い痛い痛い痛い!! 痛いぴょん!! 超痛いっぴょおおおおおおん!!!」ジタバタ

    望月「うっわあ」

    卯月「頭が取れるぴょん! 割れちゃうぴょん! 離して! お願いだから離してっぴょおおん!!」ギリギリギリ

    提督「お前、人に謝るときはそうじゃねえだろ?」

    卯月「ご、ごめんなさいぴょん!! 許して欲しいっぴょぉおおおおんん!!」ナミダボロボロ

    提督「……ったく、まあ良しとするか」パッ

    卯月「ううう、なんて馬鹿力だっぴょん……頭が握りつぶされるかと思ったぴょん」サスリサスリ

    提督「いきなり背後から不意打ちしかけるお前のせいだろうが」

    弥生「卯月が悪いんだから、気にしないで……」

    609 = 1 :


    望月「っていうか妙高さん、司令官はどうしたの? この人は?」

    妙高「N中佐はしばらく出張です。こちらの方は……」

    提督「俺は提督准尉、××島鎮守府の指揮官だ。お前らはここの鎮守府の艦娘か」

    望月「あーい、望月でーす」

    弥生「弥生、です。そして、こっちが……」

    卯月「卯月でぇーーっす! うーちゃん、って呼ばれてむぁ~す!」クルリーン

    提督「……うぜえ」ギロリ

    卯月「!?」


     * 休憩室 *

    望月「へー、精密検査ねえ」

    妙高「そのために鎮守府を離れる提督准尉の代わりに、N中佐が指揮するんだそうです」

    望月「ふーん」チラッ


    卯月「検査が終わったんだから、待ち時間あるぴょん? うーちゃんとお話するっぴょん!」

    弥生「……卯月、少し静かにして」

    卯月「余所の鎮守府のお話なんてそうそう聞けることないっぴょん! うーちゃん、外のお話を聞いてみたいぴょん!」

    610 = 1 :


    卯月「離島の鎮守府がどんなところか、弥生だって聞いてみたいと思うぴょーん?」

    弥生「え……それは、そう、だけど」

    卯月「さあさあ准尉さん、観念して洗いざらいうーちゃんに話すぴょん!」

    提督「面倒臭え」

    卯月「その反応はあんまりぴょん!!」ガビーン

    妙高「あの島といえば、准尉? 島の丘に無数の艤装やら単装砲やらが並んでいましたが、あれは一体何でしょう?」

    提督「……面白い話じゃあないぞ。それでもいいなら話すが」

    妙高「?」

    卯月「おお、話す気になったぴょん!? 聞かせて欲しいぴょん!!」ワクワク

    望月(なんだか嫌な予感がするんだけどねえ……)

    提督「……あれはな……」

     * *

    望月(うん、やっぱり聞かなきゃ良かった系の話だった)

    弥生「……」ズーン

    卯月「ひどい話だぴょん……」ズーン

    妙高「あれが全部……お墓だったんですか」

    611 = 1 :


    提督「うちの島の潮の流れが特殊なせいでな。艦娘の残骸やらなにやらが、海岸によく打ち上げられるんだ」

    望月「残骸って……」

    提督「ソフトな言い方したって事実は変わらねえよ。まあ、艦娘は水葬が一般的らしいが……」

    提督「潮流が強い島の近辺じゃあ水葬は無理だから、土葬してる。野晒しは可哀想だしな」

    弥生「……」

    卯月「……」

    望月(さすがの卯月もおとなしくなってるなあ)

    提督「で、運よく生き残って、死にたくないって自分の意思で言えた奴は、うちの鎮守府に着任させてる」

    提督「自分の敵を取るために出撃するもよし、今後の生活のために遠征するもよし。そいつらの好きにさせてる」

    妙高「提督が指揮をなさっているわけではないんですか?」

    提督「俺は書類のハンコを押す係。島に住んでいる艦娘の生活のサポート役でいいのさ。階級も気にしてねえし、俺はなにもしねえ」

    提督「……と、思ってだらだらしてたんだが」ハァ

    妙高「?」

    提督「正直、今の環境でいいのかと思い悩んでもいる」

    妙高「と、仰いますと?」

    提督「お前らの司令官に『世の中は常々進歩している、こんな島で引き籠ってたら取り残される』なんて言われてな」

    妙高「N中佐、新しいもの好きなところがありますから」

    612 = 1 :


