元スレ京太郎「俺が三年生?」マホ「お兄さんと一緒です!」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★
201 = 174 :
かおりんに普通、普通と連呼すると、中の人の別キャラが思い浮かぶ…
202 = 1 :
京太郎「うん、穏やかだな」
透華「まぁ、狭いことを除けば不満はありませんわ」
京太郎「お、いい眺め。見てみろよ」
佳織「わぁ」
衣「眺望絶佳! 素晴らしいな」
智美「……執事さん、運転上手いなー」
佳織「――っ、智美ちゃん?」
智美「大丈夫大丈夫、ユミちんから豆腐を崩さない運転を心がけるよう言われてる」
佳織「それならいいんだけど……」
京太郎「豆腐ね……って、ちょっと待て」
智美「なんだー?」
京太郎「ハギヨシさんの車と距離、近くないか? 後ろピッタリじゃないか」
智美「問題ない問題ない」
京太郎「おい、なんで右ウィンカー出した。こっちって右車線だよな?」
智美「ただの挨拶挨拶」
京太郎「おい、ハギヨシさんが加速したぞ。お前まさか――」
203 = 1 :
智美「わはは、いっくぞー」ギュルルル
京太郎「――のわっ」
透華「――ぬわっ」
佳織「――きゃっ」
衣「――わっ」
京太郎「豆腐を崩さない運転はどこいった!?」
智美「モーマンタイモーマンタイ」
佳織「智美ちゃん、やっぱり!」
透華「あいたたた……な、何が起こっていますの?」
衣「わーい! 快速快速!」キャッキャッ
京太郎(加治木が言ってたのって、まさかこれか!?)
京太郎(くそ、ちゃんと話を聞いておくんだった!)
智美「うーん、重い分不利かー……なら加速するしかないな」
204 = 1 :
京太郎「おまっ、スピード上げてカーブに突っ込む気か!?」
智美「ガードレールがあるから平気平気」ガリガリガリガリ
京太郎「後ろ思いっきり擦ってんですが!?」
透華「も、もうダメですわ……」シオシオ
京太郎「龍門渕ぃ! アンテナがしおれてるぞ!?」
透華「あ、アンテナってなんですの……?」
佳織「ご、ごめんなさい……私が止められなかったから」
京太郎「なんでそんな悲壮感漂ってんの!? 絶望にはまだ早いだろ!」
智美「わはは、並んだぞー」
ハギヨシ『……』ニヤッ
京太郎「いや、なに好戦的な笑顔浮かべちゃってんですかハギヨシさんっ!」
透華「」チーン
佳織「も、もうダメぇ……」グッタリ
衣「いけいけー!」
智美「加速するぞー」
205 = 1 :
京太郎(そのすぐ後、過負荷でエンスト、車は嫌な煙を上げて停止した)
京太郎(なにもない道の途中だったが、ハギヨシさんの手配でどうにか俺らは無事に帰ることができた)
京太郎(そうして何人かの心に傷を残しつつ、ドライブという名の決死行は終わりを告げた)
京太郎(今回得た教訓は、蒲原の車に乗るべからず)
京太郎(あと、ハギヨシさんを煽ってはいけない、ということだ)
京太郎「加治木、ごめん」
ゆみ「いや、止められなかった私にも責任はある。なんにしても無事でよかった」
京太郎「お前って本当いいやつだな!」ダキッ
ゆみ「こらっ、抱きつくんじゃない!」
206 = 1 :
選択済みエピソード
・一年
入学式、久との再会
春、美穂子登場
春、二人のあいだにある壁
美穂子再び
初夏、久との対立
初夏、美穂子への依頼
初夏、美穂子との特訓
初夏、決戦前夜
決戦
初夏、リスタート
夏、新たな出会い
夏、欠けた月
夏、初めての執事(アルバイト)
夏、衣の麻雀講座
今宵、月が満ちるとも
夏休み、遠征初日
夏休み、松実姉妹
夏休み、遠征二日目――鹿児島
夏休み、眠り姫
夏休み、遠征三日目――大阪
夏休み、目覚めぬ未来
夏休み、遠征四日目――岩手
夏休み、八尺(実際には六尺五寸)
夏休み、遠征最終日――東京
夏休み、グランドマスター
夏の始まり
エピローグ
その後の美穂子
秋、バイト執事再び
秋、衣の誕生日(略してころたん)
秋、膝枕の日
秋、祭りの後で
秋、恋敵?
