元スレ右京「346プロダクション?」
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301 = 1 :
やっぱり、おかしい。
アタシの知ってる右京さんではない。
こんな隙だらけで、何も考えていないおじさんではない。
「…」
ただただ、心配になる。
もしかしたら、季節の変わり目のせいでこうなったのか。
はたまた、早めの夏バテなのか。
…考えたくないけど、ボケちゃったのか。
「…!」
違う違う。
右京さんはそんなヤワじゃない。
…最も、それはそうであって欲しいと思うアタシの願望なだけなんだけど。
「…」
無表情で車を運転する右京さんを見ていると、不安要素しか感じられない。
「…事故、起こしませんよね?」
「…多分、大丈夫だと思う…」
幸子ちゃんがそう思うのも、無理はない。
昨日今日で、これだけの落差があるといくらなんでも混乱する。
アタシを華麗に助けた事。
紗枝ちゃんを華麗に躱した事。
幸子ちゃんの母親に啖呵を切った事。
そのイメージが、途端に崩れ去るような感覚に陥る。
「…右京さん、今日…アタシ達タクシーで帰るから…」
「…いえ、体調はすこぶる…」
「だってほら…ねえ?」
「そうどすえ。いつもやったら、何でもぱっぱとしてくれますやん…」
「…そうですか…」
「…あああ…」
相変わらずの受け答えに紗枝ちゃんが頭を抱える。
…ホント、どうしちゃったんだろ、右京さん…。
302 = 1 :
「えーとですね…ここでお菓子持って…3人でダンスを…」
幸子「あの、並び方は…」
「うーん…そうだなぁ…346さん、どうします?」
右京「…そうですねぇ…」
「こういう時は、背の低い子が真ん中に来て…」
右京「…そうですねぇ…」
「で、そこを左に紗枝さん、右に友紀さん。こんな感じでいいですかね?」
右京「…ええ。良いと思いますよ」
「良し!じゃあそれでいきましょう!」
幸子「…」
紗枝「…」
友紀「…」
「まず先に送っておいたビデオの振り付けをですね…」
友紀「あ、はい!」
「最後ターンを決めて、カメラに寄って一言!…ってな具合ですから!頑張っていきましょう!」
幸子「は、はい…」
右京「…」ボー…
紗枝「…うう…」
「あ、あれ?紗枝さんどうしました…?」
友紀「あ、な、何でもありませんから!大丈夫ですから!」
「は、はあ…それじゃ撮影いきますよー!」
幸子「ほら立って下さいって…!紗枝さんまでそんなになってどうするんですか!」
紗枝「…せやかて幸子はん…」
「はい撮影まで5…4…3…2…」
右京「…」ボー…
友紀「(…これ、相当ヤバいんじゃ…)」
303 = 1 :
瑞樹『あら…そんなことが?』
友紀「そうなんです…どうにもこうにも…アタシ達じゃ…」
瑞樹『…そうねぇ。そんなこと言われても、前例が無い事だし…』
友紀「瑞樹さんも、分かりませんか?」
瑞樹『そうねぇ…私達も、直接彼の下にいたわけじゃないから…』
友紀「そうですか…」
瑞樹『そもそもプライベートなんて一切話さない人でしょ?原因なんて何も分からないわ』
友紀「うーん…でもこのままだと、紗枝ちゃんが…」
紗枝「…」
瑞樹『あらあら……なら、そうね…』
友紀「あるんですか!?解決策!」
瑞樹『大声出さないでよ…』
友紀「あ…すいません…」
瑞樹『まあ、解決策になるかどうかは分からないけれど…総務課に行ってみなさい』
友紀「総務?」
瑞樹『ええ。そこに行けば米沢って人がいるから』
友紀「米沢さん…」
瑞樹『ええ。眼鏡を掛けてて、ちょっとおかっぱのふっくらした男の人よ』
友紀「…うーん…」
瑞樹『まあ、行けば一瞬で分かるから。とりあえず帰ったら行ってみなさい』
友紀「あ、はい!ありがとうございます!」
瑞樹『彼、杉下係長とは346でも一番親しいから。だから何か教えてくれるんじゃないかしら?』
友紀「米沢さん……はい!ありがとうございました!」
304 = 1 :
結局この問題の解決策が見つからないまま、仕事を終えた。
スタッフの提案にも生返事だったし、帰りの車でも何だかボーッとしてた。
…右京さんを何とかしないと紗枝ちゃんのモチベーションに関わるみたいだし…。
「…」
…アタシも幸子ちゃんも、なんだか嫌だし…。
とにかく、米沢って人に会ってみようかな。
そしたら、解決はしないまでも、右京さんがこうなった原因が分かるかもしれないし。
…っていうか、これ完全にロボット扱いだよね。
とりあえず、戻ったら紗枝ちゃんと幸子ちゃんを連れていこう。
「…」
…でも、瑞樹さんは見たらすぐ分かるって言ってたけど…。
そんな分かりやすい特徴かなあ?