    提督「そう考えると、俺は奴らに古臭い生活を強いているんじゃねえか、って気がしてきてなあ」

    提督「そういうわけなんで、適当に流行物の雑誌類を貰ってこうかって考えてたんだが、誰に相談しようか悩んでたところだ」

    提督「俗っぽいのは好きじゃねえんだが、娯楽の殆どは俗っぽいからな……俺の意思をはさまないようにしたい」

    卯月「雑誌って言っても、いろいろあるぴょん? どんなのがいいぴょん?」

    妙高「そうですね……たとえば准尉のご趣味はなんだったんですか?」

    提督「俺の趣味か? ストレッチと……読書くらいか。あと人間観察」

    望月「読書ぉ!?」

    卯月「意外にインドアな趣味ぴょん……」

    提督「口喧嘩で負けたくなかったってのが一番だな。文字が読めないと馬鹿にされるのも嫌だった」

    提督「自分は頭がいいと思ってる奴らは、俺を馬鹿だと思って見下してきてる。で、俺の知らないだろう言葉を使ってなじってくるわけだ」

    卯月「性格悪いっぴょん……」

    提督「中学生の喧嘩ならそんなもんだろうよ。それより上でも同じような醜態をさらす奴はいるけどな」

    提督「俺がそういう経験をしていて、自分の部下の艦娘に同じ轍を踏ませないような教育をしていないとなれば、俺は馬鹿かという話になる」

    提督「俺自身はともかく、あいつらには黒いもん抱えさせたまま生活させたくねえし……そうだな。教養と娯楽は必要だ」

    弥生「……」

    提督「なんだよ。何か不服か」

    弥生「別に、怒ってなんかないです。感心してただけで……すいません、表情かたくて」

    提督「ん、ああ、そういうことか。こっちこそ悪かった、人の気持ちを察するのは苦手でな」

    613 = 1 :


    軍医「提督准尉、検査結果が出ましたので、こちらへどうぞー」

    提督「……やっとお呼びがかかったか。ちょっと行ってくる」

    妙高「はい。いってらっしゃいませ」

    望月「……はーぁ、予想以上に重い話だったねえ……」

    卯月「これは由々しき事態っぴょん。向こうの鎮守府には笑顔の元が足りてないっぴょん!」

    弥生「……それは、そうかも」

    卯月「妙高さん! 准尉の鎮守府に協力してあげるぴょん!」

    妙高「そうですね……協力しましょう」

    望月「あー、でもいたずらはやめたほうがいいよねえ。また頭を掴まれるかもよー?」

    卯月「う゛……だ、大丈夫ぴょん! ばれないようにやるぴょん!」

    望月「その前提が駄目なんだって……」

    妙高「ところで、みなさんお昼ご飯はどうしました?」

    卯月「!? も、もうそんな時間ぴょん!?」

    望月「あー、いいっていいって。どーせ普通に行っても、混んでて食べた気しないし」

    弥生「今くらいの時間のほうが、ゆっくり食べられる……」

    卯月「鳳翔さんの賄い料理を食べられるときもあるぴょん!」

    妙高「では、准尉が戻ってきたら一緒に食べに行きましょう」

    望月「あーい」

    弥生「わかりました……」

    卯月「了解っぴょん!!」

    614 = 1 :

    というわけで、今回はここまで。

    616 :

    更新お疲れ様です

    雑誌でイタズラの基本といえばエロ本?

    快○天とかコミックL○とか?危険だなー(棒)

    617 :

    エロ本ではありませんが、裸が多い某漫画。

    続きです。

    618 = 1 :


     * 食堂 *

    卯月「というわけでぇ、准尉を連れてきたっぴょん!」

    提督「……」(←樹脂製のゴーグル型フェースガード着用)

    卯月「ミイラ提督改め、鉄仮面提督だっぴょーん!」

    提督「鉄じゃねえよ」

    間宮「……サッカー選手にああいうマスク着けてた人がいませんでしたか?」

    望月「あ、いたかも。確かその人、鼻の骨を折ってたんじゃない?」

    妙高「頬の怪我が完治するまでは、こちらのマスクを着用してくださいとのことです」

    提督「ったく、冗談じゃねえな、くそが」

    鳳翔「准尉さん、お食事の時間にその言葉遣いはいけませんよ」

    提督「ん……ああ、そうだな。これは失礼」

    卯月「やーい、怒られたぴょん!」

    提督「あ? また掴まれてえか」ワキワキ

    卯月「そんな脅しに屈するうーちゃんじゃないっぴょん!?」ササッ

    望月(速攻で鳳翔さんの後ろに隠れてるし……)

    提督「ったく、愚痴りたくもなるぜ。あの医者の野郎、固いものは食べるな、柔らかくて流し込めるものを食えって言ってきやがったんだぞ」

    提督「それでうちの連中が作ってくれた弁当もダメだって言われたんだからな」ゴトン

    619 = 1 :


