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    元スレ提督「墓場島鎮守府?」

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    551 = 1 :


    「……綺麗な砂浜なのに……悲しい、場所なのですね」

    不知火「提督がこの鎮守府においでになるまでは、目も当てられなかったと聞きます」

    提督「まあな……ん?」

    不知火「あれは……!」

    「誰か倒れてます!!」タッ

    ??「……」

    提督「こいつ……吹雪に似てんな」

    「仰る通り、この子は吹雪型の駆逐艦娘ですね」

    ??「……」

    提督「おい」

    ??「……ぐー……すー……」

    「!?」

    不知火「!?」

    提督「……寝てるだけか?」

    不知火「よく見れば、殆ど怪我をしていませんね……」

    提督「……おい、お前。起きろ」

    ??「……ん……むにゃ」

    提督「お前は何者だ。なんでここに流れてきた。なんで寝てる」

    ??「……んうう……? ちょっと、待って……ふああ」ムク

    不知火「完全に寝ぼけてますね……」

    552 = 1 :


    「一度にたくさんの質問をしても答えられないのでしょうし……とりあえず、あなた、お名前は?」

    ??→初雪「……んと……初雪、です……」

    提督「……」

    初雪「ところで……ここ……どこ……?」キョロ

    提督「××国の××島鎮守府だ。墓場島鎮守府とも呼ばれてる」

    「そんな異名があるんですか!?」

    不知火「はい、不本意ながら」

    初雪「……はかば、じま?」クビカシゲ

    提督「おまえがなんでここに来たのか、覚えてないのか?」

    初雪「ここに来たのは……えと、よく、わかんない……です」カクン…カクン…

    初雪「それより、寝かせて……おふとん、欲しい……ぐう……」

    初雪「……すぴー……」パタッ

    提督「……」

    「……提督?」

    不知火「ほぼ無傷で、寝不足で流れ着いてきた艦娘は初めてですよ」

    提督「……」

    「提督? どうなさったんです?」

    提督「……いや、こいつをどうしようかって思ってたんだが……この場合、布団だよな。用意するのは」

    不知火「……そうですね」

    提督「ここまで悲壮感も緊張感もねえ図太い奴は初めてだ……」

    553 = 1 :


     * おまけ 大和、初めての夜 *

    「提督の寝室から追い出されました……」グスングスン

    「そういうときは妖精さんに資材を渡して鍵を開けてもらうのです」

    吹雪「司令官は眠りが深いから、就寝の一時間後くらいが狙い目ですよ!」

    如月「ちょっと、教えてるの!?」

    朝潮「同衾までは了承するのがお約束ですよ!」

    如月「わ、わかってるけど……」

    利根「なるほど……それはよいことを聞いたぞ」

    如月「もう……司令官には秘密ですからね?」


    長門「……いつの間にそんな約束ができてたんだ」

    初春「毎晩駆逐艦と代わる代わる同衾しておるおぬしがいうのも今更と思うがのう」

    長門「そ、それはお前たちの希望じゃないか! 私に原因があるように言うな!」

    初春「そういうことじゃから、提督のことにも口出しは無用じゃ。おぬしと同じで、あやつもどうあっても我らに手を出さんからの」

    長門「それはまあそうだろうが……信頼の形として、それは良いんだろうか」ウーム

    初春(こういうところがマジメなのも提督に似ておるのう)

    554 = 1 :

    初雪登場といったところで、今回はここまで。

    駆逐艦の間では長門の部屋にお泊まりが流行中です。

    555 = 543 :

    もう鍵いらないんじゃない?ww
    なんとなく読み直してたら更新来ていた
    お疲れ様です

    556 :

    なにも初雪登場の週に初雪が降らなくてもいいじゃないか……。

    続きです。

    557 = 1 :


     * 翌日 執務室 *

    提督「だからお前の所属はどこだった、って聞いてるんだが」

    初雪「……それは、言いたくない、です」

    提督「言わねーと俺たちが困るんだよ。誘拐犯扱いされたらたまったもんじゃねえ」

    初雪「でも、戻りたくないし」

    提督「だったらなおのこと、元の鎮守府に三行半叩きつけてやらねーと駄目なんじゃねえのか」

    初雪「もう関わりたくない……ぶっちゃけると引きこもりたい」

    提督「それはいいにしても、お前がいた鎮守府の名前や特徴がわからねーと、こっちも対策の取りようがねえだろが、ったくよ……」

    初雪(いいんだ……)

    提督「じゃあ、質問を変えるか。お前、なんで砂浜に流れ着いてた?」

    初雪「……正直、あまり覚えてない……です。多分だけど、遠征の途中だった気がする……」

    提督「遠征?」

    初雪「とにかく、休みたくて休みたくて、ひたすら眠りたかった気がする」

    提督「……ってことは、過労か?」

    初雪「……かも」

    提督「交戦した記憶は?」

    初雪「それは、ないです」

    558 = 1 :


