元スレ八幡「川崎家に居候することになった」沙希「遠慮しないでいいから」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
351 = 349 :
一体何日前のイッチにレスしてるんだ俺…
ROMに戻ります
352 :
嫌味を吐きまくるあねのん
353 :
信じて放り出した其れ也に大切だった八幡が、まさか(
354 :
俺もドドリアだけど、1愛してる。
身体に気をつけてね。
355 :
沙希「んじゃ、そろそろ予備校行こっか」
八幡「おう」
八幡(川崎の呼び掛けを機に俺は立ち上がった。二人で玄関に向かい、靴を履く)
沙希「あ、そうだ忘れてた。比企谷、ちょっと両腕広げてみて」
八幡「あん? こうか?」
沙希「うん…………よし、変なとこないね。急ピッチで仕上げた割には良い出来かな」
八幡「ああ、服か。サイズも問題なしだ。どうだ、格好いいか?」
沙希「うん、惚れ直したよ」
八幡「あう…………」
沙希「ふふっ、何で自分から言いだして照れてるのさ」
八幡「うっせ……行こうぜ。荷物持ってやるよ」
沙希「ありがと。ね、腕組んでもいい?」
八幡「…………人通り多くなったら離せよ」
沙希「うん、わかった」
八幡(川崎は嬉しそうに俺の腕に自分のを絡めた。何というか、本当に変わったなこいつ…………いや、全然嫌じゃないんだけどね。むしろ可愛いと思ってしまうまである)
八幡「悪いな。俺のせいで歩きになっちまって。自転車じゃないとちょっと遠いだろ」
沙希「ううん、これくらい構わないってば。教材持ってもらってるんだし」
八幡「そっか」
356 = 355 :
八幡(適当に雑談しながら歩き、予備校に到着する。ここでようやく川崎は腕を解いた。何となく止めさせるのが躊躇われてここまで組んだまま来てしまったのだ)
沙希「歩きだから早めに来たけど思ったより時間かからなかったね」
八幡「そうだな。ま、教室行って準備してようぜ」
沙希「うん」
八幡(俺達は連れ立って屋内に入って教室に向かう。その際に受付の前を通り、何人かの講師とすれ違ったりしたが、まったく俺の事を気に掛ける者はいなかった)
八幡「なあ、俺ってここに通ってたよな…………?」
沙希「いや、ここって結構放任タイプだからでしょ。やる気ないやつはほっとくしやる気あるやつはしっかり教えるってのが売りなんだから。正直生徒が来ようが来まいが関係ないんじゃない?」
八幡「そ、そうだよな。いないものになってないよな俺。存在が認識されなくなったわけじゃないよな?」
沙希「疑うなら声でもかけてみればいいじゃない…………」
八幡「ばっかお前、最低限必要なこと以上の話をしなきゃいけないなんて罰ゲームだろうが。今俺は人間不信なんだぞ」
沙希「それは元からって言ってたじゃない…………ま、あの様子だと比企谷の家に連絡がいくとかもないでしょ。行こ」
八幡「おう」
357 = 355 :
八幡(俺達は教室に入り、並んで座る。教材を出して講義の準備を済ませ、待機状態に入った)
八幡「悪いな、ノートや筆記用具まで用意してもらって」
沙希「あのさ、いちいちお礼言わなくていいって」
八幡「いや、でもこういうのは」
沙希「あんたが戻るときにまとめて言ってくれればいいからさ。そこまで気にしないでよ」
八幡「……まあ、善処はする」
八幡(やがて他の予備校生達も集まってき、間もなく講師がやってきて講義が始まった。俺は川崎と一緒に参考書を見ながらノートを取っていく)
八幡(そんな感じで午前の分が終わり、昼休みになる)
