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    元スレ京太郎「修羅場ラヴァーズ」 由暉子「誰よりも、何よりも」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★★×5
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    202 = 137 :


    お大事に

    203 = 149 :


    しっかり治してから復帰してください

    204 = 135 :

    おつ
    君にはこの近所のおねえさんからもらった砂糖をあげよう

    206 :


    無理はあかんで

    207 :

    ――運命の出会い、なんて信じてなかったけれど。


    「大丈夫ですか?」


    あれは、私にとって、とても大事な出会いでした。

    208 :

    ほう

    209 = 1 :

    目を閉じれば、浮かぶ顔。


    「成香ー?」


    暖かくて、私の手よりも、大きな手。


    「おーい、成香ー?」


    何故、でしょう。

    あの日から、あの子のことが――


    「成香ってば!」

    「ひゃいっ!?」


    ――突然の揺杏ちゃんの大きな声と、肩を揺らす腕に。

    私の瞼の裏にいた彼は、まるで煙のように消えてしまいました。

    210 = 1 :

    「な、何……?」

    「次、成香の番だってば」

    「あっ……」


    目の前にあるのは彼の顔じゃなくて、机の上に、山のように積まれた捨て札の束。

    いつもの見慣れた光景。麻雀部とは名ばかりの、卓上ゲームで遊ぶ部活。

    物思いに耽っていたせいか、私の手番だということに、すっかり気が付かなかったみたい。


    「……大丈夫? 顔、赤いけど」

    「う、うん。大丈夫、だから……ごめんなさい、パスで」

    「ほーん……あ、8切でー」


    ……ここのところ、こんなことばかり。

    ここに、この学校に、彼がいるわけないってわかっているのに――どうしても、私の目は、彼の姿を探してしまうのでした。

    211 = 1 :

    ……どうしても、ゲームに集中できなくて。

    私が連続で最下位になり続けて、挽回できないままに、ついに下校時刻になってしまった頃に。


    「最近の成香、ちょっとおかしくない?」

    「え?」

    「うーん、確かに。さっきも何だか上の空?って感じだったしなー」


    揺杏ちゃんと爽ちゃんが、そんなことを言ってきたのです。


    「あ、もしかして~?」


    揺杏ちゃんの、ニヤニヤと意地悪な笑顔。

    わかっています、こういう時には、大体――


    「ズバ」

    「あ、男とか?」


    ――揺杏ちゃんが指を勢い良く突き付けて、格好良く決めようとした瞬間に、空気を読まない爽さんが割り込んでくる。

    決めようとしても今一決めきれない、それが揺杏ちゃんだから。

    212 = 208 :

    かわいい
    平和だなー

    213 = 1 :

    「……男って……なるか?」


    ……目をまん丸にして、信じられないと私の顔を見詰めてくるチカちゃん。

    恥ずかしくってその顔を直視できない私は、顔を真っ赤にして俯くしかありません。


    「あ、マジなのかー」

    「……まぁ、あれだけアンニュイなオーラ出してたらねぇ。なんつーか、見るからに恋する乙女、みたいな」


    ……やっぱり、みんなにはお見通しみたいです。

    私でも、よくわからなかった自分の心。

    でもやっぱり、この気持ちは、きっと。


    「おー、赤飯炊く?」

    「……でも、心配だわ」

    「そうだなぁ。成香ってダメ男に引っかかりそうな――」



    「あの人ことを、悪く言わないで!!」

    214 = 1 :

    ……自分でもビックリするぐらい、大きな声。

    みんながみんな、同じように、ポカンと口を開けて驚く顔。


    「あ……ご、ごめんなさい……」

    「い、いや……うん、こっちこそ、ゴメン」


    気まずい空気。

    誰が何を言えば良いのかわからない、そんな雰囲気の中で、爽さんが真っ先に口を開く。


    「……でさ、その成香がゾッコンな男子ってのは、誰なんよ?」

    「それは――」


    少しでも、この空気を払拭したい。

    そんなことを考えてたからでしょうか、普通なら躊躇って口に出せないことを、私は――


    「……あれ?」

    「……なるか?」


    ――そういえば、私は。


    「……もしかして、名前、知らない?」


    ――私は、一番大事なことを、知らなかったのです。


    「ダメだコリャ」


    ヤレヤレだと、爽さんの肩をすくめるポーズ。

    それは多分、みんなの心の中を代弁していました。

    215 :

