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    元スレ吹寄「上条。その……吸って、くれない?」

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    1 :

    ――――どうして? なんで、こんなの。
    誰もいない学校の保健室で、吹寄制理は完全に取り乱していた。
    自分の体に、何が起こったのかわからない。こうなった原因も、一体なんなのか特定できなかった。
    セーラー服の胸元の白いリボンをしゅるりと解き、鎖骨の近くにあるボタンを外す。
    濡れた感じのするブラが気持ち悪い。セーラーの上着を脱いで、近くのベッドに無造作に置く。
    畳んでおくような、そういう心の余裕が今は無かった。
    大きすぎて邪魔で形も全然綺麗じゃない、色々と不満のある自分のバストを吹寄は掴んだ。
    その感触に、唇がわなないた。だって、こんなの、おかしい。
    背中に手を回して、ブラのホックを外す。正直に言って、それは怖かった。
    不安を感じているその問題を、直視することになるから。
    ブラは何の引っ掛かりもなくぷつりと外れ、肩紐が吹寄の肩を滑る。
    吹寄が見つめる鏡の中では、年頃の女の子の平均を軽く凌駕するバストがそのボリュームを主張していた。
    大きさだけなら、いつもどおりなのだが。

    「なん、で……。どうしよう」

    呆然と、吹寄は呟く。
    オレンジの地にブルーのチェックが入った可愛らしいブラが、ぱさりと地面に落ちた。

    3 :

    とある魔術の禁書目録のSSです。

    ・上吹SS
    ・エロはR-15までは自重しない
    ・若干のご都合主義には目を瞑っていただきたい

    以上、構わんよって人は是非読んでってください。

    4 = 1 :


    「っつー……あいつら、無茶やりやがって」

    上条当麻は、保健室を目指していた。
    ついさっきまで土御門たち、クラスの男子連中で遊んでいたのだが、
    勢い余って上条は友達の一人と接触して盛大にこけたのだった。
    膝のところの生地が傷んでいる。制服で遊ぶんじゃなかった。
    買い直すお金はなくはないが想像するだに憂鬱なので、当分はこの服を着ることになるだろう。
    服の内側で皮膚が擦り剥けているから、消毒と絆創膏をもらいに、保健室へと向かっているのだった
    怪我は大したことないが、ジクジクと染み出る血が制服に着いては面倒だ。

    「失礼しまーす」

    コンコンと軽いノックをしつつ、上条は勢いよく保健室の扉を開けた。
    仮病や体調不良でここに来たことはないが、怪我でなら結構ある。
    勝手知ったる保健室だった。そのはずだった。
    きっと中にはいつもどおり、定年間近のおばあちゃんである保健の先生がいるはずだった。
    ……まあ、上条当麻の日常というのは全く唐突に非日常に切り替わるのだが。
    カラリとすべりのいい音を立てて横に開いた扉の先には。

    ――――上半身に下着すら身につけていない、クラスメイトの女の子がいた。

    自然な感じのする黒髪を、ちょうど胸元くらいまで伸ばしている。
    肌は、どきりとするような白色。普段見えている二の腕より先などは普通に焼けているのだろうが、
    今、上条の目に映るのは、普段は服で隠しているであろう、おなかの辺りだった。
    くるんと丸まった可愛らしいへそが陰影をつけていて、肌の白さを際立たせている。
    触れればきっと、柔らかくて、さらさらだろう。
    そのクラスメイトの名前は、吹寄制理という。

    「……へ?」
    「かみ、じょう……?」

    二人で、見詰め合った。なんとも間の抜けた視線の交錯だった。
    上条は必死で自分の落ち度を検索する。
    保健室に来ることは悪いことか? 否。
    保健室の扉に鍵は掛かっていたか? 否。
    でもまあ、謝らない訳にもいかななった。
    こういうことになった場合、男は無条件に頭を下げないとならないのだった。

    「ご、ごめん! 悪気は無かった。てか、鍵開いてた!
     で謝ったけど一応上条さんに落ち度が無いことは強調させてもらいます!」
    「……」
    「だいたいお前、鍵もかけずにその格好はどうかと思うぞ。ちゃんと注意しろよ」

    そう言いながら、上条は扉をぴしゃんと閉めた。だって他の誰かに裸を見られたら不味いだろうし。
    あっけにとられたままの、吹寄と視線が合う。両手で胸を掴んで、いわゆる手ブラの状態だった。
    どうやら、上条が入ってくる前からその姿勢だったらしい。
    この年頃の女の子なんて隠そうとすれば完璧に隠せるサイズが普通のところ、
    吹寄といったら、しっかり手で覆っているのにその横からこぼれんばかりだった。
    そんな吹寄の肢体を、本能レベルで目が記録し脳が保存していく。
    我に返った吹寄が、キッと上条を睨んだ。

    「どうして、貴様はそこで開き直れるのかしら」
    「へ?」
    「……もういい。用が無いなら、出て行きなさいよ」
    「許してくれるの?」
    「知らないわよ、もう。こっちは困ってるって言うのに……」

    5 = 1 :


    その吹寄に、上条は違和感を覚える。
    少し前のことだ。大覇星祭で、教室で着替えをする吹寄の裸を見てしまった事があった。
    あの時も今と同じで、逸し纏わぬ上半身を視界に納めたのだった。
    今回は下にスカートを履いているが、それは大した差ではないだろう。
    あの時はたしか吹寄は、パイプ椅子で上条の頭をカチ割ろうとした。
    だというのに、今日の吹寄はこちらをしかりつけることも無かった。

    「吹寄、調子悪いのか?」
    「なんでもない」
    「馬鹿野郎、なんでもないやつがそんな顔するわけないだろ」

    上条がそう問い詰めると、吹寄が瞳を揺らした。
    見上げるようなその視線が、不安を抱えているのだと訴えていた。
    ついさっき不機嫌そうに追い払おうとしたばっかりだったのに、その目は、上条にすがるようだった。
    吹寄の仕草に、上条は浮ついた気持ちを全て吹き飛ばした。

