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元スレ上条「俺がジャッジメント?」
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乙です
ここで一通とかわくてかする引きですなぁ
直前まで頑張っていたかわいいこもえちゃんの印象がすべて吹き飛ばされた
というか一般人のいる前で第一位が負ける可能性もありうるのにやっちゃっていいのか上層部の人たち
ここで一通とかわくてかする引きですなぁ
直前まで頑張っていたかわいいこもえちゃんの印象がすべて吹き飛ばされた
というか一般人のいる前で第一位が負ける可能性もありうるのにやっちゃっていいのか上層部の人たち
ここで一方通行戦とかリアルに吹いたwwwwww
つかなんで一方さんはジャッジメント採用試験に協力してんの?
つかなんで一方さんはジャッジメント採用試験に協力してんの?
きっと、風紀委員試験会場で君もヒーローと握手!みたいなチラシに釣られたんだよ
そして会場についたら黄泉川にショッカー役を押し付けられたと
そして会場についたら黄泉川にショッカー役を押し付けられたと
乙ですた
この一方さんノリ良すぎワロタwwwwwwwwwwwwww
なんか油断して殴られそうなギャグキャラの空気を感じさせるwwww
この一方さんノリ良すぎワロタwwwwwwwwwwwwww
なんか油断して殴られそうなギャグキャラの空気を感じさせるwwww
「いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや……………………」
脳内で否定する。まさか、ここに一方通行がいるはずがない。
ブンブンと目をつむり、首を振ってこれは幻想だと自分に言い聞かせる。
そして、恐る恐る目を開けると。
「はは、ほらやっぱり幻想だ。ここにあいつがいるはずがない」
上条の目の前に一方通行の姿はなかった。
やはり幻想だったとホッと勝手に安堵していたのだが────。
「っ!!」
嫌な予感が脳裏を過ぎり、上条は咄嗟に身を屈めた。
ブオンッッ!!
と言う風を『切る』──という表現も生温い程、風をバッサリと『切り取る』様な轟音が上条の頭上僅か数cm上で響き渡り、バッと下がって距離を取った。
「ほォ、これを避けやがるかァ」
「いやそれくらうと上条さんの首飛びますからね!?」
能力使用モードの、建物など砂の城の様に軽く破壊できる威力のその回し蹴りの余風で初春のスカートがフワッと上がる。
バッと顔を赤らめ押さえたのだがお目当ての彼は背を向けていて助かったといえよう。
それを抜きにしても一方通行が放ったその蹴りはこのグラウンドに響き渡るほど。
それほどの威力を想像させていた。
──………ふぅ。 ……………いや、もう一度確認しよう。うん。
確認するとそこには右足を突き出した姿勢のままの一方通行がいた。
……………………いや、やはり一方通行。
……………………一方通行?
「なんでお前がここにいるんだあああああああああ!!??」
指差し、あわわわわわという表情とガクガク揺れる膝もそのままにありったけの叫びを浴びせたのだが、一方通行は別段気にしてない様子で体勢を直していた。
「あァン? そこの黄泉川に呼ばれただけだ。気にすンな」
「気にすんなじゃねーよ!! っていうか黄泉川先生と知り合いかよ!! つか何でお前が相手なんだよ!! ああもうツッコミ所が多過ぎる!!」
「ゴチャゴチャうるせェぞ三下。まァ俺は特別講師にと呼ばれただけなンだがな」
「恐ろしい特別講師だな! っていうかお呼びじゃありません!!」
そんな二人の掛け合いに黄泉川を除いた全員がポカンとしていた。
黄泉川は笑いを噛み[ピーーー]かの様に口元に手を当てていたのだ。
──いや、何笑ってんすか黄泉川先生…………一歩遅ければお陀仏だったんすけど。
まあそれはいい。よくはないが。
とにかく、状況判断だけでいっぱいいっぱいだった。
>>211
噛み[ピーーー]