    妙高「無理もありません。頬の骨にひびが見つかったんですから」

    間宮「それにしても、大きなお弁当箱ですね」

    提督「如月が『良かったらお裾分けしろ』って言ってきたくらいだ。最初から俺一人で食わせる前提じゃねえな、こりゃ」

    提督「そういうわけなんで、良かったらつまんでくれ。それと……鳳翔だったか? おじや作るから、厨房と小さな鍋を借りたいんだが」

    鳳翔「それでしたら私が承りますが」

    提督「いいや、この程度のことは俺でもできるんで、手を煩わせるつもりはないと思ったんだが。やっぱり余所者を厨房には入れたくないか?」

    鳳翔「いえ、無理にとは申しません。老婆心ながら申し上げただけです」

    提督「そうか。んじゃあ、とりあえず塩とか醤油がどこにあるか教えてくれると助かる」

    提督「ごはんはこっちの弁当のを使わせてもらうから……」ベントウガパッ


    ごはんの上の海苔文字「キサラギヨリ アイヲコメテ」+文字を囲む大きなハートマーク


    提督「……」

    妙高「あらあら、これは……」

    弥生「……」ポ

    鳳翔「まぁ……」ニコ

    間宮「可愛らしいですね」ニコニコ

    620 = 1 :


    望月「こりゃ提督准尉も隅に置けないねえ」ニヤニヤ

    卯月「こんなところで見せつけてくれるぴょーん!」プククー

    提督「帰ったら如月は尻たたきだな」ピキピキッ

    全員「「!?」」

    提督「とりあえずおじやでも作るか」ガッガッ

    卯月「ハートマークの真ん中から容赦なくしゃもじで割り開いてるぴょん!?」

    鳳翔「准尉、落ち着いてください!」


     * 一方の遠征中の如月 *

    如月「はくちゅん! はっ! 今、司令官が私のこと噂してる!?」

    如月「もう、司令官ったらそんなに喜んでくれるなんて!」モジモジ

    如月「帰ってきたらたくさん愛してくれるのかしら! や~ん!」

    朝雲「ちょ、止めないの……?」

    「? いつも通りよ?」

    「平常運転よね」

    朝潮「問題ありません!」

    「なのです!」

    朝雲「えええ……」

    621 = 1 :


     * N提督鎮守府 食堂 *

    提督「つうか、3段重ねのお重とか、何考えて作ったんだよ……どう見ても一人前じゃねえぞ」ガパッガパッ

    望月「おぉ、いいねえ。定番のから揚げに卵焼き……黒豆も入ってんじゃん」

    妙高「ミニハンバーグに煮物まで入ってるなんて、豪華ですね……!」

    鳳翔「見た目も素晴らしい……かなりの腕前とお見受けいたします」

    卯月「おいしそーなから揚げいただくぴょーーん!!」バッ

    弥生「卯月、お行儀悪い……!」

    卯月「いっただっきまーす! ぱくっ」

    間宮「これも如月ちゃんが作ったんですか?」

    提督「いや、これ作ったの比叡だな」

    鳳翔間宮妙高「「「比叡さん!?」」」

    卯月「もぐもぐ……うっ!」

    弥生「卯月……!」

    望月「しっかりしろって!」

    卯月「う……うううっ!」プルプル

     パァァ…

    提督「? なんだこの光」

    622 = 1 :


    卯月(全裸)「うまいぴょぉぉん……!!」ウットリ

    全員「「!?」」

    弥生「卯月が裸になって浮いてる……!?」

    望月「なんで、から揚げ食っただけでこんなことになってんだよぉ!」

    卯月(全裸)「お弁当なのに、こんなにおいしいから揚げは初めてぴょん……!」

    卯月(全裸)「口の中で食んでいると、おいしいのがじゅわじゅわ溢れてきて、ずーっと口の中に含んでいたいぴょん……!!」ウットリ

    望月「……マジか。あたしも食いてぇ」ジュルリ

    妙高「望月さん!?」

    望月「……」ヒョイパク

     ペカー

    望月(全裸)「マジうめぇ」フワァ

    全員「「!?」」

    望月(全裸)「やべぇコレめっちゃうますぎ。全部にレモンかけて独り占めしてぇ」モッキュモッキュ

    弥生「それはダメ……かけるなら小分けにしてから自分のお皿にだけかけて」

    間宮「弥生ちゃん冷静ッ!?」

    623 = 1 :


    提督「……なあ、俺の目はおかしくなったのか? こいつら、なんで脱いでんだ?」

    妙高「い、いえ、それはなぜかは……」

    卯月「もぐもぐ」

    望月「もぐもぐ」

    全員「「!?」」

    提督「服、着てるな……」パチクリ

    妙高「ええ……」メヲコスリコスリ

    間宮「それにしてもこのお弁当……」マジマジ

    鳳翔「ええ、私たち以上かもしれません」マジマジ

    妙高「お二人がそこまで仰るなんて、そんなにすごいんですか……」

    提督「まあ、うちの比叡は余所とは違うからな……」

    鳳翔「……こちらの卵焼き、いただきますね」パク

    間宮「私も失礼いたします……」パク

     フワァァ…

    鳳翔(全裸)「……これは……!」

    間宮(全裸)「……こんなことが……!」

    提督妙高弥生「「!?」」

    624 = 1 :