おかっぱに近い髪型で、眼鏡の…太ってる人。
「…うーん…」
…。
305 = 1 :
友紀「…」
紗枝「…」
幸子「…」
米沢「…」カタカタ
友紀「…あの人、だよね?どう見ても」
幸子「…そうですね」
紗枝「確かに、どこか目立ちそうな風貌どすなあ…」
幸子「何というか…何処か近寄り難いと言いますか…」
紗枝「何やろか…いわゆる…オタ…」
幸子「シッ」
友紀「(…確かに、右京さんと仲が良いっていわれるくらいだもんなあ…)」
306 = 1 :
友紀「…あ、あのー…」
米沢「…」
友紀「あのー…」
米沢「?私ですかな?」
友紀「あ、はい…」
米沢「…?おや、あなた方は…」
幸子「右京さんのプロジェクトの…」
米沢「ええ。存じていますが…杉下係長は?」
友紀「あ…えーと…」
紗枝「右京はんについて聞きたいこと、あるんどすわぁ」
米沢「はて…私にですか?」
幸子「は、はい」
米沢「ふむ…でしたら」ガタッ
幸子「ひうっ!?」
米沢「…?」
友紀「あ!ご、ごめんなさい!ちょっとこの子人見知りなところあるんですよ!」
米沢「ああ。そうでしたか。…まあここではなんですから、外のカフェにでも行くとしますかな」
紗枝「え?」
幸子「そ、そんな事までしなくても…」
米沢「ああ、いえいえ…」ズイッ
友紀「うえっ!?」
米沢「…杉下係長の話は、ここでは難しいものですからな…」ボソ
友紀「あ…」
幸子「そういう…ことですか…」
米沢「では行きますかな。かくいう私もまだ休憩をとっていなかったものですからな…」
幸子「あ…はい」
紗枝「…」
友紀「…」
幸子「…右京さんと仲が良い理由、なんとなく分かります…」
紗枝「…ウチもどすわ…」
友紀「…」
307 = 1 :
それからアタシ達は米沢さんに連れられ、346プロダクション内にあるカフェで少しの休憩をとることにした。
…確かに、見てすぐに分かるような人だったなぁ。
「すみません。私はクリームソーダを一つ」
「あ、はい!」
席に座ると同時に店員さんに注文をする。
突然の注文に店員さんも慌ててこっちに飛んでくる。
…。
「あれ?菜々ちゃん?」
「どうもー…ナナです」
見覚えのある顔が、そこにあった。
…でも、菜々ちゃんが働いてるのって…。
「菜々さん、ここで働いてるんですか?メイド喫茶は…」
「こっちの方が近くて便利なんです。お別れは寂しかったんですが…ううっ」
「あ、あはは…」
そうは言いながらも、今の彼女の格好はメイド喫茶と比べても大差ない。
店長さんや、他の従業員さんを見ると普通の格好、ということから恐らくここはエプロン以外は自由ということなのだろう。
そこでメイド服というのは、彼女の譲れない部分というものなのかどうなのか…。
「ウチ、メイドはんなんて初めて見ましたわぁ」
「あ、ち、違いますよ!これは仮の姿!ナナの本当の正体は…」
「ウチ緑茶くださいな」
「アタシアイスコーヒー!」
「ではボクはミルクティーを」
「無視ッ!!?」
308 = 1 :
米沢「はあ…杉下係長が…」
紗枝「そうなんどす。何しても何言うても…ただのおじさまのように…」
米沢「お、おじさま…」
友紀「米沢さんは、何か知らないの?」
米沢「そうですなあ…」
幸子「…」
米沢「…私も、杉下係長の全てを知っているわけではありません」
友紀「…そう、だよね…」
米沢「…が」
友紀「!」
紗枝「何か、知っとるんどすか?」
米沢「いやいや、これは私の都合なんですがな。…大分前に、彼が足繁く通っていた小料理屋が無くなってしまいましてな…」
友紀「…?」
米沢「杉下係長としても、習慣にしているものの一つが無くなったわけですからな…」
紗枝「そない危ない薬みたいな…」
米沢「いやいや、バカにできんものですぞ。彼としてはあの店は酒を飲みにいくよりも、女将さんに会いにいくということの方が正しいかもしれませんからな…」
友紀「えっ」
紗枝「えっ」
幸子「…ほほう」
米沢「まあ、そういう…」
友紀「ど、どういうこと?あの人にそんな人が…?」
米沢「おや、聞いておりませんでしたかな?」
紗枝「聞くも何も、そない習慣があったなんて…」
米沢「ここだけの話、そこの女将さんは、杉下係長の元配偶者だったとかなんとか…」
友紀「はっ!?」
幸子「え!?」
紗枝「なっ…」
309 = 1 :
友紀「ちょっ…ちょ!!知らないって!何それ!?」ブンブン
米沢「ぐぐぐ…わ、私も聞いただけのお話ですからな…」グワングワン
紗枝「お付き合いどころか、結婚から離婚まで…」
