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    元スレ響「貴音!?」たかね「めんような!」

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    51 = 1 :


      「あったかい部屋着と、いちおう外出用の服と、靴…… ああ、下着とか靴下とかもいるなぁ」

      「あんまり一人で待たせてちゃさびしいだろうし、早く済ませよっと」




      「……あっ! そういえばあの子たちにたかねのこと、ちゃんと紹介してなかったぞ」

      「たかねにも説明しとけばよかった…… ま、そんな長い時間じゃないし、大丈夫かな」

      「帰ったらお互いちゃんと、顔合わせさせてあげなくちゃ」

    52 = 1 :






    たかね「……さて、することがありません」

    たかね「そうです、このやしきのなかをたんけんしてみましょう!」




    たかね「ふむ…… ここが、おだいどころのようす。あまりひろくありませんね……」

    たかね「これでは、おりょうりをするのにくろうしそうですが」

    たかね「こちらのおへやには、なにが?」


    ガチャ


    いぬ美「! ばうっ」

    たかね「!?」

    バタン

    53 = 1 :


    たかね「…… な…… い、いまのけだものは、いったい?」

    たかね「い、いえ、おちつきましょう、きっとみまちがえたのです」

    たかね「あらためて、いざ!」

    ガチャ

    いぬ美「はっはっはっ」ダッ

    たかね「ひいい!?」

    いぬ美「へっへっへっ」ペロペロペロ

    たかね「ちょっ、やめ、ひゃあっ、お、おかおをなめないでくださ、ああっ」

    いぬ美「はっはっはっ」ペロペロペロペロ

    54 = 1 :


    たかね「うう…… わるぎはなかったのでしょうが、ひどいめにあいました」

    たかね「あのようなけだものがいるとは…… これは、きをひきしめねばなりませ……」

    ねこ吉「……」スタスタスタ

    たかね「!」

    ねこ吉「!」

    たかね「そなたはさきほどのものより、だいぶちいさいですね。こちらへよりなさい」

    ねこ吉「……」ススス

    たかね「む、なぜさがるのです。まちなさい」

    ねこ吉「……!」ダッ

    たかね「あっ!?」




    たかね「……いってしまいました」シュン

    55 = 1 :


    たかね「それにしてもこのやしき、どれだけのけだものがいるのでしょうか」

    たかね「つぎはいったい、どのようなものが……」

    モモ次郎「……」

    たかね「!?」

    モモ次郎「……」ビューン

    たかね「…… めんような…… へやのなかで、このようなものをみることになるとは……」




    ブタ太「ブヒッ」

    たかね「なんとっ!?」

    56 = 1 :


    たかね「ひびきは、よほどけだもののたぐいがすきとみえます」

    たかね「…… まさか、わたくしも、あいがんどうぶつとしてみられているのでは……」

    オウ助「……」

    たかね「……こんどはとりですか、もうあまりおどろかなくなってまいりました」

    オウ助「……」

    たかね「つぎはなにがでるやら…… ゆだんしないようにしなくては……」

    オウ助「オハヨー」

    たかね「なにやつですっ!?」バッ

    オウ助「……」

    たかね「…… はて、たしかに、おはようというこえが…… そらみみでしょうか……?」キョロキョロ

    オウ助「カンペキダゾ!」

    たかね「!?」バッ

    オウ助「……」

    たかね「ひびきがいないのに、ひびきのこえが! ど、どこです、どこにいるのです!?」キョロキョロ

    オウ助「……」

    57 = 1 :



    たかね「おへやのなかをあるきまわるだけで、これほどつかれるとは…… む?」


    シマ「……」

    ハム蔵「ジュイッ」

    うさ江「……」


    たかね「まだいたのですか!? ……はっ!?」


    モモ次郎「……」

    いぬ美「はっはっはっ」

    ねこ吉「……」

    ブタ太「ブヒッ」

    オウ助「ウガー」


    たかね「な、なんというおおじょたい……」

    58 = 1 :


