元スレ響「貴音!?」たかね「めんような!」
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851 = 1 :
【Waning Gibbous / 19.9】
響「お、もう明るいのに…… そっか、そろそろ下弦の月だっけ」
響「夜空の月はもちろんきれいだけど、青空に月っていうのもいいよね」
響「太陽と月がいっしょの空で見えるなんて、よくよく考えたら不思議っていうか」
響「ふつうは対照的だけど、コンビにしたらそれはそれで――」
響「……ん?」
響「下弦の、月……? なんでそんな名前、急に出てきたんだろ」
響「確かに習ったはずだけど、今見えてるあれ、それで合ってるんだっけ……」
響「今度誰かに聞いてみようっと。律子…… それか、あずささんも占いつながりで詳しいかな?」
852 = 1 :
853 = 1 :
【Last Quarter / 21.8】
響「よしっ、きょうもいい天気。傘はなくても大丈夫そう!」
響「…… それはいいんだけど、この窓一面の結露。これ、なんとかなんないかなぁ」
響「暖房入れる以上は仕方ないけど、なんかすっきりしないぞ」
響「……」スッ
響「…… うひゃっ、つ、つめたっ!?」
響「もう、何やってるんだ、自分…… 窓にお絵かきなんて年でもないのにさ」
854 = 1 :
【高槻やよいの場合:2】
やよい「あっ、真さん! おはようございまーすっ!」
真「おはよっ、やよい。そうだ、いつものあれ、やってくれる?」
やよい「! わかりましたっ! じゃあ、行きますよー?」
真「よーし、思いっきり頼むよっ」
やよい「はい! せーのっ、はいたーっ――」
真「いえ……」
やよい「………… あれっ……?」
真「……っっとぉ!? ちょっとちょっと、やよい、なんで途中でやめちゃうの?」
やよい「え? …… あ、あっ、ご、ごめんなさい真さん! 大丈夫でしたか!?」
真「うん、思いっきり空振りしただけだよ、あははは……」
855 = 1 :
やよい「…… 真さん。ちょっとだけ、ヘンなことお願いしてもいいですか?」
真「変なこと? なーに?」
やよい「ハイタッチするときに、しゃがんでほしいんです」
真「えっ? ……ん、んん、ええ? ボクがしゃがんだらそれ、ハイタッチにならなくない?」
やよい「あのっ、一回! 一回だけでいいんですっ、お願いします!」
真「いやまあ、ボクのほうは別になんの苦労もないけどさ」
真「えーと、そしたら……、よっと。こんな感じ?」グッ
やよい「あっ…… それ、その高さですー! ありがとうございます真さん! 今度こそ、いきますよっ」
真「あはは、やっぱりこれじゃ低すぎて、やよいもちょっとかがみ気味じゃない」
「「はいたーっち! いえい!」」パンッ
856 = 1 :
【Last Quarter / 22.4】
響「うわっ、これ…… ちょっとねこ吉! またオウ助にちょっかい出したな!?」
響「言い訳しない! こんなに羽とか毛とかが散らばってて、自分にばれないとでも思ったの?」
響「ああもう、今からだと掃除機かけるには微妙な時間だぞ…… ん、そうだ!」
響「あったあった、コロコロ。ちゃんとこういう時にも備えてる自分って、やっぱりカン……」
響「…… あれっ、これ、開けてからそんなに経ってないよね?」
響「残りがずいぶん少ないなぁ…… 今までしまいこんでたし、大して使ってないはずなのに」
響「まあ、いいか。次の買い物のとき、買うの忘れないようにしとかなくちゃ」
857 = 1 :
858 = 1 :
【Waning Crescent / 22.8】
響「この時間なら十分間に合うな、よしよし…… ん?」
響「おっ……? キミ、このへんじゃ見かけない子だね。おっはよ!」
響「そんなに緊張しないでよ。ねえねえ、キミはどのへんから来――」
響「…… えっ、ごめん、そうだっけ……? 前にも会ってたっけ? ど忘れかなあ」
