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    元スレ垣根 「ほら、笑って笑って!」

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    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★
    タグ : - とある魔術の禁書目録 + - レベル5 + - レベル5組 + - 垣根 + - 垣根帝督 + - 麦野沈利 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    401 = 398 :

    普段の彼であればこれくらいの状況どうとでも出来る

    だが、どうにも様子がおかしい



    垣根 (能力がうまく使えねえときた……)



    少年の炎を防ごうとした時、何故か能力が発動しなかった

    あの瞬間、垣根の脳内では不思議な出来事が起きていた

    能力を行使する為に行った演算が、突然別の演算に切り替わったのだ

    垣根 (……ここに来てコイツが邪魔するかよ)

    それは垣根が人の姿に戻った時からある謎の演算

    恐らく、自分の脳のあれと関係しているのか…

    「でも、今度はあの時のようにはいかないわ!」

    少年 「許さない!アンタは俺達が必ず殺す!」

    前後から同時に攻撃が放たれる

    402 = 398 :

    またいつあんなことが起こるか分からない

    こんな不安定な状態での戦いは短く済ませるに限る

    垣根 「一瞬で終わらせてやるよ!」

    翼で攻撃を防ぎ、そのまま前へ飛び出した

    まずは発火能力者からだ

    少年 「…っ!!」

    凄まじい速さで迫られ、彼は完全に反応が遅れた



    ――勝算は著しく低いだろう

    そんなことは分かってる

    だが、やらねばならないのだ


    何としても、垣根帝督と戦わねばならない


    仲間の、俺達の無念を晴らす為に

    ……なのに、もう終わりか?



    少年 (畜生……!!)

    1枚の翼が振り下ろされ、それによって生じた烈風が周囲の炎を吹き消す

    少年は死を覚悟し、グッと目を瞑った

    403 = 398 :




    ……



    少年 「……?」

    攻撃が来ない?

    恐る恐る目を開けてみると、眼前には憎き仇の顔

    それも、呆気にとられたような間抜けな顔だ

    「――――!!」

    少女の声で我に帰ると、瞬時に後方へ跳んで垣根と距離をとる

    よくよく見れば、垣根の背中から翼は消えていた

    少年 「……俺達をおちょくってるのか!」

    なめられてると思った少年は奥歯を軋ませ、垣根に迫る

    同じく少女も垣根を挟み撃ちにせんと走り出した

    垣根 (またかよ…!こないだまで何ともなかったってのに!)

    また演算が切り替わった

    再度演算を組み直そうとするがどうもうまくいかない

    その間にも、二人は垣根との距離を縮めていく

    垣根 (クソッ!)

    切羽詰まった彼は少年が通ってきた通路へ逃げ込んだ

    404 = 398 :

    少年 「逃がすか!」

    後を追おうとする少年を、少女は引き止めた

    何だよ、と血気に逸る彼を落ち着かせながら彼女は疑問を口にする

    「彼、何だか様子がおかしくない?」

    言われてみれば、垣根の挙動に幾つか不審点がある

    1つ目、最初に放った炎を彼は“避けた”事

    彼の能力を持ってすれば、あれくらい防ぐのも容易いだろうに

    現に2回目の攻撃は能力で防がれている

    2つ目、彼が目前まで迫っておきながら寸でのところで攻撃しなかった事

    最初はなめられていると思ったが、彼の表情を思い出せばそうとも言いにくい

    攻撃しなかったのではなく、“出来なかった”……?

