私的良スレ書庫
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元スレ京太郎「虹の見方を覚えてますか?」
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・京太郎スレです
・安価はありません
・エロ、グロの描写はありません
・ほぼ完成していますので、1週間程度ですべて投下できると思います
・コクマとかジュニア選抜についてはまったく考慮してません
・そこそこ長いです(メモ帳で300kb程度)
では、少しずつ始めていきます
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兆候が無かったといえば嘘になる
前からそれは確かにあったのだ。気が付かなかっただけ
いや、気付こうとしなかっただけか…
それにしても、そいつが俺に訪れたのは、あまりにも急だったように今にしてみれば思う
それは、清澄が全国大会を終えて1ヶ月くらいだったか
大会の熱気もようやく落ち着いてきて、日常の風景がだんだんと戻ってきていた頃だ
だからその日も、いつも通りの日常がまた始まると勝手に思い込んでいた
その日までは
――9月上旬 長野
ジリリリリリリリ!!!
京太郎「うぁ……」
ジリリリリリリリリリリ!!!!!
京太郎「うるせーなー……まだ8時半じゃ…」
京太郎「…8時半!?」
京太郎「マイガッ!」
落ち着け京太郎…こういう時は素数を数えて落ち着くんだ
1、2、3、5、7、11、13……
……
1は素数じゃねえ!!
まだ30分はあるから、飯食わないで急げば間に合うかもしれない
あ、でもパンくらいは食ってこうかな
ガチャ
京太郎「かあさーん、パン一枚もらえ」
母「じゃあ、今夜は少し早く帰って来るのね?」
父「ああ、久しぶりにおいしいもんでも買って帰るかな?」
京太郎「パン一枚も」
母「あら嬉しい、楽しみ待ってるわ」
父「あまり期待しないでもらえると助かるよ」
京太郎「パ」
母「いってらっしゃい」
父「行ってきます」
チュ
あー食パンおいしいなー。焼かなくても、何もつけなくてもおいしいなー
いや嘘、なんて不味い食パンなんだ
俺に優しくしてくれるのはカピだけだよ、ちくしょう
あれ?そういやカピの奴珍しく出てこないな…
どうしたんだろう?
京太郎「じゃあ母さん、時間ないからもう行くよ」
母「……」
京太郎「カピのやつ出てこなかったから、もしかしたら元気ないのかもしれない。よく見といてよ」
母「……」
京太郎「母さん、聞いてる?もう行くからよろしくね。いってきまーす」
どうしたんだ母さん…さっきまで父さんとイチャイチャしてたくせに
ってやべぇ、意外と時間食っちまった。急ぐか
家を出てすぐ、近所のおばちゃんが目に入った
朝早くから花の手入れをしている。何の花だろう?
小さくて黄色い花を咲かしているが、あまりに綺麗には見えない
京太郎「おはようございまーす」
「……」
ん、聞こえなかったか?
京太郎「おはようございまーす!!」
「……」
なんだよ、いつもは返してくれるのに…
まいっか、さっさと行こう
京太郎「うわ…」
珍しく校門に先生が立っている。朝からご苦労なこって
ここで足止めを食らうと、本当に遅刻しかねん
注意される前に、身だしなみを整えてっと…これでいいだろ
京太郎「おはようございます!」
先生「……」
京太郎「?」
またしても返されない。俺なんかしたっけか?
