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    元スレ吹寄「上条。その……吸って、くれない?」

    SS+覧 / PC版 /
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    タグ : - 上条x吹寄 + - 許嫁 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    701 :

    もう向こうに投稿するときは×××版に移動しちゃえよ

    702 :

    なんでこんなところで切るかなぁぁぁぁ!?

    703 :

    なぁぁぁああああああまぁぁぁぁああああああごろし…

    704 :

    書けたところまで上げたからだな。焦らすつもりはないんだけど。
    なんか住んでるホテルのIPが弾かれるので、週末はいつもどおり更新できねっす。

    >>701
    それ時々考えるんだけど、キスと胸タッチしかしてないのにXXX板に行ってもなあ。
    二人にはまだ早いっていうか。

    705 :

    母乳吸うのってかなりコツが要るんだぜ…
    ただ吸うだけじゃほんのちょっとしか出ないから、吸うというよりハムハム甘噛みみたいにしないと上手く出ない
    その点難無く吸いだす上条さんは間違いなくかなりのテクニシャン、というか天性の搾乳プレイヤー

    S条さんもイイヨイイヨー
    今から他作品も読んでくる

    707 :

    >>705
    甘噛みというか
    上の歯でずれないように優しく押さえて
    下で乳首の奥から手前にかけて強めにしごく
    ってなかんじかな

    708 = 705 :

    >>706
    実体験だよ
    言わせんな恥ずかしい///

    >>707
    乳輪をすべて口に含む位咥えて歯でプレスしながら手前へ、って感じ
    プレス→スライド→咥え直す←この時に吸うけど母乳は「搾る」って言った方が動作として正しい
    ぴゅーぴゅー出てしまうレベルの吹寄クラスなら簡単かもしれないけど、赤ん坊と違って歯があるから実際は…まぁ……ね?

    709 :

    要するに
    >>708キモい
    でおk?

    710 = 1 :


    「じゃあ、触って確かめてみろよ」
    「……やだ」
    「俺がやろうか?」
    「だ、だめ! 絶対だめ!」
    「なんでだよ」
    「だ、だって今日はそこまでしない約束じゃない」

    たしかにそう、上条は吹寄に約束してくれた。だからこれを理由に拒むのは嘘ではない。
    だが、触らなくてもわかるのだ。自分の下着が、濡れていることくらい。
    じっとりとした感触に自分の下半身が包まれている自覚はあるし、
    何より、さっき上条に可愛がってもらったときに、自分の指で以前そうなったときよりも、
    何倍も強い感覚で体の奥がとろりとなる感じがしたから。

    「気持ちよかったのか?」
    「……知らない」
    「なんで制理の体、こんなことになったんだろうな?」
    「し、知らないわよ。あたしだってこんなの初めてで」

    上条が、意地悪そうに笑った。

    「なんだ、濡れてるって自分でもわかってるんだな」
    「あっ……!」
    「なあ制理。そういうのって、触らなくてもわかるもんなのか?」
    「馬鹿、馬鹿ぁ……聞かないでよ」
    「制理も結構エッチなとこあるな」
    「違う……。当麻が悪いの」
    「俺?」
    「当麻の手が、いやらしいから」
    「いやらしいほうがいいんじゃないのか?」
    「別に優しいだけで、いいもの」
    「こんなに制理の体は悦んでるんだけどな」
    「そんなこと、そんなことない」
    「ほんとに?」
    「だって」
    「じゃあ、もっと体、触っていいか?」
    「えっ?」
    「嫌だって言われたら、しない」
    「……」
    「制理」

    上条の目が、さっきみたいに獰猛な感じになっていた。
    あたし触られちゃうんだな、と吹寄はすぐにそれを受け入れてしまっていた。
    嫌な気持ちは、これっぽっちもない。
    ただ、受け入れる姿勢をはっきりとは示さない。それは、はしたないから。
    はっきりとは自覚していないが、少し拒みながらの方が、より吹寄も燃え上がるのだった。

    「ん……」

    ちゅ、ちゅ、と水っぽい音を立てながら、上条が吹寄に口づけする。
    やめてという意思表示なのか、離れないでという意思表示なのか、
    どちらとも取れるような手つきで、吹寄が上条の手に自分の手を添えた。

    711 = 1 :

    1レスだけですまんが、これだけ。続きは来週以降なー。
    来週中に帰国するんで忙しいから、予定はわからん。

    712 :

    お帰りなさいだな作者。

    だからってこんな所で切るなんて……。

    713 :



    それにしてもこのスレの生殺し具合は凄まじい…

    714 :

    生殺し乙

    気になってたんだけど、上条さんがたまに制理呼びしたあと吹寄呼びになったりしてるのに理由はあんの?

    715 :

    >>714
    今まで「吹寄」と呼んでいたから、
    無意識や とっさに言う際はそうなるんだろ。(二人きり以外では「吹寄せ」だしな)

    または ここぞという時に

    716 :

    >>715
    まぁ、吹寄が普段は「上条」で二人っきりで「当麻」と呼ぶのと同じ事さ

    717 :

    えるしってるか
    この上条さんこれでも童貞なんだぜ?