    鳳翔「このおだし。市販品ながら白だしにお醤油を絶妙な割合で合わせてますね……」

    間宮「卵の焼き具合も程よく……このやわらかさ、お弁当に入れる前提で考えて焼いてあります」

    鳳翔「ええ、それだけではなく……」

    間宮「はい、しかも……」

    提督「おい妙高。ここの鎮守府の連中は瞬時に脱いだり着たりする特技でもあんのか」セキメン

    妙高「そ、そんなことありません!」

    弥生「……でも、本当においしそう」オソルオソル

    妙高「弥生さん!?」

    弥生「黒豆、いただきます」モグ…

    妙高「じ、准尉は見てはいけません!」メカクシ

    提督「うおっ」

    弥生「……!」

    弥生「おいしい……!」ホワァァァ

    妙高「……あら?」

    提督「あぁ、もしかして黒豆は如月が作ったのか」ヒョイパク

    提督「……うん、うめえな。これ、砂糖の加減が難しいんだよなぁ……ちょうどいい塩梅じゃねえか」モグモグ

    625 = 1 :


    間宮「弥生ちゃんの目尻があんなに下がったところ、初めて見ましたね」

    提督「まあ、つまみ食いはこの辺にして、そろそろ厨房を貸してもらっていいか」

    鳳翔「そうですね、私たちもご飯にしましょう。準備しますから待っててくださいね」

    提督「妙高は一口食べなくてもいいのか?」

    妙高「え……私ですか」

    鳳翔「はい。準備しますので、ちょっとお待ちいただくことになります」

    妙高「……そ、それでは、こちらのミニハンバーグを……」ソッ

    鳳翔「では、准尉はこちらへどうぞ」

    提督「はいよ」

    間宮「私もご一緒します」パタパタ

    妙高「提督は行きましたね……」

    妙高「……」ゴクリ

    妙高「ん……」パク

    妙高「ん……!」モグモグ

    妙高「んんんんん……!」ビクッ

    626 = 1 :


    妙高(こ、これは……冷えて固形化した油が、口の中で簡単に溶けていく……)モグモグ

    妙高(噛むとハンバーグの中に入っていた薄味のソースが肉の油とブレンドして……)

    妙高(口中いっぱいに、ぶわっと旨みが広がっていくのが、とても刺激的……なんて美味しい……!)ゴクン

    妙高(全裸)「んんーーー……っ!」ビクビクッ

    卯月「!?」

    望月「!?」

    妙高「……ふぅ」

    弥生「おいしかったですか……?」

    妙高「ええ、とても」ニコッ

    望月(おとなだった)カァ

    卯月(おとなだったぴょん)カァ



     * どこかの戦闘海域 *

    比叡「ひとくちハンバーグは! 一番気合入れて作りました!」ドカーン

    古鷹「誰に向けて言ってるんですかその掛け声!?」

    627 = 1 :


     * N提督鎮守府 厨房 *

    鳳翔「おかゆじゃなくて、おじやにするんですか?」

    提督「おかゆにするために米を洗ったら、海苔がはがれちまうのが勿体ないからな。そのまま煮てしまおうと思ったんだ」

    間宮「でしたら、厨房に残ってるごはんでも作れますよ」

    提督「いや、あの弁当は俺が受け取ったんだから、俺が少しでも食わなきゃ失礼だろ」

    提督「ま、おじやに作り変える時点で失礼なんだけどなあ……」

    鳳翔「……海苔をそのままにすると言うなら、お茶漬けにするという手もありますね」

    提督「!」

    鳳翔「お椀を準備しましょうか。わさびもお使いになりますか?」

    提督「あ、ああ。助かる」

    間宮「そういうことでしたら、お茶の道具を用意しますね」

    提督「……」

    鳳翔「どうなさいました?」

    提督「いや、二人とも手際が良いなと思って、感心していた。俺もそれなりに自炊はしていたんだが、思わず見入ってしまってただけだ」

    鳳翔「ふふふ、ほめすぎですよ」

    提督「……鳳翔も、本当は全部の鎮守府に一人ずついるはずなのか?」

    鳳翔「え? いえ、そうとは限りませんが……間宮さんならそうですけれど」

    628 = 1 :


