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    元スレほむら「魔法少女の日常」

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    タグ : - まどほむ + - 暁美ほむら + - 魔法少女まどか☆マギカ + - 鹿目まどか + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    なんやかんやであれこれあってワルプルギスの夜を倒した私達。

    マミは生き残り、さやかは魔法少女になりはしたがどろどろ人魚になる事も無く生き残り、杏子も勢いで心中する事無く、みんなが無事に生き残った。

    まどかもなんとか魔法少女にならずに済み、時々インキュベーターからのキャッチセールスみたいな勧誘は続いているけど、その気はすっかり失せている。

    マミも、魔法少女が魔女になる事実は何とか乗り越えた。

    まだ、その事実に時々怯えることがあるけど、それでもみんなで無理心中しようなんて考えることは無くなっている。

    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1333673265(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)

    2 = 1 :

    そろそろ豆腐メンタルからところてんメンタルくらいには格上げね。

    さやかも、あのバイオリン馬鹿とわかめの事はまだ完全にわだかまりが取れたわけではないけど、それなりに心情を整理できたらしい。

    二人の仲をからかっては後で落ち込む、のサイクルを繰り返しつつ、少しずつ本当に吹っ切れ始めているらしい。

    放っておけばいいのに、どうしてわざわざからかって自滅を繰り返すのかしら。

    杏子は、マミに言われてしぶしぶ復学の準備を始めている。

    3 = 1 :

    お膳立てはマミが用意してくれている。ほんと、世話好きね。

    でも、とてもいい事だわ。

    年齢が上がったら、知恵だけでは生きていけない。知識はどうしても必要だから。



    …魔法少女が、いずれ魔女になる。

    その事実は決して変わらない。

    4 = 1 :

    でも、今はその事実を、そのシステムを、許せはしないけど、仕方ないと思う。

    だって、私は、そのシステムのお陰でこうして今、みんなと一緒に居られるのだから。

    インキュベーターは許さないけど。



    とりあえず、最大の脅威は去り、全員死亡のリスクがある程の危険は去った。

    そして、みんなはそれなりに絆を深め、時々口げんか程度はしながらも仲良くなれている。

    みんなは、ワルプルギスの夜の戦いの後、より強くなった。

    5 = 1 :

    心も、力も。

    でも。

    私は…。

    弱くなった。

    元々私には、魔法少女としての才能は、テストで言えば赤点ギリギリの水準の能力しかない。

    今でも、思うことがある。

    6 :

    他のみんなは何かしら直接攻撃できる武器を持っているのに、私はどうして防御一辺倒の能力しかないのだろう? と。

    しかも、防御にしてもそれはマミのリボンが似たようなことを、更に上手く出来る。

    あのリボンの性能は誰もが知っている。

    攻守一体のそれのほうが、出来はいいに決まっている。

    そして、一番平和的な性格であるまどかすら、魔法少女になったあの時は強力な弓矢を持っていた。

    7 = 6 :

    なのに、この私にはナイフ一本生み出す力は無い。

    時を止める力は、使える時はそれなりに便利ではあったけど、それでも単にトリッキーなだけで、それ以上のものでは無い。

    事実、タネがばれればさほどの驚異ではないし。

    しかも、今の私にはその力すら無い。

    今の私に出来るのは、盾にものを無限に収納できる能力だけ。

    この事実が、後ろ向きな自分の性格を表している。

    8 = 6 :

    あの時、自分は心の底から願った。

    願った筈。

    なのに、どこかで受け身な、後ろ向きな考えを持っていたのだろうか。

    だから、自分には前に進むための武器は持たされず、その場に留まって踞るしか出来ない盾が持たされたのだろうか。

    本当に、気が滅入る。

    9 = 6 :