    「吹寄? どうかしたのか?」
    「……」
    「お前、変だぞ。なんか力になれることあるか?」

    吹寄がそんな気弱になるなんて、絶対に変だ。
    上条はクラスメイトの異変を、放っておくほど薄情ではなかった。
    その真剣さに、絆されたのだろうか。内心の苦悩を漏らすように、ぽつんと吹寄が呟いた。

    「……どうしよう、上条」

    どうしたもこうしたもない。保健室にいるということは、体調が悪いということだ。
    だが外見で、パッと判るような不調は見当たらない。
    そして当麻が逡巡したその一瞬で、吹寄は自分の弱気を恥じたらしかった。

    「……ごめん。なんでもない」
    「なんでもないって。今お前どうしようって言っただろ」
    「うん。でも、ごめん。やっぱいい」
    「いいって……」
    「上条には、話しにくい。つかジロジロ見るな」
    「わ、悪い!」

    慌てて横を向いた。視線を外して、上条は思案する。
    保健室で裸になるような必要があるのだ。考えてみれば、確かに男の上条では色々と差し障りがあるかもしれない。

    「先生、いないのか?」
    「ええ。書置きがあって、怪我をした生徒に付き添って病院に行ってるって」
    「そうか。じゃ、じゃあ、クラスの女子とか呼んだほうがいいか?」
    「駄目!」

    6 = 1 :


    姫神辺りの顔を思い浮かべながらそう尋ねた上条に、吹寄が強く反対した。
    その理由は上条には判らなかったが、単純だった。
    こんな、恥ずかしい体の異変を、同年代の同性の友達に聞かれたくない。

    「えっと、じゃあどうしたらいいんだ。お前、一人で平気なのか?」

    吹寄は、その上条の問いかけに返事をしなかった。
    だがかすかに聞こえる肌がこすれる音と、苛立ちとも不安ともつかない不安定な吐息が、吹寄の心境を代弁していた。

    「出て行ったほうが良かったら、すぐ出て行く。話せることがあったらなんでも聞くし、誰にも話したりしない」
    「……本当に?」
    「信じろ。俺はそんな不安そうなヤツをほっぽりだしたり、笑ったりなんて絶対しない」

    当たり前のことを、上条は吹寄に伝えた。
    吹寄は、その言葉を信じていいか、迷った。
    だって上条は男子だ。女子の悩みを、わからないかもしれない。
    同性に打ち明けるのと違って、どう反応するのかわからない。
    ただ、声の響きは真摯で、上条という人を疑う気持ちにはならなかった。

    「こっち、見ないでね」
    「あ、ああ」

    吹寄がそう呟くのを、そっぽを向いたまま聞いた。
    上条の視界の外で、吹寄は床に落ちたブラを拾い上げ、脱いだセーラーの上着のあるベッドへと進む。
    そしてほどなく、シャッとカーテンが引かれる音が聞こえた。

    「もういいわよ、上条」
    「ん」
    「鍵、閉めて」
    「俺、出て行かなくていいのか?」
    「いいから……。早く」
    「わかった」

    振り返ると、吹寄はカーテンの向こうのベッドにいた。腰掛けているらしいのはシルエットでわかった。
    その肩のラインと、豊かに主張するバストのラインがはっきりと映し出されていて、上条はドキリとなった。
    いけない、と思う。不安がっている女友達に興奮するなんて、最低だ。
    後ろ手に鍵をカシャンと言わせ、密室に二人きりになることに背徳感を覚えながら、上条は吹寄に声をかけた。

    「閉めたぞ」
    「……ありがと」

    返事はそれだけだった。一瞬の沈黙が二人の間に走る。
    いつもならパンチの一発はあってもおかしくない。
    もう、下着を着け終えて上条を地べたに這いつくばらせるくらいの時間はあったはずだ。
    だが吹寄は、一向にあちらからアクションを起こさない。
    いつもと違うその態度が、吹寄が気弱になっていることを感じさせた。
    上条は、自分から声をかけるのを躊躇った。聞き方を間違えれば、吹寄を傷つけるかもしれない。
    だが、その躊躇いはきっと吹寄を困らせる気がする。上条は身長に言葉を選んだ。

    7 = 1 :


    「吹寄。その、事情を聞いてもいいのか?」
    「……」
    「一応もう一回言っとくけど、誰にも喋ったりしないし、笑ったりもしない。
     俺以外に呼んで欲しい人がいるなら探しに行く」
    「……いい。別に、人を呼んでもらっても仕方ないし」

    それだけ言って、吹寄はまた黙った。出て行くわけにも行かない上条は、吹寄の言葉を待つほかなかった。
    吹寄は、心の中で上条を吟味する。
    上条は、秘密を守ってくれる人だろうか。体の異変を笑ったりはしないだろうか。
    信じられる、と吹寄は思った。
    上条はバカだしスケベだし不幸だーなんて叫びまわるやる気のない男だが、
    不思議と、人として信じられないと思ったことは無かった。
    カーテン越しの、上条を見つめる。直立でこちらを伺っているようだ。
    心配してくれているのだと、思う。ふう、と上条に悟られないよう、吹寄は息を吐いた。
    上条のおかげだとは認めたくないが、少し、背負っていた重荷が、軽くなった気がした。
    不安に押しつぶされそうなときに、居合わせてくれたのが上条だというのは悪くなかったのかもしれない。

    「ごめん、上条。ちょっと動転していたわ。病院に、行けばいいだけなんだけれど」
    「俺のことは気にするなよ」
    「っていうか、人の裸、見たのよね」
    「ごめんなさい」
    「ったく……上条当麻はいつ何時でも上条当麻なのね」
    「どういう意味だよそれ」
    「貴様は不幸だ不幸だっていう割に、この手のアクシデントには愛されているのね、って思っただけよ。大覇星祭の時にも思ったけど」

