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元スレ上条「俺がジャッジメント?」初春「2です!」
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>>54
嫁にしたいのか、嫁になりたいのか…自分に素直になるんだ
嫁にしたいのか、嫁になりたいのか…自分に素直になるんだ
ベクトル操作──────。
あらゆる運動量を解析し、操作する能力。
熱量であろうが光であろうが電気量であろうが、触れただけで自分の意のままに操る事ができる、学園都市最強の能力だ。
落ちていく二人の重力落下の運動量を変換し、岸の方へと向ける事も造作もない。
空中で瓦礫を静止させ、進路に邪魔なものをどかし二人を岸へと一方通行はただ無言で運んでいった。
上条「おぉ………………すげえな」
一方通行「下手に右手を動かすなよ。途中で落ちたくねェならな」
その最強の第一位を負かした右手に細心の注意を払いながら瓦礫が散乱する空中を抜けると、止まっていた瓦礫は本来の落下運動を取り戻し次々と水しぶきを上げて河へと落ちていった。
美琴を抱えている上条の背中を後ろから持ち上げるようにして、岸へと方向進路を進める。
段々と岸に近付くと、スピードを緩めてゆっくりと着地した。
上条「悪い、一方通行。助かった」
一方通行「………………………………ン」
上条の腕の中で気を失っている美琴に視線をやりながら一方通行はそれだけ返事をする。
いまだ崩落が続く鉄橋の轟音が轟く中、ただ黙ってその様子を見つめていた。
上条「おい、御坂、御坂! しっかりしろ!」
いまだ目を開けない美琴に上条が心配そうな声を掛ける。
肩を揺らしているのだが、起きる気配のない美琴に焦りの色を見せはじめていた。
一方通行「心配すンな、時間経てばじきに起きる。『電池切れ』みてェなもンだ」
上条「そ、そうなのか?」
恐らく、高ぶった感情の中で限界まで能力を出し過ぎた故の枯渇。
学園都市製の頑丈なあの鉄橋をあそこまで崩壊させたのだ、並大抵の出力ではなかったのだろう。
剥き出しになり溶けて形が変わった鉄骨、粉々に粉砕されたコンクリート。
あの鉄橋をここまで崩落させる事ができたのは、レベル5の力を持つ美琴であるからだった。
その一方通行の言葉に上条は胸を撫で下ろしたか、ホッとした様な一息を吐いていた。
初春「と、当麻さんっ!!」
黒子「と………………上条さん…………、お姉様…………」
すると、二人の少女の声が響き渡る。
駆け寄って来るその姿は、本当に心配して今にも泣きそうな表情だった。
上条「心配かけたな。大丈夫だ」
初春「当麻さぁん………………っ!」
上条「のわっ! ちょ、い、いきなり抱き着かないでー!?」
初春「よかった………………よかったぁ…………っ!」
膝の上に美琴の頭を乗せ、座った体勢の上条の首元に初春がしがみつく。
ふわっといい香りと柔らかい感触に襲われた上条は慌てふためくが、まだ痺れが残る身体を動かせずにただその感触を味わうだけであった。
初春「当麻さん………………ヒグッ、グスッ…………当麻さぁん………………」
上条「………………心配、かけちまったな」
初春の声に水気が混じり出した事に気が付くと、上条はもう一度安心させるように言う。
動かしにくい身体の中で一つだけ動かす事のできる右腕を初春の頭に置くと、そっと優しく撫ではじめた。
黒子「…………っ、あの……お姉様は………………?」
上条「ああ、御坂も大丈夫だ。電池切れのようなもんなんだってよ」
黒子「そう、ですの………………」
上条の膝の上の美琴の顔に黒子は目をやる。
苦しそうにも見えるその寝顔に黒子も憂いを秘め、しかし上条のその言葉に安堵の色も見せはじめていた。
その雰囲気から、本当に心底心配していた様子が窺える。
この場にいるその二人にとって、かけがえのない先輩で、親友で、仲間で。
こうして二人は追ってまで来てくれた。
悲しみに濡れた美琴を放っておけずに、慰める様に寄り添い合う様に。
───………………ったく。ほら、お前は一人なんかじゃねえぞ、御坂。
何もかも信じられない──────そんな苦痛、孤独などあってたまるか。
確かに繋がった絆は、そう簡単に切れるもんじゃない。
膝の上の美琴にもう一度目をやり、上条は静かに一息ついていた。
黒子「お姉様を助けてくださって、感謝致しますの」
一方通行「あァ?」
初春「本当にありがとうございました」
頭を下げた黒子と初春に、一方通行は怪訝そうに聞き返す。
いきなり何を言い出すのだ、と信じられない顔をするだけ。
