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元スレ京太郎「虹の見方を覚えてますか?」
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――10月上旬
―宮守女子高校
トシ「おや、また来てたのかい」
塞「あはは、自習室として優秀なんで、ここ」
トシ「今日は他のみんなは来てないようだね」
塞「珍しいでしょう?まあ、でも、たまにはこういうのも悪くないですね」
トシ「あまり遅くならないうちに帰るんだよ。変質者が出るかもしれないからね」
塞「はは、こんなド田舎に出るのはお年寄りと野生動物くらいなもんですよ」
トシ「ふふ、そうだね。でも炬燵で寝落ちは駄目だから」
塞「ええ、気をつけます」
京太郎「……」
―白糸台高校
ガチャ
淡「こんにちはー」
菫「おう、久しぶりだな」
淡「菫先輩、おひさしぶりー」
菫「まあ、たまにはな」
淡「テルは来てないんですか?」
菫「ああ、あいつか…あそこで机に置いてあった菓子を勝手に食べてるぞ」
淡「あー、それ私のー!返して返して!」
照「もう遅い、ほとんど胃に到達してしまった。残念でならない」モグモグ
菫「せめて食べるのを止めろ。すまんな、淡。言っても聞かないくてな…」
菫「代わりにといってはなんだが、こいつも4月からプロになるんだ」
菫「その時たっぷりたかってやるといい」
淡「やったー、テルー大好き!」
照「そ、そんな…それでは私の『お菓子の家計画』が水の泡に…」ポロ
菫「なんだ、その如何にも頭の悪い妄想は…」
京太郎「……」
―永水女子高校
霞「今日は10月とは思えないくらい暑いわね…」
巴「そうですね、明日もこのくらいって天気予報で言ってましたよ」
初美「いやになりますねー」
春「……」ポリポリ
小蒔「はっ!だったら久しぶりにみんなで海にでも行きませんか?」
春「名案…」
霞「んー、でもねぇ…」
小蒔「だ、駄目ですか」ウルウル
巴「まぁ、いいんじゃないですか、たまには」
初美「そうですよー」
霞「んー…じゃあ明日にでも行きますか、海」
小蒔「やったー!」
小蒔「あ…でも水着…」
巴「どうかしました、姫様」
小蒔「い、いえ…あの…」
初美「ふふふ、最近また大きくなったのですよー。姫様のアレが」ジー
霞「ああ、なるほど。アレが」ジー
春「栄養豊富だから…」ジー
小蒔「も、もう、みんなして見ないでください///」
京太郎「……」ボタボタ
――10月中旬 大阪
ついに、この2週間に及ぶ旅の最終目的地に到着してしまった
他にも、阿知賀女子や新道寺女子、臨海女子などにも足を伸ばしたが手がかりなし
こうしてみると、ほんと女子高ばかりだな。変態か、俺
本当は、ここに来る前になんらかの手がかりを得たかったが、残念なことにそれも無かった
あと、残るは千里山女子高校くらいだ
確かあそこには、生死の淵を彷徨い、未来視をを身に着けた人がいるという
これで駄目なら、もう……
??「はぁ~、ええもん買うたわ。後で絹に自慢したろ~」ウキウキ
ドンッ
誰かにぶつかってしまったが気にしない
そちらの方を向くと、どうやら女性らしかった
ピンクと赤のちょうど中間の色をした髪を後ろに束ねている。所謂ポニーテールというやつだ
その色は、なんというか…濃い桜の花びらのような、そんな印象を受けた
タレ目だが、気の強そうな雰囲気を漂わせている。おもちはない
決して美人と言うわけではないが、愛嬌のある顔立ちをしている
ま、そんなことどうでもいいんだけど
千里山って、ここから北にあるんだよな。電車に乗って、それから――
??「うわっ、すんません。前見てへんかった、ごめんなさい」ペコペコ
え
??「あ、あれ?誰もおれへん…気のせいか?」
こ、これは…もしかして