    ワルプルギスの夜を撃破したあの日が最高潮、その日から、私の気分は日に日に下がっていった。

    最高だったあの気分が、正に天から地へと堕ちていった。

    ここ数日は、学校でもまどか達とろくに会話を交わしていない。

    まどかやさやかに悪いと思っていても、だからこそ二人と会話をする気になれなかった。

    二人に、こんな私を見られたくないと言うのもある。

    10 = 6 :

    きっと二人は勘がいいから、今の私の心根を察してしまう。

    そして、気を遣わせてしまう。

    やっとあの夜を乗り越えた二人に、そんな気分は味わせたくない。

    二人は親友。

    二人の間には、私の存在は不要だ。

    11 = 6 :

    それを自分の中で認めた時、不思議と悲しみよりも、妙に納得してしまった自分が居た。

    そう。

    だって、まどかと仲良く慣れたのは、最初の自分だけ。

    あの頃の、今よりも更に弱かった自分だけ。

    その時以外の自分は、まどかにも、他の子達にも、そもそも好かれてなどいなかった。

    それを認めたくなかった。

    12 = 6 :

    マミとの紅茶の時間が楽しかったから。

    まどかとさやかと、一緒にお喋りした時間が楽しかったから。

    私が、何度も何度も時間を繰り返したのは、最初の一回だけのあの楽しい時間が忘れられなかったからなんだ、そう気付いた。

    他の時間に、あの楽しかった時は無い、と気付いた。

    その時、私の心から何かが落ちた。

    私は、きっとみんなの中で一番最初に魔女になる。

    13 :

    ほむ

    14 :

    弱クールほむか
    続けたまえ

    15 :

    全員が絶望していく様をじっくりと……楽しみですなぁ

    16 = 6 :

    魔女になるつもりはない。

    でも、それはつまり、結局の所の死を選ぶと言う事。

    私が、一番最初に死ぬ。

    間違い無く。

    それを最初に意識したのはワルプルギスを倒した次の日の夜だった。

    明るかったと思っていた未来が、突然墨を被ったような闇に閉ざされた。そんな気がした。

    17 = 6 :

    あの夜。

    ワルプルギスの夜後、初めての魔女が現れた。

    私は変身する。

    武器は使い尽くしていたから、時を止めてその間に強化した力で攻撃しようと思った。

    効率は悪いけど、また武器を調達するまでの間だと思って。

    だけど、時は止まらなかった。

    18 = 6 :

    「アカ○ベー!」

    コンダラとピエロが合体したような不思議な姿の魔女は、私を踏み潰そうと突進してくる。

    必死にそれを避けながら、私は辛うじてその魔女を蹴りで倒した。

    消滅したとき、おかしなオモチャは落とした。

    だけど、グリーフシードは落とさなかった。

    あんなに魔翌力を消費したのに。

    19 = 6 :

    これでは完全にマイナス。

    結界が解け、世界は元に戻った。

    でもその時、私の心は結界の中に閉じ込められたみたいに暗く、重かった。

    時が、止められない。

    それはもう、死刑宣告も同じだった。

    20 :

    おい待て、何と戦ってるんだ

    21 :

    おーもーいー

    こーんだらー

    22 :

    期待してる

    23 :

    深夜。

    布団に入っても眠れなかった。

    自分の最大の武器である能力が消え去った。

    その事実が恐ろしくて。

    理由はすぐに理解出来た。

    24 = 23 :

    私の願いの、時間の範囲を超えたから。

    超えられたから。

    だからこそ、願いによって生まれた能力は意味を無くしたのだ、と。

    まさか、能力の発動がここまで律儀とは思わなかった。

    それにしても、この能力が無ければ、私は…。

    25 = 23 :

    不安。違う。絶望。

    グリーフシードが感情を吸ってじわりと濁ったその時。

    暗い天井に宇宙の果てまで繋がっている暗い穴が開いた気がして、自分が何処にも居なくなった気がした。

    私は、死ぬんだ。

    漠然と、しかし確信を持った。

    持ってしまった。

    26 = 23 :