噛み[ピーーー]
ちなみに、一方通行がここに来た理由としては。
最初に言っておけば、彼は『悪党だ』と自身を蔑みながらも、実は根っからの善人である。
自身が犯してしまった過ちを贖罪すると言う訳でもないのだが、守ると決めた者を守る為に自身が傷付き。
自身が守ると決めた者の為にロシアまで赴き。
守る者の為に学園都市の闇に溶け込み。
そんな彼なのだ。
そんな彼が、守る者共々普段の生活の中で世話になっている者からの頼みも、無下に一蹴は出来なかった。
そんな彼らの、昨日の会話を一部抜粋。
『一方通行、頼みがあるじゃん』
『あァ? 何だ?』
『明日、着いてきてほしいじゃん』
『用件は何だ?』
『それはまあ、明日になってからの楽しみってやつじゃん』
『はァ? 俺は忙しいンだよ』
『ミサカもー! ミサカも行くー! ってミサカはミサカはあなたとヨミカワに駄々をこねてみる!』
『打ち止めは駄目。プリン買ってきてあげるから大人しく待っててくれると嬉しいじゃん』
『おい、誰が行くって決めたンですかァ?』
『……………………お前の部屋の箪笥の上から二段目』ボソッ
『!? テメェ、どっからそれを…………』ワナワナ
『バラされたくなかったら明日はついてくるじゃん』
『……………………チッ』
『何を言ったの? ってミサカはミサカはあの人を巧みな話術で操ったヨミカワを尊敬の眼差しで見つめてみたり』キラキラ
『一方通行にとっても悪い話じゃないじゃんよ。多分、テンション上がる』
「…………っつゥ訳だ」
「いやそれ普通に脅迫じゃね?」
「くく、モノは言いようじゃん」
あの一方通行と共に生活をしているという情報だけで驚きなのに、更には上手い事操っていた黄泉川の恐ろしさを肌で実感する上条。
次からの体育の授業は恐らく、誰よりも真剣に受ける事になるであろう。
「黄泉川」
「ん?」
そんな中、一方通行が黄泉川を呼ぶ。
黄泉川はいつの間にか、真剣な表情を作って悠然と立っていた。
「俺の顔に一発でも浴びせりゃ、合格させる、だよなァ?」
「ああ、そうじゃん」
「把握した」
ニタアアァァァっという笑みを浮かべ一方通行は上条に見せ付ける。
「黄泉川の言った通り、テンション上がるぜェ…………! 合法的に三下をいたぶれるチャンス到来ってやつかァ?」
「いや、お前法とか気にしないだろ!?」
今更何を言ってやがる!とでも言いたそうに噛み付く上条なのだが、一方通行はニヤリと口の角を吊り上げた表情を崩さない。
「……………………二度ほどテメェにゃ遅れを取ったが…………」ボソッ
「な、何だって?」
「今回こそ愉快なオブジェにしてやンよォォォォッッ!!」
「ちょ、待t」
今、こうして戦いの火蓋は切って落とされた。
──無理無理無理無理無理無理無理無理無理……………………。
かつて一方通行と対峙した時のあの恐怖が蘇る。
傍から見た人がいるのなら、戦績は上条の二戦二勝と言うだろう。
しかし、上条は勝ったなどと一度も微塵に思った事はない。
一度目のあの実験の時だって妹達の力を借りてまでで瀕死の状態まで追い込まれたし、ロシアでの二戦目もお互いそれどころではなかった。
学園都市230万人の中の無能力者という底辺の部類に位置する自分と、相手は230万人の中でも七人しか辿り着いていないレベル5。
しかもその中でも飛び抜けている、第一位なのだ。
改めてこうして対峙しているだけでも震え上がってしまう程の相手。
どうとでも自分を料理出来てしまう腕を持っているのだ。
黄泉川先生なら或いは、などという甘い幻想はぶち殺され、冷や汗がとんでもない事になっている上条。
こ!れ!は!無!理! と旗でも振ってしまいたい状況であったのだが。
「…………………………………………すぅ」
深く、深く息を吸い込む。
チラッと見えた心配そうな少女の表情に、上条は意識を改めた。
自分の時間を削ってまで、付き合ってくれた彼女の為にも。
大切な人達を守る為にも。
己の掲げた正義ってヤツの為にも。
──俺は、負けn
「のわっっ!?」
ズバァァン!!
