元スレ夕立「恋情は見返りを――」提督「求めない」
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251 = 1 :
長門「これからどうするんだ、提督」
提督「本当は今すぐにでも工廠に向かいたいところだが、やるべきことが多いな。報告も長引いてしまったし」
提督「どうしたものか……」
提督「しかし先に工廠へ向かおう。やはり気になる」
―工廠―
加賀「航空母艦、加賀です」
提督「加賀。ようこそ、鎮守府へ」
加賀「……あなたが私の提督なの?」
提督「そうだ」
加賀「そう……。それなりに期待はしているわ」
提督「よろしく頼む」
提督「気分は?」
加賀「悪くないわね。この姿にはさすがに少し、驚いたけれど」
提督「結構」
252 = 1 :
加賀「そちらの方は……?」
提督「紹介しよう。左から順に戦艦長門、戦艦金剛、駆逐艦夕立だ」
長門「長門だ。歓迎するよ」スッ
加賀「長門……。ありがとう、よろしく」スッ
金剛「Hi! 金剛デース!」
加賀「金剛。あなた、そんな感じのキャラだったのね……」
金剛「な、長門と同じことを言われたデース」ガーン!
夕立「駆逐艦夕立です! よろしくお願いします」ペコリ
加賀「よろしく、夕立」
加賀(礼儀正しい娘ね……)
提督「ひとまず加賀のことは3人に任せる。鎮守府を案内してくれ」
提督「私はやることがあるので、また後ほど」スタスタスタ
金剛「……結構急いでマシタネー?」
夕立「多分、着任する軽巡洋艦のお出迎えっぽい?」
長門「ああ。得心した」
253 = 1 :
―司令室―
提督「そろそろ時間か」
コンコン
提督「入っていいぞ」
ガチャ
??「失礼します」
提督「本部から話は聞いているかもしれんが、私がこの鎮守府の提督を務めている」
提督「君は?」
龍田「初めまして、龍田だよ」
提督「龍田か。これからよろしく頼む」
提督「こちらには天龍が既に着任している。急いで呼んでこよう」
龍田「お気遣い、ありがとうございます」ペコリ
―――
――
―
254 = 1 :
ガチャ!
天龍「た、龍田か!?」
龍田「天龍ちゃん? あまり騒がしくしては――」
ガバッ
天龍「……逢いたかった…………」ギュウ
龍田「あら~。提督さんの前なんだけどな」
提督「……天龍、龍田のことは任せたぞ」
龍田「はい、天龍ちゃんのことはお任せください」ニコッ
提督「あ、ああ……。任せたぞ」
提督(これじゃあどっちが新艦娘なのかわからないな……)
255 = 1 :
―――
――
―
―波止場―
提督「今日も来てたか」
響「司令官。今日もお疲れ」
提督「隣いいか」
響「どうぞ」
提督「……」
響「……」
提督「この前の話」
響「うん?」
提督「……船として世界がどう見えるかを尋ねたが、それは艦娘になる前もそうだったのか?」
響「それは……はっきりしない…………」
響「……これは、私自身の体感だけど、いいかな?」
提督「なんだ?」
響「私が艦としての記憶を持っていることは確かだけれど、私はその記憶に絶対の確証がない」
提督「それは結構一般論なんじゃないか?」
提督「誰しも皆、自分の記憶に確証があるだなんて言えないだろう」
響「そういう意味じゃない……と思う」
256 = 1 :
響「うまく説明出来ないかもしれないけど……」
響「まず端的に言って、記憶が断片的過ぎて細部までは思い出すことが出来ない」
響「でもその記憶が示す光景は、そうだね。まさに今私が見ているような見え方でしか見えてないよ」
提督「なら今と同じように世界を見ていたということか」
響「そう……なるのかな……」
提督「断言出来ないのか?」
響「うん」