響「前のときに、一緒にいた…… ちっこいの? ちっこいの、って…… 子猫とか?」
響「じゃあ、自分はそろそろ学校に行かなくちゃ。呼び止めてごめんねー」
響「あ、待って、そっちはやめといたほうがいいよ。このあたりのボス猫の縄張りが……」
響「それも聞いた……? そっか、ならいいんだ、何度もごめん」
859 = 1 :
【秋月律子の場合:2】
律子「……」カタカタカタカタ
律子「…… ……ふぅっ。あとは細かいところ詰めたらオッケー、かな」
律子「よし、もうひと頑張り…… と、その前に……」ゴソゴソ
亜美「ねーえー、律っちゃーん」
真美「軍そ…… 律っちゃんどのぉー」
律子「…… ふぁによ」カタカタカタカタ
860 = 1 :
真美「真美たち、ヒマでしょーがないんだけどー…… って」
亜美「あれれ、なに今の? 律っちゃん、今日カツゼツすっごい悪くない?」
律子「ひょうろいいわ、これあふぇるから、おとなひくひてなさい」コロン
真美「えっ? おおっ、キャンディだー!」
亜美「これ亜美たちがもらっちゃっていいのー? わーい!」
律子「わたひ…… ん、ん、こほん。私の好みで選んでるから、味の文句は受け付けないわよ」
亜美「ぜんぜんいーよ! あんがとー律っちゃん!」
真美「…… でもさー、なんか意外ってゆーか、めずらちーね」
亜美「だよねー、お仕事しながら律っちゃんがお菓子食べてるなんてさー」
律子「べ、別に、それくらいいいでしょ? 最近、飴舐めてる方がはかどるのよ」
861 = 1 :
【星井美希の場合:2】
律子「……」ペラッ
小鳥「……」カタカタカタ ターンッ
ガチャ
美希「ねえ小鳥、律子…… さん」
律子「あんた、寝てたんじゃなかったの。どうしたのよ」ペラッ
小鳥「あら美希ちゃん、何かあった?」カタカタカタカタ
美希「ミキね、眠れないの」
律子「ああ、そう」ペラ
小鳥「へえー、珍し」カタカタカ
律子「なんっですって!?」ガタタッ
小鳥「み、美希ちゃんがおかしくなった!」ガタッ
美希「ちょっ…… な、なんなのなの、二人して」
862 = 1 :
律子「美希あんた、熱でもあるんじゃないでしょうね」
小鳥「だ、大丈夫なの? 病院にはもう行った?」
美希「ミキのこといったいなんだと思ってるの!? いまいち寝つけないだけなのー!」
律子「あんたが眠れないなんて異常事態以外のなにものでもないわよ……」
美希「むー…… あ、ねえねえ小鳥、抱き枕みたいなものってなーい?」
律子「あのねえ、毎度のことだけど、あんたこそ事務所をなんだと思ってるの?」
小鳥「うーん、タオルケットくらいしかないわね…… これ、丸めたらかわりにならないかしら」
律子「小鳥さんも! そんなに甘やかしてやらなくていいんですよ!」
美希「んー…… もっとあったかくて、もふもふしてて、ぎゅってできるくらいのサイズのがいいな」
小鳥「ああ、そうなるとちょっと難しいかなぁ……」
律子「だいたいあんた、今までそんなのなくてもぐーすか寝てたじゃない」
美希「そのハズ、なんだけど…… なーんか、物足りないの」
863 = 1 :
【Waning Crescent / 23.4】
響「…………」カリカリカリ
響「……」カリカリ ペラッ
響「…… ……あ、違った。こっちか」
響「…… ……」カリカリ
響「…………」ペラ カリカリカリ
響「…… ふーっ。でーきたっ!」
響「今日はなんだかいつもより集中できた気がするなー。なんでだろ?」
響「ああ、そっか、誰も邪魔しに来なかったからか! いぬ美、ねこ吉も、ありがとね」
864 = 1 :
865 = 1 :
【Waning Crescent / 24.8】
響「さてと、忘れ物はしてないよね? よし、大丈夫……」
響「……あー! 透明ピアスつけてなかったぞ、危ない危ない」
響「よーし、今度こそばっちり…… って」
響「…… ……? あれ、自分、こんなイヤリング買ったっけ……」