幸子「…待って下さい。とどのつまり…」
友紀「…」
幸子「……会えなくて寂しいと?」
友紀「う…」
米沢「ううむ…そういう方ではないと思いますがな…まあ、習慣の一つが無くなったということ…」
紗枝「…」
米沢「そして、その影響が大きいこと。…それくらい…ですかな」
友紀「…」
紗枝「…」
幸子「…と、いうことは…」
友紀「…うん」
米沢「?」
紗枝「まあ、良え機会と思て…」
友紀「…」ガタッ
紗枝「…」ガタッ
幸子「…」ガタッ
米沢「おや、解決には至ったのですかな?」
友紀「うん。ありがと!米沢さん!」
紗枝「ほんま、おおきに…」
幸子「ありがとうございました!」
米沢「ああ、いやいや…」
友紀「じゃーねー!また何かあったら相談するからね!」
米沢「あ、はあ…」
紗枝「ほなウチらはこれで…」
米沢「え?」
幸子「お疲れ様でした」
米沢「あ…」
米沢「…1700円。高い昼休憩でしたな…」
310 = 1 :
右京「…」
右京「…」
友紀「右京さん!」バタン
右京「…どうかされましたか?」
友紀「ほら、早く着替えて!行くよ!」
右京「?…おや、今日はもう終了のはずでは…」パラパラ
紗枝「ほらほらはよ準備して…」グイグイ
右京「?」
幸子「行きますよ…!」グイグイ
右京「…はいぃ?」
友紀「いいから!!」
右京「…」
紗枝「何にしても今日は、色々話してもらいますえ」
幸子「ボクのプライベートにはズカズカ入り込んで、自分は秘密主義なんて許しませんよ!」
右京「おやおや…」
友紀「そもそも、結婚してたって何!?」
右京「…おや、どなたから?」
友紀「あー!!嘘じゃなかったー!!」
右京「…君、僕をどういう風に見ていたんですかねぇ」
幸子「それもこれも含めて、全部話してもらいますからね!」
右京「僕のプライベートなど、何の面白みもありませんがねぇ…」
友紀「はいはい早く歩いて」
右京「…ちなみに、僕はこれから何処へ連れていかれるんですかねぇ?」
紗枝「何処でもええやないどすか。お酒が飲めて、人と話せるなら…」
右京「…」
友紀「あ、勿論二人はジュースだからね」
幸子「分かってますよ!!」
右京「…」
紗枝「ふふ。水臭い事せんと、早う言っとくれば良かったのに…」
右京「…僕は今日、車なんですがねぇ…」
友紀「あ」
幸子「あ」
紗枝「あ」
311 = 1 :
…。
「…っていうさ」
「そんな事も、ありましたかねぇ」
右京さんはどうでもいいと言わんばかりに日本酒をチビチビしていた。
大酒飲みというわけではないのか、飲み方はいつもどこか遠慮がちだ。
「…でも右京さんって、こういうの好きなんだね」
「ええ。静かで、人も少ない方が、僕好みというものです」
「じゃあさ、良いとこ見つけたアタシに感謝だねー…」
「ええ。高垣さんには本当に感謝ですねぇ」
「う…き、聞いたのはア・タ・シ!!」
「ンフフ…」
あれから右京さんをあれやこれやと連れ回し、彼自身も嫌と言わず着いてきたは良いけれど。
…結局右京さん好みの店を見つけたのは、高垣楓さんという先輩アイドルだった。
何処か暗く、近寄り難かったけど、意外とすんなり穴場を教えてくれた。
…何だかあの巨大プロデューサーさんにべったりだったけど。
「でもさ、一時はどうなるかと思ったんだよ」
「そうでしたか」
「だって、いつもみたいに重箱の隅をつつくような感じじゃないんだもん」
「…君には、幸子君を見習ってほしいものですねぇ」
「じゃー…アタシのこと名前で呼んだら…」
「…」
「…」
…。
「…ね。右京さん」
「何でしょうか」
「…今でも、その…奥さん…のこと…」
「…」
「…」
「彼女の人生は、彼女の人生です。僕にとやかく言うようなことは…」
「はぐらかさないで」
「…」
「ちゃんと言って」
「…誰とも繋がっていない人間など、この世にはいません」
「…」
「たとえ離れていても、必ず繋がっています」
「…」
「…それが僕の答えです」
312 = 1 :
…離れていても、どこかで繋がっている。
そしてそれは、誰しもが持っている。
みんな何処かで、誰かと繋がっている。
…。
『…絆…っていうの?』
『君らしく言うならば、そうなります』
…絆。
右京さんと、別れた奥さんの、絆。
右京さんと、アタシの絆。
アタシと、紗枝ちゃん、幸子ちゃんの絆。
…離れていても、か。
…そうだね。
…。
右京さん。
だから、そんな事言ったの?
自分にこれから訪れる事を、知っていたから、そんな事を言ったの?
