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元スレ美琴「極光の海に消えたあいつを追って」2
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>>699
俺もそう思う
ってか美琴と一方通行の件だが
そういった方向も有ると思ってたしそれでも自然だと考えていた俺は異常なのか?
このSSは大好きだし毎日更新してるくらいだが
このSSみたいに重苦しいことにはならんだろうなと思っていた俺は異端者?
スレチで申し訳ない
無視してくれ
俺もそう思う
ってか美琴と一方通行の件だが
そういった方向も有ると思ってたしそれでも自然だと考えていた俺は異常なのか?
このSSは大好きだし毎日更新してるくらいだが
このSSみたいに重苦しいことにはならんだろうなと思っていた俺は異端者?
スレチで申し訳ない
無視してくれ
>>701
むしろかまちーを良く解ってると思うよ
ベビーオブジェクトは読んでないけど、今まで禁書で登場人物の奥深い葛藤なんて書いたこと無かったし、書けないんだろう
今まで倒した敵キャラで生き残ってる奴らが、揃いも揃ってギャグパートカマしてるしね
過去は気にしないと言えば聞こえはいいが、かまちーの構想力が設定に追いついてないのは何時ものこと
まあ、今まで真剣に二人の邂逅を想像していた皆にとっては、肩透かしくらった気分なんだろう
むしろかまちーを良く解ってると思うよ
ベビーオブジェクトは読んでないけど、今まで禁書で登場人物の奥深い葛藤なんて書いたこと無かったし、書けないんだろう
今まで倒した敵キャラで生き残ってる奴らが、揃いも揃ってギャグパートカマしてるしね
過去は気にしないと言えば聞こえはいいが、かまちーの構想力が設定に追いついてないのは何時ものこと
まあ、今まで真剣に二人の邂逅を想像していた皆にとっては、肩透かしくらった気分なんだろう
>>705
そーいうことここで言うなよ
そーいうことここで言うなよ
違う、かまちーは、SS作者に美琴と一方の和解話を書かせる余地を作ったんだ
なんか、三巻の美琴と一方は夏の後に一度会ってる感じだった
なんか、三巻の美琴と一方は夏の後に一度会ってる感じだった
>>710
大覇星祭頑張ってくれ
大覇星祭頑張ってくれ
普通に考えれば「今度は一人じゃない」宣言の後あたりに
美琴に状況説明求められるかもしくは自主的に上条さんがとりあえず把握してる限り説明するだろ
2巻読んだ後3巻の内容はそんな描写が有るのかなぁって予想してたけどすっ飛ばしましたね
まぁ読者が知ってる内容を繰り返す事を避けたのかな?と推測
美琴に状況説明求められるかもしくは自主的に上条さんがとりあえず把握してる限り説明するだろ
2巻読んだ後3巻の内容はそんな描写が有るのかなぁって予想してたけどすっ飛ばしましたね
まぁ読者が知ってる内容を繰り返す事を避けたのかな?と推測
どっちにしろここで話すことじゃないだろ
どうしてもやりたいなら某掲示板とかでやりなよ
これ以上無意味にスレを埋めるな
どうしてもやりたいなら某掲示板とかでやりなよ
これ以上無意味にスレを埋めるな
クリスマスまで音沙汰ないということはもしや>>1はリア充様か!?
羨ましいなコンチクショウww
羨ましいなコンチクショウww
きっとこのスレとは別に上琴クリスマスネタをせっせと執筆しているに違いない
[モガの森]・ω・)ノシ
新刊やらゲームから面白いネタを拾ったのでプロット変更に伴い書き溜め破棄して書き直している最中です
年内には続き落として行くのでしばしお待ちを
新刊やらゲームから面白いネタを拾ったのでプロット変更に伴い書き溜め破棄して書き直している最中です
年内には続き落として行くのでしばしお待ちを
こんばんは
デカい口叩いておいて結局年末になってしまいました。典型的なビッグマウスだよ!
二次創作はあくまで原作ありきの存在だと思うので、原作sage二次創作ageというのはあまりよろしくないかと思います
美琴と一方通行の問題も「当面先送り」といった感じだったので、おいおいきちんとやることを祈って
では投下していきます
デカい口叩いておいて結局年末になってしまいました。典型的なビッグマウスだよ!
