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    元スレ提督「墓場島鎮守府?」

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    651 = 1 :


    提督「先日、うちの鎮守府がある島の砂浜に、この鎮守府の駆逐艦、初雪が漂着した」

     ザワッ

    提督「それでその時、初雪がつけていたと思われるのが、このイヤホンなんだが……」スッ

    提督「妖精のなかで、これの詳細を知ってる奴はいるか?」

     ザワザワ…

    提督「ちなみに持ってきたこのイヤホンは外側だけで、中身の機械はうちの工廠にある」

    提督「ある程度はうちの明石に調べてもらってて、これがどういう物かはそれなりにわかってるつもりだ」

    卯月「ちょっと待つぴょん……! 准尉がそれを持ってきたってことは、初雪はどうなったぴょん!?」

    弥生「……! まさか……」

    望月「沈んだとか言うんじゃないだろうね……?」

    提督「……」

    卯月「准尉!! 答えるぴょん!!」

    提督「……どうなったかなんて、言えるわけねえだろうが」

    提督(まだ調査中なんだからな。でもまあ、こんな風に思わせ振りなことを言えば……)

    弥生「そんな……」

    望月「なんていうか……」

    卯月「ひどいぴょん……」

    提督(……効果ありすぎたか? まあいいや)

    652 = 1 :


    提督「とにかくだ。これがどういうものなのか、説明できる奴はいないのか?」

    妖精たち「……」

    工廠妖精5「あのぉ……わたし、知ってます」

    工廠妖精6「お、おい」

    工廠妖精5「ただ……お願いですから、N中佐を責めないでもらえますか?」

    提督「? ……話次第だな」

     * *

    工廠妖精5「と、いうわけでして……」

    提督「……事情は分かった。が、N中佐の身の上関係なしに、あまり良い状況じゃねえぞ?」

    工廠妖精5「と、仰いますと?」

    提督「まず、初雪は無事だ」

     ドヨッ!?

    卯月「ちょっ……さっき助からなかったみたいな空気させてなかったぴょん!?」

    提督「俺は守秘義務があると思って言わなかっただけだぞ?」ンベー

    卯月「うーちゃんを騙すなんて味な真似をしてくれるぴょん!!」プンスカ

    弥生「……怒りますよ」

    提督「俺よりN中佐に怒って欲しいもんだがな。まあ話は最後まで聞け」

    653 = 1 :


    提督「初雪は無事だったが、島に流れ着いてからしばらくの間は眠りっぱなしだった」

    提督「休みなく遠征に駆り出され、たまっていた疲労がピークに達したんだろうな。奴は浜でも平気で寝てたぞ」

    提督「さらに、イヤホンを付けてた頃の記憶が曖昧ときてる。N中佐の顔すら未だによく思い出せないでいるほどだ」

    提督「もし、このままずっとイヤホンを付けたまま活動していたら、初雪はどうなっていたか、想像してみな」

    全員「「……」」

    提督「そもそも、初雪が沈まなかったのは運が良かっただけだ。遠征とはいえ危険な海でいきなり意識失ったら普通沈むぞ?」

    提督「でだ。この鎮守府の初雪が付けてたんだから、ほかにもイヤホン付けた奴はたくさんいるんだよな?」

    提督「そいつら、大丈夫なんだろうな? 急にぶっ倒れたりしないだろうな? 取り返しのつかないことになってたりしないだろうな!?」

    全員「「……」」

    提督「使うのはN中佐の勝手だ。それで艦娘が轟沈すんのも奴が撒いた種だ。俺に止める権限なんてねえ」

    提督「だがな、こんな物を俺の部下に使おうとすんなら話は別だ。うちの奴らに何かあったらどうしてくれるつもりだ!? くそが!」

    全員「「……」」タラリ

    提督「まあ、そういうわけなんでな。俺の鎮守府の艦娘には既に対策を取らせてもらってる」

    卯月「ちょっと待つぴょん。准尉はこの鎮守府のみんなには何もしないつもりぴょん?」

    提督「何もしねえよ。つうか、危機感持ったんなら、あとはお前らでなんとかしろよ」

    提督「そもそもN中佐が指揮権を手放してるわけでもねえし、余所者の俺が勝手なことするわけにもいかねえだろ」

    654 = 1 :


    弥生「本音は?」

    提督「面倒臭え」

    卯月「とんでもない本音が出たぴょん!?」

    望月「弥生もなんでそんなこと訊くのさ……」

    弥生「言うんじゃないかと思って。准尉の物言い、なんとなく、もっちに似てるし」

    望月「いやあ、あたしもそう思ったけどさあ……認めたくねー……」ウヘェ

    卯月「……准尉」

    提督「なんだ」

    卯月「うーちゃんは司令官のやり方、ちょっと間違ってると思うぴょん」

    卯月「司令官の思いだって、今さっき妖精さんから聞くまで知らなかったぴょん」

    卯月「みんなと、司令官を助ける方法……なにかないぴょん?」

    提督「……まあ、なくはねえと思うが、N中佐まで助けるとなると面倒臭えな」

    提督「とりあえずだ、艦娘を助けたいんなら、イヤホンの危険性を証明すりゃあいい」

    提督「艦隊の主力を数人とっ捕まえて、検査を受けさせろ。体調の異常や判断力の低下、なんでもいいから粗を探せ」

    提督「このイヤホンの音が、どのくらい艦娘に有害かを上に訴えろ。艦娘はそれでなんとかなるだろ」

    鳳翔「そういうことでしたら……」スッ

    提督「!」

    655 = 1 :