冬、雪の降り始め
冬、年の初めに
冬、画面の向こう側
冬、節分の前の日
冬、アラフォー(予備軍)
三月八日、一年後の誕生日
三月十五日、好みのタイプは?
三月十六日、初めてのお出かけ
三月、おもちと温泉と
三月、温泉のあとのマッサージ(意味深)
207 = 1 :
・二年
部活動紹介、まこ入部
春、学食にて
美穂子との再会
初夏、ストーカー?
初夏、池田の逆襲
初夏、タイムリミット
初夏、県予選開始
初夏、団体戦決着
初夏、縺れた糸
初夏、まこの苦労日記
初夏、ライバル
夏、全国へ
夏、ワールウィンド
夏、奈良の王者
夏、修羅の国のクールビューティー
夏、大阪の魔物
夏、大阪の姉妹
夏、神代の姫
夏、一番目と二番目
夏、スリーピングビューティ
秋、次の目標
秋、まこの苦労日記その2
秋、二人と一人
冬、旅行に行こう
冬休み、小悪魔
冬休み、ゆきみだいふく
冬休み、神社の娘と王者の進路相談
冬休み、はとこ
エピローグ
五月十日、膝枕とおんぶ
八月二日、パンツの日
秋、ロッカーの中
秋、月見の夜に
九月二十一日、プレゼントの意味
九月二十四日、お揃い
秋、キャットチャンバー
秋、初めての学校祭
秋、牌のお兄さん
秋、こどな
秋、苗字と名前
冬、記憶と縁
冬、王者の休日
冬、蓼食う虫もなんとやら
冬、鎖でつなぐもの
三月、主役のいない旅行
三月、ゆきが消える前に
208 = 1 :
・三年
優希との出会い
春、和の初恋?
春、インハイチャンプ
初夏、最後の一人
初夏、不和
和の悩み
咲との微妙な関係
優希の好物
初夏、合宿
初夏、家庭訪問@原村家
初夏、最後の県予選
初夏、鏡
初夏、見えない彼女の見つけ方
初夏、決意
初夏、県予選決勝戦
初夏、東風とビギナーズラック
初夏、個人戦9位と卓上の天使
初夏、花天月地――嶺上の花と海底の月
初夏、男子個人戦
初夏、南風
初夏、代償
初夏、いつも傍にあるもの
初夏、好きこそものの上手なれ
初夏、お兄ちゃんと一緒
初夏、将来の夢
夏、楽しい合同合宿(地獄編)
夏、楽しい合同合宿(天獄編)
夏、プライスレスなもの
夏、ストーカーズ
夏、ドライブ(と書いて決死行と読む)
そのころの阿知賀編
そのころの阿知賀編その2
・EX
小学五年、幼馴染
小学五年、嫉妬
小学五年、十月二十七日、憧憬
中学二年、初夏、ゆみとの出会い
中学二年、夏、試合観戦
中学二年、三月、照との別れ
中学三年、初夏、空白
209 = 1 :
てなわけで終了
そんじゃ次回は
『三年、夏、一足先の出立・一番星』
です
それじゃおやすみなさい
216 = 171 :
今回と次回のタイトルで菅原文太思い出したのは俺だけで良い
217 :
なんかナチュラルにゆみちんに抱き付く京太郎
まあお互いに友達扱いだからいいのだろうが
218 :
よかった…不幸になるワハころはいなかったんだね…
219 :
ワハ衣という手垢のついた題材を上手く料理したな
乙です
220 :
こんばんはー
もうちょっとしたらやります
221 :
うっす
222 :
そんじゃ、ぼちぼち始めますー
223 = 1 :
・三年、夏、一足先の出立・一番星
京太郎「あっちー、ただいまー」
「あ、おかえりなさーい。あんた宛になにか届いてるわよ?」
京太郎「なにかってなんだよ」
「テーブルの上に置いてあるから自分で確認してね」
京太郎「はいはーい」
「ラブレターだったりして」
京太郎「郵便で送ってくるとかどんだけ奥手だよ」
京太郎「えっと、これかな?」
『京太郎くんへ♡』
京太郎「ハートマーク? 埼玉からだけど、知り合いなんていたっけ?」ベリベリ
京太郎「これは……!」
224 = 1 :
久「もう七月も終わりねー」
京太郎「そうだなー」
久「もうすぐ向こうに行かなきゃねー」