    718 :

    この上条さんの右手は幻想ではなく常識をぶち殺しそうな感じだな

    719 :

    >>708ググったんだろ?自慢するなボケ

    720 :

    まあまあ
    ここでくらい見栄を張らせてやろうぜ

    722 :

    ちょっとコテハン抜きで書いてみる。住んでる場所の表示出るかな。

    723 = 722 :

    おー。USAでた。
    さて、英語での20分くらいの講演もし終わったし、あとは優雅に帰るだけだな。
    休日に資料作成から現実逃避して書いた分を投下しますー。

    724 = 1 :


    吹寄の横に寝そべって、髪に手をかけながら吹寄の頭を自分の胸元に抱き込む。
    まだ、いくらは気恥しさはあるようだが、素直に寄り添ってくれた吹寄の顔は穏やかだった。
    上条はさっきの吹寄の反応を思い出しながら、手のひらを優しくというか、大きく使って撫でる。
    首筋に近いところから、時間をかけて滑らせて、腰の当たりまで撫でる。
    そしてそのまま止めずに再び首元へと撫で上げ、円を描く。
    時折、肩甲骨のあたりの複雑なラインや、腰のあたりの背骨の輪郭を指でなぞり確かめるようにして、
    変化を付けながら吹寄の肌の滑らかさを手のひらで堪能する。

    「はぁぁ……。あぁぁ、ぁ」

    吹寄の喘ぎ声が、たちまち始まった。
    しかもさっきのような甲高く鋭いものではなくて、深い、ため息のような感じ。
    そういう吹寄の変化が楽しく、また、行為のはじめとしてはそうしたやり方が正しい気がして、
    上条は背中や、頭や、太ももや、時折乳房を、夢中で撫で続けた。

    「はぁぁぁぁん……」

    吹寄は、いつしか自分の声すら遠くに聞こえるような、まどろみの中にいた。
    意識の懸濁した感じは、休みの日の朝寝に似ている。
    何度も二度寝を繰り返して、ぼうっとしながら、寝るとも寝ないともつかないような世界にいる感じ。
    ただ、寝起きとは大きな違いもある。
    とびきりの安心感があることと、そしてなにより、上条が与えてくれる快感があることだった。

    「あ、ん……当麻、当麻」
    「好きだよ、制理」
    「あたしも、愛して、る」

    薄く目を開くと、優しく笑う上条が目の前にいる。
    それだけで胸がいっぱいになる。嬉しくて、上条の懐に顔をうずめて、深く息を吸う。
    上条の匂いがする。それだけで、またとても、落ち着いた気持ちになった。

    「すげー制理が甘えてる」
    「うん……好き」

    上条は、流行る自分の気持ちを必死にこらえながら、撫でるのを続ける。
    吹寄は今隙だらけだ。だから何も策を練らずとも、吹寄の一番大事なところに触れると思う。
    それどころか、下着だって脱がせるかもしれない。
    そういう、吹寄が望まないことを、やってしまいたいという欲望が確実に上条の中にはあった。
    撫でているだけでは、自分の欲望は満たされない。

    「お尻、撫でていいか?」
    「え……? うん、いいよ」

    あっさりと、吹寄が承諾を出した。それは今日の許容範囲外だったはずなのだが。
    豊かなバストと同様にふっくらと肉のついた、そのお尻にまで上条は手を伸ばす。
    もちろん下着越しだったが、その丸みのある感触に、やっぱり上条は感動を覚えてしまった。
    女の子の体というのは、こんなにも男と違って、柔かくて丸い。

    725 = 1 :


    「エッチなところは、だめ」
    「……どこのことだ?」
    「知らない、わよ」

    吹寄は触ってもらえるのが嬉しくて、ついお尻を許可したのを少し後悔していた。
    だって、濡れていると指摘されたさっきよりも、もっと自分の体の中から溢れてきている自覚があった。
    上条が、自分の体のことを分かってき始めているのが、わかる。
    快感が明確に周期を持ち始めていることに、吹寄は自覚はないものの、気づいていた。

    「はぁ、ん……! あ、あ、あぁ……」

    よくわからないが、押し寄せる波のような快感が、自制できるより強くなりつつある。
    そんなつもりはないのに、体がうねってしまう。
    一箇所にじっとしていられなくて、上条に抱かれたまま吹寄は手足をくねらせた。
    のろのろと暴れる吹寄を、笑って上条は自分の手元に引き寄せる。
    そして手や足で吹寄の四肢を絡めとり、時にはキスで首や耳を愛撫した。

    「はぁ、あ」

    快感の波が静まる。その度に吹寄は上条を見上げ、そして上条の匂いに包まれて吐息をつく。
    昂ったときには視界や嗅覚があやふやになって上条の手のことしか考えられなくなるので、
    落ち着いたときに感じられる上条の笑顔や、自分とは違う男らしい匂いに陶然となるのだった。

    「制理」
    「え……? あ」

    それは不意打ちだった。というか、上条の真剣というか、ちょっと必死な感じのする顔を見たら、
    上条がなんだか何かを我慢しきれなくなったような感じに見えた。
    太ももの間に手を差し込まれて、大きく開かされた。
    そしてその間に、上条の下半身が滑り込んだ。

    「当麻……?」

    つい不安げに、問い返してしまった。ちょっと悪いことをしたような気持ちになる。
    上条を、疑ったみたいで。
    撫でられているときには、赤子のように上条のことを完全に信頼していたのに。

    726 = 1 :


