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元スレ上条「俺がジャッジメント?」

みんなの評価 : ★★
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初春「わっ///」
絹旗「何この子、超かわいいです!」
突然抱きしめられた初春は驚きの表情を張り付けて静止する事となった。
キュッと身体を引き寄せられる感覚。
その感覚が、絹旗への警戒心をいつしか無くしていた。
佐天「む、なんか初春を取られそうな予感………………」
インデックス「仲良きことはピロシキかな、なんだよ」
上条「お前は食べ物にしか関心を示さんのかい。まあ仲がいいのがいい事だっつーのには同感だけどな」
そんな微笑ましい光景を見ていた三人は、そんな事を呟きながらやりたいようにさせていた。
初春と絹旗。二人とも超かわいい。
背丈も同じくらい、年齢も同じくらい。
髪型も似ていて、意外と共通点は多い。二人とも超かわいい。
何となく馬が合いそうな感じがしたのは上条の気のせいではないのだろう。
浜面「よう。ワリイな、昨日は」
「いや、別にいいぜ。かわいい子達の笑顔が見れりゃ安いモンだ。それにまだ見つけられてねえみてぇだしなー」
昨日と同じあのファミレスで、浜面とスキルアウトの男は顔を合わせていた。
悪びれる様子の浜面に対して気にするなという返答と共にコーヒーを口に運び、指で挟んだ煙草を咥えると紫煙を吐き出す。
結局、昨日は碌な情報交換も出来ずにいた。
浜面としては手伝うと言った手前、協力の姿勢を止める事はしたくはなかった。
「無事だったらしいし。一件落着って事でいいじゃねえか」
浜面「お前、いい奴だな」
「あぁ? ま、『ブル』の野郎にゃ俺達の仲間も酷い目に合わされたって奴もいたからな、灸でも据えとくかって思ってた所だったしちょうどよかったぜ、かかか」
愉快そうに口角を釣り上げて笑う姿に浜面もつられて白い歯を見せる。
仲間思いのその様子に、どうやらこの自分が抜けた後の第七学区のスキルアウトのグループに対する心配はいらないようだった。
「ああ、そういや半蔵も来るぜ」
浜面「半蔵が? 何でまた」
「情報収集って言ったらアイツだろ?」
服部半蔵。伊賀服部家の忍者の末裔である男だ。
今現在は浜面が抜けた後の第七学区のスキルアウト達を束ねており、浜面の親友の一人であった。
ただ彼の本来の立ち位置としては作戦立案、計画組立等の遊撃を主としており、情報収集も彼の得意とするものなのだ。
そういった裏方の仕事役をする自分としては、集団を束ねるといった長的なポジションは合わないと彼は言う。
「いらっしゃいませー!!」
「お、噂をすれば何とやらか。おおい、こっちだ!」
半蔵「なんだ、浜面もいたのか」
浜面「よう」
いつも思う。
忍を心得ているという本人の談なのだが、全身黒で統一されている姿は逆に注目を浴びさせているのではなかろうか。
上下の服だけならまだしも頭に巻いたバンダナ?の様な物まで黒い。
郭という少女をとやかく言う前にお前も忍ぶ気ねえんじゃねーのか、という喉まで出かかってる疑問を我慢しながら半蔵が席につくまで待つ事にした。
実際ウェイトレスさんも、え、何この人みたいな視線を一瞬送っていたし。
「それで、どうだった?」
半蔵「ああ、大体のスキルアウトが動いてる状況だな。どこのボスも部下使って探させてるという話だ」
浜面「俺らはこんな悠長にティータイムに洒落込んでてもいいもんなのかね」
「どうせそいつらは何のアテもなしに走り回ってるだけなんだろ?」
無駄無駄、といった様子で肩をすくめる。
浜面はそんな様子を見て少し眉を動かしていた。
本当に探す気はあるのだろうか。
ただ闇雲に探すっていう手は確かにこの学園都市の広さの中からでは無謀の様な事に思えるのだが、それでもここでただ何もしないで過ごすより少しくらいは有意義のはずだ。
首を捻りながら浜面は考える。
その真剣な表情は、50万が欲しいからではないぞ、疑問に思ったからだ、うん。
………………ん? 半蔵も加わるという事は取り分が減るって事なのか? げ。
半蔵「それで質問があるんだが」
「ん?」
半蔵「俺はその話を聞いたっていう時、席を外していたから知らねえんだ。いつ誰がどうやってその情報を流してきたんだ?」
浜面「そういや俺も知らんな」
物事には必ず原因がある。
どんな事象であれ、事故であれ事件であれ。
その物事を解決するには原因を追求した方が早いものだって多々あり、対策も色々と立てやすいのだ。
さすが忍者!という視線を半蔵に向けると嬉しそうに鼻をスンと鳴らしていた。
というか忍者は別に関係ないだろう。
「ああ、一昨日だな。俺達の縄張りんトコに…………ありゃ何かの研究者だったんかな、白衣を着た男が来てな。