響「いや勿論、解答自体は本当に単純なのかもしれない」
響「私は今と同じように世界を見ていた。それで終わりなのかもしれない……」
響「でも」
響「私はその光景が、紛れもない“響”が見ていた光景なのか、ということに関して確証が持てない」
提督「……」
提督「もしその光景が、響にしか見ることの出来ないものだったとしたら、それは響のものになるんじゃないか?」
響「うん、或いはそうなのかもしれない」
響「でも例えば、私の記憶にある光景は、私の乗組員が見ていた光景だとしても差し支えがない」
提督「ああ……。なるほどね。響の言いたいことが少しわかった気がする」
257 = 1 :
響「尤も、私はそれでも構わないけどね」
響「乗組員の記憶も、私の一部として考えることだって出来るし」
響「だからそれによって、私が私自身の存在に関して疑問を抱いたりはしないけど……」
提督「自分の記憶に、リアリティが持てないか?」
響「そこもまた微妙なところだね。司令官の方こそ、自分の過去にリアリティを感じるかい? 先程の一般論の話になるけど」
提督「はは。確かに、微妙なところだ。誰かの映した映像を今の自分が見ているようなものかもしれない」
提督「……なるほど。それもひっくるめて、響は自分を肯定出来ると」
響「……」コクン
響「それでも、記憶が乗組員のものと区別がつかないとしたら、それを響の記憶と言えるのかは常に疑問に思うよ」
提督「響にまつわる記憶、とは言えるかもしれない」
響「…………」
提督「! 響……。もしかして……」
響「そう」
響「私が、響の記憶を持つ存在が、この世界に複数いるのだとすれば」
響「私は外的にだけでなく、内的にも自分の存在を説明することが出来ない」
響「この事実と、私が私自身の存在に確信を持っていることとの間には、大きな隔たりがあるんじゃないかな」
258 = 1 :
提督「“響たち”が“響である”ということは、形状と記憶によってしか定義されていない……。或いは定義出来ない……」
響「それは……断言したくない…………」
提督「響……」
響「本来なら定義なんてその2つで充分だと思うんだ」
響「問題はむしろ、それすら説明足り得てないのかもしれないというところにある気がする」
響「理由は単純」
響「仮にここに“響”が10人いたとしても、“私”は他の響たちと自分を区別出来るから」
提督「それは何によって?」
響「それが説明出来ない……」
響「確信、臆見、doxa……」
響「そういうものだと思う」
提督「それが、とある響にはあり、他の響にはない、と?」
響「それはありえない……。少なくとも私の理性はそう言っている……」
響「ダメだね……。矛盾しているよ……」
提督「矛盾はしているが、ダメではないだろう。順当な帰結に思える」
259 = 1 :
響「……」
響「私にはそれがあって、彼らにはない、なんてことは考えられない」
響「他の9人にとっては、彼ら自身が自他を区別するにあたって確信を持っていなければならない」
提督「しかし“彼らの”確信は、君には与えられていないものだ」
響「そう」
響「でも多分、他の9人に聴けば、9人が9人、当然それがあると答えるはずなんだ。そうじゃないとおかしい」
提督「“確信している”という発言の意味が、それぞれで異なっているとしたら?」
響「いや……。それだと、なぜ“私”がそれを理解出来るのかが説明出来なくなる……」
提督「……私の見解を述べてもいいか」
響「是非」
提督「……私は、それはもはや“理解したつもりになっている”というだけのことだと思う」
提督「“私”からしてみれば、先程響が言った“確信を持っている”という発言さえ、確信のないものだ」