    「脱がせたりは、しないから」

    上条はジーンズを履いているし、自分だって下着を着けている。
    だけど二人の下半身は、布越しにぴったりと接触していた。
    布がなければなんの言い訳もできないような、完全に男女が交わる時の体位だった。
    ――当麻がこうしたいんだったら、いいかな。
    吹寄は内心で、そんな風に考え始めていた。
    一線を越えるのはもちろん怖いし、今日はそこまでは行って欲しくない。
    だけど、これくらいなら。上条は優しいし、そして何より、気持ちいいから。

    「制理。愛してる」
    「あたしも……。当麻」
    「ん?」
    「これ以上は、怖いから」
    「わかってる。脱がせたりとかは、しないから」
    「うん。あと、指で触るのも……」
    「今日は、しない。約束する」
    「うん。わがままでごめんね……?」
    「無理言ってるのは俺の方だろ。なあ制理」
    「え……?」
    「気持ちよくしてください、って。言ってくれよ」

    恥ずかしかった。それを言うのは。
    だってそれは紛れもない自分の本音だから。
    もうほとんど溺れかかっている自分がそれをいえば、
    引き返せないくらい、ひどく快楽に溺れてしまいそうだった。
    だけど、それでも。

    「気持ちよく、してください。撫でてください……」
    「わかった。いっぱいしてやるから」
    「うん……あぁ、はぁ、ん! は、あっ!」

    上条が、太ももの間に押し込んだ自分の下半身を押し付けてくる。
    自分の指とは違う、圧迫感。だがそれは強い快感を伴っていた。

    「はぁぁんっ!」

    二人きりの室内に、吹寄の甘い声が響いた。
    自分で、その声の大きさにハッとなった。

    「あ、あたし」
    「すごく可愛い声だったな」
    「えっ……」
    「もっと鳴いてくれよ」
    「や、だめ。隣に聞こえちゃ……あっ、はぁん! あぁ、あ!」

    上条の攻めが、激化した。
    さっきよりも「手」がひとつ多いのだ。
    片手で髪を撫でられ、そしてもう片方の手で胸を弄ばれる。
    口が首筋から耳にかけてを舐め上げていて、そしてさらに、下半身で吹寄の陰処を愛撫していた。
    快感に、翻弄されてしまう。どこかへ流れていきそうな理性をつなぎ止めるように、吹寄は上条にすがりついた。

    727 = 1 :


    「んっ! んっ! あ、とう、ま……はぁ」
    「気持ちいいか?」
    「うん。あっ、気持ち、いいよ」
    「もっとして欲しい?」
    「してほしい。離れちゃ嫌」
    「放すわけねえよ」
    「んんぅ!」

    上条が体重をかけるようにして、吹寄にぎゅっと密着した。
    その重みすら、快感に変わる。
    少し息苦しくなったところに、上条がキスをかぶせてきた。

    「気持ち良さそうな顔してる」
    「み、見ないで……。恥ずかしい。恥ずかしいから」
    「断る。制理の可愛い顔が見たくて、こういうことしてるんだ」
    「いやぁぁぁ……」

    上条から顔をそらしたくて、首を左右にふっていやいやをする。
    そんな吹寄の頬に手を添えて、上条は強引に吹寄を自分の方に向かせる。
    息を止めるようにキスで口を塞ぐと、鼻から苦しそうに吹寄が息をついた。

    「んんっ、ん! ん!」

    その口の中に、唾液を流し込む。
    あっという間に、吹寄自身と上条の唾液で口の中があふれ、それが少し口元から溢れた。
    それを上条はまた、ぺろりと舐めとる。

    「はぅん、はぁん、あぁぁ……!」

    もう、快感で頭の中がぐちゃぐちゃだった。
    上条のことしか、考えられない。
    上条が与えてくれる快感しか、感じられない。
    密着した下半身がすごいことになっている自覚がある。
    まだしないと約束はしたけれど。体は完全に、上条の体と繋がる準備ができていた。
    そしてそれどころか、さらに。

    「とう、ま……怖い」
    「制理? 怖いって」
    「あたし、どっか行っちゃいそう」
    「え……?」

    快感の波のうねりが、留まることを知らず高まっていく。
    押しては引き、押しては引きを繰り返す中で、一番の高波が防波堤を越えそうな、
    そんな予感を吹寄は覚えていた。
    自分でしたときにはこんなことになったことなんてなかった。
    その果ての向こうがどうなっているのか分からなくて、吹寄は漠然とした恐怖を覚えていた。

    728 = 1 :


    「イっちまえよ」
    「えっ……?」
    「俺はずっと制理の隣で、制理のこと抱いてるから」
    「あ……」

    また、体の奥がじゅわりとなった。
    だんだんと、嬉しさや、気持ちよさが、吹寄の体が持つ女らしい機能とリンクしていく。
    上条によって体が開発されていくその過程を、吹寄はいま経験していた。

    「ずっと、一緒にいてね」
    「当たり前だ。結婚してくれっていっただろ」
    「うん。うん……!」
    「愛してる。制理」
    「あたしも、んっ! はぁぁぁん! 愛して、る! とうま、とうまぁ……!」

    上条が、さらに力を込めて下半身を突き出した。吹寄は足を曲げて、上条を抱き込む。
    離れて欲しくないから。その温かみを分け与えて欲しいから。
    脳が過熱していく。さながら暴走するエンジンのように、吹寄の頭は理性を失い、
    快楽ばかりを貪って、酸素を求めて荒い息をつく。