『どうしても必要だ、探してほしい』ってそん時いた俺達に頼み込んできたんだよ。
当然俺達の中に、んな頼み事なんざ聞く奴いなかったんだけどよ、そいつが口にした100万で全員目の色変えてたな」
半蔵「一昨日、か」
浜面「研究者………………………」
一体何の研究者なのか。
能力実験、化学実験か。いや、考えても自分の想像につかないものなのだろう。
半蔵「それで、その研究者とやらは他にも何か言ってなかったのか?」
「言ってたぜ。なんでも…………なんつったっけ? 『DMリカバリデバイス』 とか、あと 『聞けばわかる者はいる』 とかなんとか。俺にゃさっぱりだったが」
浜面「………………………………それだけ?」
「うん」
浜面「アテも何も名前だけじゃねーか………………聞けばわかる者はいるっつったってそれがわかんねえならしょうもないだろ!」
「そうだよなあ………………」
半蔵「むむ………………」
はは、とポリポリ頭をかいて詫びた様子を見ると、浜面も熱くなってしまったか、と引き下がった。
情報が命、とは言うが。
予想以上に少ない情報に浜面ははあ、と溜息を吐く。
隣では半蔵も思案顔をしている様で、どうしたもんだか、という言葉が頭を駆け巡った。
まあそれでも、無駄に体当たりをするだけ、というのよりかは収穫はあるのだろう。
上条「人多いなー」
初春「そうですね。奨学金も入ったばかりですし、皆やっぱりそれに合わせて出るセール品目当ても多いみたいなんですよ」
上条「へー」
佐天「おお、私も何か買っちゃおうかな」
インデックス「ピロシキはないのかなぁ」
絹旗「超ありませんよ………………」
大型のデパートの様な大きさを誇るセブンスミストは学生達で賑わっていた。
奨学金受給日直後の休みの前の日である金曜日の夕方は、セブンスミストの肩入れ時だ。
ここぞとばかりにセール品を出し、売上と在庫処理の二つの経営のポイントを押さえたそのやり方はオシャレを気にする学生達にとっても嬉しい月一のイベントの様な日になっている。
ただやはり服屋というのだけあって女性客が多く、それが上条にとってはちょっぴり精神的に居づらいものだったりするのだが。
佐天「あ、ねね、絹旗さん」
絹旗「何でしょう?」
佐天「……………………ボニョ、ボニョ…………」
絹旗「……………………チョウフムフム」
上条「? 何の話をしてるんだろう?」
初春「? 何でしょうかね?」
ふと内緒話をし始めた二人に?を浮かべて見るのだが、会話の内容は全くわからない。
ニヤついた佐天と絹旗のその表情からして何やら嫌な予感はするのだが。
佐天「初春ー、制服見に行くんでしょ?」
初春「そうですよ?」
佐天「それじゃ、私達三人はちょっと服見に行ってくるからー」ニヤ
絹旗「佐天さんとシスターさんと超見に行ってきますので、あとはお二人でどうぞー」ニヤ
初春「え///」
二人はそのニヤニヤが堪えきれない笑みを浮かべて、インデックスの腕を両脇から抱え込む。
その様子に彼女達三人がここから離れる事の意味を悟った初春は、思い切り顔を赤くしてあたふたし始めていた。
インデックス「えっ? ちょ、ちょっとるいこー? さいあいー?」グイグイ
佐天「終わったら電話してねー」ニヤニヤ
絹旗「超ごゆっくりですー」プクク
インデックス「わわ引っ張らないでー、ああぁとうまあああああぁぁぁぁ………………」ズルズル
引きずられて遠ざかって行ったインデックスの声がドップラー効果にて小さくなっていく。
上条ははは、と苦笑いをしてそれを見送ると、初春の方に視線を向けたのだが。
初春「…………………………………………///」プシュー
上条「ええっ!?」
真っ赤に染め上げた頬を手で覆う初春の姿があり、何でそんな状態にと上条は驚きの声を上げた。
その手は赤い顔を隠す様な意図が込められているのだろうが、手までもが真っ赤になっているのだからどうしようもない。
上条「おーい、初春さん?」
初春「えへ、えへへ///」ギュ
上条「」
大丈夫なのかと肩に手を置こうとしたのだが、再起動した初春がその手を取ると指を絡ませて赤い顔のまま微笑みかける。
純真無垢な、咲き誇る花の様な明るい笑顔。
本当に嬉しそうに微笑む彼女の可愛らしさに上条は謎の胸の動悸と闘い始めていた。
初春「行きましょう! 当麻さんっ」
上条「あ、ああ。そうだな、行くか」
でも。
この笑顔が、守れてよかった。
それは紛れも無い事実であった。
佐天「あの二人はもはや手を繋ぐ事さえ当たり前か……………………!」
絹旗「何か見ててこっちが超ドキドキしちゃいますね」ドキドキ
インデックス「ああ!! とうまがかざりと手を繋いでるんだよ、早く離しに行くんだよ! とうまは私がいないとダメなんだよ!!」
そんな微笑ましい光景を見逃す訳もないでしょう?
