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    元スレほむら「魔法少女の日常」

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    タグ : - まどほむ + - 暁美ほむら + - 魔法少女まどか☆マギカ + - 鹿目まどか + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    751 :

    ありえない話でもないかな

    752 = 745 :

    「嫌な思い出のね。…特に、マミさんにとって。ほら、杏子が見滝原に来た切っ掛け。それがあの魔女だよ」

    「あんときの…そうか。にしても、どういう事だ? ほむらが倒したんだろ?」

    「グリーフシードになったの…見たよ。間違い無い」

    「しかも、結界の外だぜ」

    「とにかく、色々おかしいよ! あたしには分かんないよ! なら、考えても無駄!」

    さやかが剣を構える。魔女は倒す。それだけだ。

    「…直球だな。一応賛成だけど」

    杏子も仕方ない、と槍を構えた。

    「ほむらがいたら、もうちょい冷静に考えるんだろうけど」

    「悪かったね脳筋で! いないんだからしょうがないじゃん! マミさん!」

    753 = 745 :

    「え? あ、ええ! だ、大丈夫! 私だって二度もマミられかけたりしないから!」

    トラウマになりかけた経験だったが、自分は乗り越えた。

    みんなが居たから。

    あんな失態はもう繰り返さない。自分の為、みんなの為に。

    マミは深呼吸で手の震えを打ち消し、迷い無くマスケット銃を構える。

    だが、お菓子の魔女、シャルロッテは、彼女達の事など気にしていないかのように周囲をきょろきょろと見回していた。

    その様子だけを見れば、森で遊ぶ子供だ。

    「…何なの?」

    マミが途惑う。

    使い魔ならいざ知らず、魔女が目の前に居る魔法少女を無視するなどあり得ない。

    754 = 745 :

    「イレギュラー要素が多すぎるわ」

    「イレギュラーって言うとキュウべぇ思い出しますね」

    「暁美さんがイレギュラーなのは、あの子にとってって言うだけよ」

    「で、どうする? なんか、結界の外だと、いまいち目の前に魔女が居るって実感がねぇんだけどさ」

    「油断は駄目よ。気配は増えているわ」

    「…ですね」

    「ああ、二つ…いや、四つくらいあるみたいだぞ」

    匂いで分かるわけでもないが、杏子が鼻をひく、とさせて呟く。

    「魔女が…一気に四人以上?」

    もしも同時に襲われたら自分達は三人。一対一以下になる。

    755 = 745 :

    グリーフシードは少ない。

    「ここ最近で、一番まずい状況かも知れないわね」

    額に冷や汗がつたう。

    腐葉土の地面に水滴が一つ、落下して音も無く弾けたその時。

    木々の枝葉が生き物のように動き、突然花を開かせ、色とりどりの果実を実らせ、そして裂けるような口が開き、手足が生え、雨粒のように一斉に降ってきた。

    三人は一瞬で戦闘態勢に入り、降りかかる口裂け果実をそれぞれの武器で払いのける。

    マミがリボンで果実を払いのけながら出来るだけ一箇所に集め、そしてマスケット銃で撃つ。

    杏子は槍を分解させ、伸縮自在の鞭のように振り回しながら、遠くはなぎ払い、近くは叩き落として応戦した。

    さやかは、近接した果実は直接斬り、遠くの果実へは剣をブーメランのように飛ばして撃ち落とす。

    三人は適度に距離を取りながら応戦を続けた。

    756 = 745 :

    口裂け果実は、雨あられと延々降り注ぐ。

    「何だよこいつら! 斬ると果物っぽいいい匂いするし! って言うかうっとおしいっ!」

    「くそ! 食い物粗末にすんな! 使い魔だけど!」

    「言うまでも無いけどあまり暴れないでね! 量で来る時は、消耗が目的よ!」

    「そうそう! いつの間にかソウルジェムが…って事、あるからな! 分かってるって!」

    「えっ?」

    さやかがはっとした顔で目を見開く。

    「え?」

    「え?」

    二人がさやかを見た。

    757 = 745 :

