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元スレ上条「その幻想を!」 仗助「ブチ壊し抜ける!」
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花京院がどういう経緯でDIOの配下になったのか気になる
肉の芽は埋められてるのかな?
原作は確かエジプトに家族旅行行った時に埋められたんだっけ
肉の芽は埋められてるのかな?
原作は確かエジプトに家族旅行行った時に埋められたんだっけ
原作基準で16~7で肉の眼だったらもう死んでるな絶対。
半年で脳髄を喰い尽くすらしいから
半年で脳髄を喰い尽くすらしいから
このSS内で既に言われた事以外はいくらでも変わり得るからな
原作との差分含めて楽しみにしとこうじゃないか
原作との差分含めて楽しみにしとこうじゃないか
全員が命を懸けて戦ったっていうのを、いくらクロスと言えどもそれ以外の人たちに決着をつけてもらいたくないっていうのは凄くわかる
そろそろ仗助&上条さんのダブル主人公から仗助視点の単独主人公に切り替えたほうが、クロスっぽくなるんじゃないかな
余計なお世話だけど
そろそろ仗助&上条さんのダブル主人公から仗助視点の単独主人公に切り替えたほうが、クロスっぽくなるんじゃないかな
余計なお世話だけど
内容の批判はともかくキャラの扱い方とか嫌なら見るなとしか言えません
花京院とポルボルは芽付きだろうな
問題は婆とイギーだな
時にイギーは使いもんにならないかもしれん
問題は婆とイギーだな
時にイギーは使いもんにならないかもしれん
ポルはDIOの手から逃れてるかもしれん
逆にアヴさんが捕まってるパターンもあるかもww
逆にアヴさんが捕まってるパターンもあるかもww
――……『 1993年 』。
大西洋アフリカ沖、カナリヤ諸島近海。
ある日、一艘のクルーザーが波間にただよっているのが発見された。
無人だった。争ったあともなく、船のどこにも故障はなく正常だった。飲みかけの三人分のコーヒーカップすらあった。
なぜいなくなったのか、誰もわかる者はいなかった。
ただひとつ変わっていたのは、アセチレンバーナーで焼き開けられた鉄の箱が、ドンと甲板にあったことだ。
中はからっぽだったが、みんなシェルターのような二重底の構造になっているのを不思議がり、宝の発見を想像したが…………。
数カ月もすると……やがて忘れられた。
○ ○ ○
110年。
キリの悪い数字だ、と上条当麻は思った。
どこぞの魔王よろしく邪悪の化身の復活! と大々的にぶつなら、100年とか1000年とか一万年の眠りと言ったほうが聞こえがいいだろうに。
しかし、何かデジャヴを感じるぞ。この話。
「110年か……」
今が1999年だから、1889年!
何かがあったというのか?
