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    元スレ勇者「パーティーの中で、俺が一番弱いんだよな……」

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    251 :

    AV見てどのタイミングで出すのか議論してるのと同じだな

    252 :

    ここで終わらせるとかこれほどカスな書き手久しぶりに見たわ

    253 :

    なるほど。タイトルに「フェラチオシーン総集編たっぷり120分」
    とか書いてあるビデオを買っといて「本番がない!駄作だ!」
    とか言ってるわけやね。なっとく…

    254 :

    いや、全然違うと思うよ。なるほどー

    255 :

    >>253
    お前w何言ってんのwww

    馬鹿じゃね?

    256 :

    ここで終わりでもアリだと思う
    けどやっぱどうせなら魔王[ピーーー]ぜーってとこまで読みたいってのも本音

    258 :

    では、もう少し書きます。ただ、魔王戦後の方が長く書くことになりそう。
    もう少しお待ちください。

    259 :

    把握

    260 :

    続き把握
    これで終わりってのもアリちゃあアリだけど
    打ち切りENDみたいな終わりかたはちょっとねえ

    つうわけで期待

    262 = 247 :

    おおっ、書いてくれるかwwww
    期待してる!

    263 :

    >>258
    魔王戦を勇者の成長に使ったりもあるけど大魔王とか残り三人の魔王まで出しちゃったから
    風呂敷広げすぎっちゃ広げすぎかもしれないけど頑張れー

    264 :

    今折角盛り上がってきたのにこのオチはべーよ
    続き思いつかなかったからこれで打ち切りなすまんって言われたほうがまだマシなレベル

    265 :

    >>264
    書くって言ってんだからもういいじゃないか

    266 :

    あら結局続くのか
    外野の意見なんか無視して終わりでもよかったと思うけどな

    267 :

    夜。

    勇者「なあ、こんな重装備はいいよ」

    戦士「バカを言うな。最終決戦だぞ、最終決戦」

    魔法使い「最終じゃなかったらどうするんかいのう」

    戦士「だったら、まだ使いドコロがあるってことだ」

    勇者「でもな……」

    僧侶「勇者様、その、でも、魔王軍も強敵です! 皮製の鎧では……!」

    勇者「魔法のかかった兜があるから、大丈夫だと思うんだが」

    戦士「いいわけあるか。皮鎧に軽金属を貼っつけただけでやり過ごしていたとか知らんかったわ」

    魔法使い「道理でよく出血していると思ったわい」

    勇者「いや、節約を……」

    戦士「何度も言うが、お前が一番体力もあり、今度の作戦の中心なんだ。きちんと防具も整えろ」

    勇者「お、おう」

    僧侶「それに、かっこいいですう! この鎧! 勇者様に惚れ直しちゃいます!!」

    勇者「そ、そうか」

    268 = 1 :

    商人「決戦前だっていうのに、惚気ないでほしいわ」

    僧侶「惚気てません! 単なる感想です!」

    勇者「悪いな、商ちゃん。良い装備をかき集めてもらって」

    商人「……むしろ、今までそんな装備で大丈夫だったのかと」

    勇者「他にもいろいろ運んでもらったしな」

    商人「移動呪文を使ってもらったのは一度きりでしたからね。移動にかかった費用は全額請求しますよ」

    勇者「もちろんだ」

    商人「……精霊の鎧、竜鱗の手甲、その他の値がつけにくい商品も含めて、お得な十二万ぽっきり」

    勇者「商ちゃんは商売上手だな」

    戦士(といつつ、半分は国債券で支払いとかな……)

    商人(散々粘ってたくせに、どの口が言うんだか)

    269 = 1 :

    商人「それよりも、本気なの?」

    勇者「何がだ」

    商人「魔王を倒す決戦なのはいいけど、その……」

    勇者「ああ、ここまででいいよ」

    商人「そうじゃなくてね? 半分はその、馬車に積み替えしたけど」

    勇者「そりゃ、馬車に入りきらなかったんだから、しょうがないだろ」

    商人「あんたたちも止めなさいよ。なんで馬車に積むレベルの荷物をこいつ一人に持たせるのよ」

    勇者「ん?」 ずっしり

    戦士「……馬並みか」ニヤ

    僧侶「正直、勇者様の体の構造が知りたいです」

    魔法使い「意外と何とかなったのう」

    商人「何とかなってないでしょ!? あとうまいこと言ってないわよ、戦士!」

    270 = 1 :