    鳳翔「今、そのイヤホンをつけている艦娘の精密検査をしていただくよう、私から進言致しましょう」

    卯月「鳳翔さん!?」

    鳳翔「すみません、気になってお話を聞かせていただきました」

    提督「まあ、別にかまわねえけどよ。今の話、あんたに任せていいのか?」

    鳳翔「大丈夫ですよ。私もそれなりにこの鎮守府では長いほうですから」ニコ

    提督「……そうか。じゃあ頼まれてくれ」

    鳳翔「それで……初雪さんは、本当に無事なんですね?」

    提督「おう。頭はともかく、体はぴんぴんしてんぞ」

    鳳翔「そうですか。良かった……」ウルッ

    鳳翔「本当に、良かった……! これ以上、犠牲は出してはいけないと……ううっ」グスッ

    弥生「鳳翔さん……!」

    提督「……」

    工廠妖精5「あ、あの、准尉さん……」

    提督「ん? なんだ?」

    工廠妖精5「できれば、初雪があなたの島に流れ着いた時の状況を、詳しく教えて欲しいです……」

    工廠妖精5「初雪がどんな様子だったか、漂着した原因はなにか……」

    656 = 1 :


    工廠妖精5「対症療法になりますが、あなたに初雪の様子を教えてもらって、どんな治療方法を施すべきか考えたいです……」

    提督「……わかった。そういう話なら協力する」

    工廠妖精5「もちろん、それとは別に、今いる艦娘たちの検査も並行して進めるべきだと思います……」

    工廠妖精5「鳳翔さんが後押ししてくださるなら、多分、N中佐も、説得に応じてくれるかも……!」

    卯月「鳳翔さん鳳翔さん! うーちゃんには何ができるぴょん?」

    鳳翔「卯月さんはまだ何もしなくても良いと思います。ただ、准尉の仰るような症状がみなさんに出た場合……」

    鳳翔「そのときに、卯月さんたちの手をお借りできれば、嬉しいですね」

    卯月「まっかせるぴょん!」ムネポーン

    弥生「私も手伝います……!」

    工廠妖精7「……わたしも協力するよ。みんなはどうする?」

     ヤルヨー

     テツダウー

    鳳翔「……ありがとう……!」ホロリ

    提督「……」

    望月「んん? おーい、じゅーんいー? なぁんで不満そうな顔をしてるんだよー」

    提督「義を見てせざるは勇無きなり、ってとこか? いいよなあ、綺麗事が通用する世界は」

    望月「もしかして拗ねてんの? 鳳翔さんにいいとこ取られたからって」

    657 = 1 :


    提督「いいとこなんて俺はいらねえよ。面倒が増えるだけだしな」

    提督「それ以上に、協力的なやつが多いと世の中救われるねぇ、って思っただけだ」

    望月「言うことがいちいち卑屈っぽくない?」

    提督「世の中、理不尽なことのほうが多いだろ。全部丸く収まってたら俺みたいな人間は生まれねーよ」

    望月「あーはいはい。准尉も面倒臭い人だねえ」

    提督「まあな。あとは、俺より面倒臭いあの野郎をどうしてやろうか、って話だ」

    望月「うえぇ……N中佐にも喧嘩売んの?」

    提督「俺の身内に手を出したんだ、しっかりけじめつけるためにも、痛い目見てもらわねえとなぁ?」ピキピキ

    望月(うっわ、完全に悪役の顔だよ……)

    提督「そういうわけだから、お前らは鳳翔のサポートしといてくれ」

    望月「はぁ……はいはいっと。あーもーマジ面倒くせー、なんでこんなことになってんだよー、もー」

    提督「望月……ずっと気になってたんだがお前、俺の真似すんじゃねえよ。趣味わりぃぞ」

    弥生「もっちは普段からそんな感じ……真似じゃないです」

    提督「……マジで?」

    卯月「マジだぴょん」

    提督「……」

    望月「うわ、なんでこの世の終わりみたいな顔すんだよぉ。感じわりー」

    提督「いや、世も末だろ俺と似た艦娘って……」

    658 = 1 :



    提督「あー、それと……鳳翔?」

    鳳翔「はい?」

    提督「あんたさっき、これ以上、犠牲を出したくないっつったな?」

    提督「『これ以上』ってのは、どういう意味だ?」

    鳳翔「……」

    659 = 1 :

    今回はここまで。

    660 :

    更新、乙様です
    オシオキタイムは間もなくかな?