    たかね「いつのまにか、かこまれてしまいました…… ここは、ひくがとくさく!」

    ガチャ バタン




    たかね「ふう…… こうしてとをしめておけば、さすがにおってはきますまい」


    たかね「さて」クルッ


    ワニ子「?」

    へび香「?」


    たかね「」



    たかね「しじょっ」 キュウ




      「んしょっと、ただいまたかね、ちょっと荷物運ぶの手伝ってー! たかねー? おーい、たかねー!」

    59 = 1 :






      「……でもみんな、特になにもしてないって言ってるぞ?」

    たかね「いいえ! そやつらは、くちうらをあわせているのです!」

      「……そうなの、いぬ美? 誰かウソついてる子とかいる?」

    いぬ美「ばうっ」

      「ほら、違うって。たかねのこと歓迎しただけだって」

    たかね「なにが『ほら』です!? ひびきにはなにがきこえているのですか!?」

    60 = 1 :


      「ま、そんなことよりさ、たかねの服買ってきたからお着替えしよっか」

    たかね「そんなこととはなんですか、ひびき! わたくしがどれほど……」

      「みんなには改めて言い聞かせとくからさ。それよりたかね、動きづらいでしょ?」

    たかね「……たしかに、しょうしょう、ひきずるかんじはします」

      「だよね? 見た感じのサイズで選んできたから、ぴったりってわけにはいかないかもしれないけど」

    たかね「かまいません、きられればじゅうぶんです」

    61 = 1 :


      「はい、ちゃんとバンザイして」

    たかね「は、はい」

      「じゃ、かぶせるよ、よいしょっ」

    たかね「わぷっ!?」

      「あ、ちょっとたかね、あんまりじたばたしないで」

    たかね「し、しかし、まえが、みえ…… あの、あたまはここでよいのですか?」

      「えっ、なにが?」

    たかね「ど、どうも、あなのおおきさが、いたたた!」

      「……ああそこ袖だ! ごめん、すぐ抜くからちょっとじっとしてて!」

    62 = 1 :


      「……うん、とりあえずで選んだ割にはなかなか!」

    たかね「ほう…… このようなふくが、こちらではふつうなのですね……」

      「自分で言うのもなんだけど、けっこうオシャレだと思うぞ」

    たかね「それに、うごきやすいのに、あたたかです。すばらしいですね」

      「見立てがカンペキだからなー。アイドルに服選んでもらえるなんて、なかなかないんだからね?」

    たかね「…… しかし、こう…… その、あしがだいぶでているきがしますが、はしたなくはないでしょうか?」

      「うっ……」ギク

    たかね「ひびき?」

      (…… 言えない…… 貴音に着せてみたかったコーディネート試してみたなんて言えないぞ……!)

    63 = 1 :


      「ありあわせだけど、どうだったかな、夕ごはん」

    たかね「ええ、びみでした。ひびきは、おりょうりもできるのですね」

      「そりゃね、一人暮らしもけっこう長いし、家族みんなのご飯も作ってるし!」

    たかね「ずっと、ひとりでくらしているのですか?」

      「いや、違うよ。前は沖縄ってところにいたんだけど、引っ越してきたの」

    たかね「おきなわ……」

      「そうそう。ちょっと遠いけど、あったかくて、海がすごくきれいなんだ」

    たかね「……うみ?」

      (そこから!?)

    64 = 1 :


      「さて、お風呂できたよ。おいで、たかね」

    たかね「おふろ…… ああ、ゆあみのことですね」




      「たかね、ちゃんと目つぶってないと、しみるよ」

    たかね「しじょうのいえのものは、よのなかのあくにめをつぶったりはせぬのです」

      「いや、悪とかじゃなくて、シャンプーするからなんだけど」

    たかね「しゃんぷう……? きかぬなですが、なにするものぞ」

      「…… まあ、たかねが大丈夫だって言うならいいんだけどさ……」

    65 = 1 :