    商人「ねぇ、本当に必要なものなの? 爆弾石大砲とか」

    魔法使い「そりゃまあな」

    勇者「一応、図示しておくとだな……」

    親分「おう、こことここと、ここ。三ヶ所だな、でっかい魔物がいたのは」

    勇者「うん。三枚の壁と化している。つまり、真正面から入るなら三連戦しなくちゃならない」

    親分「周囲から攻めるのは無理だぜ……自然の要害と化している」

    親分「俺達みたいな潜入のプロでも、効率を考えるとそんなルートは取れない」

    商人「あ、はい」

    勇者「というわけで、やっぱり体力温存のためにも、大火力で3つほど門をぶっ飛ばす」

    戦士「おかしいよな」

    僧侶「派手な花火を打ち上げるわけですね!!」

    商人「……それより、親分がここにいることに疑問を持つべきなわけ? 私は」

    271 :


    勇者「盗賊たちには、城門と正面の館をぶっ飛ばしたあと、囮として爆発を定期的に起こしてもらいたい」

    盗賊たち『おう!』

    勇者「報酬だけど、魔王城の内部の獲物は好きにしていいよ」

    親分「へへ、あんたなら魔王くらい、簡単に倒せそうな気がするからな」

    商人「……」

    商人「勇者。私もやっぱり、荷物運びをやるわ。大砲背負った勇者なんか様にならないわよ」

    勇者「え? いや」

    商人「大丈夫よ、ちゃんと報酬も請求するし」

    商人「何より、その、あんた一人でそんなに荷物を持つことないわ」

    勇者「そうか……ありがとう、商ちゃん」

    商人「いい加減、商ちゃんはやめて」

    僧侶「……ふん! 勇者様を騙そうとしていたくせに」

    戦士「まったくだな」

    魔法使い「ほっほ」

    272 = 1 :

    勇者「なら、盗賊たちは、娘さんと女商人の護衛も」

    親分「構わんぞ。その……まあ、知らん間ではないしな」

    商人「……よろしく」

    親分「ああ」

    勇者「さて、と。もう行くかな」

    商人「よ、夜に行動するわけ?」

    勇者「ああ。夜目のきく魔物はそれほど多くないらしいし」

    魔法使い「行動は早いほうがいいしの」

    戦士「まったくだ。これだけの準備とはいえ、少し時間がかかった」

    僧侶「ごくっ」

    勇者「行こう」

    商人「……」

    商人(はぁ、かっこ良くなっちゃって……)

    273 = 1 :

    魔王城。

    魔王「側近、いるか」

    側近「ここに」

    魔王「うむ、軍の配置は済んだか」

    側近「計画上ではまだです。最大限、集められる連中は集めましたが」

    魔王「ええと、幹部クラスは角悪魔の娘と、機械竜か。この巨大スライムというのは?」

    側近「新型です。大魔王様が試しに使えと」

    魔王(まーた上司の思いつきかよ……)

    側近「それから勇者の動向ですが……」

    魔王「判明したのか?」

    側近「それが、例の町の住民が口を閉ざすばかりで」

    魔王「それ以外にも探す方法くらいはあるだろう!」

    側近「偵察部隊によれば、人の出入りが多くなってきて、どれが勇者だか分からないと」

    魔王「そんな馬鹿な話があるか」

    側近「マジです。例の町で食い止めていた冒険者が、魔王城にまで近寄ってきていることもあります」

    魔王「くそっ、北の城もつながりを残しておいたのが裏目に出たかな」

    274 = 1 :