心の中で言い切る前に、上条は回避行動を取っていた。
すると先程まで上条が立っていたグラウンドの地面が割れ、土で出来た槍が下から突き上げていた。
一方通行を見る。
一方通行は地面に拳を突き落とした状態のまま上条に視線を向けていた。
「てめ、気持ちの整理とか覚悟とかそういうのさせろよ!」
「あァ? いざ事件が起きた時、一々ンな時間設けるつもりなンかよ?」
「それは……まぁ、その……あれだけどさ!」
いざ実戦となると恐らくそういう覚悟云々の時点で上条は動くのだが、どうもこういう場面ではそういう気持ちの整理は必要らしい。
──まァそれがテメェの持ち味でもあるンだがな。
上条のその逡巡も、彼の底抜けの優しさからくる為だ。
自分の事などまるで考えず、他人を助ける上条の姿を見て、彼は学ばされた。
まるでヒーロー。
汚れた自分とは違う、光の中の住民。
そんな奴が相手だからこそ、自分も全力で応えたくなってしまうのは世の理か。
「…………行くぞ三下」
「…………ああ」
光の中の英雄と、闇の中の英雄がここでぶつかり合った。
「…………一体なんですの? あれは」
気付けば黒子はボソッと呟いていた。
自身が受けたジャッジメントの試験とはまるで様子が違う。
そもそも、格闘要素など風紀委員に求められるものではなく、それはアンチスキルの分野の筈だ。
それがレベル0の順番になった途端、黒子は自身が受けた試験とはまるで違う事に何やら不審、とまではいかないが一体何が起きているのか分からなかった。
唐突に場に飛び込んできた白髪の少年は一体何者なのか。
仕事で何度も顔を合わせている黄泉川からの召喚で現れたその少年。
傍から聞いている限り、あの類人猿との言い争いの内容は恐ろしく仰々しい。
そしてその白髪の少年が見せた能力らしきもの、その威力。
恐らく、レベル4である自分の力など軽く凌駕しているのであろう。
風を操作し、地面を操作し、またその細身の身体からは想像もつかないような威力を思わせるその動き、余波。
ほら、地面がまためくり上がった。
そして何よりも気になるのが。
あの類人猿だけ特別で。
そしてその少年と、見た限り対等に渡り合えているという事。
白髪の少年の攻撃を軽くいなし、類人猿もまた右手を振るう。
いつもの黒子なら右手しか使っていない事に違和感を覚えている筈なのだが、目の前で起きている状況にそれも気付けないでいた。
あの白髪の少年が飛び出てきた時、初春は目を見張った。
あれは、あの時の。
そう、自分がアホ毛ちゃんと呼ぶあの小さな女の子と一緒にいた時、垣根帝督に襲われた際に助けれくれたあの白髪の少年。
命の、恩人だ。
そんな彼が何故今ここにいるのか。
そして何故上条と戦っているのか。
二人の言い争いから、二人の間に何かとても大きな事があったのが伺える。
「……………………一方通行」
「初春?」
「あの白髪の方の名前、らしいです。つい興味本位で調べた事があるんですが」
「名前? また珍しい名前ですの」
「情報は頑丈に固められていて、私でも解析出来ませんでした。学園都市の中でも相当に機密条項の様です。ただ、これだけは」
「これだけ、と言うと……………………?」
「…………レベル5。その中でも…………第一位、らしい、です」
「な!?」
そんな初春の言葉に、黒子は思わず息を飲んでいた。
「だ…………第一位!? そんな大物が、何故…………!?」
ワーワーと歓声と二人が戦う騒音からか、初春と黒子の会話は他の誰にも届いていない。
砂埃やら爆風やらを巻き上げ、二人は戦っている。
本来なら、こんな戦いは風紀委員である自分達が止めるべき、であるはずなのだが。
そういう気は、起きなかった。
「でも」
「何だか」
「二人とも、楽しそうです」
それは、初春と黒子の二人には、何故かそう見えていたからだった。
どうする、どうする。
相手は百戦錬磨の一方通行。
最強の名もほしいままにこの学園都市のトップに位置する能力者。
その能力は、ベクトル操作。
あらゆるエネルギーを操作し、自分の力とする。
太陽光を集め、その熱量を操作し放とうとする一方通行に危機感を覚えて右手を突き出す。
パアァン!