    たかね「い、いたい、ひびき、いたいです、めが、めがああ!」

      「だから言ったのに…… って、わわっ、暴れるなたかね!」

    たかね「だっていたいのです、ひびきぃぃ! いやああああ!」

      「だっ、ちょっと、落ち着いてってば、あっこら目こすっちゃダメだって!」

    たかね「うわあああん! うわああああああああん!!」




      「あーあーもう、ただでさえ赤い目が真っ赤になっちゃって」

    たかね「うえっ、ぐしゅ、ひ、ひびきは、いけず、でしゅ」

      「だから目を閉じとくようにって言ったのさー、自分……」

    66 = 1 :


    たかね「ひっく、ぐす、うええ、え、ひぐ、っ、げほ、ぐしゅ」

      「ほーら、たかね、もう大丈夫だから…… 目、まだ痛い?」

    たかね「い、いたく、など、ひっく、あり、ましぇん……」

      「うん、ちゃんと強く言わなかった自分も悪かったぞ…… そうだ、ちょっと待ってて」

    たかね「ぐすっ、すん、ひっ、く、……」

    67 = 1 :






      「お待たせ。はい、これ」

    たかね「……ひびき、なんですか、このどろみずは」

      「ど、泥水って! ま、いいから飲んでみてよ。あったまるし、おいしいぞ」

    たかね「わたくしをいじめておいて、これできげんをとろうというのですか?」

      「そんなつもりは全然なかったんだけど、痛かったよね。それは、ごめん」

    たかね「……」

      「機嫌をとるっていうか、お詫びのしるし。冷めないうちに、ね?」

    たかね「…… たしかに、よいかおりがします。それほどまでにいうのであれば……」ズズ

    68 = 1 :


    たかね「!」

      「いかがでしょう、姫さま…… なんちゃって」

    たかね「あまいです…… たいへんあまくて、ぽかぽかします!」

      「ん、喜んでくれてよかった。おいしいでしょ?」

    たかね「とてもびみです! ひびき、これはなんというのみものですか?」

      「それはね、ココアっていうんだぞ」

    たかね「ここあ…… ここあ、ですね、ではひびき、」

      「ときどき飲ませてあげるけど、これから毎日作ったりはしないからなー」

    たかね「なんと!? なぜわたくしのいうことがわかったのです!?」

      (……だって、初めて貴音にココア出したときの反応と、ばっちり一緒だから)

      「んー? そりゃ、自分、完璧だからね」

    たかね「うぬぬ…… めんような……!」

    69 = 1 :


    たかね「……」ポケー

      (ココアでおなかふくれて眠くなったんだな、いぬ美のちっちゃいころみたいだ)

      「じゃあたかね、そろそろ寝よっか」

    たかね「……ふぁ、そう、でしゅね」




    たかね「……これは、いったい」

      「ベッドだけど…… ああ、ひょっとしてこれも知らない?」

    たかね「おふとん…… ではないのですか?」

      「似たようなものだけど、まあちょっと違うかな」

    たかね「……わたくし、おふとんになれておりますので」

      「うーん、じゃあ布団出そうか。でもたかね、ひとりで寝られる?」

    たかね「なっ! とうぜんです、もうごさいなのです! ばかにしないでください!」

      「あはは、ごめんごめん」

    70 = 1 :


      「今日のところはとりあえず、この布団使ってよ」

    たかね「はい」

      (いつもは貴音にベッド譲って、自分が布団使ってたけど…… わかんないもんだなぁ)

      「自分はもうしばらく起きてるから、何かあったらすぐ呼んでね」

    たかね「わかりました」

      「よーし。じゃ、おやすみ」

    たかね「…… あの、ひびき」

      「ん?」

    たかね「その……」

      「なあに? あ、寒い? それとも、なにか欲しいものある?」

    たかね「いえ…… ……なんでもありません」

      「そう? それじゃあたかね、おやすみ」

    71 = 1 :






      (…… ん、この感じ…… ああ、ねこ吉だな)


      (あの子、自分が呼んでも絶対来ないのに、夜中勝手にベッドに入ってくるからなぁ)


      (まったく、寒いなら最初から素直に来ればいいのに……)




      (……それにしてもねこ吉、ずいぶん大きくなったなぁ)ナデナデ


      (自分と暮らし始めて結構経つもんね…… 毛もだいぶ伸びてる、そのうち刈ってあげよう)

    72 = 1 :



      (…… 最近カットしてないとはいえ、ねこ吉の毛、ここまで長かったっけ……)サワサワ


      (というか、ちょっと大きすぎないか……?)