京太郎「そうだなー」
久「旅館の予約はバッチリなんでしょー?」
京太郎「そうだなー」
久「ちゃんと聞いてるー?」
京太郎「そうだなー」
久「空返事ってかんじねー」
京太郎「そうだなー」
225 = 1 :
久「しょうがないわねー……よいしょ」ダキッ
京太郎「……久ちゃん、暑い」
久「エアコン壊れてるんだから我慢」
京太郎「だからってくっつくことないだろ」
久「お望みならもっと熱くしてあげるわよ? ベッドの上で」
京太郎「……ゴムがないからパスで」
久「あら、あったらいいの? じゃあ今度から用意しとこうかな」
まこ「こら、部室でなにしとるんじゃ」
久「まだなにも。未遂よ」
まこ「やろうとしていたことは否定しないのかい……」
京太郎「まこっちゃん来たし、帰ろうぜ。早く涼みたい」
久「そうね」
226 = 1 :
京太郎「すーずーしーいー」
まこ「営業妨害じゃ、やめんか」
京太郎「大丈夫、顔見知りしかいないし」
まこ「はぁ……いつからこの店は麻雀部のたまり場になったんだかのぅ」
久「そんなの去年からじゃない」
「いやー、感慨深い。もう一年以上になるのか」
「今年もおじさんたち、応援しちゃうぞー」
227 = 1 :
久「はーい、ありがとねー」フリフリ
まこ「にしても、一年坊たちは買い物じゃったか?」
京太郎「東京に行くからって張り切ってたな」
まこ「一方わしらはなぜか学生議会の手伝いと」
久「終わったことは気にしない方向で」
京太郎「まぁ、一太に恩が売れたしいいけどよ」
まこ「哀れ副会長……」
京太郎「思えば向こうの部屋に荷物持ってちゃえば良かったな」
久「そうねぇ、でもまさかエアコンが壊れるなんて思わないじゃない」
まこ「午前で部活を打ち切って正解じゃったか」
京太郎「まこっちゃんがトイレに行かなければなー」
久「そうよー、私たちを蒸し焼きにしようって魂胆だったわけ?」
まこ「知らんわ」
228 = 1 :
久「もう充分涼んだし、そろそろ帰る?」
京太郎「だな」
まこ「帰れ帰れ」
京太郎「あ、そうだ」
久「忘れ物?」
京太郎「いや、東京行く日だけど……俺だけ一日早めていいか?」
久「は? なんで?」
京太郎「それはなんというか……」
まこ「一日早いとなると……瑞原プロのライブがあるらしいのぅ」
京太郎「……」ギクッ
久「……あんた」
京太郎「しょうがないだろ! たまたまチケット手に入っちゃったんだよ!」
久「今からでも転売できるかしら?」
京太郎「それを売るなんてとんでもない!」
229 = 1 :
久「……それで、ダメって言ったらどうするわけ?」
京太郎「申し訳ないと思いながら一足先に東京に行く」
久「じゃあ実質無意味じゃない……」ハァ
京太郎「久ちゃん、後生だから!」
久「ふぅ……まこ、どう思う?」
まこ「いかしてやればええじゃろ」
京太郎「信じてたぜまこっちゃん!」
まこ「ええい、やかましい!」
久「ま、それもそうね。いいわよ、別に」
京太郎「マジか?」
久「まぁ、いつも頑張ってもらってるご褒美みたいなものね」
京太郎「ひゃっほう!」
まこ「しかし、一年坊たちにはどう説明するんじゃ?」
久「適当に濁しておきましょ。モチベーション下げられても困るし」
まこ「しかし、瑞原プロのことになるとあれじゃのぉ」
久「病気よ病気。昔っから治る見込みなし」
230 = 1 :
京太郎「着いたぜ東京!」
京太郎「さーて、開場は夕方だし、どこで暇つぶすかな」
京太郎「まぁ、そこらへんうろつくか」
京太郎「そうだ、たまにはゲーセンでも行ってみるか?」
京太郎「格ゲーの腕、錆落とししとくか」
231 = 1 :
『YOU WIN!』
京太郎「もう10連勝か……ここまで来ると相手が心配になってくるな」
『あーもう! どーして勝てないのよー!』バンバン!