と二人はそんな上条と初春を見てポワーンと心が温かくなっていた。
例外を除いて、だったが。
佐天「だめだよ、インデックスちゃん。私達は服を買いに行くんだから」
絹旗「そうですよ。それに、超考えてみてください」
インデックス「うううううぅぅぅぅ、何、を………………??」
佐天「インデックスちゃんがここで超可愛い服に着替えたとするでしょ?」
絹旗「超って超言わないでください。それで、上条がシスターさんの超可愛い姿を見るとします」
インデックス「うぅ、それで………………?」
絹旗「超上条を…………………………
誘惑 できると思いませんか?」
佐天「くうぅぅぅ、インデックスちゃんの可愛い姿! 素材もいいし、私が上条さんなら放ってはおかないなー?」
インデックス「!! そ、それいいかも………………あ、で、でも。お金が…………」
絹旗「おおっとここに二十人の超諭吉が! 超どういう事でしょう、レベル4の奨学金って超怖いですねえ?」
佐天「………………………………それは超羨ましいよぅ…………」グス
絹旗「ええ!? 今度はこっちが超こんな空気に!? なんかよくわかりませんが超ごめんなさいっ!」
佐天「ふふ、ふふふ………………能力が出ないなんて事は気にしてないよ? 全然気にしてないよ?」ウフフ
インデックス「」
絹旗「」
上条と初春のそんな様子をエスカレーターで昇った二階の陰から見下ろして窺っていた三人。
手を繋いだ二人を見た瞬間わーわー騒いだインデックスだったのだが、佐天と絹旗、両名に上手く言いくるめられて引き下がっていたりした。
とは言ったものの、佐天と絹旗の二人は初春と上条の間の邪魔をする気など毛頭もない。
学園都市では珍しい異国の、しかも美少女のインデックスに色々な服を着せ替えして楽しめるまたとないチャンスなのだ。
インデックスの可愛い姿を見たいというのは実は彼女達だったりする。
佐天と絹旗の二人は歩き出した上条と初春の後ろ姿にグッドラック!とサムズアップを送ると彼女達もまた何やらピンク色がやたら目立つ区画へとインデックスを引いて行った。
>>1乙
やっと追いついた。はじめから読んで追いついた。
さて、次回は何が起こるのか!?
さて、次回は何が起こるのか!?
乙!
……ちょっと気になったんですが、>>1さんって実はロリコn(そげぶ
……ちょっと気になったんですが、>>1さんって実はロリコn(そげぶ
ふわふわしたニットのワンピースを着た(超かわいい)思わぬ客。
↑
超かわいいてww
まぁ可愛いのは事実だけどね!!ペロペロ!!
↑
超かわいいてww
まぁ可愛いのは事実だけどね!!ペロペロ!!
読んでみて思った。上条がジャッジメント・・・。ぜんぜん違和感ない。と言うか、あってるんじゃないのかな?やっぱり・・・。
前略
―――――そして教えてやる
ゲン ソ ウ
お前のペロペロは、そう簡単に―――壊れはしないってことを!!
お前の中ではな
―――――そして教えてやる
ゲン ソ ウ
お前のペロペロは、そう簡単に―――壊れはしないってことを!!