響「記憶にないぞ…… これ、誰かうちに来たときに忘れて帰ったんだったかな?」
響「銀の、三日月かー。デザイン的には…… シンプルだし、伊織か千早あたりが好きそう」
響「でも付けてるの見た記憶はないし、置いてったら自分に聞くだろうし……」
響「うーん。今度事務所で、みんなに確に…… って、うぎゃー! 時間ーっ!!」
866 = 1 :
【水瀬伊織の場合:2】
伊織「…… どう考えても、おかしいわ。いったい誰が……」
やよい「あれっ、伊織ちゃん? 冷蔵庫になにか探しもの?」
伊織「えっ?」
やよい「えーっと、用事が済んだなら、扉は早めに閉めたほうがいいかなー、って」
伊織「あ…… ああ、そうね、うっかりしてたわ、ごめんなさい」
やよい「それで、どうしたの? 伊織ちゃん、なにか困ったことでもあったの?」
伊織「…… 誰にも言わないでくれる?」
やよい「ええっ、そんな大変なこと……!? う、うん、わかった、わたし、約束する」
伊織「実は…… オレンジジュースが、減ってるの」
やよい「えっ?」
伊織「名前書いたびんに入れて、勝手に飲むな、って注意書きまでしてるのに!」
867 = 1 :
やよい「でも、みんな伊織ちゃんがオレンジジュース大事にしてることは知ってるし、そんなこと……」
伊織「だから悩んでるんじゃないの…… まさか、プロデューサー……?」
やよい「そんな、それこそありえないよ。プロデューサーは黙ってそんなことしないよ!」
伊織「わ、わかってるわよ。言ってみただけ」
やよい「うーん、でもたしかに、どうして少なくなっちゃったんだろう……」
伊織「……わたしが自分で、無意識に飲んだのかしら」
やよい「それはちょっと無理があるんじゃないかなぁ、伊織ちゃん」
伊織「疲れてたりで記憶にない、とか…… あるいは、誰かに分けてあげたのを覚えてないとか」
やよい「ひょっとして、そういう心あたりがあるの?」
伊織「ぜんぜん。そうとでも考えないと、この状況に説明がつかないってだけよ」
868 = 1 :
【Waning Crescent / 25.5】
響「…… んー。なんか、寒いなぁ」
響「あれ、なあに、ねこ吉。どうしたの?」
響「…… いや、これはこの順番でいいの。毛布を上にかけたほうがあったかいんだよ」
響「なんででも! ふとんの上に毛布ってしたほうが熱が逃げないんだぞ!」
響「そのはず、なのに、どうしても、なんか寒い感じがするぞ……」
響「…… 誰かいっしょにいてくれたら、この寒いの、少しはマシになるのかなぁ」
響「って、うぎゃー!? じ、自分のバカ、なに考えてるんだ!?」
響「ああもう、ねこ吉でいいよ、おいで…… って、どうしてそこで出て行っちゃうのさー!」
869 = 1 :
870 = 1 :
【Waning Crescent / 25.8】
< 『そして今日最も悪い運勢なのは、ごめんなさーい、てんびん座のあなた!』
響「うがっ…… 今日の自分、ワースト!?」
響「いやまあ、別に本気で信じてはいないけど、朝からこれだとテンション下がっちゃうぞ……」
< 『でも大丈夫! そんなてんびん座のツキを回復させるラッキーパーソンは「最近会ってない人」!』
響「最近会ってない友達、かぁ…… うちなーのみんな、元気にしてるかな」
響「でもこれ、ラッキーパーソンって、つまりはその人に会えってことだよね?」
響「しばらくぶりの人にばったり会えるなら、それ自体がラッキーなことなんじゃ……」
響「……ま、どうでもいいか。さっさと準備しなくっちゃ」
871 = 1 :
【三浦あずさの場合:2】
あずさ「…… ふむふむ?」
あずさ「えーっと、ああ、でも、そうねえ、それなら……」
あずさ「じゃあ最後は…… さあて。何が出るかしら~、っと!」
あずさ「…… ……あら? 今度も、まただわ」
雪歩「あっ、あずささん、タロットですか。いい運勢でした?」