二次創作はあくまで原作ありきの存在だと思うので、原作sage二次創作ageというのはあまりよろしくないかと思います
美琴と一方通行の問題も「当面先送り」といった感じだったので、おいおいきちんとやることを祈って
では投下していきます
話は一週間ほどさかのぼる。
「……なんだか最近、お姉様の様子が変ですの」
場所は風紀委員第177支部。
白井黒子は目の前の同僚、初春飾利に愚痴をこぼすように呟いた。
年末、クリスマスや帰省ラッシュや初詣などで学園都市中が混雑することに備え、風紀委員の先輩たちは警戒態勢を整えるための会議を行っている。
年齢が低い白井と初春は支部で留守番をしているのだ。
「変って、どんな感じなんですか?」
留守番と言えど、やらなければならない仕事は多い。
パソコンを用いて書類を整理しながら、初春は聞き返す。
「以前、お姉様が脳科学のお勉強に没頭していらっしゃったのは覚えているでしょう?
以前ほどではないにしろそちらのお勉強も続けておられるのですが、最近はそれに加えて電子工学や機械工学にまで手を広げておられるようで……。
朝はわたくしが起きるよりも早く起きて机に向かい、夜はわたくしよりも遅く床に入られますの。いったいいつ寝ておられるのでしょう?」
「能力開発に関するお勉強でしょうか。それとも、将来なりたい職業でも見つけたとか。
御坂さんって、一度思い込んだらそれに向かって、"こう"な人ですし」
耳の横に当てた手のひらをそのまま前へと持ってくるジェスチャーをし、クスクス笑う初春。
その能天気な様子に、白井はため息をついた。
「いくら常盤台が『義務教育期間中に世界に通用する人材を育成』していても、学歴としては中卒であることに代わりはありませんの。
職業選択をするには経験が圧倒的に足りませんし、さすがに今の段階から職業選択を考えているのは、将来家業を継ごうと考えている方くらいでしょう」
「じゃあ、飛び級のお誘いが来たとか。例えば長点上機や霧が丘は年齢にこだわらない特進コースを置いていますし。
御坂さんくらい能力も学業もずば抜けてる人なら、勧誘されてもおかしくないと思いますが」
「確かにお姉様ほどの才を示される方でしたらあり得ない話ではないと思いますが……。
そんな大事なことをわたくしにお話しいただけないはずが有りませんの」
白井は唇を尖らせる。
初春の言う通り飛び級の誘いが来ていて、そのために学業に邁進しているのならばいい。
白井と美琴では専攻が違う。同じ学校の後輩としてそばに控えることができなくなるのは寂しいが、彼女の輝かしい未来の為ならば白井は喜んで応援する。
だが、気がかりなのは、
「ここ数日、お姉様が何やら浮かない顔をしてらっしゃるのも気になりますの。
何かを心配しているような、焦ってらっしゃるような」
美琴が努めて平静を装っていることはすぐに分かった。
元々美琴は嘘や演技がうまい方ではない。風紀委員の仕事で鍛えられた白井の観察眼は、すぐにそれを見抜いてしまった。
「何かを思いつめていらっしゃるのだとしたら、わたくしにはそれが心配で……」
「うーん、電子工学や機械工学のお勉強を何かに悩むような様子で頑張っているとなると……能力関連の悩みなんでしょうか。
私たちからしてみればレベル5の御坂さんは雲の上にいるような人ですけど、御坂さん自身では今のレベルに満足していないのかもしれません」
「9月の身体検査から先日までで、並の『電撃使い』数人分の出力アップを果たされていますのに、お姉様は自己の鍛錬には貪欲でいらっしゃいますから……。
しかし、能力開発は自分のペースで進めて行くもの。単に能力の事で悩んでいるにしては、切羽詰まりすぎているといった感じですの」
むぅ、と初春は首を傾げた。
「……やっぱり、御坂さんに直接問いただしてみるのが一番じゃないですか?