    661 :

    お仕置きなんて程度のものじゃなくなりそうな……。

    続きです。

    662 = 1 :


     * 翌朝 墓場島鎮守府 執務室 *

    N中佐「……ごちそうさま」

    大淀(お茶くみ中)「はい、お粗末さまでした」コポポポ…

    N中佐「……」

    大淀「今朝も執務室に朝餉を運ばせていただきましたが、明日からはどうなさいますか?」

    N中佐「……」

    大淀「どうなさいました?」

    N中佐「……い、いや、お前たちはいつもこの朝餉を食べているのか? 昨晩の夕餉も、とてもおいしかった……」

    N中佐「厨房には間宮も伊良湖もいないのに、誰が作っているんだ?」

    大淀「メインは比叡さんと長門さんが交代で作っていますね。そこに駆逐艦の子たちがお手伝いに入ってます」

    N中佐「ひえい……だと?」

    大淀「みなさんよく勘違いなさっていますが、仮にも御召艦と言われた艦ですよ?」

    大淀「方々の鎮守府の比叡さんはお料理の腕が残念だと言われていますが、ここの比叡さんは違います」

    大淀「だいたいはダイナミックすぎるアレンジが悲劇を巻き起こしている原因と聞いていますけど」

    N中佐「そうだな……個体差は、確かにあるな。昨日の赤城の声は、別人かと思えるほどだった」

    大淀(赤城さん、提督と話しているときは、もう少し口調が柔らかいはずなんですけどね)

    663 = 1 :


    N中佐「そういえば、この鎮守府の半数が轟沈艦と言っていたが、残り半分はなんだ? ここで建造された艦娘か?」

    大淀「この島のドックで建造された艦娘は大和さんだけですよ」

    N中佐「は……?」

    大淀「あとは余所の鎮守府から追い出されたり逃げてきたり、押し付けられたりした人たちばかりです」

    N中佐「……」

     扉<コンコン

    敷波「失礼しまーす」ガチャ

    敷波「大淀さん、今日の秘書艦、あたしって本当?」

    大淀「ええ、急にお願いしてしまってすみません。N中佐に島を案内して欲しいと思いまして」

    敷波「ふーん。まあ、いいけど……ところで、どうしてN中佐は頭を抱えてるの?」

    大淀「……さあ?」

    敷波「それよりさ、朝餉を食べ終わったんなら、早くお膳を返してこないと!」

    敷波「お椀が渇くと糊になって取れにくくなるんだから! ほら、お膳持ってくよー!」

    N中佐「あ、ああ、すまない。誰が作ったのかはわからないが、おいしかったと伝えてくれ」

    敷波「……そういうのはさ、じかに伝えたほうがいいよ?」ニッ

    敷波「じゃ、食堂に置いてくるね!」パタパタパタ

    664 = 1 :


    N中佐「いい子だな。彼女はどっちなんだ」

    大淀「彼女からなら、直接聞いてみてもいいと思いますよ」

    N中佐「……そうか。じゃあ逆に、絶対に聞いてはいけない相手は誰だ」

    大淀「そうですね……個人的な観点で言えば、神通さんと利根さんでしょうか。轟沈こそしていませんが、お二人ともつらい過去をお持ちですので」

    大淀「それと、暁さんもですね。前にいた鎮守府の記憶を失っています。彼女に昔のことを聞くと、正直どうなるかわかりません」

    N中佐「よくもこれだけ問題のある艦娘ばかりを、提督はまとめているものだ……」

    大淀「……N中佐。その言い方は誤解を招きますよ」

    N中佐「何故だ?」

    大淀「その言い方ですと、艦娘側に落ち度があったように聞こえます」

    N中佐「違うのか?」

    大淀「……っ」

    665 = 1 :


    N中佐「追い出されたり押し付けられたりしたというのなら、その艦娘に問題があったんだろう? 逃げ出すにしても敵前逃亡は感心できない」

    N中佐「我々海軍は、平和な海を取り戻すために命を懸けているんだ。その足を引っ張るのであっては、左遷もやむなしじゃないのか?」

    N中佐「先日も本営で、気に入った艦娘を切り裂いて飾っていた狂人がいたとかいう話もあったんだが……」

    N中佐「もし指揮官に問題があれば、その都度こうして憲兵なり特警なりが動いている。そうでなければ艦娘に問題があると見るべきだろう?」

    大淀「……」

    N中佐「そもそも提督准尉の行為自体が問題だ。どうして轟沈した艦娘をわざわざ運用しようとするんだ? 自殺でもしたいのか?」

     扉<コンコン

    敷波「ただいまー」ガチャ

    N中佐「ああ、戻ったか。よし、世間話はこのくらいにして執務を始めるとするか。敷波、よろしく頼むぞ」

    敷波「それはいいんだけど……今度はどうして大淀さんが頭を抱えてるの?」

    N中佐「……さあ?」

    大淀「……」


    666 = 1 :


     * 一方のN提督鎮守府 *

     ワーワー ドタバタ

    望月「あーもー、マジ面倒臭えええ!!」

    弥生「もっち、いいから手伝って」

    卯月「鳳翔さんのところに空になったおひつ持ってくぴょん!」

    望月「これおひつじゃなくて、たらいじゃね!?」



    提督「いきなり騒がしくなったな」

    妙高「准尉の昨日のお話が原因ですよ?」

    提督「そうなのか?」

    妙高「鳳翔さんの提案で、主力の空母たちの検査をしてみたら、軒並み栄養失調気味と診断されまして」

    妙高「それでも少量のごはんしか食べようとしないから、無理矢理イヤホンを外してみたら、ドック途中の通路で倒れたんです」

    提督「俺も今朝ドックの近くを通ったが、ガンガンゴンゴンってすげえ音が聞こえたな。救急車を通すための改装工事でもしてたのか?」

    妙高「あれは赤城さんと加賀さんのお腹の虫の音だそうです」

    提督「冗談だろ……!?」

    妙高「いえ、本当です」

    提督「……」

    667 = 1 :