あずさ「ああ雪歩ちゃん、おかえりなさい。それが、ちょっと変なのよねぇ」
872 = 1 :
雪歩「ヘン? そういえばあずささん、すっごく難しい顔してましたね」
あずさ「ええ。レッスンの時間まで、ちょっと暇つぶし程度のつもりで始めたんだけど……」
雪歩「…… ま、まさか、すごく悪い結果が出ちゃったとかですかぁ!?」
あずさ「ううん、そんなことじゃないの。むしろ運勢自体は好調そう♪」
雪歩「そ、そうですか? よかった…… ほっとしました」
あずさ「ただ…… さっきから、何度やってもおんなじカードが必ずどこかに出るのよね~」
雪歩「それって、やっぱり珍しいことなんですか」
あずさ「そうね、78枚もあるのに毎回、ってなると、ちょっと気になっちゃうかも」
雪歩「へえ…… ちなみに、よく出るのはどのカードなんですか?」
あずさ「『月』と『太陽』の2枚。う~ん…… 不思議ねぇ。もう一度、やってみようかしら」
873 = 1 :
【Waning Crescent / 26.1】
ガタンゴトン
響「ぁーっ、くたびれたぞ…… でも、レコーティング、大変だったけどいい感じ!」
響「事務所戻ったら次は即ダンスレッスンだっけ。急がなくちゃね」
「ねえ、おかーさん、しりとりしたい!」
「いいわよ、ふふっ、ほんとに好きなのねぇ。じゃあ、――ちゃんからスタートよ」
「よーし、それじゃあ…… しりとりの"り"!」
「り、ね? そうね…… さっきいっしょに買った、"りんご"」
「ご、ご…… うーんと、あっ、あった! "ごみばこ"!」
響「……子供って、なんであんなにしりとりが好きなのかな?」
「何にしようかしら。"こ"で始まることば、たくさんあるし……」
響「しりとり、かぁ…… 最後に自分が真剣にやったのって、いつだったかなぁ」
874 = 1 :
【音無小鳥の場合:2】
小鳥「…… なんだか、そろそろ降り出しそうですね」
高木「ん? ああ、確かにね。予報では午後もせいぜい曇りと言っていたはずだが」
小鳥「にわか雨で済めばいいんですけどね。けっこう冷えてますし」
高木「まったくだ。音無君は傘の用意はあるのかね?」
小鳥「わたしより社長、みんなの方が心配なんです。今日はほぼ全員、現場の移動がありますから」
高木「ああ…… いかん、アイドル諸君のことにまで頭が回っていなかった」
小鳥「一応、傘のストックはあるので、事務所に寄って帰る子たちのフォローはできると思うんですけど」
小鳥「…… あー、やっぱり。響ちゃんと真ちゃん、それに伊織ちゃん、今日は直帰だわ」
高木「ふうむ…… 彼女たちが傘を持っていてくれることを祈りたいものだ」
875 = 1 :
小鳥「伊織ちゃんには新堂さんがいらっしゃるので大丈夫でしょう。問題はあとの二人ですね……」
高木「……音無君は、まるでアイドル諸君の母のような存在だな」
小鳥「はは? 母…… え、ええっ、急になに言い出すんですか社長!」
高木「いや、変な含みはないよ。君は本当に、皆のことを娘のように思っているのだな、と、今更感じたまでだ」
小鳥「そんな、大げさですよ、わたしにできることはしてあげたいな、ってだけです。それに」
高木「それに?」
小鳥「一番年下の亜美ちゃん真美ちゃんだって、わたしの娘としてはまだまだ大きすぎますっ!」
高木「ははは、確かにその通りだね。幼児、せいぜいが幼稚園生くらいなら――」
小鳥「社長?」ギロッ
高木「……と、すまない。軽口が過ぎたようだ」
小鳥「ホントですよ、もうっ」
876 = 1 :
877 = 1 :
【我那覇響の場合】
響「うひゃーっ、思いっきり降られちゃった…… みんなー、ただいまー!」
響「おー、よしよし、ちょっとだけ待っててね。すぐ着替えないと自分、風邪引いちゃう」
響「さて…… と、みんなお待たせ。はいっ、じゃ、食べていいよーっ!」
響「あとは自分の分だな。ううー、おなかすいた……」
響「でもなー、外すっごく寒かったし、まだ雨はひどいし。買い物に行くの、めんどくさいなぁ……」