お前の中ではな
それは長く続いた戦乱の世。
三国による四半世紀にも及ぶ争いは、ようやく収束を迎えようとしていた。
一国は『フラワー王国』。
一国は『幻想王国』。
一国は『メガネ王国』。
私は、三国が繰り広げる戦乱の世に生を受けていた。
激化してゆく争いと、日々数を増してゆく悲しみの中で我が国に出来たほんの些細な温かい出来事に、愛国心を抱いてくれている傷付いた兵士達も喜びと慈愛の顔を見せてくれていた。
この国に起こっている事、情勢。
幼い私は、それの意味も何も知らずに城の中で愛され、慈しまれて育った。
『かざり。おまえは強く、優しい豊かな心を持った人間におなりなさい』
私はお母様の温かな手と見た目が若い割に年季の入ったその声が好きだった。
厳しくも、優しく私を育ててくれた。
ただ私はお父様、というのを知らない。
私がまだ何もわからぬ幼き頃、不治の病にて倒れていたのだ。
それからは私のお母様が国を治める事となり、『フラワー王国』の主として今では他者からは畏れられる存在として女王の職を全うしている。
この城の中でもお母様に逆らえる者は存在しない。
もし逆らえば、反逆罪にて─────お母様が持つ不思議な力で、直接的にその身を何処か知らない土地へと一瞬の内に飛ばされる。
今ではその不思議な力を持つお母様を、恐怖の存在と城の中では後ろ指を差されているらしいのだが。
私は、そのお母様の不思議な力で遊んでもらった事もあった。
国の中の秘所とされている『幻のお花畑』に連れていってもらったり。
地面にぶつかるすれすれの所まで空中遊泳を一緒にしてくれたり。
『怖かったけど、楽しかったです』と泣き笑いの表情を私が見せると『他の者には内緒ですの』とお母様も意地悪そうな、でも楽しそうな笑い顔を見せていた。
ただ、使いの者達にはお母様は一切笑いかけない。
笑顔を全く見せる事はない。
その意味を悟るまで、私は生を受けて13の年月を経るまでかかった。
国を治める者として、絶対的な威厳というものを誇示する為だったのだろう。
家来を動かし、城に仕える者達を動かし。
兵を動かし、国の民を動かし。
「強き王」というものを、体現して尊厳を守りたかったのであろう。
ただ、私と二人だけの時は優しいお母様に戻ってくれる。
そんな優しいお母様が大好きだったから、自慢したかったから。
仕える民達にもお母様を悪く見られるのは嫌だったから。
だから、私はこんな事を考えていた。
『なにを、申したんですの………………?』
『私が、この戦争を止めます。でも、私には力がありません。ですので、「聖服」なるものの力を借りて、両国の主に話を付けに行きます』
『かざり! あなたがその様な事を心配せずともよろしいですの! あなたはこの国のたった一人の跡取り。そんな危険な事など、許しませんの!』
『許してくれなくたって! ただ、もう私は我慢がなりません! 演じている姿だけではなく、本当の優しいお母様を民達にも知ってほしいんです!』
『あ…………っ! ま、待ちなさい! かざりっ!!』
そうやって、私は国を飛び出ていた。
本当の平穏の世を、私の力で取り戻したい。
本当のお母様というのを、皆に知ってもらいたい。
ただ、今の私ではそれは力不足だったから。
だから三国のちょうど間の深い森の中の洞窟に眠る、着た者の願いが叶うという噂の伝説の『聖服』を求め、従者をも振り切って私は走っていた。
三日三晩かけて辿り着いたその洞窟。
そこには、先客がいた。
『あなたは……………………!』
『ん………………フラワー王国の、姫!?』
かつて見た、近隣諸国の国を治める王家の肖像画が描かれた絵巻にて目にした事があるその姿に、私は目を見張った。
凛々しい表情、力強い目。
一目見たときからか、絵巻ながら私の心は彼に奪われていた。
『幻想王国』の王子──────とうま。
そこにあったのは、彼の姿だった。
なぜ、彼がこんな所に。
しかも彼も従者を連れず……………………たった一人だけであった。
『フラワー王国の姫が、なぜこんな所に………………!』
彼の目は驚きで揺れていた。
ただそれはもちろん、私もそう。
彼は一体、ここで何をしようとしていたのか。
…………………………すると。
『あぶねえっ!!』
ガギンッッ!!