帰路を走る車の中で上条当麻はひとしきり考え、口を開いた。
「御坂、どう思う」
「控えめに見てもいかれてるわよ、そいつら」
泣き疲れて、話し疲れて眠ってしまった打ち止めを抱きしめながら御坂美琴は呟いた。
その顔に浮かぶ感情は、怒りと言うには生ぬるい。『 ブチギれ 』 寸前と言っていいだろう。
「何が 『 あの方 』 よ。110年も生きてられる人間がいるかっつーの。
いや、いたとしてもヨボヨボの老いぼれじゃない。一方通行のこともあって心境は複雑だけど……
そんないるかもわからないボケ老人のために、この子がこんな目に遭わなくちゃあいけない道理はないわッ」
「『 あの方 』 がいるかなんてのは考えなくてもいい」
またも既視感を感じるセリフを、承太郎が口にした。
上条と御坂は運転席を見た。瞬間、フロントミラー越しに目が合ったが、すぐに承太郎の方からそらされた。
「大切なのは、今ここにある危機だ。それに、どうやら相手の狙いは俺らしいからな……
君たちは巻き込まれたってわけだ。これ以上深入りしても、いいことはないだろうぜ」
これは暗に 『 これ以上首を突っ込むな 』 と言われているのだ。と上条は理解した。
「勝手なこと言わないでよ! こっちにだって戦う理由はあるんだから!」
「……」
承太郎は何かを考え込むように口をつぐんだ。
おそらくどう説得するか迷っているのだろう、と上条は思う。
助手席に陣取る10032号こと御坂妹は、車に乗り込んでから終始無言だ。
御坂美琴も再び沈黙したが、腹の中でカッカと暴れまわってる感情があるのは一目瞭然である。
打ち止めの髪を撫でる手が震えている。それどころか時々静電気程度に漏電している。
つまり険悪な空気の車内に、上条は神経がガリガリ削られていく音を聞いた。
ため息を呑み込み、上条は隣にチラリと目をやった。
リーゼントの先っぽからバリーの靴までしとどに濡れた同級生は(マァー、上条も御坂も同様のナリなのだが)、先ほどからそわそわそわそわそわそわと貧乏揺すりに忙しい。
その視線の先にいるのは当然ながら承太郎で、彼の瞳は興奮と期待と喜びが時間に比例して乗算されていくようだった。
その感情の前には、御坂妹がクローンだったとか、そのクローンは二万ひく一万体とか、つい最近まで実験があったとかの驚愕は吹っ飛ばされてしまうらしい。
要は、浮かれている。
そしてこの車内では大いに浮いている。
それに気づかない承太郎ではなく、しばらくののち、ため息のような声で尋ねた。
「……なんだ、仗助」
「じょっ! ……おたろうさん、アレは、あれっスよね。
そのォォ~~……『 スタープラチナ 』 っつーんですか? アレ」
やたら指示語が多いセリフに、承太郎は鋭い目つきで振り向いた。
「お前……見えたのか。俺の 『 スタンド 』 が」
「やっぱりっスかぁぁぁ~~!! やっぱりっスよオイ当麻ァ!」
背中を殴られ上条はむせた。
「信じられねーグレートだぜこいつぁ~~! 承太郎さんも俺とおんなじ 『 スタンド使い 』 なんだよォ!!
ぎゃああああああああああ!! カ、カンドーだあああああ~~~!!」
「空気読みなさいよアンタァ!」
「待った御坂ァ!」
ビリビリしようとした彼女の手を、とっさに 『 右手 』 で掴む。
途端、美琴は熟れすぎたトマトのようになって上条を凝視した。
「離しなさいよ馬鹿!」
「だーめーだ。離したら絶対お前ビリビリすんだろ」
「ううううるさいぃ! しないからとっとと……は、はな……」
美琴の声が尻切れトンボに小さくなったのは、上条が打ち止めを指さし、人差し指を立てたためだ。
「……離しなさいよ……」
「お前が落ち着くまでな」
「え?」
「お前の気持ちが落ち着くまで、こうして握っとく」
上条には他意はない。そう、いつだって上条当麻に他意はないのだ。