京太郎「あーあ、やっぱヒートアップしてる」
京太郎「……そろそろ退散するか?」
『もういい! 顔見て文句言ってやるんだから!』
京太郎「やばいやばい、早いとこ逃げないと――」ソソクサ
「そこのあんた! 待ちなさいよ!」ガシッ
232 = 1 :
京太郎「なんだなんだ、人違いじゃないのか?」
「え、そうなの?」
京太郎「そうそう。なんか知らないけど、さっきまで格ゲーやってたやつはあっち行ったけど」
「……本当に?」
京太郎「本当本当、ポチョムキンに誓ったっていい」
「むー、嘘だ!」
京太郎「なんでやねん」
「だってそこは普通ジャスティスに誓ってでしょ?」
京太郎「お前なぁ、そんな性能にばっか頼ってるから10連敗も……あ」
「やっぱり!」
京太郎「あー……」
「かーえーせー! 私のお金と時間をかーえーせー!」
京太郎「わかったわかった! ……とりあえずガリガリ君でどうだ?」
「じゃあガリガリ君リッチがいい」
京太郎「よりにもよって高いやつを……」
233 = 1 :
「ごちそーさまっ」
京太郎「これで気は済んだか?」
「んーん、こんなんじゃまだまだ心の傷は癒えないんだからねっ」
京太郎「はいはい、でも俺、用事あるから」
「えー? なによ、その用事って」
京太郎「まー、端的に言えば……暇つぶし?」
「やっぱり暇なんじゃん!」
京太郎「いや、でもお前の相手をしてる暇はない」
「なによ偉そうに……上から目線はやめてよね!」
京太郎「そりゃあ、背も歳も俺の方が上っぽいしな」
「むー、あんた何歳なのよ」
京太郎「高校三年の17歳」
「じゃあ私のほうが偉いじゃん! だって実力的には高校百年生だもん!」
京太郎「……で、実年齢は?」
「ピチピチの15歳」
京太郎「あー、はいはい」
234 :
あわあわキター
235 = 1 :
京太郎(こいつはつまりあれか、アホの娘チーム所属か)
京太郎「大体わかったよ、お前のことは」
「ふふんっ、やっぱりわかっちゃう? きっと滲み出ちゃってるんだよね、色々」
京太郎「変な汁とか?」
「気持ち悪いこと言わないでよっ」
「白糸台高校のチーム虎姫、期待の新星とは私、大星淡ちゃんのことなのだ!」
京太郎「……虎姫?」
淡「そーそー、強いんだよ?」
236 = 1 :
京太郎(ってことは……白糸台のレギュラーってことじゃん)
京太郎(このアホそうなのが照ちゃんや弘瀬のチームメイトなのか)
淡「私に見とれちゃった? やっぱ可愛さって罪?」
京太郎「アホか」ピシッ
淡「いたっ、なにすんのよー!」
京太郎「お前がすごいのはわかったから、俺はもう行くぞ」
淡「ちょっ、なけなしのお金を失った可憐な女の子を置いていくつもり!?」
京太郎「あー、そういう攻められ方するとなぁ」
淡「あんたなんか面白そうだし、デートしてあげてもいいよ?」
京太郎「とりあえず上から目線やめようなー」グニグニ
淡「いひゃいいひゃいっ」
237 = 1 :
淡「ふっふっふ、クレーンゲームの実力を見せてあげるんだから」チャリン
京太郎「ガンバレー」
淡「こうして、こうして……いけっ」ポロッ
京太郎「こぼしたな」
淡「も、もう一回!」チャリン
淡「……そこっ」ポロッ
淡「う~……」チャリン
京太郎「ちょっとかわれ」
淡「あっ」
京太郎「横はこんぐらいで、縦は……いけるか?」ガタン
京太郎「どーよ?」
淡「ふんっ、私がずらしてあげたおかげじゃん」
京太郎「そうだな、えらいえらい」ワシャワシャ
淡「か、髪崩れちゃう!」
京太郎「悪い悪い。これやるよ、俺はいらないし」