    側近「それと、一部部隊で、無理やり任地から召集をかけたことで、不満が上がっています」

    側近「現地の方からも、いつ次の増員が来るのかと」

    魔王「ほうっておけ! どのみちここが潰されたら人界侵攻は失敗だ」

    側近「しかし……」

    魔王「……何か言いたいことがあるのか」

    側近「いえ……」

    魔王「だったらいいだろう! ガス室、催眠室の準備は」

    側近「ええ、トラップはきちんと設置しております」

    側近「ただ、外から来た部隊が、チェック中に引っかかって寝てしまいましたが」

    魔王「コントやってんじゃねーよボケ!」

    側近「解除しようとした魔物もうっかり」

    魔王「全員ボケか!? ツッコミはいないのか!?」

    側近「魔王様でしょう?」

    魔王「うるせえ!」

    275 = 1 :

    ずどおおおおん……


    魔王「お」

    側近「ぬ」

    魔王「でかい音したな……」

    側近「しましたね」

    魔王「伝令は?」

    側近「伝令ー!」

    小悪魔「はいはいはいはい」サササッ

    側近「何があったか報告せよ!」

    小悪魔「何者かが攻めてきたようです」

    側近「……」

    魔王「で?」

    小悪魔「見張りのものがふっとばされたようでして……いま確認中です」

    魔王(使えねぇ……)

    側近「直ちに反撃せよ!」

    小悪魔「はーい、伝えてきまーす!」

    276 = 1 :

    側近「まずいですな」

    魔王「何がだ?」

    側近「いや、せっかく罠をしかけていたのに、壁ごと壊されたのでは」

    魔王「あ……! あの野郎ども!」

    魔王「くそっ、せっかく半年くらい考えたパズル要素も吹っ飛ばす気じゃないだろうな!?」

    側近(あれ半年もかけてたのか)

    魔王「こうなったら、私も出る!」

    側近「いえ、報告があるまではじっとしていてくださいよ」

    魔王「アホか! どうせ壊されるのを黙って見ているくらいなら、自分から壊しに行くわい」

    側近「……」

    魔王「まったく、なんてことだ……」ザッザカ

    側近「やれやれ」

    側近(こいつももう潮時かね)

    277 = 1 :

    魔王城、二の城。

    勇者「うおおおおおおお!」ズバッ

    「ぎゃーす!」

    戦士「おい!? 勇者、先行しすぎだ!」

    僧侶「勇者様ー! まだ大砲の弾が残ってますよー!」

    勇者「俺を盾にして撃ってくれ!」

    魔法使い「囮を使っとる意味があまりないのう」


    機械竜が現れた!


    機械竜「ゴンゴンゴンゴン」

    勇者「!?」

    魔法使い「ほう、こいつは珍しい、機械でできたドラゴンとは」

    機械竜「ゴンゴンゴンゴン」

    勇者「うおおおお、重いぞ!」

    戦士「だから、少しは下がれ!」

    278 = 1 :

    魔法使い「ほれ、氷結呪文」 ピキーン!

    機械竜「ゴンゴンゴンゴン」 カン!

    魔法使い「なるほど、対魔法装甲というわけか」

    僧侶「ど、どうするんですか!?」

    戦士「くっ、硬いぞ、こいつ!」

    魔法使い「んー、ごり押しすれば勝てなくはないが……」

    魔法使い「魔王を控えているしのう」

    勇者「悠長なことを言ってる場合か!」


    機械竜の攻撃! 勇者にダメージ!


    勇者「ぐはっ!」

    戦士「ちゃんと防げ! お前は!」

    勇者「魔法使い! 機械ってのはなんだ!?」

    魔法使い「端的に言えば物を動かす装置じゃな。これを多少組み合わせてできたのがあれじゃ」

    勇者「装着ってどうすれば止まるんだ!?」

    魔法使い「質問ばっかりするな。思い出しとるから待っとれ」

    279 = 1 :

    僧侶「回復ー!」

    戦士「このっ、硬い!」キン

    魔法使い「……ふむ。決まりじゃな」

    勇者「どうする」

    魔法使い「とりあえず、逃げ出すぞ」

    勇者「分かった! みんな、撤退ー!」

    戦士・僧侶「なんで!?」


    勇者たちは逃げ出した!


