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元スレ八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」凛「これで最後、だね」
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“本当に大事なものは、失ってから気付くもの”。
よく聞く言葉だが、実際の所真理でもある。
当然だ。いつだって人は幸福を日常と捉え、不幸を非日常とする。
自分にとっての“当たり前”が恵まれているという事に、人は気付けない。
ならば、俺はどうか?
俺にとっての大事なものとは何で、失いたくないものとは、なんなのか。
昔の俺ならば、それは家族と答えたかもしれない。
いや、もちろん今でも言える。だが昔と違うのは……
俺なんかの事を見てくれる、そんな奇特な奴らが増えたという事。
友達と言ってくれる奴らもいた。
信じてくれる奴らもいた。
……俺に、見ていてほしいと言ってくれる奴も、いた。
そんな奴らが出来て、俺にも失いたくないものがあるんだと、最近になって自覚する事が出来た。
それは他の奴らからすれば何て事の無い存在なのかもしれない。いて当然の関係だと言うかもしれない。
だが、俺には分かる。
彼らがいてくれる、その大切さを。
いてくれる、その尊さを俺は知っている。
いて当たり前なんて事は、決してないんだ。
こんな事、本人たちの前では口が裂けても言えはしまい。
言えたとしても、いつものように捻くれた物言いになってしまうだろう。
だがいつかは。
いつかは、ちゃんと言葉に出来たらと思う。
あいつらの存在が。
どれだけ、俺を救ってくれたのかを。
……まぁ、その内な。
それと、最近他にも大事なものを一つ自覚した。
それもある意味では尊く得難いもので、誰しもが望むものとも言える。
以前の俺であれば、そう難しくなく得る事が出来たのだが、今ではそれも無理だ。
本当に、大事なものは失ってからしか気付けない。
その大事なものとはーー
小町「お兄ちゃん! そろそろ凛さん来るんでしょ! ほらさっさと着替える!」
八幡「……なんでお前が張り切ってんだよ」
休み、休日、ブレイクタイム?
なんでもいいから、たまにはゴロゴロさせてくれ……
場所は千葉県某所にある比企谷家。
久方ぶりの休日に、俺は心行くまでゴロゴロしようと思っていたのだが……
小町「凛さん、夕飯も食べてくの? なら買い物行っておいた方がいいかな」
八幡「別にいーだろ。食う事になっても、最悪外食すりゃいいし」
小町「何言ってんのもう、これだからゴミいちゃんはダメなんだよ!」
八幡「なんで今俺罵倒されたの……」
話の通り、今日は凛が家にやってくる。
久しぶりに休みを満喫できると思っていたのだが……まぁ、仕方あるまい。
お返しを考えるのも面倒だったし、これで済むなら安いもんかもしれんしな。
ともすれば、一番面倒なのはこの妹かもしない。
小町「いい? 彼女が家に行きたいって言ってる、それはつまり、彼氏の家でのんびりしたいっていう意味なんだよ? なのに外食なんてしたらいつもと変わらないでしょ。OK?」
八幡「OKじゃないが。つーかそもそも彼女じゃない」
何故こうもノリノリなのだろうかこの妹様は。
それと彼女が彼氏の家に行きたいとか、その話はやめろ。いつぞやのクイズを思い出す。
小町「そんな細かい事はいーの! お兄ちゃんも一応料理出来るんだから、ここは振る舞ってしかるべきだよ!」
全然細かくない。
つーか、え? 俺が料理すんの? 何それ最高に面倒くさい。
八幡「何でわざわざ俺が作らなにゃならんのだ。尚更外食を推すぞ」
小町「減るもんじゃないし、いいじゃん。それにここで家庭的な面を凛さん達にアピールすれば、専業主夫を目指すお兄ちゃんとしても好都合でしょ?」
八幡「好都合とか言うな。まぁ確かに俺の主夫度を見せてやるのもいいかもしれんが……ん? 凛さん“達”?」
小町「あ、やばっ」
俺が言われた台詞に疑問符を浮かべていると、小町は慌てて口を抑える。いや露骨過ぎんだろ。
八幡「……お前、何か隠してるだろ」
小町「な、何を仰ってるか分かりませんなぁ」
面白いくらいに目を泳がせる小町。
怪しい。もう何が怪しいって姉ヶ崎のバスト逆サバ疑惑くらい怪しい。
俺がもう一度問いつめようとすると、しかしそこで我が家のチャイムが鳴る。
それに反応する小町。功を奏したとばかりに、その場から逃げる。
小町「あ、凛さんもう来ちゃったね! 小町お出迎えしてくる~☆」
八幡「あ、おいこら」
俺の静止虚しく、小町はたったかと行ってしまった。
激しく嫌な予感がするが……まぁどうしようもないか。
とりあえずリビングで待機。
その辺の雑誌を片付けつつ、気持ちを落ち着ける。
小町のせいで、何か俺まで緊張してきた。
いや、別に遊びにくるだけだからね? 深い意味は無いからね?