だがその言葉は美琴に 『 ピリピリしてる自分を心配してくれる、包容力ある彼 』 を幻想させた。ついでにフィルターもかかった。
美琴のオーラから色が抜けていく。
怒りの赤から、どことなく甘酸っぱいピンクへ。
「しょ……しょおがない……わね」
「それはミサカのセリフですバカップルが。とミサカはこっそり肩をすくめます」
口の中でつぶやき、御坂妹はチラリと承太郎の方を見た。
あんな掛け合いの間でも、承太郎はにこりともせず何か考えているようだった。
「仗助……『 スタンド使い 』 なんて言葉、いつ……いや、どこで覚えた」
「この町で偶然 『 スタンド使い 』 に会ったんスよ。それで色々教えてもらってぇ~~」
とっさのウソがうまい奴だ。
いや、ウソは言ってないな、と上条は舌を巻いた。
「そいつはまだこの町に……?」
「いや、とっくに出ていきましたよ。仕事の都合で、なっ?」
「俺に振るな」
壮絶なみつどもえがよみがえり、上条は嫌そうに頭を振った。
あの時のことは極力思い出したくない。
承太郎の、ミラー越しの視線が上条たちに移る。
「君たちも、『 スタンド 』 のことは知っているのか」
「ミサカは初耳です。おそらく上位個体もそうでしょう。とミサカは返答します」
「あ、はあ、俺らは、まあ何となく……」
なぜか耳まで染めて俯いている美琴も、『 スタンド 』 のことは知っているはずだ。
ただし 『 よくわかんない変態とよくわかんない変態がよくわかんない戦いしてる時に口走ってたあれ 』、くらいの認識だろうが。
「話を聞く限り、打ち止め達を襲ったのは 『 スタンド使い 』 に間違いない」
承太郎の言葉に、後部座席の三人が反応する。
承太郎はハンドルを握ったまま続けた。
「君たちの事情は理解しているつもりだ……だが、『 スタンド 』 は 『 スタンド 』 でしか攻撃できず、『 スタンド使い 』 以外には見ることもできない。
どんな超能力だろうと傷一つつけることはできない……奴らに対抗できるのは俺か仗助だけだ」
「だから指くわえて見てろっての!?」
「では聞くが、御坂くん。君はそんな相手に対して何ができる」
「っ……!」
美琴は絶句せざるを得なかった。
車内を再び沈黙がつつむ。
上条は、思い切って顔を上げた。
「空条さん……確かに、あんたの言う事は一理も二理も三理もあるのかもしれません……俺たちにとって 『 スタンド 』 は未知の世界だ……でもだからってッ!
知り合いを傷つけられて黙ってられる程、俺らは 『 できた 』 奴らじゃあねえ!
それに現在進行形で危ねえ目に遭ってるのは学園都市第一位、つまりこの間までこの町で、俺たちと同じ空気吸って生活してた生徒なんだ!
『 助けたい 』 って気持ちはあんたより遥かに大きいぜ!」
「私は……」
美琴がぐっと上条の手を握った。
そこで上条は、さっきからずっと彼女と手を繋いだままだということに気が付いた。
「私は一方通行の事なんかどうでもいい……むしろ憎いとさえ思ってる。
でも一方通行を卑怯な手でハメた奴らに、『 学園都市はこの程度 』 なんて思われるのは我慢がならないわッ……!
それはすごく、誇りが傷つく事よ……!
能力者を 『 オモチャ 』 か 『 道具 』 みたいに見て……絶対に許せないッ……!」
「空条さん」
上条はミラー越しの彼の目をしっかりと見据えた。
「俺たちにとって、町の 『 誇り 』 を傷つけたそいつらを野放しにするのは、耐えきれねえほど恥ずかしい事なんだ。
空条さんは、俺たちにその恥ずかしいことをしろって言うんですか」
承太郎の瞳は静かだった。だが決して穏やかではない。
『 それで? 』 と静かに問い返し、『 本当か? 』 と強烈な力で本心を暴き立ててくる。
この圧迫感に折れるようじゃあ本気じゃあない。上条はほとんど睨みつけるようにして彼の視線を受け止めた。
上条にとっては何時間にも思える時が過ぎた。