…。
右京さんが消える、1ヶ月前の出来事だった。
第九話 終
313 :
乙
物語も終盤か
314 :
おつ
幸子が花の里継ぐのかと思ってしまった
315 :
おつ
316 :
消えるのか
てっきり元の評判悪かった右京さんにもどるのかと
317 :
このSSアイマス世界にも『花の里』あったのね
318 :
>>70
地下の←×
無しでお願いします…
矛盾してますやんけこれすいません…
319 :
>>176
その動作を訝しげに見つめる紗枝ちゃんと、何を考えているのか分からないウチさんと目が合う。 ←×
何を考えているのか分からない右京さんと目が合う。←○
ウチってなんやねん…
321 :
期待して待ってるぞ
322 :
ここで過ごして、はや半年、以上。
それなりの知名度は出てきて、仲間も増えた。
「…」
『…やはり今の状況は厳しいですか?』
『そうですねぇ…週5でバイト入れて…ギリギリです』
休憩中に観ていたとある地下アイドルに焦点を当てたドキュメンタリー番組。
『でもいつか私もテレビとかに出て…』
…正直、このご時世でこういう仕事で食べていけるって、凄いことなんだろうなって、つくづく思う。
そして、いつ終わるか分からないこの状態をいつも心に置いておかなければならないプレッシャーも、次第に感じるようになってきた。
…確かに、親がやらせたくない仕事というのも納得。
「…お気楽だけじゃ、やっていけない世界なんだね。こういうのって」
「君からそのような言葉が聞けるとは思いませんでしたよ」
「・・・」
いつものようにパソコンと書類に目を向ける右京さんは、軽口なのか本気なのか分からないけど、そう答えた。
…もう慣れたよ。
323 = 1 :
「おはようございます!」
「どうも、おはようございます」
「おはよー!」
「おはようございます」
幸子ちゃんと紗枝ちゃんが学校から直でやってきた。
学生アイドルということもあり、制服のまま来るのは珍しくない。
「でも二人とも寮でしょ?近いんだし着替えてくれば良かったのに…」
「着物は時間がかかるんどすえ」
「着物着なきゃ良いのに…」
「う…正論を吐かれたわぁ…」
…本当は普通の私服持ってるくせに…。
「今はワンタッチ式の物もあるみたいですよ。ほら」
「ほー…」
幸子ちゃんが最新式の携帯の画面を見せる。
そこにはマジックテープでくっつく着物の画像が表示されていた。
…というより、お父さんにかなり甘やかされてるな、なんて思うのは野暮…かな。
「…あかん」
「え?」
「あかん!こんなちゃちいモン、着物とは認められまへん!」
…あ、変なスイッチ入ったみたい。
324 = 1 :
友紀「そういえばさ。右京さん」
右京「何でしょうか」
友紀「今日でアタシと右京さんが会って、何日か知ってる?」
右京「半年と、3日ですかねぇ…」
友紀「…まあ、半年。半年だよ」
紗枝「あら、そない経つんどすか…つまり、ウチは3、4カ月…」
幸子「ボクは2カ月ですかね」
紗枝「…密度の濃い半年どすなぁ…」
友紀「…色々、あったよねぇ…」
右京「そう思えるのは、君達が努力してきたという何よりの証拠です」
幸子「…」
紗枝「…」
友紀「…」
右京「…」
紗枝「…そう…どすなぁ…」
幸子「そう…ですね…」
友紀「…えへへ…」
325 = 1 :
幸子「…ところで」
友紀「?」
幸子「決まったんですよね?」
右京「何がでしょうか」
幸子「何がでしょうかじゃないですよ!ボク達のユニット!企画書出したんですよね?」
右京「ええ」
紗枝「そういえばもうかれこれ2週間は経ちますなぁ。お返事は来てまへんの?」
右京「そのようですねぇ…」
幸子「そのようですねぇって…」
友紀「今西部長に渡したんでしょ?」
右京「ええ。確かに」
紗枝「ほな今西部長で止まっとる…ちゅうことどすか?」
友紀「んー…あの人は確かにアバウトだけど…そんな鈍臭いことするかなぁ」
右京「…」
幸子「…」
友紀「どうかした?」
幸子「…いえ」
紗枝「…」
幸子「…」
紗枝「言いなはれ」
右京「…」
紗枝「そない煮え切らん態度、かえって不安を煽るだけどすえ」
幸子「…」
友紀「…」
幸子「…考えたくはないですけど…その…今西部長以外の役員の人達って…」
紗枝「…」
幸子「…ボク達のこと…」
友紀「…あ…」
右京「…」
友紀「だ、だとしたら…アタシ達…」
紗枝「…」
右京「…もう少し、待つとしましょう」
幸子「…」
友紀「…」
326 = 1 :
今西「…」
「…」
今西「…これは、どういう事でしょうか?」
「言ったはずですよ。杉下右京のこれ以上の勝手は見逃せない」
今西「結果は出している筈では?売り上げだけなら他のプロジェクトに比べても遜色ないと…」
「…それで?」
今西「彼の功績は、評価しない…と?」
「評価される人間じゃない。言い直して欲しいですね」
今西「…そこまで、彼は邪魔でしょうか?」
「邪魔…そうだねぇ。上司に従わない者がいつまでも出しゃばるのはどうかと思いますけどね」
今西「…最近は大人しくしているじゃありませんか」
「油断ならないね。あいつはその気になれば尻尾に噛み付くどころか根こそぎ飲み込んじゃう奴だから」
今西「…」
「…とはいえ、確かに結果を出しているといえば、否定出来ないよね」
今西「…ならば」
「うん。ユニットを組んで活動するのも良いんじゃないかなあ」
今西「…」
「…」
今西「…その条件が、これですか?」
「何かおかしいかな?これは社長からの直々の通達ですよ?」
今西「…」
「そんな目で見ないでくれよ。僕はただ社長からこれを渡してくれと言われただけなんだよ」
今西「…彼から、何もかも奪うつもりですか…?」
「奪うだなんて。担当が変わるだけじゃない」
今西「それを奪うと言うんじゃないんですか?」
「人聞きの悪い。これは栄転だよ?杉下も喜んでくれると思うけどね」
今西「…」
「…君だって、踏み込まれたら困る人間の一人じゃない」
今西「…」
「だから、当然の措置。こういうのは早いのに越したことはないんだから」
今西「…」
「ま、そういうことだから…」
今西「…」クシャ
327 = 1 :
自分達が無事ユニットを組めるのかどうか。
そういった問題はとりあえず置いておくことにした。
「…せやけどユニットを組むんであれば…当然、決めんとあかんもんがあるんとちゃいます?」
「?」
紗枝ちゃんが右京さんの淹れた紅茶を啜りながら静かに呟く。
…決めなきゃいけないこと?