    魔法使い「ちゃんと扉は閉めておけよ」

    戦士「なんなんだよ!」

    勇者「一度、作戦タイムってことだ!」

    魔法使い「作戦なんぞいらんわい。思い出したから」

    僧侶「どういうことですか?」

    魔法使い「機械っちゅーのは、組み合わせで複数作れるが、もともと同じ動きしかできん」

    戦士「確かに動きは単調だったが……」

    280 = 1 :

    魔法使い「ほれ、掘削呪文!」 ボボボボコォ


    ガラガシャーン!


    魔法使い「これで終いじゃ」

    僧侶「えっと、どういう……」

    魔法使い「落とし穴に落としたんじゃ」

    魔法使い「目の前の敵を攻撃するようにしかできとらんから、目の前に敵がいないとそこで穴を掘るしかない」

    戦士「機械ってのは間抜けなんだな」

    魔法使い「使い方次第じゃな。ほうっておけば大穴を深掘りしてとんでもないことになるかもしれんが」

    勇者「今は魔王が優先だ、急ぐぞ!」

    281 = 1 :

    廊下。

    戦士「ちっ、今、どのくらい深く進んだんだ!?」

    僧侶「思ったより、爆弾でぶち抜けなかったですもんね……」

    魔法使い「ほっ、ほっ、まあ、陽動にはなってたぞい」

    勇者「罠の部屋はぶっ壊せたんだ、あとは地図だと……」

    勇者「こっちの方だな!」

    魔法使い「あー、待て待て。ちょっと休憩」

    勇者「お、おう」

    戦士「はぁはぁ」

    僧侶「ひぃひぃ」

    魔法使い「ほれ、全力で走りすぎて、勇者についていけん」

    勇者「あ、ごめん」

    戦士「くっそ。やっぱり、追いつけないな」

    僧侶「勇者様、早すぎますよぅ!」

    勇者「そう……か?」

    282 = 1 :

    魔法使い「お主、持ってた荷物をほとんど消費したからのう」

    魔法使い「ジジイはもちろん、他の娘たちも、追いつく方が難しいわい」

    勇者「いや、普通に走ってて……」

    戦士「お前、突入前に、重装備って言ってたよな」

    勇者「そうだっけか」

    僧侶「うう、やっぱり勇者様はすごいです!!」

    勇者「あ、ああ、ありがとう」

    魔法使い「……魔王はどうしているのかのう」

    戦士「そりゃ、玉座でふんぞり返っているんじゃないのか」

    勇者「……」

    僧侶「どうしました?」

    勇者「ああ、俺が魔王なら、どうするのかなってさ」

    魔法使い「ふむ」

    283 = 1 :

    勇者「……もし、俺が魔王なら、座して待つってわけにはいかないだろう」

    魔法使い「そうじゃな」

    戦士「……そうか?」

    勇者「ああ。敵が一直線に罠に向かってくれれば良かったんだろうが」

    勇者「そう、だな……魔法使いが言ってただろう。その、精神攻撃の罠を」

    僧侶「ええ。でも、そういうのはなかったですよね?」

    魔法使い「おそらく、最初に眠らせたりする罠をしかけたんじゃろ」

    魔法使い「目の前で幻惑呪文をかけるのは、なかなかこれで難しいからの」

    勇者「うん。でも、それは大砲をぶっ放して、まとめて破壊した」

    勇者「すると、やっぱり情報が混乱すると思うんだ。まともに城を攻略する気がないと」

    戦士「思わせといて、潜入だからな」

    勇者「となれば、伝令の混乱をただ待つというわけにはいかない」

    戦士「だったら、どうする?」

    魔王「……自ら出向いてやる、というわけだ」

    四人『!』

    284 = 1 :

    魔王「どうした、こんなところに現れたのがそんなに意外かね」

    魔王「くくくはは、お前たちにとってはどこで死のうと変わりはないだろう」

    勇者「……」

    魔王「だが、どうも部下は弱くて役に立たん。こんな虫けらども相手に……」

    勇者「みんな、構えろ!」

    魔王「ちっ、話くらい聞け」

    勇者「聞いて欲しいのか?」

    魔王「……」

    勇者「役立たずだの何だの……お前らの言うことはみんな変わらない」

    勇者「『虫けら』『くだらん』の見下し発言ばっかりだ!」

    魔王「ふん、そんなのは人間も同じ事だろう」

    勇者「魔物どもよりはマシさ」


    ――魔王が襲いかかってきた!