    提督「ほかに変わったことは?」

    初雪「むー……あ、そういえば」

    提督「なんだ」

    初雪「声が聞こえなくなった」

    提督「声?」

    初雪「そう。なんか……いろいろ思い出してきた」

    提督「断片でいいから、片っ端から話してみな。整理しようぜ」

     * *

    大淀「失礼します」ガチャ

    提督「お、いいとこに来たな。初雪の話がだいたい整理できた。お前もちょっと聞いてくれ」

    大淀「はい、わかりました」

    提督「さて初雪。お前のいた鎮守府には一軍から三軍があって、一軍がメインで動くメンバー、二軍は一軍が動けなくなった時の控え」

    提督「一軍と二軍の艦娘にはイヤホンマイクの装備が義務付けられていて、そのイヤホンに指揮官からの指示が飛んでくる」

    提督「そして、三軍は入りたての出撃や遠征に行く枠のない、控えの控え」

    初雪「……」コク

    提督「で、遠征部隊の一軍だったお前は、寝る間もなく遠征に行かされて、疲れがたまって道中でぶっ倒れた」

    提督「そのときにイヤホンマイクを紛失したもんで、これまで寝てなかった分の眠気にも襲われた、って感じでいいんだな?」

    初雪「……そんな気がする」コクコク

    559 = 1 :


    提督「気がする、って、お前そこまで自信がねえのかよ」

    大淀「覚えてないんですか?」

    初雪「うん……あのイヤホンを付けたあたりからの記憶が曖昧だし」

    初雪「体も、発泡スチロールみたいにふわふわしてた……ような」

    提督「完全にそのイヤホンが元凶じゃねえか。大淀、心当たりは」

    大淀「ありませんね。本営に情報を求めます」

    提督「どうも話を聞く限り、催眠術まがいのこともしてそうだな。もし初雪のイヤホンを見つけても、身に着けないように通達してくれ」

    大淀「承知しました」

    初雪「……んうう」ミミグリグリ

    提督「どうした」

    初雪「思い出そうとしてたら、耳の中がかゆくなってきた……」

    提督「まだ耳の中に何か残ってんじゃねえだろうな?」

    初雪「……あ、そうだ。准尉さん、お願い」キョシュ

    提督「ん?」

    初雪「耳かき、してほしい……です」

    提督「……」

    初雪「お願い、します」ペコリ

    提督「……しょーがねーな……」

    大淀(ちゃんとお願いされると、お願い聞いてくれるんですね……)

    560 = 1 :


     * *

    (ソファで提督が初雪に膝枕中)

    提督「……」グリ

    初雪「……んふ」ゾク

    提督「……」ゾリ

    初雪「……ひんっ」ビク

    提督「変な声出すな」

    初雪「ごめんなさい」

    初雪「でも、准尉さん、上手だから……声が出るのは仕方ない」

    提督「そんなもんかね」コリ

    初雪「うん……すごく、気持ちいい……ふぁんっ」

    提督「我慢しろ」チョリチョリ

    初雪「こ、これでもかなり我慢してるし」ウットリ

    提督「つうか、溜め込みすぎだろ。なんだこの量」モフモフ

    提督「よし、こっちは終わりと。ほれ、反対側」

    初雪「はい」ムク タタタッ ストン

    大淀(初雪さんが素早い……)

    561 = 1 :


    提督「……こっちはこっちで固まってんな。イヤホンつけっぱなしだったからか?」カリ

    初雪「んあっ」ゾクゾク

    提督「……マジで耳垢がリング状に固まってるぞ……ちょっと力入れるから、痛かったら言えよ」カリカリカリ

    初雪「だ、だいじょう……んひっ」ゾクゾクゾク

    提督「おぉ……でけえのがごっそり取れてきた」ゾリゾリゾリ

    初雪「~~~っ!」ビクビクビクッ

    提督「やべ、半分に割れた……が、一応半分はとれたな。つってもでけえぞこれ」

    初雪「……は……ふう」ビクン

    提督「よし、残り半分、カタマリ取るから動くなよ」ズリズリズリ

    初雪「んくぅ……!!」プルプルプル

    提督「こっちはカタマリになってたおかげで一網打尽にできたな。残りかす取るから待ってろ」コリコリコリ

    初雪「おふぅ……」トローン

    大淀(初雪さんの顔が、乙女がしちゃいけない顔になってる……)

    提督「……おし、終わったぞ」

    初雪「……」ムフー

    提督「……おい? いつまで膝枕してりゃいいんだ」ツン

    初雪「……ちょっとだけ、名残惜しかった……」ムク

    562 = 1 :


    初雪「あの、ありがとう、ございました」ペコリ

    提督「おう。これでお前の所属も話してくれりゃ万々歳なんだがな」

    初雪「それは嫌」

    提督「……ったく」

    初雪「でも」ジッ

    提督「?」

    初雪「こうやって、直接顔を合わせて、あの人と話したこと……一、二回くらいしかないし」

    初雪「耳かきだって、やってもらえると思ってなかったし」

    初雪「この鎮守府が、どのくらい忙しいのかわからないけど……ここのほうがいい」ポ

    初雪「顔も覚えてない人のところに、戻りたくない……ここに、いたい、です」テレッ

    提督「そうか……なら、なんとかしねえとな」

    大淀(こういうセリフが来ると、提督も真面目モードになるんですよね。だいぶわかってきました)

    初雪「……」カオマッカ

    提督「……」

    563 = 1 :


    初雪「……あの。少し、散歩してきます」タッ

     扉<ガチャ パタム

    提督「ん? ああ……って早えな」

    大淀(初雪さんは恥ずかしさで逃げていきましたか)

