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    元スレ勇者「パーティーの中で、俺が一番弱いんだよな……」

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    101 = 38 :


    父ちゃんは父ちゃんで卑屈だな

    102 :

    卑屈ではあるけどきちんと成すべき事をなしている分不快感はないな

    103 :

    面白い。これは期待!

    104 :


    続き期待

    105 :

    ―――僧侶の場合。

    冒険者登録所。

    勇者「あとは、この、僧侶さんだけか」

    戦士「おい、勇者。本当に大丈夫か、こんなじいさん」

    勇者「大丈夫だよ」

    魔法使い「ほっほ。わしゃ、勇者の父とも冒険したことがあるぞい」

    戦士「……嘘つけ」

    魔法使い「嘘じゃ」

    勇者「嘘かよ」

    店主「あ、来ましたよ。最後のお一方」

    僧侶「どうもー! こんにちはー!!」

    三人(うるせぇ)

    僧侶「やだー! 勇者様ってイケメンじゃないですかー!」

    僧侶「ええー!? 私どうしよう! きゃー!!!」

    106 = 1 :

    僧侶「教会の神父様も、他の小坊主さんも、みんなフツメンだから、私、いくら勇者様だからってね」

    僧侶「そう、イケメンじゃなかったらどうしようかと思ってたんですよぅ!」

    勇者「ちょっとだけ、静かにしてもらっていいかな?」

    僧侶「あ、はい!!」

    勇者「……」

    店主「……どうします?」

    勇者「……」

    勇者「でも、回復役というか、そういう方は……」

    店主「冒険者志願で、教会からの推薦がついているのは、この方しかいないね」

    勇者(……教会からお払い箱の推薦なのかな)

    僧侶 ウズウズ

    店主「木こりの経験もあるってよ」

    勇者「木こり?」

    107 = 1 :

    僧侶「あ、ひょっとして実技試験ってやつですか!?」

    僧侶「私、得意なんですよ! 刃物、ほら、斧!!」スラッ

    戦士「マジか……」

    魔法使い「ほうほう。なかなか重みがありそうじゃの」

    僧侶「ふん、ふん」ブンブン

    戦士「……その体つきで、よく振り回せるな」

    勇者「えーと」

    僧侶「もちろん、回復もお任せ下さい!!」キラッ

    店主「……どうします?」

    僧侶「あ、あの! 私、がんばりますよ。お役に立てるかどうかは知りませんが」

    僧侶「使命感なら負けませんし、ほら、この中じゃ最年少! もっと成長しますし!!」

    僧侶「だから、まあ、その、ぼ、冒険ならお荷物にはなりませんよ!」

    勇者「……まあ、いいか」

    店主「はい、契約成立っと」

    僧侶「やったー!!!!」

    ――僧侶が仲間に加わった!

    108 = 1 :

    高見の塔。

    ガララッ。

    僧侶「あ、あのー! 大丈夫ですかっ!」

    戦士「あ、ああ……しかし、足場が悪いな」

    魔法使い「うむ、じゃっかん朽ちているからのう」

    勇者「一応、魔物退治を頼まれたが、何なんだ、この塔は」

    魔法使い「海に近いじゃろ? 元は大灯台だったようじゃな」

    勇者「ふーっ、魔物だって足場が悪けりゃ落っこちるんだし、補修してくれてもいいのに」

    戦士「勇者、ここの連中は羽が生えているようなやつらばっかりだ」

    勇者「なるほど」

    僧侶「もおお、私にも羽が生えていればいいのに」

    魔法使い「落っこちたら生えるかもしれんぞ」

    僧侶「そんなわけないじゃないですかー!」

    勇者「しっ、静かに」

    109 = 1 :

    悪魔A「ケケ、どうも勇者ってのがいるらしいな」

    悪魔B「大丈夫だろ、ここの主は飛龍様だからな。こないだも訪れた冒険者を一網打尽にしたし」

    悪魔A「上に誘い込めば、飛んでる俺達の方が有利だしな」

    悪魔B「間抜けな連中をぶっ倒して、またボーナスもらおうぜ」


    ………


    僧侶「……行っちゃいましたね」

    勇者「ああ」

    魔法使い「ここのボスは飛龍らしいのう。こりゃ厄介じゃのう」

    戦士「そうだな……飛んでる相手はやりにくいしな……」

    僧侶「な、何を弱気なことを言ってるんですか! こちらには竜殺しの戦士さんと、勇者様がいるんですよ!?」

    勇者「しーっ、声がでかいって」

    110 = 1 :