提督「私はただ、君の表明を聴いたに過ぎない」
響「私が嘘をついているとでも?」
提督「いや、そうは思わない。原理的な、可能性の話だ。疑おうと思えばいくらでも疑える」
提督「たとえこの場で響を、酷い拷問にかけたとしてもね」
響「……」
260 = 1 :
提督「完全に充足された他者理解は、原理的に否定されてるんじゃないか?」
提督「他者に対しては原理的にいくらでも疑うことが出来るということと、自分自身に対して全く疑う余地が存在していないと
いうことは、相即的なことなのだと思う」
提督「もし充足されたとしたら、それはもはや、他者ではない気がする」
提督「そして、あくまで自身の確信を、実在の地平に置くとするのであれば……」
提督「先程言った響の矛盾が、言語の限界であり……」
提督「――響の世界の限界なんだろうね」
響「………………」
響「そう、なのかもしれない……」
響「あまり受け入れたくないことだけど」
提督「そうだな……。すまなかった」
響「いや、いいんだ」
提督「……」
響「……」
提督「……私は、そろそろ戻るとするよ」
響「……司令官」
提督「うん?」
響「Спасибо」
響「その……」
響「また、来てほしい」
提督「ああ、わかった。また来るよ」
響(…………)
響(私は、司令官と、少しはわかりあえたんだろうか)
響(それとも、わかりあった気になっただけなんだろうか……)
テクテク
提督(響も、随分と強がっていたもんだな……)
261 = 1 :
―食堂―
間宮「お待たせ致しました。今日は鳳翔さんにも実際に料理を手伝ってもらいました」
鳳翔「はい。いくつかの品を作らせていただきました」
金剛「Wow! おいしそーネー!」
加賀「こ、これは……。さすがに気分が高揚します」
夕立「いいなぁー。私も料理とかやってみたいっぽいー」
金剛「あ! 今Nice ideaを思いつきマシター!」
金剛「今度私が皆さんに紅茶を振る舞うネー!」
足柄「お茶会? 大人の嗜みね」
天龍「お、いいじゃねぇか!」
天龍(いいこと思いついたぜ!)
那珂β(那珂ちゃんもイイこと思いついちゃったー! きゃは☆)
川内(何だろう……。なぜか不吉な予感が……)
提督「かまわんが、やるからには出撃ではそれなりの成果を出してほしいところだ」
金剛「Yes sir!」
―――
――
―
262 = 1 :
―駆逐艦の階・談話室―
コンコン
睦月「はーい!」
ガチャ
長門「失礼する」
吹雪「な、長門さん!?」
長門「よし!」
長門「今日は間宮に頼んでアイスを持ってきたぞ!」
長門「皆食べるがいい!」
響「хорошо」ヒョイ
白雪「わぁ! いただきますね!」パクー
深雪「いっただっきまーす!」
睦月「い、いいんですか?」
長門「かまわん!」ニカー!
長門「ちなみに私はもう食べた」
吹雪「い、いただきます」オズオズ
睦月「ありがとうございます」ペコリ
263 = 1 :
夕立「夕立ももらうー! いただきまーす!」パクッ
夕立「ん~~~! おいひー!!」
夕立「長門さんありがとー!!!」ダキッ
長門「よしよし」~♪
夕立「…………」
長門(まったく、駆逐艦は最高だな!)
長門(もう何も怖くない!)
吹雪「(長門さん……)」
睦月「(なんか急に……)」
響「(変わったね)」
夕立「それじゃあみんな、夕立はお仕事に行って参ります!」
睦月「夕立ちゃん頑張ってー!」
白雪「お疲れ様です、頑張って!」
夕立「行ってきまーす!」
一同「いってらっしゃーい」
長門(うぅ……。束の間のひと時……)
264 = 1 :
―司令室―
提督(鳳翔……。航空母艦は全員こんなことが可能なのか?)
