元スレ勇者「パーティーの中で、俺が一番弱いんだよな……」
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301 = 1 :
勇者「……」
魔法使い「氷結も効かんな。竜巻もじゃ」
戦士「剣も槍も効かないか……」
僧侶「ど、どうしましょう!?」
勇者「魔法使い。天井に向けて爆裂呪文を撃ってくれ」
魔法使い「ほいほい」 ドオォン!
勇者「……まだ、小さいな」
魔法使い「なるほど。わしにも読めたぞ」 ドン!
勇者「けど、あの魔物がわざわざ出てきた理由がわからない……」
戦士「上司が死んだんだ。顔見せにくらいくるだろう」
勇者「そんなものかな」
魔法使い「……」
勇者「よし、みんな俺に掴まれ!」
僧侶「きゃ」ギュウー
戦士「ん」ギュッ
魔法使い「ほいほい」ニギッ
勇者は移動呪文を唱えた!
302 = 1 :
今夜はここまで。
あと一回でおしまいです。
305 :
一時はどうなることかと乙
306 :
作者が終わらせた作品を外野が騒いで続きを書かせたりするとだいたい質が落ちるのにこの作品は全然落ちてないな
素晴らしい
何が言いたいかって言うと乙
307 = 1 :
お城。
国王「よくぞやってくれた! 勇者よ!」
勇者「はあ」
国王「うむ、父親を超えたようだな」
勇者「そうですか」
国王「まさか魔王を倒してみせるとは思わなんだ……」
国王「褒美については、その……」
勇者「ああ。もちろん、宝物庫をまるごといただくなんてことはしませんよ」
国王「こないだのように、その、国債券などをまぜこぜに要求されても困るんじゃが……」
勇者「そうですか? 現金一括払いでもいいんですが」
国王「やめてくれ!」
勇者「とりあえず、金百万相当をパーティー分として……」
国王「分かったから! 後でな! 宴会も用意しているし!」
勇者「……ま、いいでしょう」
308 = 1 :
広間。
兵士「おお、勇者様! あなたこそ、真の勇者です」
勇者「はあ」
大臣「お父上を超えられましたな!」
勇者「そうですかね」
姫「なんて男らしい……」
勇者「そうでもないです」
町人「いやあ、勇者様って本当にすごかったんですね!」
勇者「どうですかね」
子ども「勇者様は勇者のお父さんより強かったんだねー」
勇者「どうだろう」
309 = 1 :
商人「おお、勇者様、ほら、宴会の準備ができておりますぞ!」
勇者「いや、休ませてもらってもいいかな」
勇者「結構怪我がひどくて……」
兵士「そ、そうなのですか?」
勇者「仲間はもう飲み食いしてるの?」
姫「ええ、お仲間はあちらに」
勇者「……おーい」
魔法使い「うーむ、やっぱりこの国の尻は柔らかさが違うの」サワッ
メイド「きゃあーっ」
戦士「おい、ジジイ」
僧侶「もう、いい加減にしてください!!」
勇者「おーい」
僧侶「あ、勇者様!」
310 = 1 :
勇者「悪いんだけど、俺、まだ背中が痛くて……」
戦士「ああ。まだ癒えてないのか?」
勇者「ああ、さすがに大砲を背中でぶっ放したのは……」
女商人「当たり前でしょう。というか、そんなことをして生きている時点で人間じゃないわ」
勇者「商ちゃん」
女商人「……その呼び方はやめてって言ったでしょう」
勇者「悪いな。いろいろと」
女商人「そうね、まさか空から降ってきて力尽きているとかね」
戦士「ふん」
僧侶「面目ないです……」
魔法使い「さすがに疲れきっとったからな」
女商人「回収費用はサービスにしておくわよ」
勇者「太っ腹だねぇ」
女商人「……そんなに出てないわよ」
311 = 1 :