    戦士「どうする? 勇者」

    勇者「うーん」

    魔法使い「しかし、あれじゃな。魔物どもも、人間を誘い込むという知恵を使ってると」

    戦士「そうなんだよ、私もそれが気にかかった」

    勇者「相手方も、計画立てて陣取ってるわけだよな……」

    僧侶「大丈夫ですよ! 私達なら!」

    三人『……』

    勇者「じゃあ、僧侶はどうしたらいいと思う?」

    僧侶「えーっと、上に誘い込まれるのがダメなら、こっちが地面におびきだせばいいんですっ」

    戦士「どうやって?」

    僧侶「……たきびをする、とか」

    魔法使い「アホの相手は疲れるのう」

    僧侶「えー!? いいアイデアじゃないですかぁ!」

    111 = 1 :

    勇者「まあ、正面突破するのもなぁ」

    魔法使い「ふむ。わしも、飛んでる相手はしんどいしの」

    戦士「確かに……そもそも攻撃が当たらないかもしれない」

    勇者「でも、どうする。相手は上空から狙い放題、こっちは逃げ惑って、攻撃を当てるのにも精一杯、になりかねない」

    僧侶「じゃあじゃあ、いっそのこと、空から攻撃しましょうよ!」

    戦士「どうやって?」

    僧侶「まずてっぺんまで登って……」

    戦士「だから、誘い込まれてるんだってば!」

    魔法使い「ふーむ」

    勇者「いや、その案には俺も賛成だ。上から攻撃したほうがいいかもしれない」

    戦士「相手は飛んでるんだぞ?」

    勇者「ああ。だから、焚き火をたくとはいかないが、地上付近で囮を用意して、その隙に上から攻撃する」

    勇者「……ま、かかしに突っ込んでくれるわけはないから、誰かが囮になるしかないだろうが」

    魔法使い「別働隊というわけかい」

    勇者「どうだろう?」

    僧侶「最高です!!」

    112 = 1 :

    戦士「そこまで悪くはないが、そううまくは行くかな」

    魔法使い「当たらなければ上から攻撃しても意味はないしの」

    戦士「戦力分散の愚を犯しかねない」

    勇者「だから、囮は俺一人でやる」

    僧侶「ええっ!」

    戦士「馬鹿か!」

    勇者「声が大きいって!」

    悪魔A「そうだな」

    悪魔B「見つけてもらいたかったのか?」

    僧侶「ひゃあああああ!」

    魔法使い「爆裂呪文」

    ズドン!

    113 = 1 :

    悪魔ズ『……』

    魔法使い「なんで攻撃する前に声をかけるのかのう」

    僧侶「ああ、びっくりした」

    タッタッタッ……

    「おい、なんか音がしたぞ」「向こうじゃないか」「急げ」


    戦士「ちっ、寄ってきやがったか」

    勇者「よし、作戦開始だ。みんなは隠れながら、上を目指せ」

    戦士「ちょっと待て!?」


    勇者は柱の陰から飛び出した!


    勇者「どんくせー魔物ども! 俺が勇者だ!」

    勇者「相手になるからかかってきやがれ!」

    戦士「あのバカ……!」

    114 = 1 :

    塔の外。

    勇者「はっ、はっ。やっぱり、羽が、生えてる連中は、めんどくせぇ、はっ」

    勇者「……ふぅーっ」

    勇者「雑魚ばっかりだな! もっと強い奴はいないのか!」

    勇者「……飛龍とかな!」

    勇者「……」

    勇者「……来ないな」

    勇者「ふむ」

    勇者「火炎呪文!」ボウ


    勇者は近くの木々に火をつけた!