    カーテン越しに上条は、吹寄がふぅとため息をついたのを聞いた。
    少しは、気持ちを楽にしてくれたのだろうか。

    「調子、悪いのか」

    上条は何度目かになるその問いかけを、もう一度してみた。
    うん、と吹寄は生返事をして、打ち明けようかどうか迷ったらしかった。

    「絶対に誰にも言わない?」
    「ああ。約束する」
    「絶対に?」
    「絶対にだ。信用ないかも知れねーけどさ、お前が真剣に悩んでることを、馬鹿になんてしない」
    「うん。ごめん、それじゃ、貴様に話しても仕方の無いことだけど、聞いて欲しい」

    吹寄も、その不安を一人で溜め込むのは、限界だった。
    正直、男子にこんな話をするのは、恥ずかしいしおかしいと思う。
    だけどなまじ女じゃないだけに、打ち明けられるというところもある。
    手元のブラを、ぎゅっと握る。
    躊躇う気持ちを押さえつけて、吹寄はぽつりぽつりと、口を開いた。

    「胸が。……その、ちょっとおかしくて」
    「胸が、おかしい?」

    8 = 1 :


    上条はその言葉を受けて、あらぬ想像をする。
    吹寄の胸は、元からある意味おかしい。ちょっと高校生のレベルを超えていた。
    制服越しならそうでもないのだが、体操服だとか、裸そのものだとかを見るとすさまじいことがわかる。
    ただまあ、勿論そういう意味で言っているのではないだろう。
    カーテン越しの陰影で、吹寄がまた自分の胸に手を当てたのが判った。

    「三日前くらいから、なんか張った感じがしてたんだけど、今日のお昼食べてからなんか違和感があって。
     それで、さっきトイレで確認したら、その」

    そこで吹寄は言いよどんだ。急かしても吹寄の負担になりそうな気がして、上条はじっと耳を傾けたまま黙っていた。
    動かない上条をカーテン越しに見つめながら、吹寄はシーツを弄ぶ。
    言葉を続けるのが、苦しかった。事実を口にすると、さっきの不安がぶり返してくるから。

    「上条、聞いてる?」
    「ああ、ちゃんと聞いてる。無理はしなくていいけど、良かったら、悩みを教えてくれ」
    「うん、あのさ、私」

    はぁ、と溜め込んだ不安をもらすような、そんなため息が聞こえて、
    吹寄が抱えた悩みを、ぽつりとこぼした。

    「――――母乳が、出ちゃったのよ」
    「……へっ?」

    吹寄の言った言葉が、咄嗟にどういう意味なのか、上条には分からなかった。
    だって上条と吹寄は、まだ高校生だ。母乳なんて言葉とは、全く無縁だ。
    いや、生物的には出てもおかしい年齢ではない。吹寄の体が、母乳を出したということは。

    「吹寄、お前。それって彼氏と――」
    「違うわよ! あたしは誰かと付き合ったりなんてしてない!
     それに仮に付き合ってる相手がいたって、この歳でそんなことしない!」

    裏切られたように、吹寄が怒鳴った。
    上条はそれで、吹寄を傷つけたことを悟った。

    「ごめん。今のは、俺が悪かった」
    「……そういうこと言われるのが嫌で、誰にも相談しなかったのよ」
    「そっか。本当にごめんな、吹寄」
    「もう、いいわよ。結局、誰に打ち明けたって、どうせ初めの一言はそうなるわよね」

    むしろ、笑ったり決め付けられたりしない分、まだ良かったほうだろうと思う。
    謝罪の言葉に本当の謝意があったから、許すことにした。

    「それで、どうしていいか、わかんなくなって」
    「そっか。……男の俺には直接はわかんねえけど、そういう原因不明の体調不良って、苦しいよな」
    「うん……」

    9 = 1 :


    もう一度、吹寄はため息をついた。
    仕方ないのかもしれない。体調不良は、往々にして誰のせいでもなく不幸な偶然として起こる。
    だけど、吹寄がそんな風に憂鬱そうなのは、嫌だった。このクラスメイトには、強気の顔が良く似合っているから。

    「吹寄、なんか原因とか、わかるのか?」
    「ん……いくつかあるのよね。最近、風邪で新しい薬飲んだのと、体調悪いのにちょっと無理して能力開発の授業受けたのと、あとは、変だなって思った日ってアレの終わりの日で」
    「えっと……」

    アレ、という響きがリアルで、恥ずかしくなって上条は顔を横に向けた。
    それにしても吹寄はそんな話をして恥ずかしくないのか、と内心呟かずにはいられない。

    「言っとくけど上条、あたしだって、恥ずかしいの我慢して言っているんだからね」
    「お、おう」
    「貴様はあたしの相談に乗るって言ったんだから全部話をちゃんと聞いて、誰にも言わないで」
    「わかってる」

    意外な感じを、上条は受けていた。吹寄はしっかりした性格の女の子だ。
    問題を抱えればパパッと解決の方策くらいは立てるほうだと思っていたのに、
    不謹慎なことだが、上条に言い募る吹寄の不安定さが、可愛かった。

    「それで吹寄。病院とか、行くつもりなのか?」
    「……やっぱり、行かないと駄目でしょう。何もないのにこんなこと、起こるはずがないもの」
    「だよな」
    「でも、どの科に行ったらいいのかとか、よくわからなくて。一番それらしい所には、あまり行きたくないし」

    それらしい、というのはやはり産婦人科だろうか。たしかに、吹寄の歳でそこに行くのはためらいがあるのだろう。

    「ねえ上条」
    「なんだ?」
    「貴様にあんまり迷惑をかけるのも、悪いとは思うんだけれど」
    「水臭いぞ吹寄。今更なんだしさ、何でも言えよ」
    「うん、ありがと。あのさ、あたしと一緒に、病院についてきてくれない……?」