    提督「……さて、どうしたもんかね」ミミカキクリクリ

    大淀「! ……あ、あの、提督?」

    提督「ん?」

    大淀「その……よろしければ、私が、耳かき、しましょうか」

    提督「あー、気にすんな、自分でできる」

    大淀「そ、そうですか」シュン

    提督「……そうだな、大淀はいいのか? ついでだし、良かったらやるぞ?」

    大淀「わ、私ですか!?」

    提督「ああ」

    大淀「……」

    提督「……」

    大淀「……お、お願いします……!」ゴクリ

    564 = 1 :


     * 提督の耳かきには勝てなかったよ *

    大淀「」クテェ…

    提督「大淀。おい、しっかりしろ。大淀」ユサユサ

    大淀「……はうっ」

    提督「大丈夫か? もう耳かきは終わったぞ」

    大淀「そ、そう、ですか……あ、ありがとうございました……」フラフラ

    提督「本当に大丈夫か? 膝が笑ってんぞ……どうしてそうなった」

    大淀「お、お前のせいだろが、くそが……」ボソ

    提督「?」

    大淀「い、いえ、なんでも、ありまひぇん……!」

    提督「……こりゃだめだな」グイ

    大淀「!?」オヒメサマダッコ

    提督「とりあえず部屋まで運ぶから。お前、今日はもう休んどけ」

    大淀「て、提督この格好はああああ」カオマッカ

    提督「落としたりしねえよ、比叡もこうやって運んだし」

    565 = 1 :


    大淀「」プシュウウウウウ

    提督「大淀?」

    大淀「」カクン

    提督「……疲れがたまってたのか?」



    妖精「どこまでわかっててやってんのかな、提督は」

    島妖精F「それよりほかの子が耳かきをねだってくる可能性、すごく高くない?」

    島妖精C「1時間以内にボーキ100」

    島妖精D「3時間以内に修復材1個」

    島妖精G「きょう一日は来ないに鋼材300」

    島妖精B「大穴狙い!?」

    妖精「みんなはどこから湧いて出てきたのさ」

    566 = 1 :


     * 2日後 墓場島近海 巡視船甲板上 *

    N中佐「初雪とはぐれたのはこの近辺か?」

    磯波「はい」

    N中佐「ただの遠征で艦娘が行方不明になるなんて、とんだポンコツツールだな」

    N中佐「メーカーは滅多にない現象とか言いやがったが、こっちは実害が出てるんだ、とっとと対応しろってんだよ」

    N中佐「これが通常海域で邂逅できない艦だったら目も当てられねえぞ、ちくしょうめ」

    磯波「……」

    N中佐「おい磯波、この辺に鎮守府はあんのか」

    磯波「このあたりだとトラック泊地が一番近いです」

    磯波「それと、近くの無人島……××国の××島にも鎮守府があります」

    N中佐「××島に? 聞いたことないな。立ち寄ってみるか?」

    磯波「では、針路を××島にとります」

     ザザザァァァ…

    567 = 1 :


     * 墓場島鎮守府 埠頭 *

    N中佐「驚いた。本当に鎮守府があるとはな」ザッ

    N中佐「誰か住んでいるような雰囲気ではあるが、人影がないな……ん? あれは……おぉい!」

    由良「? あなたは?」

    N中佐「艦娘の由良か。俺は大湊のN中佐だ、理由あってこの海域の調査をしている。急で申し訳ないが、ここの責任者と面会を希望したい」

    由良「……わかりました、少々お待ちください」

    N中佐「ああ、頼む」


     * 執務室 *

    提督「N中佐?」

    由良「ええ。海域を調査してるんですって」

    大淀「提督……」

    提督「……ま、おそらく初雪だろうなあ。大淀、初雪は匿っておけ」

    大淀「はい、わかりました。明石のところへ連れて行きます」

    568 = 1 :


     * 埠頭 *

    提督「お待たせしました、こんな顔で失礼します」

    N中佐「うお!? き、急な話で申し訳ない。私はN中佐だ、あなたがこの鎮守府の責任者ですか」

    提督「はい。提督准尉です」

    N中佐「准尉? なんだ、准尉か」

    提督「……」

    N中佐「提督君、この辺で初雪を見なかったか。特型駆逐艦、吹雪型の初雪だ」

    提督「……初雪、ですか。轟沈艦ならしょっちゅう流れてきていますが、探しましょうか」

    N中佐「轟沈艦? いや、沈んだのなら別に……」

     ザザァァ

    吹雪「司令官! ただいま演習から戻りました!」

    利根「やはり大和はすごいな。相手も大和の砲撃に右往左往しておったぞ!」

    「いえ、まだまだです」テレテレ

    N中佐「……!」

    提督「どうしました」

    N中佐「提督君、あの大和はどうした」

    提督「どうしたも何も……うちの大和がなにか?」

    569 = 1 :


    N中佐「……」

    提督「?」

    N中佐「……検査だよ、提督君」

    提督「検査?」

    N中佐「ああ。この鎮守府の戦績を見せてもらいたい」

    提督「どういうことです」

    N中佐「これは命令だ。君たちの戦績を見せてもらう」スッ

    提督「……」

    N中佐(イヤホンの回収のために初雪を探しに来てみれば、思わぬお宝に巡り合えた)

    N中佐(准尉などという下っ端に大和を従わせておくなど、なんともったいない。俺の部下にしてやった方が確実に戦果は挙がる)

    N中佐(階級をちらつかせて奪っても本営が黙っていないしな。戦績なりなんなり穴を見つけて、適当な理由を見つけねば)

    N中佐(それか、大和本人に異動したいと言わせるか……!)