まいいや、さっさと行こう
京太郎「あ」
やべっ…ワイシャツ後ろからはみ出してたわ
よく気付かれなかったな、ラッキー
_________
_____
__
京太郎「うおおおおおおお!!!!」
ガラガラガラ
京太郎「セーーーーーーフ!!!」
シーン……
京太郎「あれぇ…?」
勢いよく入ってきた割に、反応が無いよー。ぼっちだよー
まあ、いいか。こういう日もある
席に向かおうとすると、クラスメイトの会話が聞こえてくる
「昨日の試合見たか、おい?すごかったよな!」
「ああ、かなり燃える展開だったな。やっぱ首位攻防戦はこうでなくちゃな」
「7回に追加点取られたときは、正直もうダメかと思ったね」
「そこで、9回のあのホームランだろ。痺れたね」
「そういえば、阪神は?」
「また負けた。ありゃあ、Aクラスも厳しいかも分からないね」
「「阪神(笑)」」
野球の話しらしかったが、興味ないので素通りする
京太郎「おう、咲。おはよう」
咲「……」
京太郎「今日起きたのが遅くてさ、危うく遅刻するところだったんだぜ」
咲「……」
京太郎「それに何だか、誰も挨拶すら返してくれないし…今日は厄日かー」
咲「……」
京太郎「聞いてんのかよ。少しは反応してくれ」
ガラガラ
担任「おうみんな、おはよう。席つけー!」
京太郎「っと先生来たか、また後でな」
咲「……」
担任「じゃあ早速出席取るぞー」
担任「新井ー」
「はい」
担任「梅野ー」
「はいはい」
担任「"はい"は一回」
その後もア行、カ行の名前を順に読んでいき、ついにサ行に入った
この次だ。それとなく備える
担任「関本ー」
え…
京太郎「すいません先生、俺飛ばしてますよ」
担任「福原ー」
京太郎「ちょ、ちょっと先生、無視は酷いんじゃないですか?」
担任「能見ー」
京太郎「先生、聞こえてるでしょ?な、なんか言ってくださいよ」
担任「マットー」
京太郎「いいかげんにしてください!!どうしたんですか先生!」バンッ
担任「宮永ー」
京太郎「咲もなんか言ってくれよ、俺なんかしたか?」
咲「はい」
京太郎「お、おい…咲……?」
担任「よし、みんな揃ってるな」
京太郎「は?」
京太郎「俺まだ呼ばれてませんって…変な冗談やめてください!」
担任「毎日こうだといいんだがなぁ」
京太郎「みんなも!どうしちまったんだよ…なんか反応しろよ!」
勢いよく席から立ち上がり、先生のところまで詰め寄る
京太郎「先生もなんとか言ってくださいよ!どうしちゃったんですか、さっきからっ!?」ガシッ
担任「うわっ、ととっ」フラフラ
「ちょっと先生、何もないところで躓かないくださいよ~」
担任「ははっ、すまんすまん。俺も歳かなあ…」
担任「みんなも気を付けろー、歳食っちまうとこうなるからなぁ」
「「あははー!」」
ちょっと待てよ
今、躓いたのは
俺が先生の腕を掴んだからだろ?
担任「今日は特に伝えることもないから、これでおしまいな」
担任「みんな今日も元気に授業を受けてくれ、じゃあまた放課後に」
「「はーい」」
もしかして、これって……いじめとか無視とかじゃなくて……
その先を考えるのはやめた、だってそれは有り得ない事だったから
そして、そんなことを考えてしまうこと自体、普通じゃないように思えた
________
_____
__
その後は、"普通に"授業を受けた
授業中に一回も、俺が指名されることはなかった
化学の実験は一人でした。クラスメイトはおろか先生すら何も言わなかった
体育では一人で準備運動をし、一人でストレッチをした
誰も記録をとってくれなかったので、仕方なく自分でタイムを計った
ストップウォッチを借りるとき、先生に許可を求めたが無言だった
お昼休み、咲が学食に行くようだったので付いていった
