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    元スレ勇者「ハーレム言うなよマジで」戦士「5だぞっ!」

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    351 = 1 :

    今日はおしまいです

    352 :

    乙乙

    エドさん…

    354 :


    馬は前から喋ってただろ!

    355 :

    パカラッパカラッ 


    ズザァ!!


    スー勇者「エドさん!お元気そうです!」

    エド「おかえり!スー勇者!一年弱ぶりだね」

    ペロペロ

    スー勇者「わわっ♪」

    エド「約束通り共通語も上手くなって……!馬うれしい!馬うれしい」ペロペロ

    スー勇者「あふふっ!えへへへ!」

    勇者「ファ!!ファイヤーバードだ!!そうなんだろ!!!?」

    エド「え?」ピタッ

    スー勇者「ファイヤーバード?」

    勇者「白い塗料とかでごまかしてるんだろ!!だ、だまされないよ僕は!!神父様はどこにいるのさ!!!見てるんでしょ!!!!」

    勇者「それかあれでしょ!!ファイヤーバードの親戚かなにかでしょう!!!」

    エド「……スー勇者。この方が」

    スー勇者「はい……。ご主人様です」

    エド「…………そっか」

    パカ パカ… ザッ

    エド「……――ご主人様」

    勇者「えっ!?な、なにっ、ななっ、またラリアットするの!?」

    スー勇者「ご主人様がだいぶ混乱してるです」


    ペコリ


    勇者「……え」


    エド「…………ずっと、お待ちしておりました」

    エド「よくぞ、ご無事で」


    勇者「…………へっ」



    ………………………………


    パカ パカ


    勇者「……」

    スー勇者「ふふっ!エドさんの背中久しぶりです!」

    スラお「たかい!らくちん!」

    エド「ははは、あまりはしゃぐと落ちちゃうよ」

    356 = 1 :

    勇者(喋る馬……ってのは、もうこの際置いておこう……それはそれとして)

    勇者(『ずっとお待ちしておりました』……っていうのは、どういう事なんだろう)

    勇者(もしかして、スーちゃんが偶に言うお師匠様繋がりで僕の事知ってたのかな)

    勇者(そもそも、そのお師匠様は何者なんだ……?なんでスーちゃんを僕の所なんかに)

    エド「でも、本当に良いんですか?ご主人様」

    スー勇者「エドさんの背中、らくちんですよ?」

    勇者「ぇあっ?あー、大丈夫です。そんなに乗ったらエドさん大変でしょ」

    勇者「それに僕は疲れて無いしさ。スーちゃんもずっと会いたがってたじゃん。独り占めしちゃいなよ」

    スラお「ぼくもたんのうしてるもんっ!」

    勇者「あー、うん。二人占めしちゃいなよ」

    スー勇者「えへへっ」

    エド「……」

    勇者「……ん?ど、どうかしました?」

    エド「……ふふ。いえ。安心しただけです」

    エド「スー勇者が仕える方が傍若無人な方だったら……と考えたら恐ろしくてニンジンも喉を通らなかったので」

    スー勇者「それは大変です!」

    エド「かわりにカブを食べていました」

    スー勇者「なら安心です!」

    勇者「安心だね……」

    エド「とにかく、もうじき村に着きます。つもる話はそこで」

    勇者「は、はい。是非」

    スー勇者「エドさんに話す事、いっぱいできたですー♪」

    エド「全部共通語で話しきる事ができるかなー?」

    スー勇者「むー!できるです!きっと!」

    勇者「あはは……」


    ……………………


    ――スーの村近く・川沿いの平野――



    【“おい!あれ、スー勇者が帰って来たんじゃないか?”】

    【“ああ。エドが迎えに行くって行ってたものな”】

    【“おーい!!スー勇者――!!おーかーえーりー!!”】ブンブン


    スー勇者【“みんなー!只今もどりましたー!お元気そうで何よりでーす!!!”】ブンブン

    357 = 1 :

    スタスタ

    スー勇者「みんな、元気そうです!……でも、ここは?」

    勇者「みんな畑仕事してるね……しかし」


    サァァァ…


    勇者「大きくて立派な畑だなあ」

    スー勇者「いつのまにかこんな風になってるです……」

    エド「ああそうか。スー勇者は知らなかったんだったね。この辺りは大きく開墾しちゃったんだよ」

    スー勇者「そうだったですか?どうしてです?」

    エド「スー戦士が近くの町で商売をやり始めたのは知ってる?」

    スー勇者「はい!会ってきたです!」

    エド「そっかもう会ってきたか。そのスー戦士の計画なんだ。スーの特産を継続的に輸出してもらうツテをあそこの町長さんに作ってもらったらしいから」

    エド「安定した量を効率的に栽培収穫するためにはこのくらい大きなとこじゃなきゃね」

    勇者「でも凄いな……あれは?見たこと無い葉の形だ」

    エド「あれはガマライムです。私の好物です」

    勇者「そ、そうですか……あれは?」

    エド「あれはタバコですよ」

    勇者「タバコ?タバコって……あの?」

    エド「はい。恐らく想像していらっしゃるタバコで間違いありませんよ」

    エド「そもそもタバコは元はスーの文化だったのです。それが同士戦争の際にエジンベアに流れてそのまま世界に広がったのです」

    勇者「そうだったんですね……本当に村の特産って感じですね」

    勇者「あれ?あの一角は?何も生えて無いですけど」

    エド「消え去り草です。収穫して乾燥させています」

    勇者「普通に栽培可能なんだ!!!!?神秘的なものでもないんだ!!!!?」



    …………


    エド「さ」



    ――スーの村――


    エド「つきましたよ」

    スー勇者「ご主人様!スラさん!スーの村に、いらっしゃいませです!!」

    スラお「はわー」

    勇者「おお、ここが……」

    358 = 1 :



    ザワザワ


    【“なんだなんだ?スー勇者が帰って来たのか?”】

    【“男を連れてるぞ?おいおいどうしたスー勇者”】

    【“あなた背伸びたわねー!”】


    スー勇者【“みなさん!ただいま戻りました!!”】


    <……。……。


    勇者「うおー、スーちゃん凄い人気ですね……」

    エド「はい。村のアイドルです。私の好物です」

    勇者「お?なんだその発言」

    エド「だってかわいいじゃないですか!!!!!!!!!!!」

    勇者「びっくりしたぁいきなりテンションあげないでくださいよ!いやかわいいですけど」


    スタスタ…


    【“スー勇者”】


    スー勇者「!!」

    勇者「?」

    エド「村長」



    村長【“……よく無事に戻ったね”】



    スー勇者【“村長様!”】ダッ

    ギュッ!