響「帰りにスーパーでも寄っとくんだったぞ…… 冷蔵庫になんか残ってないかなー?」
響「……あっ! よかった、卵がまだあった! 今日はこれでなんとかなる!」
響「何つくろっかなー…… お腹空いてるし、ちゃちゃっとできる炒り卵にでもしようっと」
878 = 1 :
響「2個でいいかな…… いや、今日は豪勢に3ついっちゃおう!」
響「あ、バターも少なくなってる。今度買ってくるの忘れないようにしなきゃ」
響「固まりすぎないように、火を通しすぎないように、外から中に、寄せる感じで……」
響「まだ、ちょっとだけ、やわらかすぎる、かなー? ……ってタイミングですぐお皿にあける!」
響「…… よしよし、いい感じにとろっとろのふわふわさー。ふふふ、我ながらカンペキっ!」
響「生クリームあったらもっとふわっとするんだけどなー、今日は牛乳でがまんだぞ」
響「この前作った時は自分でも最高の出来だったもん、 だってあんなに大喜びして――」
879 = 1 :
響「……ん? そういえばこの前炒り卵作ったのって、いつだったっけ?」
響「やだなー、こんなことも思い出せないなんて。自分、ボケちゃってるんじゃないか? あはは!」
響「ああ、そうだ! 卵が余ってて、使い切っちゃいたいから卵料理にしよう、って、 に言って」
響「んん……? …… あれ…… うーん……?」
880 = 1 :
響「なんだろ、これ…… おかしいぞ?」
響「あはは、まいったなぁ…… ホントに、自分、きょうは、どうしちゃったんだろ……」
響「………… なん、で…… なみ…… だ、とま、ら、 な、っ…… ……」
881 = 1 :
響「そ、うだ…… よ、そう、だ……」
響「そう、だっ、た、…… これ……、炒り卵、じゃ、ない…… スクランブル、エッグ、だ」
響「…… そうだ、自分…… 前にも、おなじ、こと……、炒り卵の、つもりで…… お願いされて、」
響「誰に?」
882 = 1 :
響「…… ……決まってる…… じゃないか、そんなの、っ」
響「たかね」
響「貴音」
響「貴音!」
響「なんで…… なんで、自分、こんな大事なこと…… 大事な友達のこと、今の今まで!!」
883 = 1 :
【いまだにぼくは】
884 = 1 :
本日の投下は、これでおしまいです。
886 :
ヤバい…響がたかね(貴音)の記憶思い出したところでジーンときて目から汗が出てきた…
887 :
乙です
竹取り物語の翁になった気分だ…
888 :
乙です
切ない…切ない…
889 :
【我那覇響の場合:2】
ガチャッ
P「おはようございまーす」
やよい「あっ…… よかった、プロデューサーっ!!」
P「お、やよい。おは……」
伊織「あんたやっと着いたのね!? いいからこっち、すぐ来て! お願い、早くっ!!」
P「うわっ、い、伊織っ!? 待ってくれ、一体どうしたんだ? わけが――」
「――だからっ! なんで、どうしてみんなわかってくれないんだ!?」
「落ち着いてよ!! おねがいだから話を聞いてほしいの!!」
P「な、なんだ!? 誰か喧嘩でもしてるのか?」
890 = 1 :
響「美希、美希なら覚えてるよね!? プロジェクト・フェアリーは、三人のユニットで!」
美希「…… やめてよ…… なに、言ってるの? 響とミキは、二人で、ずっといっしょに……」
響「ちがう、違うよっ、美希と、自分と…… それに貴音と! 三人で一緒にやってきたんじゃないか!!」
美希「ねえ…… さっきからずっと言ってる、その"たかね"って、いったい誰のこと……?」
響「……美希、まで? 美希も、やっぱり、忘れちゃってるの……?」
春香(あっ…… プロデューサーさん!!)
P(今来たところなんだ、状況がわからない! 春香、二人に何があったんだ?)
春香(わたしもわからないんです! わたしが来たときから響ちゃん、ずっとあんなふうで……)
P(あんな風、って?)