    妙高「今、主力艦隊の人たちにも検査を受けてもらっていますが、みなさん空腹だと言うことで、急遽配給が行われてまして」

    提督「配給ってなあ……妙高は手伝わなくていいのか?」

    妙高「私は提督准尉の補佐を任されたといいますか……」

    提督「ああ、おれのせいか。部外者ほったらかすわけにもいかねえもんな」

    妙高「いえ、むしろ准尉がいらっしゃらなければ、この鎮守府の主力は全員倒れていたと思われます」

    妙高「警鐘を鳴らしていただいた提督准尉には、感謝こそすれ、蔑ろにしては礼を失してしまいます」

    提督「……そうかい」アタマガリガリ

    妙高「准尉、そのように頭を乱暴にかいては、お顔の傷に響くのでは?」

    提督「それなんだがなあ、今朝朝一番に医者に診てもらったんだよ」パチンパチン

    提督「マスクを脱いで包帯を取ると……ここだここ。左の頬を見てくれ」シュルシュルッ

    妙高「……見た目、なんともありませんね……?」

    668 = 1 :


    提督「この前までこの辺が真っ青だったんだ。全然痛くねえし、もう一回CT取ってもらって、今は結果待ちの状態なんだ」

    妙高「そうでしたか……」ジッ

    提督「……どうかしたか?」

    妙高「す、すみません、准尉の素顔を見るのは初めてだったものですから。失礼しました」ペコリ

    提督「確かにミイラ男だったもんな。素顔もそんなに珍しい顔でもねえだろ」

     PPPP... PPPP...

    提督「おい、何か鳴ってんぞ」

    妙高「私のですね……もしもし? 妙高です」ピッ

    妙高「……本営からですか? 准尉にもお客様? はい、はい……ええ、今はロビーに……」

    妙高「……わかりました。提督准尉にも同行していただきます。はい、よろしくお願い致します」ピッ

    提督「俺に関係あるのか?」

    妙高「はい。本日ヒトマルサンマル、本営からの査察が入ると連絡がありました」

    妙高「その前段として、お客様がお見えです。提督准尉にもご同席願いたいということです」

    提督「面倒臭えなぁ……できれば早く俺の鎮守府に戻りたいんだが」ハァ

    669 = 1 :

    短いですが、今回はここまで。

    670 :

    乙です

    海軍入る前はこういう時冤罪を被るのが常だったと思われるが…はてさて、どうなる!次号!

    671 :

    更新お疲れ様です
    妙高さん、落ちたな
    提督は罪作りだなー(棒)

    672 :

    続きです。

    673 = 1 :


     * 墓場島 丘の上 *

     ビュウウウ…

    N中佐「……ここに並んでいる艤装が、すべて轟沈した艦娘のものだというのか」

    敷波「うん。あたしが流れ着いたころは、この3分の2くらいだったかな?」

    N中佐「駆逐艦や軽巡が多いが……大口径主砲や飛行甲板まで見受けられるとは」

    敷波「まあ、こればっかりはどうしようもないよね。そういう命令を下す司令官がいる以上はさ」

    N中佐「……っ」

    敷波「あれ? いつもなら丘にある花壇のところに神通さんがいるんだけど……」キョロキョロ

    N中佐(神通……!?)ビクッ

    敷波「あ、いたいた。神通さーん!」

    神通「! 敷波さん。N中佐も……おはようございます」

    N中佐「あ、ああ、おはよう」

    敷波「神通さん、ビニールシートなんか持ってきて、どうしたの?」

    神通「今日は風が強くなるらしいですから、花壇にシートを張っておこうと思ったんです。杭もいただいてきました」

    674 = 1 :


    敷波「あたしも手伝う?」

    神通「私だけで大丈夫ですよ。敷波さんは、N中佐を案内してあげてください」

    敷波「はーい」

    N中佐「……」

    神通「N中佐?」

    N中佐「!?」ビクッ

    神通「? どうなさいました?」

    N中佐「い、いや、なんでもない……」

    神通「そうですか……? 私にどう話を切り出したらよいか、悩んでおいでのようでしたが」

    N中佐「!?」ギクッ

    神通「……やはりそうでしたか。大淀さんから何を聞いたのかは凡そ見当は付きますが、あまり緊張なさらないでください」ニコ

    N中佐「」

    敷波「……あー、神通さんごめんね。あたしたちそろそろ行くね」

    神通「はい、気を付けて」

    敷波「ほらー、行くよN中佐ー」グイ

    N中佐「あ、ああ……」

    神通「……」

    675 = 1 :