そうだ。両親も帰ってくるし、小町だっている。
……逆に言えば、夜まで両親は帰ってこないし、小町が出かけれガ二人っきりだな。
八幡「…………」
おおおおおお落ち着け俺。
そうだ、雑誌でも呼んで待とう。すげー自然だろ、うん。
テーブルの上に投げ出された雑誌を手に取り、その表紙を見る。
『彼氏必見! 女の子をお家に招いた時の必勝法特集♡』
何を読んでんだあの妹はぁ!?
いや完全にこれ俺への当てつけですよね!
や、やばいぞ。こんなん凛に見つかったら何を勘違いされるか。決して俺が買ったわけじゃないのよ?
とりあえず、その雑誌は本棚のジャンプに挟んで隠しておく。
なんかエロ本を買う時のカモフラージュみたいで嫌だが、今はこうするしかあるまい。
と、ここでリビングのドアが開けられる。
危なかった……
小町「さぁさ、どうぞどうぞ~」
最初に小町が入ってきて、その後に来客者を招き入れる。
八幡「おう、遅かった…な……」
だが、リビングへと入ってきたのは凛だけではなかった。
奈緒「うーっす」
加蓮「お邪魔しまーす」
卯月「こんにちはプロデューサーさん」
未央「やっはろー☆」
輝子「フヒ……ここが、八幡の家……」
凛「あはは……お邪魔するね、プロデューサー」
八幡「…………」
うわっ…俺のお客さん…多すぎ…?
なんて言っている場合ではない。何でこんなにいるのん!?
八幡「凛、いや小町。どういう事だこれは?」
小町「そこで小町に聞いちゃう辺り、信頼されてるなぁ」
八幡「ある意味ではな」
つーかこんな事態、お前意外に考えられないですしおすし。
小町「そりゃ小町だって、本当は凛さんと二人っきりにさせてあげたかったですよ? 凛さんだって勇気を出して言ったわけですし」
凛「いや、私は別にそんな…」
なんか凛が顔を赤くしながら抗議しているが、小町はそのまま続ける。
絶対悪いと思ってないだろ。
小町「だけどそこで考えたわけですよ。もしも、もっとアイドルの皆さんが来たら、どうなるか……」
奈緒「どうなるんだ?」
未央「最高に面白そう!」
小町「Yes!」
最低にはた迷惑です。本当にありがとうございました。
YesじゃねーよYesじゃ!
卯月「でもえっと、小町ちゃんは悪くないんですよ?」
未央「元は凛から聞いて、私たちも行きたい! って言ったのが発端だからね」
小町をフォローするように言う二人。
なるほど。それで小町へ連絡して、OKを貰えたと。いや小町がOKしてる時点でおかしいけどね? 俺に聞いて!