    勇者「火炎呪文! 火炎呪文!」ボウ、ボウ

    勇者「よし」

    僧侶「何やってるんですかー!」ごん

    勇者「うわっ!?」

    115 = 1 :

    僧侶「勇者様、山火事でも起こす気ですか!?」

    勇者「そ、僧侶……どうしてこっちに来たんだ」

    僧侶「それは、二手に別れるなら二人ずつのほうがいいからです!」

    勇者「バカ! 回復呪文を使えるのは、俺と僧侶じゃないか!」

    僧侶「そ、そうかもしれませんけどぉ……」

    勇者「今のうちに、早く戻れ! 作戦の鍵はあっちのグループの方にあるんだから」

    僧侶「嫌です!」

    勇者「そんなこと言ってもな……」


    ゴォォォォ……


    勇者「! 来た」

    僧侶「う、わー……大きい!」

    飛龍『……火遊びとは感心せんな、虫けらどもよ』

    116 = 1 :

    飛龍は息を吸い込んで、強く吹きつけた!


    勇者「くっ!」

    飛龍『部下が随分やられたと聞いていたが、何をしているかと思えばくだらんことを』

    飛龍『……まさかとは思うが、貴様、この程度の人数で私を倒そうというのではないだろうな』

    勇者「あと二人いる」

    飛龍『変わらんだろうが!』ズバッ

    勇者「ぐわあっ!」

    僧侶「勇者様!!」

    勇者「大丈夫だっ、それより早く行っとけ!」ダッ

    飛龍『ふぅーっ、虫けらとて、撃ち漏らしはせんぞ』

    飛龍『わが爪と牙をくらえ!』ガリッ

    勇者「ぎゃあああああ!!」

    僧侶「勇者様!?」

    勇者「大丈夫だっ! 回復呪文がある!」

    117 = 1 :

    ――数分後。

    勇者「はあっ、はあっ!」タタタッ


    飛龍『ちょこまかと逃げおって……』

    飛龍『いや、当たってはいるのだが』

    飛龍(なんだこいつ、おかしいぞ。一体、どれだけ攻撃を加えれば倒れるのだ)

    飛龍(もちろん、人間がしぶといのは知っておるが、それにしても異常だ!)


    勇者「くそっ、戦士たちはまだか?」

    勇者「そうか、塔に近づかないと、上から攻撃はできないな……」

    勇者「おい、雑魚モンスターめ! お前はその程度かっ!」


    飛龍『……』

    飛龍『やめだ。一度出直す』

    勇者「おいい!?」

    118 = 1 :

    勇者「それは困るっていうか、あのその」

    飛龍『得体の知れない連中だ。人間には未解明の部分が多すぎる……』

    勇者「くそっ、逃がしてたまるかっ」

    僧侶「……やあっ!」


    僧侶の攻撃! ……ミス。


    僧侶「ああっ、やっぱりダメ!?」

    飛龍『くだらんことを』ゴオォ

    勇者「僧侶、危ない!」


    飛龍の攻撃! 勇者は僧侶をかばった!


    勇者「ぐふっ!」

    僧侶「勇者様ー!」

    119 = 1 :

    勇者「だ、大丈夫だ、大丈夫だから」

    僧侶「全然大丈夫じゃないですよぉ! 血だらけじゃないですか!」


    勇者は小さく回復呪文を唱えた!


    勇者「大丈夫だ。まだ動ける」

    僧侶「嘘ですよね!?」

    飛龍『化け物め……! こうなれば、最大威力で決めてくれる!』


    飛龍は大きく息を吸い込んだ!

    ――空から無数の氷柱が降り注ぐ!


    飛龍『ぐおおおおっ!?』

    戦士「……ぁぁぁぁああああああああああ!」 ザブジュッ!

    飛龍『』


    戦士が上空から勢い良く飛び降りてきた! 飛龍に会心の一撃!

    120 = 1 :

    戦士「勇者、無事かっ!?」

    勇者「なんとか」ヒョコッ

    僧侶「そんなわけないじゃないですかー! いま、回復しますから、じっとしてください!」

    勇者「大丈夫だって、まだ動けるし」

    勇者「それより、戦士こそ、あんな高さから落ちてきて大丈夫だったのか?」

    戦士「魔法使いが、氷の呪文を撃つついでに、風でクッションを作ってくれたから」

    勇者「万能だな、あのじいさん」

    僧侶「だからっ、動かないでくださいよ!!」

    勇者「あ、ああ」

    僧侶「無茶ばっかり……! 私、私、やっぱり……」ポロポロ

    勇者「お、おお?」ギョッ

    僧侶「やっぱり私が役立たずじゃないですかぁー……」ボロボロ

    戦士「……」

    勇者「そ、僧侶」

    121 = 1 :