京太郎「あ、あの、すみません!俺のこと分かりますか!?」
??「っ!!」ビクッ
??「な、なんや?声だけ……聞こえて…」ブルブル
声しか聞こえない!?ここは慎重に、慎重に…
京太郎「お、俺須賀京太郎っていいます!」
??「ひっ」
京太郎「……」ゾクゾク
ああ…なんかこの反応いいな
こう、いたずら心がね、くすぐられるというか
京太郎「ほう、どうやら俺の声が聞こえるようだな…」
??「え、それって…?」ブルブル
だめだ、我慢しろ須賀京太郎…クールになるんだ
京太郎「俺の正体を知りたいか、お嬢さん?」
??「あわわわわ…」ガクガク
京太郎「そう、俺は……」
??「俺は…?」ガクガクブルブル
京太郎「グワァァァァ!!!!」クワッ
??「どっひゃあーーーーーーーー!!!!!!」ダッ
京太郎「だめだ、やっぱり堪えられなかったわ」
しかし、逃げちまったな。あ、荷物落としてる。相当焦ってたんだな
仕方ない、届けるついでに追うか
京太郎「まあ゛てえ゛~、逃げるな人間~…!」
??「うぎゃーーーー!!!」
京太郎「オレサマオマエ、マルカジリーー!!」
??「ほげえぇぇーーーー!!!!!」
_______________
_____
__
??「はぁ、はぁ…こ、ここまでくれば安心やろ」
京太郎「そんなことないんだよなぁ、これが」
??「あわわわわわわ……」ブクブク
??「すすすすすいませんでしたーーーー!!!」
京太郎「…何のことですか?」
??「おかんの分のから揚げ、1個食べたんは謝ります!だから、許してください!」
京太郎「おや?そんなことをしていたのですか。いけない娘だ」
京太郎「でも、他にもあるのでしょう?正直に言えば許してあげないこともないですよ」
??「ほ、ほんまにほんま?」
京太郎「大阪の幽霊嘘つかない」
??「……あんな、実はこないだの晩、おかんがサラダ作ってたんやけど、そんとき…」
京太郎「そのとき…」ゴクリ
??「余ったさけるチーズ、まるまる全部食べてもうたんや…」
京太郎「ま、まさか裂かずに?」
??「…せや」
京太郎「なんてむごいことを…」
??「もうせえへん、せやから許してください!」ペコリ
京太郎「……仕方がありませんね。その罪許しましょう」
??「!!や、やた!」
京太郎「ただし!!俺の話を聞いてもらうのが条件ですが」
??「ゆゆゆゆ幽霊がうちにななななんの話や?」ガクガク
京太郎「幽霊?いやいや、違うんですよ……実は俺」
??「じ、実は…」ゴクリ
京太郎「I am your father.」
??「Nooooooooやでぇぇぇ!!!!!」
??「って、なに言わしてんねん!!」
京太郎「えー…そっちだって、ノリノリだったじゃないですか…」
京太郎「まぁでも、よくご存知で」
??「せ、せやろー、さすがやろー?」
京太郎「では、お化け・幽霊といえば、英語でゴーストですが」
京太郎「『ゴースト』といえば?」
??「ニューヨークの幻!!」
京太郎「攻殻機動隊!!」
??・京太郎「……」
??・京太郎「……」
??・京太郎「ちっ」
京太郎「どうやらあなたとは、仲良くなれそうもありません」
??「奇遇やな、うちもそう思うわ」
京太郎「では、もう一回だけいきましょう」
??「望むところや」
京太郎「…さっきニューヨークがでてきたので、それで行きましょうか」
京太郎「では、『ニューヨーク』といえば?」
??・京太郎「星の王子様 ニューヨークへ行く!!」
??・京太郎「……」
??・京太郎「……」
??「へへっ、やるやないか」
京太郎「あなたもね」
??・京太郎「あっはははー!!」
京太郎「あー、そういえば…まだ名前を聞いていませんでしたね」
京太郎「俺は須賀京太郎です。あなたは?」
??「ああ、うちか?うちはな――」
??「愛宕洋榎や」
愛宕、洋榎?…どこかで聞いたことがあるような、気のせいか?