つーか、いつの間に連絡先を交換してたんだこいつらは……
加蓮「えーっと、なんかゴメンね凛」
凛「別に大丈夫だよ、多い方が楽しいし。……ていうか、そもそも二人っきりになりたかったわけじゃないし」
申し訳なさそうに言う加蓮に対し、凛は気にしてないという風に返す。
が、最後の方は拗ねた風だった。
いや、分かってはいたけどね。うん。そんなはっきり否定されるとちょっと傷つく……
輝子「八幡、キノコはどこに置けば……?」
八幡「え? あ、あぁ。とりあえずそっちの隅の方に…………って何ナチュラルに持って来てんだお前は」
輝子「フヒ……ロケに行った時の、お土産……」
え? なにそれくれんの?
滅茶苦茶いらないが、滅茶苦茶断り辛い。どうしよう。
八幡「なんかすっごい緑色なんだが……」
輝子「フフフ、八幡をイメージしてみた」
八幡「お前の俺へのイメージって苔が生えてんの?」
仕方ない、受け取るだけ受け取っておこう。
なんか凛が遠い目でキノコを見つめているが、トラウマは刺激してやらないのが吉だ。そっとしておいてやろう。
卯月「でも、突然こんなに押し掛けて本当に良かったんでしょうか……?」
島村が今更ながら遠慮がちに問うてくる。
八幡「まぁ……………………………………いいわ。どうでも」
奈緒「めっちゃ間を開けた割に投げやりだ!?」
そら投げやりにもなるわ。
むしろ不貞寝しないだけ褒めてほしいレベル。
小町「まぁまぁ、とりあえず皆さん座ってください♪ 今お茶でも出しますから」
小町に促され、皆一様にソファへと座っていく。
つーか席足りるか?
俺がテーブルの椅子を持ってこようかと思っていると、キッチンへ向かう小町の独り言が聞こえてきた。
小町「なるほど、人数が多いとお兄ちゃんの部屋へ招けないわけか……これは後々の反省点として…」ブツブツ
妹って怖い。
本気でそう思いました。
その後はお茶を飲みながら雑談に花を咲かせ、ゆったりとした時間が流れていた。
途中俺が隠した雑誌を見つけられて焦ったが、別に俺が買った訳じゃないし? ちょっと読んでみたいとか思ってないし?
奈緒がジャンプ読もうとしたのは誤算だったな……
そして1時間程たった頃、小町が時計を見てこんな事を呟いた。
小町「そろそろ着く頃かなー……」
瞬間、俺は背筋に冷たいものを感じた。
そろそろ、着く……?
なんだそれは。それでは、まるでーー
他に誰か、この家に向かって来ているようではないかーー?
いや待て、もしかしたら宅配便とかかもしれない。
まだ可能性はある。Amazonで何か頼んだとか、きっとそんな所だ。そうに違いない!
と、そこでピンポーンとチャイムが鳴る。
小町「あ、結衣さんたち来た」
やっぱりなのぉーーーー!!?????
八幡「あ、俺そろそろ夏イベ始まるからオリョクルしてk…」 ガッ
凛「どこ行くの? プロデューサー」ニッコリ
奈緒「お前この前資材は充分だって言ってなかったか?」
凛の握力が強い。
畜生! そこは目を瞑ってくれよ神谷提督!