    おずおずと、吹寄がそうお願いをした。
    付き添う時間くらいは取れる。二つ返事で了解しようとして、ふと、そのシーンを想像した。
    産婦人科に、緊張した自分と、不安げな吹寄。
    ――――これはもう、完璧に若気の至りでトンでもないことになった男女の図だった。
    もちろん吹寄は、それを判って上条に頼んでいた。
    一人で行ったって、きっと変な目で見られる。何も産婦人科の待合室まで来てくれなくていい。
    総合病院までの道を共にして、総合受付まで着いてきてくれるだけでいい。
    そう懇願する気持ちで、吹寄は上条に尋ねた。

    「やっぱり、駄目かな」

    上条は、その声に諦めの気持ちが含まれているように聞こえた。きっと、上条の躊躇を感じ取ったのだろうと思う。
    そんな声が聞きたくなくて、上条は考え直した。
    別に、本当に妊娠させたわけじゃない。誰かに知られたって、誤解だって事はすぐに証明できる。
    自分が恥ずかしいかどうかなんて、吹寄が感じている心配に比べれば、軽いものだ。

    10 = 1 :


    「いいぜ。一緒に、病院に行こう」
    「えっ?」

    吹寄は、その上条の返事に、驚いた。
    引き受けてくれて、勿論嬉しい。だけど随分と迷惑なのは事実だろう。

    「ちゃんと、お前の体がどうなってんのか、見てもらおう。
     んで、ちゃんと直していつもどおりの吹寄に戻れよ。
     なんつーかさ、気弱な感じがして、調子が狂っちまうんだよ」
    「……貴様って、時々卑怯よね」
    「へ?」
    「そういうこと、真顔で言える辺り」

    上条に見えないところで、吹寄は恥ずかしくなってそっぽを向いた。

    「そんなにあたし、いつもと違うように見える?」
    「見える。つーか保健室に俺が入った瞬間ぶん殴るくらいはやってこそ吹寄だな、うん」
    「バカ言ってんじゃないわよ、上条当麻」
    「そうそう、それだ」

    ちょっとだけいつもの元気をだした吹寄に、上条は相槌を打ってやる。
    吹寄がフンと鼻を鳴らした。

    「じゃあ、病院行く準備、しようぜ」
    「あ……」
    「ん? まだ何かあるのか?」
    「えっと、その。不安なだけだったら、病院に行けばいいだけなんだけど」

    服を脱いで、ブラを外したのには理由があるのだ。
    吹寄は、カーテン越しに体を上条のほうに向けた。

    「……ここまできたんだから、今更何を相談しても一緒よね。ブラを、つけるとちょっと、ね」
    「な、なんかまずいのか?」

    ものすごく相槌の打ちにくい話題だった。
    上条はドギマギしながら答える。

    「つけると、気持ち悪いの」
    「なんで?」
    「……その、濡れてるし、ほっとくともっと濡れるから」

    何故濡れるのかといえば、そりゃあ話の文脈からして、母乳で濡れるのだろう。
    で、濡れるということは、つまりは搾ったりしなくても垂れるくらい、出ているということだろうか。

    「そ、それは大変だな」
    「うん……どうしよう。まだ、出そうな感じなのよ」

    11 = 1 :


    どうするもこうするも、出さなきゃいけないといわれれば、出す先なんて選択肢はそうそうない。

    「手洗い場は、部屋の隅にあるけど」
    「知ってるわよ。……やっぱり、そういう所に捨てなきゃ、駄目かな」
    「嫌、か?」

    吹寄の声の響きにはっきりと否定的なニュアンスを感じて、上条は聞き返した。

    「正直に言うと、ちょっと。赤ちゃんは授かってないけど、でもこれは、赤ちゃんに飲ませるためのものなわけじゃない?
     それを排水溝に、って。やっぱり、ね……」

    吹寄とて、女としてやっぱり授乳というものには、夢というか、そういうものを感じるのだ。
    子供を授かって、その子の口に含ませるのが、やっぱりいい。
    原因はなんであれ、初めて出した母乳を下水に流すなんていうのは、嫌だった。

    「そっか。ごめん、またデリカシーのないこと、言っちまったな」
    「いいわよ。それが普通なのは、判ってるし」
    「同じ理由で、ティッシュに含ませるのも駄目だよな」
    「駄目って言うか……仕方がないなら、そうするわよ」
    「じゃあ、諦めてそうするか、我慢してこのまま病院に行くか、のどっちかになるのか」

    このままブラを付け直して病院に行くという案は、吹寄には受け入れがたかった。
    上条はおそらく理解していないのだろうが、そんな少しの量ではないのだ。
    ブラどころか制服まで染み出して、変な濡れ方をするに決まっている。

    「まあ、誰かが飲むって選択肢もあるにはあるけれど」
    「え?」

    その選択肢を選ぶには、近くから赤ちゃんを探してくる必要がある。
    しかし、どんな理由で出たのかもよくわからない自分の母乳なんて、小さい子には飲ませられないだろう。
    ……吹寄はそういうつもりで言ったのだが、上条には、別な意味で伝わっていた。

    「その、吹寄は嫌じゃないのか?」
    「嫌、って。むしろそれは相手に言うべきことじゃないかしら」
    「……俺なら、嫌なことは、ないけど」
    「俺……って? 上条、どうして貴様が嫌がる必要があるのよ?」
    「え?」
    「えっ?」

    カーテン越しに、疑問のやり取り。
    一瞬後に、吹寄は一体上条がどういう勘違いをしたのか、理解した。

    「――?!?! ちょ、ちょっと上条! あたしはそんなつもりで言ったんじゃないわよ!
     た、ただ近くに小さい子がいて、その子に飲んでもらう的な、ああもう、何を言わせるのよ!」
    「わ、悪かった。俺が悪かった! だから頼むから、それ以上俺の勘違いを抉らないでくれ!」