    スー勇者【“心配かけてごめんなさい!でも、無事に戻りました!”】

    村長【“心配などしていなかったさ。エドが何も言わなかったのが無事の証さ”】


    勇者「あの方は……」

    エド「村長様です。スー勇者の親代わりのようなものです」

    勇者「…………え?」


    村長【“……あちらに居るのは?”】

    スー勇者【“あの方が、女王様の命で私が仕えているご主人様です”】

    村長【“そうか。あの方が……”】


    スタスタ


    勇者「え、えっと。はじめまして。勇者といいます……共通語は通じないかな」

    スー勇者「私が訳すです!」

    359 = 1 :

    村長【“どうも。スー勇者がお世話になっております”】

    スッ

    勇者「いえ。本当にこっちがお世話になってばかりです」スッ


    ガシッ


    勇者(……!)

    村長【“とりあえずお疲れでしょう。一席設けますので、もしよければ”】

    勇者「は、はい!お言葉に甘えて」


    ……………………


    ――スーの村・大テント(集会所)――


    ザワザワ


    勇者「すごい……住まいがこういうテント形式なんだ……」

    スー勇者「はい。これがスーのおうちです」

    エド「暴れ川が近くにある以上、固定住は危険だったのでこうなったのです」

    勇者「エドさん普通に参加するんですね……いや、いいんですけど」


    村長【“では、主要の人間は全員集まったな”】

    村長【“これよりスー勇者の無事の帰還と勇者殿の歓迎を祝し、偉大なる魂に感謝をしよう”】

    村長【“皆よく呑み、よく謡え”】


    【【【““偉大なる魂に、感謝を!””】】】


    村長【“それでは、料理を運んでくれ”】


    ……………………


    ガヤガヤ…


    【“本当に平気だったのか?魔物にやられたりしなかったか?”】

    スー勇者【“平気だったよー。ご主人様たちが守ってくれたの!”】

    【“立派になっちゃって……おばちゃん嬉しいよ”】

    スー勇者【“んもう、全然まだまだだよう”】

    <……!…!

    勇者「んー。やっぱりスーちゃんは人気だなあ」

    【“あらお兄さん。ご飯ちゃんと食べてるの?”】

    【“やだちょっと。もっと食べなさいよ”】

    【“もっとがっしりしなきゃ!”】

    勇者「おふっ!?」

    勇者(お、お姉さんがたに絡まれたっ)

    360 = 1 :


    サワッ

    勇者「あふんっ!!!?」

    【“あ、でも触ってみたら意外とガッシリしてるわ”】

    【“やだあ、お兄さん女の子みたいに睫毛長いわね!”】

    【“肌しろーい!やっぱり大陸外の人間って体毛薄いし肌も白いわぁ”】

    勇者「あの、ちょっと、そのっ……」

    勇者(ボディタッチ多いぃぃ)


    スッ


    勇者「……」


    【“もっと男らしくなる為にはこれ食べなきゃ!”】

    【“そうそう!はい!あーんしなさい?”】

    【“この村の戦士たちはこれ食べて強くなるんだから”】



    大鹿の内臓を胃袋に詰めて煮た物「オォォオォォォォォオォォォォ…」



    勇者「……また会ったね……」

    ギュムッ

    勇者「まぽっ」

    【“ほーら一気に食べなさい?もっと豪快に!”】

    【“そうそういい感じ!良い感じ!”】

    【“これでもっと強くなれるわね!”】

    勇者「ばびょぶぱっm、ぺもっ」ザムザム

    エド【“あの、お姉さん方。ご主人様が溺れかけてるよ”】

    スー勇者「わあっ!ご主人様!いい食べっぷりですっ!」ニコー

    エド「馬でもわかるよ。あれ嫌がってるよ」


    スラお「これおいしい!」

    【“なんだぁ!?このスライムいい食べっぷりじゃねえか!”】

    【“どこで消化するんだろうな”】



    …………………………………………


    勇者「おふっ……おふ、……ぱふ」


    村長【“申し訳ない、うちの村の女達は世話やきでして”】

    勇者「い、いえ……おいしかったです、うぷ」

    エド「よく全部召し上がってましたね……」

    361 = 1 :

    【“しかし、その男はスー勇者のなんなんだ?”】

    スー勇者「えっ?」

    【“お前まだ聞いてなかったのか?スー勇者はこの人に使えるよう女王様に命じられたんだってよ”】

    【“へえ、女王様がなあ”】

    【“じゃあやっぱり凄い人なのかね。この人”】


    勇者「なんだか視線がこっちに集まってる気がするんですけど……気のせいですかね」

    エド「ははは。珍しいのですよ。スー勇者がお客を連れてくるのは初めてですからね」


    【“しかしだいぶ親しげだな”】

    【“手を出されたりしてないよな?なんて――……”】



    スー勇者「……」



    【【【““…………えっ?””】】】


    勇者(ん?なんか空気が凍りついたぞ?)


    スー勇者【“……えっと、ですね”】

    スー勇者【“実は、この一年、ほとんど一緒に寝ていたんですけれど……”】


    エド「ムァ!!!!」

    勇者「ムァ!!?」ビクゥッ


    スー勇者【“その、けっこう……ご主人様って寝相、悪くて”】


    【“(えぇっ、まさか)”】

    【“(その寝ぼけたノリで……)”】


    スー勇者【“…………その”】



    スー勇者【“………………――いっぱい、ぎゅーってされちゃって……”】



    スー勇者【“だから、その、赤ちゃんができてしまうかもしれないの”】



    【【【““そっかぁ~~~~~それは大変だねえ~~~~””】】】

    【“それは仕方ないねー。子供できたらお祝いしないとだね”】

    【“んもースー勇者はーんもー”】

    【“でもちょっと安心しt”】




    スー勇者【“寝ぼけると体中にちゅーしてくるし……”】




    【【【““   は   ? ””】】】

    362 = 1 :

    スー勇者【“耳をね、はむはむされたり、首にちゅってされたり……”】

    スー勇者【“その……胸とか、へそとか、下の方(足)も……”】


    【【【“““  (下の方)  ”””】】】


    勇者「あ、この飲み物すごくおいしい……え?なんで皆こっち見てるの?」


    スー勇者【“えっと、事故ってわかってるんだけどね。でも、このままじゃ口にちゅーされちゃうし”】

    スー勇者【“そうなったら子供は確実になっちゃうし、えっと、もしそうなったら……――っ!”】




    スー勇者【“わたし!この方のお嫁さんになりますので!”】




    【【【“““ ………………… ”””】】】


    勇者「スーちゃんに今度スー語習おうかな」


    【【【“““ ………………… ”””】】】


    勇者「え?ん?みんな、どうしたんですか?こっち見て」


    【“最低だなクソペド野郎”】


    【“責任取れよクソペド野郎”】


    【“幸せにしろよクソペド野郎”】


    【“調子乗るなよクソペド野郎”】


    【“どうしようもないクソペド野郎”】


    【“クソペド野郎クソペド野郎”】


    スー勇者【“皆いきなりどうしたの!!!!?”】

    勇者「えっと、エドさん。皆さんなんて?」

    エド「歓迎の言葉ですよ」


    「死ね!!!!」


    勇者「今共通語で普通に死ねって言われた気がするんですけど」


    エド「どうなんでしょうね。【“このクソペド野郎”】」


    勇者「なんでいきなりスー語に戻ったんですか」

    363 = 1 :