この二人があの実験の事を知っているのかどうかは分からないのだが、あの時の美琴の言葉を確かに耳にしたはずだ。
『一万人以上の人間を殺した』
そんな人間に、感謝の念を告げる意味がわからない。
『普通』の世界の人間からしたら『闇』の中の畏怖の存在であるはずの自分。
美琴の言葉通り、血塗られた道を歩んできた。
オリジナルにあれだけの苦痛を与えてきたと言うのに。
それなのに、なぜこの二人はそんな事を言い出すのだ。
上条「ああ………………一方通行が来てくんなかったら、まじで死んじまうとこだったかもな」
黒子「わたくしもこのお二人に危険が迫ったというのに、冷静になれなくて………………演算もうまくできずにいて、空間移動能力者の端くれとして、ですが………………名折れですの」
初春「仕方ないですよ、白井さん…………私も、何もできませんでしたから………………」
一方通行「……………………………………」
黒子「貴方のお力があったからこそ、お二人は助かりましたの………………本当に、ありがとうございました」
初春「ありがとうございました…………っ」
上条「………………ありがとな、一方通行」
この壊す事しかできなかった能力が、打ち止めに会ってからは変わった。
守るべきものを守るという能力の使い方も知った。
知る人ぞ知る、最強最悪の第一位のこの存在が、意味が変わった。
一方通行「俺と超電磁砲の間に何があったのか………………知ってンのか?」
黒子「………………………………いえ、存じておりません。ですが」
初春「それは御坂さんの口から聞くまで、聞きません。きっと言ってくれなかったのは」
黒子「わたくし達の、信頼が足りなかったのかも知れませんの。ですので、お姉様からお話になるまでは」
初春「私達は、何も聞きません」
一方通行「……………………そォかい」
どこまでも仲間思いで、お人よし共。
だがそれは確かに信頼している大事な仲間だと言うことを覚らされる。
自分も、あの実験が始まる前に会っていたらどうなっていたのだろう。
上条「ん? どうした? 一方通行」
一方通行「なンでもねェよボケが」
上条「ぼ、ボケって………………そりゃ確かにお前に比べたら俺なんか頼りねえかもしんねえけどなぁ…………」
初春「お二人って、本当に仲がいいんですね」クス
黒子「ええ。お互いの事をわかり合っていらっしゃるみたいな」
上条「そうか? そう見えるか?」
一方通行「あァ? ンな訳ねェだろォが」
初春・黒子「ふふ……」クスクス
一方通行「……………………………………」
ああ、何でこの二人がさも普通に自分と接するのかがわかった。
上条が、自分にそう接しているから。
全てを救いしヒーローが、自分の様な『悪党』にも笑いかけてくれるから。
この二人も上条に無条件な信頼を寄せているのだろう。
その上条が信じている者は信じられる、といった具合にこの二人も自分に普通に接しているのだ。
一方通行「……………………チッ、おい、帰るぞ」
上条「おお、と言いたい所だけども」
一方通行「あン?」
上条「足、痺れて動かねえんだ。悪い一方通行、送ってってくんねえか?」
初春「と、当麻さん大丈夫ですかっ?」
上条「ん、多分すぐに治ると思う。御坂は空間移動で送ってってやってくれるか?」
黒子「ええ、了解致しましたの。先に寮に送り届けていきますわ」
上条「悪い、頼んだ」
初春「私も白井さんに着いていきます。一方通行さんすみません、お願いします」
一方通行「………………………………あァ」
やはり、コイツはどこまでもヒーローだ。
普通に接しているつもりが、それがクソッタレの悪党であるはずの自分さえ救い上げてしまうのだから。
「なんかすっげぇ音しなかったか?」
浜面「聞こえたか? やっぱ」
ファミレスから外に出ると、遥か遠くから何やら物騒な破壊音が響いていた事に三人は怪訝な声を上げていた。
何か、建物が崩れたか大型トラックが猛スピードで衝突事故を起こしたかの様な、そんな音。
夜の帳が下りるのが近い時間帯で、帰路に着く周りの学生達もその轟音にざわつきはじめている。
半蔵「大方、どっかの馬鹿が暴れてるんじゃねえの?」
まあしかし身内内の案件ならば、一応は半蔵の元に連絡やら何やらが来るのであろうが半蔵の持つ携帯電話は無反応を貫いており、そこまで心配するほどの事でもないのだろうと軽い口を叩いた。
浜面「ま、いっか」
「それより今日はこれからどうすんだ?」
あれから三人の間で様々な議論が交わされたのだが、効果的な結論は見出だせなかった。
何しろ、キーワードが少ない。
『DMリカバリデバイス』『研究者』『わかる者はわかる』
そもそもDMというものがわからないのだから仕方がない。
ダイレクトメールか? ダイレクトマーケティングか?