    少年 「……言われてみれば確かに」

    「もしかしたら、うまく能力を発揮出来ないでいるんじゃないかしら」

    少年 「どうして?」

    「それは分からない、でも……」






    これはまたとないチャンス――



    405 = 398 :







    ……状況は良くない。逆に悪化しつつあった

    あれから何度も試みたが、その度に演算が切り替わり、能力の使用を阻止されてしまう

    仮に演算に成功したとしても、持続出来るのはおよそ0.5秒。さっきよりさらに短くなった

    垣根 「ハハッ、こりゃ参ったぜ」

    余裕のない笑みだ。内心焦っているのだろう

    (一方通行戦を除き)彼は初めて“窮地”というものに立たされたのだ

    これまでどんな能力者がどんな人数来ようと、翼を1振りするだけで退けてきた

    未元物質という比類なき力が彼の武器であり鎧である

    それを持たない垣根帝督は只の人……

    ましてや相手は大能力者2人、半ば無能力者となった彼じゃ分が悪い

    なら答えは1つ……



    垣根 「逃げるしかねえよな…」



    406 = 398 :

    あの学園都市が誇る超能力者第二位が逃げる事を決意した

    理由は簡単、まだ死ねないから

    彼を知る者達からすれば信じられないことだろう

    今の垣根にはやるべきことが沢山ある

    プライドもへったくれもない、何としてでも死ぬ訳にはいかないのだ

    そうと決まれば早くこの薄暗い路地裏から出よう、と足を動かそうとした瞬間

    垣根 「…っ!!」

    強い殺気を感じ、垣根はすぐさま後ろへと下がる

    その刹那、垣根の目の前を横一線に巨大な火柱が駆け抜けた

    視界を埋め尽くす紅はコンクリートの壁を突き破り、数秒前まで居た空間を焼き払う

    もう見つかったのかと思うのも束の間、壁に空いた穴からあの少年が飛び出してきた

    少年 「チッ、避けられたか」

    表情は相変わらず怒りに満ちていたが、いくらか冷静さを取り戻しているようだ

    407 = 398 :

    少年 「アンタ、実は今能力がうまく使えないんじゃないのか?」

    垣根 (おいおい、もう気付かれたのかよ)

    図星をつかれ僅かに動揺するも、それを決して表に出さずに余裕の表情を浮かべる

    垣根 「そう見えるか?」

    少年 「これからそれを確認する」

    そう言うと少年は演算に集中する

    そして通路を丸ごと呑み込むように、高さ3Mもの火の津波が轟音を響かせ垣根を襲う

    垣根 (マジかよ!)

    この一本道に逃げ場はない。これをやり過ごすには能力を使う他ないが……

    垣根 (頼むぜ俺…!!)




    408 = 398 :




    火の津波が押し寄せた後の通路には焦げ臭い匂いが漂う

    少年は焼け跡に死体が転がってないか歩きながら探していた

    殺したいと思う反面、これくらいで死なれては困るとも思うから訳が分からない

    一体どっちなんだと自分に問いかけるが、答えが出る前にあるものを見つける

    少年 「これは……」

    壁にポッカリと空いた直径2M程の穴

    中の物置小屋は突風が来たかのように荒れ果て、その奥にも同様の穴が見られる

    少年 「ここから逃げたか」

    どうやら難を逃れたらしい

    しかし、同時に確信する

    少年 「アイツはまともに戦える状態じゃない……!」



    409 :

    どっかのUGさんはハッタリで化け物相手に時間を稼いだからここでかんばらないと主役の名がすたるぞ

    410 = 398 :

    垣根 「…こりゃマジでヤバイな」

    危なかった……

    間一髪能力が発動し、消えるまでの間に壁を突き破って逃れることが出来た

    何故その一瞬の間に攻撃しなかったかと言うと、その行動にはリスクが大きかったからだ

    2人の距離は然程なかったものの、0.5秒も保っていられる保証はどこにもない

    突っ込む間に能力が途切れたら、その瞬間身体は消し炭にされてしまう

    それよりも隣の壁を壊して避難する方が幾分生存率は高い

    垣根 「もうすぐ夜か」

    冬場は日が沈むのが早いこともあって、辺りは更に暗くなる

    早いことここから抜け出さねばと自らを掻き立てる

    411 = 398 :