    恥ずかしさに窒息しそうになりながら、上条は謝った。
    だって、いくら動転しているからって、吹寄のおっぱいを、自分が吸うなんて。
    吹寄も頬を染めてあちこちに視線を揺らしながら、必死に心を落ち着ける。
    上条は現実的な解決策を考えていてくれたのだろう。
    確かに、飲んでもらうなんて言い方をすればその相手は自分だと勘違いされても、おかしくなかった。

    13 = 1 :


    「い、一応コメントしとくと。小さい子なんてこの辺りにはいないぞ」
    「わ、わかってるわよ」
    「それじゃ、どうするんだ?」
    「えっと……」

    選択肢は、母乳を下水に流すかティッシュに吸わせてゴミ箱に捨てるか、我慢してこのまま病院に行くか。
    ……そして、冗談からうっかり出来上がってしまった、別の選択肢か。

    「ネットで、さっき調べたんだけれど」

    唐突に、吹寄が話題を変えた。

    「ん?」
    「まずは、味を見てみろって」
    「まずって、どういう意味だ?」
    「母乳が正常かとかって、味を見ればすぐわかるものらしいのよ。
     で、抵抗はあるかもしれないけど、母乳の味見はちゃんとしなさいみたいな事が書いてあって」
    「そ、そうなのか」
    「でもさ、やっぱりどうしていいか分からなくて。コップにでも出せばいいのかもしれないけど、
     この歳で保健室で一人そんなことをするって考えたら、やっぱり、ね。
     それに体調がおかしいのが原因なら、私が自分で味を見ても、何も判らないかもしれないし。
     だから、その――」

    不安、なのだろう。いつもの気丈さが鳴りを潜めていた。
    言いよどんだまま、吹寄がその先を告げなかった。
    ぎゅ、と吹寄がシーツを握った音がした。かすかな衣擦れが聞こえる。
    戸惑い、下着すら身につけられないまま、吹寄はどんな不安を感じているんだろう。

    「吹寄」
    「……」
    「今から、馬鹿な事言うからな。おかしかったら、馬鹿にしてくれていい。
     吹寄。俺が味見て、そのまま飲んじまえば良いとか、そういうこと考えてるか?」
    「べ、別に! そんなこと考えているわけないでしょうが!
     なんで貴様に、その、飲んでもらうとか――――」
    「そうか、ごめんな、吹寄。俺の勘違いだったら、もっと責めてくれていい」
    「……」

    再び、吹寄が黙り込んだ。
    それはもう上条を相手にしないという意思表示だろうか、あるいは別の意図だろうか。
    時計の秒針が一周するくらい、長い沈黙があった。

    「上条」
    「ああ」
    「貴様は、嫌だとは思わないの?」
    「正直言って、恥ずかしいけど。嫌なことはねえよ」
    「そう」

    14 = 1 :


    また、沈黙。
    どんな意味を持った沈黙か、上条ははかりかねた。

    「上条。アンタじゃなくても、例えばあたしに彼氏がいたとして、その人にでも、飲ませるのって変かな」

    そんな仮定の話を、不意に吹寄が振ってきた。

    「ん、っと。やっぱり戸惑うとは、思う。彼氏でも」
    「そうよね」
    「でも彼氏としては、嫌なことはないと思う。
     この歳でどうかは置いといて、彼氏彼女なら、別にそれくらい普通だろ」
    「飲んでもらうのが?」
    「いや、胸を、まあそのなんだ」
    「……上条のこと、セクハラで訴えようかしら」
    「止めてくれ。マジで。それで、どうする? この選択肢が無しなら、やっぱり無理にでもこのまま――」
    「……うん、言いたい事は、わかってる。けどやっぱり、ちょっと。
     上条にはわかんないわよね。今だって、胸の先から少しずつ出てて、濡れてるのよ。
     手で押さえたり、仕方なくハンカチ当てたりしてるけど、もうベトベトなの。
     もう一度このブラつけて、ってやっぱり気持ち悪くて。考えたくない」
    「いやでも、仕方ないだろ」
    「うん……」

    煮え切らない返事で、また吹寄が黙った。
    その間を、上条は根気良く待つ。急かしても好転しないような気がした。
    やがて、またぽつりと吹寄が言葉をこぼした。

    「上条」
    「ん?」
    「仮定の話、だけど。彼氏以外の男子に飲ませるって、変よね」
    「……だな。そういうのって、少なくともちゃんと付き合ってる相手同士でやることだろ」
    「そう、よね」

    それはどういう意味の確認だろうか。
    上条があれこれと考え、答えに至らないうちに、吹寄がさらに尋ねた。

    「ここにいるのは、上条だけよね?」
    「あ、ああ。見てのとおりだけど」
    「上条は、付き合っている子、いるの?」
    「いや、別にいないけど」
    「そう。あの、さ……。あたしがお願いしたら」

    吹寄が、言葉を区切った。
    何かを迷い、躊躇っている感じだった。
    カーテン越しの吹寄が、シーツを手繰り寄せた音がした。
    やがて、意を決したように、吹寄が上条に尋ねた。

    15 = 1 :


    「責任、とってくれる?」
    「え?」

    その言葉の意味を、上条は考える。
    ここにいる男は上条で、もし上条に胸を吸わせることになれば。
    上条の主張に従うと、上条は吹寄と付き合っていないといけない。