私たちがこうして考えていても想像の域は出ませんし、的外れなことで私たちがどうこうしてもかえって迷惑になります」
「それはそうですが……」
白井は躊躇する。
美琴の悩みを解決することが嫌というわけではない。
彼女を取り巻く環境が余りにデリケートすぎるために、不注意に踏み込むことが難しいのだ。
美琴が抱え込んでいるものの大きさを、白井は知っている。
彼女がどれだけそれを大切にしているかも、それがどれだけ大きく重たいのかも、白井は知っている。
もし、美琴の悩みが彼女の『妹たち』に関わるものだとしたら、白井のとり得る選択肢はごくわずかなものになってしまう。
彼女は『権力』という意味での力を持たない。『妹たち』の味方にはなれても、後ろ盾にはなれないのだ。
自分に出来るのは、風紀委員であるこの身に宿る信念に基づき『妹たち』のために戦うことだけ。
だが、門外漢である白井が的外れなところで暴れたとして、それが美琴らの益になるかと言えば、そんなことは決してあり得ない。
結局、美琴の悩みについて知らなければ白井は動きようもない。
「白井さん、いつも言ってるじゃないですか。自分は御坂さんのパートナーだって」
悩む白井に、初春は微笑む。
「御坂さんの一番そばにいるのは、いつだって白井さんです。困っている時にすぐ助けてあげられるのも白井さんです。
私も力になりますから、ここはどーんと白井さんが御坂さんにぶつかっていくところですよ!」
「初春……」
短くない時間をともに過ごしてきた相棒の力強い言葉に、白井は深くうなずいた。
とはいえ、馬鹿正直に正面からぶつかっていったところで、素直に話してくれる美琴ではない。
何より白井自身の風紀委員としての仕事が忙しかったこともある。
美琴となかなか時間が合わず、勉強している彼女の邪魔をすることもはばかられたため、美琴の悩みとは何か、となかなか聞けずにいた。
美琴の変調は木山春生の襲撃事件を境に、さらに深刻化したように見えた。
例えば彼女が普段コインを貯めている貯金箱の中身がいつの間にか満タンになっていたり。
深夜寝もせずにベッドの中で転がっている回数が増えたり。
これは確実に何かがあったと思い、白井は美琴の様子や行動を注意深く見守ることにした。
夏休みのように美琴が一人で暴走を始めた時は、いつだって駆け付け力になれるように。
美琴と一緒に居られる時は、いつだって彼女の動向に気を配っていた。
不穏な発言をすればそれとなく釘を刺し、深夜寮を脱走しないよう、彼女が寝入るまで寝たふりをしつつ見張っていたり。
そして今日、ついに美琴が行動を起こしたのだ。
「……黒子、どうしてここに」
美琴が呟くと、白井はため息をついた。
「ここ最近お姉様の様子がおかしいことがどうにも気になりまして。
それで、お姉様が寮を抜け出すのを見て、風紀委員のシステムからお姉様の携帯電話のGPSをトレースしたという次第ですわ」
「あんた、それはやめなさいって前にも言わなかったかしら?」
「お姉様の様子が、夏休みに似て余りにもおかしかったものですから」
その言葉に、美琴は思わず反論の言葉を呑みこんでしまった。
出来る限り平静を装っていたはずだ。
にも関わらず、この鋭い後輩には勘付かれていたのだろう。
「お叱りはあとで頂戴いたしますの。しかし、風紀委員として深夜に寮を抜け出すことは看過できませんの。
さあお姉様、寮監に脱走がバレる前にわたくしと部屋に戻りましょう?」
美琴の左手を掴んだ白井の腕には風紀委員の腕章が巻かれている。
美琴が共に帰ることを拒めば、強硬手段を持ってしてでも連れて帰ると言う意志の表れかもしれない。
それでも、美琴には帰る事のできない理由がある。
「私にはやらなきゃいけないことがあるのよ。帰ったりはしない」
「それは、こんな夜中に急いでやらなければならないことですの?」
「これでも遅いくらい。これ以上は先延ばしにはできない」
「それは、お姉様がなさらなければならないことですの?」
「誰かに任せられる問題じゃない。私がやらなければ、きっと後悔する」
「それは、どのような事柄ですの?」
「あんたには関係ない」
「…………妹様方に関わることでしょうか」
白井の指摘に、美琴は言葉を詰まらせた。
半月ほど前だろうか、ひょんなことから白井には妹たちの存在を知られてしまい、その事情の全てを話した。
当然、美琴にとって妹たちがどんな存在であるかも知っている。
白井から見て今の美琴が「夏休みの状況に似ている」のなら、妹たちのことに思い至られるのは当然だろう。
そこまで突きとめられているのならば、もう隠し通す意味はない。
美琴は誤魔化すことを諦めた。
「……だったら、どうするの? 風紀委員の腕章までつけちゃってさ。
私を深夜徘徊やら寮脱走やらの素行不良で捕まえてみる?」
「ええ、わたくしの諫言を受け入れてくださらないのでしたら、当然『風紀委員』としてはそうせざるを得ませんの。
それが、わたくしがこの腕章に誓った信念ですから」
素行不良だなんてただの建前に過ぎない。その真の意味は美琴を危険へと近づけさせないという意味合いが大きいだろう。
高速で『飛んで』きた美琴に追いついて見せたように、白井の『空間移動』の速度は美琴が出せる速度よりもはるかに速い。
加えて、美琴の携帯電話の位置は白井によって捕捉されている。