    提督「そうか……うちにはその間宮はいないんだよ」

    鳳翔「え!? じゃ、じゃあ、伊良湖さんは!?」

    提督「イラコ?」

    間宮「し、知らないんですか……」

    提督「ああ。比叡が来るまでは各自自炊してたし、来てからは来てからで艦娘と回り番で飯を作ってたりしてたんだ」

    間宮「そんなお話、初めて聞きます」

    鳳翔「いくら離島の鎮守府とはいえ、異常事態だと思いますよ」

    提督「そうか。まあ、そうなんだろうなあ……ん?」

    間宮「?」

    提督「なあ……あのバケツ、なんでテーブルの上に置いてあるんだ? 普通床に置くもんだろう?」

    鳳翔「これですか? これは高速修復材です」

    提督「修復……? ありゃあ入渠ドックで使うもんだよな?」

    鳳翔「たまに食べ物に混ぜて欲しいという話もあるんですよ……」

    提督「……は? マジか? 食べられるのか、これ」

    鳳翔「ええ。患部に塗ったり、口から摂取したり、頭からかぶったりと方法は様々ですが……」

    鳳翔「その中身の液体が艦娘の体に触れるなり取り込まれるなりすると、効果を発揮するみたいなんです」

    提督「みたい、ねえ……」スンスン

    629 = 1 :


    間宮「私たちも、その中身の液体がどういうものなのか、正直なところよくわかっていないんです」

    提督「ふーん……少し見せてもらうか。ちょっとこの小皿とスプーン、借りるぞ」

    鳳翔「えっ」

    提督「……水飴みたいだな」トローリ

    間宮「あ、あの、准尉!?」

    提督「……ふむ、無味無臭……」パク

    鳳翔「じゅ、准尉!? 何をしているんですか!?」

    提督「うお、びっくりした。どうかしたのか?」

    鳳翔「い、いえ、まさか修復材を小皿に移して食べてしまうとは思いもよらず……というか、大丈夫なんですか!?」

    提督「ああ……水飴みたいな触感なのに、口に入れてると綿飴みたいにすっと溶けて消えるのは面白いが……」

    提督「全然味気ねえんだな。黒糖でも混ぜないと食べづらそうだ」

    間宮「あの、そういう意味じゃなくて、体調とか、本当に大丈夫なんですか?」

    提督「ああ……別に何もおかしくないが……?」

    鳳翔「……」

    間宮「……」

    卯月「鳳翔さーーん! はやくご飯にするぴょーん!」

    望月「はらへったー……はやくぅぅぅ……」

    鳳翔「! は、はーい!」

    間宮「さ、行きましょう准尉さん!」

    提督「お、おう」

    630 = 1 :

    今回はここまで。

    632 :

    更新お疲れ様です

    弁当を食べた時の反応でMr.味っこを思い出してしまった

    味王様まんまww

    キーボードのコーヒー拭かなきゃ・・・・

    633 :

    おつ
    よく脱ぐっていうと食戟か

    634 :

    乙。
    待っているぞー。

    635 :

    こちらも続きです。
    墓場島鎮守府に戻ってきます。

    636 = 1 :


     * 夕方 墓場島鎮守府 執務室 *

    大淀「N中佐、搬入作業お疲れ様でした」

    N中佐「ぜぇ、ぜぇ……」

    大淀「お水をお持ちしました。大丈夫ですか?」コト

    N中佐「……ん……ごく、ごく、ごく……」

    大淀(返事をする余裕もないみたいですね)

    N中佐「ぷは……っ! はー、はー……」

    N中佐「お、大淀。提督准尉は、いつもこんなことしてるのか……」

    大淀「運搬は分担していますが、いつも立ち会ってますよ。少佐を信用していないので、数量チェックも欠かさずやってます」

    大淀「普段から書類は少ないのですが、力仕事は多いですね。提督も朝のうちに書類仕事はすべて片付けて、日中の大半は外にいますし」

    N中佐「……」ゼーゼー

     扉<コンコン

    長門「長門だ。海域から帰投した」

    大淀「どうぞ」

    長門「ああ、失礼する。報告書を持参した、確認を頼む」チャッ

    637 = 1 :