    「え、ちょ、ちょっと待て吹寄。お前こそいいのかよ?」
    「いい、って?」
    「俺でいいのかよ、って意味だよ」
    「貴様はどうなのよ」

    吹寄のことは、嫌いじゃない。
    放課後にキャッチボールして遊んだりと、実はなんだかんだで吹寄はクラスで一番仲のいい女子だ。
    だけど、吹寄を彼女にするなんて、考えたことはなかった。
    吹寄にとって、上条はどういう相手だっただろう。
    大覇星祭の前なら、上条への評価は「好きでも嫌いでもない」だった。
    だけど、あれからバカ騒ぎに付き合ったりと、それなりに親密になった。

    「なあ吹寄。後にまでそんな影響のある選択肢は、選んじゃまずいだろ。
     気持ち悪いかもしれないけど、他のを、考えろよ」

    上条はそう提案した。それが一番、吹寄のためになると思うから。
    だってそうだろう、一時の体調不良の時に、たまたま保健室で出会った男を彼氏にするというのは、
    どう考えても吹寄のためにならない。

    「やっぱり、嫌なんだ」
    「嫌じゃねえよ。でも、そうじゃないだろ?」
    「別に、上条なら、いいわよ。ここにいるのが貴様じゃなかったら、あたしはこんなこと言ってない」
    「そ、そりゃクラスメイトとして光栄だけどさ――」
    「貴様は、あたしのことどう思ってるのよ!」
    「え?」
    「あ……」

    語気を荒げて、吹寄がそんなことを、尋ねた。
    そして突然、戸惑ったように黙り込んだ。
    カーテン越しだから、表情は見えない。だけど様子は、なんとなくわかった。
    上条は自問する。責任を取らされるのは嫌なことだろうか。
    そんなことはない。吹寄は一緒にいて、楽しい相手だ。
    躊躇っているのは、それが吹寄のためにならない気がしているからだ。
    でも、そうだろうか。

    「吹寄」
    「な、なに?」
    「結構、お前のこと、好きだ」
    「えっ……?」
    「いや、正直に言って、付き合いたいとか、告白だとか、そんなことを考えるレベルじゃなかった。
     他にそう言うことをしようと思う相手がいたわけじゃないんだけどさ。
     でも、お前が嫌じゃないって言うんなら、責任は取る。今日だけじゃなくて、この後もお前のこと、大事にする」

    16 = 1 :


    男女の関係なんて現金なものだ。好きと言われれば、惹かれてしまう。
    だが、だからといってほいほいと態度を軟化させられないのもまた、男女の仲だった。
    また、しばらくの沈黙があった。

    「責任、取ってくれるんだ」
    「ああ」
    「嫌じゃないのよね?」
    「嫌なことなんてない。吹寄こそ、どうなんだよ」
    「私も別に。嫌なことは、ないわよ」
    「軽い気持ちで相手を選んで、傷つくのはたぶん女子のほうだぞ。本当に、いいのかよ」
    「……大丈夫。付き合う前の気持ちなんて、付き合ってからは大したことじゃないでしょ。
     大事なのは、その後どうやって一緒にやっていくかなんだから」

    動転しているからではなく、どうもそれは、吹寄の恋愛観らしかった。
    一理あるのはあるだろう。たしかに付き合う前の熱が冷めてしまうカップルは長持ちしない。
    ただ、それを上条は納得しきれるわけでもなかった。

    「そうは言うけど、やっぱ自分で惚れて付き合ったって、そういう覚悟は大事じゃないか?
     好きでもない相手と、こういうきっかけで付き合うのは、お前のためにならねえよ」
    「……莫迦」
    「え?」
    「あたしも、貴様のことが。結構好きだから、提案してんのよ」
    「吹寄さん? 今、なんて?」
    「べ、別に貴様と同じよ。付き合うとか、考えたこともなかったけど、別に貴様以上に好きな相手がいるわけでもないってこと!」
    「お、おお。なんというか、その、ありがとう」
    「礼なんて言わないでよ……」

    二人で、また黙り込んだ。もう何度目なのやら良くわからない。
    動揺で浮つく自分の気持ちを持て余しながら、上条はこの状況を、必死に咀嚼する。
    吹寄が、そこそこ自分のことを好きで、自分以上に好きな相手はいない。
    自分もまあ、似たようなものだ。つまり付き合う障害は無くて、付き合う口実ならある。
    カーテン越しに吹寄を見つめる。
    姿は見えないけど、やっぱり自分の彼女になってくれるかもしれない女の子というのは、特別に見えた。
    吹寄が、ため息をついた。それで、ハッと我に返る。
    そうだ、今は、体調をおかしくしている吹寄にもっと優しくすべきだ。

    「後悔、しないか?」
    「……させる気?」
    「そんなつもりは、ねえよ」
    「じゃあ、別にいいわよ。……あのさ、やっぱり心配してくれる人がいると、安心できるから」
    「判った。唐突だけど、それを言い訳にしたら駄目だよな。腹括る」

    居住まいを、上条は正した。
    カーテン越しに聞こえた衣擦れは、きっと吹寄も同じことをしたのだと思わせた。

    17 = 1 :


    「今から、俺と付き合ってくれ、吹寄」
    「うん……。こちらこそ、よろしく。ってなんかやっぱり実感湧かないわね」
    「そりゃカーテン越しだしな」

    ……これで、今この瞬間に、自分と吹寄は彼氏彼女になった。
    だがこれっぽっちも、付き合いはじめた感慨が無い。
    棚ぼた式で得てしまったからだろうか。

    「ね、上条。こっち来て」
    「……へ?」
    「何を寝ぼけているの。そういう話から、始まってるんでしょうが」
    「お。おう。そうだったな」

    招かれたら、行くしかない。
    とことこと、靴下で木のタイルの上を歩く音が部屋に響いた。
    それに、吹寄が息を呑んだのが判る。

    「吹寄、そっち行っていいんだな?」
    「……いいって言ってるでしょ」
    「わかった」

    上条は、カーテンの端をそっと摘んで、ベッドサイドへの通路を開く。
    そしてくぐるように抜けた先には、胸元を手で隠した吹寄が、ベッドに腰掛けていた。

    「――――あ」
    「な、何か言いなさいよ」
    「悪い。その、見とれちまった」
    「変なお世辞なんていらないわよ。さっきも見たでしょうが」
    「そうだけどさ、綺麗なモンは、何度見たって綺麗だし」
    「き、きれい、って――バカ!」