勇者「ともかく、そういうわけだ。俺は実家に帰るよ」
戦士「実家って、お前一人だったよな?」
勇者「ああ、家政婦さんに月一で掃除だけはしてもらってたから」
勇者「みんなはこれから、どうするんだ?」
戦士「私は……兄の墓参りでもするさ。それが済んだら、また冒険屋稼業かな」
勇者「そうか」
僧侶「私、修道院に報酬を寄附しに帰ります」
僧侶「それで、そのあとは、その……まだ、少し考えてる最中です」
勇者「一人で大丈夫?」
僧侶「だ、大丈夫ですよ!! 私、怪我も少ないですし」
勇者「うん。じいさんは?」
魔法使い「向こうの大陸に、わしも墓参りするかな。あと、気になることがあっての」
勇者「うん?」
魔法使い「……ま、大したことじゃないがな」
312 = 1 :
戦士「勇者こそ、どうするんだ。これから」
勇者「俺は、まあ、褒美ももらったし、ぐーたら暮らすさ」
僧侶「なな、ダメですよ! そんな自堕落な!」
勇者「……商ちゃんは?」
女商人「私は、もうそろそろ逃げるわ。違法な商売をしてたのは知ってるでしょ?」
勇者「しかし、勇者の手伝いをしたとかで」
女商人「ふーっ、それじゃあ、あなたの立場が悪くなるでしょう」
女商人「……それより、本当に顔色が悪いわよ。こっちに戻る途中も、ずっと臥せってたみたいだし」
勇者「あ、ああ。気が抜けてしまってな」
戦士「……」
僧侶「勇者様、無理しちゃダメですよ? まだ優れないのでしたら、本当に」
勇者「うん、そうさせてもらうよ」
313 = 1 :
姫「あら!? 勇者様はお帰りになるのですか?」
勇者「ええ、まあ」
姫「残念ですわ……せっかくご馳走も用意しましたのに」
勇者「またいつでも食べられますよ」
姫「本当ですか? またお城に来てくださいます?」
勇者「はあ」
姫「……もし、勇者様が良ければ、その……」
勇者「……」
勇者「ま、そのうち。どうせ城下町で暮らしてますし」
姫「ぜひ!」
戦士「……ちっ」
魔法使い「これこれ、露骨じゃぞ」
戦士「分かってるが」
僧侶「むぅーっ」
314 = 1 :
町。
町人「お、勇者様!」
勇者「はい」
武器屋「へへ、立派になったもんだな、親父よりよ」
勇者「どうかな」
マスター「勇者くん、今度うちの店で飲んでってよ!」
勇者「気が向いたらね」
防具屋「サインをもらっていいかい? 親子二代で飾るぜ!」
勇者「適当にでっち上げといて」
シスター「勇者様、あなたの勇気が魔王を打ち砕いたのです」
勇者「勝手なことを言うなよ……」
勇者「……」
315 = 1 :
勇者の家。
勇者「……」
勇者「ただいま」
勇者「父さん、母さん」
勇者「……」
勇者「あー、背中いてぇなー」
勇者「……」
勇者「……寝よう」
316 = 1 :
寂れた裏山。
戦士「……」
元仲間「おい、お前、戦士じゃないか?」
戦士「うん?」
元仲間「俺だよ、俺! いやあ、すげぇな、魔王を倒したんだって?」
戦士「……」
元仲間「へへへ、勇者とのパーティーは解散したんだろ」
元仲間「そうしたらさ、また俺とパーティーを組み直さないか」
戦士「……」
元仲間「おい、黙ってないで……」
戦士「ここは墓前だ。私の兄の」
戦士「騒ぐのはやめろ」
元仲間「な、なんだよ」
317 = 1 :
戦士「……私は金は食うし、リーダーの指示には従わない」
元仲間「あ?」
戦士「仕事も危険なものを受けたがる……だったか」
元仲間「前に外したことを恨んでるのか? そんなこと気にするなよ」
元仲間「お前ほどの腕の持ち主なら、他の冒険者だっていくらでも貢いでくれるだろ」
元仲間「聞いてるぜ、ファンの連中がお前の村に押しかけてきて」