    N中佐「……」グッタリ

    大淀「報告書、いただきますね」

    長門「あ、ああ。なあ、N中佐は大丈夫なのか」

    大淀「まあ、ご覧のとおりですね。午後の搬入作業、N中佐にほぼ一人していただきましたから」

    長門「一人でだと?」

    大淀「正確には明石と私も少し手伝いましたが、私たちの仕事もありましたので、お手伝いできたのは途中までですね」

    長門「そうか。それは大変だったな」

    N中佐「おい……長門。お前は、こうなることは予見できていたのか……?」

    長門「ある程度はな。この鎮守府の艦娘が全員全力で出撃すれば、こういう事態になることは予想できていた」

    N中佐「……なぜ何も言わなかった」

    長門「提督から『初日はN中佐の指示に全面的に従え、彼の意に背く反論や余計な進言は控えろ』と指示を受けている」

    長門「この島の特殊な事情も把握せず、大湊と同じ感覚で指揮しようとした貴様への、提督からのささやかな嫌がらせ、と言ったところか」

    N中佐「……っ!」

    長門「正直に言えば私も貴様は気に入らん。ろくに我々と話もせずいきなり従えと言われれば、不興を買うのも至極当然の成り行きだろう」

    長門「貴様には貴様の正義があるのだろうし、考え方やセオリーもあるのだろうが、現状の把握もせず、提督からの引継ぎもせず」

    長門「貴様の考えが通用する土台を作ることを怠って、一足飛びに戦果をあげようなど、見方によっては傲慢と言わざるを得ないやり方だ」

    N中佐「……チッ」

    638 = 1 :


    長門「それから、貴様が配ったこのイヤホンマイクについてだが」

    N中佐「……なんだ」

    長門「まったく音が聞こえない。壊れているのか?」コンコン

    N中佐「なんだと!?」ガタッ

     扉<コンコン

    「霞よ、遠征から戻ってきたわ、入っていいかしら」

    大淀「どうぞ。お疲れ様でした」

    「失礼するわ。あら、長門さんもいたのね」チャッ

    「はい、これ報告書……って、汗くさいわね!? N中佐はなにをしてたのよ」

    長門「一人で搬入作業をやっていたそうだ」

    「……ふーん。その程度でだらしないわね」

    「で? 次は何をするの? 指示を出してもらわないと私たちも動けないんだけど。あのクズより戦果をあげるんでしょ?」

    N中佐「!? 霞のイヤホンにも指示が飛んでいないのか……!?」

    「何も来てないわよ? それより、その言い方だとイヤホンで全部指揮しようとしてたわけ?」

    「部下の顔色も見ないでどこ行けなにやれ、命令しようとしてたってこと? あんた、あたしたちのこと舐めてんの!?」

    N中佐「……」

    639 = 1 :


    「まあいいわ……で、どうすんのよ。こんなもの、何も聞こえないんじゃ耳栓と同じよ」イヤホンハズシ

    N中佐「……いい。今日はもういい、休め」

    「そ。じゃ、艤装の整備でもしてくるわ」クルッ

    大淀「N中佐。そろそろ定時連絡の時間です」

    N中佐「……わかった」

    長門「では、私もこれで失礼する」スッ

     扉<パタン

    N中佐「……はぁぁぁぁ……」ガックリ



     * 廊下 *

    「……ちょっと言い過ぎたかしら」

    長門「そんなことはない。私の方こそ、少しやりすぎたかもしれないな」

    「長門さんは何もしてないでしょ」

    長門「何もしていないからこそだ。事前にこの鎮守府のことを話しておけば……」

    「そんなことしなくていいのよ。N中佐、この鎮守府に何の興味も示してなかったじゃない。ほんとに大和さんしか眼中になかったし」

    「あいつにとっては、私たちにこんなものを渡すくらいには、私たちのことなんてどうでも良かったのよ」

    長門「なら、霞がさっき自嘲していたのは何故だ?」

    「そ、それは、まあ……こっちでイヤホン壊したのに、壊れてるって嘘ついたことに後ろめたさを感じただけ!」

    640 = 1 :


    「それもこれも全部あのクズが仕組んだことなんだから、あいつが悪いのよ!」

    長門「そうだな。提督ならその悪者役も望んで引き受けてくれるだろうな」フフッ

    明石「あ、長門さんも戻ってきましたか! おかえりなさい!」

    長門「ああ、明石か。ただいま」

    明石「長門さんも、イヤホンの音は何も聞こえませんでしたか?」

    長門「ああ。おかげさまで、耳が痒いだけで済んだ」イヤホンハズシ

    明石「霞ちゃんたちも影響がなかったみたいなので、うまくいったみたいですね!」

    「やっぱり、あのイヤホンの音ってまずかったの?」

    明石「ええ、工廠の妖精さんたちと一緒にあの音の波長を確認したんですが、どうも妖精さんの声の波長と同じようなんです」

    明石「それを絶え間なく聞かせることによって、艦娘を半洗脳状態に陥れるという代物ですから、聞き続けていたらどうなってたかわかりません」

    明石「特に大和さんのイヤホンからは、N中佐の配下になるよう促すような音声も入ってましたから、危なかったですね」

    「……思ってた以上にクズね。後ろめたさなんか感じる必要なかったわ」

    島妖精G「提督が最初から怪しんでいたからねー」ヒョコッ

    島妖精D「今みんながつけてるのも、音が出ないように壊したり、解析のために中身を抜いてガワだけにしたりしてるから、無害なはずだよ」

    長門「初雪がつけていたイヤホンもそうだったんだな?」

    明石「はい、初雪さんから話を聞いて、その日のうちに砂浜を散策してイヤホンを発見しています」

    明石「それの音声データを解析した結果も本営にも送りましたし、これをどうするか、もうすぐ本営の回答も得られるはずです」

    641 = 1 :