それは不意のことだったので、上条は何が起きたかわからなかった。
ミラーに映った承太郎の瞳が、ほんのわずかに和んだ。ような気がしたのだ。
瞬間、車がカーブを切った。
視線がずれる。結局彼が笑ったかどうかはわからなかった。
「 『 スタンド 』 は 『 スタンド 』 でしか倒せない。これは絶対だ。…………だから君たちは、本体の方を叩く役回りになるな」
美琴がぱっと顔を上げた。
上条は思わず、膝の上でガッツポーズをとった。
「空条さん……!」
「俺としても君たちが単独行動に走ることは避けたい」
「それ、どういうこと? ……ですか」
美琴の取ってつけたような敬語にも眉一つ動かさず承太郎は、
「おそらく……いや、ほぼ確信してるから言うんだが……敵は今も俺のことを監視している」
ちょっとした爆弾を落とした。
仗助と美琴は、思わず窓の外を見た。二人に挟まれている上条もキョロキョロと二度三度、車の外を見回す。
御坂妹だけは承太郎の横顔を凝視したまま問うた。
「なぜわかるのですか。とミサカは根拠の明示を求めます」
「俺の 『 スタープラチナ 』 は特殊能力こそないが、弾丸を掴むほどの精密性と身体能力を持つ。1、2kmくらい向こうにいる奴なら観測できるってわけだ」
承太郎は、今度は少々荒くハンドルを切った。
「そいつらが熱烈に見つめてくるのなら、なおさらな」
車のスピードが上がる。
そういえば今どこを走ってるのだろうと上条は今更気が付いた。
「……だからさっきからそいつらを撒こうと走り回ってるんだが……ピッタリくっついて離れやしねえ。粘着な野郎だ……おっと、口が悪かったな。
そういうわけで、少し事故るかもしれないが勘弁してくれ」
「ちょっ!? 今なんて言いました空条さん!?」
「シートベルトは締めときな」
「降ろして! 俺この駅で降りまーす!」
「空条さん、この車四人乗り! イコール俺シートベルト締めれねえ! 不幸だ!」
「打ち止めも! 打ち止めもよ!」
「ああ、しっかりつかまってろ」
「そうじゃねぇぇぇーーーー!!!!」
「いやーーーー!!!!」
「……ずいぶん遠くまで来たもんだ」
「ミサカは……おえええええぇぇぇっっ!!」
車外。感慨深くつぶやく承太郎の後ろで、御坂妹は屈辱的車酔い初体験を味わっていた。
車内。後部座席の三人は魂が抜け、真っ白に燃え尽きている。打ち止めが大人しく寝ていることが救いと言えば救いだった。
馬鹿な……ッ! 上条は心の中で絶望する。
あんたも 『 ボケ 』 だというのかッ……空条承太郎……ッッ!!
しかも大分タチの悪い……ッ!
「ワリィ……外の空気吸ってくる……」
仗助がよろよろとドアを開く。
いかに承太郎信者の彼もこれは堪えたらしい。
開け放したドアにもたれかかって、深呼吸する。
「承太郎さん……あんなドラテクどこで覚えたんスか……」
「いや、さすがにあんな走りは初めてだな」
「うわぁぁ~~やっぱ承太郎ォさんはスゲェーやぁぁ~~……!!」
俺が甘かった、と上条は実感した。
お前はどこぞのマンモーニか。
さておき、仗助の承太郎に対する無条件の肯定は、上条にうすら寒い予感を感じさせた。
なぜこうも承太郎を尊敬できるのか。その原因は分かっている。
と、言ってもこれは上条が勝手に推測したことなのだが。
仗助が祖父を殺されたその日――。仗助は祖父の代わりに母親を守る決意をしたという。
だが 『 決意 』 はあっても、それをやり遂げられる 『 自信 』 はなかったのではないか。と上条は考える。
当たり前である。金も社会的地位もない16歳の少年が、どうやって母を守ろうというのか。
途方に暮れているところに現れたスーパーマンが、空条承太郎なのである。
仗助は 『 憧れ 』 と 『 理想 』 と、もしかして 『 父性 』 すら彼に見てしまったのかもしれない。
だからこんな、行き過ぎなくらい無条件の信頼が生まれてしまった。