    N中佐「失礼するぞ!」ズカズカ


    吹雪「し、司令官!? 今の方は……!?」

    提督「……面倒臭えのがやって来やがったぞ、くそが」

    570 = 1 :

    今回はここまで。

    571 :

    更新乙様です
    めんどくさいなら埋めちまえと思った

    572 :

    では続きです。

    573 = 1 :


     * 執務室 *

    大淀「て、提督! このN中佐という人が戦績表を見せろと仰ってきているのですが……」

    提督「いい。見せてやれ」

    大淀「! は、はい……」


    N中佐「……なんだこのやる気の見えない成果は」

    N中佐「大和やら長門やら、大戦力を率いておいてこの体たらく……情けない!」

    N中佐「俺の鎮守府は大和や長門なしでも、ここ半年で多大な戦果を挙げている。大佐への昇格も間近だ」

    N中佐「提督准尉。お前にはこの艦隊は荷が重すぎるようだな?」

    提督「……」

    N中佐「こんな鎮守府に戦艦など不要だろう。この戦績書は預かる、この鎮守府の過剰戦力は必要なところに移動すべきだ」

    提督「……というと?」

    N中佐「この戦績書を見て、本営はどう思うかな? この戦果しか出せない鎮守府で、戦艦を遊ばせるなど無駄でしかない」

    提督「それはあなたが決めることじゃないと思いますが」

    N中佐「お前が決める話でもない!」

    提督「では決めてもらいましょうか。本営の中将に」

    N中佐「!?」

    574 = 1 :


    提督「この鎮守府の運営については、中将に定期的に報告を入れています。中将があなたの判断を良しとするなら、従いましょう?」

    N中佐「ちゅ、中将だと!? なぜ貴様にそんな権限がある!」

    提督「事情がありますので」

    N中佐「……」

    提督「……」

    N中佐「……私なら、君より良い戦果を期待できる」

    提督「は?」

    N中佐「10日だ。10日もあれば、君の戦績など余裕で越えて見せられるというのだよ」

    N中佐「ふむ……その君の顔の怪我、私の鎮守府で軍医に見てもらえ。10日間、休養を与えよう」

    N中佐「その間、この鎮守府の指揮を私が執る。君の戦術がいかに薄っぺらいか、この鎮守府の艦娘に教えてやろうじゃないか」

    提督「……」

    大淀「提督……」

    提督「……承知しました、そういうことであれば、中将にも報告を入れましょう」

    N中佐「ああ、賢明な判断だ」ニヤリ

    提督「大淀、全員を会議室に集めろ」

    大淀「ほ、本気ですか提督!!」

    提督「ああ。N中佐、あなたも会議室へどうぞ。私は中将へ報告を行ってから参りましょう」

    575 = 1 :


    提督「大淀、N中佐を会議室へ通せ」

    大淀「……わ、わかりました……こちらです」

    N中佐「うむ」

     扉<バタン

    提督「……さあて、妖精。またお前さんの力を借りたいが、頼まれてくれるか?」

    妖精「また? しょうがないなあ」ヒョコ

    島妖精たち「今回はどうしようっていうのさ」ズラッ

    提督「奴の態度を見たか? 初雪の話のときはさして乗り気でもなかったくせに、大和を見てから目の色変えやがった」

    島妖精B「へーえ、大和に目を付けたのか」

    島妖精C「いい根性してるねえ」

    提督「お前たちに、大和を指揮するのにふさわしい奴かどうか、見てもらいたくてなぁ」

    島妖精F「そっかぁ、それならしょうがないね」

    島妖精G「しっかり見極めてあげないといけないね」

    島妖精E「不合格なら埋めちゃおうか」

    提督「いいのか? 俺ならやるが」

    島妖精A「さすがにそれはやめておけ」タラリ

    島妖精D「なんにしても、人の物を奪おうとする輩にはそれ相応の見返りをしてあげないとねえ」

    提督「あの野郎は、ここがどんな場所かよくわかってねえみたいだし……ちゃあんと教えてやろうじゃねえか」ニタリ

    576 = 1 :


     * 会議室 *

     バタバタバタ

    明石「遅くなりましたあぁ!」バーン

    N中佐「大淀、明石で最後か」

    大淀「……はい……」

     シーン

    明石「あれ? なんなのこの雰囲気」キョロキョロ

    N中佐「准尉が遅いせいで、ここの艦娘たちが不機嫌になっているだけだ」

    大淀(そんなわけないでしょーが)イラッ

    神通(まったくです)ウンウン

    古鷹(神通さんはなんで頷いてるんでしょう……)

    明石「……えっと、大淀? こちらの方は?」

    提督「よお、待たせて悪いな」チャッ

    大淀「提督!」

    長門「提督! これはいったいどういうことだ!」ガタッ

    朝潮「提督が解任されるとは本当ですか!!」ガタッ

    提督「どこからそんな話になった。いいから座れ。ったく……」

    577 = 1 :