      (サイズ的に、いぬ美……? いや、あの子はお行儀いいから、ベッドに入ってきたりは)




    たかね「…… ん、くぅ…… すぅ……」

      「…… なるほど、ね」

    73 = 1 :


      (いつの間に入ってきてたんだろ? 自分に気づかせないなんて、気配消すの上手だなぁ)

      (……「ひとりで寝られる」なんて言ってても、やっぱり寂しかったんだろうなー)

      (ああ、寝る前に何か言いかけてたの、そういうことか。素直じゃないんだから)ツンツン

    たかね「…… むにゃ…… らぁめん……」

      「ぷっ…… くくっ、どんな夢見てるのさ」

      (まったくもう。 ……ちっちゃくなった以外、ほとんど変わってないじゃないか)




      「これからどうなるか、わかんないけど…… いまは、おやすみ、たかね」

    74 = 1 :


    本日の投下は、これでおしまいです。

    75 = 1 :

    今回のように、更新は少々不定期になる予定です。
    どうかよろしくお願い致します。

    >>42
    いえ、違います。
    もちろんあの作品には大きな影響を受けていますし、
    参考にさせて頂いていますし、大好きです。

    76 :

    素晴らしい



    素晴らしい

    77 :

    幼い貴音はほんとかわいい
    お姉さんぶる響もほんとかわいい
    二人が合わさって100倍かわいい

    78 :

    響は小さいし可愛いしいじられキャラだけど、もともとお姉さん要素もあるのでは

    79 :

    たかね「めんにょうにゃ!」って感じに噛んじゃうたかねを想像したらヤバかった

    響ってすごい属性の塊だからな

    80 :

    可愛すぎる

    81 :

    事情を知っているPが行方不明なんだけど

    82 = 79 :

    >>81
    Pはアブダクトされました

    83 :

    ゆっくりかと思った

    84 :


    ※※※※

     今更ですが、作中の季節は冬、かつ現実のそれより少し前の時期です。
     漠然と、もうすぐクリスマス、くらいをイメージしていただければ幸いです。

    ※※※※

    85 = 1 :


      「もう一回確認するぞ、たかね」

    たかね「はい、なんなりと」

      「今から自分たちが行くところは?」

    たかね「なむこぷろの、じむしょです」

      「そのとき気をつけることは?」

    たかね「だれにもみつからぬように、ちゅういします」

      「よーし、よく覚えたね。ちなみに特に危ないのは?」

    たかね「ええと…… ふたご! そうでした、あみとまみのふたごです」

      「そうそう。もし見つかっちゃったら…… どうなるか、わかんないぞ」

    たかね「は、はい、こころします……」

    86 = 1 :


      「じゃあ、次に、今日の予定は?」

    たかね「まず、ぷろぢゅ…… ぷろで、ぷろじゅ……」

      「プロデューサーね」

    たかね「はい、ぷろで…… ぷろぢ…… ぷろ…… そのひとにあいます」

      「よしよし、ちゃんとわかってるな。ほかに、たかねが会っていいのは?」

    たかね「ことりじょうと、しゃちょうだけです」

      「うん、カンペキだぞ、たかね」
      
    たかね「このくらいはとうぜんです!」

      (まだみんなには伏せといたほうがいいだろうって、プロデューサーも言ってたからなー)

    87 = 1 :