洋榎「洋榎でええよ」
洋榎「って、ちゃうやろ…あかんで、うちいつの間に幽霊と普通に話してるやん……」
京太郎「あ、すみません。それ嘘です」
洋榎「う、嘘?」
京太郎「そうです。本当はただの人間です。姿こそ消えてはいますが…」
洋榎「…どういうことや?」
京太郎「ええ、実はですね――」
________
_____
__
洋榎「へぇー、そんなんあるねんなぁ」
京太郎「信じてくれるんですか?」
洋榎「信じるも何も、信じるしかないやろ、これは」
京太郎「ですね、声だけしか聞こえないようですから」
京太郎「じゃあ、あの…」
洋榎「なんや?」
京太郎「俺が元に戻るのを、手伝ってくれません?」
洋榎「いやや、めんどい」
京太郎「即答っ!?そこは二つ返事で了承する場面でしょ」
洋榎「自分、アホやなぁ。顔も素性も分からん奴に、ほいほい付いていく女子がどこにおんねん」
京太郎「うっ、それはまあ、そうですけど…」
洋榎「まぁ、おもろい話聞けてよかったわ、ありがとさん。ほななー」
京太郎「ちょ、ちょっと待ってくださいよ」
洋榎「い・や・や」スタスタ
まいったな。顔も素性もって……
そうだ!もしかして、これなら
京太郎「待ってください、これ見れば俺のこと分かりますから!」ズイッ
洋榎「ん、なんやこの感触?」
京太郎「今、洋榎さんの手にある物を載せました。もしかしたら、単なる物なら見えるかも」
洋榎「お、お、お…なんか見えてきよった。これ、おもろいな」
洋榎「ん、生徒手帳かこれ?」
京太郎「やった、予想通り!それ俺のです、読めば俺のこと分かりますよね?」
洋榎「ちょい待ち、これあんたが誰かからパクったってこともありえるやろ?」
京太郎「うーん、それはその通りですね」
京太郎「なら、テストしてみましょう。それでいいでしょう?」
洋榎「テスト?」
京太郎「俺が、そこに書いてあること答えますから、それを確認してください」
洋榎「暗記してるって可能性もあるやろ?」
京太郎「俺、かなり几帳面なんで細かい事もメモしてあります」
京太郎「いくら、他人から盗んだとしても、普通そこまで覚えないでしょう?」
洋榎「うーん、そうやな…」
京太郎「さあ、いきますよ」
_________
______
__
京太郎「どうでしたか?」
洋榎「完璧や。昨日の阪神の試合を見てるようやな」
京太郎「よ、よかったぁ…」ヘナヘナ
洋榎「しかし、清澄か…ちなみに自分、部活は?」
京太郎「ああ、言ってませんでしたね。麻雀部です、俺は弱いんですけど」
洋榎「なぁ、なら覚えてへんか、うちのこと?」
京太郎「え、俺が洋榎さんのこと?どこかで会いましたっけ?」
洋榎「姫松高校って知らん?」
京太郎「姫松、ですか?うーん…」
洋榎「ほら、インターハイで」
京太郎「インターハイ?麻雀の?」
洋榎「せや」
京太郎「うーん……」
洋榎「……」
京太郎「……」ジー
京太郎「……」ジー
京太郎「ああっ、思い出した!洋榎さん、あなた姫松高校の人ですね!」
洋榎「せやせや」
京太郎「うちの部長と打ってた、やたら強くて」
洋榎「うんうん」
京太郎「やかましくて」
洋榎「う、うん?」
京太郎「おもしろい顔の人ですよね!?」
洋榎「それは余計や!」ブンッ
京太郎「……ふっ、残像だ」
洋榎「……ふんっ」スパーン
京太郎「いてっ」
洋榎「おお、声だけで案外分かるもんやな」
洋榎「そうや、大阪一の美少女雀士、愛宕洋榎とはうちのことや。よく覚えとき!!」
京太郎「え、美少女?どこですか?」
洋榎「ここや、目の前におるやろ?」ドヤ
京太郎「……」
京太郎「えーと、それでですね――」
洋榎「ちょ、無視すな///」
京太郎「はいはい。で、手伝ってもらえませんか?」
洋榎「……」
洋榎「かわいそやな、とは思うけど…やっぱ無理や」
洋榎「どないしたらええか分かれへんのや…ごめん」
京太郎「…いえ、いいんです。俺の勝手な頼みなんですから、気にしないでください」
京太郎「あと、最初驚かしたのは謝ります。ごめんなさい」ペコリ
洋榎「……」
京太郎「久しぶりに他の人と話せて、とても嬉しかったんです」
京太郎「俺の話を最後まで聞いてくれて、ありがとうございました」
京太郎「もしかしたら、洋榎さんみたいな人がこの世界のどこかにまだいるかもしれません」
京太郎「地道に探してみますよ」
洋榎「あ……」
京太郎「ほら、そんな顔してたら駄目ですよ。大阪一の美少女雀士なんでしょう?」
京太郎「さ、俺はもう行きますね」
洋榎「……」
京太郎「ほな、さいなら。なーんてね」
洋榎「……ああ、ほなな」
________
_____
__
―駅 ホーム
はぁ、駄目だったか…せっかくの手がかりも、相手に振られちまったからしょうがない
とりあえず、ホテルがありそうなところまで電車で行くか
??「はぁ~、ええもん買うたわ。後でお姉ちゃんに自慢したろ~」ウキウキ
水色の髪をした、活発そうな女の子だ。赤みがかったツーブリッジのメガネをしている、珍しい
どうやら眼鏡にはこだわりがあるようだ
そしてなにより、かなりのおもちの持ち主である。うむ
しかし、この台詞さっきも聞いたような…気のせいか
おっさん「デュフフ、デュフ…」
なんだ、このむさ苦しいおっさんは
今日は対して暑くもないのに、大量の汗をかいている
そして、地面には荷物と思われる鞄が無造作に置いてある
せっかく美少女を見て、癒されていたところなのに…実に台無しだ
京太郎「あ、電車来た」
キラッ
あれ、なにか光った?あのおっさんの鞄か?……それに、さっきの女の子
もしかして、そういうことか?