     *

    N中佐「……」ダラダラ

    敷波「……ったくもう、何やってんのさ。みっともないよ」

    N中佐「し、敷波、あの神通は……」

    敷波「んー……『気が利きすぎる』って言えばいい? まあ、ここに来た理由はそれだけじゃないんだけどさ」

    N中佐「な、何があったんだ……」

    敷波「あたしは言わないよー。知りたいんなら神通さんに直接訊けば?」

    N中佐「……お、お前はどうなんだ。なんでこの島に来た?」

    敷波「あたし? あたしは……家出みたいな感じかな?」

    敷波「前の司令官はさ、上に認めて欲しくて無理な進軍繰り返してて。大破進軍なんかもよくあったんだ」

    敷波「それで大事な子も沈めて、見てらんなくて文句言ったら『じゃあ探してこい、見つかるまで戻ってくるな』って言われてさ」

    N中佐「それでお前も轟沈したのか」

    敷波「ううん、あたしは轟沈してないよ? でも、記録の上では轟沈扱いにされちゃってんの。結局ここのお世話になってるんだよね」

    N中佐「なんだ、実際には轟沈していないのか……」

    676 = 1 :


    敷波「でも記録上は沈んだことにされちゃってんだよ。あたしはまだ生きてるってのにさ……!」

    N中佐「……」

    敷波「ねえ、もしかしてだけどさ?」

    N中佐「なんだ?」

    敷波「N中佐は、あたしみたいに轟沈したことのない艦娘は、雑に扱ってもいい、って思ってない?」

    N中佐「っ! そ、そんなことは……」

    敷波「轟沈してなくても、みんな余所で酷い目に遭わされた艦娘ばっかりだからね?」

    敷波「勿論、轟沈した艦娘だって酷い目に遭ってきたわけだけどさ。捨て艦だったり、無実なのに罪を着せられたり……!」

    N中佐「……お、落ち着け。落ち着くんだ」

    敷波「あたしは落ち着いてるよ。ちょっとむかむかしただけじゃない」

    敷波「それよりほら、天気が悪いんだから、早く行かないと案内できないよ?」

    N中佐「あ、ああ」

    677 = 1 :


     * 墓場島 北東の砂浜 *

     ザザーン

    敷波「うわ、風が強くなってきた……N中佐、早めに行くよ!」

    N中佐「砂浜か? 敷波、ここには何の用があるんだ?」

    敷波「ここは、司令官がいつも見回りしてる場所だよ。あたしもここに流れ着いてきたんだ」

    N中佐「なに?」

    敷波「……あれ? 利根さん?」

    利根「む? おお、敷波か! N中佐も一緒であったか」

    N中佐「あ、ああ」

    敷波「こんなところでなにをしてたの?」

    利根「いやさ、砂浜を見回っていたら、また流れ着いた者たちがおってな」

    敷波「あー……」

    N中佐「流れ着いた……?」チラッ

    敷波「あ、見ないほうが……」



    N中佐「」ゲロロロロロ…

    敷波「あーあ……」

    利根「見慣れておらんのだろう。仕方あるまいよ」

    678 = 1 :


    利根「ひとまずこの者たちを引き上げたいんじゃが、敷波も手伝ってくれぬか?」

    敷波「うーん、可哀想だけど今日はやめたほうがいいんじゃない? 午後から時化が来るっていうし、穴掘りとか無理だと思うよ」

    敷波「もし司令官だったら、波が来ないところまで引き上げて避難させるところまではやるかもしれないけど」

    利根「うむ、このような姿で波や雨風にさらされるのはあまりに哀れ。せめて岩陰に連れて行ってやるべきだな」



    N中佐「……げほ、げほ……うえっ」ヨロッ

    N中佐「はぁ、はぁ……なんて場所だ。赤城が言っていたのは、こういうことだったのか……」

    N中佐(そうすると、俺が沈めた艦娘も、あんなふうになってこの島に……あの丘の、艤装の中に……)

    敷波「ねえ、大丈夫? 顔が青いよ?」

    N中佐「だ、大丈夫……大丈夫だ」

    敷波「本当?」

    N中佐「ああ……」

    敷波(この人、自分の鎮守府に帰ったほうがいいと思うんだけどなあ)

    679 = 1 :


    利根「……うむ、この場はこれでご容赦願おう」ナムー

    利根「N中佐よ、この場は敷波と一緒に引き上げたほうが良いぞ!」

    敷波「そだね、顔色も悪いし、休んだほうがいいよ」

    N中佐「あ、ああ、わかった。そうさせてもらう」

    利根「ふむ……ときにN中佐よ。おぬしに一つ訊いておきたいことがある」

    N中佐「な、なんだ」

    利根「おぬしは『愛情』をなんと心得る?」

    N中佐「愛情……だと?」

    利根「うむ」

    N中佐(い、いったいどういう意味だ……!?)

    N中佐「……て、提督准尉は、なんと言っていた?」

    利根「提督にも訊いたが、知らんと言われたのだ」

    敷波「あー、言うだろうね、司令官なら」

    N中佐「……」

    N中佐(なんなんだ? 質問の意図がわからない……!)

    N中佐(大淀の警告は、いったい何を意味しているんだ……なんて答えればいい!?)