春香(この事務所にはもう一人、"たかね"ってアイドルが所属してるはずだ、って言い張ってるんです!)
891 = 1 :
P「お、おい、響……」
響「プロデューサー……? プロデューサー!! プロデューサーは貴音のこと、思い出せるでしょ!?」
P「たかね……?」
響「そうっ、貴音! 髪が銀色で、すっごく背が高くて! 自分と一緒に765に入社したアイドルの!!」
P「…… あのな、響、落ち着いて聞い……」
響「ちょっと不思議な、でも高貴な感じでっ、そう、だから亜美や真美はお姫ちんなんてあだ名を――」
P「………… すまん、響。嘘はつけない。お前の言ってることが、俺には…… わからない」
響「~~~~~~~~っっ!!」
ガチャ
小鳥「おはようござい…… って、あれ? みんな集まって、何かあったんですか?」
892 = 1 :
響「ピヨ子…… ……あっ、そ、そうだ!! そうだよ、ピヨ子っ!!」
小鳥「え……? わ、わたし!? わたしが、なに?」
響「ピヨ子はさ、事務所にたかねがいるとき、たっくさんビデオ撮ってたよね!?」
小鳥「なに、なんの話!? ちょっと落ち着きましょ、響ちゃん、ねっ?」
響「あのビデオカメラ、どこにあるの!? メモリーにきっと映像が残ってるはず! 」
小鳥「カメラの…… メモリー? それがなにか必要なの?」
律子「…… いい加減にしなさいよ、響。小鳥さんも困ってるでしょう」
小鳥「いえ、大丈夫ですよ、律子さん。よくわかりませんけど、響ちゃんの役に立つなら」
小鳥「ええと、最近だと…… これね。ここ1ヶ月くらいずっと使ってたと思うわ」
響「ほんとにありがとっ、ピヨ子! これがあれば絶対みんなも思い出してくれるぞ!」
893 = 1 :
響「じゃあ、いい? みんなよく見ててよ……」
千早「我那覇さん……? その映像で、いったい何が……」
響「あっ、これ、ほらここっ! 朝のミーティングのあとで、プロデューサーと、たか…… ね……」
P『みんな、ちゃんと確認できたな? それじゃ各自、時間が来るまで――』
亜美「…… ねえ、これさ…… ずーっとにーちゃんしか写ってないよ、ひびきん……」
真美「しっ! 黙ってなよ亜美、それがなんか大事なのかもしれないっしょ!?」
響「…… そんな、なんで…… あ、あっ、そうか、たかねが小柄すぎて写せてないんだ!」
美希「響、あのね――」
響「そっか、そうだ、美希がたかね抱えて寝てるとこだったらもっと見やすいはず!」
894 = 1 :
伊織『例によって寝てたのね、美希……』
美希『ふにゃ…… くぅ……』
美希「……ミキが、ソファで寝てるだけだよ。その、えっと…… たかねだっけ、その子、どこにいるの?」
響「なん……で、どうして!? あんなにずっと事務所にいたのに、なんでどこにも写ってないの!?」
小鳥「響ちゃん…… わたし、確かによくビデオまわしてるけど、そのたかねちゃんって子は、一度も……」
響「……ピヨ子! ピヨ子もグルなんだな!?」
小鳥「えっ?」
響「後から編集してたかねのことだけ消しちゃったんだな!? ピヨ子ならきっとそんなの簡単に!」
小鳥「きゃっ……!? やめて響ちゃん、待って、わたし、そんなこと全然……!」
響「そうなんでしょ、ねえっ!? そうだって言ってよピヨ子ぉぉ!!」
895 = 1 :
真「ちょっと響っ!? 小鳥さんに何してるんだよっ! やめ――」
響「放してよ!! こんなのありえない、おかしいよ、自分絶対信じないぞ!」
真「うわっ、この……っ、落ち着いてってば響! プロデューサー、押さえるの手伝ってくださいっ!」
P「あ…… ああ、すまん!」
響「うがああああっ!! 放して! 二人とも、放せよっ、はなせぇえーっ!!」
P「響、いったいどうしたっていうんだ、落ち着け、頼むから落ち着いてくれ!」
あずさ「音無さんっ、大丈夫ですか!? 怪我とか、してないですか」
雪歩「わ、わたし、救急箱取ってきますっ!」