    さやかが、顔面を蒼白にして頬を引きつらせている。

    「…あたしって、ほんとバカ」

    さやかがソウルジェムを見る。

    それは、殆ど真っ黒に染まっていた。手持ちのグリーフシードでは浄化しきれない驚きの黒さに。

    「さやかあああっ! グリーフシード使えええっ!」

    杏子が駆け寄ろうとするが、使い魔が邪魔をする。

    「くそぉっ! どけええええっ!」

    「美樹さんっ! 今行くから!」

    さやかが意識を失いかけた。

    その時。

    758 = 745 :

    森の奥から、更に何かが近づいてくる。

    強力な、圧倒的な、濃密な気配が。

    それだけで背筋が痺れ、息が止まりそうになる。

    さやかも、杏子も、マミも。

    「マミ…! こっ…この…気配は…!」

    「嘘…でしょう…?!」

    さやかも気を失いかけながら顔を上げる。

    「…そんなぁ…」

    その目を絶望で濁らせながら、夢うつつのように呟いた。

    木々の間を通り抜け、じわじわと気配の主のシルエットが浮かび上がってくる。

    759 = 745 :

    あの時見たものより、大きさこそ異なるが、見間違えようのないそれ。

    音がする。

    歯車の音が。

    歯車をキリキリと軋ませながら、天地を逆さまにしてその身を浮かばせるその姿。

    それは。

    「嘘だろ…」

    「そんな…」

    杏子とさやかが呟く。

    そしてマミも。

    「…ワルプルギス」



    「キャハッ」

    760 = 745 :

    今日はここまで。あとちょい。

    761 = 751 :


    使い魔は分裂もとの魔女と同じ姿になるってQBだかマミさんだかが語ってたから
    シャルが複数いても不思議ではないはず

    762 :

    乙!!

    目が離せないぜ

    763 :

    シリアス……だと……
    そういえば最初は真面目で暗くて救われない雰囲気でしたね

    764 :

    >>763
    そうだな。デザートホームルだもんな

    765 :

    デザートホームルでクスリとしてたら新種の生物がいた

    766 :

    ほむー
    うぇひー

    で意志疎通なんて可能なのか…

    767 :

    愛の為せる業である

    768 :

    まどかさんの安定ぶりに心が安らぐ

    770 :

    その姿は、あの時よりは随分小さい。

    しかし聞き間違えようのないその笑い声が脳に突き刺さり、古傷を抉る。爪一つ触っていないのに、それだけで戦意すら喪失しそうになった。

    マミも、杏子すらも。

    いつの間にか使い魔は消えている。

    代わりに視界に居るのは、魔女達だけ。

    その数、六人。

    シャルロッテ、人魚のような魔女、馬に乗った姿の魔女、ドレス姿のような魔女、細い人型の黒い魔女。

    そして、ワルプルギスの夜。

    三人は、もう声を出すことも出来なかった。

    (…それはともかく、あの人魚)

    771 = 770 :

    (あの馬に乗ってる蝋燭頭…なんで…)

    (あのドレス姿…どうして妙に既視感があるの…?)

    半ば現実逃避的な事を考えていたとき、ワルプルギスの夜が、ゆっくりとこちらへ向かってきた。

    杏子は思わず槍を落とし、マミが膝を折ってうな垂れる。

    もう、私達は…。

    あれだけ生きようと頑張っていた三人が、目を瞑った。

    その時。

    「やめなさいっ!」

    声が響いた。

    黒い羽を羽ばたかせ、空から三人の希望が舞い降りる。

    772 = 770 :

    「ほむらぁっ!」

    「ほむらっ!」

    「暁美さんっ!」

    地面に降り立ったほむらは背中の黒い羽を雪のように散らしながら消し、黒髪が、遅れてゆっくりと流れ落ちる。

    ワルプルギスの前に立ったほむらは、両手を広げた。

    まるで、自分をバリケードとするかのように。

    「ほむらっ! やめろ! 無理するな!」

    「暁美さん! 無茶しないで!」

    「ほむらぁ! やめてっ!」

    いつの日かの、自らの体をなげうって皆を守ろうとした、あの時のほむらの姿が重なる。

    773 = 770 :