仕方ない、念のためついて行くか
電車に乗ると意外と混んでいる。身動きが取れない、というほどではないがスイスイと自由に動くことはできない
さっきのおっさんの近くに行くと、案の定水色の髪の女の子のそばに陣取っている
足元には、不自然なほど自然にに鞄が置いてある
そして、その女の子は運悪くスカートをはいている
この状況とさっきの鞄からの光の反射
まぁ、これはあれだろうな……盗撮だ
ジー
念には念を入れて、ファスナーを開き鞄の中を覗いてみると、確かにそれがあった
自分で使うためか、あるいはよそに売るためか
どういうことかは知らんが、卑劣な行為であることには変わりない
ましてや、こんな国の重要文化財級のおもちの持ち主に対して行うとは
おもちマイスターの風上にもおけぬ!
京太郎「余の顔を見忘れたか!!」
京太郎「成敗!!」
京太郎「えい」チョン
ゴトッ
おっさん「あ」
「えっ、なにあれ?もしかしてビデオカメラ…」
「え、え、盗撮?」
「捕まえろー!すいません、駅員さん呼んでー!!」
ザワザワ
ふっ、勝利とはいつも空しいものだな
??「え、え、え…?」
京太郎「……」
________
_____
__
「時間とらせて悪かったね」
??「い、いえ…」
「…一人で平気そう?」
??「大丈夫…大丈夫です。ほんまに」
「さよか。ほな、気ぃ付けてなぁ」
??「お世話になりました」
気になって待っていたが、意外と大丈夫そうかな?
ガラガラガラ
駅員室から出てきたが、さっきまでの活発そうな雰囲気が感じられない
??「はぁー…」トボトボ
あれ、電車に乗らないのか?
…いや、そうだよな
仕方がない、乗りかかった舟だ。最後まで乗船するのが礼儀と言うものだろう
京太郎「お美しいお嬢さん。この命に代えてもあなたことをお守りいたしますよ」キリッ
??「……」トボトボ
京太郎「大丈夫、大丈夫です。安心してください」
京太郎「俺がついてます」
_________
_____
__
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
洋榎「絹のやつ遅いなあ、何やってるんやろ。携帯も繋がらんし…」
ビュウ
洋榎「うぅ、寒うなってきた」ブルブル
洋榎「出掛けるとき、けっこう薄着やったもんなぁ。大丈夫やろか?」
そういや、あいつ…須賀とかいったか、どこに泊まってるんやろ
さすがにこんくらいの寒さじゃ、死なへんとは思うけど…
洋榎「うがー、うちらしくもない!」
洋榎「もう終った話やろ、これは…」
顔は見えへんかった、けど最後寂しそうな声してた
やっぱあん時…
おっ、あれは絹か?やっと帰ってきた。無事やったみたいやな
あれ?でも、この声どこかで…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
京太郎「それで、その時こう言ってやったんですよ」
京太郎「『次からは、相手を見て喧嘩を売ることだな……』」
??「……」トボトボ
京太郎「で、最後にこうつぶやいたんです」
京太郎「『持っててよかった、PSP』、ってね」
??「……」トボトボ
京太郎「まだまだ他にもありますよ」
京太郎「あれは、俺が戦艦ミズーリでコック長をしていたときの話です」
京太郎「迫り来るテロリストをちぎっては投げ、ちぎっては投げ。ついに相手も――」
タッタッタッ
洋榎「絹ー、どないしたんこんな遅くまで?お姉ちゃん、心配してたんやで」
ひひひ、洋榎さん!?それに、お姉ちゃん??
絹恵「……」グスッ
洋榎「絹?」
絹恵「う゛わ~ん、おねえ゛ち゛ゃ~ん…怖かったよぉ…」ブワッ
洋榎「どどどどないしたんや?お腹か、お腹痛いんか?」アタフタ
絹恵「いや、ちゃうねん…あんな、電車でその…男の人に」ゴニョゴニョ
洋榎「おおおお、男ぉ?もしかしておまえかー!須賀ぁーー!!絹に何さらしてけつけんねん!!!」
俺がいることバレてた!?