八幡「そういや昼飯どうするんだ? 俺は食わなくても我慢できるけど」
沙希「しなくてもいい我慢をしないでよ…………ちゃんと作ってきたってば」
八幡「え、俺の分も?」
沙希「当然でしょ。ご飯ここで食べていいって言ってたし、はい」
八幡「お、おう。サンキュ」
八幡(俺は川崎から差し出された弁当箱を受け取る。開けると栄養バランスも考えられてそうな色とりどりのおかずとおにぎりが入っていた)
八幡「相変わらず旨そうだな…………いただきます」
沙希「うん、召し上がれ」
358 = 355 :
八幡「しかしいつの間に用意してたんだ? 冷凍食品とかじゃないだろこれ」モグモグ
沙希「朝ご飯作るときに下拵えは済ませたからね。洗濯物干した後にぱぱっと」モグモグ
八幡「冷めてもちゃんと旨いってのはすごい。おにぎりもわざわざ箸で掴めるサイズに握ってるしおかずも多いし」モグモグ
沙希「トマトは入ってないから安心して食べてね」モグモグ
八幡「ああ。でも川崎が用意してくれるんならトマトも平気で食えそうな気がする」モグモグ
沙希「今日夕食に出そっか?」モグモグ
八幡「できればやめてくれ…………御馳走様でした」
沙希「お粗末様でした。あたしも御馳走様。弁当箱回収するよ」
八幡「おう、サンキュ」
沙希「ん。ところであんた午後はどうするの? 一回家に帰る?」
八幡「いや、ちょっと街をぶらつこうかなと」
沙希「…………大丈夫?」
八幡「はは、何がだよ?」
沙希「ううん。でも何かあったら家に帰っててもいいからね」
八幡「わかった。でも、ま、そうそう何も起きねえよ。お前の講義が終わるくらいに戻るから」
沙希「うん」
八幡(この時俺は楽観的に考えていた。しかし比企谷八幡という人物は相当運に見放されているらしい)
??「あっれー、比企谷君じゃん!?」
359 = 355 :
今日はここまで
最後に出てきた謎の人物はいったい誰ノ下さんなのか!? 次回を待て!
ちなみにこのスレは>>1でも言ったように性的描写はありません
書きたいけどね。めっちゃ書きたいけどね。すんげえ書きたいけどね。書きません。次回作はむしろエロだけにしようかな…………
またノシ
361 :
次回作予告頂きました!
さすがいっちやで!
362 :
おつおつーエロ云々は>>1の好きなようにしてくれたらいいからね
次回予告か・・・胸が熱くなるな!
363 :
空気よめないことに定評のあるオリモノさなんかな
364 :
予想外のアラサーかも
365 :
乙。1、俺も好きだよ。いつも楽しみにしてる。
ちなみに俺はリクームに良く似てる。1ならいつでも抱くから。
366 :
八幡(本屋の店頭で広告を見ていた俺の背中に声が掛かった)
八幡(おそるおそる振り向くと案の定そこには陽乃さんがにこにこ笑いながらこちらにやってくる)
八幡「…………どうも」
陽乃「ひゃっはろー、奇遇だねー。一人?」
八幡「俺はいつだって一人ですよ。家でも学校でも」
陽乃「あっはっは、相変わらず面白いね比企谷君は。どう、暇ならお姉さんとお茶でもしない? 奢るからさ」
八幡「良いですよ」
陽乃「そう言わずにちょっとだけでも…………え?」
八幡「でもちゃんと奢ってくださいね。俺今一文無しなんで」
陽乃「嘘……あの比企谷君が私の誘いを受けるなんて」
八幡「断られる自覚あったんですか…………いや、社交辞令だったら別にいいんですよ無理しなくても」
陽乃「待った待った、ならちょっと先の喫茶店行こう。お昼食べてないから小腹も空いたし。ちゃんと奢るから、ね」