そうだとしてもリカバリデバイスというのがどうも繋がりにくい。
浜面も無い頭を振り絞り、何とか捻り出そうとうんうんと唸るのだが効果は無い。
やはり浜面は浜面という事なのだろう。
浜面「うるせえよ!?」
半蔵「あぁ? なんだいきなり、喧嘩売ってんのか?」
「ほう?」ポキポキ
浜面「だあああああ違う! すまん、なんか電波が入った」
浜面の言葉で眉間に皺を寄せた二人が浜面を睨みつけると、取り繕う様に弁解したがそれはまあいいだろう。
もう完全下校時刻は近いこの時間帯、冬の寒さもより厳しさを増してくる。
これから三人はどうしようかね、とお互い言い合いながら取り敢えずはスキルアウトのたまり場の所まで移動しようとしたのだが、何かを思い出したかの様に浜面は立ち止まった。
浜面「ん? ぬ、そういえば研究者と言えば」
半蔵「どうした?」
「んー?」
最近──────というか昨日知り合ったあの女性はそういえば『元』研究者か何かだったとか言ってなかったか。
黒髪の、首元までのセミロングが似合う結構綺麗なあの人。
浜面「……………………いたわ。一人、知ってる人が」
「まじか? おいこら、早く言えよ馬鹿面」
半蔵「ふーん、お前が研究者と知り合いなんて珍しいな」
二人の割と酷い言い草にブチ切れながら華麗にスルーしておき、浜面はどうしようか考える。
半蔵「んで。その研究者の名前は?」
浜面「ああ、芳川桔梗って人でな」
「キキョウ? 珍しい名前だな。女か?」
半蔵「ヨシカワ………………ヨミカワと語感が似てるな…………」
浜面「ああ、つってもその人、黄泉川の同居人だぞ。昨日黄泉川に飯を呼ばれてな、そこで知り合った」
半蔵「……………………………………は?」
浜面の言葉に半蔵の空気が変わった。
ピシッという凍り付いた様な音がここまで響いた気がする。
半蔵「黄泉川に飯を呼ばれたってどういう事だ………………?」ギラ
浜面「ああ、昨日帰ろうとしたら偶然鉢合わせてな。そしたらウチで飯を食っていかないk………………ってちょい待て半蔵! なに武器出そうとしてんだよ!?」
半蔵「なんで俺を呼ばなkいやぁ前から浜面とは決着を付けておかなきゃいけない気がしてねぇ?」
「途中まで心の声が出てんぞー」
ああ、そういえば半蔵はこういう奴だった。
大分前の話だが、浜面ともども黄泉川に捕まった事があり、その時に半蔵は黄泉川に恋心を抱いたという。
その様子を見るに、その想いは今だ萌え続けているようだ。
浜面「ま、駄目元で連絡取ってみるか?」
半蔵「おうおう、是非そうしよう!」
「ノリノリじゃねーか」
何とか半蔵を宥め、浜面は携帯を取り出す。
ピ、ピ、とボタンを押す浜面に目茶苦茶羨ましそうな視線を寄越す半蔵の視線を払い落とすと、携帯を耳に当てた。
trrrrrrrr──────trrrrrrrr──────
浜面「………………………………」
「………………………………」
半蔵「………………………………」ワクワク
trrrrrrrr──────trrrrrrrr──────
浜面「………………………………」
「………………………………」
半蔵「………………………………」テカテカ
trrrrrrrr──────trrrrrrrr──────
浜面「………………………………出ねえ」
半蔵「」ショボン
「めちゃめちゃ落ち込んでる……」
忙しいのか、浜面の携帯から聞こえる単調の機械音に変化はない。
半蔵のマジ泣きしそうなくらいの落ち込みに冷や汗を垂らしながら浜面は携帯の電源ボタンに指を置こうとすると、変化が起きた。
黄泉川『浜面? どうしたじゃん?』
浜面「あ、黄泉川。すまん、忙しかったか?」
半蔵「!」パァッ
「めちゃめちゃ喜んでる……」
電話口から黄泉川の声が聞こえたのだが、何やら騒がしい様な物音が混じっている事に浜面は怪訝そうな表情を浮かべた。
人混みの中なのか、色々な人の声が聞こえている。
黄泉川『んー、そうじゃん。ちょっと事件? 事故? その現場検証中でさ』
浜面「それってさっきのバカでけぇ音したやつ?」
黄泉川『そうじゃん。って浜面、なんか知ってるのか?』
浜面「いんや、ファミレスで駄弁ってたらその音がこっちまで響いてきてな。つー事は今は家にいねえのか」
黄泉川『いないけど、どうしたじゃん?』
浜面「あー…………いないんならいいや、悪かったな、忙しい時に」
黄泉川『いや、こっちこそ悪かったじゃん。なんか急用だったじゃん? 終わったら連絡するか?』
半蔵「」ブン、ブン!