    285 = 1 :

    魔王の大火球呪文!


    勇者「ぐわーっ!」

    魔王「はっはっは、口だけではないか!」

    勇者「このやろう!」 ブン

    魔王「ぬおっ!? ちょっと待て!」

    魔王(くっ、おかしいぞ、こいつ! 一発ぶつけたのにいきなり攻撃に転じただと)

    魔王(あと、何を背負ってんだこいつは)

    戦士「勇者! 相変わらずお前は!」

    僧侶「大丈夫です! 鎧の効果で軽減されてます!」

    魔王「だよね」

    魔法使い「ほい、こっちも火球呪文じゃ!」 ゴオオッ

    魔王「おおっと」

    魔法使い「効いとらんな……さすがに魔王か」

    魔王「そ、そうだ、私は魔王だ」

    286 = 1 :

    魔王「私は魔王なのだ!」


    魔王の極大爆発呪文!


    勇者「ぬわーっ!」

    戦士「くうっ」

    僧侶「きゃあーっ」

    魔法使い「魔法防御呪文」 ホワワ

    勇者「いいかげんにしろ!」 ズバッ

    魔王「おまえだっ」

    魔王(くっ、こ、こいつなのだな……報告にあった、不死身のバケモノというのは)

    魔王(だが、人の身でありながら、不死身など、ありえない)

    魔王「勇者よ! 貴様は……」

    勇者「僧侶、大丈夫ならみんなを回復!」

    僧侶「は、はい!」

    魔王「聞けよ」

    287 = 1 :

    魔法使い「筋力倍加呪文」 モロロ

    戦士「やーっ!」 グサッ

    魔王「ぐふっ」

    僧侶「回復しますー!! みなさん集まって!」

    魔王「させぬ!」

    勇者「させる!」ギシッ

    魔王「くっ、ぬっ」

    勇者「くううううっ」

    魔王「……勇者よ、なにゆえ私を倒そうとする?」

    魔王「私を倒しても、人間たちはきっと争うに違いない!」

    魔王「私を倒したところで、魔物が消えることもないのだぞ!」

    勇者「復讐に決まっているだろうが!」

    魔王「なんだと」

    288 = 1 :

    勇者「自分の親を魔物に殺されたんだ。これ以上の理由はないだろ」

    魔王「くだらん、私が殺したわけでもないというのに……」

    勇者「そうだな、そのとおりだ」


    ガイン!


    勇者「あとは富と名声かな!」

    魔王「……俗物め」

    勇者「高尚なあんたは、どんな理由があって人間を襲うんだ?」

    魔王「仕事だからな」

    勇者「は?」

    魔王「いや、ふん……闇の力を世界に行き渡らせ、魔物に住み良い世界を作ることが私の目的だ」

    勇者「なるほど」

    戦士「納得するなっ!」

    僧侶「そんな世界を人界に求めないでください!!」

    289 = 1 :

    魔王「なぜだ? 我らは元来、精霊どもによって貧困な世界に追いやられた種族」

    魔王「つまり、被害者なのだよ」

    僧侶「え、えう、それは……」

    戦士「悩むなっ!」

    魔王「確かに敵対して悲劇を幾度も引き起こしただろう」

    魔王「だが、我らはそれを無くしていきたいとも考えているのだ」

    戦士「嘘をつけっ!」

    魔王「本当だとも。お前たちがめちゃくちゃにしたあの町が、まず友好の――」

    魔法使い「あそこで襲いかかってきたのは魔物の方からじゃの」

    魔王「……先走りがあったのは事実だ」

    魔王「だが、友好関係を築くのにも、なめられてはいかんしな」

    戦士「めちゃくちゃだっ!」

    魔王「さっきからうるさいな、お前」

    290 = 1 :


    魔王の痛恨の一撃! 戦士に大ダメージ!