私に突如一瞬で近付き私の背に回り込んだと思えば、大きな衝撃音と共に、彼が持っていた剣から火花が散った。
『な、なん………………ですか……!?』
『ぐ……………………こ、こいつは!!』
『ふふふ……………………これはこれは幻想王国の王子、とうまクンとフラワー王国の姫、かざりサン、だったかな?』
『お前は……………………メガネ王国王子、メガネ!?』
『っ!!』
私を守るようにして背を向けてたったとうまさんの向こうに、メガネ王子とメガネ王子が率いる大勢の兵隊達の姿があった。
『お二人ともこんな所に揃って……………………何をしようとしていたのかな?』
『ああ? 知るか!』
『ふ、こんな所で密会でもしようとしていたのかね』
『っ……………………!』
私はメガネ王子の歪んだ笑顔を見ると、嫌な汗が背中を走っていた事に気が付いた。
でも。
幻想王国の王子の彼は今、敵対国の姫であるはずの私を守ってくれた……………………?
彼の背中を見る。
攻撃をしかけたメガネ兵隊と剣を押し合って、対峙していた。
『大方、この洞窟の先に眠る「聖服」なるものを求めて来たのだろうと推測されるのだがね』
『お前は、なぜここに来たんだ? あれは噂によると願いを叶えるというもの。それを求めてお前もここに来たのか?』
『ふん、まあそうだね』
とうまさんの質問に肯定の返事を返す。
メガネ王子もそれを求めてここに来たという事は──────メガネ玉子の願いというのは、一体何なのだろうか。
ガキンッ!というとうまさんとメガネ兵はお互いを弾き合う音が鳴り響いた。
『ぐっ……………………』
『と、とうまさん……………………』
体勢を立て直し、グッと剣を構えたとうまさんの後ろ姿が見える。
メガネ兵達とじりじり睨み合い、お互いを牽制しあっていた。
『それで、幻想王国の王子よ。君はどんな願い事を叶えようとしてここに来た?』
『ああ? 決まってんだろ、止めるんだよ! この意味のない戦争を!!』
『!!』
その言葉に私は驚いた。
幻想王国の王子、とうまさんと私の願い事は────────同じ、なのか。
『この無意味な戦争で無駄な血が流れるのをずっと見てた……………………俺の為に、倒れていった兵士達もこの目でたくさん見てきた…………俺を守る為にっ!!』
『っ』
『ほう?』
『だがそれでも、それでも! 俺を守れてよかったって最後は笑っていた! だがそいつらにも家族はいた………………、そいつらの家族は泣いていたんだ!』
『………………………………』
『ふん、それで?』
『こんな戦争なんて悲しみを生むだけしかねえんだ! あいつらが幸せになれねえなんて誰も望んでなかったのに! だから、俺は望む! もうあんな悲しみを感じる奴が出ねえ、悲しみを生まねえ平穏な世界を!!』
『とう、まさん……………………!!』
『…………………………つまり、お前はこの戦争が無意味、だと?』
『当たり前だ! 何が国取り合戦だ!? 何が領土拡大だ!? 民はそんな事を望んでいるのかよ!? 仲良く笑い合って、お互い助け合えばいいだけの事じゃねえか!!』
彼は────────私と、同じ考えなのか。
私と同じ、平和を望む………………優しく、強い人。
国を愛し、家来を愛し、民を愛し。
そして、平和を愛し──────────。
『ふ、理想郷を創る為には多少の犠牲もやむを得ないものだというのが君もわからないのか? 国が一つになれば、戦争というものももう起きずに済むのだぞ?』
『うるせえ! そのやり方が間違ってるって言ってるんだよ! てめえらのやってる事はただの虐殺じゃねえか!』
『反抗されたからね、致し方ないさ』
『平和的に話し合いを望んだ民を一方的に殺しておいて………………それでも致し方ないと言えるのかよ!?』
『言えるね、我が理想郷を拒む不穏分子は我が国には不必要だからさ。黙って首を縦に振っていれば助かったものを』
『ひどい……………………………………』
『いいぜ………………てめえらがそうやって民を信じられずに不必要に犠牲を増やすってんなら……………………!