「ふむ…確かにそうですね」
アタシにはまだ分からないけど、幸子ちゃんには分かったみたい。
そしてその答えを聞こうとする前に、右京さんが口を開いた。
「ユニットの名前、それとそれを纏めるリーダー…でしょうかねぇ」
言い終わると同時にカップを皿に音も立てずに置いた。
…確かに、そうだよなあ。
それに、それはこの間少し右京さんに聞いてみたし…。
「ユニットの名前は一先ず置いといて…まずリーダーを決めんとあきまへんなあ」
右京さんの真似事なのか、カップを皿にカチンと置き、そしてチラチラと彼に目配せをする。
自分らで話し合うよりは、第三者、自分達を一番近くで見てきた右京さんに決めて欲しいんだろう。
…ただ、別の意味も含めてそうだけど。
「当然、ボクに決まってますよね!ボクはカワイイから!!」
「確かにカワイイどすなぁ。こないちっこくて」
「ちっこくないです!」
「…」
…カワイイが基準とは思わないけど。
でも、幸子ちゃんがリーダーというのも一理ある気がする。
洞察力に優れて、何より頭も良い。
ただ年長者だからアタシというのは安直過ぎるだろうし、紗枝ちゃんがリーダーというのも何だか偏った方向に行きそうだし…。
「右京はん、右京はんはどなたが良えと思いますか?」
「…僕が決めるというよりも、第三者に決められたものには少なからず不平不満が出るものです。ですから君達で決めることの方が後腐れなく、そして一番良い方法でしょうねぇ」
「そんな…右京はんが決めたんやったらウチは…」
「貴方が良くても、ボクは良くないんですよ」
「そういうことです。君達で決めて下されば、僕も幾分か楽になりますから」
…右京さんらしいや。
328 = 1 :
紗枝「…ほな、友紀はんはどうなんどすか?」
友紀「え?」
幸子「そうですよ。何も言わないのはダメですよ」
友紀「…えー…」
紗枝「誰がなっても、メリットデメリットはあると思いますえ?」
友紀「…んー…」
幸子「これはですね、やはり何かで競うべきですよ」
友紀「…競う?」
幸子「そう!学力とか…」
紗枝「ほな保健体育でもやりまひょか。ほれ、これなーんや?」
幸子「ひ…卑怯ですよ!」
友紀「…あ!」
紗枝「?」
幸子「?」
右京「…」
友紀「あれは?あみだくじ!」
紗枝「…」
幸子「…」
右京「…」
友紀「…」
紗枝「…ない、どすなぁ」
幸子「…ない、ですねぇ」
友紀「…えええ…?」
329 = 1 :
…結局、そんなすぐに決まるものでもなくて。
この問題はとりあえず全て一時保留として、次の仕事に向かうことになった。
…でも、ユニットかぁ。
「…」
偶然、右京さんの目に止まったアタシと。
偶然、目をつけた紗枝ちゃんと。
偶然、関わることになった幸子ちゃんが。
偶然、こうして同じプロジェクトに腰を据えることになった。
「ほなこれはどうどすか?カラオケで一番点数の高い子がリーダー言うんは」
「リーダーに求められるものは歌唱力ではありませんね!やはり可愛さ…ちっこくないです!」
「何も言うてまへんやん…」
…一度目は偶然、二度目は奇跡、三度目は必然、四度目は…。
「…運命、かぁ…」
「え?」
「え?」
「な、なんでもない…」
…声に出ちゃってた。
「う、運命て…」
「あ、いや…紗枝ちゃんが想像してるのじゃないよ」
…そもそもそれって、一人の相手に使うものだしなぁ。
330 = 1 :
今西「…」
米沢「…」
今西「…」
米沢「…俄かには信じ難い、無茶苦茶なご通達ですな」
今西「…だが、いつかはこうなる。そんな予感はしていたんだよ」
米沢「確かに、いずれ自分達に牙を剥くであろう人物をいつまでも置いておくとは到底思えませんな。あの重役の方々が…」
今西「…」
米沢「しかし、信じられないのはそれだけではありません」
今西「…うむ」
米沢「…まさか貴方も、一枚かんでいたとは…」
今西「…弁解は出来んねぇ…」
米沢「…まあ、大方、付き合わされたのでしょうな」
今西「…」
米沢「そうでもなければ、ここまで杉下係長の味方を引き受けたりはせんでしょうからな」
今西「…私は、これを彼に渡さなければならないのかね?」
米沢「…期限は、書いておりませんな」
今西「ああ。せめてもの、というやつだろうさ。…とはいってもそう長くは待ってくれんだろうがね」
米沢「…」
今西「…最近の、彼の顔」
米沢「…」
今西「…どう、思うかね?」
米沢「あくまで私の主観ですが…」
今西「…」
米沢「…とても、楽しそうにしていると思っております」
今西「ああ。それも色んな事を含めて、だ」
米沢「…」
今西「…だからこそ、だ」
米沢「…ふむ」
今西「…こんな残酷な結末を、誰が渡してやれるかね?」
米沢「…」カサ
『杉下右京 346○○株式会社 北海道支店への出向を命ず』