    表通りに出れば、向こうも迂闊に手は出せない筈……

    彼の最優先事項は生き延びる事

    その為には何とかあの2人から逃げ切らなければならない

    垣根 「どうやら、認めざるを得ないようだな……」


    垣根帝督は今、2人の人間に追い詰められている――


    「――気分はどう?」

    正面にあの少女が立っていた

    「あの時と逆の立場に立った気分は」

    カツ…カツ…と靴音を響かせながらゆっくりと歩み寄る

    垣根 「あぁ、今まで味わった事のないスリルを堪能してるよ」

    「…その余裕、いつまで続くかしらね」

    412 = 398 :

    あくまで余裕さを見せる垣根に少女は少し苛立つ

    「知ってるのよ、あなたは今まともに戦えないことは」

    垣根 「確かに、女が相手だとまともに戦える訳ねえよな?」

    直後、5つもの雷の槍が一斉に投げ出される

    垣根はそれをどうにかかわすと、少女とは反対方向へ走り出した

    「逃がさないわ!」

    少女は垣根を追いかけながら雷撃を飛ばし続ける

    それをかわし、たまに能力で防ぎながら迷路のような路地裏をひたすら駆け抜ける

    「あなたが学園都市に反旗を翻したのには驚いたわ。同じ事を考えてた私達を叩き潰したってのにね!」

    「そして失敗し、あなたが死んだと聞いた時は絶望した…」

    「だって、私達の生きる意味を失ったんだもの」

    413 = 398 :

    2人は垣根への復讐のみを考えて生きてきた

    その意味では、垣根帝督の存在は2人にとっての生きる希望なのかもしれない

    「――そしてこの間、街を歩くアンタを見掛けた」

    突如、目の前の道が炎で遮られる

    そこには少年の姿があった

    垣根 「チッ!」


    すぐさまもう1つの道へ切り替える。今度は追手に少年が加わった

    少女の雷と少年の炎が床を焦がし、壁を抉り、暗い路地裏をチカチカと照らす

    少年 「まるで『表』の人間みたいに笑ってるアンタを見た時は気が狂いそうになった」

    少年 「俺達の光を奪ったアンタが、同じ事を考えてたアンタが、ヘラヘラしてるのが許せなかった!」

    少年 「あの時確信したよ、俺はアンタを殺さなきゃ前に進めないってな!」



    だから絶対逃がさない、どこまでも追いかけてやる



    これが、俺達が見つけた新たな光だ――



    414 = 398 :

    垣根 「……」

    垣根は火と電撃の嵐を潜り抜けながら考える

    垣根 (その気はなかったにしても、コイツらをこんなにしたのは俺だ)

    垣根 (俺はコイツらに責任を取らなきゃならないんじゃねえのか?)

    垣根 (俺が逃げるのは違うんじゃねえのか…?)

    ここに来て垣根は自らの行動に疑問を抱きだした

    今の彼が生き延びるには2人から逃げる必要がある


    だが、本当にそれでいいのか?


    次に会った時も逃げるのか?


    だがここで足を止めたら自分が死ぬかもしれない


    折角のチャンスを無駄にしてしまう


    俺はどうすればいい?どうしたい?

    俺は……






    415 = 398 :

    以上です
    消えた瞬間は心が折れかけました

    つぎは金曜日か土曜日で

    416 :


    完結までがんばってくれ

    417 = 409 :


    なんかレイヴのレイナの過去を知ったムジカみたいになってるな・・・ていとくん・・・・

    419 :

    応援のレスありがとうございます!