    みんなと、やっとまた仲良くなれたのに。

    マミが、紅茶を私にも煎れてくれるのに。紅茶の淹れ方を教えてくれると言ってくれたのに。

    杏子が、お菓子を分けてくれるのに。一緒にゲームセンターで遊んでくれたのに。

    さやかが、私の手を取ってくれるのに。ほむらも嫁になれ、と抱きついてくれたのに。

    まどかが、私の顔を見て、笑ってくれるのに。手を取って、歩いてくれたのに。

    27 :

    でも、私はずっとみんなと一緒には居られない。

    駄目なの。

    私は、みんなと一緒に笑えない。

    ソウルジェムは、日に日に濁っていく。

    あの日、あの魔女以来、私は魔女を倒していない。

    28 = 27 :

    倒せないから。

    倒せたとしても、効率が悪すぎるから。

    それと。


    倒したくないから。


    この街には、魔法少女が多い。

    29 = 27 :

    それだけでグリーフシードの需要が逼迫しているのは明白。

    杏子は普段、他の街に居る。

    だからまだ良かったけど、この街を主に縄張りとしているマミとさやか、二人に必要なグリーフシードの確保には、出現する魔女の数はぎりぎりだろう。

    魔女の元が全て魔法少女ではない。

    使い魔が魔女になる場合もある。

    30 = 27 :

    だけど、それはつまりなんの関わりもない人々を生け贄に差し出しているのと同じ。

    マミはその事実に特に苦しんだからこそ、集団心中まで試みた。

    ただ、あの時は正直、シャルロッテのループの時の事もあって、どこまで勝手なのかと本気でマミにRPGをぶちこみたくなったけど、それは誰にも言わない。

    今もどこかで生まれているかも知れない魔女。

    魔法少女も、また同じ様にどこかで生まれている。

    31 :

    ほむぅ…

    32 :

    インキュベーターを止める事は出来ない。

    あいつは、同時刻にいくらでも別個体が存在出来る。

    個々であって個々では無いあの存在。

    あいつは、一匹も万匹も変わらない。

    それに、全てを知って尚魔法少女になろうという少女がいるのであれば、もう止める手立ては無いのだから。

    33 = 32 :

    いつか魔女になり、狩られる立場になろうとも…。

    魔法少女が魔女になり、魔女が使い魔を生み、使い魔もいつか魔女になる。

    魔女、使い魔、魔法少女。

    これらの存在は全て表裏一体。

    魔女が生み出すグリーフシードが無ければ生きていけない魔法少女。

    34 = 32 :

    希望から生まれる魔法少女。

    そして希望を黒く塗りつぶした、絶望という糧から生まれる魔女。

    魔法少女と魔女、この食物連鎖に上下は…無い。

    喰いつ、喰われつの、ある意味対等な関係が私達魔法少女と魔女。

    なんて残酷な食物連鎖。

    35 = 32 :

    この連鎖、断ち切ることは出来ないのか、私は考えに明け暮れたこともある。

    でも、答は出ない。

    いや、答は知っている。

    ただ、その答を出す過程は知っていても、どうしてもそこに行き着けない。

    答を出すためには、その為にまた大きな犠牲が必要だから。

    36 = 32 :

    犠牲。

    その答は、『願い』によって、その連鎖を断ち切らねばならないから。

    あいつらの都合の為に魂を生け贄にされているのに、その関係を断ち切るためにまた『願い』を叶えて貰わなくてはならない。

    本末転倒もいいところ。

    願いの大きさは、本人の因果の秘めたる力に寄る。

    37 :

    どれだけ大きな力を持っていればいいのか、そもそもそんな人が居るのかどうか。

    まどかだって、強いらしいけど、きっとそんな事…無論、させやしないけど。

    第一、そんな因果の強い子が居たとして、願いを叶えたら、その対価はそれこそワルプルギスの夜とすら比べものにならないだろう。

    彼女の嘆きの歯車の音は、今でも耳に残っている。

    嘆き…。

    38 = 37 :