提督(鳳翔で現状19機。初戦であれだけの数の艦載機を統一的に操って見せた)
提督(確かにまだまだ荒い部分はあるが、それにしても……)
提督(そして今回進水した加賀に至っては93機)
提督(凄まじい演算ポテンシャル、並列情報処理能力を持っているとしか……)
コンコン
提督(もう時間か)
提督「夕立か? 入っていいぞー」
ガチャ
夕立「失礼しまーす」
提督「さて、今日も今日とて仕事だ」
夕立「ぽいー」
―――
――
―
265 = 1 :
提督「……」カチャカチャカチャ
夕立「……」ペラペラペラペラ
提督(今晩は静かだな……。いつもなら文句のひとつでも垂れそうだが)
提督(仕事も順調過ぎる早さで進んでる。センスがあるのか、それとも……)
夕立「提督さん。ここまで、終わりました」
提督「今日は仕事が早いな。もう飲み込んだか?」
夕立「うん」
提督「…………元気が、ないように見えるが」
夕立「そりゃね……。今日はあんまり活躍出来なかったし」
夕立「それに鳳翔さん、大破させちゃったし」
提督「……」
提督「どちらも言った通りだ」
提督「1戦目は彼我戦力差と射程の問題があったし」
提督「2戦目に関しても、そもそも戦闘はチームワークだ。夕立が過剰に責任を感じる必要はない」
夕立「……ちがう。違うんだよ…………」ジワ
夕立「出来ると思ったのにっ!!! わかってたのに出来なかったのが、一番悔しいんだよぅ!!!!」ポロポロポロ
提督「!」
夕立「知らなかったなら覚えればいいよ……」
夕立「気づかなかったなら気をつければいいよ……」
夕立「でも……。でも……っ!!」ツー
提督「………………」
266 = 1 :
提督「夕立……」スッ
夕立「あ……」
ギュウ
提督「誇り高いな、夕立は。……本当に」
提督「幸いにも沈んだ船はない。まだまだやり直せるし、俺たちはもっと強くなれる!」
提督「だから」
提督「…………もし夕立が道を誤った時は、俺が正してやる」
提督「それじゃあダメか?」
夕立「ううん」グスン
夕立「……でも、約束してほしい」
提督「……わかった」
提督「約束だ」
夕立「……うん。約束……」
夕立「でも、今は…………ぅ……」
夕立「――――――――――!!!!!」
夕立は、ただただ、哭いた。
267 = 1 :
―――
――
―
提督「もう、いいか」
夕立「もう、少し……」
提督「おいおい……」
夕立「えへへー」
提督「ふっ。やっと笑ったじゃないか」
夕立「!」
提督「元気、出たか?」
夕立「……」
夕立「うん!」
夕立「提督さん?」
提督「どうした?」
夕立「ありがとね!」
提督「いいさ」
夕立「さ、仕事のあと片付けしなきゃ!」
提督「そうだな。だが、その前に……」
268 = 1 :
夕立「?」
スタスタスタスタ
ガチャ
??「「「「う、うわぁ!!!!」」」」
提督「おい、お前ら。何してる?」
金剛「あ、あはは~……」
金剛「ハイ」
提督「はいじゃないが」
足柄「ゆ、夕立ちゃんの泣き声が聞こえてー……」
長門「とても心配になったのだな」
川内「しかしいざ来てみれば何というか雰囲気的に夜戦的な匂いがアダッ!」ガッ
金剛「(Shut up. 川内?)」
川内「(おーけーおーけー……)」ヒエー
提督「はぁ……。まったく……」
提督「夕立? お前が私に何か鬼畜の所業をされて泣かされているのではないかと、みんな心配になって来たそうだ」
提督「愛されてるなー夕立」
夕立「み、みんな、ごめん。もう大丈夫だから。それに……」
夕立「提督さんは、すっっっっっごく! 優しいよ?」
川内(あ、コレほの字ですやん)
金剛(ぐぬぬ……)
長門(ぐぬぅ……。私もそんなこと言われたい……)
足柄(私も秘書艦やりたーい……)
269 = 1 :
キリがいいのでとりあえずここまで。
ようやく終わりが見えてきたように思います。