レディースランチを頼めなかったので、別の注文を学食のおばちゃんにした
しかし、聞こえなかったのだろう。いつまで経っても品物が来ることはなかった
仕方なく、厨房にお邪魔して自分の分をよそった
いつものように咲の近くで食べた。会話はなかったが、食事はとてもおいしかった
今度からこの定食もいいかもしれない。だけど、少し塩味が効きすぎていた
そして、放課後…
ガチャ
京太郎「こんにちはー」
久「……」ペラペラ
京太郎「部長…じゃなかった竹井先輩。また来てたんですね」
久「……」ペラペラ
京太郎「咲の奴、遅れるって言ってましたよ。日直らしいんで」
久「……」ペラペラ
ガチャ
まこ「おっ!"元"部長、来ておったんか」
久「まあね、部長さん」
まこ「いつも通り、まこでええ」
久「ふふ、そうね。そうしとくわ」
ガチャ
咲・和・優希「こんにちわー」
咲「あっ、竹井先輩また来てたんですか…受験とか大丈夫なんですか?」
久「んー、なんとなく大丈夫な気がするのよねー」
和「すごく駄目な人の台詞に聞こえますけど、先輩なら確かにそうかも知れません」
久「あら、褒められちゃった!」
優希「褒めてはないと思うじぇ…」
京太郎「あはは…」
まこ「ん?そう言えば、さっきから何読んどるんじゃ」
久「ああ、これね。インターハイの時の写真よ。懐かしいでしょ?」
和「懐かしいってほど昔のことでもないですけどね」
久「気分の問題よ、気分の」
咲「どれどれ…ちょ、ちょっと、先輩!こんな所も撮ってたんですか!?」
咲の寝ている姿だ
久「かわいいでしょ?」
咲「そんなことどうでもいいですよ!このデータ消してくださいよ!」
久「あらー、いい思い出じゃない」
和「……」
和「すみません、先輩。そのデータ貰えませんか?」
咲「え」
和「いえ、むしろ買います。買わせてください」
久「あはは、もちろんいいわよ。1枚ずつ買うこともできるけど、どうする?」
和「うーん、そうですね…正直咲さんが映っていないものはいらないのですが」
久「ちなみに……全部一括購入すると、今なら咲の寝息音声が付いてくるわ」
和「!!」
和「……」
和「言い値でもらおうか」キリッ
優希「ちょ、のどちゃんキャラ変わってるじぇ!」
和「こまけぇこたぁいいんだよ!!」
まこ「ええかげんにせい!!」スパーン
久・和「あいたっ!」
まこ「まったく、こいつらは」
咲「うわぁ…」ドンビキ
ハラリ
優希「あれ?何か落ちたじょ」
まこ「なんじゃろ?」
久「あら、これは……」
それは、大会の終わりに撮った"6人"全員の集合写真だった
優希「あはは、写真ののどちゃん、目が少し赤くなってるじぇ」
久「和にも案外かわいいところあるじゃない」
優希「それが今じゃこんなになって…」
和「"こんなに"とはなんですか、"こんなに"とは。そんなに変わってませんから」
咲「自覚がないんだね…」
まこ「重症じゃな」
和「皆さん最近、私に対する扱い酷くないですか…」
京太郎「はは…」
久「なかなか綺麗に撮れてるでしょ?私写真家でも目指そうかしら」
まこ「そこら辺に適当に置いて、タイマー撮影しただけだったじゃろうが」
久「やだねぇ、まこ。冗談よ」
咲「でも、なんだか本当に懐かしい気がしてきますね。こういうのを見ると」
久「そうね、ほんの1ヶ月前くらいのことなのにね」
久「こんなの見ると――」
久「ここに映ってる"5人"で、また大会に出たくなっちゃうわね」
京太郎「……」
まこ「そうじゃな、でも勉強はちゃんとしといたほうがええと思うぞ」
久「もうっ!せっかく良い話にもっていこうとしたのに、台無しじゃない」
「「あはは――」」
ああ…俺は馬鹿だ、大馬鹿だ
本当は家にいた時から変だと思ってた