    グリーフ。

    グリーフシード。

    嘆きの種。

    正に、あれは嘆きを凝縮したもの。

    絶望が、穢れと言う名を借りて私達の中の希望と言う名のエネルギーを奪っていく。

    39 = 37 :

    切望にもがき苦しむから、希望を欲する。

    魔法少女の頃の、輝いてきた自分を求めているのだろうか。

    穢れとは、私達の中の希望が、疲れや絶望によって意味を変えたエネルギーなのかも知れない。

    だから、グリーフシードは私達の中の穢れを吸うのではと思う。

    本当、あいつらはどうしてこうも悪趣味なネーミングセンスを持っているのかしら。

    40 :

    とすれば、使い魔はさしずめ絶望からはみ出たエネルギーの塊。

    だから、それが成長すれば、同じく絶望のなれの果ての魔女となる。

    その存在、魔法少女にとってはつらい事に必要だけど。

    でも、私達は、決して、わざと使い魔を泳がせて魔女にさせている訳では無い。

    そんな、死の養殖みたいな真似は絶対にしない。

    41 = 40 :

    私達が倒しきれなかった、見つけられなかった使い魔が、いつしか魔女になっている場合もある。

    でも、使い魔が人を殺し、魔女となり、その魔女を倒すことで私達が生きながらえているという事も事実。

    これは代え難い、何より非情な事実。

    人の命を喰らう魔女から生まれたグリーフシードを喰らって生きる私達魔法少女は、魔女以上に魔女なのではないか。

    そう思うと、マミの気持ちは分かる。

    42 = 40 :

    ううん、きっと、その事実を知った魔法少女はみんなそう思う。

    それでも、魔法少女は自分が生きるために、その残酷な事実から目を背け、耳を塞ぎ、そして、魔女を倒し続ける。

    時に、グリーフシードを奪い合って。

    …そんな理不尽、とっくの昔に分かっているのに、切ない。苦しい。

    どれだけ考えを繰り返したか分からないのに。

    43 :

    ほむぅ…

    44 :

    でも、最近、そんな事ばかり考えている。

    私は、弱いから。

    一番死に近いところにいるから、だと思う。

    ならば、私にグリーフシードは必要無い。

    ずっと生きていけるだろうマミやさやか、杏子の為にそれは使われるべき。

    45 = 44 :

    …私はもう、生きるのは、無理なのかな。

    そう思った時。

    あ。

    ソウルジェムが音を立てて黒ずんだ気がした。

    なんだかソウルジェムが重くなった気がする。

    46 = 44 :

    まどかが、魔女にならずに生き残る、一番幸せな世界にやっと辿り着いたのに。

    みんなと、笑い逢える世界に辿り着いたのに。

    そう思うと、涙がこぼれた。

    涙腺が壊れたみたいに止めどなく、ぽろぽろと。

    最近は本当にこんな風。

    47 = 44 :

    少し胸が詰まると、それだけで涙がこぼれる。

    ちい散歩が終わってしまうせいもあるかもしれない。

    元から本当は弱い私だったけど、こんなに泣くほどだったかしら。

    少しは強くなれたと思っていたのに。

    いえ、多分、少し強くなったから。

    48 :

    ちい散歩かよwwwwwwwwww

    49 :

    だから、逆にこうしてまた弱くなった今、反動が来たんだ。

    最初は本当に嬉し涙だった。

    ワルプルギスの夜を倒したあの時は、本当に心の底から泣いた。

    みんなが周りに居たけど、そんな事は気にならなかった。

    私は、泣いた。

    50 = 49 :

    顔をぐしゃぐしゃにして、嗚咽を漏らしながら、馬鹿みたいに泣いた。

    みんな優しいから言わなかったけど、きっと、呆れていただろうな。

    本当はこんなみっともない奴だったんだって。

    そう、その通りだから。

    もう、仮面を被る必要も無い。


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