次回更新は未定。多分丸1週間空きますね。申し訳ない。
272 :
この響ほんとすき
273 :
おはろーございます。とりあえず生きてます。
3月上旬が消し飛んでました。驚きのあまり笑ってます。
13日に少しだけ更新したいです。しかし3月はあまり捗らないかもなぁ。
どうかお付き合いいただければと思います。
274 :
乙
年度末だからな、仕方ないよ
書けるとき書いてくれ
待ってるから
275 :
待ってる…
276 :
ゾロゾロゾロ
ガチャ
提督「ふぅ。やっと帰ったか」
夕立「提督さん、片づけ、終わったっぽい!」
提督「うん、ありがとう」
提督「さて、私はもう寝る。夕立も、今日は早く寝た方がいい。さすがに泣き疲れたろう」
夕立「うん……」
夕立「……」
提督「? 夕立?」
夕立「え? あっ! ううん! 何でもないの!」
提督「……ぼーっとしてるな。やっぱりもう眠いんじゃないか?」
夕立「う、うん……。そうだね……」
提督「まさか、まだ気にしてるのか?」
夕立「いや、そんなことない……けど……」
夕立「……」
夕立「…………あの……ぁ……」
提督「うん?」
夕立「さっきのじゃ、その…………足りなかったかも……」
277 = 1 :
提督「なんだって?」
夕立「いや……だから…………その……」
夕立「……」
夕立「ゆ、夕立! こ、今晩は提督さんと一緒に寝たいっぽい!」
提督「!?」
夕立「……ぅ…………///」
提督「…………」
提督「上官が君のような幼い娘と褥を共にするなどと……。本気か?」
夕立「ほ、本気だよ!!」ジワ
提督「あーもう泣くな泣くな!」
提督「まったく……。急にどうしたんだ?」
夕立「だって、やっぱり不安で……」
提督(不安……か…………)
夕立「さっき、提督さんと一緒なら大丈夫だって、そう思えたの」
夕立「それはホントなの! 嘘じゃないの……。でも……」
夕立「これからまた独りになるんだって思ったら、なんだか怖くて……」
278 = 1 :
提督「独りって……。独りじゃないだろう。俺も、みんなもいる」
夕立「もう……。理屈じゃないんだよぅ……」ウルウル
提督(…………)
夕立「今日は怖いから、嫌な夢を見ると思ったの」
夕立「だから多分、独りじゃ眠れないっぽい……」
夕立「お願い。隣にいてくれるだけでいいから……」
提督(……そんなこと言われたら、断れないだろうが)
提督「はぁ……」
提督「わかったよ」
提督「ほら、部屋に来なさい」
夕立「……ぅ、ぁ…………ありがと……///」
279 = 1 :
―居室―
提督(どうしてこうなった……)
夕立「……寝巻を、着てきました」
提督「……他の連中に見つからなかっただろうな?」
夕立「うん、多分、ダイジョウブ……」
提督(なんか不安になるな……)
提督「ほれ、毛布だ」
夕立「あ、……ありがと」
提督「奥に入れ」
夕立「お、お邪魔します……」ゴソ
提督「入るぞ」ゴソ
夕立「うん……」
提督「……」
夕立「……」
280 = 1 :
夕立「提督、さん?」
提督「どうした?」
夕立「手を、握っても、いい?」
提督「……こうか?」ギュ
夕立「うん……」ギュウ
夕立「えへへ、ありがと」
夕立「……ん」
夕立「…………夕立、ったら…………提督さんが………………てくれれば……」
夕立「……私…………も………………しず………………」
夕立「……」
夕立「…………すぅ………………すぅ……」
提督(……寝たか)
提督(………………)
提督(寝顔、かわいいもんだな)
提督(これだけ無防備にされてもなぁ)
提督(……)
提督(俺が眠れる、わけがない……)
281 = 1 :
今宵はここまで。
アニメと設定が被らないように祈りながら、無理せずまったり行きたいと思います。
282 :
ぽいぬ乙
285 :
おはろーございます。