まずはその…………ふざけた幻想をぶち殺す!』
『どうしてもわかり合えないのかね……………………殺せっ!!』
『うおおおおおおおおおおおっっ!!!』
『とうまさんっ!!』
……………………………………………………
…………………………………………
………………………………
……………………
……………
それからというもの。
結局彼は、一人でメガネ王国の兵士達を持っていた逆刃刀で不殺のまま打ち勝ち、倒れ伏すメガネ王国の兵士達から数m離れた場所で傷だらけの身体のまま座り込んでいた。
『とうま、さん………………』
『はは、さすがに…………無傷、とはいかなかったか…………』
『どうして、私を守って……………………!!』
彼は戦闘中、後ろに私を庇ったままであった。
私は敵対国の者だったはず。
守る義理も無いし、流れ弾にでも当たって倒れてしまった方が彼の国にとっても有益だったはずなのに。
『はは………………なんとなく、だ。さあ、フラワー王国の姫。願いを叶えに行ってくれ………………』
『え………………………………?』
『ここまで来てなんだけど、俺さ……………………不思議な力を消しちまう体質、なんだよ』
『!?』
『だからその「聖服」っての………………使ったとしても、効力は消えちまうと思うんだ』
『そ、それならどうして……………………っ』
どうして、ここに来たのか。
私の膝の上の彼は傷だらけの顔で笑顔を見せると、私の頬にその手を当てた。
『姫が、ここに向かってるという情報を君の母親から聞かされたんだ……………………』
『……………………え?』
お母様が、とうまさんに?
どうして? なぜ?
『フラワー王国の姫は三国の情勢の事、知らないってのは本当なんだな………………』
『馬鹿に………………してるんですか?』
気付けば涙が目から溢れていた。
しかしそれはそういう意味だからではない。
目の前で笑顔を見せる幻想王国の王子の痛々しそうな姿が、何よりも私にとって辛かったから。
『違う、そうじゃない………………。フラワー王国と幻想王国は、友好条約を結んでいたんだよ………………それで泣きそうな君の母親からの連絡がこっちまで来た時、俺は無心でここまで向かっていた』
『……………………っ、どうして』
『絵巻でしか見た事はなかったけど……………………俺は、君に、惚れていたんだ』
『っ!!??』
『それで君がここに向かったっていう時。メガネ王国も動いていたみたいでさ……………………いてもたってもいられなかった』
『とうま、さん……………………』
『はは、こんな事言うつもりはなかったんだけどな……………………ささ、姫。願いを叶いに行ってくれ。姫の純真無垢の、優しい、美しい願いを』
『…………………………グスッ、エグッ』
『泣くな……………………泣いてるとこっちが、辛くなる。大好きな姫の泣き顔は、何よりも堪えるぞ』
『とうま、さん……………………』
『俺は、大丈夫だ。さ、行ってくれ』
『………………………………はいっ』
そして私は、願いを叶えた。
聖服を身に纏い、願い事を三つだけ心の奥底に秘めて。
一つは、三国の友好と平穏。
一つは、幻想王国の王子の傷の治癒。
そして、もう一つは────────。
『はは、実はあん時まさか治癒が効くとは思わなかったんだよな』
『無茶し過ぎです。効かなかったら危なかったんですよ? あれだけ泣いたのは、生まれて初めてでした』
『心配かけさせたな……………………飾利』
『大丈夫ですよ。今、こうして当麻さんと………………素敵な旦那様と、一緒にいられるんですから……………………』
私の願いは、彼の持つ幻想殺しを飛び越えていた。
それほどまでに、私の想いは強かったのだろう。
命を賭して私を守ってくれた彼を、救いたかった。
好きになっていた。
でも実際、三つ目の願いは……………………聖服の力は、借りなかった。
だってそれは作られたものだから。
本当の自分で、想いで、彼と結ばれたかったから。
もう彼といられれば、何も怖くない。
何も心配ない。
時々、未亡人のままのお母様の当麻さんを見る目が怪しくなったりするけど、この手を離したりはしない。
だって、こんなにも素敵な旦那様はどこにもいないんですから────────。
「あの、お客様……………………………………?」
上条「初春さん……………………ど、どうした?」
初春「えへへ………………当麻さんは私の王子様なんですからぁ」ギュギュー
上条「ぬおおおおっ、か、身体の感触が………………腕が初春さんの身体の……………………離してええええええええ理性が飛ぶううううううううっ!!」