    戦士「あーあ、泣かせたな」

    勇者「お、俺かよ……」

    戦士「魔法使いを迎えに行く。ついでに残党がいれば、倒して安全を確保してくる」

    勇者「あ、おい!」

    僧侶「ううー……」

    勇者「……」

    僧侶「回復呪文、回復呪文……」グスグス

    勇者「……」

    僧侶「私、やっぱりダメですね。力だけは有り余ってるから、放り出されたんだろうけど……」

    勇者「どういう意味?」

    僧侶「多分、教会から厄介払いされたんです、私」

    勇者「……教会で疎まれていたから、冒険者になってこいって?」

    僧侶「……」

    122 = 1 :

    僧侶「はい、回復終わりました!」

    勇者「あ、ああ」

    僧侶「でも、かなり血を流したはずですよ! 今日はもう冒険はやめて、ゆっくり休憩しないと!」

    勇者「そうだな……テント張ろうか」ゴソゴソ

    僧侶「ダメです! 安静にして、戦士さんと魔法使いさんが来るのを待ちましょう!」

    勇者「……分かった」

    僧侶「その間、えっと、これかな、水筒、出しますから」

    勇者「ありがとう」

    僧侶「えへへ、そんなに褒めなくてもいいんですよ!」

    勇者「……」

    勇者「僧侶、下がっていてって言ったのは、その、俺も見えてなかったかもしれない」

    勇者「正直なところ……最後は僧侶に回復してもらえればいい、と思って、きちんと連携を取ることを考えてなかった」

    僧侶「無茶は、ダメなんですよ」

    勇者「うん」

    123 = 1 :

    寂れた村。

    村人A「あんれ、勇者父さんでねぇか」

    勇者「え?」

    村人B「ホントだ、あんた、勇者父さんだろ」

    戦士「ああ、いや、彼はその人の息子さんで……」

    村人A「息子さんだったかー! いや、よく似てんだなぁ」

    勇者「あ、はぁ……」

    村人B「ゆっくりしてってぇ。勇者父さんも、ここにしばらくいたからなぁ」

    勇者「そうですか……」

    僧侶「ほうほう、ここには勇者様のお父様が」

    魔法使い「……ふむ」

    戦士「どうする、勇者?」

    勇者「次の町まで一気に進むつもりだったけど……」

    僧侶「ゆっくりしていきましょうよ、ね!?」

    124 = 1 :

    魔法使い「わしは反対じゃな」

    僧侶「なんでですかー!」

    魔法使い「こんな寂れた村じゃ、かわいい女の子がおらんじゃろ」

    戦士「そんな理由かよ……」

    勇者「あの娘なんかどうだ?」


    村娘「……やだ、お父さん、勇者父さんと息子さん間違えるだなんて」

    村人A「はっはっは、だって似てんだもんよぉ」


    魔法使い「確かにかわいいの。胸も大きいし」

    僧侶「殴られたいですか?」ニッコリ

    魔法使い「でも、ほれ、わしはわきまえとる方でな、素人には手を出さんのよ」

    魔法使い「ちゃんとプロにお願いする。それが男としての礼儀というもんじゃ」

    戦士「ジジイ、こないだもウェイトレスの尻を触ってただろ」

    魔法使い「ウェイトレスは尻を触られるのも仕事のうちじゃ」

    勇者「尻がすり減るぞ?」

    僧侶「勇者様、ツッコミがおかしいですよ!?」

    125 = 1 :

    勇者「ま、いいんじゃないのか。無理して急がなくても」

    僧侶「あ、で、でしたら、武器の買い替えに……」

    勇者「ああ、じゃあ、一緒に見に行こうか」

    戦士「勇者。お前もいい加減……」

    勇者「あ? 戦士も見に行く?」

    戦士「いや、いい。というか、こんな村では良い武器はないぞ。道具類を揃えるくらいにしておけ」

    勇者「言われてみればそうだな」

    魔法使い「お前さんがいいなら、わしも適当にうろつくことにするかの」

    戦士「徘徊老人」

    魔法使い「うひゃひゃ、ただの徘徊ではないぞ」

    戦士「……勇者、このジジイが妙なことをしないように、ちょっと見張る」

    勇者「別に構わんが」

    僧侶「……じゃあ、行きましょう!」

    126 = 1 :