という小気味良い音と共にそれを打ち消しては距離を取った。
「このチート野郎め」
「テメェが言うな」
軽口を叩いては一方通行はニヤリと返答する。
上条の言ったチート野郎と言うのはあながち嘘ではなく、一方通行は本当に何でも出来る。
ぶっちゃけ、一瞬出来る隙をついて一方通行が起こそうとする行動を留めるだけしか出来ない。
攻めようにも右手以外は攻撃を反射されてしまう為、一方通行が起こす行動に対処するしか出来ないでいた。
幻想殺しが宿る右手で掴み、攻撃──というのを勿論考えたのだが、一方通行は自分の右手を特性を把握しており、その隙は与えてくれはしない。
ヒット&アウェイならぬ、イマジンブレイク&アウェイ。
それしか出来ないのだ。
しかし距離を置くにも、遠距離攻撃がすかさず飛んでくる為、遠くに離れれはしない。
近距離にしたって、自分の右手に注意を払いながら目にも止まらない早さで連打を浴びせてくる為、それはそれで一瞬でやられる。
──ああもう、どうすりゃいい!!
上条は軽く苦虫を噛んだ。
「避けてばっかじゃ意味ねェぞ!?」
「んなん言われたって攻める手段がねえっつーの!!」
一方通行が拳を振るう。
それはまさに音速で、当たれば通常の人間なら一たまりもない威力。
だが上条には避けられていた。
──チッ、何かコイツ戦闘能力上がってやがンな。
地面のベクトルを操作し地割れを起こしても、風を操作し鎌鼬を作っても。
何故か全て、避けられていた。
演算には能力者それぞれ違うのだが、時間が掛かる。
レベル5という括りは、威力さながらそれはもう一瞬の内に演算式を組み立てられる、という程の演算能力の保持者達でもあるのだが、それでも演算にはほんの一瞬だけ時間を要する。
ほんの、一瞬だけ。
しかし上条はその一瞬を見極め、その忌ま忌ましい右手で能力を打ち消してしまっていた。
「バケモンかよテメェは」
「お前に言われなくないわ!」
「本気でかかってこいよ」
「上条さんは既にもう本気です! ったく一方通行の方が全然本気じゃないんだろ?」
それは嘘だろう。
いや、上条は本当に本気なのかもしれない。
しかし、それは本気の『つもり』。
そう、あくまでつもりなのだ。
別段追い込まれた状況でもない、この試験。
それに、自身の命の危機では上条の真価は問われない。
上条は『他人の為』になるとその真価を発揮するのだ。
それは何となく、今まで上条を見て分かっていた。
──…………どこまでお人よしなヤロォだよ、コイツは。
善人悪人問わず、その右手で救い上げてしまう様な奴だ。
本気になれば、『悪党』でしかない自分など敵う筈もない。
ハァ、と溜息を吐く。
あの上条と再戦できるという事で、テンションが上がっていたのだが自身でそんな事を考え少し気分が沈んでしまう。
──どこの女々しィヤロォなンですかァ? 俺は。
勝手に芽生えた考えで自身に嫌気が差し、構えていた体勢を解く。
帰ってコーヒーでもやけ飲みしてやろうなんて考え、首元のチョーカーに手を掛けようとしたのだが。
「……………………やめだやめ、興ざm」
グワシャ!!
「ブハアアアアアアアアァァァッッ!!」
「えっ、ちょ、あれ、一方通行──────────────!!??」
く……………………空気読めよ三下ァ…………。
結局あれから何があったのかと言うと。
黒翼出現→上条を残したその場にいた全員避難→罰として上条居残り討伐→病院。
という訳で、現在ワタクシこと上条当麻は病室で目を覚ましました、ハイ。
「不幸だ……………………」
「不幸だ、じゃねェよクソがァ」
上条専用となったいつもの病室に何故かもう一つベッドが設置されていて、カーテンで仕切られた隣では頬にガーゼを当てている一方通行がそれに返事をした。
その声にビクゥ!っと言う反応をしたのだが、状況を判断するにどうやら彼も隣のベッドで横になっているらしい。
「あ、一方通行、いるのか…………。その…………悪かったよ、不意打ちみたいな真似して」
「……………………ケッ。そのけったいな右手さえなきゃ俺ァこンな所いねェよ」
とは言うが、一方通行も深くは掘り下げられない。
勝手に戦闘体勢を解き、殴られて逆上した挙げ句場を無茶苦茶にしたのは自分なのだから。