『尚、プロジェクトの人員は他のプロジェクトへ回すこととす』
331 = 1 :
米沢「…私は」
今西「…何かね?」
米沢「…私は、なんだかんだで杉下係長とはもう十数年の付き合いになります」
今西「…私もだな」
米沢「…彼は、いつだって純粋でした」
今西「…ああ」
米沢「純粋に仕事に向かい、純粋に人と向き合っていました」
今西「…ああ」
米沢「だからこそ。あえて言わせていただきます」
今西「…」
米沢「彼は、必要な人材です」
今西「…」
米沢「これからの346プロダクションには、彼が必要だと私は思っております」
今西「…」
米沢「…と、下っ端の私が言うことではないですがな」
今西「…いや」
米沢「…」
今西「…当然の、台詞だよ」
米沢「…」
今西「…」
米沢「…これから、どうするのですか?」
今西「…どうする、かね…」
米沢「…」
今西「…」
米沢「…心中、お察しします…」
今西「…うむ」
332 = 1 :
「…んー…!疲れたー…」グググ…
「座りっぱなしのお仕事やありまへんか。特に動いたわけでもない…」
「むしろそういう方が苦手なの!動いてた方が良いよー…」
「全く底知れないスタミナなんですね。友紀さん」
「あれー?褒めてるのそれー…」
仕事から帰り、時計を確認する。
時刻はもう4時を回っており、夕方と言っても良い時間帯だ。
日の入りが遅くなってきてはいるけど、休みの日ならこの時間でも晩御飯を食べたりするのは珍しくない。
「しかしこの部屋は日光もほとんど入ってきませんね…」
幸子ちゃんがそうぼやく。
ここは元物置部屋と分かっていても、流石に窓が換気用程度の小窓一つでは納得がいかないのかもしれない。
「どのような場所でも仕事が出来るだけマシ。そう考えるべきです」
スーツのジャケットを掛け、紅茶の準備をしている右京さん。
暑くなってきたからか、コートは着なくなったらしい。
そして自身の机の中の茶葉を取り出そうとした時、上に置かれていたそれに気づいた。
「…」
「?…何それ?右京さん」
厚手の封筒。
そこには一枚のCDと書類が3枚。
「おや。ようやく届きましたか」
「…あっ」
それだけで、アタシ達はそれが何なのか、すぐに分かった。
「幸子君。君の曲が出来上がりましたよ」
そう言って、歌詞の書かれた紙とCDを幸子ちゃんに渡す。
「…」
目を見開き、呆然としている彼女は、それをどう受け取っていいのか、というよりはまだそれがどういうことなのかがよく分かっていない様子だ。
「…あ…え…」
「やったね幸子ちゃん!これで本格的に歌手デビューだよ!」
「あらまぁ…ほんまおめでたいことどすなぁ」
「…あ…」
幸子ちゃんが笑顔の右京さんからそれを受け取るのは、少し時間が経ってからだった。
333 = 1 :
「びっくりしましたよ…いくらなんでも渡し方が自然過ぎです!」
「おやおや。何かおかしかったですかねえ…」
「当たり前です!もっとおめでとうとかあるでしょ!」
案の定軽口を叩く。
多くを言わない右京さんの事だから、こういう渡し方以外想像出来ないのに。
…その軽口がただの照れ隠しだというのは、アタシでも分かるけどね。
「で、どういう感じなの?早く聴かせてよー!」
「…そうですね。まあ、このボクの曲ですから?勿論カワイイんですよね?」
「可愛いかどうかはともかく、まずは聴いてみてはいかがでしょう?」
「わ、分かってます!こういう時くらいムードってものを…」
右京さんも早く聴いてみたいらしく、コンポを我先にと部屋の真ん中にセットした。
「じゃあ、かけますから。皆さん、静かにですよ!」
「はよ再生してくれまへんか?」
「わ、分かってますから!」
まるで誕生日に欲しかった玩具を与えられた子供のようなテンション。
…アタシにも、分かるよ。
334 = 1 :
「…」
「じいじー…」
「…その呼び方、何とかなりませんか?」
「…おしっこ…」
「おや。トイレですか…」
「トイレは?」
「トイレは…この辺にはありませんね。仕方ない。そこの草むらで済ませましょう」
「…んー…」
「我慢が出来るなら、コンビニまで連れていきますよ。15分くらい」
「やだー!我慢出来ないー!」
「なら仕方ないですよね。さ、早めに済ませましょう」
「…」コク
「あ。一応これ軽犯罪ですからね。まあ、僕は警察官ではありませんから…多めに見ましょう」
「…うん」
「…あ、そうだ」
「…」
「…」
「…じいじ。どうしたの?」
「貴方、何処か行きたい所はありますか?遠い所とか」
「え?…でも、いつも忙しいって…」
「じいじはもう疲れました。今度は外側から彼らを見ることにします」
「…?」
「まあ、時間はいくらでも取れるということです」
「…なら、水族館!」
「水族館…」
「うん!じいじと一緒に!」