戦士「ああ。だから、兄の墓も、村より奥に移してもらった」
戦士「どこで嗅ぎつけてきたか知らんが、この場所のことは忘れろ。私もお前と会ったことを忘れてやる」
元仲間「なんだよ。な、なんだったら、今度はお前がリーダーでも」
戦士「私はお前をそれなりには信頼していた、かつてはな」
元仲間「なに?」
戦士「だが、今は違う。分かるだろう」
元仲間「……けっ、お高くとまりやがって」
318 = 1 :
戦士「そういうことじゃない。まさか私が、何も知らない間抜けだと思っているのか」
元仲間「な、なに?」
戦士「手っ取り早く稼ぐ手段として、麻薬の密売を引き受けたこと、知っているぞ」
戦士「捕まりそうになったところで、それを仲間の女商人に押し付けたのもな」
元仲間「は」
戦士「彼女はしばらく、盗賊団やら権力者やらに身を売りながら生活していたそうだ」
戦士「本人から聞いた」
元仲間「……そういえば、魔王退治に商人が関わってるって」
戦士「そうだ。その彼女だ」
元仲間「くそっ、まだ生きてやがったのか!」
戦士「……ちっ」
319 = 1 :
戦士「私はな、竜の巣退治でも乗り越えてきた間柄だ。まさかと思っていたよ」
戦士「だが、金目当てに仲間を売る、真性のクズだとはな」
元仲間「へ……へっ!」
元仲間「そんなもの、お前の大事な勇者様だって似たようなもんだろうが!」
元仲間「知ってるぜ? お前らが各国にいくらせしめてたか」
元仲間「もちろん、そんなに表沙汰にはなってないが、結局カネだろ、お前らも!」
戦士「勇者はな、何か理由がないと動けないんだよ」
元仲間「はあ!?」
戦士「あいつはな、富と名声だの、親父を乗り越えるためだの、自分なりに理由をつくらないとダメだったんだ」
戦士「あいつは、結局、他人のためにしか戦ってない」
戦士「すぐ自分で抱え込んで、自分ばかり犠牲にするんだ」
戦士「お前みたいに他人を犠牲にするやつとは違うんだよ!」チャキ
320 = 1 :
元仲間「うっ」
戦士「墓前だ。斬るのはやめてやる」
戦士「だが、これ以上つきまとうなら……」
元仲間「……ち、ちっ」
戦士「他の連中にも近寄るなよ。今度こそ、私がやつの盾になるつもりだから」
元仲間「ふ、ふん、どうせ、誰も魔王を倒したことなんか喜んじゃいない」
元仲間「どうせすぐ忘れて、不満を言い始める」
戦士「結構だな。不満が言えるだけ健全だ」
元仲間「こ、後悔するなよ!」
戦士「後悔するのはお前のほうだろ」
元仲間「な、なんだと」
戦士「麻薬の栽培を行なっていた貴族が処刑されてな」
戦士「密売を頼んだ時の契約書が出てきたそうだ」
元仲間「うぐっ」
戦士「お前のサイン入りのも入ってるそうだ」
元仲間「ち、ちくしょう!」ダダダッ
戦士「……ふん」
321 = 1 :
教会。
神父「僧侶よ」
僧侶「はい! なんでしょう、神父様!」
神父「こ、声が大きいですね」
僧侶「えへへー、元気が私の取り柄ですから!!」
神父「い、いえ、それは良いのですが」
僧侶「何かあったんですか?」
神父「ええ、まあ、なんと言いますか……」
僧侶「あ、今日の晩御飯についてですかね!?」
神父「ち、違いますよ」
僧侶「買い物なら、私、準備しますよ!」
神父「そ、そうではなくてですね……」
神父「僧侶よ。聞きなさい」
僧侶「はい?」
神父「お前にはこの教会を出てもらうかもしれません」
僧侶「ええー!?」
神父(声が大きい)
322 = 1 :
僧侶「……なんて、やっぱりそうですよね……」
神父「分かっていたのですか」
神父「いくら教会に所属しているとはいえ、お前は世界を救った英雄です」