    ザッ


    バサッ…


    村長【“む……?”】

    スー勇者【“え?……あっ!”】



    スー戦士「……」



    スー勇者【“スー戦士さん!お帰りなさいです!”】

    勇者「スー戦士さん、お先にお邪魔させてもらってます」ペコ

    【“スー戦士!戻ったか”】

    【“聞いてくれよ、今さー”】


    スー戦士【“……ない”】



    【【【““え?””】】】


    スー戦士【“すまない……!!みんな……!!”】ギリッ…


    スー勇者「どっ、どうされました!?」

    【“おいおい、どうしたんだよ”】

    【“何があったの?”】



    スー戦士【“……騙された”】


    スー戦士【“あの人に、騙されてしまった……”】



    勇者「……?」



    スー戦士【“あの畑も、全部……無駄になってしまった”】



    スー戦士【“もう…………取り引きはできない”】


    364 = 1 :

    今日はおしまいです

    365 :

    乙乙です
    ファイヤーバード…違ったか…

    366 :


    商人の真意は…

    367 :

    そういや、ジパング勇者とヒミコって別人なのか?

    368 :


    >>343

    × スー勇者「っ……!!……なんで仲間割れを……って、ええ!!!!?」

    ○ ダーマ勇者「っ……!!……なんで仲間割れを……って、ええ!!!!?」

    369 = 1 :

    ――――――――――――


    ――ガルナバーク・宿の大部屋――


    ダーマ勇者「……――と、今言った配置で街回りの警備強化をそれぞれの小隊にお願いします!」

    ダーマ勇者「各員に通達後、すぐに持ち場についてください!」


    サマンオサ兵達「「「はっ」」」


    ザカザカ…


    ダーマ勇者「……こんな時に聖騎士団が同行していないなんて……くっ」

    エジンベア勇者「まぁまぁ、君のせいじゃないさ。気楽にいこうよ」

    ダーマ勇者「何を仰っているんですか!あの落日の手引きをした魔物があらわれたんですよ!?一大事です!」

    ソクラス「すまないね……私が海の魔物達に力を使い果たさなければなんとか捕らえられたものを……」

    ダーマ勇者「と、とんでもない事です!!私の責任ですソクラス様!私が取り逃がしたから……」

    商人「とにかく、その男はこの大陸にもう用は無い、というような事を言っていたんですよね?」

    ダーマ勇者「はい。間違いありません。ですがヤツの嘘とも限りませんし……街周りの強化はこちらで担います」

    商人「恐れ入ります。助かります」

    コンコン

    エジンベア勇者「ん?」

    ダーマ勇者「お客様でしょうか」

    商人「はい、どなたです?」

    ガチャッ

    商人「…………おやおや、これはこれは」


    エジンベア大臣「しばらくぶりですな、町長」


    商人「大臣様ではないですか」

    スタスタ

    エジンベア大臣「話は伺いました。あの魔族がここへ来たとか」

    ダーマ勇者「そうなのです……今警備を強化したところです」

    エジンベア大臣「それは結構。まあ今回この街に連れたのはあのサマンオサの兵達です。心配はないでしょう」

    エジンベア大臣「それはそれとして。町長?あの壷の方はどうです?気に入られましたか?」

    商人「ええ。朝に早速受け取ってすぐに町長室に飾らせてもらいましたよ」

    エジンベア大臣「ふふっ。それは何よりだ。……――そして、あちらの方は順調ですかな?」

    商人「はい。輸送も滞りなく進んでいますよ」

    エジンベア大臣「結構結構……破格の心遣いで貴女の要望に応えた甲斐がありました」

    ダーマ勇者「……?あちら?」

    エジンベア大臣「いえこちらの話です。エジンベア勇者?この後はわかっているな?」

    エジンベア勇者「はいはい。明日の朝、話し合いの後夕方に輸送船で来た魔導士と合流。その後エジンベアへ移動ですよね」

    エジンベア大臣「よろしい。ソクラス様をお連れするのもお忘れなく。失礼のないように」

    ソクラス「御手数をおかけしますなあ」

    370 = 1 :

    エジンベア大臣「しかし……聞きましたよ?町長」

    商人「何をでしょう?」

    エジンベア大臣「先ほど、スー人と揉めたらしいではないですか」

    エジンベア大臣「なぜあのような者達と……」

    商人「……ああ、あれですか」

    商人「いいのですよ……もう、終わったことです」




    ……
    …………



    ダンッ!!


    スー戦士『契約はここまで!!!?』


    商人『はい。これまでの利益分の報酬はまた追ってお渡しします』

    スー戦士『ちょ、ちょっと待ってくれ町長。俺は継続的な取り引きを望んだんだ』

    スー戦士『開墾も、技術伝達も、仕事の振り分けも終わったんだ!これからって時に――……』

    商人『ですが私はどの期間まで、なんて制限も設けていません。始終は利益で判断しますよ?』

    スー戦士『だがっ、だが、結構な注文も貰っただろう!?なあ、このまま続ければ……』

    商人『……はっきり言わないと分かりませんかね』

    ダンッ!!!

    商人『私は!もうスー族と取り引きするつもりは毛頭ありません!!』

    商人『それよりも儲かる方法があなた達の商品を外に紹介する際に築けた繋がりで編み出せそうなんです!!』

    スー戦士『なっ』

    商人『はぁ……もう邪魔なんですよねぇ。あなた達スー族は。この街にとって』

    スー戦士『町長……?町長、なぜ……』

    商人『そういえば、知り合いにあなたに渡すように荷物を預けたんですが……まだ彼らが持っているんです?』

    商人『まあいいですが。あの袋の木箱の中の秋種。あれは湿地むけの種で、おいしい果実ができるんです』

    商人『スーの傍で育てていただいて、実ったらまた取り引きさせてもらっても構いませんよ?』

    スー戦士『……秋まで、あの木箱を開けるまで……どのくらいの期間があると思って……』

    商人『だいぶ期間は空きますが、そんなのこっちは知った事ではありません』


    商人『私は、商売人です。話がしたかったら儲け話を添えてくださいね』

    ニコッ


    商人『それでは、さようなら』

    371 = 1 :

    ―――――――――――――



    ――スーの村・集会所――



    「「「…………」」」


    勇者「……」


    スー勇者「……ご主人様……」

    勇者「……エドさん。通訳ありがとう」

    エド「いえ……しかし、これは」


    【“だま、された?”】

    【“最初っから、うちと商売するつもりなんてなくて……”】

    【“うちの商品のもの珍しさで釣れた他の商売人たちと取り引きする為の、踏み台か?俺達が!!”】

    スクッ!!