「そうですか。ではそろそろじいじは勘弁してほしいですね」
「じいじー!」
「ほらほら、早くしまって。車の中にウェットティッシュがありますから手を拭いて下さい」
「はーい!」
「…」
「…」
「…さて…」
「…今度こそ、僕を殺すのは、杉下かなあ」
335 = 1 :
幸子「…2ヶ月後…」
右京「ええ。それが君の歌手デビューの日ですねぇ」
友紀「じゃあ、頑張って覚えなきゃ!」
幸子「ええ!まあボクなら1週間後でも…」
右京「ではそのように」
幸子「冗談ですよ!察して下さいよ!」
紗枝「…まあ何にせよ、これで各々体制がしっかりしてきたわけどすなぁ…」
右京「そうですねぇ…。ではそれまでに、君達のユニット名とリーダーを決めておくことにしましょうか」
友紀「あー…」
幸子「ユニット名…」
紗枝「…せやけど、中々浮かびまへんなぁ」
友紀「皆の頭文字を取るのは?」
幸子「安直ですね…」
紗枝「安直どすなぁ…」
友紀「ぐ…でも他に何かある?」
幸子「…まあ、無いですけど…」
右京「君達の名前のイニシャルを取っていくと、Y・S・S…」
紗枝「何やアイドルユニットに見えまへんなぁ…」
幸子「…なら、これはどうでしょう?…ズバリ、共通点です!」
友紀「共通点…」
幸子「はい!」
友紀「…ある?」
幸子「…う…」
友紀「どう見てもアタシ達って、バラバラじゃない…?」
紗枝「…ほな逆転の発想でいきまひょ」
友紀「?」
右京「共通点ではなく、バラバラという事を生かす。ということですか」
紗枝「そうどす。まずウチは…京風…自分で言うのもあれやけど…」
友紀「それでいくと…アタシは…野球…なのかなぁ?」
右京「挙げるとするならば、それが一番、君らしいと言えますねぇ」
幸子「…ふむ…」
紗枝「幸子はんは?」
幸子「…そうですね…京都、野球…とすればボクの個性は一つです!」
友紀「え!?な、なになに?」
右京「…」
幸子「ズバリ…」
紗枝「…」
幸子「カワイイ!!!」
336 = 1 :
右京「・・・」
紗枝「・・・」
友紀「・・・」
幸子「・・・」
紗枝「もう満腹どすえ?」
幸子「何でですか!!個性は各々自由に決めていいんでしょ!?」
紗枝「言うてもそないカワイイカワイイて、可愛い事は個性やないし…」
右京「可愛さというのは人それぞれです。例えば子猫が可愛いという方がいらっしゃれば虫が可愛いという方もいらっしゃるんですよ」
友紀「可愛いにしても、どんな可愛さってのがあるよね」
紗枝「さあどんどん掘り下げていきますえ」
幸子「これが公開処刑ってものなんですね」
右京「いえ、自分の長所を堂々とアピール出来るということはとても良い事なんですよ」
幸子「そ、そうですかね?フフーン!ならボクはカワイイ!それ以上もそれ以下もありません!」
友紀「…まあそれは良いとしてさ、名前どうするかだよね?」
右京「まだ時間はあります。ゆっくり考えて下さい」
幸子「…あ!」
友紀「ん?…あ…もう5時かー…」
幸子「こ、こうしてはいられません!ボクは早目に帰りますよ!」カタン
紗枝「あらあら…そない急いで…寮の女将はんは少しくらい待ってくれますえ?」
幸子「ま゛っ…違います!ただみ、観たい番組があるんです!そ、それではお疲れ様でした!」
友紀「またねー」
右京「お疲れ様でした」
紗枝「…ま、ゆっくりと考えることにしまひょ。ウチも今日は寮でご馳走になりますさかい、失礼します…」カタン
友紀「うん!お疲れー!」
右京「お疲れ様でした」
337 = 1 :
友紀「…いやー…ついに来たね!アタシ達のユニット!」
右京「ええ」
友紀「…デビュー…出来るよね?」
右京「ええ」
友紀「…本当に?」
右京「ええ。本当に…」
友紀「…なら良いけど…そういえば右京さんって、今日は何処かで食べるの?」
右京「ええ。少し用事を済ませてから」
友紀「用事かー…」
右京「どうかされましたか?」
友紀「ん?…ほら、たまにはご馳走になろうかなーって…」
右京「君は、正直ですねぇ…」
友紀「えへへー…」
右京「そうですねぇ…順調に行けば、30分程で済みます。ここで待っていて下されば、戻ってきますので」
友紀「?手伝わなくていいの?」
右京「ええ。一人で十分ですから」
友紀「ふーん…じゃあここで待ってるね!」
右京「ええ。そうしてくれると助かります」
友紀「はーい!」
338 = 1 :
http://youtu.be/KvGPT3tG0o0
右京「…」
『部長室 責任者 今西』
右京「…」コンコン
右京「…」ガチャ
右京「…」
右京「…」
右京「…」ガラ
右京「…」ペラ
右京「…」
右京「…成る程。そういうことでしたか…」
右京「…?」カサ
右京「USBメモリ…」
右京「…」
339 = 1 :
後悔しているか?