僧侶「そんなことはないんですけど……」
神父「問題なのは、それを妬む人がいるということです。同じ、聖職者でありながら」
僧侶「私、間違っていたんでしょうか? 報酬は寄附に回しました」
僧侶「まだ、一人で布教を行うほどの資格はありませんから、教会所属は当然ですし……」
神父「いいえ、お前は何も間違っておりません」
僧侶「だったら、どうしてなんですか!」
神父「それは……それは、まだ我々も未熟だからです」
僧侶「おかしいですよ! 非がある方が誤りを認めるべきではないでしょうか!」
神父「……」
僧侶「……いえ、神父様に言っても仕方ないです。周りにも直接言っているのですが」
神父「私も手は尽くしているのですが」
神父「なぜ、信仰を持つ者同士ですらこのような……」
323 = 1 :
僧侶「それより、私は、勇者様の風評の方が気になるんです」
神父「勇者、あの若者ですか」
僧侶「はい、あの、神父様も心配なさっていた」
神父「彼は、彼もまた、悩み苦しむ旅人でした」
神父「魔王を倒したと聞き、お前と一緒に帰ってきた時の、彼の晴れやかな顔は忘れられません」
僧侶「そうですよね! あの時はびっくりしちゃって、私も!!」
神父「そ、僧侶、声が大きいですよ」
僧侶「は、すみません!」
神父「コホン」
神父「……ですが、最近では、悪人との付き合いがあっただの」
僧侶「勇者様は、清濁併せ呑む人ではありましたから……」
僧侶「でも! 魔王を倒せたのは、勇者様をおいて他にはいませんでした!」
神父「うむ、彼の功績によって、多くの子どもたちが救われたことは間違いありません」
324 = 1 :
僧侶「神父様、私は悔しいです……!」
神父「う、うむ」
僧侶「もし、神父様が、やはり教会を出て行けとおっしゃるなら、私はそうします」
僧侶「やっぱり、勇者様の下で、神の御意思をまっとうしたい」
神父「……それは」
僧侶「私に、命じていただければ!」
神父「……僧侶よ。指導部から、お前を破門すべきでは、との意見が出ているのです」
僧侶「は、もん!?」
神父「破門です。つまり、お前が、神に並べて、勇者を信仰しているのではないか、と」
僧侶「そ、それは、信仰なんかじゃありませんー!」カァ
神父「う、うむ?」
僧侶「勇者様を、その、その……とにかく、勇者様を思う気持ちは、また、別ですから!」
神父「ふふっ」
僧侶「もうー! 笑わないでくださいよ!!!」
325 = 1 :
神父「お前の気持ちはよくわかりました」
僧侶「……むーっ」
神父「……ひょっとして、我慢していたのですか?」
僧侶「へ、へ?」
神父「勇者の下で暮らしたい、と思っていたのではないですか」
僧侶「そ、そんなこと! ……チョット。でも、私にとってはですね!」
神父「ふふっ、良いのですよ」
神父「自らの心に素直に向き合わねば、真の信仰など得られませんよ?」
僧侶「も、もうっ!」
神父「いずれにせよ、このまま放っておくつもりもありません」
僧侶「はい……」
326 = 1 :
神父「……僧侶よ」
僧侶「はいっ!」
神父「お前が、修道院から冒険者へと出された理由は、私も聞き及んでいます」
僧侶「……はい」
神父「その時と比べれば、お前はずっと成長しました」
僧侶「そうでしょうか?」
神父「少なくとも、他人を陥れるような人間ではないはずです」
僧侶「……それは」
神父「罪は消えません。けれど、お前が示した愛もまた、消えないものです」
僧侶「わ、私はその……!」
神父「ふむ。これを否定するとなれば、また一から学ぶ必要がありますよ?」
僧侶「あう……」