淡「……仕方ないからもらってあげる」
238 = 1 :
淡「いっただきまーす」
京太郎「食え食え、俺の奢りだ」
淡「ん、おいしー! 他人の奢りだと思うと余計に!」
京太郎「まったく……ほら、付いてるぞ」ヒョイ
淡「あ……」
京太郎「悪い、いつもの癖で」
淡「べ、別に気にしてないしっ」
京太郎(そんな風には見えないけど、突っ込むのは野暮か)
239 = 1 :
京太郎「……なぁ」ギュウギュウ
淡「……なに?」ギュウギュウ
京太郎「たったひと駅だったら、電車使わなくてもよかったんじゃないか?」
淡「歩くの疲れたんだもん」
京太郎「ピーク時ほどではないんだろうけど、中々に混んでるな――」
――ガタンッ
京太郎「っと、大丈夫か?」
淡「あ、あわっ」
淡(か、壁ドン……)
240 = 1 :
淡「だ、大丈夫」ウツムキ
京太郎「そうか? お前なんか顔赤いし、ここ、ちょっと暑いから」
淡「平気だってば」
京太郎「いや、いいから顔見せろ」クイッ
淡「あわわっ!?」
淡(今度は顎クイ!?)
淡(近い近い、近いってば!)
淡「~~っ」ガブッ
京太郎「いって!」
241 = 1 :
淡「う~、納得いかない!」
京太郎「一応手加減したんだけどな」
淡「手加減してスコア130? 嘘でしょ!」
京太郎「だってお前、こっちは利き手封印してるんだぞ?」
淡「もうボールから指が抜けなくなってドラえもんみたいになっちゃえ!」
京太郎「いっつもボウリングのボールぶら下げてたら、すごく力つきそうだな」
淡「でしょ? まさにいっせきにちょーってやつだね」
京太郎「いや、どう考えてもデメリットの方が多いからな」
淡「とにかく! 罰ゲームとしておんぶをすること! もうへとへと!」
京太郎「どうして勝った俺が罰ゲームよ」
淡「とーにーかーく!」
京太郎「わかったから耳元で騒ぐな!」
242 = 1 :
淡「――♪」ムニュムニュ
京太郎「……」
淡「どったの? もしかして淡ちゃんの魅力に気がついちゃった?」
京太郎「いや、この格好目立つなって」
淡「私は恥ずかしくないから別にいーもん」
京太郎「羨ましいメンタルだ」
京太郎(あと、こいつ意外に胸でかい)
淡「んっふー」
京太郎「くすぐったいからやめろ」
淡「だってなんかいい匂いするんだもん」
京太郎「それはきっと汗のスメルだな」
淡「気持ち悪いこと言わないでっ」
京太郎「こんな気温でくっついてりゃどろどろになるわな」
淡「ふーんだ、どろどろになっちゃえばいいじゃん」
京太郎「条件はお前も全く変わらないからな」
243 = 1 :
京太郎「さて、スタート地点に戻ってきたわけだけど」
淡「うーん、まだ遊び足りないような……あ」
京太郎「ん?」
淡「ちょ、ちょっと隠れるから適当にごまかしといて!」タタッ
京太郎「は?」
「まったく、あいつはどこに行ったんだ……!」
京太郎「あれは……弘瀬?」
京太郎「誰か探してるのか?」
京太郎「……なるほど、大体わかった」
菫「――ん?」
京太郎「よう、お久しぶり」
菫「……須賀くん、か?」
京太郎「うん」
244 = 1 :
菫「そうか、今年は団体戦で、か」
京太郎「自分で言うのもなんだけど、うちのチームははっきり言って強いぞ」
菫「清澄か……そうだ、たしか照の妹がいるところだったな」
京太郎「そいつが大将なんだ」
菫「そっちも大将が一年か……まぁ、うちほど聞き分けがないわけじゃないんだろうが」
京太郎(もしかしなくても大星のことだろうな)
京太郎(……今なら聞ける、か?)