    「当麻……っっ。はぁん、はぁん、あたし、あたし」
    「見てるから。ほら」
    「うん。あっ、あ、あ、あ、あぁぁぁぁぁ……」

    瞬間。快楽の波が停止した。
    そして、突如としてそれは、噴火するように吹寄の体を襲った。

    「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんんん!!!!!」

    噴火するような、イメージだった。
    自分が火山で、自分の中から再現なく何かがあふれ、流れ出していくイメージ。
    細々と四肢が伝えてくる情報から、吹寄は自分が上条にしがみついて、痙攣しているらしいと何となく感じた。
    声が自分の口から漏れているのもわかる。
    だけどそんなことは些細なことでしかなくて。
    信じられない量の快感が、焼き尽くすほどに脳から背筋を通り、
    体全体に広がっていることが何よりもリアルで、吹寄の全てを支配していた。

    「すげ……」

    それが一般に、どういう名称で呼ばれる現象なのかを上条はようやく実感しつつあった。
    ぎゅっときつく目をつぶり、何かに耐えるように喘ぐ吹寄を見て、上条もなにか満たされた気持ちになっていた。

    「あ、っ。は、はぁ、は、ぁ……」

    二三度、呼吸の仕方を忘れたみたいに無茶苦茶な息をついて、吹寄がようやく、体を弛緩させた。
    多分10秒にも満たない時間だったと思う。
    だけど、二人共のどちらにとっても、もっと長く感じられる瞬間だった。

    729 = 1 :


    「制理」
    「当麻……あたし」
    「イったか」
    「……たぶん」

    吹寄も、知識としては自分の身に起こったことがなんなのか、知っている。
    だけどその達するという現象と自分の身に起こったそれが同じものなのか自信が持てなかった。

    「気持ちよかったか?」
    「……うん」
    「どれくらい」
    「わかんない」
    「わなんないって、なんで」
    「言いようがないの……。今までで、一番」

    吹寄が、もたれかかるように上条の胸に頭をあずけた。
    本当は体全体で上条にしがみつきたくらいだった。
    体が、うまく動かなかったのでそれは出来なかったけれど。

    「嬉しい……嬉しい」
    「嬉しい? なんで?」
    「わからない。だけど、貴方にこんなふうにしてもらえて、なんでか、嬉しいの」

    吹寄の顔を見ると、疲れた顔で、せつなげに、だけどひどく嬉しそうに微笑んでいた。
    そのなんとも言えない表情が、とても美しかった。
    色気を放つというのとは少し違う。快感の極みを体験した爽快感のようなものが、浮かんでいた。
    それは上条が惚れ直すのに充分なくらい、綺麗だった。
    だからつい、茶化したようなことを言ってしまう。

    「でも、約束破ってあきらかにやりまくっちまったけどな」
    「それは。……うん。当麻は反省してね」
    「なんだよ。俺が悪いのか」
    「うん。全部、当麻のせいだから」
    「ひでえ」
    「だから。また、して」

    いたずらっぽく、吹寄が笑った。

    「じゃあ今からもう一回するか」
    「あ、だめ……だめっ」

    割と本気で拒まれた。少なからず、ショックを受ける。

    730 = 1 :


    「い、今はだめ」
    「なんでだよ」
    「体がなんか過敏になってて。……気持ちいいって思えなくて」
    「そうなんだ。悪い」
    「当麻はわからなくて当然だもの。……そうよね?」
    「なんで聞き返すんだよ。女の子の体、こんなに触ったの初めてだ」
    「あは」

    上条も緊張を解いて、吹寄の隣でだらりとした。
    髪を撫でてやると、吹寄は嬉しそうに笑った。
    不意に時間が知りたくなって、時計を見た。

    「当麻……」

    吹寄もその行為の意味に、すぐに気がついたらしかった。
    時計は、ここに来た時より二時間遅い時刻を指していた。
    日付だってもう変わってしまった。

    「朝まで一緒……はだめ、かな」
    「明るくなってからここを出るのは、まずいな」
    「うん……。そうよね」
    「まあ、もうちょっとしたら帰るしかない、な」
    「そっかぁ……」

    ありありと、吹寄が落胆の顔を見せた。
    だって、こんなに幸せな時間があったというのに、ほんの数十分後にはまた独りになるなんて。
    その落差が、あまりに切ない。
    思わず涙ぐみそうになって、あわてて吹寄は自分のいつもの調子を取り戻すよう、心を奮い立たせた。
    こんなのは、さすがに自分らしくなさすぎる。

    「また、しよう」
    「うん……」
    「別に毎日会えるわけだしさ、寂しがらなくても大丈夫だって」
    「うん」
    「今日の制理は、世界で一番可愛かった」
    「……褒めないで」
    「なんで?」
    「優しくされると、寂しくて泣きそうになるのよ」

    拗ねるように見上げられて、上条は困ってしまった。
    冷たくなんて、出来る訳がない。こんなに愛しい彼女なのに。
    そしてその彼女にこんな顔をされたら、優しくする以外に何もできやしなかった。
    吹寄のお願いを無視して、髪をなでる。

    「寝ちゃうまで、撫でてやろうか」
    「え?」
    「制理が寝たら、こっそり戻るから」
    「でも、そんなの。悪いわよ。呼んでおいて見送りもしないなんて」
    「気にするなよ。今日は制理のために、出来ること全部してやりたいんだ」