「…………丸くなったな、一方通行」
「あァン? 喧嘩売ってンのか?」
「いや、いい事じゃねえか。ほら、色んな事があったけど、こうして平穏な日々を送れてるんだぜ? 悪くないだろ、こんな日々も」
「……………………」
上条の言葉に一方通行は返答しなかった。
しかしそれは一重に、肯定しているかのようで、上条も無理に返事を貰おうとはせず、気にしない事にした。
にしても。
結局ジャッジメントの試験はどうなったのだろうか。
あの後は恐らく中止になったのだろう。
そりゃそうだ、あれだけ派手に暴れればあそこにあった機械等はひとたまりもなかった筈。
……………………ってあれ。
機械が全滅。
その原因は一方通行と自分。
いや、元はと言えば殴った自分。
高そうな機械、賠償責任、不幸体質。
そこから導き出される答は、上条を青くするのに二秒もいらなかった。
「うぅ……………………」
「なに泣いてンだよ」
「泣かなきゃやってられないのですよ…………」
「はァ?」
上条の真意が掴めないのか、一方通行はよくわからないという表情をする。
コンコン────────
するとそこで、病室をノックする音が響き渡った。
「あ、はい。どーぞ」
身体を起こし、ドアの方に視線を向ける。
すると、控え目に開いたドアの先に、初春、黄泉川、そして打ち止めの三人の姿があった。
「上条さんっ大丈夫ですか!?」
目が覚めた上条に初春が飛び付く様にベッドの傍まで駆け寄った。
「おー、大丈夫。心配掛けちゃったな」
「心配しました…………でも元気そうで、よかったです」
安堵の表情を見せた初春に、上条も悪いななんてバツの悪そうな表情を見せた。
「おーおー、お熱いじゃんご両人」
「え、そ、そんな………………その///」
「初春さん、大丈夫か?顔赤いけど、風邪でも引いちゃったか?」
その様子を見ていた黄泉川がニヤリと口角を吊り上げ、ニヤニヤしていた。
「あれ? あの人は?ってミサカはミサカは尋ねてみる」
「ン?」
初春と黄泉川の二人と共に姿を現した打ち止めだが、キョロキョロしながらそう言うと隣の仕切りから返事が響く。
その返事に打ち止めはとびっきりの笑顔になり、カーテンを思いっ切り開けてベッドの上に飛び込んだ。
「反射」
「ぴゃあ」
飛び付かれるのを予想していたのか、一方通行は予め能力使用モードにして反射を準備しており。
しかし反射先は一方通行のベッドの足元に設定されていた為、フワリとベッドに落ちた。
「わっ、ふかふかだってミサカはミサカはこの感触を楽しんでみたり」
「病院で騒ぐな、みっともねェ」
そう言いつつも、結局は打ち止めのやりたい様にさせている一方通行の様子に、上条達はニヤニヤ見ていた。
「なンだよ」
「仲いいんだな」
「微笑ましいです」
「ウチでもこんな感じじゃん」
「この人はね、とっても優しいのってミサカもミサカもこの人の優しさを皆に打ち明けてみたり!」
「へえ、一方通行の私生活ってどんな感じか少し気になるな」
「黙れテメェらその口塞ぐぞ二度としゃべれねェよォにされてェか」
そんな温かい空気が病室内で溢れ返っていた。
oh…
一日に二度も更新していただけるなんて…ありがとうございます
次も舞っている
一日に二度も更新していただけるなんて…ありがとうございます
次も舞っている
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' | l l
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\ ノ _ ... イ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : \
\,,´: ̄: : : : : : : 八.: : : : | \: : : : : : : : : : 八: : : : |ヽ: : : : : : : : : : : : : \
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>>236
9月まで待たなイカ!
9月まで待たなイカ!