    戦士「うわあっ」

    勇者「戦士!」

    戦士「うぐっ、くっ、うっ」

    僧侶「か、回復しますっ」


    魔王の竜巻呪文! 僧侶は吹き飛んだ!


    僧侶「きゃああっ!!」

    戦士「げほっ、うっ、くっ」

    勇者「くそっ、こっちを狙えよ!」

    魔王「……弱いやつから潰すのは定石だろうが」

    魔王「いずれにしても、我らは戦いを必ずしも望んではいない……」


    魔法使いは魔封じの杖を振るった! 魔王に効果はなかった……


    魔法使い「……効かんか」

    魔王「……ふん」 ゴスッ

    魔法使い「げほっ」

    291 = 1 :

    魔王「……無論、抵抗する者はこうなるがな」

    勇者「みんな!」

    魔王「これが私の『高尚な』理由だ。納得してもらえたかね」

    勇者「……」

    魔王「脆いな。これ一つをとっても、本来魔物が人間どもの顔色をうかがう存在ではないことは分かるだろう」

    魔王「勇者よ、どうやらお前は違うようだ。もし、お前が望むなら、富や名声もくれてやってもいいぞ」

    勇者「……」

    魔王「そうだ、世界の半分を、お前にくれてもいい」

    魔王「無駄な争いをして、互いに傷つけあうよりその方がよほど合理的だ」

    魔王「どうだ?」

    勇者「……そうだな」

    魔王(おっしゃ)

    292 = 1 :

    勇者「お前、俺の父親を知ってるか?」

    魔王「な、なに?」

    勇者「俺の父親も、勇者のようなことをしていたらしい。今は行方不明だが」

    魔王「……そんなやつのことは知らん。どこで野垂れ死にしたか」

    勇者「強い人だったよ。俺よりずっと」

    魔王「何が言いたい?」

    勇者「俺は、弱いんだよ」ブルッ

    勇者「剣の腕は二流、魔法もダメ、勇気もない……」ガタガタ

    勇者「誰も守れないし、世界だって救いたいわけじゃない」ガタガタガタ

    勇者「でも、そいつが強いばっかりに、そいつの息子だからってことで期待されて冒険に出た」

    勇者「お前と同じさ、魔王討伐なんざ、ただの仕事だ」

    魔王「な、なんだと……」

    293 = 1 :

    勇者「そうだ、仕事だ」

    勇者「そうでなけりゃ、こんなところまで来るものか」

    勇者「とにかく、お前をぶっ倒せば、あとはどうなってもいいんだ」

    勇者「そう思ってたぜ」

    勇者「どいつもこいつも俺を父親と比べて、頼りないだのなんだの……」ブルブル

    勇者「知ってるよ、自分が誰も守れないことくらい、弱いことくらい」ガタガタガタ

    勇者「けどな」ピタ

    勇者「仲間を殺されそうになって、その上バカにされたままで、誰が黙ってますかって!」

    魔王「そ、それは」

    魔王「実に低能な考え方で……」

    勇者「点火ァ!」


    勇者は背中の大砲に火をつけた! 轟音とともに、魔王が吹き飛んだ!


    魔王「」

    294 = 1 :

    勇者「……そ、僧侶、回復!」

    僧侶「ひあは、はいぃ!!」

    勇者「ま、ほうつか、い、補助呪文かけて!」

    魔法使い「……背中が焼けとるぞい、お前さん」

    勇者「ほっとけぇ」

    戦士「げーっほ、えほっ。くっそ、耐えられなかったか……」

    勇者「はぁーっ、はっ、戦士、俺を盾にして攻撃しろ!」

    魔王「……おのれ勇者」

    勇者「第二弾、点火ァ!」

    魔王「やめ」


    勇者は大砲に火をつけた!