    731 = 1 :


    その提案は、悪くない。
    どうせ別離の瞬間が寂しいのはどうやっても変わらないのだ。
    せめて、眠りにつく瞬間が穏やかなのは、嬉しいことだった。

    「いいの……?」
    「そりゃもちろん。それで制理が、よく眠れるんだったら」
    「うん。撫でてもらってたら、すごく眠れる気がする」
    「じゃあ、そうしてやるから」
    「ありがとう」

    おやすみのかわりに、二人はキスを交わした。
    ゆっくりと、だけど深く。
    吹寄が体勢を楽にして目をつぶると、上条がすぐ髪を撫で始めてくれた。
    まず激しく動いて散らかった髪を整えてくれて、あとはそれと何度も何度も、梳くように。
    とてもそれは、気持ちが良かった。
    髪を撫でてもらえるのがこんなに気持ちいいのかと、驚いてしまうくらいに。
    疲れているのもあって、吹寄が意識を落とすのにそう時間は掛からなかった。

    「……おやすみ」

    何度か上条自身も意識を手放しかけたが、既のところで保って、そっと、吹寄を起こさないように部屋を出た。

    732 = 1 :


    「ん……」

    まだ夜と呼べる時間帯。
    ふと、吹寄は目を覚ました。

    「当麻……あ」

    喪失間。隣に、さっきまでいてくれた人がいなかった。

    「あ、そうだ、当麻は戻っていって……」

    愕然となる。このまま明るくなるまで、眠り続けられるものと思っていたのに。
    よく考えてみれば下着一枚を除いて裸なのだ。エアコンをつけていても薄寒かった。

    「パジャマ、着なきゃ……」

    中途半端に起きたせいで、意識と体が乖離したような気だるさがあった。
    もしかしたら上条とした行為のせいかもしれない。

    「よ、っと」

    少し乱暴に体を起こして、ベッドに腰掛けた状態になる。
    とりあえずジャージを、と思ったところで、それに気づいた。

    「あ……」

    下着の感触が、ものすごく、気持ち悪い。
    ごわごわとしているし、じっとり湿った感じがする。

    「……いますぐじゃないと、駄目か」

    真新しくて、お気に入りの下着だった。
    このまま脱いで朝まで放置したら、きっと汚れが落ちにくくなるだろう。
    勤勉な吹寄とて、お気に入りでなければほったらかしたかもしれないが、
    もしこの下着をまた見たいと上条に言われたときに、
    上条に見せられないような染みが残っていたらと考えると、
    やっぱり洗わざるを得ないという結論に達するのだった。

    「はぁ……。なんでこんな時間に」

    寂しさがジクジクと心を責める。
    上条が居ないのが普通だというのを知らしめるように、日常が吹寄に襲いかかる。
    バスルームで、するすると下着を脱いで落とした。
    ついでに素っ裸のまま、鼻を首元に近づけて、臭いを確かめる。
    さすがにそれで判断はつかなかったが、どう考えても、登校前にシャワーを浴びざるを得ない。

    「今、のほうがいいわね」

    朝にまた早起きしてシャワーを浴びて洗濯するのは大変だ。
    起きてしまった以上は、シャワーは今のほうがいいだろう。
    吹寄は裸のまま、洗面台の前に立った。
    首元を中心に、鏡で自分の肌を確かめる。幸い、キスマークはなかった。
    それを確認してから、赤いコックをひねって、タブに浅くお湯を貼る。
    下着を裏返してクロッチの部分を見ると、いつもよりかなり大変なことになっていた。

    「うわ……」

    棚から小さなボトルを取り出し、中身のジェルをクロッチの部分に落とした。
    お湯を救ってジェルを伸ばし、下着によく揉み込む。
    使ったのはいわゆるランジェリー専用の洗剤だった。
    手洗いでしっかりと揉んだ後、お湯に漬け洗いすることで汚れはきれいに落ちる。
    お気に入りの下着を綺麗に保つ努力のひとつだった。

    「あたし、こんなことになったんだ……」

    数時間前の出来事は、もう夢の中の出来事みたいだった。
    上条の手に、そして口付けにあんなに翻弄されて。
    嫌ではなかったけれど、反省はしてもいい気がする。
    ……また迫られたら、拒めない気もしたけれど。

    「あ、そういえばメール」

    もしかしたら、上条から何かが来ているかもしれない。
    処理を済ませた下着を置いてリビングに戻り、ケータイを確かめると。
    ――今日の制理は死ぬほど可愛かった。愛してる、制理。

    「あたしも……大好きだよ。当麻」

    ぎゅっと携帯を胸に抱いて、吹寄は微笑んだ。

    733 = 1 :

    今回は生殺しなところでは終わらなかったぜ。続きはまた。

    734 :

    ここまできて入れなくてもくわえさせなかった上条はインポ

    735 :

    最近ハードなエロゲしたからか純愛見とくとかゆくなる

    736 :

    乙!!

    通勤中は読んじゃいけねえな、コレwwwwwwwww
    だがそれが(・∀・)イイ!

    737 :

    いつ上条さんが「先っちょだけ!先っちょだけだから!」って言うのか期待してたのに

    738 :

    >>737
    木多康昭のキャラみたいだなwwww
    どのくらい進んだ所で終わるつもりなんですかてんてー?

    739 :

    乙ですた!