浜面「(近ぇ…………)あ、ああ、頼むわ。それじゃ」pi
どうやら先程のあの轟音の案件で駆り出されているらしく、アンチスキル出動までの大事に何だろうと思いながら電話を切った。
っつーか半蔵、それだけ黄泉川に会えるのを楽しみにしているんだよというツッコミも入れたくなったのだが、まあ黄泉川からの連絡を待つ事にするかと浜面は二人を伴ってスキルアウトのたまり場で時間でも潰す事にした。
佐天「そうなんだ…………うんわかった、皆にもそう言っておくね」pi
絹旗「どうでしたって?」
佐天「うん、御坂さんは大丈夫だって。今日はもう寮に戻るらしいけど、心配いらないって言ってた」
インデックス「とうまは?」
佐天「一方通行さんと一緒に戻ってくるって言ってたよ」
インデックス「そっか、よかったんだよ」
セブンスミストに残った少女達にこの場を去って行った初春からの連絡を受け、無事だという事がわかると全員ほっと一息ついていた。
佐天も気が気ではなかった。
美琴のあんな高ぶった感情、悲愴めいた表情は見た事がなかった。
憧れとも言える能力者の第三位である前に、美琴はやはり佐天にとっても友達で、仲間で。
心配しない訳がなかった。
何が美琴をそうさせたのかはわからない。
一方通行にあの糾弾を浴びせ、走り去ったのを見て何かがあったのかはわかったのだが、その要因はわからない。
だが美琴が言うほど、一方通行は悪い人間ではないのではないかという気持ちが沸いて来る。
クレープを奢ってくれた────まあそれは抜きにして、インデックスや打ち止めに対する接し方、そして初春と上条の二人の仲を頭の中で思い浮かべて楽しそうな表情を見せた一方通行なのだ、それは普通の人間と大差なく感じ取れていた。
第一位という佐天にとって考えられない世界の人間であるのだが、いざ話してみるとそれはまあちょっぴり口は悪いが美琴の言う極悪人の印象はなかった。
絹旗「………………超災難でしたね、第一位も」
佐天「ん? もあいちゃん何か知ってるの?」
絹旗「もあい言わないで下さい」
インデックス「もっあっいー、もっあっいー♪」
絹旗「もあい言うなって言ってンじゃないですかァ!」
佐天「」
インデックス「」
窒素を纏めはじめた絹旗に地雷を踏んだとインデックスが少し反省していると、先程見た三人組が近付いてきた事に気が付いた。
長身のポニーテールの女性が何やら手招きをしているのだが、誰か知り合いなのだろうか。
インデックス「かおり、どうしたの?」
神裂「ええ、少しお話があります」
インデックス「うん、わかったんだよ。ちょっと行ってくるね、るいこ、もあい」
絹旗「」ピキッ
佐天「ど、どーどー」アタフタ
血管がキレそうな音がした事に佐天は冷や汗を隠しながら何とか絹旗を宥める。
しかし、一体何者なのだろう。
二人は日本人だろうと思われるのだが、もう一人は外国人、そしてインデックスと同じ修道服を着ている。
この学園都市ではコスプレじゃなければ見る事のないその恰好に、佐天と絹旗は気にかかっていた。
怪しい者達、なのだろうか。
しかしインデックスと彼女達はどうやら知り合いらしく、それがわかると行ってらっしゃいと手を振って送り出す事にした。
まあ名前で呼んでもいたし、恐らく大丈夫なのだろう。
佐天「あの人達は一体………………」
絹旗「ええ……………………、一体──────
超何CUPくらいあるんでしょうかね…………」
佐天「あ、そっち?」
胸に手を当ててワキワキとさせている絹旗に力無くツッコミを入れる。
というかその手の動きは何かイヤらしいからやめなさい。
インデックス「それで、どうしたの?」
神裂「ええ。実は私達が学園都市に来たのは、土御門からの要請なんですが………………」
インデックス「そうなの? 何かあった、とか」
五和「はい、実は………………今までにない、妙な魔力を感知した、という事で私達は調査に来たんですよ」
インデックス「……………………魔力? あれ、私は何も感知してないんだよ」
神裂「ええ。それがどうにも謎が多いようなんですよ」
インデックス「むむ………………そうなんだ。おるそらは?」
オルソラ「私も土御門さんにお呼ばれしたのでございますよ」