    村の中。

    僧侶「うう、なんだか、デートみたいですね~!」

    勇者「んー?」

    僧侶「デートですよ、デート!」

    僧侶「なんか言ってて恥ずかしくなって来ましたけど……」

    勇者「女の子と二人で歩いてたらデートなのか?」

    僧侶「そ、そうですよ!」

    勇者「……戦士とも何度もデートしてることになんのかな」

    僧侶「あ、あのー」

    勇者「ん?」

    僧侶「もう、二人でいるときは他の女の子の話はNGですよ!」

    勇者「そうか。あ、肉まんじゅうでも買う?」

    僧侶「あー、無駄遣いはダメなんですよ!」

    勇者「僧侶は説教臭いなぁ」

    僧侶「む。私は聖職者ですから、神様の御心に沿う教えをですね」

    勇者「聞こえない」

    127 = 1 :

    村人A「おお、勇者父の息子さんでねぇか」

    勇者「あ、はい」

    村人A「勇者父さんはすごい良い人だったァ」

    村人A「傷だらけでここにたどり着いたんだけど、タダで泊まってけって言ったら、えらい恐縮してな」

    勇者「……」

    僧侶「あ、あー、あの、それじゃ、宿屋は……?」

    村人A「ねぇな。うちに泊まってけばええよ」

    僧侶「そ、そうですか! お願いします!」

    村人A「そんでな、傷が治ってからすごくてなぁ。土が良くないつったら、開墾してくれて」

    村人A「肥料も、良い作り方をいろいろ教えてくれてなぁ」

    村人A「この辺、魔物が強くなってきてな、一人で倒してきてな」

    村人A「怪我もあったし、無茶すんでねぇと思ったんだが、いや、ホント強い人だった」

    勇者「……そうですか」

    128 = 1 :

    僧侶「あのー、私達、そろそろ……」

    村人A「ん。後でお仲間ともども連れてき」

    僧侶「は、はーい」

    村娘「あ、勇者父さんの息子さん」

    勇者「ああ、はい」

    村娘「お父さんが失礼なことばっかり、すみません」

    勇者「いや、えーと」

    僧侶「あの! 村に宿がないというので、今日は一晩お借りすることになりますのでっ!」

    村娘「あ、そうなんですか」

    村娘「えっと、勇者父の息子さんの……彼女さん?」

    僧侶「ぱ、パーティーです!」

    村娘「ぱーてぃー? 私、難しい言葉はちょっと……」

    僧侶「その、冒険仲間というわけです」

    村娘「はぁ……」

    129 = 1 :

    村娘「でも、勇者父の息子さんもかっこいいですね」

    村娘「私、親子揃ってファンになっちゃうかも」

    勇者「そうですか」

    村娘「私、勇者父さんに助けられて……ほら、向こうの方の森、けっこう良い材木があるんですけど」

    村娘「そこで魔物に襲われちゃって……」

    勇者「……」

    村娘「もう、私を抱きかかえて、さっと魔物を斬りつけて!」

    村娘「その時、一人で出歩いちゃダメだって、怒られちゃったんですけどね」

    村娘「結構長い間、この村にいてくれたんですけど、家族もいるしって言って帰っちゃってー……」

    僧侶「あーのー!」

    村娘「は、はい?」

    僧侶「また、お邪魔した時にたっぷり聞きますから、後ででもいいですか?」

    村娘「え、ええ」

    僧侶「あとは、道具屋さんの場所をですね……」

    130 = 1 :

    僧侶「な、なんていうか、失礼な人たちばっかりですね!」

    僧侶「そりゃ、勇者様のお父様も、この村の英雄的な存在だったのかもしれませんけど」

    僧侶「勇者様だって、冠を取り返したり、エルフの子どもを助けたり……魔物の塔を解放したり」

    僧侶「その、いろいろ」

    勇者「そうだね。でも、親父は一人で戦ってたから」

    僧侶「そ、それだって、どうかと思いますね! 私は」

    僧侶「ほ、ほら、私だって、勇者様と一緒じゃなかったら、全然、こんな」

    勇者「うん……」

    僧侶「あのですね~、私はいっぱい、勇者様に感謝してますよ」

    僧侶「だからですね、全然、気にすることなくて、その……」

    僧侶「た、助け合うのが当然なんですよ! 一人でできるばっかりじゃなくて」

    勇者「うん。俺も、戦士や魔法使いや、それに、僧侶がいなかったら、ここまで来れなかったよ」

    僧侶「そ、そう、ですよね!」

    131 = 1 :