通学途中にその疑問はほとんど確信に変わってた
そして朝のホームルームで明らかに、自分がそうなんだと分かった
でも、認めたくなった
それを認めてしまうと、おかしくなってしまいそうになるから
だから、今の今までなるべく普通に過ごしてきた
だが、それもおしまいだ。諦めよう。俺の負けだ
だってこの人達にすら、俺は……
京太郎「そうか…俺は消えたのか」
ポロポロ
京太郎「ぐ……ぅ…」
涙があふれてきた
京太郎「ちくしょう……くそっ!!…」
初めて人前で泣いた。それも女の子の前で
京太郎「俺がいったい…何したって言うんだよっ!!」
でも、そのことに誰も気付いてはくれなかった
京太郎「咲…優希…和…部長…竹井先輩……」
京太郎「なんで……」
それが何よりも悲しかった
――9月中旬 長野
さらに1週間が経過した
この現象の性質も大まかに把握し、慣れてきた頃だ
あれから、特にこれといって何かしたということはない
本来なら、元に戻るために何かしらの行動に出るべきなのだろう
しかし、その方針すらよく分からないので、未だに何もできずにいた
だからというわけではないが、普通の生活をしている
平日は学校に行き、授業を受け、部活をする
休日は、家でダラダラ過ごすか、一人で遊びに行ったりした
幸い俺の行動を制限するものは何も無かったので、かなり自由に振舞うことができた
だからといって、犯罪を犯したり、反倫理的なことをしたり、なんてことはしなかった。一切
自分でもよく分からないが、どうしてもそういう気分になれなかったのだ
むしろ、以前より幾分か自身を律するようになったようにさえ思える
自分で言うのもなんだが、人間とは本当によく分からない生き物だ
――9月下旬 長野
9月もいよいよ終盤に差し掛かってきた
あれからさらに経ったがこれといって何もしていない
いや、正確に言えば勉強と料理などの家事しかしていない
なんで勉強?と思うかもしれないが、その理由は単純だ。楽しいからだ
以前の俺なら絶対にそんなことは言わなかっただろうが、自発的学ぶと考えは変わるものだ
人間と人間の作り出したもの、自然の美しさと細やかさと驚くべき法則の数々
全てがどこかで関わり合い、歪ながらも不自然な完成度でもって調和している
学べば学ぶほど、自分の愚かしさを痛感する
なんて素晴らしいんだろうか
ああ、頭がおかしくなっている
だけど、俺も趣味として、ただ闇雲に勉強をしていたわけじゃない
元に戻るためのヒントが得られるかもしれないと考えたからだ
高校の物理、化学、生物の基本を学びつつ、心理学などにも手を出した
幸い時間は腐るほどあったし、誰にも邪魔されなかったので、ひたすら没頭することができた
最高の環境だな……クソくらえ
だが、当初の予想通り元に戻るためのヒントなんて得られなかった
まあ当たり前だ、こんなこと経験したのは恐らく人類でただ一人、俺だけだろうから
まさに、chosen one、選ばれし者
フォースと共にあれ。なーんてな
はぁ…
――10月上旬 長野
10月に入った
戻るためのヒントすら得られないまま、1ヶ月が経過した
最近何だかこの生活にも慣れてきて、このままでもいいんじゃないか、とすら思うようになってきている
変化の無い単調な毎日
世間の風景は少しずつうつろいで行くが、自分には何の関係も無いという疎外感
はは、そういえば1ヶ月間誰とも会話してないんだよな。不思議な気分だ
まあいいや。今日も学校に行こう
京太郎「そろそろ、行ってくるよ。じゃあ…」
母「ねえ、あなた最近カピの元気が無いんだけど、何か知らないかしら?」
父「そうかぁ?」
母「私の方が家にいて一緒にいる時間が長いんだから、そのくらい気付くわよ」