ひょっとして 『 自信 』 を持っていたなら――持てるくらいの根拠を―― 『 力 』 を、仗助が持っていたなら――
仗助の 『 スタンド 』 の発現が、承太郎に出会うよりも早かったなら――もっと違った関係が生まれていたのかもしれない。
だが、なら今の関係は悪いのか? と聞かれれば、上条は 『 う~~ん、マァ、いいんじゃないですかァ? 』 と首をひねるしかない。
仗助がファザコンもとい甥コンとは思い難いし、仮にそうだとしてもいつかは治まる。と上条は考える。
なぜなら仗助の中にはもう一人、尊敬すべき人間が生きているからだ。
その人の背中を追っていくならば、『 理想 』 は 『 目標 』 へと変わるはずだ。
その時後ろを振り向いて、仗助は苦笑いするのだろう。
――まあ、何が言いたいかっていうと。
――今のこの光景は仗助くんの黒歴史になりかねないってわけだ。
庭駆けまわる犬ころのように承太郎にまとわりつく仗助を見ながら、上条はそう思った。
――親戚のおばちゃんにプロポーズした幼きあの頃のような、なんか、そんな感じの苦酸っぱい思い出になる。そんな気がするゥ。
「仗助、今のうちにお前の 『 スタンド 』 を知っておきたいんだが」
「ういっス! お安い御用っス!」
言うなり仗助の体から 『 スタンド 』 が飛び出した。
改めて見るに、ユニークな外見をしている。
『 スタープラチナ 』 が戦士なら、仗助の 『 スタンド 』 は中世ヨーロッパの戦士に動力炉とハートを足したような感じだ。
仗助がその場を離れたので、上条は元通りドアを閉めた。
仗助が身振り手振りで説明をしている。ぼんやりそれを見ている間に、御坂妹が車内に戻ってきた。
顔色がオールブルー。美琴が腰を浮かした。
「ちょっと、大丈夫?」
「はい……少しスッキリしました。とミサカは息も絶え絶えに答えます……」
「窓開けときなさい。風に当たってれば少しはマシだから」
御坂妹は素直に従い、窓の縁に顎を乗せた。
上条は仗助たちに視線を戻した。
ちょうどその瞬間、承太郎の体から青いオーラが立ち上った。いや、それは残像だった。
すさまじい速さで出現した 『 スタープラチナ 』 に上条の目が追い付かなかったのだ。
仗助は、あるいはその突出した動体視力で捉えられたのか、ごく自然に感嘆の表情を浮かべたが、上条はギョッとして二度見した。
『 スタープラチナ 』 は今度は比較的ゆっくり(と、言っても上条には一瞬の出来事だったが)そばの木の枝を折り取り、仗助の 『 スタンド 』 に投げつけた。
仗助の 『 スタンド 』 はバレーのトスでもするかのような気安さで枝をはじく。
途端、ビデオの巻き戻しのように枝が 『 なおって 』 いく。
毎度のことながら感心していると、上条の後ろから手が伸びて、バンッと窓に手をついた。
「なによあれッ、一体何やってんのッ?」
「だから 『 スタンド 』 だよ。あーいう能力らしいぜ」
上条が答えても美琴は眉間にしわを寄せたままだ。
おそらく彼女には枝がひとりでに折れて、飛んで行ったかと思えばくっついた、みたいに見えていたのだろう。
「『 念動力<テレキネシス> 』、じゃあない……明らかに違う……見たこともない能力……『 スタンド 』、これが? まるで……」
「まるで魔法ですね。とミサカは思わず非常識的なことを呟きます」
「まさか!」
美琴はうなるように言った。
「まあ……やっと信じる気になれたわ」
「はい? 何を?」
「アイツのあの恰好はファッションだってことをよ。いまどき信じがたいけど……正気の沙汰じゃないけど。
わざわざあんなバカみたいな頭にするのなんてスキルアウトくらいのものだと思ってたけど」
瞬間、仗助がグルンとこちらを向いた。
冷や汗が出た。まずい、いや、聞こえなかったはずだ。セーフセーフ……だよな?