この状況から白井を振り切るのは不可能だ。
つまり、白井を巻きこまないためには、ここで彼女に手を上げなければならない。
想定していた中では、最悪のシナリオ。
「……と、ここまでは『風紀委員としての』わたくしのお話。
ここからは『白井黒子としての』わたくしのお話を聞いていただきますの」
「……黒子?」
「状況はよく存じ上げませんが、要するにお姉様は妹様方に起きた問題を解決するために動いておられるのでしょう?」
「…………」
見透かすような白井の視線に、美琴はどう答えるべきか迷った。
しかし、この場での沈黙は肯定とほぼ同意義だ。
白井は呆れるようにかぶりを振ったのち、真剣味を増した視線を美琴に向ける。
「でしたら、わたくしをお供させてくださいまし。
わたくしにも、お姉様とともに妹様方のために戦わせてください」
彼女が現れた時から、その申し出は想定できていたものではあった。
人一倍正義感の強い彼女が、妹たちの境遇を知って憤らないはずがない。
そして再び妹たちに危機が迫っていると勘付いたなら、じっとなんてしていられないに違いない。
妹たちのことを知った時、白井は『自分は美琴や妹たちの味方である』と言ってくれた。
そのこと自体は、純粋に嬉しく思う。
だが、『妹たちの味方である』からといって、『彼女たちの為に戦う』必要はない。
それは自分の仕事であって、白井の仕事ではないのだ。
「悪いけど、あんたは巻き込めない」
「……どうしても、ですの?」
「どうしてもよ。これは私の戦いであって、あんたの戦いじゃない」
風紀委員が普段相手にしているような相手は、せいぜいが『表』の犯罪者だ。
人を傷つけることには慣れていても、命を奪うことは躊躇する。その程度の雑魚でしかない。
だが、今回の敵は自らの欲の為に人間を作り出しては使い潰して喜ぶ狂った変態どもだ。
風紀委員が扱うべき領域の遥か外側にいる連中とわざわざ相見えさせる必要はない。
そんな唾棄すべき連中との接点は持たないに越したことはない。そのほうがきっと幸せでいられるのだから。
威嚇のつもりで髪の毛を俄かに帯電させながら、美琴はあくまで言い聞かせるように言う。
「面倒をかけさせないで、黒子。私は今とても急いでんのよ。
これ以上手間を増やすようなら、いくらあんたでも……」
「いくらでも電撃をお浴びせになればよろしいんですの。
それでも、黒子は絶対にこの手を離しはいたしません」
美琴の手を握る白井の手に力が込められる。
見上げる視線には、何が何でも離さないという強い意志が宿っていた。
言葉で説得するのは難しいだろう。
「あんた、私がこれから何をしようとしているか、察してて言っているんでしょうね?」
「妹様方を助けるために、その元凶をぶっ飛ばしに行かれるのでしょう?」
「不法侵入、器物損壊、もしかしたら障害や殺人未遂まで罪状に乗っかるかもね。
で、風紀委員ってのはいつからそんなことの片棒を担いでも良くなったわけ?」
「ですから、わたくしは『風紀委員として』ではなく、『白井黒子として』申し上げているのです」
白井が空いている手で腕章に触れると、それは瞬時に虚空へと消えた。
恐らくは荷物の中にでも転移させたのだろう。
白井にとって風紀委員であることは大きな誇りであり、強固な信念の根源でもある。
これから事件を起こそうと言う人物を前にしてその象徴とも言うべき腕章を外すと言うことは、その信念を捨てると言うことにも等しいのではないだろうか。
ましてやその事件に加担させろとまで言っているのだ。場合によっては、風紀委員としての名誉や実績すら失いかねないと言うのに。
それでも、彼女の眼は迷いなくまっすぐに美琴を見据えている。
「当然ペナルティはあるでしょう。しかし、誰かを助けることと引き換えだと言うのなら、わたくしは胸を張って堂々と罰を受けます。
それよりも、わたくしには少々のペナルティに怯えて大きな悪を見過ごす方がよほど悪に思えてなりませんの」
その志は立派だ。1つしか歳は変わらないのに、白井は美琴よりも遥かに高潔な精神を持っている。
だが、それはこの都市の『闇』を知らないが故なのかもしれない。
罰で済むならいい。怪我で済むならいい。その程度ですむなら、美琴だってどんなに無茶をしてでも困っている人を助けようとするだろう。
しかし、今回のようなケースは文字通り命懸けだ。一つのミスが死に繋がり、命を拾ったとしても四肢が無事に残っているかはまた別問題。
『暗部』との戦いとはそういうものなのだ。そして今回も学園都市の『闇』が絡んでいる以上、『暗部』が絡んでこないはずがない。
「……やっぱりだめよ。あんたは巻き込まない」
気心の知れた仲だとしても、安易に越えさせてはならないラインというものは存在する。
例えば、それを越えた人間に致命的な結果、不可逆的な問題を発生させかねない場合。
美琴はそれを『自分は越えてもいいが、人に越えさせてはならないライン』と規定する。
とんだエゴイズムだとも思う。けれど、大事な人たちを守るためには必要なことだから。
信念を曲げてまで自分たちの為に戦ってくれるという白井の気持ちは感激するほど嬉しいし、実際に彼女がいればとても頼もしいことは言うまでもない。
しかし、彼女を連れて行くわけにはいかない。白井は大事な後輩だ。
大切な人間をわざわざ敵地に伴う人間がどこにいるだろう?