      「あとは…… 念のためにもう一度聞くけど、留守番しとく気はな」

    たかね「ございません!!」クワッ

      「あ、そ、そう」

    たかね「ひびきはわたくしを、あのけだものたちのただなかにおいてゆくつもりですか!?」

      「ひどい言いぐさだなあ…… 自分の家族は賢いし、たかねをいじめたりしないってば」

    たかね「あれはいじめなどではありません! いのちのきけんをおぼえたのですよ!?」

      「うん、それだけぎゃーぎゃー騒げる元気があれば大丈夫さー」

    たかね「とにかく! わたくしはひびきについてゆきます!」

      「わかったわかった、もう言わないよ」

    88 = 1 :


      「よし、じゃあ行こうか、たかね」

    たかね「…… ひびき、なんです、このては」

      「はぐれちゃ困るからね。しっかり手にぎって、自分についてくるんだぞ?」

    たかね「む…… なんどもいっております、こどもあつかいはやめてください」

      「なに言ってるのさ、どこからどう見てもお子様のくせに」

    たかね「ちがいます、わたくしはれっきとしたしゅくじょです!」

      「あはは、ちっちゃいレディもいたもんだな、よしよし」

    たかね「ま、またあたまを、なでて…… うぬぬ、ぶれいなー!」

    89 = 1 :






    たかね「…… おお、おおお! こんなにたくさんのひとが……!」

      「今日は平日じゃないから、いつもよりは少ないけどね」

    たかね「ひびき、ひびき。このかたがたは、なぜここへきているのです?」

      「え? そりゃみんな電車に乗りに来てるんだよ、ここ駅だから」

    たかね「えき……? でんしゃ……?」

      (…… これもたかねには未知の領域かぁ。ほんと、世間知らずのお姫様、だなー)

      「Suica1枚しかないから、先にたかねの分の切符を…… あ、そうか、5歳の子はいらないのか」

    たかね「はて…… わたくしがごさいだと、なにかあるのですか?」

      「ん、そうだね、タダで電車に乗れるの」

    たかね「すると、わたくしはとくべつあつかいなのですね」エッヘン

      「特別…… まあ確かにそうなんだけど、別に勝ち誇った顔するところじゃないぞ?」

    たかね「なんと!」

    90 = 1 :


    たかね「これが…… えき、ですか」

      「そう、出かけるときにはちょくちょく使うことになるからね」

    たかね「ふむ、ずいぶんとひろいのに、かべがなく…… ……む?」

      「おっ、ちょうどいいタイミングで来たさー。あれに乗るよ」

    たかね「…… ひびき、なにかむこうから、ちかづいてきております」

      「うん、あれが電車だぞ」

    たかね「ど、どんどん、おおきくなってきました……! めんような……」

      「大丈夫だよ、乗り物だから。それともなあに、こわいの? 淑女なのに」

    たかね「なっ! ……いいえ、わたくしは、こ、こわくなどありません!」

      (お、これ使えるな、ふふ)

    91 = 1 :


    ガタンゴトン

    たかね「おお……! こんなにながくておおきなものが、こんなにはやく……」

      「ねっ、乗っちゃえば楽しいでしょ」

    たかね「そとのけしきが、どんどん、とぶようにうしろへ……!」

      「たくさん人が乗れるし、時間通りに来るし、速くて便利。電車のこと、もう怖くないよね?」

    たかね「はい、もうだいじょうぶです。これは、すばらしいのりものです!」

      「……ぷっ、ほんとはやっぱり怖かったんだな、たかね」

    たかね「え? …… あ、あっ、ちがいます、はじめから、こわくなど、もう、わらってはなりません!」




      「よーし、着いたぞ! ここが765プロの事務所さー!」

    たかね「……これはまた、ずいぶんと、てぜまなところですね」

      「ば、バカにしたもんじゃないぞ!? 確かにあんまり大きくないけど!」

    たかね「ひびきは、ここではたらくのですか?」

      「そうそう。ここでっていうか、ここに集合して、お仕事に出かける感じかな」

    92 = 1 :


     小鳥(……夜も遅くなってプロデューサーさんからメールが来たから、ちょっとドキドキしたのに)

     小鳥(ふたを開けてみたら仕事のお話、しかも事務所に定時前に来てほしい、だなんて)

     小鳥(えーえー、期待なんかしてなかったですよーだ、今年のクリスマスもおひとりさまですよーだ)

     小鳥(今日のことは響ちゃんと貴音ちゃんに関係があるらしいけど、なんでわたしまで……)

     小鳥(……どうせ予定なんかないから、早出残業なんでもアリですけどね! いいですよーだ!)