    提督「勘違いもあるようだから簡単に言う。俺の顔の怪我の治療のため、10日ほど島を離れる」

    提督「その際、こちらのN中佐に臨時の指揮官として、艦隊の指揮を代わってもらうことになった」

    N中佐「うむ、私がN中佐だ。よろしく頼む」ニコー

    如月「! か、解任じゃないのね!?」

    吹雪「良かったぁ……」ホッ

    「……」

    古鷹「優しそうな方ですね!」

    朝雲「そうだといいわね」

    朝雲(絶対そんなことなさそうだけど)

    (ないわね)

    長門(ないな)

    比叡(提督より優しくなさそうだなー)ムー

    (なんでかしら、あんまり嬉しくないわ)クビカシゲ

    (セクハラされないといいなあ……)

    敷波(この人も裏がありそうだなー)

    神通(古鷹さん以外はみなさん賢明ですね)ウンウン

    古鷹(また神通さんが頷いてる……)クビカシゲ

    578 = 1 :


    由良「提督さん。質問、いいでしょうか?」

    提督「なんだ?」

    由良「N中佐さんがこちらの指揮を執ることが正式に決まったのは、いつでしょうか」

    提督「ついさっきだな」

    由良「……いいんですか?」

    提督「いくつか条件というか取り決めもあるが、それを踏まえて中将に了解を得た」

     ザワ…

    由良「そう、ですか。わかりました」

    N中佐「なんだ、その条件とかいうのは?」

    提督「事情により、この鎮守府では艦娘の建造と解体ができません。建造、解体に関係する任務とその報酬もないことになっています」

    N中佐「なに? 戦力は増やせないのか!?」

    提督「ドロップ艦と呼ばれる外洋で発見された艦娘を保護するのはありですが、それ以外はできません。なあ、大淀?」チラッ

    大淀「はい!」

    提督「そして、この鎮守府にいる艦娘は、ここにいる全員です」

    提督「駆逐艦は、如月、朧、吹雪、電、敷波、朝潮、霞、暁、初春、潮、朝雲、不知火の12名」

    提督「巡洋艦は由良、神通、古鷹、利根の4名。戦艦は長門、比叡、大和の3名」

    提督「そして、任務管理担当の大淀、工廠を管理する明石。以上になります」

    579 = 1 :


    N中佐「建造できないと言う制限はどこから来ているんだ? ドックはあるんだろう?」

    提督「妖精です。この島の妖精が建造をしたがりません。N中佐は説得できますか?」

    N中佐「いや……ならば仕方ない、か」

    提督「この鎮守府は、この戦力でやりくりをしております。了解していただけますか」

    N中佐「……いや。私ならもっと良い戦果を残せる。君が未熟なだけだ、言い訳とは見苦しいぞ? 提督准尉」フッ

     ザワッ

    N中佐「!?」ゾクッ

    提督「……お前ら、座ってろ」

    N中佐(……なんだ、今の殺気は)ダラダラ

    提督「まあ、経緯はさておいても、中将も俺の怪我を心配してくれている」

    提督「10日という限られた期間ではあるが、鎮守府を留守にする間、N中佐とこの鎮守府を守って欲しい」

    提督「くれぐれも無理はしないようにな。俺からは以上だ」

    長門「提督、N中佐が指揮を執るのはいつからになる?」

    N中佐「準備が必要だ。今夜荷物を取りに行き、明日の朝0800にこの鎮守府埠頭に到着、0900から執務開始の予定だ」

    長門「その時間ならば、N中佐の朝餉の準備も必要だな?」

    提督「そうだな……」

    N中佐「ああ、気を遣わなくていい。サンドイッチでも持参するさ」

    長門「そうですか。承知しました」

    N中佐(あの長門が飯の心配をするか。鎮守府のレベルが知れるな)

    580 = 1 :


     * 鎮守府埠頭 *

    N中佐「時は金なり、だ。0830まで滞りなく全員を集めておくように」

    提督「承知しました」

    N中佐「磯波、この鎮守府の座標の登録は終わったな?」

    磯波「はい」

    N中佐「よし、では明日朝8時に到着するよう、スケジューラーとナビゲーターをセットしろ」

    磯波「……はい、完了しました」

    提督「便利な代物ですね」

    N中佐「君も私くらい偉くなれば、この程度のものは支給される。もう少し積極的に戦果を挙げる気になればすぐだ」

    提督(別にいらねえけどな)

    N中佐「世の中は時代とともに進化を遂げている。こんな島にいるからと新しいものに触れないでいては、あらゆる世界から取り残されるぞ?」

    提督「……」

    N中佐「では、明日からよろしく頼む。行くぞ!」

     小型高速巡視船<ザザァァァァ…

    提督「……」

    初春「ふむ。行きは良い良い帰りは恐い、と」

    581 = 1 :