少なくとも、美琴はそのような人種ではないことは確かだ。
「あんたは私の大事な後輩だから、連れて行かない。
警備員でも寮監でも呼べばいいじゃない。けど、それで私は止められない。
あんたを連れて行かないって決定も、覆したりはしない」
「……お姉様っ!?」
白井が悲鳴を上げるように叫んだ。しかし、美琴の意志は変わらない。
こうしている間にも、『第三次製造計画』はどんどん進行している。これ以上時間は浪費できない。
可愛い後輩に手を上げることに、良心の呵責を覚えないわけではない。しかし、連れて行く方がよほど危険であることにも代わりはない。
白井を気絶させるため、痛む心を抑えながら美琴は俯く白井の頭へと手を伸ばした。
「…………ごめんね、黒子」
唇の奥で小さく呟いた瞬間。
白井の左手が、伸ばされた美琴の右手を掴んだ。
驚く美琴に、白井はぐいと体を寄せる。
美琴の左手は先ほどから白井に掴まれている。そして今、右手をも掴まれた。
とっさに身を守る手段は封じられてしまっている。
勢いのままに思い切り突きだされた白井の額が、派手な音を立てて美琴の額に叩き込まれた。
「痛ぅっ!?」
予想外の反撃に、美琴は目を白黒させた。
痛みと衝撃に一瞬生まれた思考の空白。あっ、と思った時には既に遅い。
奇妙な浮遊感を感じた直後、美琴の視界に映るのは夜空と、憤怒の表情を浮かべる白井の顔。
彼女は美琴を組み伏せるように、その体の上にまたがっていた。
「お姉様は、今わたくしのことを『大事』だと、そうおっしゃっていただけましたわよね」
「痛つつつ……それが何よ?」
「……それと同じ用に、わたくしもお姉様のことが何よりも大事ですの」
彼女の下で痛みに涙を浮かべている人物ほど、白井の心を占めている人間はいない。
人は誰だって大事なものを守るために動く。それが大事であればある程、人は自分の手で、自分の力で守りたいと願う。
美琴が白井に危険なことをして欲しくないという気持ちは十分に理解できる。
それは白井が美琴に抱いている気持ちと同種のものであろうことは明らかだ。
「お姉様なら、大切な人が傷ついているのにその助けにもなれず、黙って見ているしかない辛さも理解しておられるでしょう?」
とたんに、美琴の表情が苦々しいものになる。
大切な人間の役に立てないということがどれだけ苦しいか。
何もすることができないと言うことがどれだけみじめな気持ちをもたらすのか。
美琴は、それをいやというほど知っている。
「……私は、あんたに危ない事をして欲しくないから」
「危険など、風紀委員の腕章をこの身につけた時からとっくに覚悟しておりますの!
わたくしが恐れるのはただ一つ、わたくしの知らないところ、関われないところで大切なものが傷つこうとしていることだけ。
それを未然に防ぐチャンスを前に、この白井黒子が怯むとお思いですの?」
「そういうことを言っているんじゃない!
今回は下手したらケガじゃすまないかもしれないのよ!?
大事な人間が傷つくところを見たくないって気持ちは、あんただって分かるでしょう!」
例えば『残骸』事件。あの時は当初結標淡希に殺意はなかったから、白井は重傷程度で済んだ。
それでも、上条や美琴がいなければ最後は命を落としていたかもしれない。
自分の問題で大事な人間が傷つくところを見るのは何よりも辛い。
そして、今回は既に木山という被害者が出てしまっている。相手はそのくらい『やる気』なのだ。
「そう思ってくださっているのと同じくらい、わたくしもお姉様に傷ついてほしくないという気持ちがどうしてご理解いただけませんの!
終わりよければ全てよしと言いますでしょう?