セブンスミストの制服取扱専科コーナーにて、柵川中学指定の制服を手にとって約一分間静止していた初春が突然そんな事を呟きながら上条の腕を身体に押し当てていたり。
その感触に何やら色々な感情が入り混じった悲鳴を上げながら上条は離してもらおうと嘆願したのだが、結局離してもらうまでまだそこから数十秒は必要であった。
どうやら今回は絹旗が耳打ちした『王子様』という単語が初春のトリガーを引いていたらしい。
初春「………………………………///」
上条「う、初春さん……………………?」
初春「…………………………………………///」
上条「おーい……………………たはは…………」
それから風紀委員印の切手と制服を交換し、大きな紙袋もギュッっと抱え込むようにして初春はベンチで真っ赤な顔を隠していた。
その様子に上条も苦笑いを浮かべるしかない。
一体何があった、とも彼女の様子から何故か聞きづらくそのままにしていた。
まあ思い詰めた様子ではなかった為、そこは安心していたのだが。
セブンスミストのフロアの端の方にある階段の側に設置されたベンチで、二人は言葉も少なくただ座っていた。
ここは人通りが少ない。
大抵はフロアのど真ん中に設置されたエスカレーターが使われ、わざわざ端の方まで来て自分の足で階段を上り下りする者など、余程の階段好きかダイエット中の者くらいなものなのだろう。
上条「あ、そうだ。明日ご飯食べに行くだろ? 食べたい物決まったか?」
初春「ふぁっ、と、当麻さんとならどこでもいいです!///」
上条「お、おう、そうか。……………………それは喜んでもいいんかな」ボソッ
初春「え………………?」
上条「はは、いや何でもない」
誤魔化す様に呟いた言葉。
彼の言った言葉は、聞き間違いではなかっただろうか。
さっきからずっと、胸がきゅんきゅんしている。
大好きな彼と一緒にいられて、大好きな彼の声が聞こえて。
あの時、彼が助けに来てくれた時────────。
もう好きという言葉では言い表せないほど、気持ちは彼一直線だった。
初春「……………………当麻さん」
上条「どうした?」
初春「手を……………………繋いでも、いいですか?」
上条「………………………………ああ」ギュ
彼から繋いでくれた手に強く自分からも指を絡ませる。
もう心臓は、飛び出そうなくらい強く脈を打っていた。
この胸のドキドキは、彼にも届いているのか。
彼の目を見る。
彼も自分を見ていて、瞳に反射して自分の顔が写っていた。
彼に想いを告げるのは自分が自分に自信を持てるまで、そう我慢していた。
だが彼の凛とした瞳を見て、彼の素敵な顔を見て。
我慢なんて、出来やしない。
自分の顔がそっと彼のそれに近付く。
繋いでない手を、彼の首に回して────────────
美鈴「美琴ちゃんはっけーんっ…………………………ってええ!? あれ、しかも当麻くん? と、あとは皆美琴ちゃんと当麻くんの知り合いなのかな?」
美琴「」
黒子「」
神裂「」
五和「」
オルソラ「あらあら」
初春「」
上条「ぬお!?」
うん、何かが色々起きそうな予感がした。
「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」」
絹旗「超やばいです………………このコ超かわいい…………」
佐天「お人形さんみたい…………」
インデックス「…………ちょっとこの恰好は恥ずかしいかも」
一方、そんな事が起きているとは露知らず絹旗と佐天はインデックスに色々な服を着せ替えして(遊んで)いた。
今現在、インデックスの恰好は純白の修道服から一変して黒で統一されたゴスロリの服。
黒のゴスロリといえばイギリス清教の女子寮で暮らす褐色のある魔術師の事を思い出すのだがそれはまあいいとして。
絹旗と佐天はその人物の事を知らないし。
絹旗の手には彼女達の年相応に思われるコートやらスカートやらで溢れており。
一通り私生活で普通に着る様なインデックスに似合う服を見繕いプレゼントでもしようと手に持っていたのだが、もっと可愛い姿を見たいという佐天と共通の企みでほぼコスプレショー紛いの着せ替えを楽しんでいた。
試着室のカーテンが開く度、そのお店の店員さんや他の客達の歓声が沸き上がる。
どこから来たのかは知らないが男が多かったのはまあいいだろう。勿論女性客もその中にいたし。
インデックス「さ、さいあい、るいこ………………もう恥ずかしいよぅ」
絹旗「超やっべ、これは」