上条「ジャッジメント試験に合格したと思ったら借金を抱え込まされて暗部に落ちていた。何を言ってるのか(ry」
「あの」
「ン?」
ベッドではしゃぐ打ち止めを片手で押さえていた一方通行に、初春が恐る恐る声を掛ける。
その声に一方通行は視線を向けると、彼女の視線が自分に向いている事に気付き自分に向けての言葉だと悟った。
打ち止めももぞもぞ動くのをやめ、彼女の方に視線を向けていた。
「前は助けていただき、ありがとうございました」
ちょこんと頭を下げ、一方通行に感謝の意を現した。
その下げられた頭の上に乗っていた花飾りも、彼女の動きに合わせふわりと揺れる。
どういう原理か、彼女の頭から落ちる事はなかった。
「あァ? 助けたって何の事だ?」
「あなた忘れちゃったの? ほら、ミサカがあのホスト風の人に襲われちゃった時に一緒にいたお姉ちゃんだよってミサカはミサカはあなたが若くしてボケちゃったのかなって心配してみたり」
「…………あァ、あン時の」
思い出した。
学園都市第二位である垣根帝督が、一方通行を倒すという目的で打ち止めに目を付け、その際に打ち止めの傍にいたあの時の少女。
第二位という脅威と対峙したのにも関わらず、決して打ち止めを見捨てる事なく勇敢に立ち向かった。
下手をすれば、死よりも恐ろしい事がその身に起きていたのかもしれないのに、それでも打ち止めを守ろうとしてくれていたのは、打ち止めの後々の話から知った。
「気にすンな。それよりも打ち止めを身を呈して守ってくれたんだってなァ、礼言わしてもらうぜ」
「うん…………でもあの時凄い蹴られたりして…………お姉ちゃん、大丈夫だった? ってミサカはミサカはあの時を思い出して心配してみる……」
そんなちょっぴり落ち込んだ様子の打ち止めに近付き、頭を撫でて笑顔で答える。
「大丈夫、お姉ちゃんこれでもジャッジメントですからね」
ただあの時の行動は、勇気を出したからとか、ジャッジメントだからとか、そういうのではない。
気が付けば、そんな行動を取っていただけで。
恐怖とかそういうのは無かったのかと問われれば、あったと答えるだろう。
しかしそれでも、『自分の信じる正義』を曲げる事はしなかった、ただそれだけの事。
「しかしジャッジメントってのは肝が座ってやがンだなァ」
「そんな話初めて聞いたけど、やるじゃん」
「いえ、当たり前の事をしたまでですよ」
なんて事はない、と初春は謙遜する。
しかしジャッジメントと言えども、まだ中学一年生の女の子。
あんな状況に陥れば、パニックを起こしても仕方がない筈だったのだが、それでも初春は勇敢に立ち向かった。
それを一重に一方通行と黄泉川は感心していた。
「…………………………………………」
「ヒーローさん、どうしたの? ってミサカはミサカは尋ねてみたり」
そこで打ち止めは、俯いた様に視線を下に向け、黙っていた様子の上条に気付き声を掛けていた。
「…………ん? あー、何でもない。そんな事があったんだなって」
何だか少し元気がない様な返事に、打ち止めは?を頭に浮かべ彼の深い心中は窺えなかった様だった。
そんな彼の様子に、初春も不安を覚える。
何か気分を悪くさせてしまったのだろうか。
自分の何か知らない所での落ち度で彼の気に障ってしまったのだろうか。
そんな事を考えていると、自分もまた気分が沈んでくる。
嫌われてしまったのではないかという思いが、あの時以上の恐怖となって襲い掛かってきた。
すると。
ポン、と頭に乗せた花飾りを上手く避けて自分の頭に彼の手が乗せられた。
「ま、何にせよ無事でよかったよ」
彼の優しい手が、ゆっくりと動く。
温かい、大きな手。
それはつい先程感じていた不安を全て吹き飛ばす程、初春の心を温めていた。
「わ、わ……………………///」
「いいなぁ…………ってミサカはミサカは指をくわえてあなたの顔を見てみる」
「汚ェから指をくわえンな」
「打ち止めは家に帰ったらたっぷりしてもらうといいじゃん」ニヤニヤ
そんな中、二人の少女が病室内に入ってくる。
そしてその光景を見るや否や動きが止まっていた。
「上条ちゃん、いますk……………………」
「お邪魔しますn…………」
…………いや、一人は少女と言ってもいいものなのだろうか、いささか疑問ではあるが。
「上条ちゃん、明後日はすけすけみるみるなのです!」
「初春! この類人猿に変な事されていませんでしたの!?」
「いきなり来てその仕打ち!?」
この場に姿を現した二人からの攻撃に上条はるるると涙を流す。
とはいえまあ確かに女の子の頭に手を乗せているのはある意味おかしな光景なのかもしれない。
当の初春は顔を真っ赤にして起動停止しているみたいだし。
しかしそこでふと、小萌の言葉の中に少し気になるところがあった。