    【“馬鹿にしやがって!!!”】

    【“畜生が!!こっちは真面目に……!!!”】

    【“スー人ばかり苦しめやがってぇ!!!”】


    スー勇者【“み、皆!おちついて!”】

    エド【“そうだ!!ここで憤っても仕方がない!!”】


    【“お前らは黙っていろ!!!”】

    【“おい!!直談判だ!!町長の所に行くぞ!!”】


    スー勇者【“みんな!!”】

    村長【“お前達!”】



    【“黙りなさい。子供たち”】



    【【【“!!!!!”】】】

    勇者「!」

    スー勇者【“長老様!”】

    スタ…スタ…



    長老【“お客人もいるのだ……座りなさい”】



    【“で、でも長老!”】

    長老【“座りなさい”】

    【“……っ、申し訳ない”】

    勇者「……あの方は?」

    エド「長老様です。大爺様のお姉様で、今は代表を村長に引き継いでいますが、この村の実質的な長ですね」

    372 = 1 :

    村長【“長。かたじけない”】

    長老【“よい。……スー勇者”】

    スー勇者【“は、はいお婆様!!”】

    長老【“村の若い衆は怒りに身を焦がしておる。客人には見せられまい”】

    エド【“そうですね。長旅も終えた後のようですし”】

    長老【“今日の所はお休みしてもらおう。その方もお前の寝床でよかったかい?”】

    スー勇者【“はい!私のテントでもてなします!”】

    長老【“よろしい。ではおやすみ”】

    スー勇者【“はい!おやすみなさい!”】

    グイッ

    スー勇者「ご主人様!今日はおやすみするです!」

    勇者「えっ?ス、スーちゃん、ひっぱらないで」

    スー戦士「……勇者」

    勇者「は、はい」

    スー戦士「…………いや、なんでもない。……おやすみ」

    【【【“““…………”””】】】

    勇者「……」

    勇者「……」

    勇者「……おやすみなさい」


    …………
    ……





    ……
    …………



    チリリリリリ…


    ホー ホー


    ――スー勇者の家(テント)――



    勇者「……」

    勇者「……」

    勇者「……」

    勇者「……」

    勇者「……」



    『もう、私と……何の関係もないでしょう?』



    勇者「……」

    ゴロッ

    勇者「……どうしちゃったんだよ……商人……」

    373 = 1 :

    勇者(正直、あれが商人の本心とは思えない……何か裏が……でも)

    勇者(今の所全然アイツの考えがわからない……)

    勇者(……)

    勇者(……)

    勇者(……)


    ガバッ!!


    勇者「っあー――!頭クラクラするっ」

    勇者(とりあえず考えるのはやめやめ!国連があの街を離れたらもう一回ちゃんと話を聞きに行こう)

    勇者(……)


    シーン…


    勇者(…………スーちゃん、水浴び長いな……)



    ――スー村・川辺――


    ザパッ…


    スー勇者「……ふーっ……」


    エド「長い事入るね」

    スー勇者「船旅の間、ちゃんと体洗えなかったですから」

    エド「ずっと入らなかったの?」

    スー勇者「雨が降る時、浴びてたです」

    エド「なるほどね」


    ザパァ…


    エド「どうなるんだろうね、これから」

    スー勇者「……」

    エド「まさか畑が無駄になるなんてね……」

    スー勇者「……町長さんに、今度お話しに行くです」

    エド「意味あるかなあ」

    スー勇者「それでも……行くです」

    374 = 1 :

    エド「ところで、女王様のご様子はどうだった?」

    スー勇者「……」

    エド「……スー勇者?」

    スー勇者【“……もう、永くないって。仰ってたよ”】

    エド「……!」

    スー勇者【“最後にお会いしたのは一年前くらいだけれど……だいぶ弱ってた”】

    エド【“……やっぱり、あの時の怪我かな”】

    スー勇者【“ううん。あの時はほぼ無傷で魔族を撃退できたらしいの……”】

    スー勇者【“そうじゃなくて……もう寿命が来るみたい”】

    エド【“そっか……じゃあ前から仰ってたとおりだね”】

    スー勇者【“うん……でも、いざこの時になると、哀しい”】

    エド【“…………”】

    スー勇者【“…………”】

    エド【“……王子の様子は?”】

    スー勇者【“……うん。王子はすごく元気”】

    スー勇者【“今はお城のみんなが見守ってるけれど、殻の中でどんどん力をつけてるみたい”】

    エド【“よかった。ちょっと心配だったんだ。それは嬉しい報せだよ”】

    エド【“で、だ。スー勇者。ご主人様は、大丈夫そう?”】

    スー勇者【“……うん。ずっと見てたけれど、大丈夫そうだよ”】

    エド【“食い破られてないよね?”】

    スー勇者【“なんとか私が抑えてる。女王様に教えてもらった魔力の使い方で”】

    エド【“うーん……なんだか不安だね。……本当に”】


    バシャッ…


    エド【“あんなもの……体に捻じ込まれて、本当に気の毒だ”】

    エド【“死なないのが不思議なくらいだよ”】


    スー勇者【“でしょ?ご主人様は強いの”】

    スー勇者【だって…】


    ニコッ


    スー勇者「…………お日様の匂い、するですよ」

    375 = 1 :

    今日はおしまいです

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    376 :

    乙乙
    ……勇者は非処女と言いふらしてロリコン疑惑を吹っ飛ばしてやろう

    377 :

    乙です!
    髪の羽根飾りからスーちゃん?かわいいのぅ…

    378 :

    おつ
    えらく性的な服やな!