    ガチャ

      (よし、まだほかのみんなは来てないみたいだな)

      「……いいかたかね、音を立てないように、静かにそっと入るんだぞ」ヒソヒソ

    たかね「こころえました」コソコソ

     小鳥「…… あら、響ちゃん? おはよう」

      「わああっ!? って、ピヨ子か、よかった。おはよう!」

    93 = 1 :


     小鳥「プロデューサーさんに呼ばれて待ってたのよ。本人がまだ来てないけど」

      「迷惑かけてごめんね、ピヨ子…… プロデューサーからはどこまで聞いてるの?」

     小鳥「実はまだ、貴音ちゃんと響ちゃんになにかあったってことだけ。ねえ、説明してもらえる?」

      「説明、って言っても…… 見てもらうしかないよね、たかね、おいで」

     小鳥「あら、貴音ちゃんももう来てるの? それにしては姿が見え……」


    たかね「……おはつに、おめにかかります」ヒョコッ


     小鳥「ん? …… んんん?」

      「……こういうこと、なんだけど」

    たかね「おなまえはきいております、ことりじょうでいらっしゃいますね?」

     小鳥「んん? どういうことなんですって?」

      「ピヨ子の見ての通りだぞ」

    94 = 1 :


    たかね「わたくし、しじょうたかね、ともうします。ひびきのせわになっております」

     小鳥「えっ? なに、夢?」

      「自分も最初はそう思ったんだけどね……」

     小鳥「……」

      「……ピヨ子? おーい、ピヨ子聞いてる?」


     小鳥「これはッ!」クワッ


    たかね「!?」


     小鳥「765プロのアイドルの中でもいちばん背が高くてスタイルも雰囲気も大人っぽい貴音ちゃんがロリ化することで普段との大きなギャップを生み出しつつも高貴な印象は変わらず漂わせそして王道と名高い響ちゃんとの組み合わせ自体はそのままに――」


    たかね「ひいぃっ!? ひ、ひびきぃ!」

      「…… あー…… たかね、とりあえずこっちにおいで」

    95 = 1 :



     小鳥「――ただでさえ萌え要素の塊である凸凹コンビと呼んでも過言ではない年の差や身長差が逆転した状態で響ちゃんに甲斐甲斐しくお世話をされるロリ貴音ちゃんという光景の癒され具合はまさに萌えと萌えの足し算ならぬ掛け算いやもはやこれは累乗いいえ階乗とすら呼ばれるべき」


      「なんとなくやな予感はしてたけど、やっぱりこんな風になっちゃうのか」

    たかね「あ、あの…… ふつつかものですが、いご、おみしりおきを……」

     小鳥「ヒビタカッ」バターン

    たかね「ひゃあっ!?」

      「ちょっ……!? ピヨ子!? ピヨ子ぉぉー!!」




      「よいしょっと…… ふう。やっぱりピヨ子には刺激が強すぎたかぁ……」

     小鳥「」

      「プロデューサーもたぶんこうなるってわかってたから、事前に情報あげなかったんだろうなー……」

    たかね「いまのおはなしで、どこにしげきがあったか、わたくしにはわかりかねるのですが……」

      「うーん、自分もよくわかんないぞ。たぶんそうだろうな、ってだけ」

    96 = 1 :


    ガチャ

       P「おはようございます」

      「プロデューサー! おはよ!」

       P「おっ響、早かったな。おはよう」
      
    たかね「……」

       P「そして、君が…… たかねちゃん、だね」

      「ほらたかね、これがさっきも言ってたプロデューサーだぞ。挨拶、あいさつ」

    たかね「……しじょう、たかね、ともうします。ゆえあって、ひびきのせわになっております」

       P「ああ、事情は響からも聞いたよ。はじめまして。俺は響のプロデュースを担当してるプロデューサーだ」

    97 = 1 :