セーフだったらしい。仗助は疑るように眉を寄せたが、すぐ承太郎の方へ向き直った。
「あれだけの 『 能力 』 持ちなら、不良になる意味なんてないものね」
「お前さあ……俺の言ったこと覚えてるか?」
「何よ?」
「あいつの髪やら服やらのことはとやかく言うなって。あと、そーいう風に人を見下した言い方はよくないぞ、うん」
「何、説教? アイツの格好がヘンなのは確定的に明らか……」
「はいはい言ったそばから~~!!」
声は低めているし硝子越しだ。聞こえているはずがない。
のに、仗助はものすごいタイミングで鋭い目を向けてきた。アンテナでも張ってあるのだろうか。
「ミサカはいいと思います。自分の好きなファッションを貫くということはミサカには無縁ですので。とミサカは最悪なコンディションの中主張します。うぷ」
「そうだぜ。それにこう……お前にとってアレだとしてもだ、迷惑かけてるわけじゃねーだろ?」
「……わかったわよ。私が悪かったわ、確かにね」
美琴はしぶしぶ頷いた。
仗助と承太郎が、ようやく車に戻ってきた。
承太郎は御坂妹に二言三言心配の言葉をかけると、ふと思いついたように仗助に質問した。
「お前の 『 スタンド 』 は……何でも 『 なおす 』 ことができるのか」
「んー……部品がないものと、俺自身はなおせません。あと、多分死んだモノもなおせません」
「『 多分 』?」
「試したことはねーでスけど、なんとなくそんな感じがするんスよ。原理はよくわからねーけど、そんな気がするんでス」
「お前がそう言うなら、そうだろうな」
承太郎は車のキーを回した。
「『 スタンド 』 は精神力だ。お前の 『 なんだかよくわからねーがそんな気がする 』 ってのは実は最も大切なことなんだぜ」
「はぁ~~~そうなんスか」
この 『 はぁ~~ 』 は 『 えーイマイチ理解不能 』 の 『 はぁ~~? 』 ではない。
納得して、感嘆した時の 『 はぁ~~ 』 だ。
だが、上条にはよくわからなかった。
「よくわかんないわね……信じ込むことが大切ってこと? なら私たちとどう違うってのよ……?」
隣の美琴も同じらしく、ぶつぶつ呟いている。
「きっと俺たちの基準で考えちまうのがいけねえんだ、多分、おそらく。なんか、もうちょっとズレた次元の話なんじゃねえか?」
「何よそれ」
「さあなあ……」
「なにそれ」
「いででっ」
美琴は呆れたように言って、上条の肩をつねった。
御坂妹は、なぜかそれに冷淡な視線を向けた。
「『 名前 』 は」
承太郎はごく普通に、禁句を口にした。
「え?」
「お前のスタンドの名前だ」
仗助は明らかに狼狽した。
「えぇぇ~~~……やっぱこーいうのって早い方がいいんスかねぇ……」
「俺の場合は目覚めてすぐ……知り合いのエジプト人に付けてもらったが」
承太郎は後部座席を振り返った。
「なんだ、仗助、お前、まだなのか」
「いやぁ、一回つけよーとは思ったんスけど」
仗助は頭をかきながら、チラリと上条を見た。
上条も肩をすくめた。
「いいのが出なかったんだよな」
「つーかどうしても必要なもんスかね」
承太郎はゆったりと座席に座りなおした。
「そうだな……いつまでも名無しの権兵衛じゃあ不便だし、何より自分の能力に愛着が持てる。つけてやるに越したことはないと思うぜ」
「いっそ今決めちゃいなさいよ」
美琴がどうでもよさそうに口をはさんだ。
「どうせアンタみたいなタイプって、後回し後回しして結局何もしないんだから」
「にゃにお~? このアマァ」
「何よ、このダサリーゼ」
「まあまあまあまあまあまあまあァ!!」
上条は慌てて間に入った。
忠告したばかりだというのに、どうも美琴のリーゼントに対する発言は脊髄反射的なものらしい。