やがて、出迎えに行った小町と共に新たな客人がやって来る。
まぁ、その面子はある意味では予想通りであったが。
由比ヶ浜「やっはろー! ってうわっ! アイドルがいっぱいいる!?」
雪ノ下「……こんにちわ。お邪魔するわ」
元祖奉仕部こと、雪ノ下雪乃と由比ヶ浜結衣であった。
しかし由比ヶ浜はともかく、まさか雪ノ下も来るとはな……
八幡「お前らまで何しn…」
奈緒「おっ! 雪乃に結衣じゃん、久しぶりだな!」
加蓮「こんにちわ。結衣さん雪乃さん」
俺が話かけるよりも前に、わいわいと挨拶を始める面々。完全に家主が置いてけぼりであった。
そうか、そういやお前らも顔見知りだったな……
未央「ねぇねぇ、プロデューサー。あの可愛い人たちとは一体どんな関係なの?」
八幡「そんな嬉々として訊いてくるな。……あいつらが総武高の奉仕部だよ」
卯月「あ、そうなんですね! 噂には聞いてましたけど、奇麗な人たちですね~」
ここで普通の奴ならお世辞と思うだろうが、言ったのが島村だからな。きっと本心で言っているのだろう。
さすがは雪ノ下に由比ヶ浜。アイドルからお墨付きを頂いたぞ。
由比ヶ浜「わわっ、未央ちゃんに卯月ちゃん、輝子ちゃんまでいるよゆきのん! どどど、どうしよう!」
雪ノ下「分かった、分かったわ由比ヶ浜さん。だから肩をそんなに揺すらないで……」
さっきから由比ヶ浜のテンションが凄い。
まぁ、確かに一般の人からすれば中々お目にかかれない光景だわな。
つーか、更に人数が増えてもうどうしていいか分かりません。
……こうなりゃ、もうやけになるか。
小町「あれ? お兄ちゃんどうしたのケータイなんか取り出して」
八幡「いや、なんかもう折角だから俺も呼ぼうかと」
小町「え? 呼ぶって……誰を?」
八幡「友達」
そう言った瞬間、雪ノ下と由比ヶ浜が目を剥くくらい驚いていたが、それはこの際置いておく。
*
戸塚「こ、こんにちは」
そう言って遠慮がちに入ってくるのは、マイエンジェル戸塚たん。
呼んで良かった。掛け値なしに。
八幡「戸塚、良く来てくれた」
戸塚「ううん、遊びに誘ってくれて嬉しかったよ。……ちょっと女の子が多くて緊張しちゃうけど」
そう言って照れたように笑う戸塚。
あー癒されるー、ノンケになるーって元々ノンケだった。
八幡「……で、なんでこいつまでいんの?」
材木座「クックック……呼ばれて飛び出て、剣豪将軍良輝ゥゥウウウウ、っ参上!!」
八幡「いや呼んでないし」
別に飛び出てもいなかった。
戸塚「来る途中で会って、折角だから一緒に遊んだら楽しいかと思ったんだけど…」
八幡「……まぁ、戸塚がそう言うんならいいか」
と、そこでまたも本田が興味津々といった様子で訊いてくる。
内容は先程と同じ質問。
未央「それでそれで? その可愛い人とプロデューサーはどんな関係なの?」
八幡「一番大切な人だ」
由比ヶ浜「即答だ!?」
驚く由比ヶ浜を皮切りに、一同が驚愕する。
え? 俺なんか変な事言った?
凛「い、一番、大切な人…………ふーん、そっか。そうなんだ……」
中でも凛は特に衝撃を受けたご様子。
というか、妙にギラついた目で戸塚を見つめていた。
凛「戸塚さん、だっけ? 私は渋谷凛。よろしくね」
戸塚「え? あ、うん。こちらこそよろしく……」
何故か知らんが燃えている凛に、たどたどしく挨拶を返す戸塚。
……まさか、凛のやつ戸塚を狙ってるわけじゃあるまいな。許さない! そんなの八幡許しませんよ!
由比ヶ浜「いやいや、なんか皆勘違いしてるけど、彩ちゃんおt…」
未央「おぉーっと!? これはもの凄く面白い展開だぁーーー!!」
小町「ええ! 小町は全部知ってるけど、とりあえず面白そうなんで黙っておきますよぉ!!」
なんか由比ヶ浜が言おうとしたが、テンションの高い二人に遮られる。
お前ら気が合いそうね……
加蓮「八幡さん、あんなに可愛い彼女さんいたんだ……」
奈緒「えぇ!? いや、でも彼女とはまだ言ってないし…」
卯月「でも、一番大切な人って言ってたよ?」
奈緒「ぐっ、確かに……」
あっちはあっちでなんか盛り上がってるし。
あれ、そういや輝子と雪ノ下は……?