神父「……私はお前の愛を信じましょう。そして、それが指し示した光を、絶やさぬようにしましょう」
僧侶「は、はいっ!」
327 = 1 :
勇者の家。
ドンドン。
勇者「……」
ドンドン。
勇者「……調子悪いから! 帰ってくれないか!」
勇者「……」
勇者「はあーっ」
勇者「……」
勇者「親父と比べて、人を散々馬鹿にしたような目で見てたくせに……」
勇者「手のひらを返されると、こうも不愉快なものかな……」
勇者「……」
勇者「みんな、どうしてるかな……」
勇者「あー……」
328 = 1 :
ドンドン。ドンドン。
勇者「……ちっ」
勇者「うるせぇぞっ!」ガチャッ
魔法使い「わしじゃよー」
勇者「うおおわっ!?」
魔法使い「ほい、おじゃまするぞい」
勇者「ま、魔法使い!? お前、墓参りがどうとかって」
魔法使い「そんなもん、何週間前だと思ってるんじゃ」
魔法使い「戦士や僧侶と違って、わしゃ移動呪文も使えるしの」
勇者「いや、けど、なに?」
魔法使い「どうせ、家の中で腐っとると聞いてな」
勇者「いや、そうだけどよ……」
魔法使い「うひゃひゃ、エッチなダンスショーにどうかと思ってな」
勇者「……マジで言ってんのか?」
魔法使い「マジじゃよ」
勇者「そこは嘘でいいだろ」
329 = 1 :
魔法使い「で、本気で腐っとるなら、説明するが」
勇者「あー、例の気になること、か?」
魔法使い「大当たりじゃ。さすがにそこまでは抜けとらんかったか」
勇者「……なんだよ」
魔法使い「お前さんも気にしとったろう。魔王城を破壊したあの魔物」
勇者「ああ、そうだな」
魔法使い「盗賊どもががれきの山をずっと漁っててな」
勇者「おお……そういえば」
親分『まあ、魔王を倒すだろうとは思ってたけどよ、まさか城ごと壊すかね……』
勇者「とかなんとか」
魔法使い「うむ、で、どうも彼奴らが調べたところによると、あの下に大穴が空いてるそうでな」
勇者「……よく沈まなかったな」
魔法使い「例の機械竜がずっと掘ってて、開けちまった、のかもしれん」
勇者「嫌な展開だな」
330 = 1 :
魔法使い「で、どうする?」
勇者「どうするって、なんだよ。悪いが俺は土木工事屋じゃあないぜ」
魔法使い「そうじゃなくてな」
勇者「……そうだな」
勇者「あの魔物がわざわざ姿を現した理由は考えていたんだが……」
勇者「要するに、何か重要なものを隠すために、囮になったんだと思っていた」
勇者「それが、その大穴だってのか?」
魔法使い「かもしれんの。罠かもしれんが」
勇者「……かもしれない、か」
魔法使い「暇なら劇場に寄るついでに、そっちにも寄ってみんか?」
勇者「そっちがついでかよ」
魔法使い「どうせ気晴らしもできとらんのじゃろ」
勇者「……ああ」
331 = 1 :
勇者「なんつーか、その、魔王を倒して、おしまいってつもりではいたんだけど」
勇者「そうじゃないんだな。みんな、結局、態度が変わるだけで、前と同じだ」
魔法使い「それが分かっただけ、大したもんじゃ」
勇者「なんだよ、急に褒めて」
魔法使い「ほっほ」
勇者「……正直、しんどい」
魔法使い「勇者父もそう思ってたのかもな」
勇者「……そうかな」
魔法使い「さて。で、お前さんはどうしたいんじゃ」
勇者「実は、この家はもう譲渡することに決めてたんだ」
勇者「この間こもってたのは、財産を整理するのに書類を作っててな」
魔法使い「ほほう」
332 = 1 :
勇者「俺もさ、親父や母さんに、こだわりすぎてたかもしれなくて……その」
勇者「ただ、それ以上は、何をやったらいいか、分からなくて」
魔法使い「ほっほ、ええんじゃ、そんなもの」