    勇者「うん。ありがとう、これからも、よろしく」

    僧侶「はい! よろしくお願いします!」

    勇者「あ、そうだ。ちょっとトイレでも借りてくるよ」

    僧侶「え、ええと、はい」

    勇者「ちょっと、行ってくる」タッタッタ


    勇者(……ここまで来れたのは、みんなのおかげだ)

    勇者(俺が、一番不安材料なんだ)

    勇者(前に出て、盾になるくらいしか、できない)

    勇者(でも、指揮官役がそんなことを繰り返してちゃ、本当はダメなんだ)

    勇者「結局……」

    勇者「俺が、パーティーの中で一番弱いんだ……」


    僧侶「勇者様……」

    132 = 1 :

    僧侶編、おしまい。
    これで、冒頭シーンに戻る感じです。

    今日はこれにて。

    133 :


    続きはある・・・よね?

    134 :


    そういえばVIT特化が明言されてる主人公って案外珍しいよな

    135 :

    続きはまだ溜まってないので、もうしばらくお待ちを。

    >>134
    体力は勇者的には必須だと思うんですよね。リーダーが死んだらAI戦闘なんか出来ませんし……
    だから特徴としてあげられることがないだけだと

    個人的には、「トータルヒーリング!」のあの人とかの、回復勇者も大好きです。

    136 :

    多いに同意
    主人公は頑丈であるべきと思うけど普通の作品は精神力と補整で説明付けちゃうんだよねw
    タフさが武器って説明されてるメイン盾が主人公って新鮮だし期待

    137 :

    DQ3的な勇者だと性格がむっつりスケベタイプか
    体力だけは高い上に体力特化みたいにやたら成長するし

    138 :

    キャラの距離感と話のテンポが絶妙で凄く面白い! 続き期待してます

    139 :

    ケツ出せっ!の人か
    俺もアレは結構好きだ

    続き待ってるわ

    141 :

    今あるSSの中で一二を争う面白さ。
    応援してます

    142 = 141 :

    今あるSSの中で一二を争う面白さ。
    応援してます

    144 :

    側近「魔王様」

    魔王「どうした」

    側近「またしても、やられました。魔王城東の砦が落とされました」

    魔王「なんだと!? あそこには強力な角悪魔がいたはずだ」

    側近「報告によれば、戦死と」

    魔王「うむむ……人間ごときにやられるやつではなかったはずだが」

    側近「もうすでに、飛龍も、大妖樹も、巨人兵もやられました」

    魔王「となれば、角悪魔も」

    側近「ええ、勇者と呼ばれる連中のようです」

    魔王「……まさか、小集団にやられるとは思わなんだ」

    側近「他の魔物たちからも、報告が出ています」

    魔王「よし、報告せよ」

    側近「『倒せない』」

    魔王「……」

    145 = 1 :

    魔王「それだけか?」

    側近「『大して強くないと思っていたら、妙に手こずり、いつの間にか逆転されていた』」

    魔王「油断しておったな……」

    側近「『何回攻撃しても立ち上がってくる、悪夢だ』『知恵の回るやつがいる』『剣の腕の立つ奴がいる』『チビが回復役でウザい』」

    魔王「ふーむ、わからんな」

    側近「『飛龍様の攻撃が数十回当たったはずなのに、血だらけになっても動いている。バケモノだ』」

    魔王「お前も魔物だろ」

    側近「『流し斬りが完全に入ったのに……』」

    魔王「ソウルスティール……まさかこの世界に使い手がおったとは……」

    側近「いまのは巨人兵の遺言です」

    魔王「だったら水鳥剣でもいいだろ!」

    側近「ま、魔王様?」

    魔王「はっ、しまった」

    146 = 1 :