例え取り返しのつかない怪我をするはめになったとしても、それでもわたくしは人の為に戦うことを選びます。
悪い結果になったあとで『あの時ああすればよかった』と後悔し嘆くことだけはしたくありませんから!」
その白井の言葉は、美琴の胸の深い所に突き刺さった。
それは、美琴がずっと思い続けていた言葉。
DNAサンプルの提供。追及しきらなかった9982号の存在。やり直したい過去なんて挙げればきりがない。
その中でもっとも記憶に新しいのは、あの空中要塞でどうして上条の手を掴めなかったのか。
あの時手を掴めていれば、彼は記憶を再度失わずに済んだかもしれない。あの時要塞に飛び乗っていれば、彼が致命的なダメージを負う前に救出できたかもしれない。
もう頭の中で1000回は繰り返した問答だ。
だが、全ては手遅れなのだ。過去に『もしも』は通用しない。終わったことは変えられない。
それはただの願望、いや空想でしかなく、それを考えることになんら意味はありはしない。
だからこそ、彼女は望む。その時点でとり得る手段に、最大限の努力を。
その気持ちは、白井もまた同じ。
美琴に覆いかぶさり、訴えるような視線を向けてくる白井の姿がどこかの大馬鹿と重なった。
そう言えば、彼には今と同じような方法で救われたのだったか。
美琴の思惑など一顧だにせず、心の奥にずかずかと入りこんでくるような方法で。
しばらくの沈黙ののち、はぁ、と美琴はわざとらしく大きなため息をついた。
「……馬鹿ね。あんたって本当に馬鹿。馬鹿馬鹿。呆れるほど馬鹿。信じられないほど馬鹿。『黒子』と書いて『ばか』って読めるほど馬鹿」
「お姉様には負けますのよ」
「どうだか。私、あんたやあの馬鹿に並ぶほどの大馬鹿って見たことないんだけど」
「なっ! あの類人猿と同列だなんて、わたくしの名誉にかかわる由々しき問題ですの!
取り消してくださいまし!」
「嫌よ。私の中で馬鹿さ具合ではあんたたちがトップ。もう決定よ。
これは宇宙が滅んで消え去るまで永久不変の真理ね」
そして、自分もきっとそれに比肩する大馬鹿。
自分の上でぎゃあぎゃあ大暴れをする白井を、美琴はどこか憑き物が落ちたような顔で見つめた。
「……いいわ」
「え?」
「ただし、ケガはしないこと。危ないと思ったら迷わず逃げること。
交戦はおそらく不可避、しかも多分ネジがぶっ飛んでる。戦う覚悟はあるのね?」
「当然ですの!」
「……聞くまでもないか」
心底呆れながら、美琴は手ぶりでどけ、と白井に指示をする。
態度を改めた美琴を警戒しながらも、白井はゆっくりとした動作で美琴の上から離れた。
「何を警戒してんのよ」
「油断させたところをこう、ビリビリ! とされるのではないかと思いまして」
「しないしない」
服についた砂やほこりを払いながら、美琴は立ち上がった。
遠ざけられないなら、近くに置いておくしかない。
大事な人間に降りかかる危険は、全て自分が引き受けて払いのけてみせる。
この数カ月、彼女はそのために、そのためだけに必死に能力を鍛えてきたのだから。
「けど、さっきも言ったように我が身優先、ってのは徹底してもらうからね。
ケガで済むならリカバリーはできる、けどミイラ取りがミイラになっちゃったら意味がないのよ」
「…………承知しました」
「よろしい。……じゃあ、征きましょうか。妹たちを助けに」
美琴が手を伸ばす。その手を、白井は力強く握る。
「ええ。この白井黒子、全身全霊を持ってお供させていただきますの!」
同時刻。
『全員持ち場についたか?』
耳につけた通信機越しに、土御門の声が一方通行の耳を叩く。
隣では番外個体が持ちこむ火器の準備をしている。
「俺と番外個体はオーケーだ。痴女コンビはどォだ?」
『誰が超痴女ですか!? それは結標さんの我がままボディだけでしょう!
私のスカートは超計算された角度ですからね、そこらのビッチと一緒にされたら超困ります』
『私だって別に見せびらかしたいわけじゃないわ! ただ能力を使うのに下着の感触が邪魔になるのよ!』
「ほほう、つまり結標さんは常時ノーブラノーパンだと? うわーやらしー寒さで変なところ勃たせないでよ?」
手にした大型拳銃をがしゃり、がしゃりといじくりながら番外個体が茶化す。
『なっ、違っ!?』
「どォでもいい、別にそそンねェし」
「さすがロリコンは言うことが違うね。あとで上位個体に教えてやろ」
「……オマエなァ」
話が脱線し始めるが、大きな咳ばらいが全員の耳朶を打つことで中断する。
『……海原はもう潜入してる。全員、マーカーは持ったな?』
以前の海原の潜入時の失敗を踏まえ、各自の位置の特定の為に複数の通信方式を同時に併用できる強力な位置マーカーを所持している。
当然敵にも探知されやすくはなるが、交戦が前提の任務だ。仕事は増えるかもしれないが、致命的なデメリットにはならないと判断した。
『確認するぞ。黒がオレ、青が一方通行、黄色が番外個体、赤が結標、ピンクが絹旗。
今は点灯してない水色が海原で、……この緑は誰だ?』
訝しがるような土御門の言葉に、全員が自身の端末を見る。
電子地図上に、いくつかの光が表示されている。
突入班を示す青と黄、赤とピンクは施設への突入地点に。そして後方支援を担う土御門の黒が離れたところに表示されている。
ならば、この離れたところに表示されている緑の光点はいったい誰なのだろう?