    ほむらは自分達を守ろうとしている。

    自分達だって同じだ。

    三人が立ち上がろうとした。

    その時。

    ほむらが片手でぽん、とスカートを押して、ワルプルギスの逆さまの姿を正しく戻した。

    本来なら最悪、最凶のモードである。

    三人の顔が恐怖に歪む。

    だが。

    「プルプル、めっ」

    ほむらは両手でそのままワルプルギスを抱きしめ、だめよ、とおでこをぺち、と叩いた。

    774 = 770 :

    「きゃは」

    ワルプルギスは、猫のようにするりとほむらから離れ、くるくると周囲を舞うように回る。

    先程のシャルロッテと同じく、森で遊んでいる子供のように。

    ほむらの表情には恐怖も絶望も見えない。

    それはまるで子を見守る母にも見えていた。

    「…プルプル…?」

    マミが呆然と呟く。

    「さやか」

    「…何?」

    杏子がさやかに問う。

    775 = 770 :

    「あたし達って、もしかしてもう死んでたっけ?」

    「…分かんない」

    「大丈夫。死んでないわ。三人ともね」

    振り返ったほむらが優しく呟いた。

    「…ほむら、一体、何がどうなってるわけ?」

    「話は後よ。まずはさやか、こんどこそちゃんと綺麗に浄化しなさい。まずは変身を解いて」

    「…魔女、居るんだけど?」

    「大丈夫よ。私も解くから、マミも杏子も言う事を聞いて。私を…信じて。魔法少女が居ると、この子達がやんちゃしちゃうの」

    「…え、ええ」

    「…ああ。って、この子ぉ?」

    776 = 770 :

    訳が分からないまま、皆が変身を解く。

    「さぁ、さやか」

    ほむらはスカートのポケットからグリーフシードを二つ取りだし、さやかのソウルジェムに近づけた。

    「ふわー…。生き返るぅ…」

    ソウルジェムの穢れが久し振りに完全に取り除かれたさやかは、満面の笑みで微笑んだ。

    「やれやれ。九死に一生とは正にこの事だぜ」

    「ごめんなさい、あの時、もっと渡したかったのだけど…。そうだ、貴女達も危ないわ。これを使って」

    ほむらが詫びながら、マミと杏子にも真新しいグリーフシードを二つずつ渡した。

    二人は、正直有り難い、と素直に受け取る。

    「暁美さん、いつの間にストックを?」

    777 = 770 :

    「それに、このグリーフシード、なんか模様がおんなじだぜ? それって…」

    「今は、とりあえず後にさせて。さやか、ごめんね」

    「ううん、ほむらのせいじゃないよ。グリーフシード、ありがとう。それより…あたしも聞きたいことがあるんだけど」

    さやかがほむらの顔を見る。

    至って真面目な瞳で。

    ほむらがマミと杏子の顔を見ると、二人も同じだった。

    「聞きたいことは…分かっているわ。ただ、順番は決めさせて欲しいから、一度移動しましょう」

    「それはいいけど…アレは?」

    さやかが魔女達を見る。

    「そうね。今日はそろそろ潮時だわ」

    778 = 770 :

    ほむらがもう一度変身する。

    そして。

    「戻りなさい! プルプル、シャル、オタ、リア、ロロ、リム」

    ポケモ○トレーナーのようなかけ声と共に、魔女達はほむらの盾の中に吸い込まれるように消えていく。

    「……」

    その光景を目の当たりにした三人は、改めて絶句していた。

    (なんか、名前にも…)

    (なんでか…既知感が…)

    (あるのは…なぜかしら?)

    「で、魔女の反応は…消えたな」

    779 = 770 :

    杏子が周囲を見渡して言う。

    「ええ」

    「やっぱり、今ほむらの盾に入っていったのの気配だったんだね」

    「…色々あったの。隠していて、ごめんなさい」

    うつむくほむらは、消え入りそうな声で小さく呟いた。

    「ほむら、教えてよ。ほむらが何かを抱えているの、分かってるよ。一人で悩まないでさ…。あたし達、仲間だよ。親友だよ」

    さやかはほむらをそっと抱きしめた。

    「ありがとう…」

    ほむらも抱きしめ返す。

    「暁美さん。後でみんな話してくれるのだと思うけど…。一つだけ」

    780 = 770 :