京太郎「なぁ、照ちゃ――そっちの宮永は元気か?」
菫「なんだ、知り合いだったのか?」
京太郎「中学が同じだったんだ」
菫「本当に奇妙なところでつながりがあるな……あいつはいつも通りポッキーばかり食べてるよ」
京太郎「……そうか」
菫「……ところで」
245 = 1 :
菫「あのことは誰にも言ってないだろうな?」
京太郎「……え?」
菫「しらばっくれるつもりか?」
京太郎「待て、ちょっと待て」
京太郎(あのことってどのことよ)
京太郎(てか、こいつとなんかあったっけ?)
京太郎(特にはなにもなかったような……あ)
京太郎「さぁ? 俺はネト麻とかやってないしな、SSSさん」
菫「くっ、私を脅すつもりか……!」
京太郎「だから、俺とお前の間には何もなかった……これでいいんだろ?」
菫「え、あ……そうしてくれると助かる」
京太郎「それより、誰か探してるんじゃなかったのか?」
菫「そうだった……じゃあ、もし金髪の生意気そうな女子を見かけたら知らせてくれ」
京太郎「了解」
246 = 1 :
京太郎「とは言ったけど、俺あいつの連絡先知らないんだよな」
京太郎「まあ、最悪久ちゃんに聞けばわかるけど」
淡「ねぇねぇ、スミレとは知り合いだったの?」ヒョコ
京太郎「お前、まだうろついてたのか」
淡「答えてよー」
京太郎「まぁ、二年ぐらい前に知り合ったんだ」
淡「ふーん、テルとも知り合いなの?」
京太郎「よくわかったな」
淡「そんな気がしただけ」
京太郎「まぁ、古馴染みだよ……とりあえずお前、もう戻ったほうがいいんじゃないか? なんか探されてるみたいだし」
淡「えー? 今戻ったら絶対大目玉だし」
京太郎「お前はなにをしでかしたんだ」
淡「別に大したことじゃないもん」
淡「でも、そこまで言うんだったら戻ろうかな?」
247 = 1 :
京太郎「案外聞き分けいいな」
淡「ね、名前なんていったっけ?」
京太郎「須賀京太郎」
淡「京太郎きょうたろう、キョータロー……うん」
淡「キョータローはさ」
京太郎「ん?」
淡「私のものになる気ってある?」
京太郎「は?」
淡「だーかーら、私のもの」
京太郎「いやいやいや、どこをどう跳躍飛躍してそんな言葉が飛び出したんだ!?」
淡「だって、キョータローといるとゾクゾクしてドキドキしてあったかくて……なんかもう色々なんだもん」
京太郎「だからって私のもの、はないだろ……」
淡「別に今すぐじゃなくてもいいけど、これだけは言っとくね」
淡「私をその気にさせたんだから、責任とってよ。絶対逃がさないから」
248 = 1 :
京太郎「……急に言葉が重いな」
淡「だから、これは予約ね……んっ――」
京太郎「――んっ」
淡「淡ちゃんの初めての味はどーだ!」
京太郎「どうもこうも……お前は馬鹿か!」
淡「日本のことわざにあるよ? バカって言ったほうがバカだって」
京太郎「そんなことわざはない!」
淡「あるもんっ」
249 = 1 :
淡「これからどうするの?」
京太郎「まだ時間余ってるしな……ま、適当だな」
淡「じゃあ私たちのところ来ない? 一緒に謝ろうよ」
京太郎「いや、俺が謝る理由がどこにもない」
京太郎(もし謝らなければいけないのならそれは――)
淡「いいからいいから、早くっ」グイッ
京太郎「おわっ」
250 = 1 :
『それで、淡は?』
『さっきメールが来たよ。もうすぐ戻るって』
淡「テルとスミレだね」
京太郎「……」
淡「ほら、行こうよ」
京太郎「……いや」
京太郎(照ちゃんの声が聞きたい、顔が見たい)
京太郎(でも、それ以上に怖いんだ)
京太郎(自分が何を言うのか、何を言われるのか)
京太郎(照ちゃん、どうして――)
京太郎「やっぱやめとく」
淡「えー? 知り合いが三人もいるんだから大丈夫だよ」
京太郎「そういう問題じゃないんだよ……じゃあな」
淡「あっ」
淡「……行っちゃった」
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