「ああ、それたぶんおねーたま」
「……おい番外個体、どォいうことだ」
一方通行は番外個体の襟元を掴み、問い質す。
「よせやい。このミサカはレベル4だよ? レベル5のおねーたまに"脅されたら"抵抗なんてできっこないじゃない。
むしろ行動を察知できるようにしておいたミサカの手腕を褒めて欲しいくらいだね」
昼間に美琴に渡したデータチップ。
あの中にあらかじめ位置マーカーを仕込んでおいたのだ。
へらへらと笑う番外個体に、一方通行はちっと舌を鳴らす。
戦場に超電磁砲を介入させることを提案したのは番外個体であり、それを却下したのは一方通行だ。
翌日にオリジナルと遊びに言った時点で警戒すべきだったかもしれない。
「敵は間違いなく『第三次製造計画』を戦力として投入してくる。それがどォ言うことが分かってて、オリジナルを巻き込ンだンだろォな?」
「昨日、ミサカはお姉様と話をして確信した。
あの人はミサカたちを助けるために、ミサカたちと戦える人だよ。
それに、お姉様のミサカたちに対する優位性は昨日言ったよね?」
『相手の能力によってダメージを受けない』という事実は、交戦時において状況を極めて優位に傾ける。
相手を傷つけることもなく、かといって傷つけられることもなく、状況を見極め、そして速やかに終結させる方法を見出す時間を手に入れられるからだ。
もちろんそれだけで乗り切れるわけではない。だが、腐っても学園都市レベル5第三位。
乗りこんでくるからにはそれなりの考えが有るのだろう。
『……一方通行。どの道超電磁砲の動向は不確定要素として考慮には入れてあったんだ。
彼女がどう動いているかが分かるだけよしとしようじゃないか。
いざという時は誰かが彼女の援護に回れば問題はない』
「……ちっ」
土御門の言葉に、不機嫌をあらわに舌打ちしつつも一方通行は手を離した。
『となると、超電磁砲の進攻を考慮した上で作戦を遂行しなければいけないのよね』
『そうだな。超電磁砲がこっちと共同歩調をとってくれるわけではないし、彼女とはできるかぎり接触したくない。
こっちが彼女のフォローをする形で、状況に合わせて柔軟に作戦を変えて行こうと思う』
「お姉様は結構短気で直情的だからねぇ。たぶん正面突破じゃないの?」
「だろォな。超電磁砲のマーカーを見てみろ。
海原の言っていた正面玄関目指して堂々と動いてやがる」
施設の出入り口として設置されている、ダミーの雑居ビル。
緑の光点はその付近でうろうろと動き回っている。
『番外個体、超電磁砲に提供したデータはどの程度だ?』
「ミサカが持ってた情報はぜーんぶ」
苦々しげな表情で睨みつける一方通行もなんのその、番外個体の表情は涼しげだ。
『正面は彼女に任せよう。結標、絹旗は地下トンネルから予定通り突入。
一方通行、番外個体は侵入箇所を変更。放水路上部から侵入しろ』
「ちゃンとバックアップ体制はできてるンだろォな!?」
『問題ない。さあ、作戦開始!』
なおも何か言いたげな一方通行だったが、早くも移動を開始した番外個体の姿を見て、舌打ちをしてその後を追う。
彼らの長い夜が、始まった。
とある雑居ビルの中は、無残な光景と化していた。
入口からその内部へと何かが床を削り取りつつ移動したようなような痕跡。
その周囲には武装した黒服たちが黒焦げになって倒れており、その手に持っていただろう武器は全て真っ二つだ。
武器を手にしていなかった受付嬢はカウンターの中で怯え、泣きじゃくっている。
そんな光景を作り出した主は、緩やかに傾斜する動く歩道を早足気味に下っていた。
その周囲を黒く蠢くのは大量の砂鉄。
数百キロを優に超えるだろうそれは、壁や天井を覆うようにして主の後を追う。
「……エスカレーターに影響したりはしませんの?」
「そうならないように配慮はしてるわよ」
やがてエスカレーターを下り終わり、大きな鉄の扉が姿を現した。
それが開いた途端、大量の銃声が空間に響き渡る。
おそらくは待ち伏せていた守衛や防衛部隊のものだろう。
だが、彼らの銃撃が目的を達することはなかった。
銃弾が襲いかかるよりも早く、狙い撃たれた少女を背後から黒い渦が包んだ。
何かを噛み砕くかのような嫌な音が連続し、渦の表面が幾度となく弾けるが、しかし内部への貫通は許さない。
防衛部隊全員の銃器が弾切れになった時、渦の内部から現れたのはまったく無傷の少女。