    >>417
    私もレイヴ好きです、でも意識は全くしてません

    では投下いきます

    420 = 419 :







    垣根を追っていた2人は異変を感じ、足を止めた

    少年 「…どういうつもりだ?」

    少女も怪訝な顔で垣根を凝視する



    彼が走るのを止めたのだ



    「諦めたの?」

    垣根 「……そうだな」

    振り返った垣根からは、今までの余裕さはなかった

    垣根 「逃げる訳にはいかねえよな」

    「……そう」

    それだけ聞くと、少女は演算を始めた

    不倶戴天の敵、垣根帝督を確実に殺す為に威力や範囲を綿密に計算する

    態度を一変した垣根に拍子抜けした少年も続いて演算に集中

    己の持てる力を、ありったけの憎しみと共にぶつけてやる

    421 = 419 :

    上空に灯る火が雷を纏いながらみるみる肥大化していく

    歪に揺らめくそれはやがて形を整え、高密度の球体となった

    その圧倒的な様は『太陽』と呼ぶに相応しい

    高揚する気持ちを押し殺しながら、少年は垣根に懺悔を促す

    少年 「最期に言い残すことはあるか?」

    返事はない……

    ここまで来て謝罪の1つもないとは、とんだ神経の持ち主だ

    そう思うと、更に殺意が込み上げてくる

    少年 「…ならいい」

    少年は垣根の懺悔を諦め、裁きを下す事にする



    これで終わるんだ――



    今度こそ光を掴む事が出来る――



    422 = 419 :

    「「死ね!」」

    小さな太陽が、裁きの鉄槌が、2人の憎悪が、垣根帝督に振り下ろされた



    世界がスローモーションのようにゆっくりと流れる――

    二度目となるこの妙な感覚、これが何を意味するかはもう分かっていた

    垣根 (まるであの時の俺を見てるみたいだ…)

    あの2人は己の歴史が作り上げた産物であり、己の過去そのもの……

    それが今、自分のつけた足跡を辿って目の前に立っている

    逃げ切れる訳がない、逃げてはいけない

    彼が出来るのは、己の過去を受け入れるのみ



    ならば――



    垣根 (死んで逃げる訳にはいかねえよな…!)



    そうだろ、垣根帝督――!!






    423 = 419 :

    ―――――――――


    ――表通りは騒ぎになっていた

    突然、路地裏の方で大きな爆発音が鳴り響いたのだ

    通報を受けた警備員<アンチスキル>が周囲を封鎖し、野次馬達を寄せ付けないようにする

    直に原因を調査しに現場へ乗り込むようだ

    「何だあれ?」

    ざわつく野次馬の多くがあるものに目を奪われていた

    「あれは……柱?」






    424 = 419 :

    路地裏の狭苦しい景色はすっかり変わり果てていた

    あの攻撃で周囲3Mは吹き飛び、その中心には天高く伸びる火柱

    2人はしばらくその火をずっと見ていた

    今2人にあるのは達成感と解放感、それと少しの後悔

    少年 「これでよかったんだよな…」

    あれだけ憎い相手だった筈なのに、いざ殺したとなると何とも言えない気分になる

    一体どうして?

    きっと、隣にいる少女も同じ事を考えていると思う

    「……ええ」

    火柱に目を向けたまま、少女は答える

    「みんな、この火が見えてる?私達、遂にやったわ」

    そう虚空へ言い放つ少女の顔は喜びとも悲しみとも取れる色だった

    425 = 419 :

    生きる目的を達成したと同時に、生きる目的を失った……

    復讐こそ全てだった2人にとって、この事は良くも悪くも影響を及ぼしたことだろう



    これからどうする?



    今更『表』の世界に出ることが出来るのか?



    少年 「……行こう」

    もうじき騒ぎを聞きつけた人がやってくる

    見つかると厄介だ、その前に姿を消そう

    2人が火柱に背を向け、歩き始めようとした時……


    ゴォッ!!