八幡「わかりました。お付き合いします」
八幡(俺と陽乃さんは喫茶店へと歩き出す。と言っても本当にすぐそこだったのだが)
367 = 366 :
陽乃「私はこのBセットを。比企谷君は?」
八幡「俺は腹減ってないのでホットコーヒーだけで」
陽乃「遠慮しないでいいのに。ま、とりあえずそれで」
八幡(注文を受けたウエイトレスが確認し、カウンターへと戻っていく。陽乃さんは無遠慮にじろじろと俺を見てきた)
八幡「…………なんですか?」
陽乃「比企谷君、今日デート?」
八幡「何でですか。俺にそんな相手いませんよ」
陽乃「えー、雪乃ちゃんがいるじゃない。なんかやたらおめかししてるからさ」
八幡「そうですか? 俺にはよくわかりませんが。あとあいつが俺とデートするわけないでしょう」
陽乃「そんなことないよー、あの子比企谷君のこと大好きだもの。ちょっと電話して誘えばイチコロだって」
八幡「勝算のない戦いはしないことにしてますので」
陽乃「だからいけるってば。そんな消極的な男の子は好きくないなー」
八幡「別に貴女には嫌われたって構いませんけどね」
陽乃「へえ…………つまり嫌われたくない子はいるわけだ」
八幡「っ…………!」
八幡(その言葉尻を捉えた台詞に思わず動揺してしまった)
八幡(嫌われたくない子がいる、と指摘されたことにじゃない。そう言われて無意識に頭に思い浮かべたのが他の誰でもない、川崎沙希だったからだ)
368 = 366 :
陽乃「あ、やっぱりいるんだ。誰? 雪乃ちゃん? ガハマちゃん?」
八幡「…………小町に決まってるじゃないですか」
陽乃「えー、そんなのつまんないー」
八幡(唇を尖らせてむくれる陽乃さん。この態度から察するに雪ノ下経由で俺が家出したことは伝わっていないようだ)
八幡(取るに足らないことだからなのか、大事にしたくないからなのかはわからないが。まあどうせ前者なのだろう)
八幡(やがて注文の品が届き、陽乃さんはサンドイッチに手を伸ばした。俺は自分の前に置かれたコーヒーに砂糖を入れる)
陽乃「でもさー、もうちょっと雪乃ちゃんに構ってあげてよ。雪乃ちゃんが寂しがるじゃない」
八幡「そんなことないでしょう。あいつには由比ヶ浜もいますし」
陽乃「あの子はあの子で雪乃ちゃんの友達やってくれてるからありがたいんだけどねー」
八幡(そんな雪ノ下を中心とした会話をしばらく陽乃さんと行い、俺は自己分析をする。元々陽乃さんの誘いに乗った理由はこのためだ)
八幡(陽乃さんと会話をするのはそんなに怖くない。やはりある程度親しい関係にある人と話すのが俺は怖いのだろう)
八幡(いや、正確に言えば傷つけられたり裏切られたりするのが、か…………もうちょっとタフだと思ってたんだけどな、俺の精神)
369 = 366 :
八幡(その点陽乃さんとはそういった関係ではないからな。むしろ裏切られることしかないまである)
陽乃「そういえばそろそろ比企谷君に確認しておきたいんだけどさ」
八幡「なんですか改まって?」
陽乃「比企谷君てさ、結局雪乃ちゃんのことをどう思ってるの?」
八幡「…………それに答える義務も義理もありませんよね」
陽乃「そうだね。だからこれは雪乃ちゃんの姉の好奇心として聞いてるだけ。言いたくなければ言わなくてもいいよー」
八幡(陽乃さんは軽い感じで言ったが、その目はどうにか俺の本心を見破ろうと観察力を働かせているのがわかる)
八幡(しかし実際のところどうなのだろう? 俺は今、雪ノ下雪乃に対してどんな感情を抱いているのだろうか?)