雪ノ下「あら。シイノトモシビタケなんて珍しいわね」
輝子「フヒヒ…これがわかるなんて、中々やる……」
……そっとしておこう。
戸塚「八幡から聞いてるよ。渋谷さんが八幡の担当アイドルなんだよね」
凛「な、名前呼び……!? う、うん。そうなんだ」
こっちでは相変わらず戸塚と凛が相対している。
なのに温度差が違うのが何とも言えない。
戸塚「ふふふ。お互い信頼し合える関係って、羨ましいなぁ」キラキラ
凛「ま、眩しい……!」
戸塚のエンジェルオーラにやられたのか、その場にガクっと膝を着く凛。
なんか「ま、負けた……」とか呟いてるが、その体勢はアイドルとしてどうなんだ。
しばらくそんなやり取りは続いたが、由比ヶ浜の「だから、彩ちゃん男の子だし!」という一言でその場は落ち着いた。
そして、材木座が終始空気だった。だから、何で来たんだよお前。
その後、とりあえず俺たちは人でいっぱいになったリビングでゲームをする事になった。
だがテレビゲームでは、一度でやれて多くて精々4人だ。交代制にしたって他がさすがに暇過ぎる。
つーか今ここに12人もいるんだよな。どう考えたって多過ぎる。
そこで、小町が考案したのがこれ。
小町「『ドキっ! アイドルだらけの人生プロデュースゲーム』~☆」
未央「イェーーイっ!!」
どんどんぱふぱふーと聞こえてきそうなテンションで盛り上げる二人。
その手には、一見普通の人生ゲームを持っていた。
卯月「人生……」
加蓮「プロデュースゲーム……?」
奈緒「それって、普通の人生ゲームとは違うのか?」
思った事をそのまま聞いてくれる奈緒。
進行が楽になる良い質問ですね。
小町「基本的には普通の人生ゲームと一緒です。ただし、ちょ~っとばかり小町が細工してありますけどね♪」
八幡「昨日夜中までコソコソ作業してたのはそれか……」
珍しく勉強頑張ってるのかと思ったら、そんな事をやっていたとはな。
俺の労いを返して!
雪ノ下「人生ゲーム……それはつまり、生涯をかけて勝負する、という事で良いのかしら?」
由比ヶ浜「だから、そういうゲームじゃないから!」
そして相変わらず燃えている雪ノ下であった。
猫とパンさんと勝負事の時ばかりは本気を出さずにはいられないらしい。
小町「先にルールを説明しておくと、まず二人一組を作ります」
輝子・材木座「「えっ?」」
八幡「落ち着け。これは遊びだから。はぶられる事は無いから」
とはいえ俺も二人と一緒に少々過敏に反応してしまった。
全く、ぼっちにとって『二人一組』なんて言うもんじゃない。怯えちゃうでしょうが。
小町「アイドルとプロデューサーで役割を分け、そのコンビでゲームを進めて行くわけですね」
未央「それじゃあ、組み合わせはどうするの?」
八幡「戸塚、俺と組もう」
由比ヶ浜「答えを聞く前に!?」
いやだって碌な選別方法じゃなさそうなんだもん。
断言出来るが、戸塚とは組めそうにない。ならこれくらいはやって然るべきだ!
小町「私と未央さんは進行&銀行役なので、他の皆さんでくじを引いてもらいます」
人生ゲームに進行って必要なの? というツッコミはさておき、なんだ。意外とまとも…
小町「お兄ちゃんと凛さん意外は!」
八幡・凛「「えっ?」」
戸塚と組める可能性があると安堵した途端のこれだ。
え、つまり俺と凛は強制的にコンビって事?