    突如、強烈な風が2人の背中に叩きつけられる

    慌てて振り返ると、そこにはありえない光景があった



    「天使…?」



    426 = 419 :

    ありのまま見たものを口に漏らす

    風によるものか火柱は消え、そこには天使があった

    大半の人が思い浮かべるような白い羽の生えた人、正にそれだ

    少年 「な…何で……」

    少年は恐怖する、目の前の天使に

    いや、厳密に言えば天使ではない、天使のような人間にだ






    垣根 「よう、帰ってきたぜ」

    その実態は学園都市超能力者第二位『未元物質』、垣根帝督である――

    427 = 419 :

    「元に戻ったって言うの…!?」

    ――殺せなかった

    勝利を確信し、全身全霊の一撃を叩き込んだのに、まさか最後の最後で復活されてしまうとは

    少年 「く、クソ……っ!?」

    少年が再び演算を開始しようとした途端、頭に激痛が走る

    脳を何本もの針で串刺しにされたような痛みに彼は方膝を突く

    脳の負担はピークに達していた

    少女も、痛みと懸命に戦いながら垣根を睨み付ける

    ……最悪だ

    こうなってしまっては抵抗どころか逃げる事も出来ない

    垣根 「…もうやめろ」

    そう言うと右の拳を2人に突き出す

    垣根 「お前らの憎しみ、確かに受け取った」

    その皮膚は炭のように黒く焼け焦げ、少し骨も見える

    428 = 419 :

    あの時、垣根は1つの賭けに出たのだ

    それは、痛みによって謎の演算を強引に止めるというもの

    しかしそれは妨害に成功し、且つそこから演算を組み直せるという前提での話

    そんな事をするのは彼が初めてだろう

    一歩間違えれば死に直結する危険な賭け――

    そして垣根は迫り来る火球に自ら右手を差し出し、これに勝利する

    彼の右手は痛みをとうに過ぎており、何も感じなくなっていた

    が、今の垣根にとって右手の事などどうでもいい事だ

    429 = 419 :

    憎悪のままに今を生きてきた2人、垣根の過去……

    取り返せないなら、受け入れるしかない

    垣根 「それでもまだ憎しみが晴れないなら、もっと俺にぶつけて来い」


    一度と言わず、二度と言わず――


    垣根 「全部俺が受け止めてやるよ、1つ残らずな…」


    忘れなくていい、だが諦めないでくれ――


    垣根 「だから俺はまだ死ねない、お前らが生きている限り」



    何度でも殺しに来い――


    430 = 419 :







    ポタ…ポタ…

    コンクリートに雫が落ちた

    その元は空からではない、蹲る少年と少女の瞳からだ

    その内の少年が何かを堪えながら必死に言葉を絞り出す

    少年 「……ふざけるな」

    憎しみを受け取った?違う

    少年 「アンタは……」

    もっと俺にぶつけて来い?まだ足りないのか

    少年 「俺達の…生きる糧すら…奪うってのか……!」

    全部受け止めてやる?止めろ…!!

    少年 「この腐れ外道があぁぁぁぁぁ!!!!」

    垣根 「っ!!おい、何を――――」






    431 = 419 :

    ―――――――――

    ~とある病院~


    右手の火傷も、冥土帰しにかかれば2時間で治してみせる

    あの医者に常識は通用しねえなーなどと考えていると、彼はホールに備え付けられた薄型テレビに目が入る

    『――11月29日、第7学区路地裏で爆発事故が発生』

    『爆発が起きたのは2回、通行人1人が右手に大火傷を負う』

    『現場は瓦礫の山で埋め尽くされ、復旧には4日程かかる模様』

    『尚、他に人は見当たらず、これだけの事故で怪我人がたった1人だったのは不幸中の幸い――』

    432 = 419 :

    垣根 「腐れ外道…か」

    あの後、少年はポケットから取り出した手榴弾で少女もろとも自ら命を絶った

    垣根の思いを、2人は歪んだ形に受け取ってしまったのだ……

    最後に見たのは泣き崩れる少女と発狂する少年

    2人に笑顔が戻る事はなかった

    垣根 「間違っちゃいねえよ…」



    確かに外道なのかもしれない――



    それでも――



    垣根 (それでも俺は、歩みを止める訳にはいかねえんだ……)






    433 = 419 :

    やっと終わった

    もっとあっさり終わる回のはずがグダグダに…

    次は火曜日の予定です

    434 :

    乙!