3月はこうなる気がしたから、2月中に完結させたかったのだよ(負け惜しみ)。
メモ帳の折り返し機能やめました。なんか上手くいかん。
つづき
286 = 1 :
―――
――
―
―朝・居室―
夕立「…………んぅ……」
夕立「ん」モゾ
夕立「……」ボー
提督「ん? 起きたか」
提督「おはよう、夕立」
提督「今コーヒーを入れよう」
夕立「おはよーございます……」
夕立「あれ……なんで、提督さんが夕立の部屋……に……」
夕立「………………」
夕立「おわわぁーーーっ!!!!」
提督「ちょっと待て大声を出すな夕立それはマズイ!」スッ
夕立「んむぅ!」モゴモゴモゴモゴ
287 = 1 :
ジタバタ
夕立「ぷはっ!」
夕立「もう提督さんいきなり酷いっぽい!?」
提督「いや、それはこっちのセリフなんだが……」
夕立「というか、夕立ったら、そっか……」
夕立「……いやん///」ポッ
提督「はぁ……。自分から一緒に寝ると言い出しておいて今さらなに言ってんだ」
夕立「てへへ」
提督「ほら、コーヒー」スッ
夕立「ありがと」
夕立「フ―……フ―……」
提督「猫舌か?」
夕立「ぽいー」
夕立「はぁ~暖まる~……眠くなってくる~……」
提督「コーヒー飲んでから寝るのは昼寝だけだ。起きろ」
夕立「もうダメっぽい~」バサリ
288 = 1 :
提督「おいこら、布団に潜るな」
夕立「……」チラリ
提督「なんだ、その目は……」
夕立「……目覚めのキスとかしてくれたら、起きられるかも」ドキドキ
提督「…………ふん、いいだろう」
夕立「なんて冗談……ってふえぇ!?」
提督「じっとしていろよ」ズイ
夕立「あ、いやその、心の準備っていうかその」カアア
提督「…………」
夕立「……///」
提督「……既に起きているヤツを、どうやってキスで起こせばいいんだ?」
夕立「か、返す言葉もございません……」
提督「反省せよ」
夕立「ご、ごめんなさい」
提督「よろしい」
289 = 1 :
夕立「でも、キスで目覚めるなんてロマンチックじゃない?」
提督「そうかもな」
夕立「そこは認めてくれるんだ?」
提督「まあ、な。どういう原理で目覚めるのか、気になるところだが」
夕立「あははっ。原理とか考えちゃうあたり、提督さんには向いてないかも」ニヤニヤ
提督「……悪かったな」
夕立「ふふっ」
提督「どうした?」
夕立「ううん……。なんでも」
夕立「ただ、こーゆーの、なんかいいなって、思っただけ」
提督「そうかい」
夕立「……」
提督「……」
夕立「……今日は、いい朝だね」
提督「ああ。そうだな」
提督「……それを飲んだら、部屋に戻ること。いいな?」
夕立「はーい」
夕立「提督さん、コーヒーごちそうさま。おいしかった」ニコ
提督「うん。お粗末さまでした」
290 = 1 :
―――
――
―
―司令室―
コンコン
提督「入ってくれ」
??『失礼します!』
ガチャ
加賀「!」
提督「うむ時間通り。朝礼前だ」
提督「見ての通り、私が提督だ。君が……」
赤城「航空母艦、赤城です」
赤城「空母機動部隊を編成するなら、私にお任せくださいませ」
提督「よろしく赤城。だが、君だけじゃない」
提督「加賀と一緒に、よろしく頼む」
赤城「!」
加賀「赤城……さん……」
提督「ふたりには早速の実戦を頼みたいのだが、いけるか?」
赤城・加賀「「……」」
赤城・加賀「「はい!」」
291 = 1 :
提督「よし。夕立」
夕立「はい。今朝の建造での消費資源は400/30/600/30です」
夕立「任務遂行及び遠征のおかげで、各資源は充分な量です」
夕立「引き続きよろしくお願いします」
提督「ありがとう」
提督「さて、作戦内容の説明に入る」
提督「遠征メンバーは旗艦吹雪、以下睦月、白雪、深雪、龍田、那珂β」
提督「変更点としては、遠征の内容及びタイムテーブルに新しいものが追加されている」