そう聞かれたなら、アタシは少しの間頭を抱えて、こう答える。
「人生は後悔の連続だよ」
…と。
しているか、していないかは、察してくれればいい。
…というより、どっちでもいい。
してると言われれば、しているし。
してないと言われれば、してない。
ただ、アタシはこう思う。
「完璧なハッピーエンドなんて、現実には無い」ということ。
そんな物が実際にあったと言うなら、アタシはそれをテレビだ漫画だと声を荒げるかもしれない。
…でも、ある意味、ハッピーエンドなのかもしれない。
…どうなんだろ?
そんなもの、人によりけりなんだし、分かんないよね。
「…」
ただね、右京さん。
右京さんにとっては、ハッピーエンドかもしれないけどさ。
…アタシ達にとっては、ただのバッドエンドなんだよ。
340 :
第十話 終
多分次で最終回になります
341 :
ユッキの主人公さがここまで映えるとは
乙期待
342 :
乙ー
結果を出してるから常務の目に止まりそうな気がしなくもないんだけど時系列がなぁ
官房長は幸せそうでよかったわ
344 :
乙
わかってはいたけど、右京さんは346には向かないだろうからなぁ……ちひろにとっては邪魔だろうし
345 :
この官房長ってもしかして・・・
乙
346 :
うーん…
347 :
ちひろ「…」
ちひろ「…」
「千川さん。これで宜しいでしょうか」
ちひろ「え?は、はいっ!ちょ、ちょっとお待ちください!」
「…?」
ちひろ「確認しますので…えっと…はいっ!これで大丈夫です!」
「え、ええ…ありがとうございます…」
348 = 1 :
昨日 PM17:20
ちひろ『…ここ数ヶ月の納品書…?』
右京『ええ。無理ですかねぇ?』
ちひろ『無理…というより、どうしてですか?』
右京『どうしても、確認したい事があるんですよ。ええ、勿論秘密裏に』
ちひろ『…そういうことは…私に言われても困ります…』
右京『おや…これは僕としたことが…』
ちひろ『流石に多過ぎますし…きちんと目的を…』
右京『ええ。分かっております。大変ご迷惑をおかけしました』
ちひろ『…』
右京『米沢さんに頼むとしましょう』
ちひろ『えっ!?』
右京『それではまた』
ちひろ『あ…ちょっ………待って下さい!』
右京『はいぃ?』
ちひろ『だから……ああ、もう!』
右京『?』
ちひろ『わ、分かりました……で、でも……ホントに秘密ですよ…?』
右京『ありがとうございます』
349 = 1 :
ちひろ「(…どうして、あの人、あんなこと…)」
ちひろ「(…っていうかどうして私、あの人に協力してるんだろ…?)」
ちひろ「(あのままだったら米沢さんに聞いてたから?)」
ちひろ「(…違う、かなあ…)」
ちひろ「(…あの人って、上から嫌われて、ああなった…)」
ちひろ「(…あれ?じゃあどうして嫌われてたんだろ?)」
ちひろ「(…そういえばあの人って、能力が異常に高くて、めんどくさいだけで…別段何か悪い事してるわけじゃ…)」
ちひろ「(…だから、なのかな…?)」
ちひろ「(…ちょっと、調べて見ようかな…)」
350 = 1 :
右京「…」カタカタ
右京「…」カタカタ
友紀「おはよー!右京さん!」
右京「おはようございます」
友紀「…仕事?」カタン
右京「ええ。そのようなものです」
友紀「そのようなものって…テキトーだなあ…どんなの?」
右京「それよりも君、今日は8時からダンスレッスンが入っていますよ」
友紀「…あ!」
右京「早めに行くことをお勧めします。柔軟なり、やることはありますから」
友紀「そうだねー…じゃ、行ってくるねー!」
右京「ええ」
友紀「…あ、右京さん!」
右京「どうされましたか?」
友紀「あの事、幸子ちゃんに伝えた?」
右京「伝えていませんよ。君が秘密にしろと仰っていたので。…君の後にレッスンが入っていますから、もうすぐ来られるでしょう」
友紀「ん…そっか!じゃー…また後でね!」
右京「…ええ」
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