魔法使い「たとえどれほど知識を蓄えても、道を見失うことは多々あることでな」
勇者「……魔法使いもか?」
魔法使い「血迷わなければ、お前さんについて魔王を倒しに行こうなんて思わんしな」
勇者「……」
魔法使い「何じゃ、どう思い出しても、会ったばかりのお前さんは頼りなかったぞ?」
勇者「うるせえな」
魔法使い「ほっほ」
333 = 1 :
勇者「そうと決まれば、もう旅に出る準備はしてあるんだ。どうせ出ていくと思って」
魔法使い「そりゃ都合がいい」
勇者「しっかし、ジジイと二人旅ってのも色気がないな」
魔法使い「何を言ってる。外に戦士と僧侶がおるぞ」
勇者「え?」
魔法使い「じゃからな、戦士も僧侶も、一時的に戻っただけで、またお前さんと一緒に旅したいと思ってたのよ」
勇者「……」
魔法使い「どうせ、故郷に帰ると聞いて、これでお別れだと勘違いしとったろ」
勇者「いや、だってさ……」
魔法使い「あの時も暗い顔しとったが、まさかそれで泣きそうになってたのか?」
勇者「……いや、その」
魔法使い「甘いのう、勇者は」
334 = 1 :
勇者「……うるさいな」
魔法使い「うひゃひゃ」
勇者「まったく、どいつもこいつも」
魔法使い「ま、わしもどこまでついていけるか分からんしのう」
勇者「ふん、死んだら適当に埋めてやるよ」
魔法使い「期待しとこうかのう」
戦士「……おい、勇者は説得できたのか」ヒョイ
僧侶「勇者様、僧侶ですよー……!」ヒョイ
勇者「お、おう」
戦士「どうもまだ冒険できる余地は残ってそうだからな」
僧侶「こ、今度は、私が勇者様をお助けする番ですよっ!」
勇者「……うん」
勇者「……ああ、ちくしょう」
勇者「やっぱり、パーティーの中で、俺が一番弱いんだよな……」
おしまい
336 = 1 :
というわけで。
まあ、僧侶とのチョメチョメとかいろいろ出てましたけど、これでおしまいですよ。
今回はエピソード主義的に作ったのでので、全部は書かないように心がけました。
書いてないことは想像で補えばいいと思うですよ。
(でも、せっかくだから、戦士の元仲間と女商人のつながりはちゃんと書いたけど)
なんかその他、カスとか言った人には「チクショー!」って言っておくよ。
じゃあね~
337 :
おつおつ
338 :
かすおつ
339 :
乙!
まわりに急かされて書いたのにいい出来とかすごいなー
340 :
落ちも綺麗でよかった乙ん
343 :
なんでぇ、ちゃんとキレイに終わらせられる実力持ってんじゃねーかww
肝心なトコで手ェ抜こうとしやがってww
とりあえず乙だwwww
まあ、もうちょっと続きが読みたいと思う程度にはおもしろかったゾwwww
344 :
乙です
自分も続きを無理強いした感はあるので申し訳ないですが、このラストまで読めて嬉しかったです
勇者の悩んで進んでいくあり様、魔法使いの爺さんの描き方が好きでした
次作も楽しみにしてます
345 :
なんて優秀な作者なんだ
無理強いされたのにより完成度をあげるなんて
もう一度無理強いしたくなるな
346 :
乙
ここまで作ってたんじゃねーのか実は・・・
そう思わせるほどに完成されてたと思う
>>345
ちょっと同意したくなるなwwwwww
347 :
おつんこ
348 :
gdgdになると思ったけど素晴らしい出来だった、乙
349 :
おっつん
>>343
くっせえ
350 :
なかなかに良い勇者物だった
長さもほどほど
魔法使いの爺が良いジジイしてるな
みんなの評価 : ★
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