ペラ
提督「こちらが計画書になる」
吹雪「ありがとうございます」
提督「遠征に含まない待機メンバーは後ほど発表するが、今日はあることをやってもらおうと思っている」
提督「第二艦隊に関しては以上だ。質問は?」
提督「……よし。第二艦隊、出撃準備!」
一同「了解!」
292 = 1 :
提督「待たせたな。続いて第一艦隊の発表だ」
提督「作戦の目標は、南西諸島海域への進軍。遊弋する敵艦隊群を迎撃し、海域攻略の布石を置くこと」
提督「旗艦は夕立。以下長門、金剛、那珂、赤城、加賀」
提督「赤城と加賀は艦娘としては初の実戦になる。那珂が2人をフォローして欲しい」
加賀「……随分見くびられたものね」
赤城「加賀さん!」
提督「ふっ。いい意気だ。そう思うなら、帰投後、見くびった私に詫びを入れさせる程の戦果を出すことだな」
加賀「いいわ。提督には泣いて謝ってもらいます」
提督「結構」
金剛(期待しているのデスネ)
提督「特に説明することはないな……。何か質問は?」
夕立「あ、あの……」
提督「なんだ?」
夕立「旗艦というのは……」
提督「うん? 能力的には問題ないだろうし、試しにやってみたらどうかと思ってな。いい経験になるだろう」
提督「私も大して深く考えてはいない。全員に旗艦を任せられる能力があるのが一番望ましいし」
提督「また加えて言うなら、別に那珂の評価を下げたからというわけでもないから、2人とも気にしなくていい」
提督「那珂は不満か?」
那珂「いえ……。私は精一杯、自分のベストを尽くすまでです」
提督「そういうことだ。何も怖れることはない」
夕立「……うん。夕立、頑張る!」
提督「よし。説明は以上。出撃準備にかかれ!」
赤城(提督……。ありがとうございます)
293 = 1 :
摩耶「で、アタシたちはどうするんだ? 待機か?」
提督「まあ待機と言えば待機だが、ボーっと過ごしていても仕方がない」
提督「というわけで……」
提督「演習だ」
天龍「へぇ。提督はてっきり実戦至上主義者なのかと思ってたぜ」
提督「確かに実戦で学ぶこと、実戦でしか学べないことも多いだろうがな」
提督「鎮守府周辺海域は一応制圧した。近海での演習の不安要素が極小になったということは大きい」
提督「戦力も増えたし、艦隊にも余裕が生まれたからな。演習に踏み切ったというわけだ」
天龍「なるほどな」
提督「ま、陸から距離が開くにつれ深海棲艦もより強力になるから、実戦前に鳳翔や、赤城、加賀にも演習をさせたかったというのが本音なんだが……」
提督「しかし航空戦力の重要性を鑑みて即投入した。鳳翔には少し悪かったと思っている」
鳳翔「いえ、そんな……」
提督「あの2人には期待半分、不安半分といったところだ。今後のためにも実戦でのデータは欲しかったし、色々と都合がよかった」
提督「鳳翔の活躍が予想以上だったからこそ可能になったことでもある」
鳳翔「うぅ……」
提督「鳳翔。断じて嘘ではないからな」
鳳翔「……はい」
294 = 1 :
提督「早速演習を始めたいところだが、私は第一艦隊の指揮を執る必要もある。常に直接演習を見ることは出来ない」
響「私が監督をすればいいんだね」
提督「…………さすが。察しがいいな」
提督「そう、その通り。実戦経験のある響に審判を任せたい」
足柄(すごいわね、この子)
提督「まずは旗艦天龍、摩耶、足柄チームと旗艦神通、川内、鳳翔チームに分けてやってみようと思う」
提督「今回は自軍での演習だからな。私は口出ししない。互いにメンバーだけがわかった状態でどこまで作戦を立てられるかも見る」
提督「まずは各チームに別れて作戦を立てることだ。装備を変えても構わない」
提督「尤も、我が艦隊はまだまだ装備に乏しいので実際にやれることは限られているが」