インデックス「おるそらも? そうなんだ………………何か私にも手伝える事、あるかな?」
そうして様々な事柄が、重なってゆく。
ちくせう!ちくせう!
折角久々の魔術サイドが出てきた所で切りやがって!
いちおつ(^ω^)
折角久々の魔術サイドが出てきた所で切りやがって!
いちおつ(^ω^)
すんばらしいでござる
>>1乙
>>1乙
乙。初春さん流石恋する乙女、マジパねえっすwww
ヒーローにそげぶされて、自分の努力もあって人格を魔改造した後だから、
みんなが第1位に悪い気持ちを抱かないのは仕方ないのかもしれん
つくづく美琴は不運だなホント
ヒーローにそげぶされて、自分の努力もあって人格を魔改造した後だから、
みんなが第1位に悪い気持ちを抱かないのは仕方ないのかもしれん
つくづく美琴は不運だなホント
初春「………………………………」
慣れない場所である常盤台女子寮の208号室にて、初春は目を覚まさない美琴の手を握り、じっと眺めていた。
基本的には部外者は立入禁止であるこの寮なのだが、厳格な風格を漂わせる寮監に誤魔化しながらもジャッジメントである事、そして美琴の友達である事を説明したら納得して受け入れてくれていた。
あれから黒子は橋の倒壊についてアンチスキルの現場検証について行き、この場にはいない。
どういう報告をするのかはわからないのだが、美琴の不利になるような証言はしないのだろう。
美琴「ぅ…………ん…………」
初春「御坂さん………………」
時折譫言のような声が美琴の口から漏れる度にその手を握り直す。
苦しんでいるような、何かに怯えているような、そんな美琴の様子に初春も痛々しい沈痛な表情になっていた。
あれほど強い、精悍な美琴をここまでにさせる『何か』は、一体何なのだろうか。
学園都市第一位の一方通行との間に、一体何があったのだろうか。
想像はできないが、きっと悲しく空しい事があったのだとは思う。
自分の想像も全くつかないような、『何か』が。
美琴「う………………うぅ、ん…………」
初春「あ…………御坂さん」
そうしている内に美琴のうなされる声に変化が起き、初春はそっと呼び掛ける。
そして美琴は、静かに目を開けた。
美琴「ん…………あれ…………、ここは…………」
初春「御坂さん…………、大丈夫、ですか?」
美琴「あれ、初春さん………………って私………………っつ……!」
初春「だ、大丈夫ですかっ?」
いまだに意識がはっきりしないか、半眼のまま初春に目を向けていたのだが、意識が覚醒するとガバッと身を起こそうとする。
しかしそこで頭痛に襲われたかのように頭を押さえ勢いを止めていた。
美琴「ここは………………私の部屋…………? なんでここに……」
初春「まだ起きちゃダメですよ。ほら、横になって下さい」
やがて自分に何があったのかを思い出したように呟いていたのだが、繋がれた手の感触とその言葉が美琴の耳に届くともう一度初春の顔に視線を向ける。
本当に心配そうな表情をしている初春に、美琴は少しずつ落ち着きを取り戻していった。
美琴「………………あれから。どうなった、の?」
初春「…………はい。その……、お二人が川に落ちそうになっていたのを」
美琴「……………………うん」
初春「一方通行さんが、助けました」
美琴「あ………………アイツが…………!?」
美琴の目が見開かれる。
まるで信じられないという風に、ありえないという風に美琴の瞳が大きく揺れていた。
美琴「………………本当、なの? それは…………」
初春「はい。私も白井さんも何もできずにいた所を、一方通行さんが」
美琴「………………………………」
何故自分を助けた。
美琴はそう言いたそうに唇を噛み締めている。
一方通行の行動の意味がわからないと思っているのであろうか。
何があった、とはとても言えなかった。聞けなかった。
あの場で一方通行に浴びせた糾弾は、事実なのか。
一方通行が美琴に、どんな苦しみを味わわせたのか。
美琴「……………………そうなんだ」
初春「はい」
確かめるような美琴の言葉に、初春は頷く。
それは確かにこの目で見たから。
川を飛び越えて二人を抱えて戻って来る一方通行の姿を、確かにこの目にしたのだ。