    「…何?」

    「さっきの魔女達は…貴方がグリーフシードから孵化させたの? わざと」

    「…そうよ」

    マミはその言葉に激高するでもなく、ただ一つだけ溜息をついた。

    「…ひっぱたかれるくらいは覚悟していたのだけど」

    「前の私なら、ひっぱたくどころか発狂していたかもね」

    マミが自嘲気味に笑う。

    「今は、貴女を、みんなを、自分を信じられるから…。だから、いいの」

    「マミ…」

    ほむらは心の底からの笑顔で呟いた。

    781 = 770 :

    今日はここまで。

    782 :


    結局深刻な話なのかそうでもないのか
    ほむほむが魔女を育ててチャンピオンリーグを目指すのかー

    783 :

    乙!!

    終わりが見えない・・・だがそれがいい

    784 :

    魔女っ娘モンスターとな

    785 :

    こんな感じか

    786 :

    >>785
    なにこれ?すげえ

    788 :

    >>785
    リムってホムリリーじゃなくクリームヒルトなんじゃないかなと思ったり

    789 :

    でもクリームさんどうやって倒すんだよ

    790 :

    オタでワロタ
    せめてオクタって略してやれよww

    792 :

    その後、みんながほむらの部屋に集う。

    「…さて、隠す気は無いけど、色々あるからどこから話そうかしら」

    口を開いたほむらをみて、皆の顔が真面目になる。

    「…あのね、私はね、前にも言ったけど、何度も一定の期間を繰り返して来たの」

    ほむらの言葉に三人が頷く。

    「私達は、インキュベーターの構築したシステムに囚われたまま。脱却できた訳じゃない。魔法少女が魔女になる現実は、何一つ変わっていない」

    「…ええ」

    「それはもう、今は承知の上だろ?」

    「そうね。でも、これから魔法少女になる子も現れる。何よりこの事実を知っているのはほんの一握り」

    「…だよなぁ」

    793 = 792 :

    「私ね、こう見えて諦めが悪いの」

    (…あんだけ時間逆行してんだから知ってるっていったら…)

    (きっと傷つくから言わないでおきましょう)

    (だな)

    「…今、何か不本意な空気を感じたのだけど?」

    「気にすんな! で?」

    「…でね、その中で考えた事があるの。…魔女になったら、もう、どうしても意思の疎通は出来ないの? って」

    「…それは…私も、事実を知ったときは考えたわ」

    「て言うか、事実を知った魔法少女は必ず一回は考えるんじゃねぇか?」

    「…あたしも考えた事あるよ。うん。…でも、駄目だって、思った。何より、あたしが…駄目だったんでしょ?」

    794 = 792 :

    「そうね。それが当然。でもね、でも、それでも私は考え続けたの。その中でも、何か特例はないの? 何かないの? また、あの時みたいに仲良くなれないのって…」

    「ほむら、あんた、やっぱり優しいんだな。裏切られたり憎まれたりした事もあったのに、それでも、なんて…」

    「これもぶっちゃけると、いつの時間軸でもさやかが一番魔女になりやすいから考えるようになったの」

    「重ね重ねほんとうにごめんなさいいいっ!」

    「いいのよ。それも含めてもう貴女なんだって思えるようになってきたから」

    ほむらがさやかの頭をよしよし、と撫でる。

    「ふわぁ、このなでなでが最近くせになりつつありゅう…」

    「…それで、魔女になったとしても、何とか戦わずに済む方法をって?」

    マミが問いかけ、ほむらは頷いた。

    「…でも、これは本当に自分勝手な思いよ。結局、せめて身近な人だけでもっていう、それだけの話。他の時間軸で何度やっても駄目だった。何度やっても」

    795 = 792 :

    ほむらが唇を噛む。

    「でも、今回は違った。みんな生き残って…。こんな事始めてだった。だから、希望が大きかった。でも…その分不安も大きかったの」

    「望みが叶ったのに、尚も不安に駆られるなんて、ほむらってほんと苦労性だよな」

    「…でも、杏子には何度もその苦悩から助けられた事もあるのよ」

    ほむらが微笑む。

    「んなの、あたしの知らないあたしだろ」

    「あら、今の杏子にだってそうよ? 救われたわ、本当に」

    「…からかうなよ」

    悪戯っぽく笑うほむらをみて、杏子は思わず顔を背けた。

    「でも、今回の私は恵まれていた。ぶっちゃけ、最初にもらうモンスターボールにミュウツーとパルキアとゼクロムが入っていて全部ゲットできたような状態でしょ、今」

    796 = 792 :