提督「演習には専用の代用弾を使う。本部からの特注品だ。工廠には既に置いてある」
提督「装備すると艦船形態での実弾がすべて代用弾に変換されるそうだ」
神通「それも妖精さんが?」
提督「普通に考えればそうだろうな」
提督「こいつが着弾すると、仮想化された損傷をシミュレートし、その度合いに応じて一時的に活動が制限される」
摩耶「なんかよくわかんねぇけど、すげぇな」
提督「私もこの資料を最初に読んだ時、普通に兵器運用出来るだろうと思ったが、どうもそれは無理みたいだ」
提督「まあそれはいい」
提督「それに加えて口頭でも判定は出すので、大破判定が出たら戦線離脱すること」
295 = 1 :
提督「大体の説明はこんなところだが、質問は?」
川内「はいはいしつもーん!」
提督「はいどうぞ」
川内「この班分けはバランス的にどうなの? なんか、モヤっとするよ」
提督「ふふ。川内は面白いことを言うなぁ」
川内「な、なんだよ!?」
提督「川内は進軍中に敵艦隊と遭遇しました。敵艦隊は潜水艦隊でした。川内たちは対潜装備を積んでいませんでした――」
川内「ああもうわかったってば! 悪かったよ、もう……」
提督「ヒトの話は最後まで聴くもんだぞ川内」
提督「ともかく、仮に実戦で敵艦隊の編成が割れていたとしても、それと対応する編成・装備をこちらが用意出来る保証はない」
提督「むしろ割れてないことの方が多いのだから、今私が挙げたような事態は極端な形とは言え、現実に充分起こり得ることだ」
提督「それでもどうしたら前を向いて戦えるのか、建設的に考える思考能力を君たちに求めたい」
提督「モヤっとするならちょうどいいくらいだ。ヒヤっとされても困るからな。勝機がないなら撤退した方がいい」
提督「そして、勝ってスッキリ出来るようによく頭を使うんだな」
川内「……確かに、提督の言う通りですね。……ごめんなさい」ペコリ
摩耶(ふぅん。やるじゃねーか)
提督「よし。各艦準備にあたれ。響は準備の間、私と監督方法の擦り合わせをする」
響「了解」
296 = 1 :
<Blog>
『代用弾』
別名・浸食弾頭(浸食砲弾・浸食魚雷)。着弾した瞬間に船体のデータを読み取り、損害規模を算出し、その程度に
応じて船体の可動領域に制限をかける弾のことである。制限する時間は開発時に任意に設定することが出来る。原理的
にはクラッキングと類似のものであり、生体クラックの一種として定義出来る。しかし弾自体に解析機能を付加するこ
とは困難であり、また解析した情報を付加した方が効率的かつ現実的に運用出来たため、開発の際にはあらかじめ艦隊
のデータを控え、それを元にプログラムを構築する必要がある。したがって代用弾の開発は、艦娘の参照データを元に
損害シミュレーションをプログラミングし、それを再現するように妖精に依頼することで為される。この際、妖精は既
存の艦娘の実弾に、このプログラムの一連のデータ及びその概念自体を適用することで代用弾を産み出しているように
思われる。また、一度創出した以降も、妖精は資源のみから代用弾を構成することが出来なかった。並びに、代用弾の
装備は、常態において実弾に影響せず、艦船形態においてのみ、実弾を代用弾へと変換させる。加えて、艦船形態にお
ける代用弾の状態を検証することも行われたが、“代用弾”なるものは観測することさえ出来なかった。したがって代
用弾は、実弾と物理的に同じ性質を有しながらも、“代用弾として機能する”という点によってのみその意味・存在を
確定させていると言えるだろう。
297 = 1 :
今宵はここまで。
4月は投稿ペースが回復する……はず。
キャラを自由に動かせるチャンスが減ってきましたね。色々考えておきます。
みんなの評価 : ○
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