八幡「ちょっと、考えさせてもらっていいですか? 自分でもよくわからないとこあるんで」
陽乃「え? あ、うん」
八幡(俺の返答が意外だったのだろう。気の抜けた返事が返ってきた)
八幡(俺は目を閉じて今までのことを思い出す。奉仕部で出会ってから今に至るまでの、様々なことを)
八幡「…………」
陽乃「…………」
八幡(ゆっくりと目を開けると、珍しく真剣な表情をした陽乃さんがこちらを見ていた)
陽乃「結論は出たのかな?」
370 = 366 :
八幡「ええ…………やっぱり好き、だったんでしょうね」
陽乃「…………」
八幡「憧れ、というのもありますがそれを含めても好きだったという感情が一番近いと思います」
陽乃「もちろん男女的な意味でだよね?」
八幡「もちろん恋愛的な意味です。元々俺は惚れっぽい方ですが、才色兼備でありながら常に己を高めようとするその姿勢は眩しいものでしたよ。あれだけ一緒にいて惚れるなという方が無理でしょう」
陽乃「でも過去形にしたってことは今では好きじゃないってこと?」
八幡「まあそうですね。原因は端的に言えば諦念と疲労感ですよ」
陽乃「…………」
八幡「同じぼっちでありながら立場も生き様もまるで違う。俺なんかが釣り合う相手じゃない」
陽乃「…………雪乃ちゃんは特別な人間なんかじゃないよ。どこにでもいる普通の女の子だよ」
八幡「知ってます」
陽乃「え?」
八幡「だから今言ったのは体の良い言い訳です。雪ノ下さん以外にはこう言うつもりですから」
陽乃「…………私には何て言うの?」
八幡「疲れたんでしょうね。好きでいることに」
陽乃「…………」
371 = 366 :
八幡「雪ノ下さん、貴女人間のクズですよね」
陽乃「!! …………突然何を言うのかな、比企谷君?」
八幡(陽乃さんは目を細めてギロリと俺を睨む。こええ!)
八幡(だけど次の瞬間ハッとして、しまった!という表情になる)
八幡「すいません。ですが本気で言ったわけじゃないんです」
陽乃「う…………」
八幡「常日頃からこんなふうに言われながらもその相手を好きでい続けるのってたぶんすごいエネルギーを使うんですよ。そういう扱いには慣れているつもりなんですけどね、やっぱり慣れてるだけで辛くないわけじゃないので。だから俺はいつの間にか雪ノ下を好きになり、いつの間にか雪ノ下を好きじゃなくなったんでしょう」
陽乃「でも、雪乃ちゃんは本気で言っているわけじゃなくて」
八幡「わかってますって。本気だったら俺はとっくに奉仕部を辞めてます」
陽乃「…………」
八幡「まあそんなとこですよ。雪ノ下さんはなぜか俺を買い被って雪ノ下とくっつけようとか思ってるみたいですが、そんなことにはなりませんから」
陽乃「…………雪乃ちゃんが暴言を吐かずに優しくなったらどう?」
八幡「ないでしょうね」
372 = 366 :
陽乃「どっちの意味で?」
八幡「どっちの意味でもです」
陽乃「そっか…………」
八幡(陽乃さんはふうっと溜め息を吐いた)
八幡「一応言っときますけど雪ノ下には今の話をしないでくださいよ。また何か色々言われるのも疲れますんで」
陽乃「うん、前向きに検討しとくよ」
八幡「NOと同意義語じゃないですかそれ…………」
八幡(俺は店内にある時計を確認する。もういい時間だった。思ったより長く話し込んでいたようだ)
八幡「すいません、俺ちょっと行くとこがあるんでここらで失礼します。コーヒー御馳走様でした」
陽乃「うん。私はもう少しここにいるから。ねえ比企谷君、これからも雪乃ちゃんと仲良くしてあげられないかな? もちろん恋愛要素抜きで」
八幡「俺は構いませんよ。雪ノ下のことを嫌いになったわけじゃありませんからね。恋してなくとも憧れや尊敬はしてますから。それじゃ」
陽乃「うん。またね」
八幡(陽乃さんに別れを告げ、俺は喫茶店を出た。少し早足で行けばちょうどいいくらいか)
??「………………あれは……」
373 = 366 :