    いつもみたいに、ムスッとした顔で吹寄が怒った。
    だが違うところもあった。すっと頬が染まったのが判る。
    それだけで、ずっと愛嬌良く、可愛らしく見えた。
    もしかしたら、付き合うって話が出たからこその、色眼鏡なのかもしれない。

    「吹寄。それじゃあ、その、吸えばいいのか」

    何を、を言うのが恥ずかしくて、互いにぼかしてしまう。
    吹寄とて、覚悟は決めているのだろう。コクリと頷いた。
    上条は手始めに、吹寄のむき出しの肩に、手をかけた。

    18 = 1 :

    とりあえず書き溜めはここまで。
    また書けたら投下します。
    >>12 確かにマニアックだなwでも書いちまったモンは仕方がねえ。

    19 :

    よし脱いだ

    21 :

    >>1くん>>1くん、パイズリはあるかい?

    22 :

    バイト先でフル勃起余裕でした
    どうしてくれるwwwwww

    ただのエロかと思って読み始めたけど、なんだかもどかしい高校生らしさがたまりませんわー

    23 :

    なんかすげえな

    それにしても上条補正が妬ましいんだぜ

    24 :

    は、早く頼むぜ!!!

    全裸正座で待ってるよ!

    25 :

    もうそろそろ保健の先生が戻ってくるな

    26 :

    勃起しながら吸う上条さんに申し訳なく思って吹寄さんは………


    ウェェェイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

    27 :

    >エロはR-15まで自重しない
    エイプリルフールはとっくに過ぎたぞ

    28 :

    落ち着くんだ上条当麻!ここは紳士に胸からではなく 唇に口づけるんだ!

    29 :

    おい

    息子が元気だぞ

    30 :

    またお前かあああああ!

    31 :

    スレタイで何が起こるのかと思ったらこんなことがねぇ

    姫神さんの次は吹寄か。期待!!

    32 = 1 :


    「あっ!」
    「わ、悪い」

    吹寄が出したのは、怯えた声だった。
    無理もないだろう。

    「そうだよな。付き合おうって言っただけで不安がなくなるわけ、ないよな」
    「ごめん。今の別になんでもない。その、触って。別に構わないわよ。彼氏彼女なんだし」

    その言葉を受けて、もう一度肩に触れてみる。
    怯えた声こそ上げなかったが、吹寄が警戒感を覚えているのは、丸わかりだった。
    そりゃまあ、上半身裸でさっきまでただのクラスメイトだった男に触られるのに抵抗がなかったら、そのほうが嫌だ。

    「吹寄、髪、撫でていいか」
    「え?」
    「やっぱ、物事には順番ってのが、有ると思う」

    シーツを、肩からかけてやった。そして隣に、上条も腰掛けた。
    近いほうの手で吹寄を抱き寄せて、髪に、優しく触れた。

    「あ……」
    「嫌か?」
    「ううん。っていうか、別にさっきのも嫌って訳じゃ」
    「無理すんなよ」
    「無理してない!」
    「そうか、悪い」
    「……」

    唇をつんと尖らせて、吹寄がそっぽを向いた。
    そしてそのまま、上条のなすがままに、髪を撫でられる。
    吹寄の視線が自分から外れたのをいいことに、上条は吹寄の胸元を見た。
    体に巻きつけたシーツが、吹寄の体のラインを縁取っている。
    鎖骨のあたりの複雑な陰影と、そしてシーツを体から引き離すように押し上げる、豊かな胸の膨らみ。
    そして、二つの乳房の間にある谷間の部分がシーツをへこませていた。
    その先は緩く体に触れていて体のラインは判らない。太もものラインが僅かに見えて、それにもドキドキさせられた。

    「上条……」
    「え?」

    ハッとなると、ジト目で吹寄が見つめていた。

    「付き合ったからって、露骨に見ないでよね」
    「ごめん」
    「別に綺麗なものでもないし、見られてあれこれ感想付けられるのは嫌なのよ」
    「……」

    人並みに、きっと吹寄も自分の体のことで悩みがあるのだろう。
    そんな、劣等感めいたものを感じさせる仕草だった。

    33 = 1 :


    「吹寄。感想付けられるのが嫌って言った傍からだけど、感想言っていいか」
    「え?」
    「……綺麗だよ。お前。すんごく」
    「え、ちょ、ちょっと止めてよ上条!
     付き合ったからって、そんな風にお世辞言われても嬉しくない!」
    「お世辞じゃねえよ! 本心だっての」
    「嘘!」
    「何で嘘って決め付けるんだよ」
    「だ、だって」

    吹寄は、視線を落として自分のコンプレックスの塊に目をやった。
    人並みよりずっと大きい、自分のバスト。
    いつだってコレには悩まされてきたし、低俗な視線ばかり集めるし、
    それに体のバランスが取れないくらい大きいから、自分でも嫌なのだ。
    サイズのせいで、下着だって満足に選択肢がない。
    それに、何の因果かまだ経験もしてないのに、母乳が出るなんて。

    「仕方ないし受け入れてもいるけど。やっぱり、自分の体が変だって自覚はしているもの」

    自信なさげに、吹寄が視線を落とした。
    それを見て、上条も吹寄の懊悩を理解しようと、吹寄に心を寄せた。
    男だからその悩みに共感は出来ないけれど、彼女なのだから慰めてやるべきだし、
    慰めてやりたいと、素直に思った。同時に少し、苛立ちもあった。