『 しまったァァ~~ヘタこいたァァァ~~ 』 という顔で口を押さえている。
上条はため息をつきたい気分になった。
「ま、いいじゃねえか。なっ! 気長に考えてけばいいじゃねーか。ずっと思いつかなかったもんが今すぐポンッて出てくるわけねーんだし。なあ仗助?」
仗助は、まるで己の侘しい銀行口座残高をどう使うか考えあぐねているように真剣かつ難しい顔をして、ウムゥとうなった。
視線が上条に、御坂三姉妹に、そして承太郎に移る。
途端、仗助は名案、という風に手の平を拳で打った。
「そうだ! 承太郎さんが付けてくださいよ」
「……何?」
意外だったのか、承太郎はわずかに目を見開いて、驚いたような顔をした。
「おねげーしますよ~~! 承太郎さんはこういうのセンスありますでしょおー」
上条にもそれはいいアイデアのように思えた。
「そうだな。『 スタープラチナ 』 だって、空条さん自身が付けたわけじゃねーんだし」
「それでいいんじゃない? アンタやこいつよりかはしっくりしたものくれるでしょ」
「おおっ、ミサカたちはもしかして今、結構重要な場面に立ち会っているのでは。
『 スタープラチナ 』 に負けないくらいかっこよくてクールなやつを希望します。とミサカは興奮気味にまくしたてます」
「文句は言わねっスから! どうぞひとつ!」
仗助が顔の前で両手を合わせる。
承太郎はグイッと帽子をかぶりなおした。
「あー……」
期待、もしくは好奇心に満ちた瞳が、承太郎に集まる。
「クレイジー………………とか、どうだ…………?」
「……」
「……」
「……」
「…………はい?」
「…………クレイ……?」
皆がとっさに反応できない中、優秀だったのは仗助と御坂妹だった。
「待て。本気出す」
「ああいやいやいや! いいじゃねッスかクレイジー! なあ当麻ァ!」
「お、おう! なんていうか、こう、仗助の二面性を端的に表しているというか何かそんな感じの鋭いセンスがうかがえますよ!」
帽子の陰から承太郎の瞳が覗く。
「……本当か?」
「もちろんっスよ! ……ん~~…………でもちょっとコレ、『 スタープラチナ 』 に比べると短いッつーか……」
「はい。とミサカは挙手します」
「はいはいなんですか御坂妹さん!」
上条が振れば、御坂妹も教師に指された小学生のようにはきはきと発言した。
「『 スタープラチナ 』 に倣い、鉱物を名前に組み込んでみてはどうですか。とミサカは我ながらナイスアイデアと思いながら提案します」
「おおグッドアイデア! グレートアイデア!」
「まったくだぜまったくグレートだぜ!」
なぜか必死の態で男子二人が手を叩く。
美琴が顎に手を当てて思案し始めた。
「鉱物ねえ……『 クレイジークリスタル 』 とか?」
「アーン? なんか今にもガシャンッて砕けちまいそうな名前だな」
「アンタねえッ! 私が考えてやってんのにッ」
「ダイヤモンド」
承太郎の声が、場の空気を打った。
「砕けない鉱物と言えば、ダイヤモンドだ」
「『 クレイジーダイヤモンド 』」
上条は思わず手を打った。
上条の記憶に残るイメージに、その名は実にしっくりとなじんだ。
オーダーメイドであつらえたスーツのようにピッタリと合わさったのである。
「だってよ」
仗助を肘でつつくと、彼はぱちぱちとまばたきして、一気に笑顔になった。
「……~~~イイッ! 激イイっす!」
「そうか」
承太郎はますます深く帽子をかぶった。
わずかに肩が落ちたところを見ると、ホッとしたのかもしれない。
「え~~……オホンッ、オホンッ、それじゃあ改めまして……」
仗助は妙なポーズをつけた。
「『 クレイジー・ダイヤモンド 』 !!」
ドギュゥゥゥンッ!