美琴に対してどんな感情を持っているのかは知らないが、いたわるような丁重な扱いにも感じるその一方通行の様子を見たのだ。
それは、紛れも無い事実だった。
美琴「ってそれじゃあ…………! アイツは、当麻はっ!?」
初春「はい、当麻さんも無事ですよ。一方通行さんとセブンスミストに戻るって言ってました」
美琴「! そっか…………無事、だったんだぁ…………」
彼の事が頭を過ぎると、美琴の顔は段々と青ざめはじめる。
必死の形相をして詰め寄った美琴に、初春がその返答をするや否や、心底安心したように表情を和らげて体勢を整えていた。
美琴「…………………………」
初春「…………………………」
沈黙が部屋を包み込む。
ただ初春は黙って美琴の手を握っており、美琴もそれを静かに受け入れるようにじっと佇んでいた。
ただ、まだ美琴には苦しそうな、ふさぎ込むような雰囲気が覆いかぶさっている。
それをそっと優しく見守るように、思いやるように初春はその握った手を強めていた。
美琴「……………………何も、聞かないの?」
初春「……………………」
ぽつんと呟いた言葉が、やけに弱々しく感じる。
はっきりとモノを言う美琴のいつもの声色とは全く違う、恐怖に震えている子供のような疑心暗鬼にも聞こえるその声。
それを言うと、美琴はただ初春の返事を待っているように口をつむんだ。
初春「……………………はい、聞きません」
美琴「どう、して………………?」
初春「……………………それは」
美琴「………………うん」
初春「御坂さんにとって、話し辛い事だと思いますから」
そうだけど、でも──────。
そう言いかけたのは美琴の口の動きでわかった。
しかしそれを喉の奥で飲み込んで美琴はじっと初春の顔を眺める。
初春は、そんな美琴に微笑みかけた。
初春「御坂さんに何かがあったのは、わかりました。でもそれを、無理して御坂さんに言ってもらおうとは思っていません」
美琴「……………………でも」
初春「私は」
美琴「……………………」
初春「大切な友達の御坂さんに、辛い思いはしてほしくないですから」
美琴「……………っ」
初春の言葉に、美琴の身体が一瞬震える。
どんな思いが今美琴の中を駆け巡っているのかはわからない。
当人にしかわからないのだろうとは思う。
でも、これだけは知ってほしかった。
初春「私も白井さんも佐天さんも………………当麻さんも、御坂さんを大切に思っています。
だから、大切な御坂さんの悲しい顔は、見たくないんです」
美琴「初春、さん……………………」
初春「悲しい時は傍にいてあげたいです。
泣いている時は慰めてあげたいです。
助けてほしい時は、助けてあげたいです。
辛い時は、支えてあげたいんです。
だってそれが、友達なんですから」
美琴「……………………っ」
初春「ですから、御坂さんが御坂さんから話してくれるまで。私達は聞かないって決めたんです。何でも話してくれる、その時まで。御坂さんは、一人じゃないですから」
それが、最上級の友達。
そんな仲になれるまで、まだ自分達、いや、自分は頼りないのだろう。
だから、何も言わず、何も聞かずに寄り添っていたい。
美琴「………………ごめんね。ありがとう、初春さん…………」
初春の手をキュッと美琴は握り返す。
朧げながらも耳に届いた彼の声と、初春の言葉が重なる。
『一人じゃない』
自分達がいる。
確かに思ってくれる、仲間が、友達がいる。
それがいつしか美琴の心を凍てつかせていた氷を溶かしはじめていた。
美琴「………………初春さん、アイツの事。名前で呼んでるんだ」
初春「あ………………」
落ち着きを取り戻した美琴がベッドの上で毛布を膝に掛けて体育座りの体勢のまま初春に尋ねる。
美琴の言葉に何となく視線を外しながら初春は、はい、と頷いた。
初春「でも、御坂さんも」
美琴「わ、私は………………ってその、無意識で」
初春「私も、そうですね」
言葉少なく、お互い言葉を選んでいるようにしてぽつぽつと口に出す。
もうお互いの気持ち、想いは完全に感づいているのだが。
ただ直接それを言った際、きっと気まずい空気が流れるんだろうなと相手方の様子を吟味するように窺い合っていた。
自分は彼が好き。
そして美琴も彼が好き。
あと黒子も何か怪しい──────あれ、四角関係?