    295 = 1 :

    勇者「ぐうっ……!」

    戦士「無茶するからだ」

    僧侶「勇者様!」

    勇者「回復、頼む……」

    僧侶「! はいっ!」

    魔法使い「小手先はなかなか通用せんのう、勇者」

    勇者「……縦列隊形!」

    戦士「ほ、本気か!?」

    勇者「俺を先頭に据えて、戦士と僧侶を魔法使いで挟む!」

    勇者「俺はもう、攻撃しかしないつもりだから」

    魔法使い「後ろは任されたぞ」

    僧侶「前は見ません! 回復だけしますから!!」

    戦士「ああ、ちくしょう、やってやるよ!」

    296 = 1 :

    広間。

    魔王「う、ぐ……馬鹿な真似をしおって……」ガラガラ

    魔王「自爆テロまがいの……」


    ドドドドドド……!


    魔王「お、おい」

    勇者「うあああああああっ!」

    魔王「ばかよせ、まだ態勢が」


    勇者の攻撃! 勇者の攻撃! 勇者の攻撃!

    戦士が後ろから斧を投げつけた! 剣を投げつけた! 爆弾石を投げつけた!


    魔王「やめろ、貴様ら……っ」


    魔王の攻撃! 勇者はひるまずに向かってくる!

    僧侶の回復呪文! 回復! 回復!

    魔法使いは筋力倍加呪文を唱えた! 速度倍加呪文も唱えた!


    勇者の攻撃! 勇者の攻撃! 勇者の攻撃! 勇者の攻撃!


    魔王「こん」

    魔王「おかしい」

    魔王「ふざけ」

    魔王「おのれ」


    ――魔王を倒した!

    297 = 1 :

    魔法使い「……ぜぇはぁー」

    勇者「はぁーっ、はあーっ」

    僧侶「ひぃ、ふう」

    戦士「……終わったか?」

    勇者「ああ。動かない」

    僧侶「やったー!! で、いいんですよね!?」

    魔法使い「うむ、まあな」

    戦士「なら、とっとと脱出だ。宝は盗賊たちが片付けるんだし」

    僧侶「わわわ、ふら、ふらする」

    勇者「大丈夫か?」

    僧侶「あ、えへへ……ありがとうございます」

    魔法使い「やれやれ」

    戦士「勇者。もういい加減、大砲は外しておけ」

    勇者「ああ。そうだな……」

    298 = 1 :

    魔王「……」

    勇者「悪いな」

    魔王「わ、たしは、魔王の中でももっとも弱い……」

    勇者「は?」

    魔王「いや……」

    魔王「……私も、仲間さえいれば……」

    勇者「知らねぇよ」

    魔王「ち……話を聞かないやつめ……」

    勇者「……」

    299 = 1 :

    側近「やはり、ここまでか」

    僧侶「え、え?」

    戦士「魔物の残党か!」

    側近「おっと、もう抵抗するつもりはない。おとなしくやられるつもりもないがな」

    魔法使い「悪いが、もうあんたの上司は死んだよ」

    側近「だろうな。無理もない」

    側近「やつは弱かったのだ」

    勇者「……」

    魔法使い「何か用件があるなら、火炎呪文」ボウッ

    側近「や、やめろっ!」

    魔法使い「もう、面倒くさいことをしとらんで、とっとと地獄に落ちろ」

    側近「おのれ、巨大スライムよ!」


    巨大スライムが現れた!

    300 = 1 :

    戦士「ちっ、面倒な」

    勇者「なんのつもりだ?」

    側近「ここを漁られても困るのでな。悪いが魔王城は破壊させてもらう」

    僧侶「何をする気ですか!?」

    側近「せいぜいお前たちはスライムと戯れていろ」タタタッ

    戦士「うおおっ」 ザシュッ


    戦士の攻撃! スライムは斬撃を受け止めた!


    戦士「剣が効かないぞ!?」

    魔法使い「火炎呪文」ボワッ


    魔法使いの攻撃! スライムは炎を吸収した……


    魔法使い「ふーむ、この調子じゃ粗方の魔法が効きそうにないのう」  ドォオン!

    僧侶「ゆ、勇者様、城が揺れてますよ!」

    勇者「爆発音がしたな……」


    スライムはプルプル震えている……


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