仗助から勢いよく 『 スタンド 』 が飛び出した。
「~~~~ッッ……!! き、キモチイイ~~~……っっ!!」
「こんな狭いとこで出すんじゃあねー!」
「ちょ、ちょちょ、何いきなりくっついて……んのよォ! 馬鹿!」
「うおっ!」
「ぎゃあ!」
『 スタンド 』 はホログラフのようなもの。上条にぶつかることはない。
それはわかっているが、反射行動というやつだ。
思わず体を引いた上条は当然美琴と密着。なぜか赤面した美琴によって反対側に突き飛ばされ、恍惚とした顔の仗助へと望まぬ突撃を強いられた。
ガツン、という音が車内に響いた。
仗助が後ろ頭を打った音……ではなかった。打ちかけたが 『 クレイジー・ダイヤモンド 』 が支えてくれた。
勢いつきすぎた上条当麻が窓に激突した音である。
「ふ、不幸だ……」
「おいおいィ~~大丈夫かよ当麻ァ?」
「あ、あああんたが悪いんだからね! いきなりこんなッ……!」
「やれやれだぜ。とミサカは嘆息します」
「……上条くん」
「はい?」
「さっきから目で追っている 『 かもしれない 』 と感じていたが……今のではっきりしたな。
君も 『 スタンド使い 』 なのか?」
気づけば承太郎はこちらをガン見していた。
一気に剣呑さを帯びた瞳に、しまった先に言っておけばよかったと上条は後悔した。この目は嫌いだ。というより怖い。
黙っていたら尋問が拷問に変わりそうだったので上条はあわてて、
「ああいや! 俺はただ見えるってだけでして!」
思わずホールドアップしてしまう。
「そうそう、当麻だけは例外みたいなんスよね」
ナイス助け舟仗助。
上条は一気にたたみかける。
「詳しいことはわからないですけど、俺の 『 右手 』 がそうさせるのかと」
「ふむ」
と承太郎がうなった。
これは説明を求められているのだろうか。
「俺の 『 右手 』 は異能を打ち消す力がありまして。電撃とか、炎とか」
「同じノリで 『 スタンド 』 ヴィジョンも消せますぜ。ホラ」
言うなり 『 クレイジー・ダイヤモンド 』 が上条の 『 右手 』 に触れた。
ヴィジョンが仗助の体に重なり、かすれるように消える。
「……あーそういうことです、はい」
上条はぎくりと体をこわばらせた。
説明が終わるや否や、『 スタープラチナ 』 が急接近してきたからである。
上条の目の前で拳を固める。よく見れば鋲の打たれたグローブをはめていた。
そして、『 右手 』 をこつんと叩く。
途端 『 スタープラチナ 』 はビデオの逆再生のように承太郎の体へと戻って行った。
「……なるほど。世の中には、まだわけのわからねえことがあるみてぇだな……」
エンジンのかかる音が響いた。
「疑ってすまなかった」
「ああ、いえ」
「うぅ~~ん……」
稚い声が車内に響く。
打ち止めが美琴の膝の上で寝返りを打ったのだ。
美琴はそっと髪を梳いて、瞬間ぎくりと手を引っ込めた。
「やだっ……この子……」
狼狽して額に手を置く。
「『 熱いッ 』! ひどい熱だわ、どうして今まで気づかなかったのかしら、すごい高熱よ、この子!」
ジョースター家は乗り物と相性が悪いからな。ジョナサンは客船と共に沈んだし、ジョセフは四回飛行機が落ちたし、
承太郎も後半二回の飛行機落下、貨物船沈没したから。
承太郎も後半二回の飛行機落下、貨物船沈没したから。
ちょっと、このジョースター家がちょくちょく可愛い過ぎるんだがどうしたらいい
自然にジョジョリオンの絵柄で再生されてしまう
自然にジョジョリオンの絵柄で再生されてしまう
承太郎がすげーどっしりとした雰囲気のままやんちゃするのがすげー好きだ
もっとやりたまえ
もっとやりたまえ
本当はダイヤモンドってのは傷は付きにくいが砕けやすいんだよなwwww
>>798
ドヤ顔、いただきましたー
ドヤ顔、いただきましたー
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