「って先生、明後日? 明日じゃなくて?」
本日は日曜日。
明日は学校がある日の筈で、今までの経験上小萌ならば即座に補習を課してくると思われたのだが。
「明日はうちの学校お休みなのですよー」
「「へ?」」
その小萌の言葉に上条と、あとなぜか黄泉川も混ざってそんな素っ頓狂な声を上げていた。
「そんな話聞いてないじゃんよ?」
「先生も今さっき連絡を受けたんですけど…………ジャッジメントの試験の時の、上条ちゃん達の戦いの影響で校舎にヒビやら亀裂やら入っちゃったみたいで、改修しなきゃいけないらしいのですよー」
「「え」」
一同その言葉に、上条、そして一方通行の方に視線が集中した。
「あァン? …………俺のせいかよ」
その視線が鬱陶しく感じたのか、舌打ちしてそっぽを向く一方通行。
まああれだけ激しい攻防戦を繰り広げていたのだから、その影響も少なからずあったみたいだ。
「グラウンドもやたらぐちゃぐちゃになってましたし、それにまだたくさんあった機械もそのままらしいのですよ」
「「「……………………」」」
黒翼現出バージョンの一方通行に一般人を近付かせる訳もなく、避難させてそのまま、という事はあの時戦闘した際に粉々になった機械やらめくれ上がった地面やら何やらそのままに放置してあるらしい。
その様子を思い浮かべた上条、黄泉川、一方通行の三人は返す言葉もなく黙りこくるしかなかった。
「まあそんな事はどうでもいいんですけど」
「「いいんかい」」
「いや、よくないじゃんよ…………」
そんな小萌と上条と一方通行のコントの様な会話など途中から耳に入らなくなった黄泉川は、冷や汗を押さえられなかった。
自身が担当した試験にてそんな損害を出してしまった事がヤバい。
恐らくこれより数日は始末書の処理に追われるのだろうとガックリと頂垂れた。
「ヨミカワ、どうしたの? ってミサカはミサカは尋ねてみる」
「…………はは、いや、これから数日睡眠無しの生活に覚悟を決めていただけじゃん……」
「?」
心配そうに首を傾げる打ち止めの頭をクシャリと撫でつつ、溜息を吐いた。
「それよりも、上条ちゃん今日入院ならシスターちゃんうちで預かるですよ?」
「あー……………………すみません。お願いしていいですか?」
「ならばその見返りとして、補習かデートかどっちがいいですかー?」
「なら補習で」
「補習という名の課外学習ですねー、了解しました」
「それ結局同じ意味じゃないっすか…………不幸だ…………」
「「「」」」
「小萌……………………生徒に何させてんじゃん…………」
「パネェ、三下のフラグ建設能力パネェ」
「ミサカはあなた一筋だよ? ってミサカはミサカはキャッ/// 言っちゃった///」
「そ、そんなのダメですよ!」
そんな会話を聞き流していた初春も、さすがにその様子に黙ってはいられない。
見た感じ明らかに自分よりも年下の女の子の筈なのだが、やり取りを見て本当に学校の先生なのだと理解させられていた。
教師、らしいのだが。
上条を見る目は、生徒を見るそれではない。
恋する乙女は分かってしまった。
思わぬライバル出現だと悟った瞬間だった。
「チイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマチイサナオネエサマ………………」
「「「「「」」」」」
しかし約一名の、打ち止めを見て呪詛の様に呟く変人によって即座に思考を停止させられたのだが。
「カッコよかったなぁ……………………」
「は?」
お見舞いからの帰り道、初春のそんな呟きに横にいた黒子が反応した。
時刻はそろそろ夕方に差し掛かるという所で、夕日が沈んでいくのをポーッと見つめながら歩いており、いつもならキラキラと目を光らせてフラーっと寄ってしまう彼女のお気に入りの洋菓子店にも目もくれずほわーんと歩いていた。
「…………あの殿方さんに対するその様な感情は理解出来ませんの」
「分かって下さいなんて言ってませんけどね」
「全く、あの類人猿のどこがそんなにいいのやら……………………まあ確かに、只者ではない、というのは理解しましたが」
第一位と互角に渡り合うその戦闘能力には、黒子も驚愕していた。
そう言えば、自分がお姉様と慕う美琴のレベル5の電撃もいつも軽くあしらっていて、その事を今まで不思議に思わなかったのを不思議に思ったくらいだ。
「白井さんは前から知ってたんでしたっけ。いいなぁ…………」
「知り合い、程度だけですの。安心なさいな」
そんな会話をしながら歩く町並みに、そろそろ街灯が点り出す。
冬の時期は陽が落ちるのが早く、午後五時間前だと言うのにもう暗くなってきていた。
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