八幡(予備校に向かいながら陽乃さんとの会話を思い出し、俺は自分の手を見る)
八幡(ある程度落ち着いて心の整理が付いたのだろうか、家族や雪ノ下の話題になってもその手が震えることは最後までなかった)
八幡「まあ、まだ会うのはちょっと怖いけどな…………」
八幡(俺は予備校に着き、待合室の椅子に座って川崎を待つ)
沙希「ん、お待たせ。何もなかった?」
八幡「んー、どうだろ?」
沙希「?」
八幡「ま、帰ってから話すよ」
沙希「そう? じゃ、これ参考書とか。あたしは先に帰ってて夕飯の支度してるから。それとも待ってようか?」
八幡「いや、いいよ。遅くなっちまうだろ」
沙希「うん。夕飯のリクエストはある? 特になければ魚系でいこうかと思ってるけど」
八幡「お、いいな。じゃあそれでよろしく頼む」
沙希「わかった。じゃあまた後でね」
八幡「おう」
八幡(俺は川崎と手を振って別れ、教室に入る。受け取った鞄から教材を出し、講義の準備をし始めた)
374 = 366 :
ここまで
シリアスシーンってすげえ疲れる。その上あまりうまく書けないから嫌いだ
でもそろそろゆきのん側の描写する予定なんだよなぁ……
またノシ
377 :
陽乃さんがいいお姉ちゃんしてて
流石は千葉の姉妹だと感心した
乙
378 :
乙
まあいじめられたとか嫌がらせを受けたとか不幸自慢する割に
他人をすべて自分未満と見下して他人の心に無頓着すぎるゆきのんこそ人間の屑なんだよなぁ……
379 :
乙
よかった…はるのんの八幡への好感度が下がらなくて
あの人に嫌われたら潰されるからね…
380 :
はるのんは八幡が家出した事を知ってたん?
381 :
>>380>>368よく読め
しかし暴言吐く人好きになる奴って何故なんだろ?
382 :
お前みたいなのがいちいち過剰反応して騒ぎを大きくしたがるからだろ
383 :
実際あれだけ毒吐かれたら好意があっても冷めるのが普通だからな
自分なら部活やめるな
孤独体質なおすならバイトでもして人間関係作るふりする
384 :
八幡「さがみんを好きになってしまった……」
385 :
>>378 妹ノ下さんのあれは私は優れているからっていう枕詞が付いてる一種の自慢話みたいなものだからな。
386 :
最後見てたの誰だろうなー
387 :
俺
388 :
火が付くのも、冷める時も一瞬なんだよ、きっかけがあればな
それだけの話
389 :
最後のは雪乃だろ。
390 :
小町「御馳走様でした…………」
結衣「こ、小町ちゃん、もう少し食べないと身体に悪いよ」
小町「すいません、でも食欲がなくて……」
雪乃「…………ごめんなさい、小町さん」
小町「な、なんで雪乃さんが謝るんですか?」
雪乃「やっぱり比企谷君が出ていったのは私のせいだと思うの」
小町「ち、違います! 小町がお兄ちゃんに非道いことを言ったからで…………」
雪乃「でもあなたも御両親もいつも通りの対応だったのでしょう? だったら普段いない私が原因だとするのが自然よ」
小町「いえ、雪乃さんこそいつも通りだったじゃないですか。小町達の方がテンション上がってお兄ちゃんに色々言っちゃったから…………」
結衣「それを言うならあたしだって普段からヒッキーに非道いことを言っちゃってるよ…………だからさ、ヒッキーが帰って来たらみんなで謝ろ?」
小町「……はい」
雪乃「そうね、そうしましょう」
結衣「うん! でもそのためにはちゃんと元気でいないと。さ、ご飯食べよ? せっかくゆきのんが作ってくれたんだから」
小町「はい! …………すいません雪乃さん、わざわざウチに作りに来てもらっちゃって」
391 = 390 :
雪乃「いいのよ。私も一人だと気が滅入ってしまうし…………その、比企谷にも謝らなければいけないし」
結衣「はあー、ヒッキーどこ行っちゃったのかなあ…………ちゅうにのとこにも彩ちゃんのとこにもいないっていうし」