父「うーん、分からないなぁ。最近何かあったけ?」
母「なかったと思うんだけど…何かしらね」
カピ「キュ~…」
京太郎「………行ってきます」
_________
_____
__
ガチャ
京太郎「こんにちはー」
京太郎「あ、部長と――竹井先輩、また来てたんですね」
まこ「はぁー…」
久「どうしたの、まこ?ため息なんかして、珍しい」
まこ「いや、わしなんかが部長やってて本当にええのかと思ってな…」
久「なによ急に」
まこ「考えてもみぃ、麻雀の実力は1年の咲や和に及ばず、あんたみたいに指導力もない」
京太郎「……」
まこ「清澄はポっと出とはいえ、今や世間では全国で活躍した麻雀強豪校扱いじゃ」
まこ「来年には、そういう目的の部員も増えるじゃろう」
まこ「だから、わしなんかよりもっと別の――」
久「…大丈夫よ、まこ。安心なさい」
京太郎「……」
久「清澄の部長はあなた以外ありえないわ」
久「確かに、今のあなたは部長としてはまだまだかもしれないわ」
久「けど私も最初はそうだったもの」
久「それでも、ダメならダメなりに少しずつ学んだり、誰かに助けてもらったりしたわ」
久「だからこそ、そんな私でもここまでこれたの」
まこ「……」
久「まこは、あの3人こと信用していない?」
まこ「そんなこと、ない…」
久「でしょう?なら大丈夫よ。困ったときは、みんながあなたの手をとってくれるから」
久「だから安心しなさい」
まこ「人頼みなんじゃな」
久「あら、人の助けをうまく借りることは、人生をうまくいかせるためのコツの1つなのよ?」
まこ「ふふ、お前さんらしいのう」
久「そんなことないわ。だって、これはまこ、あなたから教わったことなんだから」
まこ「……」
久「さて、慣れないことしちゃったから疲れちゃったわ。だから今日はもう帰るわね」
久「あとのこと、よろしく頼んだわよ"部長"さん。じゃね!」
ガチャ
まこ「まったく…かっこつけおって」
京太郎「…ほんと、そうですね」
ガチャ
咲・和・優希「こんにちはー」
まこ「おう、みんな来たか。さあ、今日も張り切って行くかのう!」
――9月上旬 長野
あれから、1週間近く経ったが事態は少しも好転しなかった
いや、現実を直視するなら、悪化したとも言えるかもしれない
あの日俺は、他の人は自分をただ見ることができないだけ、くらいに思っていた
しかし正確には違っていた
まったく俺のことを認識してくれないのだ
大声を出しても、誰かにぶつかっても、視界に入っても反応しないばかりか
黒板に字を書いても誰も気が付かない、気が付けない
いわば、完全に"いないもの"として、俺を扱っているかのようだ
まるでどこかのアニメみたいだな。くだらない
何度か実験してみたが、他人の示す反応には2つのパターンがあるらしかった
一つは完全に俺のことを無視するもの
基本的にはこれが行われているようだった
しかし、例えば俺がわざと人を躓かせたり、物を落としてみたり…
つまり無視できな程、物理的に何らかの影響を与えると、多少反応が異なる場合が稀にあった
これが、二つ目のパターンだ
俺が消えたあの日、腕を掴んで先生がよろめいたことがあったが、あの時は"偶々"、"偶然"そうなったことに変わっていた
またある時、教室に設置してあった本棚の本を間違って落としたことがある
その時は、偶然そうなったのではなく、近くにいたクラスメイトが落としたことに変わっていた
つまり、無視が基本のパターンだが、それだけでは無理がある場合ある
そういうときは、"偶然そうなった or 他の人のせいでそうなった"――の2パターンに分かれるらしかった
また、もしかして実は俺は既に死んでしまっていて、幽霊にでもなってしまったのだろうか?