    たかね「ぷろじ…… ぷろで、ぷろでゅーす……」

       P「えーと、つまり、アイドルとして活躍する舞台を準備してるって言えばいいかな」

    たかね「ひびきもいっていましたが、その"あいどる"というのは、なんなのですか」


      (……ね? こんな感じで、本当にアイドルやってた時の記憶とかないみたいなんだ……)ボソボソ

       P(本当だな…… いずれ思い出すか、年齢的にももとに戻ってくれればいいんだが……)ボソボソ


       P「アイドルってのは…… 人に夢を与えて、人を笑顔にする職業のこと、かな」

    たかね「ひびきもその"あいどる"である、と?」

       P「ああ、そうだよ。 ……それに、貴音もそうだったんだ」

    たかね「わたくしが? "あいどる"……?」

      「ちょっとプロデューサー、そんなこと急に……」

       P「嘘じゃないし、恥じるようなことでもないだろ? 知っといて悪いことはないと思うんだ」

    98 = 1 :


       P「で、たかねちゃん、君の今後についてちょっと相談しなきゃいけないな」

    たかね「ひびきのせわになっていれば、よいのではないのですか?」

      「基本的にはもちろんそれでいいんだけど、自分、学校にも行かなきゃいけないしなー……」

    たかね「がっこう……?」

       P「……マジか。このくらいの歳の貴音の一般常識、そういうレベルだったのか」

      「貴音ならそれもありえるかな、って思えちゃうのがまたこわいぞ……」




       P「そういや響、音無さん見てないか? 一緒に相談しようと思って声かけたんだけど」

      「ピヨ子ならそこのソファでノビてるよ」

       P「ハァ!? なんで!? 何があった!?」

      「たかねを一目見たら、なんかいろいろ止まらなくなったみたいで……」

       P「…… ああ、なるほどな……」

    99 = 1 :


      「幼稚園とか保育園とかに通うのが、この年の子なら普通だと思うんだけど」

       P「でも書類なんかがまず用意できないし、そもそも施設のほうに空きがあるかも怪しいな」

      「といって、うちで留守番させとくのも、もしものことがあったら怖いしさ」

       P「うーん…… あ、でも、響の部屋ならお前の家族たちがいっしょに」

    たかね「いやです! わたくしはまだしにたくありません!!」

       P「……この反応、どういうこと?」

      「あんまり深く聞かないでほしいぞ」




      「自分が学校とか現場とかにたかねを一緒に連れて行く、ってのは無理があるよね?」

       P「そりゃちょっとな。子連れアイドルなんて斬新ではあるけど、どんな噂が立つかわからないし」

      「だよね…… そういえばプロデューサー、貴音の仕事のスケジュールは大丈夫そう?」

       P「ああ、それはだいたい調整がついた。むこう1か月くらいはどうにかなりそうだ」

      「1か月、かぁ…… その間に、解決の糸口でも見つけられたらいいんだけど……」

    100 = 1 :



     小鳥「うーん…… ひびたか…… たかひび…… ピヨッ!?」ガバッ


      「あ、ピヨ子が復活した」

       P「おはようございます音無さん。なんていうか…… 俺のせいで、すみません」

     小鳥「プロデューサーさん! おはようございます、それより貴音ちゃんが!」

       P「ええ、幼児化してるんですよ…… もう直接会ったそうですね」

     小鳥「なんでそんなに冷静でいられるんですか!? ロリ貴音ちゃんですよロリ貴音ちゃん!!」

       P「…… まあその、俺は事前に響から聞いて、それに画像も見てましたので……」

     小鳥「画像!? 響ちゃん、なんでわたしには見せてくれなかったの!? いいえ、今からでも」

      「うん、きょうのピヨ子の反応見てる限り、送らなかった自分の判断は正しかったよね」


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