小町「だって、お兄ちゃんは凛さんのプロデューサーでしょ? ならやっぱりゲームでもそうじゃないとね」
凛「……私は、それでもいいけど?」
と、どこか期待の眼差しでこちらを見る凛。
いやこれ断れる雰囲気じゃなくね? ……まぁ、別に断る理由も無いのだが。
八幡「……ま、いいんじゃねーの。それで」
小町「はい! 双方の了解を得られましたので、他の方はこちらのくじを引いてください~」
そしてくじを引いていく面々。
由比ヶ浜はなんか「むー」っと唸り、凛は小さくガッツポをしていたが、まぁ、気にせずにいこう。
ちなみに組み合わせはこんな感じ。
奈緒「お、雪乃か。よろしくな」
雪ノ下「ええ。私がプロデューサーになったからには、あなたを必ずトップアイドルしてみせるわ」
奈緒「お、おう。……これ、ゲームだからな?」
由比ヶ浜「よ、よろしくね卯月ちゃん!」
卯月「うん! 頑張ろうね結衣ちゃん」
由比ヶ浜「う、うわ~本物だよ~……緊張してきた…」
戸塚「えっと、輝子ちゃん、でいいのかな?」
輝子「う、ん。……彩加って、呼んでもいい……?」
戸塚「もちろん!」
材木座「クックック、お主が今宵のパートナーか。我と共に勝利を掴み取ろうぞ!!」
加蓮「ぷっ…アハハ、何それ? 面白い人だね。まぁ一つよろしく♪」
材木座「…………」
ダダダダダっと駆け寄ってくる材木座。
いや近い、すっごい近いから。
在木材「八幡! 八幡っ! 我の事引かなかったよ!? これ来たんちゃうん!? 今度こそ春が来たんちゃうん!?」
八幡「だから落ち着け材木座! 今のを翻訳するとだな……『うわ何言ってんの? マジキモい。これ以降は関わらないでねムリ☆キモい』って意味だ」
材木座「なん…だと……?」
加蓮「いや違うからね!?」
とまぁこんな感じでコンビは決まった。
良いなぁ、輝子……
その後はダラダラと人生ゲームを楽しんだ……と思う。……楽しめたのか…?
まぁ所詮は人生ゲーム。小町が細工を施したからといって大きくは変わらない。
以下、プレイ中から抜粋。
雪ノ下「どうして株の種類がこれしか無いのかしら? これでは少な過ぎると思うのだけど」
奈緒「いやだってゲームだし、そんな忠実じゃなくていいだろ」
雪ノ下「それに保険には一度しか入れないし、一度使用したらもう入れないというのも納得いかないわ」
奈緒「作った会社に言ってください……」
とりあえず奈緒が大変そうでした。
卯月「結衣ちゃん、その髪型可愛いね。毎日自分でやってるの?」
由比ヶ浜「あ、ありがとう。朝早く起きてセットしてるんだ~」
卯月「へぇ~、私も今度やってみようかな?」
由比ヶ浜「あ、じゃあアタシがやってあげようか? 今日じゃなくても、また遊べたら…」
卯月「本当? 楽しみにしてるね♪」
由比ヶ浜「う、うん!」
ゲームやれ。
戸塚「あ、輝子ちゃん。お家買えるよ。どこがいいかな?」
輝子「出来れば、キノコが沢山置ける所……」
戸塚「そっか、それじゃあマンションは厳しいかもね。でも大き過ぎるとお金が足りないし……あ、こことか丁度良いんじゃないかな?」
輝子「フフ……彩加はやり繰り上手」
混ぜてください(切実)。
加蓮「1、2、3……『ライブを行い大成功。100,000円稼ぐ』だって! やったね!」
材木座「お、おう。これくらい、加蓮嬢の力にかかれば雑作もない事よ」
加蓮「何言ってるの、私たちの……でしょ?」ニコッ
材木座「……は、はちまーーん!」
いやもうそのくだりはいいから。
八幡「……お、結婚だ。…………え、これ結婚のシステムあんの?」
小町「そりゃありますとも。ほら、車にピンさして」
八幡「いや、もう既に俺と凛の分刺さってるんだが」
小町「別にアイドルとプロデューサーったって、結婚は普通にするでしょ? 小町何かおかしい事言ってる?」
凛「ふーん? ……隣に担当アイドルがいるのに、プロデューサー結婚するんだ?」
未央「おおう、しぶりんチームの車が修羅場に……」
え、これ俺が悪いの?