小町「お兄ちゃんが頼る人なんてそうそういないと思うんですけどね…………」
雪乃(私達三人はテーブルの上に置かれたスマートホンを見る。比企谷君の自室に置きっぱなしにされていたものだ)
雪乃(悪いとは思ったけれど中身を見せてもらい、何か比企谷君の行方のヒントがないかチェックさせてもらった)
雪乃(その結果、収穫はゼロ。数少ない知人の誰も彼の居場所に心当たりはないらしい)
雪乃(誰も口にしないけれど…………どうしても最悪の状況が頭に浮かんでしまう)
雪乃(警察にこそ届けてはいないものの、小町さんは食い入るようにニュース番組や新聞の事故欄を見ているし、御両親も頻繁にネットニュースを仕事の休憩中に確認していると聞く)
雪乃(比企谷君…………)
結衣「やっぱり、誰かに探すの手伝ってもらう? 大袈裟になるのを嫌がるのはわかるけど、優美子や隼人君くらいなら…………」
雪乃「そろそろそれも視野に入れないといけないかもしれないわね……」
392 = 390 :
雪乃(そんな会話をしていると音楽が鳴り出した。どうやら誰かの携帯の着信音のようだ)
結衣「あ、ごめんあたし。…………姫菜? ちょっと電話してくるね」
雪乃(どうやら海老名さんかららしい。由比ヶ浜さんは電話を持ってリビングを出て行った)
雪乃(正直なところ由比ヶ浜さんを呼んで良かったと思っている。彼女の明るく前向きな姿勢には私も小町さんもだいぶ救われているのだから)
小町「とりあえずあとでまた上行ってお兄ちゃんの部屋を見てみましょう。結衣さんがいたら何か新しい発見があるかもしれないですし」
雪乃「そうね。あまり男性の部屋に無断で入るのは感心しないのだけれども…………今回は仕方ないわね」
小町「んっふっふー、そんなこと言っても内心はお兄ちゃんの部屋に興味津々なんじゃないですか?」
雪乃「な、何を馬鹿なことを…………!」
雪乃(しばらくぶりに見た小町さんの笑顔。少しは元気が出たのかしら?)
雪乃(けれどその表情は廊下から聞こえてきた由比ヶ浜さんの声で一変する)
結衣『えっ!? ヒッキーが!?』
393 = 390 :
雪乃・小町「「!!」」
雪乃(二人ともばっと廊下の方を見る。しかし由比ヶ浜さんの電話の内容を盗み聞きするのも躊躇われてどうしようか逡巡していると、由比ヶ浜さんがドアを開けてリビングに戻ってきた)
結衣「うん、じゃ、電話切るね。詳しいことはまた今度話すから。ありがと」
小町「ゆ、結衣さん! 今、お兄ちゃんのことを!?」
雪乃(電話を切った由比ヶ浜さんに小町さんが駆け寄って声を掛ける)
結衣「う、うん。なんか姫菜がね、昼にヒッキーっぽいのを見掛けたらしいんだけど…………その……陽乃さんぽい人と一緒だったって」
雪乃「!」
雪乃(私は部屋の端に置いてあった鞄を漁り、携帯を取り出して姉さんの番号を検索する。履歴からすぐに見つかり、コールボタンを押した)
小町「でも何で結衣さんに連絡が来たんですか? お兄ちゃんのこと言ったんですか?」
結衣「う……その、ヒッキーが他の女性に取られちゃうよって発破をかけようとして電話してきたんだって…………」
小町「おやおやー」ニヤニヤ
雪乃(比企谷君が見つかったためか二人が呑気に話している。けれども私は気が気でない。姉さんが関わると大抵禄なことにはならないのだから)
394 = 390 :
陽乃『はいはい、お姉ちゃんですよー。雪乃ちゃんからかけてくるなんて珍しいねー』
雪乃(数コールのあと、陽気な姉さんの声が聞こえてきた。二人にもわかるようにスピーカーモードにする)
雪乃「姉さん、無駄話も余計な腹の探り合いも無しよ。お願いだから比企谷君に会わせてちょうだい」
陽乃『…………え? どうしたの突然?』
雪乃「無駄話は無しと言ったはずよ。昼にも比企谷君と会っていたのでしょう?」
陽乃『あ、うん。街の中で偶然会ってさー、お茶に誘ったら珍しく断られなくてね。誰か見てたの? でも別れてからはどこ行ったか知らないよ。というか会いたいなら比企谷君の家に行けばいいじゃない。住所を知らないってことはないんでしょ?』