    680 = 1 :


    N中佐「……お、俺も、よく、わからない、な……」

    利根「そうか、おぬしもわからんのか」

    敷波「……ねえ、本当にわからないの?」

    N中佐「あ、ああ」

    敷波「じゃあ、なんでN中佐は海軍にいるのさ?」

    N中佐「っ!」

    敷波「なんで海軍で艦娘の指揮を執って、深海棲艦と戦ってるのさ!?」

    N中佐「俺は……」

    N中佐「俺には、守らなければならないものがある。だから……深海棲艦の跋扈を許すことはできない」

    敷波「それは愛情じゃないんだ?」

    N中佐「……っ」

    利根「うーむ……やはりよくわからんな」

     ビュオオオォォォ…

    利根「むう、風が出てきたな……二人とも、早く引き上げるぞ!」

    N中佐「わ、わかった」

    敷波「……」

    681 = 1 :

    ということでここまで。

    682 :

    愛がなんだって?躊躇わない事さ!
    察しの良い神通さんに邪な考えをもって近づいて顔を赤くさせて見たい(変態だー!)
    更新お疲れ様です

    683 :

    撃ち殺される未来しか見えない…

    685 :

    神通を恥ずかしがらせる……できるんだろうか。


    では続きです。

    686 = 1 :


     * 一方のN提督鎮守府 *

    卯月「疲れたぴょん……」グッタリ

    弥生「……」ウトウト

    望月「マジ疲れたし……! 寝るよー?」グテー

    妙高「みなさんお疲れ様でした」

    提督「よお、ご苦労さん」

    卯月「!? だ、誰ぴょん!?」

    望月「妙高さんが一緒ってことは……もしかして准尉?」

    弥生「顔の包帯やマスクはどうしたの……?」

    提督「治ったから取った」

    望月「治った!?」

    妙高「私もレントゲン写真を見せてもらいましたが、昨日の写真にはひびが映ってて、今朝の写真にはそれがないことを確認しました」

    望月「マジか……」

    卯月「准尉! 治ったんだったら今の今までどこでサボってたぴょん!?」

    鳳翔「卯月さん、准尉はこの鎮守府の関係者ではないのですから、無理をお願いしてはいけませんよ」スッ

    卯月「うー……」

    687 = 1 :


    提督「よお、鳳翔。ご苦労さん、忙しくさせて悪かったな」

    鳳翔「いいえ、これで良かったんです。准尉、ありがとうございます」フカブカ

    鳳翔「ところで准尉? お顔のお怪我はもうよろしいんですか?」

    提督「ああ。正直、なんでこうなったのか、よくわかんねえ」

    妙高「お医者様も狐につままれたような顔をしてましたね」

    鳳翔「いったい何が……」

     < 提督ーーーー!!

    望月「……んあ?」

    卯月「誰ぴょん?」

    提督「……この声、まさか」タラリ

    妙高「?」

    「提督ーーーーーーー!!!」ドドドドドド

    提督「げぇっ! 大和!!」

    「提督ーーーー! お会いしとうございましたーー!!!」ダキツキーーッ

    提督「げぼあ!?」ドガシーーーッ

    卯月弥生望月妙高鳳翔「「「!?」」」

    688 = 1 :


    「提督、そのお顔、治ったんですね! 良かった……本当に良かった!」ホオズリホオズリ

    提督「放せ! 何やってんだお前は! 抱き着くな! 胸を押し付けんな!」

    「当ててるんですよ?」ポ

    提督「当てんな! いいから早く放せっての!」

    「そんな……嫌です! この大和、もう二度とあなたを離しません!」ギュウウ

    提督「お前は人の話を……」ガシッ

    卯月「あっ」

    提督「聞けやくそがあああああ!!」アイアンクロー

    「ひぎいいいいいいい!?」メキメキメキメキ

    望月「うっわあ……」

    卯月「准尉のアレ、超痛いぴょん……! 大和さん、早くごめんなさいするぴょん!」ガタガタ

    弥生(完全にトラウマになってる……)

    鳳翔「准尉、そのくらいにしてあげてください。力で抑えつけても、人はついてきてくれませんよ」

    提督「ん? お、おう……」パッ

    689 = 1 :


    鳳翔「お礼には及びませんよ。私からも大和さんに言いたいことがありますから」ニコ…

    「は、はい……?」

    鳳翔「まず、好いた殿方がいるとはいえ、鎮守府の廊下を走るなど言語道断です」

    「は、はい! 申し訳ありません!」

    鳳翔「それに提督准尉はれっきとした成年男性です。抱き着くだけにとどまらず頬擦りまでするなんて……」

    鳳翔「あなたは准尉を猫か子供と勘違いなさっているのではないですか?」ジッ

    「い、いえ! 決してそのようなことは!」

    鳳翔「それに、当てているとはどういう意味です?」ギンッ

    「ひぃっ!」

    鳳翔「安直な誘惑などせず、礼節を知り、相手に対する敬意をもって接することこそが、尊いと思いませんか?」ゴゴゴゴ

    「も、申し訳ありません! この大和、未熟な振る舞いが過ぎました!」ペコペコ

    提督「おい妙高。鳳翔って何者なんだ?」ヒソヒソ

    妙高「なんと言いますか、私たち艦娘の精神的なまとめ役というか、お母さん的な存在です」

    妙高「艦だったときも、初期に建造された艦でありながら、終戦まで私たちの戦いを見守ったと聞いています」

    提督「いまいちピンとこねえが……とにかく立場が上っぽいんだな?」

    690 = 1 :