そんな感じで、人生ゲームは終わったのだった。
ちなみに一着は島村・由比ヶ浜チーム。雪ノ下が悔しそうにしてたが、まぁ、いずれリベンジしとけ。
またやるかは微妙だけどな。
気付けば時間も遅くなってきている。
……そろそろ頃合いか。
俺が遅くならない内に、と声をかけ、お開きとあいなった。
それぞれが帰路につく準備を始め、玄関へと向かう。
小町「ほら、お兄ちゃん送っていかなきゃ」
八幡「……まぁ、しょうがないか」
今回ばかりはな。
元々お返しの意味合いで招待したののに、終始騒がしいだけで終わってしまった。
玄関の外へ出ると、そこには既に雪ノ下と由比ヶ浜、そして凛しかいなかった。
てっきりアイドル組が一緒に駅まで行くと思ってたんだけどな。千葉在住の奈緒は別にして。
雪ノ下「それじゃあ比企谷くん。渋谷さんをお願いね」
言うと、雪ノ下は由比ヶ浜を引っぱりその場を後にする。
由比ヶ浜「え? ちょっ、じゃ、じゃあねヒッキー! 待ってゆきのん~!」
雪ノ下「……案外、家に遊びに行くというのも楽しめたわ」
言い残して、彼女らは去って行った。
そういや、何気にあいつが俺の家来たの初めてだったんだな。人数のインパクトのせいで気付かなかったが。
しかし雪ノ下が由比ヶ浜を連れて行くというのも中々珍しい光景だ。
……変な気ぃ遣いやがって。
八幡「……そんじゃ、行くか」
凛「……うん」
その場に残された凛と共に、駅へと歩いて行く。
道中、特に会話も無く歩いていく。
こうしていると、いつぞやの帰り道を思い出す。
あの時も、雪ノ下と由比ヶ浜に見送られて帰ったっけな。
その時はまだ凛は名も知れてないアイドルで、俺も、右も左も分からないプロデューサーだった。
それから徐々に成功を重ねて、少しずつ成長していった。
今では凛も、トップアイドルに行かないまでも、大分有名になったと思う。
……早いもんだな、月日が流れるってのは。
俺がそんな事を考えていると、不意に凛が声を出す。
凛「プロデューサー」
隣へと、顔を向ける。
凛は、その透き通るような瞳で俺を見ていた。
八幡「なんだ?」
俺が聞き返すと、凛は何か言いそうになって、
何も言わず、首を振って微笑んだ。
凛「ううん。なんでもない」
八幡「なんだよ、それ」
つられて、俺も笑いを零す。
凛が何を言いたかったのか、俺には分からない。
けれど、不思議とお互いが感じてる事は一緒なような気がした。
通じ合っている、とまでは言わない。
それでも何処か、感じる所はあるんだ。
……まさか、俺がこんな事を思うなんてな。
1年前の俺に、聞かせてやりたいものだ。
凛「……ずっと」
八幡「ん?」
凛「ずっと……こんな日が続くといいね」
空の果てを見つめながら、凛は呟く。
八幡「……そう、だな」
俺も、これに応える。
実際の所、それは叶わないのだろう。
いつかは終わりがやってくるし、俺たちは、それが3ヶ月後だと知っている。
けれどだからこそ、俺たちはその歩みを止められない。
この日々を、無駄にしない為にも。
凛を、トップアイドルへとする為に。
俺は、俺たちは歩いて行く。
先の見えない、この道を。
俺のアイドルプロデュースは、終わらない。
俺に向かってそう言ったのは、名前も知らない一般Pだった。
いつも通りの朝、会社へと出社し、事務所へと入った所。
すれ違い様、そいつは俺に怒りを隠そうともせず、その言葉を吐いて会社を出て行った。
初め、理解するのに時間を要した。
呆然とその場に立ちすくみ、しばらくは頭が処理出来なかった。
だが、やがて俺へ向けられるいくつもの視線に気付く。
軽蔑、憎悪、唾棄するような、その視線。
覚えが、ある。
この、悪意に満ちた視線を。