佐天「同性の私でさえ鼻血出ちゃいそうだよ………………」
ただ恥ずかしそうにちょっぴり涙目になったインデックスにようやく罪悪感のようなものを抱いたか、そのゴスロリ服を持ってショーはお開きとなった。
残念そうにしている周りの目を払い落とし、絹旗が会計を済ませて店を出るとインデックスが申し訳なさそうな、でも笑顔でペコンと頭を下げていた。
インデックス「ごめんね。ありがとうなんだよ、さいあい! いつかはお返しするんだよ!」
絹旗「いえ、超大丈夫ですよー。ね、佐天さん?」
佐天「うんうん。いいもの見させてもらったから」
インデックスが持つ紙袋の中には、大量の服が入っていた。
値段にして総額数万にも上り、それを何の躊躇もなく出した絹旗も絹旗だが、返せるアテはあるのかインデックス。
その際に黒い空気を再び纏った佐天を宥め、クレープでも食べるかと三人はセブンスミスト内にあるクレープ屋の方に向かう事にした。
絹旗「そういえばセブンスミストといえば」
インデックス「??」
絹旗「前に何か事件が超ありましたね? 確か」
佐天「うん、あったね。虚空爆破事件って言ったっけ」
インデックス「グラビトン事件?」
七月の半ば。
学園都市内にて、連続爆破事件が起きていた。
犯人はレベル2の「量子変速」の能力を持つ少年。
不良達から虐げられ、それを救えられなかった風紀委員に恨みを抱いた事による犯行であった。
佐天「私は直接その場にいなかったから詳しくは知らないけど、最後に狙われたのは……………………初春だったらしいね」
絹旗「え…………あの子が……………………?」
佐天「でも結局、最後は御坂さんが止めたらしいけど」
絹旗「……………………超電磁砲?」
インデックス「れーるがんって、確か短髪の事なんだっけ」
その事件の最後の舞台は、このセブンスミストだった。初春から聞いた話では、確か人形に仕込まれた爆弾の爆発を防いだのは美琴の能力らしい。
美琴がいなければ、と初春は美琴に感謝の念を感じさせながらそう話していた。
佐天「でも……………………白井さん言ってた。その現場に残った爆発の跡が、どうにもおかしいって」
絹旗「おかしいと超言いますと?」
佐天「うん、まるで初春のいた場所だけが爆発が消えていたらしいんだって」
絹旗「ふむ」
インデックス「かざりのいた所だけ?」
佐天「うん。白井さん言ってたけど、御坂さんの能力で防いだとしても、あんな跡の残り方はどうも不自然だって言ってた。電撃による防ぎ方じゃないらしいって」
絹旗「爆発が消えた、ですか………………」
佐天「うん、その爆発は能力によるものらしいんだけど、能力が消えたみたいに…………………………」
佐天・絹旗・インデックス「!!」
三人の胸中にある考えが浮かぶ。
爆発が消えた。
そしてそれの爆発は能力──────つまり、能力が消えたという事。
佐天「まさか……………………」
絹旗「能力が、打ち消された……………………」
インデックス「とうまの、幻想殺し……………………?」
「あれれー? シスターさんだってミサカはミサカは知ってる人がいる事にビックリしてみたり!」
「あれ、あの時のシスターちゃんだ」
「あァ? あァ、三下ンとこのシスターじゃねェか………………それに、お前は………………『窒素装甲』………!」
佐天「ほえ?」
インデックス「あ、らすとおーだーとわーすととあくせられーた」
絹旗「第、一位……………………!」
打ち止め「やっほー! ってミサカはミサカは手を振ってみたり!」
番外個体「む、あのコあなたの知り合いなの?」
一方通行「……………………何してンだ? ンな所で」
そして色々な数奇の巡り合わせが、交わってゆく。
乙
なんというか、さすが初春だな
主に乙女思考というか、脳内お花畑というか
なんというか、さすが初春だな
主に乙女思考というか、脳内お花畑というか
乙
いきなり不思議な物語が始まっても、ああ花畑か、と思えるようになったわww
いきなり不思議な物語が始まっても、ああ花畑か、と思えるようになったわww
乙!
美琴と黒子はともかく何で天草式とオルソラまで一緒にいるんだww
美琴と黒子はともかく何で天草式とオルソラまで一緒にいるんだww
最初はなんか別のとこの誤爆かと思ったけど単なる脳内花畑だった
乙
乙
乙
オルソラ神裂五和も好きなキャラだから続きが楽しみでござるよ
オルソラ神裂五和も好きなキャラだから続きが楽しみでござるよ



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