小鳥「けほ、っ、げほっ…… わたし、っ、だいじょうぶ、ですから、響ちゃんを……!」
響「うそだ、うそだ、うそだ、こんなの絶対うそだぞ! 映像にも写真にもどこにもたかねがいないなんてうそだ!」
896 = 1 :
P「…… 社長。これから響を自宅まで送り届けてきます。すみませんが、その間……」
高木「わかっている。事務所は私と律子君で取りまとめておくよ。幸い、音無君も大事ないようだ」
P「申し訳ありません、お手数をおかけします」
高木「何、気にしないでくれたまえ、いつもキミには苦労をかけているからね。それよりも」
P「はい?」
高木「我那覇君を、しっかり支えてあげてほしい。彼女に何があったのか、私にはわからないが……」
P「……はい。正直なところまだ原因はわからないんですが、全力を尽くします」
高木「うむ。とはいえ、今日のところはまず、しっかり休ませてあげるべきだろうな」
P「そう思います。話を聞くにしても、もう少し落ち着いてからがよさそうですね」
897 = 1 :
P「それじゃあ社長、しばらく空けます。後のことをお願いします」
高木「ああ、引き受けたよ。大変だと思うがキミも、よろしく頼む」
P「もちろんです。失礼します」
ガチャ
P「……! お前たち」
春香「あのっ、プロデューサーさん! 今から響ちゃんのこと、送っていくんですよね?」
P「……ああ、そうだ。今日の響は、レッスンとかできる状態じゃなさそうだからな」
春香「だったらお願いします、わたしにも手伝わせてください!」
P「春香…… 気持ちはありがたいが、いまの響には……」
春香「何ができるわけじゃなくても、響ちゃんのそばにいてあげたいんです」
898 = 1 :
真「ボクも、一緒に行きます。万が一、またさっきみたいなことになったら危ないですし」
美希「ミキもついていくの。みんなの中で、響といちばん一緒にいる時間が長いの、ミキだから」
P「ダメだ…… って言っても来るんだろうな、三人とも」
春香「はい!」
真「へへっ、もちろんですよ」
美希「トーゼンなの」
P「…… 女の子の部屋に俺だけで入るのはマズいだろうし、どうしようかと思ってたとこだ」
春香「じゃあ!」
P「今日は三人ともレッスンだけだったな?」
美希「えーっと、そうだったっけ? でもこの際、そんなのどーでもいいよ」
真「こら、美希、何言ってるのさ。プロデューサー、ボクら三人とも午後からですよ」
P「……よし、わかった。それまでには戻れるようにしよう」
899 = 1 :
ガチャ
春香「…… おじゃま、しまーす」
美希「ミキ、響の家族とはだいたい顔見知りだから、ちょっとアイサツしとくね」
春香「そうなんだ? 助かるよ、そっちはよろしくね。……真、大丈夫?」
真「うん、オッケー。響、歩ける? ゆっくりでいいからね」
響「……」
P(…… 真、俺も手を貸そうか?)
真(ありがとうございます、ボクひとりで大丈夫ですよ)
美希「みんな、久しぶりー。ごめんね、今日はちょっとだけお騒がせするの」
春香「えっと…… 響ちゃん、まず、シャワーでも浴びてきたらどうかな? きっとさっぱりするよ」
響「……」
900 = 1 :
春香「じゃあ、すみませんけどプロデューサーさん、リビングで待っててもらえますか?」
P「ああ、わかった、そうする。お前たちに来てもらってよかったよ」
美希「ぜーったい、のぞいたりしちゃダメだからね?」
P「なっ…… なに言ってるんだバカ! そんなこと、するわけないだろ」
真「あははっ。それまで響の家族のこと、ちょっと見といてあげてください」
P「そ、そうだな…… 三人とも、よろしく頼む」
P(…… 響の部屋、か。こんな形で足を踏み入れることになるとは思わなかったよ)
P(大家族がいる分広めだけど、それ以外はいたって普通だな)
みんなの評価 : ★
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