    いやあ、倫理観の強いおにゃのこがラブと快楽でズブズブとかいいわあ。
    これは吹寄というあのキャラだからこそ背徳的な感じでそれを彼女も自覚してとかもうたまらんですたい。


    次回もたのしみにしてますよー

    740 :

    >>736

    確かにwwwいや、むしろヘタなポルノ小説よりも抜けるぞこれwww

    741 :

    おつ

    ちょっと彼女襲ってくる

    742 = 740 :

    >>741

    ルパンダイブするんですね、わかります。

    743 :

    乙です
    もう普通に抜けるレベルだったwww

    今回は誤字が多いような気がしました

    744 :

    勢いで書くと誤字が増えますね、チェックが足りずごめんなさい。
    >>741
    ルパンダイブで空気嫁割っちゃダメだぞ。かわいそうだからな。

    じゃー投下しますー

    745 = 1 :


    「じゃ、じゃあ。俺が……責任とって、飲む」
    「はまづら。はまづらの病気は、バニーさんだけじゃなかったの?」

    うら寂れたアパートの一室。
    「アイテム」の元メンバーたちがたむろする場所として浜面が用意したその一室で、
    自分の体のことを横に置いて、痛ましい目で滝壺が、想い人である浜面仕上を見つめていた。



    経緯はこうだ。
    ロシアに行ったりしていろいろ大変だった浜面たちだが、なんとか学園都市には戻ってこれた。
    学園都市から命を狙われる身だったが、「上」と交渉できるカードを手に入れ、
    二人を取り巻く危機的な状況は改善しつつあった。
    とはいえすぐさま安全とも言えず、帰国後しばらくは滝壺の身を人知れぬところに匿っていたのだが、
    ギリギリの状態からなんとか復活した程度の滝壺の体調は能力の調整をすぐに必要としていた。
    ……ということで、せめてもの助けにと浜面が裏ルートで薬を入手したのだが。

    「はまづら。私ははまづらを疑ったりなんてしないから、はまづらが用意してくれたものはなんでも受け入れるから。
     だけど、不意打ちではまづらの趣味に走るのはやめてほしい」
    「ちち、違うって! なんつーかこんな風にしといて言い訳するのもなんだけど、
     これ学園都市自体も想定外だったんだよ。買ったときには俺にも誰にも想像がつかなかったんだって!
     何度も言ってるけど、これ別に俺の趣味じゃないから!」
    「……って言うことは、はまづらは。胸の小さい女の子が好きなの?」
    「サイズは今関係ねェ! てか彼女の胸からその、母乳が出るシチュエーションって特殊すぎるだろ」
    「でもはまづらは、それを望んだんだよね?」
    「違う! 断じて望んでない! そりゃ個人的な趣味を語れば母性的な女の子っていいなーとは思うけど」

    一言、余計だった。
    隔意のある滝壺の視線が、さらに浜面から距離をとるような感じになった。

    「はまづら。私もはまづらの好みには合わせたいけど、こういうやり方はちょっと」
    「だーかーらー、どうしてこれがわざとじゃないって点を認めてくれないんだよ」
    「だって」

    恨みがましい目で滝壺に睨まれた。無理もない。
    ……ちょっと胸が豊かなだけの普通の女子高生である滝壺の胸から、なぜだか母乳が出るようになってしまったのだから。
    それも、浜面の買ってきた薬のせいで。
    で、「どうしたらいいかわならない。本当は赤ちゃんにあげるためのものなのに」とつぶやかれたので、
    浜面としては責任を取って飲む、という結論に至ったわけだったのだ。
    だってそれ以外に浜面ができることなんてないわけで。

    「ねえ、はまづら」
    「なんだ?」
    「わざとじゃないのはもしかしたら信じられるかもしれないけど。吸いたいって思ってるのは本当?」
    「え、いや」

    母乳にそこまで執着はない。
    しかし、よく考えると母乳を飲ませるには胸をはだける必要があるわけで、
    要するにまだキスしかしていない二人の仲を進展させる理由を公然と得られるわけで。
    ……その逡巡が、滝壺から信頼を奪っていく。

    746 = 1 :


    「やっぱり。はまづらは吸いたいんだ」
    「え、いや、誤解だそれは!」
    「はまづらの病気は私が思っていたより深刻なんだね。でも、大丈夫。わたしはずっとはまづらと一緒だよ。
     ゆっくり、治していこう?」
    「俺は普通だって!」
    「……バニーさんが好きなのに?」
    「だからそれは誤解で」
    「本来ありえないような場所で女の子が肌の露出の多い服を来ているシチュエーションが好きなのに?」
    「……」

    それは確かに浜面の趣味だった。ぐうの音も出なかった。
    しかし、フェティシズムのひとつやふたつ持っていたって、男としては健全なはずだ。

    「……だめなのか」
    「え?」
    「男がそういう浪漫を持ってちゃ、だめなのか」
    「駄目って。はまづら」

    絶対にいるはずだ、賭けてもいい。
    この学園都市のどこかには必ず、彼女の胸から母乳が出たのをいいことに、
    授乳プレイを楽しんだ奴が絶対に一人くらいはいる。絶対にだ。

    「お前は俺のこと病気って言うけど、じゃあどういう趣味の男が好みなんだよ」
    「……普通の人」
    「普通ってなんだ。定義は。どんなフェチが普通なんだ」
    「はまづら。熱くならないで。普通の人は、そういう変な趣味は持ってないよ」
    「世の中の男にそんな奴ァいねえ!!!!」