などど、荒唐無稽な妄想をしたこともあるが、どうやらそれも無いらしかった
家にあったビデオカメラで撮影したら、きちんとその姿は映っていた
また、コンビニに行ってわざと監視カメラに写り、確認してみたがやはり俺の姿が映っていた
だが、機械に映った姿ですら他の人に認識されることはなかった
他にも、細かい点を挙げればきりが無いが、この一週間で分かったことはだいたいこのくらいだ
けどこんなこと分かってもどうしようもない
いや、分かってしまったからこそ、どうしようもない気分にさせられた
俺以外の人にとって、須賀京太郎という人間は、この世に完全に存在しないことになっているのだから
クラスメイトや両親、咲、和、優希、部長、竹井先輩、他のあらゆる人にとって…
神様なんてものが本当にいるかどうかは分からない
しかし、もしいるとすれば、そいつは俺のことがとことん嫌いらしい
俺はこの一週間で、早々に敗北を認めざる得なかった
何に対してかは分からないが
失礼しました。以上です
>>30の続きからまた投下します
>>30の続きからまた投下します
_________
_____
__
「「おつかれさまでしたー」」
まこ「おつかれさん」
まこ「悪いが牌が汚れてきたんで、掃除してもらってもええかのう」
咲「いいですよ」
まこ「あと牌譜の整理もやっておいてもらいたんじゃが…」
和「構いませんよ、私がやっておくんで」
まこ「ありがとう、すまんな」
咲「今日は家の手伝いしないとダメなんでしょう?」
優希「部長はすぐに帰ったほうがいいじぇ。最近頑張りすぎだじぇ」
まこ「みんなありがとう…お疲れさま」
ガチャ
咲「じゃあ、私と和ちゃんで先にに牌の掃除しちゃうね」
咲「優希ちゃんは牌譜の整理お願い、私たちも終ったら手伝うから」
優希「分かったじぇ」
和「了解です」
咲「……」フキフキ
和「……」フキフキ
咲「……」
和「……」フキフキ
咲「ねえ、和ちゃん、ちょっと聞いてもらってもいいかな?」
和「なんですか?」
咲「ええとね…私、変かもしれないんだけど、こうやって雑用をするのがとても懐かしく感じるんだ」
和「懐かしく?いつも私達でやってるじゃないですか」
咲「そうなんだけど…でもそう感じるの」
和「はぁ…」
咲「それでさ、今の私達はそういうことの面倒臭さとか大変さとか分かってるけど」
咲「もし、他人に任せっきりだったら、そんなことも気付けなかったんじゃないかな?」
和「そうかもしれませんね」
京太郎「……」
和「でも、なぜそんな話を?」
咲「なんでだろ?けど誰かに何かを言い忘れてるような、そんな気に最近よくなるんだ」
咲「だから、他の人に聞いてもらいたかっただけなのかも…」
和「……」
和「ふむ…もしかしたら熱があるのかもしれませんね」
咲「えっ」
和「さっ、ベットに横になってください」
咲「へ」
和「ああ、汗をかいてるじゃないですか。これは大変です」
咲「ひ、冷や汗だからっ!」ダラダラ
和「服は私が脱がせてあげますので、ご安心を」ハァハァ
和「え、なに?怖いですって…大丈夫です、痛くはありません」ハァハァ
和「なぁに、天井の染みを数えているうちに終ります。ですから――」
優希「落ち着けい!!」スパーン
また京豚によるヘイトスレの誕生ですか
突然ですがここで一句
京豚は 夏に蔓延る 外道かな
ありがとうございました。
突然ですがここで一句
京豚は 夏に蔓延る 外道かな
ありがとうございました。
和「はっ!私は何を……すみません咲さん、どうやら内なる獣に支配されていたようです」
和「淫乱レズピンクって恐ろしいですねぇ……」
優希「それって自分のことじゃ…」
和「そんなオカルトありえません」
咲「」ガクガクブルブル
優希「私のツッコミも板についてきたじぇ…けどなんでだろう、涙が出てくるのは」ウルッ
和「花粉症ですか?大変ですね」
咲「大変なのは和ちゃんの頭の方だと思う」ボソ
京太郎「…咲も言うようになったなぁ」
京太郎「こいつら見てると、ほんと飽きないよ」
京太郎「……」
_________
______
__
優希「ふぃー、終った終った」
和「そうですね、ではみんなで帰りましょうか」
咲「うん」
優希「…あーそういえば、やり忘れてることがあったの忘れてたじぇ」
咲「そうなの?なら私も手伝うよ」
優希「確か明日、お姉さんが帰ってくる日だったような」