    悲しい結末になっちゃったな…

    437 :


    ていとくんはそれでも闇から抜け出そうとするのか・・・・

    438 :

    こんばんは
    今日は新たにていとくんに振り回される人が現れます

    では投下

    439 = 438 :

    ―――――――――
    ―――――
    ―――

    12月4日(土)


    上条 「あのー…」

    麦野 「何?」

    上条 「もう帰りませんか?」

    麦野 「ここまで来て何言ってんのよ」

    一方 「今度はオマエに呼び出されるとは、あのバカが移ったかァ?」

    麦野 「どうせ暇人なんだしいいでしょ?」

    一方 「しかし、こりゃあ中々面白そうじゃねェか」 ニヤニヤ

    麦野 「あ、あっちへ行くつもりよ!」 コソコソ

    一方 「行くぞ三下ァ」 コソコソ

    上条 「はい…」 コソコソ






    440 = 438 :

    ―――――――――

    2時間前


    ――12月、学園都市にもようやく冬が訪れる

    街は一足早いクリスマスムードで、サンタクロースの人形やらツリーやら、赤と緑で一杯だ

    その景観に溶け込むように、赤いコートを羽織る金髪の少女が1人往来を歩いていた

    13~15歳に見える外見とは裏腹に、そこらの学生とは比べ物にならない何かを感じさせる

    それもその筈、彼女も学園都市の『闇』を知る人物の1人だからだ

    『心理定規』<メジャーハート>――、それは人と人との“心の距離”を知り、操作するというもの

    彼女の能力名であり、仲間からもそう呼ばれていた

    441 = 438 :

    しかし、所属していた組織は先の抗争で壊滅し、仲間は全員再起不能


    唯一逃げ延びた彼女は学園都市の『闇』からも姿を眩ました

    その後何処で何をしていたかは謎だが、今もこうして生きている

    路地裏に咲く1輪の花のように、ひっそりと――



    心理 (最近まで戦争があったとは思えない光景ね) テクテク

    心理 (それに、科学の街でキリストの誕生日を祝うなんて矛盾してるわ)

    心理 (大方、そこまで深く考えず皆でワイワイやりたいだけなんでしょうけど)

    442 = 438 :



    ホントダッテ!
    エー、ウソダー


    心理 (……)

    心理 (時々、この能力が嫌になるわ…)

    心理 (どれだけ愛想良く振る舞っていても、本質が見えてしまうもの)

    心理 (人との関わりなんて持たないのが一番)

    心理 (その方が余計な災いを招かなくて済むし)

    「そこのお嬢さん」

    心理 (……それが出来ないのが現実ね) ハァ

    心理 「私に何か用……」 クルッ

    垣根 「よう、元気にしてたか?」

    声をかけてきた男は彼女が所属していた組織『スクール』の同僚にしてリーダー、垣根帝督だった

    垣根 「何だその幽霊でも見たような顔は?感動の再会だぞ?」 パシャッ

    心理 「あなた、どうして…て、カメラ?」

    垣根 「カッコいいだろ?」

    443 = 438 :

    心理 「そっちじゃなくて、あなた学園都市に『回収』されてたんじゃ…」

    垣根 「あー、なんかもう用済みらしいから解放してくれた」 シレッ

    心理 (なんてアバウトな理由…)

    垣根 「色々話したい事もあるだろうし、あの店でも行こうぜ」 スタスタ

    心理 「あ、ちょっと!」



    ~コーヒーショップ~


    心理 「――綺麗な思い出を、ね…」 ズズー

    心理 (私の知ってる彼じゃないみたい)

    心理 (いえ、そもそも私彼の事何にも知らないんじゃ…?)