「邪魔をしないなら攻撃はしない。ケガをしたくないなら、さっさとそこを開けて逃げなさい」
超能力者(レベル5)。数の暴力が通用せぬただ一つの強大な暴力を前に戸惑い、呆然とする防衛部隊たち。
しかし、彼らのクライアントは目の前の少女よりもはるかに"恐ろしい"。
そのことを思いだした彼らが慌てたように応援を呼んだり、守衛所から予備の銃器を持ちだしてくるのを見て、美琴はかぶりを振った。
「あっきれた。あくまで邪魔をするって言うのね」
溜息と共に再展開される砂鉄の壁。
先ほどよりも厚く、大きく、加えて紫電まで纏うその威容に防衛部隊たちはぎょっとするも、もう遅い。
黒き嵐が、その場に吹き荒れた。
「……死んではいませんわよね?」
「手加減はしたわよ。心配なら一応脈とか調べておいて」
数分も経ってはいない。しかしその場に立っているのは美琴と白井だけ。
10人以上はいたはずの防衛部隊はみな砂鉄に押し流され、電撃を浴びて昏倒してしまっている。
美琴は砂鉄の海と化した空間から火器を拾い上げては、砂鉄を器用に使い念入りに分解していく。
全員の脈を確認した白井が、困惑気味に言った。
「歩くと靴の中に砂鉄が入りますの……」
「それは仕方がないわよ。ほら、そこにいなさい」
そう言うや否や、白井を中心に砂鉄が円形のスペースを開けた。
靴を脱ぎ中の砂鉄を捨てると、白井は感心したようにため息をつく。
「本当に、器用というか万能というか……。
やはりレベル5というのはこの域の応用性に達してこそなのでしょうか」
強力なエネルギーと光速を誇る電撃に対し、広範囲かつ圧倒的な物理的破壊力を伴う砂鉄操作。
両者を手足のように使い分け、いとも容易く敵対者を退けてのける姿はまさに雷神と言ったところか。
「第4位みたいに一点集中の尖がり具合でレベル5になった人もいるけどね。
んで、これどうやって開けようか」
美琴が指で示したのは、出入り口と研究所を隔てる最後の防壁である、先ほどよりも大きく頑丈そうな鉄の扉。
内外に扉を開けるためのスイッチがあるのだろうが、それがあると思われる守衛所の中は砂鉄で埋まっている。
あの中にあったおそらく機械類は壊れてしまっているだろう事は容易に推測できる。
「制御機器類は……ダメでしょうね」
「仕方がない、ぶっ壊すか。……黒子、ここが後戻りする最後のチャンスだけど、覚悟は良い?」
「この期に及んで、何をいまさら」
対する白井は、不敵に笑む。
それに満足そうに微笑み返す美琴は懐からコインを取り出し、扉に向けて腕をまっすぐに構えた。
自身の異名であり、必殺技でもある。その名は『超電磁砲(レールガン)』。
親指で跳ね上げたコインは、快音を響かせて宙を舞う。
「さあっ、行くわよ!!」
直後、音速の3倍の速度で駆け抜けたコインは轟音と閃光を撒き散らし、分厚い鉄の扉をたやすくぶち抜いた。
今日はここまでです
ようやくですよ、よーーーーやく敵地突入です
長かった……そして大変お待たせいたしましたorz
冬休み中にもう一度は投下できるようにがんばります
それでは良いお年を
PSP超電磁砲の相園ちゃんが可愛すぎて夜も眠れない。下乳半ケツエロい。本編出ろ
ようやくですよ、よーーーーやく敵地突入です
長かった……そして大変お待たせいたしましたorz
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それでは良いお年を
PSP超電磁砲の相園ちゃんが可愛すぎて夜も眠れない。下乳半ケツエロい。本編出ろ
乙。
いや~、突入前の緊張感とかテンションの上げ下げが普通に表現できてて面白いなあ。くどくなく読みやすいし。
グッジョブ!
いや~、突入前の緊張感とかテンションの上げ下げが普通に表現できてて面白いなあ。くどくなく読みやすいし。
グッジョブ!
お疲れさまです。
次回、本格バトルでしょうか?
楽しみにしています。
次回、本格バトルでしょうか?
楽しみにしています。
乙です!
いよいよ物語も佳境かなー
あと原作とゲーム(こっちはやってないが)のどこからネタ拾ってくるのか楽しみだ
いよいよ物語も佳境かなー
あと原作とゲーム(こっちはやってないが)のどこからネタ拾ってくるのか楽しみだ
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