    初春「随分ハイカラなカラクリを使いこなしておるのう。じゃが……明朝、無事にここへ着くことができようかの」

    提督「伊8にも調べてもらったが、この辺の潮流は迷路みたいになってるんだったな?」

    初春「うむ。ある程度決まった位置から進入せんと、潮の流れで砂浜のほうへ押し流されるでのう」

    提督「定期便もたまに砂浜に流されてるときがあるしな。明日朝にちゃんと埠頭に辿り着けるか、見ものだぜ」

    初春「その言いぐさの割には、なんじゃ? 苦虫を噛み潰したような顔をしおって」

    提督「最後の最後にまともなこと言ってくれやがったからな。癪だが正論だ」

    提督「たまには外に行って、新しいものを取り入れる必要もあるのかね……あいつの鎮守府で、何が流行ってるかヒアリングでもしてみるか?」

    初春「あまり俗な流行物ばかりでも困るがのう」

    提督「その辺は艦娘の好みもある。こればっかりは男の俺には判断できねえから、手当たり次第になっちまうな……」

    「提督!」

    提督「ん? どうした大和」

    「どうしたもこうしたもありません! 提督のもとに着任して、ほんの数日で別の人のもとで働くことになるなんて!」

    提督「不満だってか? わがまま言うなよ……対案はあるからそれで我慢しろ」

    「対案?」

    提督「奴の狙いはお前だ。少なくとも、お前を奴の好きにはさせねえよ」

    「提督……」

    582 = 1 :

    今回はここまで。

    584 :

    乙でございます

    イベ中で死滅した毛根への癒し・・・

    まぁ、もとから抜ける毛なんぞないんですがね・・・・

    585 :

    >>584
    ハーゲハーゲまるハーゲ

    586 :

    続きです。

    587 = 1 :


     * 翌朝 鎮守府埠頭 *

    (鎮守府埠頭の沖合で右往左往するN中佐の船を眺める提督たち)

    提督「案の定だな」ニヤニヤ

    長門「提督の意地の悪さも相変わらずだな」ハァ

    不知火「大和さんが見たら幻滅するでしょうね」

    長門「いや、わからんぞ。あの大和なら提督が何をしようと全力で肯定しそうな気がする」

    提督「マジかよ最低だな」

    長門「貴様が言うな!!」

    不知火「それより、N中佐の船はこのまま放置でよろしいんですか」

    提督「暁と電を迎えに行かせるって言ったのに断ったあいつが悪い」

    不知火「……そろそろ本営へ向かう準備がしたいのですが」

    提督「なに? もうそんな時間か。仕方ねえな……暁と電、呼んできてくれ」

    「あんまり遅いから見に来たのです」

    「司令官、あんまり意地悪しちゃだめなんだからね?」

    長門「まったく、駆逐艦の二人のほうが余程大人じゃないか」

    提督「そこは三人だろ? 不知火も入れてやれよ」

    長門「だから貴様が言うな!!」

    不知火「長門さん、まともに取り合わないほうがよろしいかと」

    588 = 1 :


     * 鎮守府 会議室 *

    N中佐「あんなに接岸に苦労するなんて聞いてないぞ……」

    提督「だから誘導すると言ったではありませんか」

    N中佐「くそっ、予定がずれた! せっかく組んだスケジュールを全部見直さねばならん!」

    提督(おいおい、どんだけ余裕のないスケジュール組んでんだ?)

    N中佐「とにかく全員いるな!? 妙高、あの箱を持ってこい!」

    妙高「はい」ドサ

    N中佐「全員、これを身につけろ!」

    長門「……これは……!」

    N中佐「イヤホンマイクだ。俺からはこれを通して全員に指示を出す」

    N中佐「貼ってある付箋に名前が書いてあるから、それぞれ自分の名前が書いてあるイヤホンを身に着けるんだ!」

    敷波「ふーん……」

    利根「なるほどのう……」

    「……」

    明石「私と大淀の分がありませんね?」

    N中佐「おまえたちは戦闘要員じゃないだろう。お前たちはお前たちの仕事をすればいい」

    N中佐「行き渡ったか? では、全員身に着けて待機するように。指示は追って出すことにする。では、解散!」

     ゾロゾロ ザワザワ

    589 = 1 :


    N中佐「さて、ここから先は俺が全部取り仕切る。准尉、俺の鎮守府へ行く準備は済ませているな?」

    提督「それはいいんですが、あなたの鎮守府とこの鎮守府は勝手がだいぶ違う。引継ぎの資料を用意したので……」

    N中佐「やることなど変わりないだろう。そんなお膳立てなどしなくてもいい、君は治療に専念しろ」

    提督「……左様ですか。ですが念のため、大淀から説明を聞いておいてください」

    N中佐「くどいな君も。まあいい、早くその大淀と、神通を呼べ。川内や妙高たちを待たせているんだ、急がせろ」

    提督「神通を?」

    N中佐「第三艦隊を開放しようというんだ。知り合いの鎮守府に頼んで、川内と那珂、那智、足柄、羽黒をレンタルで連れてきた」

    N中佐「第四艦隊を開放するための金剛型までは準備できなかったが、まずは第三艦隊まで開放できれば良かろう」

    提督「……」

    N中佐「なんだその顔は。お前にとっても悪い話じゃないだろうが」

    N中佐「いいか、俺がここから去ってお前が復帰した後も、お前には変わらず戦果を上げてもらわねばならん」

    N中佐「少しでも環境は良い方がいい。だから俺は知り合いに頭を下げてあいつらを連れて来たんだ」

    N中佐「深海勢力を海から駆逐し、安全な海を取り戻すことが俺たちの使命だ。それを忘れてもらっては困る」

    提督「……は。ありがとうございます」


    提督「……なんだよ。作りたくもねえ借りができちまったな……面白くねえ」

    提督「ま、そいつとこいつは話は別だがな……」

    590 = 1 :