    雨の日に、足を滑らせてしまったこと。

    転びそうになって目を閉じた瞬間に、その男の子に抱き留められたこと。

    風で傘を飛ばされてしまった私に自分の傘を渡して、その子は走り去って行ったこと。


    「ふーむ……」


    ポツリポツリと、あの日のことを思い出して話す私。

    どうしても彼の顔がチラついて、しどろもどろになってしまう私の話を、みんなは一生懸命に聞いてくれました。


    「なるほどなぁ」

    「何か、感慨深いなぁ」

    「……その男の子について、何か手がかりはないの? 見た目とか」

    「えっと、背が高くて――」

    216 = 1 :

    「あー……多分その男子見たことあるわ」


    身長が180cmくらい。髪の毛が金髪。出会った場所。

    これぐらいしかわかることがなかったのに、揺杏ちゃんは思い当たることがあるみたいで。


    「ほら、いつも買い出しで通る中学の前。あそこで掃除当番っぽいことやってるの見た」

    「ふむふむ……」

    「じゃあ、早速……!」

    「待った待った」


    いきり立つ私を制止する手のひらは、爽さんのもの。


    「もしかしたら人違いかもしれないし」

    「でも、行ってみないと」

    「んー……成香、その男子を前にして、ちゃんと話せる?」

    「えっ……」


    ……爽さんの言葉は、確かで。

    こうして頭に思い浮かべるだけで胸がフワフワするのに。

    本人を前にして、お話しなんて――とても、出来るわけがありません。

    217 :

    京太郎が実は誓子ちゃんの彼氏展開はやめーや

    218 :

    流れからしてユキっぽいと思ったのは俺だけか

    219 :

    いや、これは多分時期的に由暉子が...

    220 :

    大天使ナルカちゃんを傷つけてはいけない(戒め)

    221 = 1 :

    「第一次本内成香大作戦――開始!!」


    第二次はあるのか、だとか聞いても基本的にノリで動いている爽さんに答えられるわけないです。

    そのことがわかっているから、ちかちゃんも呆れ顔をしながらもツッコミを入れることはありませんでした。


    「よ、よろしくです……!!」


    それに、私も。

    変わりたい、この気持ちを伝えることが出来なくても、せめてお礼だけは。

    そう思ったので、爽さんの提案は、とてもありがたかったのです。

    222 = 219 :

    京太郎の前では大天使さえも堕天する

    223 :

    浮かれてる成香ちゃんを絶望の淵に叩き込みたい

    224 :

    自傷行為に走りそうで怖い

    225 = 1 :

    「ねーねー、ちょっと聞きたいんだけどさー」

    「こんな子を探してるんだけど……」


    揺杏ちゃんが彼を見たっていう中学の近くでの聞き込み活動。


    「……わかった、ありがとね」


    ――須賀、京太郎。

    私の胸の中から離れない名前。


    「……でさ、もう一ついいかな?」


    京太郎くんの好みのタイプや、服。

    知らない相手から、そんなことまで聞き出せるのは、私にはとても出来そうにありません。


    「ふーむ……成香には、ちょっと厳しいかー……?」

    「あぅ……」


    そして、判明していく彼の好み。

    ――確かに、私の貧相な体型では、彼の好みからは外れているかもしれません。

    226 = 1 :

    ……だけど、諦めちゃダメ。

    例え今は好みから外れていても、彼の好みに近付けることはできます。


    「成香が燃えてる……!」

    「こんなの、初めて見た……」


    頑張って、ファッションのお勉強を。

    頑張って、バストアップのお勉強を。

    先輩たちに協力してもらって、自信の持てる自分になること。


    それだけを目標に私は頑張って――


    「いってきます!」


    ――ついに、「その日」がやってきたのです。

    227 = 1 :