雪乃「…………」
陽乃『雪乃ちゃん?』
雪乃「姉さん、それは本当のことなの?」
陽乃『えっと、雪乃ちゃんが何を言っているのかわからないんだけど…………』
雪乃「…………比企谷君、家出して行方不明だったのよ」
陽乃『はあっ? だって、めちゃくちゃ普通だったよ? いや、私の誘いを受けた時点で普通じゃなかったのかな…………』
雪乃「ちょっと詳しい話を聞きたいのだけれどいいかしら?」
陽乃『直接会って話した方が良さそうだね。雪乃ちゃんは今どこにいるの?』
雪乃「比企谷君の家よ。御両親は仕事で遅くまで帰って来ないけど小町さんと由比ヶ浜さんが一緒にいるわ」
陽乃『おっけ。すぐに行くから待ってて』
雪乃(そう言うなり姉さんは通話を切る。私も携帯電話を待機状態に戻して鞄にしまった)
雪乃「姉さんが会っていたのは比企谷君本人で間違いなさそうね…………遠くへ行ったり何かに巻き込まれたりとかはないみたいよ」
結衣「ああ、良かった…………」
小町「お兄ちゃん……良かったよぉ……」
雪乃(やはりどこか不安だったのだろう。とりあえずの無事が確認されて安堵の溜め息が漏れる。かくいう私も肩の力が抜けるのがわかった)
395 = 390 :
八幡(講義を終えて川崎家に向かっている最中、俺は幾度も小町や両親、そして雪ノ下との会話を思い出していた)
八幡(フラッシュバック、などではなく意図的にだ。そして自分の手を見る)
八幡「…………うん」
八幡(ほぼ震えていないそれを見て俺は満足げに頷いた。立ち直りが早いと自分を誉めてやるべきだろうか?)
八幡「それでもしまたすぐに傷付いたら世話ないけどな…………おっと」
八幡(いつの間にか川崎家に到着していた。俺は呼び鈴に指をかける)
八幡「………………」
八幡(しかし俺はそれを鳴らさず、そこから離してポケットに手を伸ばす。そこには川崎から預かった鍵が入っていた)
八幡(こっそりと入って川崎を驚かしてやろう、なんて子供じみた悪戯心を起こしてしまったのだ)
八幡(そんな行動をあとで激しく後悔するとも知らずに俺は鍵穴にそっと鍵を差して解除し、ドアノブを回す)
396 = 390 :
八幡(音を立てずにドアを開け、靴を脱いで気配のする台所へと向かう)
八幡(静かに様子を窺うと、火をかけている鍋の前で鼻歌を歌っているエプロン姿の川崎がせわしなく動いていた)
八幡(さすがに火を使っている時に驚かすのはマズいな、止めとくか…………てか随分機嫌良さそうだな)
八幡(どう声を掛けたものかと考えていると、川崎がお玉で鍋の味噌汁を少し掬って小皿に取り、つっと味見をするのが見えた)
沙希「ん、我ながら良い出来だね。比企谷も美味しいって言ってくれるかな?」
八幡「…………」
沙希「おかわりとか、してくれるかな…………ううん、贅沢言っちゃ駄目だ。好きな人に食べてもらえるだけでありがたいと思わなくちゃ」
八幡「…………」
八幡(俺は細心の注意を払ってその場を離れる。どうにかバレずに一旦外に出て来れた)
八幡「…………」
八幡(何なの!? 何なのなの!? あいつ俺のこと好き過ぎじゃね!?)
八幡(俺は恥ずかしさのあまりその場にうずくまってしまった。くそ! 聞かなきゃよかった! 絶対顔真っ赤だぞ俺、どんな顔で会えばいいんだよ!)
397 = 390 :
一旦ここまで
なかなかいちゃつかせるとこまで進まない
あと、もしかしたら明日は野暮用で投下できないかもしれない。すいません
またノシ
399 :
乙、もうニヤニヤしてしまう
400 :
乙ー。
ゆきのんや小町サイドも話出てきて満足。
いちゃいちゃも見たいが小町サイドも新鮮でいいなぁ
みんなの評価 : ★★★
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