    絶対に、真理だと思う。
    なんらかのフェティシズムを持たない男など、それは男ではない。

    「なあ滝壺」
    「なあに? はまづら」
    「俺がこういう趣味だったら、お前は俺と縁を切るのか」
    「そんなことないよ」
    「じゃあ、俺の趣味を受け入れてくれたっていいだろ」
    「それは……」

    困ったように、滝壺は辺りを見回した。しかし何も滝壺の助けになるものはない。
    掃除は浜面がしたから綺麗だが、基本的に殺風景な、他には誰もいない部屋だった。
    いくばくかの逡巡を置いて、滝壺は再び浜面の目を見た。

    「はまづらは、バニーさんだったらどんな女の子でもいいの? おっぱいが出れば誰でもいいの?」
    「そんなことはない。お前だけだ」
    「バニーさんじゃない私は、好きじゃない?」
    「んなわけないだろ。ほら、こないだだってキスしたし」
    「うん」

    747 = 1 :


    確かに、あの時はそういう浮ついたタイミングじゃなかった。
    というか今まで、滝壺はいかなる時もバニーコスに身を包んだことはない。

    「……じゃあ、一回だけ。わたしも着てみようかな」
    「へっ?」

    どういう、風の吹き回しだろうか。浜面は滝壺の心中がわからなかった。
    思わず滝壺をまじまじと見つめてしまう。
    滝壺としては、浜面の趣味を理解するのが恋人としての勤めなら、
    一度くらいは、そういう自分の望まないシチュエーションに飛び込んでみようかと思ったのだった。

    「もしかして、バニーさんの服、ここにある?」

    浜面は、答えに窮した。なぜなら答えは「ある」だからだ。
    もちろん、浜面が買ったわけじゃない。このアパートの一室はイベント企画会社の夜逃げ跡なのだ。
    そこかしこに着ぐるみだのが転がっている。
    ……その中にバニーコスがあるのを把握済みなのはまあ、浜面の趣味なのだが。

    「ないことは、ない。サイズは知らないし」
    「……はまづら」

    ひどく痛ましい目で、滝壺に見つめられる。
    自分が悪いんじゃないのに、いたたまれなかった。

    「べ、別に無理して着なくていいんだからな?」
    「うん。着たいわけじゃないけど、はまづらのこと、理解したいから」

    ちょっと頑張って作った笑みに浜面はある種の感動を覚えた。滝壺の包容力は、いつだって浜面を癒してくれる。
    浜面は、滝壺の決意が揺らがないうちに、こないだバニーコスを見つけたダンボールを開いた。
    たぶんサイズは、大丈夫だった。滝壺は平均的な女の子だし。

    「これ……」
    「うん」
    「ホ、ホントに着てくれるのか?」
    「はまづらが、して欲しいなら、いいよ」

    ゴクリ、と浜面は音を立てて口の中にたまった唾液を嚥下した。
    それを見ている滝壺の中に、やっぱり不安が膨らんでいく。
    やはり、浜面は病気なのではないかと。

    「……してくれ。滝壺のバニー、観たい」
    「わかった。それと、胸も吸うんだよね」
    「……あの、お願いします」

    バニーコスを着るには今日の滝壺のブラは不適切だ。
    どのみちノーブラになるのなら、もう吸わせても一緒だ。
    ……滝壺の中での価値観は、そういうことになったらしかった。

    「はまづら。今からこっちの部屋で着替えるけど、絶対に覗いちゃだめだからね」
    「お、おう。約束は守る」
    「……うん」

    748 = 1 :


    釈然としない思いで滝壺は返事をした。いっそ、入り込まれたほうがまだ納得がいく。
    裸を見るのは我慢できるけど、バニーを見るのは我慢できないという浜面の趣味が、ますます不安になった。
    ひどく軽くて心もとないバニースーツを浜面から受け取って、滝壺は小さな部屋の扉を閉じた。

    「……てか、これ、ラッキーなんだよな」

    ひどく自分の恋人に勘違いされたせいでなんだか落ち込んだ気持ちになっているが、
    よく考えたら彼女の初おっぱいの瞬間だ。もっと感動してもいい。

    「滝壺のおっぱい、おっぱい」

    誰もいないのをいいことに、ぼそっとつぶやいてみる。
    抱きしめたことはあるので、なんとなくサイズは読める。
    ……正確には、カップサイズを示すアルファベットが決して若くないということがわかっている、というだけだが。
    どんな色か、形か。そう考えるだけでちょっと下半身がワクワクし始めたのを浜面は感じた。

    「やべ。こんなとこ誰かに見られたらマジ洒落にならねーな……」

    幸いここは人通りなど皆無の場所だ。
    治安に難有りだが、ロシアへの大旅行を済ませたあとの浜面にしてみれば安全で涙が出るレベルだった。
    かさかさ、しゅるしゅるという音が奥から聞こえる。
    そうした生活音が漏れることに滝壺は頓着していないらしかった。
    その無防備さが、なんだか浜面の興奮を妙に誘う。

    「はまづら。一応、着終わったけど」
    「お、おう」

    扉越しに会話をする。

    「はまづらはこれを見ても、おかしくなったりしない?」
    「へ?」
    「はまづらの病気……趣味が、これでひどくなったらどうしようって思って」
    「だ……大丈夫、だと思う」
    「はまづら……?」