    379 :

    ぐへへ、たまらんのう

    380 :

    ………………………………


    ホー ホー


    勇者「……」

    勇者(スーちゃんまだ戻って来ない……僕も水浴びは明日にして先に休ませてもらおうかな)

    勇者「……ねえ、スラお」


    スラお「……」ジッ…


    勇者「……ねえってば」

    スラお「……」

    勇者「鞄に隠れてこっち見てないでよ……いい加減にこっち来てよ」

    勇者(……僕と二人きりになると、いつもこうだ)

    勇者(僕に怯えているというかなんというか、全く喋らずにこっちを睨んでる)

    勇者(そんなに僕が嫌いなのかな……)

    勇者「ねえ、いい加減に僕にも慣れてよスラお。ずっとこんなんじゃ疲れちゃうよ」

    スラお「……」

    勇者「……そんなに僕が嫌いなの?」

    スラお「……きらい」

    勇者「ぐむ……そうですか」


    スラお「ゆーしゃの、なかのそいつ、だいきらい」


    勇者「……!」

    スラお「……」

    勇者「……ぼ、僕の中のこれは……仕方ないじゃんか」

    勇者「僕だってなんで魔物なのか分からないけどさっ、僕自身には」

    スラお「ゆーしゃも、きらいだもんっ」

    勇者「なんでさ!」

    381 = 1 :



    スラお「ゆーしゃも、ぼくのこと、ころそうとしてるめをしてる」


    勇者「……」

    スラお「……」

    勇者「……違う、よ。そんな」

    スラお「してるもん……」

    勇者「……」

    勇者「……」

    ――――――――――――


    ガチュッ!!!ガチュッ!!!!


    『ごろ"しでや"るっ』

    『ごろ"しでや"るっ!!!!』

    『ごろ"しでや"るっ!!!!!!!!!』


    ――――――――――――


    勇者「……」

    スラお「……」

    勇者「……ごめん」

    ゴロッ

    勇者「寝るから……スーちゃんが来たら、ごめんって伝えておいて」

    スラお「……」

    勇者「……」

    勇者「……でも、スラお」

    スラお「……?」

    勇者「僕が……お前と仲良くしたいっていうのは」

    勇者「その…………本当の事だから」

    勇者「……おやすみ」

    スラお「……」


    …………
    ……

    382 = 1 :

    ―――――――――――



    チリリリリ… チリリリリ…


    勇者「……ん」

    勇者「んん……?」パチ


    スー勇者「すぅ……すぅ……」zzz


    勇者「んをっ、スーちゃん……」

    ビリッ

    勇者(あぐ、スーちゃんに腕枕してる状態だから手が痺れてるっ……)

    勇者(っていうかスーちゃんまた僕の腕の中に……)

    スー勇者「すぅ……すぅ……」zzz

    勇者「……」

    ナデナデ

    スー勇者「むにゃ」

    勇者(はは……女勇者の小さい頃を思い出すなあ)

    スッ

    勇者「ちょっとごめんね……っと」

    スタスタ


    バサッ


    ――スーの村・早朝――


    サァァァァ……


    勇者「……まだ陽は登ってないな」

    勇者(今のうちに体を洗ってこよ)


    エド「お目覚めですねご主人様」


    勇者「トゥワォ!!!!?」ビクゥッ!!!

    エド「お静かに。スー勇者が目を覚ましてしまいます」

    勇者「あっ!?あぁっ、エドさんか……びっくりしたぁ……」

    勇者(そういえば喋る馬さんが居るんだった……)

    383 = 1 :

    …………

    スタスタ

    パカラ パカラ


    勇者「すみませんね、川まで案内してもらっちゃって」

    エド「いえいえ。もうすぐそこですし」

    勇者「……しかし、いい村ですね」

    エド「でしょう」

    勇者「はい。長閑で綺麗で……」

    エド「自慢の村です。気に入っていただけて嬉しいですよ」

    勇者「……エドさんってこの村の生まれなんですか?」

    エド「……いえ、この村生まれではありません」

    勇者「というかそれ以前に……なんでエドさんは喋る事ができるんですか?」

    エド「……」

    勇者「あっ、いや…………すみません。失礼しました。無理に答えなくても」

    エド「……私の生まれた場所の動物は、皆こうでした」

    勇者「えっ!?そんな所あるんですか!?」

    エド「はい。とある女王様が治めている余りにも小さな国なのですが」

    エド「そこでは皆が意思を言葉で通わせる事ができる平和なところでした」

    エド「スー勇者は、その女王様に生贄として捧げられた巫女なのですよ」

    エド「なので私は、スー勇者のお目付け役として彼女が小さい頃からこの村へ派遣され、そして見守ってきたのです」

    勇者「なるほど……………………」


    ピタ


    勇者「なんかすっげえ重大な事話された気がするんですけど……」


    エド「……さあ、川に着きましたよ」


    ――川辺――


    ジャリッ ジャリッ

    勇者「ちょ、ちょっと待ってください、生贄って」

    エド「まあそんなに構えないで下さい。生贄と言っても彼女が犠牲になるわけではありません」

    勇者「えっ、あ。そうなんです?」

    エド「スー勇者にこの村のお話は聞きましたか?“同士戦争”での乾きの壷の事」

    勇者「……はい」

    エド「では話が早いですね」

    384 = 1 :

    ヌギヌギ

    勇者「あの同士戦争や乾きの壷の話と何か関係が?」

    エド「はい。あの壷は、古来にスーの巫女が我が国の女王様に頼んで創ってもらったものなのです」

    勇者「へぁぁ……って、女王様っておいくつなんです?」

    エド「ふふ内緒です……でっけえ!!!!!!!????」

    勇者「えぇっ!!?な、っ、なんですかいきなり!!!?」

    エド「い、いえすみませんなんでもないです」

    エド「話を戻しますが、その壷を同士戦争により失った我が村の人間達が女王様へ助けを乞うたのです」

    エド「すると、女王様は『暴れ川の治水の魔法を巫女に託す。数年間巫女を私の元へ置きなさい』と皆に言い渡しました」

    勇者「……なるほど」

    エド「それからこの村の巫女達は代々、先代の巫女が川の底に込めた魔力が消え去る前に女王様の下へ修行に行っているのです」

    エド「その今代の巫女が……彼女。スー勇者なのですよ」


    ザプッ


    勇者「……そっか……」

    勇者(スーちゃん……そんな役目を……)


    ―――――――――――


    スー勇者『ご主人様!』


    ―――――――――――


    勇者(今度うんざりするほど甘やかしてやろう)

    勇者「……あと、知りたい事があるんです」

    エド「なんでしょう?」

    勇者「スーちゃんに聞いても、話してくれなかったんですが」


    勇者「スーちゃんを僕なんかに任せたその“女王様”、スーちゃんの言う“お師匠様”」


    勇者「……一体何者なんですか?」

    勇者「なんで僕なんかにスーちゃんを仕えさせたんですか?」

    エド「…………残念ながら、女王様の正体は言えません」

    勇者「えぇっ……理由を聞いてもいいですか?」

    エド「本来なら先ほど言った我が国の事も秘匿事項なのです。あなただから話した」

    エド「ですが、その女王様の全貌の話が漏れれば必ずあの方の身は危うくなります」

    エド「ご主人様にも、あの方の事はお話できません。……ですが」


    エド「近々、必ずあの方と貴方様は相見える事になります」


    エド「その際には……女王様は長い間病魔に侵されている身」


    ペコッ


    エド「何卒、ご配慮を」

    385 = 1 :