    側近「どうなさいますか……わが軍は削られる一方です」

    魔王「……ゲリラ、テロリストへは、国攻めをしても無駄だ」

    側近「し、しかし」

    魔王「本来、小集団を相手にする際は、警察力と国際協力が必要なのだがな」

    魔王「あいにく、我々は攻める側だ。協力など期待できない」

    側近「では……」

    魔王「本拠地付近まで落とされた以上、例の罠を強化するしかあるまい」

    側近「あの町ですか……」

    魔王「人間の冒険者どもも、魔王城に侵入しようとすれば、必ず補給を要する」

    魔王「どうも体力に自慢があるようだが、ならば体力勝負をしなければよいだけのことだ」

    側近「なるほど……では、夢魔、淫魔の類を派遣します」

    魔王「あ、待て。淫魔は私が楽しむから」

    側近「おい」

    147 = 1 :

    町。

    勇者「ここが最後の補給地になりそうだな」

    僧侶「……はぁーっ、疲れましたぁ」

    戦士「だが、砦もひとつ落としたし、順調に来ているんじゃないか」

    勇者「そうだな……魔王の居城も近いのに、少し弱くなった気もしたが」

    戦士(お前が武器を買い替えたからだよ)

    魔法使い「ふむ。しかし、ここは賑やかじゃの」  ザワザワ、ガヤガヤ

    僧侶「魔王の城に近いのに、ピカピカしてます」

    戦士「思いっきり怪しいな」

    勇者「ああ。用心していこう」

    魔法使い「お、かわいいお姉ちゃんがいっぱいいるのう」

    戦士「ジジイ、ここまで来て」

    魔法使い「たまには仲間以外の尻も撫でたいんじゃ」スルッ

    僧侶「ひゃん! やめてください!」

    148 = 1 :

    町人「おや、冒険者の方ですか」

    勇者「はい……ここはやけに賑やかですね」

    町人「ええ! 何しろここは魔王様に公認いただいた町ですから!」

    戦士「魔王様?」

    僧侶「こうにん?」

    町人「みなさんは冒険者なので、ご存じないと思いますが、魔王様は帰属を誓えば無闇に殺したりはしないのです」

    町人「そればかりか、魔界の技術と融合させて新しい町の発展も考えてくださると!」

    魔法使い「魔物はおるのかのう」

    町人「あ、いやぁ、さすがに冒険者の方もいらっしゃいますし、そのへんはお断りさせていただいてますが」

    戦士(くっそ怪しいがな)

    町人「取引を増やして、ゆくゆくは世界中に商売を広げたいと」

    勇者「……ふうん」

    149 = 1 :

    町人「もしよければ、かわいい女の子も揃ってますよ」

    魔法使い「ほうほう」

    町人「実を言うと、生贄だの人質だので、要求もしていないのに差し出される娘が多くてですね……」

    勇者「……なるほど」

    僧侶「なんてひどい!」

    戦士「待て、そんな子たちを商売に使ってるのか」

    町人「ち、違いますよ。希望者に希望の仕事を割り当てているだけです」

    魔法使い「ふむ」

    勇者「じいさん、気がのらないのか」

    魔法使い「いや、いくぞい。老いたりとはいえ、そう簡単には枯れんわい」

    戦士「ジジイは自重しろよ……」

    勇者「……俺はいいかな」

    町人「あ、でしたら、宿でマッサージというのはいかがですか?」

    150 = 1 :

    勇者「いや、別に……それより、補給を」

    戦士「勇者。補給なら明日でもいいだろう」

    僧侶「そ、そうですよぉ。さすがに激戦を抜けてきたんですから、今日くらい!」

    町人「お嬢さん方もどうです? 美容にも良いですし」

    僧侶「そ、そうですね」

    戦士「私は遠慮する。見せる肌でもないからな」

    勇者「行っとけ。減るものじゃないんだから」

    戦士「……」

    僧侶「行きましょうよ! 戦士さん」

    戦士「勇者が言うなら、まあ、いいだろう」

    勇者「俺は宿の部屋で、先に寝てるわ」

    僧侶「あ、あうう」

    魔法使い「わしは酒場行っとるぞ」

    勇者「ああ。飲み過ぎるなよ」

    魔法使い「さすがに魔王城を控えて、そこまではせんよ」


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