     * 鎮守府埠頭 *

    比叡「司令ー!」

    如月「司令官!」

    提督「ん、見送りか。悪いが留守は頼んだぞ」

    如月「ええ、まかせて! それよりも」

    比叡「こちらをどうぞ!」ズイッ

    提督「! これは……」

    比叡「お弁当です! 気合、入れて! 作りました!!」フンス

    如月「私も手伝ったのよ♪」

    提督「そうか。ありがとうな……って、これ、やけにでかくねえか?」

    比叡「ちょっと気合を入れすぎまして」テヘペロ

    如月「良かったら、みんなにお裾分けしてあげて」

    提督「いいのか?」

    591 = 1 :


    如月「これで司令官の評価が上がるなら、願ってもないことだわ」

    比叡「そうですよ! というより、司令の階級は不当に低いと思うんです!」

    比叡「大和さんも来たことですし、どーんと階級が上がってもおかしくないんです!」

    提督「はは、そりゃ過大評価しすぎだ。そろそろ行ってくる。じゃ、頼んだぜ」

    比叡「行ってらっしゃいませ!」

    如月「気を付けて!」

     小型高速巡視船<ザザァァァァ…

    如月「行っちゃったわね……司令官」ションボリ

    比叡「さ、工廠に急ぎましょう! 妖精さんが待ってます!」

    如月「そうね。こんなものをつけさせられてどうなるか、理解ったものじゃないわ……!」

    592 = 1 :


     * 執務室 *

    N中佐「駆逐を遠征に……重巡は……」ブツブツ カタカタ

     扉<コンコン

    不知火「N中佐、失礼いたします」

    N中佐「……不知火か。何の用だ、忙しいから手短に話せ」

    不知火「これより不知火は、大和さん随伴で6日間、本営へ行って参ります」

    N中佐「!? な、なんだそれは! 勝手な真似をするな!」

    不知火「いえ、勝手ではなく、不知火は本営中将の配下の艦娘です。この鎮守府所属の艦娘ではありません」

    N中佐「はああ!? どういうことだ大淀!? 不知火の話は本当か!?」

    大淀「本当ですよ。不知火さんは中将配下の艦娘です。月に9日間は本営へ、それ以外の時はこの鎮守府に滞在しています」

    大淀「言ってしまえば、本営からのお目付役も兼ねているという感じでしょうか」

    N中佐「……准尉はそんなこと言ってなかったはずだぞ!?」

    大淀「確かに、申し上げておりませんでしたね。ですが准尉は不知火を部下だとは言っていませんよ?」

    N中佐「いや、昨日、この鎮守府の艦娘と言っていなかったか!?」

    大淀「先日、提督は『この鎮守府にいる艦娘』とは言いましたが、『この鎮守府に所属する艦娘』とは一言も言ってません」

    N中佐「……」

    不知火「……あの、続きをよろしいでしょうか」

    大淀「はい、どうぞ」

    N中佐「……」

    593 = 1 :


    不知火「中将より、先日建造された大和に研修を受けさせたいとの指示がありました。これよりただちに大和さんを本営へ……」

    N中佐「ま、待て! 待てっ!! 6日間だと!? いつそんな話があった!」

    不知火「昨日の夕方です。司令から本営に連絡ののち、不知火宛てに連絡がありました」

    大淀「不知火さん、本来ならば3日間の予定なのでは?」

    不知火「はい、3日間が3回なのですが、今月はうち2回を6日間1回に変更することになりました」

    N中佐「なんだそれは……不知火の練度が半端に高いのはそのせいか!」

    N中佐「待てよ!? 欠員が2名出ると言うことは……せっかく解放した第3艦隊に欠員がでるじゃないか!」

    N中佐「ちくしょう、予定を全部組み直しだ! 妙高たちを帰らせなけりゃ良かった!」

    大淀「あの、N中佐……先に直近のスケジュールを連絡しておいたほうが」

    N中佐「ちょっと待て! もう少し後にしてくれ! ええと……」ブツブツ

    大淀(この人、想定外の事態には弱いタイプですね。これじゃこの先、苦労しそう……)

    不知火「大淀さん。やはりこの手の連絡不行き届きはまずかったのでは」ヒソッ

    大淀「ええ、本当はよくありません。ですが、この人は初雪さんのことをすっかり忘れてます」ヒソヒソ

    大淀「このくらいの意地悪はしても罰は当たらないと思いますよ?」

    不知火「そう思いたいですね」

    大淀「いざとなったら提督のせいにしましょう」

    不知火「賛成です」

    594 = 1 :


     * その頃の巡視船内 *

    提督「……くちゅん!」

    全員「「!!」」

    提督「なんだ? 誰か噂でもしてんのか」ズ

    妙高(くしゃみがかわいい……)

    那智(かわいいくしゃみだな……)

    足柄(かわいい……)

    羽黒(かわいい……!)