ううん、インデックスもきっとそうだ。
初春「当麻さんって………………すっごいモテます?」
美琴「モテるっていうか多分アイツの事だから勝手にフラグが立つと言うか…………気付けばすぐどっかの女の子を助けてるんだもんね」
初春「…………それはもしかして、さっきセブンスミストにいたあの三人も…………」
美琴「それはわかんないけど。十分ありえる話、かもね。あれ、でもあの控え目の黒髪のコはもう既に立ってそうな…………」
初春「お知り合いなんですか?」
美琴「ううん、前にね、アイツと一緒にいたとこを見た事あるの。アイツその人の胸に顔埋めてたし…………」
初春「ななななななな何ですって!? あれ? でも私も前に…………」
美琴「ななななななな何ですって!? く、詳しく!」
顔埋めていた云々は上条のせいではないが。
そんな会話をしながら、初春は段々と美琴の調子が戻ってきた事に気付いた。
いまだ本調子、という訳でもなさそうなのだが美琴の顔にも段々と笑顔が戻ってきている。
やはり、美琴を元気付かせるのは──────彼なのだろう。
初春「御坂さん」
美琴「な、何?」
初春「私は、当麻さんの事が好きです。まだこの気持ちは当麻さんには言えてはいないですけど」
美琴「!」
初春「御坂さんの事も好きです。でも」
美琴「……………………うん」
初春「私、負けませんから」
美琴「………………そっか、まだ付き合ってる訳じゃないんだ…………なら。私も、負けないわよ。私も、アイツが、当麻が好きだから」
初春「ふふ、ライバルは多いですね」
美琴「ね。だからこそ、何としてもアイツを振り向かせたい」
初春「ええ」
まだ自分は頼りない。
精神的にも、強くはない。
それでも、この想いは負けたくない。
キュッと握っていた美琴の手を、もう一度強く握り直していた。
美琴「………………元気、出たよ。ありがとう、初春さん」
初春「…………よかったです、御坂さん」
全てをこの親友が話してくれないとしても、友達として、ライバルとして。
笑顔で支えてあげたい。そう思っていた。
prrrrrrrrrrr──────
「電話鳴ってるぞ?」
浜面「あ、俺か。誰だ………………あ、黄泉川だ」
半蔵「」ガタッ
「」
浜面「」
あれから暇潰しにとたまり場に持ち込まれた最新型の対戦型ゲームに白熱していた所で、着信を告げる電子音が響き渡っていた。
浜面が電話を取り出し、ディスプレイに表示された名前を告げると半蔵が息もつかせぬ早さで浜面の耳に当てた電話に己もと耳を近付けていた。
こんな所で忍の速さを発揮しなくともいいだろうに、と思いながら浜面は通話先の相手の声を待った。
黄泉川『もしもし、浜面? 今終わったじゃん』
浜面「お、もういいのか? 何だったんだ?」
黄泉川『んー、まあ色々とあった、みたいじゃん。それより浜面、用事って何だったじゃん?』
浜面「何だよその引っ掛かる言い方は。まあいいけどさ。用事っつか、ちょっと黄泉川の同居人に尋ね事があって」
黄泉川『んあ? 同居人って………………一方通行か? 一方通行達なら今一緒にいるけど』
浜面「いや違う違う、って一緒にいんのかよ」
黄泉川『一方通行じゃない? んじゃ誰じゃん…………ま、まさかとは思うが』
浜面「………………おい、ちょっと待て。お前は誰を想像している」
黄泉川『打ち止め、じゃないだろうな………………?』
『あァ?』『ほえ、ミサカ?』『電話の相手ってロリk』
浜面「違わいっ! 芳川サンの方だ芳川サン! っつか何か聞こえたぞ!」
黄泉川『あん? 桔梗? 桔梗なら家にいると思うけど…………』