    勇者「……っ」


    「お?勇者じゃないか!」


    勇者「え?」クルッ

    ゾロゾロ

    スー戦士「水浴びか?おはよう!」

    勇者「スー戦士さん……と」

    【“あ、おはようペド野郎”】

    【“スー勇者を取りやがった野郎だ。おはよう”】

    【“こんな時間から水浴びか?”】

    勇者「若い衆の皆さん?おはようございます」

    スー戦士「エドも居たのか。おはよう!」

    エド「おはよう。皆は鍛錬かい?」

    スー戦士「ああ。ちょっくら行って来るよ」

    勇者「鍛錬ですか?」

    スー戦士「ん?そうだが……一緒に来るか?なんて」

    勇者「行きます行きます!見学させてください!ちょっと今服着るんでお待ち下さい!」

    スー戦士「えっ、行くのか?いいけど物好きだな」

    ザパッ


    【【【【“ でけえ!!!!!!???? ”】】】】


    【“あいつ女々しい顔してやべえぞ!!”】

    【“こわい”】

    【“スー勇者にちゃんと入るのかアレ”】


    勇者「っとと、エドさん。スー戦士さんにちょっと鍛錬見せてもらってきますね」フキフキ

    エド「いってらっしゃいちんちん」

    勇者「ちんちん!!!?」



    ……………………



    ――村のはずれの岩場――



    ガキィン!!! ガキィッ!!



    スー戦士【“せい!!!!”】


    ガキィッ!!


    【“なんのぉっ!!!!”】


    ガゴッ!! ドゴォッ!!



    勇者「……うぉぉぉっ……」

    386 = 1 :




    スタスタ


    スー戦士「ふぅ……どうだ?スーの戦士達の鍛錬は」

    勇者「いやぁ……なんというか……感服しました」

    勇者(この人ら、全員身体能力がハンパ無い……全員漏れなく手だれってレベルじゃないよこれ)

    スー戦士「はは、生半可なものじゃないだろう?小さい頃から厳しく鍛錬しているからな」

    勇者「はい……でも」

    スー戦士「ん?なんだ?」

    勇者「あー……いえ、なんでもないです」

    スー戦士「?……まあいい。陽もだいぶ登ってしまった事だし」

    スー戦士【“皆!引き揚げて飯にしよう!”】

    勇者「……」

    勇者(これだけの猛者が大勢居て……なんで戦争に負けたんだろう……)


    …………


    ――スー勇者の家――


    グツグツ…


    スー勇者【“……ん。おいし”】

    エド「すっかり料理もうまくなっちゃって……馬うれしい」ペロペロ

    スー勇者「あっ!ふふっ!やめてくださいエドさんっ!」

    スラお「ぼくもうれしいもんっ!スラうれしい」ペロペロ

    スー勇者「きゃー♪」


    スタスタ


    勇者「スーちゃん。おはよ」

    スー勇者「あ!ご主人様!おかえりなさいです!」


    ――――――


    モグモグ

    スラお「おいしい!」

    勇者「ん!すっごくおいしい」

    スー勇者「えへへっ」

    エド「本当に上達したね。偉い偉い」

    勇者(ふと思ったけどこの食卓すごい光景だな)

    387 = 1 :

    エド「それで、ご主人様はこれからどうされるんです?」

    勇者「え?……んー……」

    カチャ

    勇者「あの街から国連が去るのを待ちたいんで……あと五日くらいはここにお邪魔させてもらおうかな、って」

    スー勇者「五日ですかっ?」

    勇者「うん、ごめんね図々しくて」

    スー勇者「いーえっ!!!もっと居てくださいです!!」

    勇者「あはは、流石にそれは申し訳ないからさ」

    スクッ

    勇者「さて、と……片付けたら行きますかね」

    エド「どこかに行かれるんですか?」

    勇者「うん。ちょっとスーの村を見て回りたくてさ」

    スー勇者「あっ!でしたら、私、案内するです!」

    勇者「お願いしていいかな?用事とか大丈夫?」

    スー勇者「はい!へーきです!」

    スー勇者「皆にご主人様の事、紹介したいです!」

    勇者「ん。じゃあ一緒にいこ」

    エド「じゃあ私も一緒に行きます……乗ります?」

    勇者「えっと、いえ、大丈夫です」


    …………


    ――スーの村・住い集合地――


    【“おお!帰ってたんだってな!スー勇者!”】

    【“おかえりなさい!背も伸びたわね?”】


    スー勇者【“みんな!ただいま!”】


    ワイワイ

    勇者「本当に人気者だなあ」

    エド「何度も言うようですが、かわいいですからね」

    勇者「本当に何度も言ってますねそれ」


    スー勇者【“あの方が私が仕えてるご主人様で――……”】


    <……!…!


    勇者「…………質問いいですか?エドさん」

    エド「どうぞ?」

    勇者「……見た感じ、子供居なくないですか?」

    エド「……」

    勇者「赤ん坊を抱いてる人はいますけど……スーちゃんくらいの子は他に全然……」

    388 = 1 :

    【“ちょっと、アンタがスー勇者のご主人様?”】

    【“いやあよお、ほっそいったらありゃしないじゃない!!”】

    勇者「えっ!?」ビクッ

    エド【“ちょっとおばちゃん達、ご主人さまに絡まないの”】

    【“いいじゃない減るもんじゃなし”】

    【“ちょっとアンタ、力仕事手伝っておくれよ”】

    グイッ

    勇者「えっ?えっ?あの、エドさん。この方はなんて?」

    エド「力仕事をちょっと手伝ってくれと……“ちょっとちょっとおばちゃん!”】

    【“けちけちしないでよ!男達は飯食ったら狩りに行ったから男手がほしいのよ”】

    【“な?いいだろ?”】

    エド「すみません、ご主人様。すぐにやめさせ」

    勇者「いえ。自分にできる事ならやりますよ」

    エド「えぇっ!?」

    スタスタ

    勇者「こっちですか?」

    【“あらぁ!手伝ってくれるの?優しいじゃない!”】

    エド「ご、ご主人様ぁ!いいのですか……?」

    勇者「えへへ……実は結構雑用とか好きなんですよ。動かしてる方が気が紛れたりしますし」

    勇者「スーちゃんにはよろしく言っててください」

    エド「りょ、了解しました……」


    スタスタ


    エド「……」

    エド(なんていうか……ご主人様は庶民派な人だな……)