    心理 (仕事意外で関わった事ないし、関わろうとも思わなかったし……)

    垣根 「――って、聞いてんの?」

    心理 「はっ!え、ええ……」

    444 = 438 :

    垣根 「そういや、プライベートでお前と会うの初めてだよな」 ズズー

    心理 「暗部組織なんて何処もそんなものよ」

    心理 「たまたま一緒になって、互いを利用し合ってるだけ」

    心理 「過度な馴れ合いは返って弱みになるわ」 ズズー

    心理 (私の場合、それだけじゃないけど…)

    垣根 「じゃあ今日から馴れ合おう」

    心理 「え?」

    垣根 「今や暗部なんてあってないようなもんだし、そうだそうしよう!」

    垣根 「馴れ合うって言い方が嫌だな…よし、仲良くなろう!」

    心理 「ちょっと…」

    垣根 「俺お前の事何にも知らないし、知りたい」






    垣根 「てな訳で、今から遊園地行こう」

    心理 「」

    445 = 438 :



    アリガトウゴザイマシター


    垣根 「寒いな~外は」 ブルブル

    心理 「ちょっと待って」

    垣根 「ん?」

    心理 「何で遊園地に行く事が決まってるのよ」

    垣根 「違うとこがいいか?」

    心理 「じゃなくて、私は行くとは言ってn「実は俺も行ってみたかったんだよ」

    心理 「私の話聞いt「確か駅はあっちだったか?」


    ホラ、ハヤクイクゾー


    心理 (……本当に、あの垣根帝督なの?)

    心理 (行かないとうるさそうだし、仕方ないから付き合ってあげるわ)




    446 = 438 :

    ―――――――――


    麦野 「う~寒い」 ブルッ

    麦野 「全く、冬は肌が乾燥するから嫌だわ」 テクテク

    麦野 「それにしても、まだ12月になったばっかってのにクリスマスムード全開かよ」

    麦野 「……今年はちゃんと過ごせるかな」


    サムイナーソトハ


    麦野 「…あ、垣根」

    麦野 (今日は寒いし、アイツらも呼んで何かスポーツでもやるか)

    麦野 「おい、垣根…」


    チョットマッテ
    ン?


    麦野 「!?」 サッ


    麦野 (って、何で隠れるんだよ…)

    447 = 438 :

    麦野 (あの女は……?) チラッ

    ナンデユウエンチニ…
    チガウトコガイイカ?


    麦野 (ゆ、遊園地!?あの野郎、デートすんのか……!?)


    ホラ、ハヤクイクゾー


    麦野 「アイツ、いつの間にあんなのと……」

    麦野 「……」

    麦野 「……」 カチカチ

    麦野 「あ、もしもし上条?今から遊園地行くんだけど――」






    448 = 438 :

    ―――――――――

    2時間後~遊園地~


    ワイワイ


    上条 「――そんな訳で来てみたら垣根の尾行に付き合わされる羽目になったんですよ」

    一方 「誰に説明してンだ?」

    麦野 「遊園地なんて1人で入れる訳ないでしょ」

    上条 「あの赤いコートの女の子は誰なんだ?」

    麦野 「それを確かめる為に、こうして後をつけてるんじゃない」

    上条 「そんなの直接聞けばいいじゃないか」

    一方 「バァカ、それじゃつまンねェだろうが」

    449 = 438 :

    一方 「もしかしたらアイツの弱みを握るチャンスかもしれねェ」

    一方 「あのバカが狼狽える様を見たいとは思わねェか?」

    上条 「別に俺は…」

    麦野 「つべこべ言わない!入場料私が出してるんだから拒否権はないわよ」

    上条 「う…それを言われると何も言い返せない……」

    麦野 「絶対見逃さないからな~垣根ぇ~」 ケケケ

    上条 「何か怖いんですけど…」

    一方 「あれが本当のアイツだ」

    450 = 438 :

    以上です

    1レスの行数短い気が…

    次は金曜日に


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