    「何度でも言うけど。お前の気にしてる胸だって、なんだって全部、綺麗だ」
    「……嘘つき」
    「だから何で嘘って」
    「なんで貴様があたしの体の全部を知ってるのよ」
    「そりゃ全部は知らないけどさ、いやでも、じゃあ何で今俺は、お前の体見てドキドキしてるんだよ」
    「えっ? ちょ、ちょっとやめてよね。てか付き合って五分で体見て興奮するって言われて嬉しいわけないでしょうが」
    「悪い。でも、正直な本音だし」
    「余計に悪いわよ」

    もう、とため息をついた吹寄が可愛くて、つい、上条は髪を撫でる手を頬に伸ばした。
    その感触に驚いた吹寄が、顔を上げた。そして上条と、見詰め合う。

    「あ……」
    「好きだ、吹寄」
    「え、あ……? そ、そういうことはもっと本気になってから言いなさいって、ほら」
    「もう、充分本気だって。ほら」
    「あっ!」

    上条は、言葉では吹寄をリードできるよう取り繕っていたが、見えないところでは心臓がバクバク言っていた。
    そりゃそうだ、女の子をこんな風に抱き寄せるなんて、したことがない。
    上条は裸の吹寄の背中に触れた。そして、ぐっと自分のほうに引き寄せた。
    戸惑う吹寄の体の、前に掛かったシーツがほどけて落ちるのと、上条の体にその胸が押し当てられるのがほぼ同時だった。

    34 = 1 :


    「か、かみ、じょう……」
    「やべぇ……吹寄、お前可愛いな」
    「! ば、ばか……恥ずかしいのよ」
    「もっと言ったほうがいいか?」
    「駄目。落ち着かなくなるから」

    吹寄を抱きしめた胸元から、いい匂いがする。女の子の匂いだった。
    そしてとてつもなくやわらかくて、たわわな重み。
    女の子を抱いているのだという強い実感に、上条は頭がクラクラとなった。
    そっと、背中を撫でてやる。
    むき出しの肩甲骨と、背骨の感触。それで吹寄の体の形を実感しながら、何よりびっくりするのは、その柔らかさ。
    男と女では皮下脂肪の量が違うと聞くが、まさにそれだろう。
    なんてことはない背中の肌なのに、もちもち、ふわふわとした感触で、撫でるだけで楽しかった。

    「ん、ふ、ちょっと上条。くすぐったい」
    「悪い。夢中になってた」
    「……なんていうか、貴様はお世辞とかじゃなくて、本当に私の体で遊んでいるのね」
    「う、そんな言い方ないだろ。遊んでるって」
    「だってそうじゃない」
    「まあ。……なあ、吹寄」

    そろそろ、頃合いだろうか。
    そんなつもりで声をかけると、吹寄も悟ったのだろう。小さく頷いた。

    「うん。この体勢続けると、貴様の制服がもっと汚れてしまうし」
    「え?」
    「ごめん、上条。あたしも咄嗟に気づかなかったんだけれど、多分、あたしので、制服濡れてる」

    吹寄が申し訳なさそうにそう言った。
    だが、上条としては大した問題とも思わなかった。牛乳をこぼすよりはるかにマシな出来事だ。

    「気にするなって。それより……いいんだな?」
    「……うん。こんなこと、上条にしか頼めないし。ごめんね」
    「謝るより、好きだって言ってくれたほうが嬉しいぞ」
    「もう、催促するようなものじゃないでしょう」

    嘆息して、吹寄が抱かれた胸元から顔を見上げた。
    途端に顔を真っ赤にして、顔を上条の胸にうずめる。
    なんだかやけに吹寄がうぶで、意外な感じさえした。
    もう一度、チラリとだけ上条の顔を見て、吹寄が呟いた

    「上条。気にかけてくれて、ありがと」
    「おう」
    「……あたしも、その、好きだよ」

    それだけ言うともう吹寄は、目を合わせてくれなかった。
    そっと、上条が体を離すのに、抗わなかった。

    「あっ……」

    ギリギリ掛かっていたシーツが、予兆も無くはらりと落ちた。
    それで、今まで隠していた吹寄の胸元が、上条の目の前にさらされた。

    35 = 1 :

    日中にエロシーンは体に悪いので、夜までおあずけ。

    >>21 >>27 未定だがR-18を希望するのかい?
    >>25 そげぶ

    36 :

    今すぐみたいです(キリッ

    37 :

    上条さんはなんでこんなに巨乳に恵まれてんだろうな

    39 :

    乙ですた!

    発見できてよかったww
    丹念な心理描写はお流石ww
    吹ちゃん可愛いなあ。
    まだ、心がお互い上滑りしてるのがすごくいいですね!

    R-18ですが。
    高校生だし付き合って間もないし、倫理観の強い吹寄ちゃんだからなあ。
    そりゃ、リビドーの赴くままに突き進むかもだけんども。
    肉欲に負ける吹ちゃんもありっちゃあありですが。。。

    お話に無理がなければ。
    という感じですかねえ。

    夜を楽しみにしてますよー

    41 :

    オナ禁しようと決めた初日にどうしてこんなスレに出会うんだろうね?

    42 :

    うひょおおおおおおおおおおおおおっぱい!!

    43 :

    夏とはいえずっと裸は体に悪いので早めにお願いします

    45 :

    何という生殺し…

    46 :

    是非ともぱいずりをお願いします

    47 :

    吹寄→おっぱい張って母乳出る→上条に飲んでもらう
    上条→ずっと勃ちっぱなしで落ち着かない→吹寄に

    後は分かるな

    48 :

    お、俺のフルンディングが……
    あれ、このコテって確かトンデモ発射場ガールの……

    49 = 27 :

    この流れでR-18じゃないって言うんなら・・・
    まずは、その幻想をぶち殺す!

    50 :

    トンデモで言ってた吹寄ssですね。待ってました。
    だがここまでエロティックなものだったとは……
    いや嬉しいんですけどね


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