    エド「って、通訳ないと喋れないでしょ!私も行きますよ!」

    389 = 1 :



    パカラッ パカラッ


    スー勇者「エドさん!ご主人様!どちらへ!?」

    勇者「あ!スーちゃん!ちょっとこの方達の手伝いをしてくるよ!」

    エド「ちょっとおばちゃんたちがご主人様を拉致ってるからついていくよ!皆と話してて!」

    スー勇者「えっ!ちょっと待ってください!私も――……」


    スタスタ


    村長【“スー勇者”】


    スー勇者【“村長様!おはようございます!”】

    村長【“ああ、おはよう……ちょっといいか?”】

    スー勇者【“へ?はい”】

    村長【“国連ではお前が行方不明になったという事だっただろう?”】

    スー勇者【“はい……えっ!?まさか国連の方がこの村に”】

    村長【“うむ。まあ国連の人間というよりは、お前に用事があった人間からの遣いというか”】

    スー勇者【“???……どういう事です?”】



    村長【“ランシール勇者、という人間は知っているか?”】


    村長【“その方の使者を名乗る者から、お前宛に荷物を預かっている”】


    390 = 1 :

    今日はおしまいです

    391 :

    乙乙

    勇者はでかいのか…馬並み…ふむ…

    393 :

    ……………………


    カァー カァー


    ドサァッ


    勇者「はぁっ……これで全部か」


    【“ありがとうねえ!結局一日中手伝わせちゃって!”】

    【“助かったわよ!ちょっと非力だったけどね”】

    エド【“おばちゃんらはご主人様をこき使いすぎなんだよ!”】

    パカラ パカラ

    エド「ご主人様、大丈夫ですか?本当にうちのおばちゃんたちがすみません……」

    勇者「エドさん。大丈夫ですよ。なんだかんだ楽しかったです」

    エド「ご主人様が羊に埋もれた時はどうしようかと思いました」

    勇者「羊に殺されかけるとは思いませんでしたよ僕も」

    ゾロゾロ

    【“坊ちゃん!さっきはありがとねえ、これ。持っていきなよ”】

    勇者「え?」

    ドサッ

    勇者「えっ……これは?」

    エド「野菜と干し肉です。お礼ですって」

    【“うちからはこれ!食べて食べて!”】

    【“私からはこれ……さっきはありがとう”】

    勇者「えぇっちょっと待ってください!受け取れませんよ!僕はそんなつもりじゃ」

    勇者「ちょっ、みなさっ……うああああ」


    ワラワラ


    エド(……ご主人様、見た感じ女々しいから太らせる気なんだ。この熟女達は……)ゴクリ



    ―――――――


    スタスタ


    勇者「結局いっぱい貰っちゃったなぁ」

    エド「帰ったらスー勇者に料理してもらいましょう」

    勇者「お願いしようかな……」

    スタスタ…

    ピタ…

    勇者「……」

    クルッ


    勇者「…………」

    394 = 1 :

    エド「……ん?ご主人様?どうかされましたか?」

    勇者「…………や、なんでもないです。行きましょうか」

    スタスタ


    勇者(雑用と、長閑な風景)


    勇者(夕陽と夕餉の匂い)


    勇者(これじゃまるで)


    勇者(まるで)


    スタスタ…


    勇者「……あぁ」


    勇者(はらわたが捻じ切れそうだなあ)


    勇者「ほんと……幸せな」


    勇者「幸せな……」


    ――――――――――――


    ――スー勇者の家――


    スー勇者「……」ジーッ

    スラお「どしたのスーちゃん?」


    スタスタ

    勇者「スーちゃん。ただいまー」

    エド「ただいまー」

    スー勇者「あ!二人とも!おかえりなさいです……すごい荷物です?」

    勇者「ちょっと村の人たちに貰ってね。……あれ?スーちゃんの目の前のその荷物は?」

    スー勇者「これは、ランシールさんから届いた、私の、昔のにもつです!」

    勇者「ランシール勇者さんから?昔の?」

    スー勇者「むかし、私が勇者になったばっかりのころに、ランシール勇者さんと一緒に旅した事があって」

    勇者「えぇっ、そうなの?じゃあその時にランシール勇者さんに預けた荷物が送られてきたんだ?」

    スー勇者「そう、なんですけど……ちょっとへんな事が」

    勇者「変?」

    スッ

    スー勇者「いくつか、身に覚えのない荷物があって……一緒にこの紙が」

    勇者「この紙……?真っ白だね?」

    スー勇者「はい……」

    スラお「このくまのぬいぐるみ!かわいい!」

    エド「おやおや、スー勇者はかわいらしい趣味してるね」

    スー勇者「そっ!それも身に覚えのない荷物です!」

    勇者「んー……間違えて紛れちゃったのかな」

    スー勇者「かもです……今度返しに行くです」

    勇者「ん。それがいいかもね」

    395 = 1 :

    エド「そうだスー勇者。この食材を使って何か美味しいものを作ってよ」

    勇者「ああそうだった。お願いできるかな?スーちゃん」

    スー勇者「お安い御用です!あ、でも今日は村長様の家族も一緒に食べるです!」

    勇者「村長様達と?いいのかな、僕が居て」

    スー勇者「居てくださいです!」

    エド「ご主人様はもう家族のようなものです。ね?スー勇者」

    スー勇者「はいっ!」ニコー

    勇者「……ふふっ、うん。ありがと」

    エド(そして行く末はスー勇者を……ねっ?ねっ?)パチッ パチッ

    勇者(なんかめっちゃエドさんウィンクしてくる……)


    ―――――――――――


    ――村長の家――


    「「「「いただきまーす!」」」」


    勇者「んんっ!んまいっ!」

    スー勇者「えへへ、いい食材がいっぱいだったので、豪華にしたです」

    村長【“はっはっは、これは豪勢だな”】

    村長妻【“スー勇者の腕が上達していて私も嬉しいわ。少し見ないうちに大人になっちゃうんだから”】

    スー勇者【“やめて下さいお母様ー!私はもう一人前のレディなんですっ”】

    勇者「……ねぇねぇエドさん」

    エド「ん?なんです?」

    勇者「前に言ってましたよね?この方々がスーちゃんの親代わりって」

    エド「はい。……あぁ、それも言っていませんでしたね」


    「スー勇者には、スー人の血は流れていないんだよ」


    勇者「えぇっ!!!!!!?!?????って、あれっスー戦士さん」


    スー戦士「よっ。ただいま。やってるな」


    スー勇者「おかえりなさいです!」

    村長【“狩りはもう終わったのか”】

    スー戦士【“ああ。さっきな”】

    エド「スー戦士は村長の息子なのですよ」

    勇者「あっ、そうなん……っていうかいやいや、さっきのって本当なんです?」

    スー勇者「はいっ!本当です!」

    スー戦士「この子は別の小さい島からやって来た貰い子なんだ」

    エド「もうこの村の子と変わりないんですけれどね」

    396 = 1 :