    長門「なんだかんだで提督の思惑が当たっていたというわけか。恐ろしい話だ」

    島妖精A「あとな、今回のイヤホンからは食欲が減衰するような効果のある音も混ざってた」

    長門「どんな音だ?」

    明石「食事が不快になる音らしいです」

    島妖精G「そうだねえ……たとえば、クチャラーって知ってる?」

    「……最悪じゃない……」

    島妖精G「まあ、あれじゃないけど、そういう感じの音らしいよ」

    島妖精F「それと、長門のイヤホンからは戦意高揚の効果のある音もあったみたい」

    長門「本当か……」

    明石「おそらくですが、艦娘を戦闘用、遠征用に最適化しようとしていたんでしょうね」

    明石「暗示をかけて疲労や食欲までコントロールしようとしてた可能性もあります」

    長門「……私たちを、完全に兵器にしようと言うわけだな」

    明石「こうなると提督とは真逆の対応ですからね。みんな気に入らないのは同じだと思いますよ」

    「ったく、あいつ、早く帰ってきてくれないかしら」

    明石「そうですね……すみません、私のせいで」シュン

    「あっ、べ、別に明石さんが悪いって言ってるわけじゃないから! 勘違いしないで!」オロオロ

    長門「……」ナデナデ

    「って、長門さんなんで私の頭なでるの!?」カァァ

    長門「す、すまん! つい!」

    「つい!?」

    642 = 1 :


     * 一方その頃 執務室 *

    N中佐「……で、定時連絡というやつはいったいなにを連絡するんだ」

    大淀「実際には、今日何があった、と言う程度の日々の連絡になります。雑談するだけですよ」

    大淀「昔は少佐が出る時もありましたが、今は秘書艦の赤城さんに専属で応対していただいてますね」

    N中佐「そうか……気楽に構えてていいんだな?」

    大淀「はい。受話器をどうぞ、今お繋ぎしますね」ピッピッ

    N中佐「う、うむ」

    通信『RRRR...RRRR...ガチャッ』

    N中佐「……」

    通信『はい、少佐鎮守府です』

    N中佐「!」

    N中佐(なんだ、この冷えた声は……)ゾク

    通信『もしもし?』

    N中佐「……こちら、××国××島鎮守府、臨時司令官のN中佐だ」

    通信『N中佐……提督准尉よりお話は聞いております。墓場島の指揮を一時的に引き受けたそうですね』

    N中佐「は、墓場島!?」

    643 = 1 :


    通信『……なるほど、その様子では何も聞いていない。准尉が意図的に話さなかったのか、それともあなたが聞く耳を持たなかったのか』

    通信『その島がどういう場所なのか、あなたは御存知ない。そういうことですね』

    N中佐「ど、どういう意味だ。貴様は何者だ、何を知っている!」

    通信『……申し遅れました。私は少佐鎮守府、少佐の秘書艦、赤城です。短い間ですが、よろしくお願い致します』

    N中佐(俺の鎮守府にも赤城はいるが、あいつからこんな薄ら寒い……背筋の寒くなるような冷めた声は、聴いたことないぞ……!)

    通信『さて、N中佐。どういう意味か、という問いでしたね?』

    N中佐「う、うむ……」

    通信『提督准尉の報告によれば、その島には轟沈した艦娘がたびたび漂着するそうです』

    N中佐「そ、そういうことか。由来だけ聞けば、そう呼ばれるのも仕方ないな」

    通信『……その流れ着いた艦娘たちを、提督准尉が埋葬し、墓を作りました』

    N中佐「!?」

    通信『その墓が並んでいるから、墓場島、と呼ばれるようになったと聞いています』

    N中佐「は、墓場……!? お、俺はそんなもの、見ていないぞ」

    通信『私も島には行ったことがありませんので、具体的にどんなものかは把握していませんが、そこはそう呼ばれるような場所なのです』

    通信『では、その島の鎮守府に所属している艦娘たちの半数以上が、轟沈した艦娘であることも御存知ないのですね?』

    N中佐「な!?」

    644 = 1 :