    ――その日は、曇り空でした。

    まるで緊張する私の内面を映し出したような空模様。

    ……だったら私が、この空を晴らして見せる。

    そんな、本当に。本当に、柄にもないことを、私は胸に抱きました。


    「……うん」


    それはきっと、自分を奮い立たせるため。

    震える足を押さえて、ゆっくりと、一歩ずつ、私は中学の校門へと向かいました。

    ちかちゃんたちの調査で、この日の、この時間に彼が下校することはわかっています。

    後は、私が――







    「ユキ……俺と……俺と、付き合ってほしい」


    230 :

    これぞ修羅場

    231 :

    Oh……(白目

    232 = 219 :

    これが終わりの始まりか...(遠い目)

    233 :

    まだフラれた京太郎を慰めるって展開あるから(震え声

    234 = 229 :

    >>233
    どっちにしろ麻雀部に入ったら気まずいのは変わらないんだよなぁ……

    235 = 223 :

    さぁ盛り上がってまいりました

    こういう展開大好き!

    236 :

    頑張った先というか、天気の行方も実に楽しみなww

    >>234
    麻雀部で事情を知らない一年カップルがラブラブとな!

    237 :

    続きはよ

    238 :

    胃にくる展開

    239 :

    こういう展開好きやわ
    でも関係者は胃が痛いんやけどな(腐った目)

    240 :

    このイッチの京太郎・有珠山SSが読みたくなる

    241 :

     ひゃ~、可哀相だ

    242 :

    まだユキちゃんは返事してないから(震え声)

    >>241
    sageろ

    243 :

    金髪の彼――京太郎くんの正面に立つ女の子。

    ユキ、と呼ばれたその子は、とても胸が大きくて。

    眼鏡の下は、私よりも、可愛らしい顔立ちをしていました。


    「――」


    そのユキと呼ばれた子が、京太郎くんの告白にどう答えたのかは、聞き取れませんでした。


    ただ。


    その、赤くはにかんだ顔は、鏡で見る私のそれに、よく似ていて。

    244 :

    さぁ病むぞ病むぞ

    245 :

    ……気が付いたら、私は、見覚えのない道を、ただ独りで歩いていました。

    彼に返す筈だった傘も、いつの間にかに失くなっています。

    天気は、バケツをひっくり返したかのような雨模様。


    「……」


    当然、傘もなく、合羽も着ていない私の全身はずぶ濡れ。

    命の恵みを与えてくれて、嫌なことを洗い流してくれる筈の雨は、ただ私の体を冷たく打つだけでした。


    「……どうして?」


    口から漏れた言葉。

    その意味は、私自身にもわかっていません。

    246 = 1 :

    どうして、あの日に私を助けてくれたの?

    どうして、京太郎くんを好きになってしまったの?

    どうして、あなたが――


    「……違う」


    ユキちゃんが、悪くないのはわかっています。

    きっとあの子は、私よりも京太郎くんのことを、知っていて。

    私よりもずっと先に、京太郎くんに出会っていたのでしょう。


    私よりも胸が大きくて、私よりも可愛らしいあの子は、私よりも京太郎くんに相応しい。

    そう、わかっている筈なのに。


    「ユキちゃん」


    あなたが。

    あなたさえ――

    247 :

    告白する前に潰されたってのがまたきつい
    しかし、私よりも胸が大きくて可愛らしいって物言いは
    ファッションやバストアップをしてて、自信の持てる自分を目指してたからこそくるなぁ

    248 = 1 :

    ……雨に打たれて、化粧が剥がれていくように。

    私の心の中からは、あの子への悪い気持ちが、とめどなく溢れてきました。


    「……あ」


    だから、でしょうか。

    私は前から走ってくるトラックに気が付かず、思いっきり水溜りの泥水をかけられてしまいました。

    そして、足元の小さな出っ張りにも気が付かず。


    「ぁ……」


    私は、思いっきり前のめりになって、転んでしまいました。

    249 = 247 :

    心まで泥に浸り染まらないといいが

    250 = 1 :

    頑張って勉強したお化粧は、雨水に剥がされて。

    みんなに見繕って貰った綺麗で可愛い服も、泥水で台無しに。


    「……そっか」


    きっとこれは、罰なのだと。

    誰よりも自分が悪いのに、あの子への気持ちを止められない私には、泥の化粧が相応しいと。

    私には、そう理解できました。


    「……」


    目の前の水溜りは、たくさんの大きな雨粒に打たれて、ぐしゃぐしゃです。


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