    勇者「確かに少し肌の色とか違うなぁって思ってましたけど……そうだったんだ……」

    スー勇者「はい!でも私はこの村の人間です」

    スー勇者「両親が亡くなって、この村に預けられた私を、みなさんすっごく優しくしてくれましたです」

    スー勇者「わたしっ、この村がだいすきです!」ニコー


    村長・村長妻・スー戦士【【“ぁぁぁぁぁぁぁスー勇者ぁぁぁぁぁぁ!!!!!”】】


    ナデナデナデナデナデナデナデ


    スー勇者「いあ――――!!!!髪がくちゃくちゃになるです――――!!!!!」


    勇者「うぁぁぁぁぁスーちゃんうぁぁぁああああああ」ナデナデナデナデナデ


    スー勇者「なんでご主人様まで!!!!!?」

    スラお「ぼくなでなでできないからぺろぺろでいい?」

    スー勇者「お気持ちだけで大丈夫ですよ」

    エド「ぺろぺろ」

    スー勇者「エドさんは容赦ないぺろぺろです」



    …………



    パチ… パチ…


    スー戦士「ふぅー……食った食った」

    村長【“……スー戦士。若い衆はどうだ?”】

    スー戦士【“んん?……ああ。ちょっくら大変だったがなんとか宥めたさ”】

    村長【“すまないな”】

    スー戦士【“いや。俺の仕事でもあるからな……だが、オヤジ”】

    スー戦士【“俺は、どちらかというと若い衆と同じ気持ちだ”】

    スー戦士【“今すぐにでも町長の所に行って、やり返してやりたい”】

    村長【“……”】

    スー戦士【“……これじゃ、いつまでも俺らは奴隷のような扱いのままだ”】

    村長【“…………堪えねばならん事もある”】

    村長【“以前、人間達は似たことを繰り返して、怨念を怨念で覆い尽くした”】

    村長【“もう一度言う。堪えねば、成らぬ事もある。のだ”】

    スー戦士【“……偉大なる魂の為、か”】

    村長【“損な役割を押し付けてすまない”】

    スー戦士【“いいさ。もう慣れた”】

    397 = 1 :

    勇者「……エドさん。なんか少し張り詰めた空気なんですけど……もしかして」ボソ

    エド「いやまあ……あの街での話を、ちょっと」

    勇者「……やっぱりですか……あの。村長夫妻への通訳をお願いできます?」

    エド「え?」

    勇者「あっ、あの。皆さん」

    村長【“ん?”】

    スー戦士「どうした?勇者」

    勇者「うちの知り合いが皆さんにご迷惑をおかけして……本当にすみません」

    スー戦士「はは。よせよせ。お前が気にする事じゃないよ」

    村長【“そうです。お気になさらず”】

    村長妻【“頭を上げてくださいな”】

    勇者「すみません……ですがこれだけは言えます」

    スー戦士「ん?」


    勇者「あいつは、悪人ではありません」


    勇者「今回の事も何かが絶対あります」


    スー戦士「……根拠は?」

    勇者「幼馴染としての勘」

    スー戦士「お、おいおい」

    勇者「……――と、それと」

    スー戦士「ん?」

    勇者「……いえ、なんでもないです」

    勇者「とにかく、数日後に直接会いに言ってきます。それまでどうか抑えていただけませんか」

    スー戦士「そう気にしないでくれ。俺らももう無理に抗議に行ったりはしないからさ」

    スー戦士「それに、今は街には恐ろしい人間がいる。……国連が居る限り妙な事はできんさ」

    勇者「?恐ろしい人間?」

    スー戦士「お?知らないか?」

    勇者「国連のダーマの勇者が居るのは知っていますが……」

    スー戦士「それよかもっとヤバい人さ」


    スー戦士「原初の勇者。“皇帝”糾えるソクラス」


    勇者「っ……!!?」

    スー戦士「お前も名前は知っているだろう?」

    勇者「そ、そりゃあもう……えっ?あの街に今居るんですか?」

    スー戦士「ああ。実感できないよな」

    勇者「……マジか……」

    勇者(父さんと同じ、伝説の勇者の1人)

    398 = 1 :

    スー勇者「?……あざ、なえる?こうてい?」

    スー戦士「お?どうしたスー勇者」

    スー勇者「その……名前の前の、なんです?」

    スー戦士「名前の前?ああ、皇帝の事か」

    スー戦士「あのな?原初の勇者の四人、オルテガ、サイモン、ヒミコ、そしてソクラス」

    スー戦士「この四人はそれぞれ二つ名があるんだ」

    スー戦士「オルテガは“明星”。サイモンは“月光卿”。ヒミコは“東方の魔女”」

    スー戦士「そして、ソクラスは“皇帝”」

    スー勇者「王様なんです?」

    スー戦士「あはは。まさか。ただの呼び名だよ」

    エド「しかし、どうして“皇帝”糾えるって言葉が使われてるんだい?」

    勇者「確かに、あまり考えた事なかったけど……」

    スー戦士「……んー……まあ、本当の事は分からないんだがね」


    スー戦士「ソクラスは、一国を1人で滅ぼしたらしい」


    勇者・スー勇者・エド「「「……へっ?」」」

    スー戦士「いや、そう噂されてるだけで実際はちょっと違うらしくて」

    スー戦士「どこだったか、小さい国が滅んだ際に、生き残りはソクラスだけだったとか」

    勇者「……亡国の、たった一人の生き残り……それで皇帝って事、か」

    スー戦士「で、糾えるって方だが……」

    スー戦士「なんというか、凄く独特な人物らしくてな。感情が読めないらしいんだ」

    スー戦士「糾った縄の一本一本の様に、ねじくれているらしい」

    勇者「…………つまり、ひねくれもの、と」

    スー戦士「ま、そういうことだよ」

    グビッ

    スー戦士「っ、ぷは……ただ、これだけは言える」


    スー戦士「あの男、尋常じゃない」


    スー戦士「ちらっと姿を見ただけだったが……震えたよ」


    スー戦士「あの男にだけは、目をつけられちゃいけない」


    スー戦士「人類の中では、恐らくあの男より強い人間は居ない」


    スー戦士「案外………………国を滅ぼしたってのは、本当かもしれないな」

    399 = 1 :

    今日はおしまいです


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