    「あながち言い過ぎじゃないのが怖いわ」

    「だから、なら、と思って今の状態に甘えるだけ甘えて、やれるだけの事をやってみたの」

    「…それが、今回の事?」

    「ええ」

    「ほむら。…つまり、出来たんだな?」

    「暁美さんが、今盾に入れているのは…やっぱり本当の魔女なのね」

    「…話してくれよ。全部」

    「あ、そうだ。ほむら、この前、マクドの看板の上に立っていたときも…やっぱり、そうだったの?」

    「ああ…。さやかには見られていたんだったわね」

    「あの時は、何していたの?」

    797 = 792 :

    「…笑わない? と言うか、変だって思わない?」

    「笑わないよ。知りたいんだよ」

    「…散歩」

    「はい?」

    「犬みたいな子が居るの。で、時々外に出ないと、退屈で鳴いちゃうの。それで、盾からちょっとだけ出して、散歩してたのよ」

    「ああー…。それであの時、ちょっとだけ魔女の気配が…。犬?」

    「犬、と言うより馬だけど」

    「…もしかして、さっき居た馬に乗っていたみたいな魔女か?」

    「そう、落ち着きのない子なのよ」

    ほむらが杏子を見てくすりと笑う。

    798 = 792 :

    「なんであたしを見る?」

    「さぁ? それより、これ…。分かるわよね?」

    ほむらが盾からグリーフシードを一つ取りだし、みんなの前に置いた。

    「勿論。グリーフシードよね? …ん? これって…」

    「そう。そしてこれが…私が考えを本気で実行しようと考えるようになった切っ掛け」

    「…これ…まさか…」

    「…マミ。これは、ワルプルギスの夜のグリーフシードよ」

    「ええっ!?」

    「えっ?! あ、ほんとだ! この模様って! ちょっと! これ、まだあったの!?」

    「おいおい! お前、せっかくあの時代表してって事で譲ってやったグリーフシード、ずっととっておいたのかよ?」

    799 = 792 :

    「ええ。これは紛れもなく、あの時みんなが私に譲ってくれたものよ。私は、このグリーフシードをあの後どうしても使う気になれなくって…。そんな時、思ったの」

    「じゃあ、さっきのはやっぱり本当に…」

    ほむらがグリーフシードを手に持ち、優しく、そっと撫でる。

    「ええ。見て」

    ほむらがグリーフシードにそっと念を込める。グリーフシードは小さく光り、そして、その頂上から幻灯のようにふわりと、小さなちいさなワルプルギスの夜が現れた。

    「…うわぁ」

    「さ、さっきよりもっと、ち、ちっちゃいけど…やっぱり、ワルプルギスの夜…よね?」

    「ああ、ちげぇねぇぜ…!」

    ワルプルギスの夜は、RPGの弾頭くらいの大きさで実体化し、周囲をみて少し驚いたように身を縮めた。

    「大丈夫よ。みんな怖くないわ」

    800 = 792 :

    ほむらがそっと頭を撫でると、ワルプルギスの夜は安心したのか、机の上をふわふわと浮きながら踊り始めた。時折、逆立ちを織り交ぜながら。

    「…飼い慣らしてんな。ほむら」

    「ち、ちょっとだけ…可愛い…か、な?」

    「魔女が…よりによって超弩級の魔女が…こんなになっちゃうなんて…」

    「害…無いの?」

    「ええ。魔女が元は魔法少女であり、更に元は人間であるのだから、意思疎通が完全に断ち切られているとは思えなかった。ただ、その手段が問題だった。どうすればわかり合えるのって。ね、プルプル」

    ワルプルギスの夜、プルプルはほむらの差しだした指に頬摺りして上機嫌に見える。

    「恥ずかしい話だけど、ワルプルギスを倒して、だからこそ絶望していた私に…いつだったか、グリーフシードのままのワルプルギスが話しかけてきた事があった」

    「えっ?!」

    さやかが目を丸くする。


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