そして脳が活動を始めた所で、社内がやけに騒がしい事にも気がついた。
鳴り止まない電話。
止まらないFAX。
社員が対応に追われる中、ちひろさんが俺に気付き、やってくる。
ちひろ「比企谷くん……」
そう言って、悲痛そうな面持ちで俺に一冊の週刊誌を渡してくる。
上手く、受け取れない。
手が震えているのが、分かる。
受け取った雑誌の表紙には、こう書いてあった。
『人気アイドル渋谷凛、プロデューサーとの熱愛発覚!?』
頭が、真っ白になった。
そのまま、雑誌を捲っていく。
内容は、俺と凛に対するバッシング。いや、比率的には、俺への方が圧倒的に多い。
凛と俺が自宅前にいる写真が、記載されていた。
『担当アイドルを自宅へと招く下種プロデューサー』
『それだけにあきたらず、他の何人ものアイドルに手を出しているという話も』
『社内での評判も悪く、また不正な取引の疑惑までもが上がっている』
凛も、他のアイドルまでもが、いいように晒されていた。
これは、誰が招いた結果だ?
いや、そんな事は分かり切っている。
思わず、乾いた笑いが漏れそうになった。
本当に。
本当に無様で、滑稽じゃないか。
あれだけ凛の成功を願っていたのに。
誰よりも、凛の手助けをしたいと思っていたのに。
他の誰でもない。
俺がーー
俺が、あいつの道を鎖してしまった。
……なんだよ、気付いてなんかいなかったじゃねーか。
全然気付いてなんかいなかった。
本当に大事なものは、
失ってからしか、気付けないんだ。
乙乙
小町を事務所に在籍させてプロデューサーの家ではなくアイドルの家だと言い張る。
一件落着だな!
小町を事務所に在籍させてプロデューサーの家ではなくアイドルの家だと言い張る。
一件落着だな!
乙
家に行っただけで熱愛みたいな風潮って結局下半身思考だよな
家に行っただけで熱愛みたいな風潮って結局下半身思考だよな
アイドルスキャンダルネタが出ると、あー終わりに近づいてるんだなあ…と実感してくるなあ。
いっつも思うんだが、憶測で人を侮辱して不幸にするこいつらって生きてて恥ずかしくないのかな…しかもこれを特ダネだっつって喜んでんだろ?人を不幸にしておいてさぁ
八幡がやりそうなことの予想はつくが、それを止めてからのひっくり返しが分からんな
おわー…
良い雰囲気と思ったらここに来てやっぱり一悶着あるか…心臓が痛いわ
続き期待してます!
良い雰囲気と思ったらここに来てやっぱり一悶着あるか…心臓が痛いわ
続き期待してます!
この展開、残りおよそ150レスで収まりきるか?
これで最後、だね(このスレで最後とは言っていない)
まあ数多あるssのモバPたちとは比べるまでもなく健全な関係なんですが
これで最後、だね(このスレで最後とは言っていない)
まあ数多あるssのモバPたちとは比べるまでもなく健全な関係なんですが
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- 八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」凛「きっと、これからも」 (381) - [84%] - 2016/5/24 16:30 ★
- 八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」 (1001) - [67%] - 2013/8/22 2:45 ★★
- 八幡「やはり俺のシンクロ率は間違っている」アスカ「は?」 (274) - [47%] - 2014/1/23 5:45 ★
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