    那珂(那珂ちゃんよりかわいい!?)ガーン

    提督「……? な、なんだ? どうかしたか?」

    川内「ううん、早く夜戦がしたいなーって」

    妙高型&那珂「「!?」」

    595 = 1 :


     * その後……10時30分 執務室 *

    N中佐「……大淀」カリカリ

    大淀「はい、なんでしょう?」カリカリ

    N中佐「なんというか、静かすぎないか? この鎮守府は」

    大淀「全員出払ってますからね。N中佐が全員出撃するよう指示なさったではありませんか」

    N中佐「そうじゃない。なんというか、人の気配がまったくないというか……そうだ、たとえば警備員はどうした。憲兵は?」

    大淀「いませんよ。警備も憲兵も特警も。今この島にいるのは、N中佐と私と明石、それと妖精さんたちだけです」

    N中佐「……は?」

    大淀「わかりやすく言いますと、この島で暮らしている人間は提督准尉おひとりです」

    N中佐「はあぁ!? なんだそれは!?」

    大淀「なんだそれはと言われましても……この島の鎮守府の体制はそうなんです。警備に関しては妖精さんにお願いしているような感じですし」

    大淀「憲兵や特警が必要になるような事件も……ありませんし」

    N中佐「なんだ今の間は」

    大淀「いえ、ときどき事件は起きていますけれど、私たちで解決できている、と思いまして」

    N中佐「……」

    大淀「そういうわけですので、13時の定期便の荷物の搬入ですとか、16時半の定時連絡なども提督のお仕事になります」

    596 = 1 :


    N中佐「定時連絡……というのはなんだ?」

    大淀「私が先程お渡しした日程表にも記載していますが、日次業務として少佐鎮守府への定時連絡が必要です」

    N中佐「その少佐というのは誰なんだ」

    大淀「本営の中将のご子息です」

    N中佐「……あいつか!? あのバカ息子! 准尉は奴の部下なのか!?」

    大淀「少佐を御存知なのですか?」

    N中佐「ああ、知ってはいる……だが、どうにもいけ好かん。奴はあの深海勢力の跋扈をなんとも思ってもいない……!」

    N中佐「それどころか、今日の逼迫した戦況をへらへらしながら眺めている! まるで戦争を楽しむかのようにな!」

    N中佐「准尉があいつの部下だと言うのなら、なおのこと早く大和をうちに引き抜かなければ……」ブツブツ

    大淀「N中佐?」

    N中佐「む!? あ、いや、なんでもない! 執務に集中してくれ」

    大淀「それなんですが……」スクッ

    N中佐「ん? どこへ行く大淀」

    大淀「こちらの書類が終わりましたので、私は畑に行ってきます」

    N中佐「はたけ!?」

    大淀「はい。こちらも本来は艦娘の回り番なのですが、全員出払ってますので」

    N中佐「そ、そうなのか……離島ならではだな」

    597 = 1 :


    N中佐「それと、もう一つ聞きたい。のどが渇いたんだが、ここにポットはないのか」

    大淀「お水は食堂へ行かないとありませんね。お茶の道具も食堂にしかありませんし、紅茶やコーヒーも常備しておりません」

    大淀「提督はそこにある水筒に氷水を入れて執務してましたので、私たちもそれに倣っていました」

    N中佐「……食堂へ行って飲むしかないわけだな。そしてお前は畑仕事か」

    大淀「はい。この鎮守府の裏手にビニールハウスがありますので、そちらへ行って参ります」

    N中佐「本格的だな……わかった。俺は食堂へ行ってくる。カップは適当に使っていいのか?」

    大淀「はい、お昼も適当に済ませていただけると助かります。私の畑仕事もお昼まで終わるかわかりませんので」

    N中佐「わかった。ついでに聞くが……酒保でたばこは売ってるか?」

    大淀「いいえ、置いていなかったと記憶しています」

    N中佐「そうか……たばこもないのか」ガックリ


     * 食堂 *

     ガラーン

    N中佐「本当に誰もいないんだな……」

    N中佐「……」

    N中佐「もしかして間宮と伊良湖もいないのか!? おーい! 間宮!! 伊良湖!!」

     シーン

    N中佐「……」

    N中佐「なんなんだここは……異質だ、異質すぎる」

    N中佐「……カップラーメンとか置いてないだろうか……」ウロウロ

    598 = 1 :


     * 昼過ぎ 鎮守府の裏手 *

    大淀(Tシャツ+ジーンズ+麦わら帽子+長靴)「ふぅ……」

    明石「おーよどーー」

    伊8「」フリフリ

    初雪「」フリフリ

    大淀「あら、明石。伊8さんと初雪さんも一緒ですか」

    明石「うん、一緒にお昼食べないかって。おにぎり作ってきたよ!」

    伊8「はっちゃんも手伝ったよ」

    初雪「私も少し……!」

    大淀「ありがとうございます。もうそんな時間でしたか」

    明石「初雪ちゃんも外に出るって言ってたのは、正直意外だったねぇ」

    初雪「たまには……それに、ピクニックみたいだし」

    大淀「ああ、確かにそんな感じもしますね。ところでN中佐はどうしました?」

    明石「食堂におにぎり作っておいてきたけど、気付いてるかなあ?」

    大淀「それなら、私のほうで後程確認しますよ。置きっぱなしなら持っていきますから」

    明石「それにしても、提督は大丈夫なのかなぁ」

    大淀「……確かに、ちょっと心配ですね。でも、昔に比べたら大分丸くなったと聞いてますし」

    大淀「おそらく、必要以上には他の人間と触れあおうとはしないでしょうね」

    明石「だといいけど……」



    599 = 1 :

    今回はここまで。

    次回はN中佐の鎮守府のお話になります。


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