浜面「家にいんのか。んー………………黄泉川いなきゃ行きづらいな…………」
黄泉川『何々? 何の話じゃん?』
浜面「すまん、ちょっとだけ待っててくれ」
浜面は一旦電話から耳を離し、半蔵達に相談する。
どうやら現場検証は終わったらしいのだが、家に戻るまでもう少し時間が掛かるのだろう。
どうする、と目で半蔵達に確認した。
半蔵「(黄泉川いなきゃ意味ねえ)」
「(別に聞きたい事聞きゃいいだろうがよ…………)」
半蔵はもう黄泉川にしか目がいっていないのか、黄泉川だけに会う前提の目をしている。
それを軽く聞き流して、もう一つの意見の方に耳を傾けた。
浜面「(まあそうだよな。んじゃまあ今から行きますか)」
「(終わったらすぐずらかりゃいいんじゃね? ………………俺は黄泉川に会いたくねえよ…………)」
浜面「(………………………………)」
半蔵とは全くの対照的な意見に軽く冷や汗を垂らしながら浜面は再び電話を耳に当て、口を開こうとする。
浜面「すまん黄泉川、待たせたn────」
『何ですかァ? ウチに何かご用件ですか浜面くゥン?』
浜面「んげ、一方通行………………」
電話先の相手が変わり、さも不機嫌そうな声が浜面の耳に飛び込んで来る。
その声に半蔵も「うっ」と退き何かトラウマでも思い出したかの様に苦い顔をしていた。
浜面「いや黄泉川家というか、ちょっと芳川サンに聞きたい事があってよ…………」
一方通行『………………あァ? 何の用事だ?』
独特な彼の発音に真剣さが混じった様な声色が混ざる。
電話先の向こうでは一方通行の眉間に皺が寄っていそうなのが容易に想像できた。
浜面「ああ、ちょっと研究職の人に教えてほしい事があってな。つっても俺には研究者の知り合いは芳川サンしかいなかったからさ」
一方通行『教えてほしい事って何だよ』
浜面「あー………………まあお前ならいいか。えっとだな」
一方通行『………………あァ? あァ…………いや、後で聞く。もう少し経ったらウチに来い』
浜面「一方通行?」
一方通行『『一方通行くん?』あァ…………チッ、電話切ンぞ』
浜面「あ、ああ………………わかっt……ってもう切りやがった」
「なんだって?」
浜面「んー、もう少ししたらウチに来いだってさ」
半蔵「よ、よし行くか」
浜面「ちょっと早ぇよ!?」
何やら電話先が騒がしくなったのを怪訝に思ったが、まあ気にする事でもないのだろう。
一方通行の周りは打ち止めから番外個体から、騒がしいコ達が多いしなぁと納得した頷きを見せると、浜面達はもう少し時間を潰してから黄泉川家に向かう事にした。
ピンポーン──────
そしてそれから数十分後、今まで見たことのないくらいの上機嫌の様子の半蔵を抱えて浜面達は黄泉川家のインターフォンを押す。
麦野「はーい、お帰りなさーい………………ってあれ、浜面?」
浜面「………………は? 麦野?」
半蔵「ん?」
「ぬお!? き、昨日のビーム砲さんじゃねえか………………」
思わぬ人物がドアからこんばんはした事に、浜面は思わず息を止めていた。
それは決して熊に出会った時の間違った対処法じゃない、うん。
ちょっと短いけどここまで
ダメだ、なんかスラスラ書けない
自分の無能さにほとほと呆れるわ、抜いてくる
また次回!
ダメだ、なんかスラスラ書けない
自分の無能さにほとほと呆れるわ、抜いてくる
また次回!
乙
だが学校はどうした?
それと『一方通行くん?』ってよんだのは誰だ?
だが学校はどうした?
それと『一方通行くん?』ってよんだのは誰だ?
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