    通信『かつて、轟沈した艦娘を招き入れ、その艦娘が深海棲艦化したために鎮守府が壊滅した話……』

    通信『あなたも艦娘を率いる立場になったとき、訓話として聞いたことでしょう』

    通信『提督准尉は、その訓話に反し……いえ、知ったうえで轟沈した艦娘を保護し、部下として育てているのです』

    通信『拠点としての重要性が低く、航路としてもあまり価値のない、離島の鎮守府だからこそ……』

    通信『有体に言ってしまえば、提督はその島を、隔離施設として運用しています』

    N中佐「ば、馬鹿な! あの話が本当なら、そんなことを海軍上層部が許すのか!? むしろ何故そんなことをしようとする!?」

    通信『本営の中将の提案によって特例を得ました。准尉以外の人間が滞在しないことについても、准尉は了承しています』

    通信『さて……N中佐? その墓場島鎮守府を守るその役目、果たしてあなたに勤まりますか? 大和さんがお目当てのあなたに……!』

    N中佐「っ!」

    通信『おそらくは准尉も勘付いていることでしょう。あなたに指揮を任せた意図については、私も理解できかねますが』

    通信『ともかく、10日間と仰いましたね。准尉のように覚悟のないあなたがその島で何日もつのか。何日連絡を取り合えるか……』

    通信『忠告はさせていただきました。今後、その島であなたがどのような活動を行うかは、あなたの判断に委ねます』

    N中佐「……」

    通信『今日は初日ですから、この辺に致しましょうか。では、ごきげんよう』

     チン

    N中佐「……」

    645 = 1 :


    大淀「N中佐、どうしました? 顔色がよろしくないのですが」

    N中佐「……大淀。お前も、轟沈艦か」

    大淀「いいえ、違います」

    N中佐「そうか……赤城に聞いた。この島では轟沈した艦娘を鎮守府においていると。何故この事実を黙っていた!」

    大淀「知らないままのほうが指揮しやすいかと思いましたが」

    N中佐「ぐ……」

    大淀「そうでなければ、大変失礼いたしました」

    N中佐「……この島の、墓場というのは、どこにある……」

    大淀「島の南東の丘の上です。もうすぐ日が落ちますので、足を運ぶのは明日以降になさったほうがよろしいかと」

    N中佐「……わかった」

    大淀「それから、敷波さんたち第三艦隊の遠征がもうすぐ終わります。本来の予定ですと、すぐ次の遠征に向かわせる予定でしたが……」

    N中佐「中止だ。帰還したなら待機させろ。それから……俺が来る前の日程表があれば、それを見せてくれ」

    N中佐「明日は、そのもともとのスケジュールで鎮守府を回す。そのうえで鎮守府を見回りたい」

    大淀「! 了解致しました」

    N中佐「……はぁ……最初からこうしていれば良かったのか……」

    大淀「N中佐?」

    N中佐「……なんだ」

    大淀「シャワーを浴びてきてはいかがでしょうか? お部屋までご案内しますよ」

    N中佐「……ああ。頼む。一度すっきりしたほうが良さそうだ……」

    646 = 1 :

    今回はここまで。

    647 :

    更新乙でございます
    続きゆっくりお待ちしているです

    648 :

    落とせるときに落としておこう……。

    続きです。

    649 = 1 :


     * N鎮守府 工廠 *

    卯月「こっちが工廠ぴょん!」

    提督「……さすがにでっけえな」

    卯月「でも、明石さんは酒保にいるから留守ぴょん? わかっててこっちに来るなんて、無駄足ぴょーん?」

    提督「無駄足じゃねえさ。こっちの明石にも、あとで話を聞きに行くつもりだ」

    弥生「あとで……?」

    望月「ほかに誰か話ができる人、いたっけ?」

    提督「ああ、いっぱいいるじゃねえか。騒々しいくらいだ」キョロキョロ

    弥生「?」

    望月「……まさか」

    提督「そうだな……おい、お前。ちょっと聞いていいか?」

    工廠妖精1「え!? わ、わたし!?」オロオロ

    提督「ああ、お前だお前。間違ってねえから安心しろ」

     ドヨッ

    提督「おぉ……妖精の視線が集まったな。そんなに珍しいのか?」

    工廠妖精2「珍しいっていうか初めてだよ!」

    工廠妖精3「本当に私たちの声が聞こえるの!?」

    650 = 1 :


    提督「ああ、聞こえてる。聞こえてるから一人ずつしゃべっ」

    工廠妖精4「えー、すっげえ! マジで!?」

    工廠妖精1「わ、わたしが話しかけられたんだから、わたしがお話するのー!」

     キャーノキャーノ ヤイノヤイノ

    提督「……」ピキッ

    卯月「あっ」

    望月「あっ」

    弥生「あっ」

    提督「 う る せ え 」ゴゴゴゴゴゴ

    妖精たち「「ヒィッ!?」」ビクッ

    望月「……うん、まー、そーなるよね」

    弥生「卯月……どうして私の後ろに隠れるの」

    卯月「はっ!? べ、別に隠れてなんかないぴょん!?」

    望月(トラウマになってる……)

    提督「興味があるのはいいが、楽しい話題じゃあねえぞ?」


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