京太郎「い、いや、俺じゃ―」
洋榎「どたまかち割って、脳味噌チューチュー吸うたろかぁ!ああ゛!!」
京太郎「ひっ!…そ、それでも僕はやってない!信じてください、洋榎さん!」
洋榎「やった奴は皆そう言うんや!!」
京太郎「やってない人だってそう言いますよ!?」
洋榎「あんなぁ…いくら絹がうちに似て美人やからって、してええことと悪いことがあるやろ!?」
京太郎「いや、全然似てませんし、それに洋榎さんはそれほど美人ってわけじゃ…」
洋榎「あ゛!?」
アカン、誰か助けて
絹恵「お姉ちゃん、なにしてるの?」
洋榎「へ……ちゃうねん、ちょっとその…痴漢魔に尋問をやな」
絹恵「痴漢?、まぁええわ」
絹恵「あんな、ほんでその…おっさんに盗撮されそうになってたんや」
洋榎「へ」
絹恵「でも、なんやしらんけど…急にカメラの入ってた鞄が倒れてな、そんでその人取り押さえられたんやけど…」
洋榎「せ、せやったん。絹はなんともなかったんか?」
絹恵「うん」
洋榎「でもなんでこない遅く…?」
絹恵「その後、警察の人とかと話してたんや」
洋榎「それだけやないやろ?」
絹恵「…うん。そんで電車で帰ろうと思ったんやけど」
洋榎「…怖かったんやな」
絹恵「うん、だから歩いてきたんや。はは、馬鹿みたいやろ?」
洋榎「……そないなことない。でももう安心しぃやぁ、お姉ちゃんがついてる」ギュ
絹恵「お姉ちゃん…」ギュ
京太郎「……」
絹恵「私、子供みたいやね」
洋榎「うちからしたら、絹はまだまだ子供や」
洋榎「せやから、もっとお姉ちゃんのこと頼ってもええんやで」
絹恵「うん」
京太郎「……」
_________
______
__
京太郎「いいんですか、先に行かせちゃって?」
洋榎「おかんがおるから、ええんや」
京太郎「そうですか」
洋榎「……結局、おまえちゃうんかったんか?」
京太郎「さっきから、そう言ってるじゃないですか」
洋榎「もしかして、その盗撮魔の鞄倒したのって?」
京太郎「……さぁて、電車の揺れで勝手に倒れたんじゃないですかね」
洋榎「絹と一緒におったんは?」
京太郎「こんな夜に、美少女が一人で歩くのは危険でしょう?」
京太郎「それに俺、美人の住みやすい街づくりを目指してるんで、その一環ですよ」
洋榎「ぷっ、なんやそれ」
京太郎「あ」
洋榎「?」
京太郎「初めて笑ってくれましたね」
京太郎「怒ってるより、そっちの方がずっといい感じですよ」
洋榎「あほか」
京太郎「その通りです」
洋榎「なぁ、その…一人で寂しくないんか?」
京太郎「それが…よく分からないんですよね」
京太郎「最初のうちはそう思っていたのかもしれません」
京太郎「でももう、そんな気持ちも忘れてしまいました」
洋榎「……」
京太郎「じゃあ、そろそろ行きますね。今日の寝床探さないと」
京太郎「運がよければまた会いましょう。さよなら」
京太郎「え、なんですか?」
洋榎「夕飯まだやろ?」
京太郎「そうですけど…」
洋榎「ほんなら、うちで食べていきぃ」
洋榎「おかんのから揚げは絶品なんやで」
京太郎「え、でも…」
洋榎「うちがええって言ってるんや、かめへん」
京太郎「えーと…それって、お礼ってことでいいんですかね?」
洋榎「ちゃ、ちゃうわアホ!困ってる人がおったら助ける、当たり前やろ!?」
最初助けてくれなかったじゃん!?
京太郎「…分かりました、せっかくだから頂いていきますね」
洋榎「そ、そうか…よかった」ホッ
京太郎「……洋榎さんも素直じゃないですねぇ」
洋榎「う、うっさい///」
京太郎「はいはい」
洋榎「…絹のこと、ほんまありがとうな」ボソ
京太郎「?」
洋榎「ほな、帰ろか」
京太郎「…ええ」
京太郎「あ、そういえば大事なこと一つ聞き忘れてました」
洋榎「?」
京太郎「洋榎さんと絹恵さんって、姉妹なのに胸の大きさが全然ちが――」
洋榎「ふんっ」スパーン
京太郎「あふん」
大阪の人のツッコミってすごい。改めてそう思った
疲れたので寝ます
また、水曜日の夜11時ごろ投下すると思います
おやすみなさい
また、水曜日の夜11時ごろ投下すると思います
おやすみなさい
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