咲「う、うん。そうだけど」
優希「なら、私とのどちゃんでやっとくから。咲ちゃんは帰っていいじょ」
優希「ねっ」チラ
和「……そうですね。今日は早く帰ってゆっくりしてください」
咲「そ、そう?じゃあ、またね」
バタン
和「…で、なんの話ですか?」
優希「さすがのどちゃん、察しがよくて助かるじぇ」
和「……」
優希「のどちゃんは、いつまでそのキャラでいるつもり?」
和「何のことですか?」
優希「私にくらいには正直になってほしいじぇ」
和「……そうですね、咲さんが今よりもっと強くなったら」
優希「……」
和「咲さんはインターハイであまりにも注目を集めてしまいましたから」
和「きっとこれからは、外からの圧力が強くなります」
和「誹謗、中傷は当たり前。期待や羨望はわずかな失敗から、失望と罵倒へとあっという間に変わるでしょう」
和「友人、学校、マスコミ、ありとあらゆるものから好奇の目を向けられ、自分の居場所は限定されていきます」
優希「……」
和「私は、そういうのものにはもう慣れました」
和「しかし、咲さんは違います」
和「だから、咲さんがそういうものに負けないくらいに強くなるまで」
和「誰かが壁にならないといけないと思うんです」
和「私がこうしている内は、こちらに目線を逸らせますから」
優希「…のどちゃんはそれでいいの?」
和「ええ、構いません。咲さんは私の大事な友達ですから」
優希「のどちゃん…」
和「それに、これ。全部が演技というわけではないんですよ?」
和「9割5分くらいは本気ですから」
優希「9割5分っ!?高っ!!せめて半分くらいにしといてほしかったじぇ…」
和「冗談ですよ、冗談。ふふふ」
優希「目が笑ってないじぇ…」
京太郎「……」
__________
______
__
京太郎「……」ペラペラ
だめだ、なんだか集中できない
京太郎「はぁ…」パタン
仕方なく、読みかけの本を机に置く
そろそろ…
そろそろ、行動を起こすべき時かもしれない
でも、どうしたらいい?
『人の助けをうまく借りることは、人生をうまくいかせるためのコツの1つなのよ?』
なら、一人ぼっちの俺は、誰の助けを借りればいいのか
『そんなオカルトありえません』
オカルト、オカルトねぇ…とりあえずこの線でいってみますか
よしっ!!
ちょっとまって、それってつまり種付中だしセックスしまくってやりまくれるってこどだろ!?
触れるならやりたいほうだざゃないか!!!!
触れるならやりたいほうだざゃないか!!!!
――10月上旬 長野
準備は済ませた。旅行カバンに替えの服と下着を詰め込んだ
傘とレインコート、予備のマスクに小・中・大のビニールの袋を少々
タオル、ハンカチ、ティッシュは多めに入れといた
これからどんどん寒くなっていくので、手袋とマフラーも念のため持った
銀行でお金を降ろせないので、仕方なく家の金庫から自分の貯金の分だけ拝借させてもらった
元に戻ることができたら、ちゃんと補填しておくつもりだ
だから、父さん母さん。今のところは許しておいて欲しい
京太郎「さて、カピ行ってくるよ」ナデナデ
カピ「キュ~…」
京太郎「元気でな」
京太郎「じゃあ、父さん母さんそろそろ出るよ」
母「いってらっしゃい」
父「ああ、行ってきます」
京太郎「…行ってきます」
_________
_____
__
さて、まずは近場からだな
―鶴賀高校
京太郎「まずはここだろ」
実は、ここにはかなり早い段階で来ていた
なにせ、俺と似たような人物がいたからな
でもそのときは……
お、いたいた
桃子「さ、先輩っ!今日も部活に行くっすよ」
ゆみ「はぁ、またか」
桃子「だめっすか…?」
ゆみ「…仕方ない、1時間だけだからな」
桃子「さすが先輩っす!!」
やっぱり、駄目か…
―龍門渕高校
衣「ハギヨシー、おなか空いたぞ」
ハギヨシ「駄目ですよ、衣様。まだご夕食まで時間があります」
ハギヨシ「それに、すぐに部活が始まりますよ」
衣「むぅ…」プクー
ハギヨシ「……」
衣「……」ジー
ハギヨシ「はぁ…仕方ありませんね」
ハギヨシ「今日は特別ですからね、皆には内緒ですよ」
衣「うわっ、やったー!!」
ハギヨシ「はぁ、私もいいかげん甘いですね」
京太郎「……」
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