    「ううう、ごめんなさい、ごべんなざいぃ……」グスグス

    鳳翔「そ、そこまで泣かなくても……ほら、小さな子も見てますから。次から改めましょう?」

    「はいぃ……」グスングスン

    望月「……なんていうか、鳳翔さんすげえ……」

    卯月「それよりも、准尉の鎮守府に大和さんがいることのほうが驚きぴょん! いったいどうやったぴょん?」

    弥生「N中佐……大和をすごく欲しがってた」

    提督「そのせいで面倒くせえことに巻き込まれてんだよ、うちの鎮守府は……」

    鳳翔「それは……」

    不知火「司令」ヌッ

    提督「うっお!? し、不知火か!? お前いつの間にいやがった!」

    不知火「大和さんが提督にアイアンクローを貰ってたあたりからです」

    提督「なんで黙って見てんだよ……」

    不知火「申し訳ありません、声をかけるタイミングを考えていました」

    提督「……なあ不知火、もしかして、お前らが本営からの客ってやつか?」

    不知火「はい、大和さんと一緒に、本件の調査と現状の報告を中将から仰せつかってきました」

    提督「そうか。で、そっちは誰だ」

    大鳳「初めまして、提督准尉。私は少佐鎮守府所属、装甲空母、大鳳です」

    提督「少佐鎮守府、だと?」ジロリ

    不知火「詳細をご説明したいので、お時間よろしいでしょうか」

    691 = 1 :


     * N中佐鎮守府 応接室 *

    大淀(N中佐部下)「では、本日中に特警からの調査が入るということですね……?」

    大鳳「はい。今回問題になったこのイヤホンですが、海軍の依頼を受けたある開発チームが作成したものです」

    大鳳「開発当初は、艦娘の健康管理やスケジュール管理など、艦隊運営の補助ツールとして試験運用されていました」

    大鳳「もともとは、指揮官の出張や傷病による長期不在に対応するために開発したと聞いています」

    大鳳「それが、開発を進めていくうちに、艦娘の体調のコントロール、リミッターの強制解放……」

    大鳳「果ては艦娘への洗脳プログラム……そういったものが開発され、艦娘の人格への侵害が見受けられるようになり……」

    大鳳「少佐を含む海軍の有志数名が、このツールの運用を中止させるべく本営に働きかけたのが、数日前」

    大鳳「そして、提督准尉からの報告もあり、海軍上層部はこのツールを現実的な脅威として認定、運用と開発の中止を決定しました」

    妙高「そんなものがこの鎮守府で運用されていたなんて……」

    大鳳「先程報告していただいた、この鎮守府で起こったことを鑑みれば、ツールの運用は危険であると判断して良いでしょう」

    不知火「対処法としては、イヤホンを取り外すだけで済みますが、抵抗されて死傷者が出るケースも発生しています」

    不知火「取り扱いには細心の注意を払っていただくよう、お願い致します」

    大淀「わかりました。すぐに対応します」

    鳳翔「……N中佐はどうしてこんなものを……いえ、仕方ないのかもしれませんね」

    提督「……」

    692 = 1 :


    大鳳「また、以上の話をN中佐に連絡し、このツールをどこから入手したのか、いつ使い始めたのか、経緯を聞く必要があります」

    大鳳「N中佐は現在、提督准尉の鎮守府におられるということですので、私と不知火さん、大和さんはこれからそちらへ向かいます」

    大鳳「提督准尉にもご同行をお願いします。よろしいですね?」

    提督「ああ」

    大鳳「そしてN中佐には、このツールを利用したことによる、しかるべき処分を受けていただくことになります」

    大淀「!」

    妙高「そう、ですか……」

    提督「で、俺たちはすぐ出立すんのか?」

    大鳳「いえ、島の周辺海域の天候がよろしくないので、様子を見る必要がありそうです。準備だけは整えておいてください」

    大鳳「それと、この鎮守府には、本日ヒトヨンマルマルから特警が医師団を連れて捜索に入ります」

    妙高「医師団?」

    大鳳「はい、イヤホンを着用した艦娘の体調を調査するためです」

    大鳳「今日は調査対象者のなかから、本営での精密検査を受けていただく艦娘を数名選び出す予定です」

    大淀「そうですか……わかりました」

    693 = 1 :


    鳳翔「大淀さん、まずは艦隊のみなさんのイヤホンをすべて回収しましょう」

    鳳翔「そのうえで別室へ待機していただいて、午後の調査がスムーズに行われるよう、みなさんにも協力を要請しましょう」

    大淀「はい!」

    提督「……」

    大鳳「提督准尉? 先程から怖い顔をなさってますが、何か気に入らないことでも?」

    提督「ああ、気に入らないことだらけだな」

    提督「例えばツールの使い道、上の連中が一番恐れているのは洗脳プログラムだよな?」

    提督「人間や海軍に対して攻撃を仕掛けるよう洗脳することも、そのツールなら可能なんだろ? 簡単にクーデター起こせそうだな」

    大鳳「はい、少佐はいち早くそれに気付いています」

    提督(……蛇の道は蛇ってか? この件はあいつが黒幕じゃあねえってことか)

    提督「そんなことができるんなら、うちの艦娘に俺を裏切れって命令を出すこともできるよな?」

    不知火「し、司令! いくらなんでも、N中佐がそこまでするとは……!」

    鳳翔「准尉、そのお話……もしかして、先程の大和さんが関係していますか?」

    不知火「あ……!」

    提督「そうだな。俺には、大和が欲しいがためにツールの洗脳プログラムを使ったとしか思えねえ」

    提督「じゃなきゃ、うちの鎮守府の指揮を執りたいなんて言うはずがねえよ。初雪の捜索をおざなりにしたのも、そういうことだろ」

    鳳翔「……」

    694 = 1 :