    扉越しに気遣わしげな声が響く。真剣に滝壺は自分の身を案じてくれているらしかった。
    その健気さは間違いなく可愛いのだが、いかんせん、ずれている。
    ……いや、ずれてはいないのか。確かに滝壺のバニー姿なんぞ見てしまったら、正気は何割か吹っ飛ぶだろう。

    「そ、それじゃそっちに行くから」
    「お、おう。あ、こっち窓があるから、嫌なら俺がそっちに」
    「だめ」
    「え?」

    749 = 1 :


    割と明確な拒否だった。

    「こ、こっちは。私が脱いだ服があるから、ダメ」
    「わ、悪い! 咄嗟に気がまわんなくてよ!」
    「うん。それじゃ開けるね」

    ほんの数秒を、無限に近い感覚で待つ。
    体のラインがはっきり見える服だから、つい胸元だとか太ももだとかがどういう感じなのかと夢想してしまうが、
    はじめに見えたのは、ぴょっこりと頭の上で折れ曲がった、長い耳だった。

    「はまづら」
    「お、おう……」

    うさ耳はカチューシャとして滝壺の髪の上から生えていて、すぐに滝壺の顔が扉の奥から現れた。
    憂いのある表情に、浜面はやられてしまいそうだった。
    心の中で、叫ぶ。
    ――そうそう、この非日常さに戸惑う感覚がサイコーなんだよっ!
    まあ、表情には一切出さないのだが。

    「大丈夫……?」
    「え?」
    「バニーさんを見て、体がおかしくなったりしてない?」
    「あ、当たり前だろ」
    「……」

    どうも、滝壺の晴れない顔は恥じらいではなく浜面への気遣いらしかった。
    だが、体に異常がありまーす主に下半身でーす、というのはさすがに言えない。
    滝壺は疑わしい目を浜面に向けたまま、二三歩歩いて部屋の外に出てきた。

    「綺麗だ……」

    知れず、口からそんな言葉が漏れた。
    滝壺に着せたバニーコスは胸元からお腹の下までを覆う部分が真っ白なやつだった。
    表面をうさぎの毛を模してモコモコにしてある。そしてふんわりと柔らかそうな滝壺のお尻には、
    まん丸なしっぽがちょこんと付いていた。
    タイトな作りな上に滝壺の体にぴったりとフィットして体のラインをあけすけに晒しているもんだから、
    年頃の浜面としては、そりゃあもう、どストライクだ。
    かなり深刻なところまで切れ上がり胸の谷間なんかがばっちり見えている胸元と、
    首元に巻いた小さな赤いスカーフとの間の肌が露出した部分がとても白く艷やかだった。
    太ももはもちろん、網タイツに包まれている。
    網目が細かすぎてストッキングっぽいのは減点だが、初めて見る滝壺の太ももは、肉付きの加減がまさに浜面好みだ。

    「はまづら。はまづら。私の声、きこえてる?」
    「お、おお。聞こえてるって。」
    「大丈夫? 血圧とか心拍数とか、血糖値とか」
    「最後のはわかんねーけどあとのは正常だ」

    750 = 1 :


    無論、興奮している状態として普通だ、ということだが。

    「よかった。バニーさん見ても、鼻血でてないよ」
    「当たり前だ。こないだのあれはただの偶然であって」

    そう言いながら、何気なく浜面は鼻をこする。

    「いてっ」

    ちょっと荒っぽかった。慌てている証拠だろうか。

    「これなら、はまづらの症状はそんなに深刻じゃないんだね。
     ちょっとずつ慣らして、完治させよう?」
    「え、いや。完治ってのはどういう状態だ?」
    「えっと」

    その瞬間。
    鼻から、ドロリと暖かいものが、流れ出た。
    鉄くさい匂いのする、なにかだった。

    「は、はまづら……やっぱり、やっぱりだめだよ! こんなことしたら浜面が死んじゃう」
    「い、いやこれは鼻こすったせいで」
    「で、でも私がこれを着なかったら浜面の病気は収まったかもしれないのに」
    「関係ねえよ! この鼻血はお前のバニーコスとは一切カァンケイねェェんだよォォォ!!」

    慌てて近くのティッシュで鼻血を拭き取る。
    量は少なかったらしく、一度拭き取るともうほとんど出てこなかった。

    「はまづら……私、着替えてくるから。もう浜面の体に負担をかけないようにするから」

    滝壺が、後悔を感じている目で、謝るように浜面にそう言った。

    「だ、大丈夫だ! ってかほんとにビョーキとかそんなんじゃねえから!
     ほ、ほらもう一つやることがあるだろ? お前の体のことなんだし、そっちを心配しろよ」

    ここまで来て、そっちの夢を諦めることなんて、できない。
    ほんの少し、あの開いた滝壺の胸の谷間に人差し指を差し込んで下におろすだけで、
    滝壺の、おっぱいが拝めるのに。

    「わ、私のことは大丈夫だから。今までと違って辛いことはないし、原因も治し方もわかってるんだし」
    「けどよ。結構張ってきついんだろ?」
    「それは、そうだけど……。でも本当に私は大丈夫だから、はまづらは自分の心配をして」
    「それこそ大丈夫だよ。俺の……病気は普通の病気だし、治らなくても普通だ」
    「言ってることがおかしいよ、はまづら」


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