    大鳳「お話を聞く限り余罪があるのかもしれませんが、まずは提督准尉の鎮守府へ急ぎ、N中佐の身柄を確保するのが先決だと思います」

    提督「ああ、急ぎたいな。どうせ今から島へ向かっても日が落ちちまうだろうが……」チッ

    提督「それと、もう一つ。大鳳は少佐の指示でここへ来たのか?」

    大鳳「はい。少佐は今回のツールの運用が危険であることを証明すべく、奔走しておりました」

    大鳳「このツールの存在そのものを少佐は酷く憤慨していまして、早急に対応するよう、私も直々に命を受けています」

    提督「憤慨!? あれがか?」

    大鳳「あ、あの、提督准尉? その、露骨に嫌な顔をなさっているのは何故です?」

    不知火「いえ、これは無理からぬことかと……」

    提督「大鳳、お前もしかして、少佐鎮守府に来て日が浅いのか?」

    大鳳「は、はい」

    提督「そうか。それじゃお前に言っても仕方ねえな」

    大鳳「わ、私、何か准尉の気に障るようなこと言いました?」アセアセ

    不知火「いえ、大丈夫です。司令は誰に対してもこんな感じですから」

    大鳳「……赤城さんから聞いていたイメージとだいぶ違います……」タラリ

    不知火「司令は少佐が大嫌いなんです。気を悪くなさらないでください」ヒソヒソ

    695 = 1 :


    提督「とにかくやることは決まったな? 俺たちは出立の準備をして、こっちの鎮守府は大淀や鳳翔に任せる、でいいんだな?」

    大淀「提督准尉、お願いがあります。島へは鳳翔さんと妙高さんを連れて行っていただけないでしょうか」

    鳳翔「大淀さん!?」

    妙高「いいんですか!?」

    大淀「准尉。このお二方は、N中佐が駆け出しのころ、この艦隊の主力として奮戦しておられました」

    大淀「戦艦や正規空母の台頭で主力から離れていましたが、それでイヤホンを付けなかったのは不幸中の幸いだと思います」

    大淀「今、N中佐を説得できるのはこのお二人しかおられません……!」

    提督「……わかった。一緒に行くか」

    鳳翔「はい。よろしくお願いします」

    妙高「すぐに準備します!」スクッ

    696 = 1 :

    今回はここまで。


    N中佐の話はいわゆるチートやマクロをモデルにしています。

    697 :

    更新乙でございます
    チーター、マクラーはBANされないといけない(柱提督感)
    実際問題ランカーの数字がおかしいのは居るけど全てが弾けるわけでなし
    何が楽しくてチートやマクロ使うのかが分からんけどね
    作中に大鳳が出てきてほっこりしました、ありがとうございます

    698 :

    じわじわと追い詰めます。


    続きです。

    699 = 1 :


     * 昼過ぎ 墓場島鎮守府 ロビー *

    敷波「っていうことがあってさ」

    「……ふーん」

    敷波「司令官は、あたしたちがやりたいことをやらせたい、って考えじゃんか」

    朝潮「はい。司令官は、私たちのことを第一に考えてくださっています!」

    「任務も、やりたくないならやらなくていい、って言うくらいだし……」

    朝雲「ちょっと甘すぎる気もするけどね」

    敷波「司令官が、それを愛情だって言いたがらないのは、何となくわかるんだけど……」

    (まあ、なんとなくわかるわね)ウンウン

    (霞ちゃんが頷いてる……)

    朝雲(頷き方がすごく力強いんだけど)

    敷波「でもさ、N中佐の言う守りたいものに対する気持ちって、愛情とは別に何かあるのかな?」

    「愛情じゃないけど、守りたいと思う気持ち……?」

    「となると、哀れみとか、同情のたぐいかしら」

    朝潮「どういう感情なんでしょう……よくわかりませんね」

    敷波「あの人、何か隠してるのかな?」

    700 = 1 :


     * 墓場島鎮守府 工廠 *

    初春「のう明石よ、初雪の処遇は今暫くこのままかえ?」

    明石「うーん、そろそろなんとかしたいんだけど……」

    初雪「私はこのままでもいい……会ってどうこうするの、もう面倒くさいし」ウツラウツラ

    明石「駄目だよー、何事もちゃんとすっきりけじめつけないと」

    初春「うむ。今のままではおぬしは幽霊船になってしまうぞ」

    初雪「知ってる……成仏できない幽霊は、悪霊になるっていうアレ」

    明石「どこで仕入れたんですか、その知識……」

    初春「そこまで理解しておるなら、なおのことここで舟を漕いでいる場合でもなかろうに」

    初雪「大丈夫……そのときは初春にお祓いしてもらう」

    初春「? わらわにか?」

    明石「ああ、その髪飾り!」

    初春「この紙垂は、そういう使い道のものではない」デコツン

    初雪「おっふ」

    明石「冗談はさておき、N中佐とどんな話をするか、方針が決まらないとね」

    明石「N中佐の鎮守府に戻るのか、ここに残るのか。初雪ちゃんとN中佐双方が納得する答えを出さないと……」


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