元スレ垣根 「ほら、笑って笑って!」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
701 = 693 :
垣根 「ねぇな。実験とか仕事ばっかでそんな余裕なかったし、そもそもどんな親だったかも覚えてねぇ」
垣根 「愛されてたのかもしれないし、嫌われてたのかもしれない」
垣根 「唯一はっきり覚えてる事といえば、『帝督』って名前をくれたのは間違いなく親だという事だ」
黄泉川 「……」
垣根 「一方通行はどうなんだろうな。アイツも俺と似たようなもんだと思うけど……」
黄泉川 「一方通行も小さい頃から実験続きで、親というものを全く知らないでいたじゃん」
黄泉川 「その上、あの子は大きな罪まで犯した……」
垣根 「知ってるよ、『絶対能力者進化実験』……だろ?1万人ものクローンを殺して、途中で中止になったっていう……」
垣根 「スゲーよ、俺と同じ立派な悪党だ。救いようもねぇくらい」
垣根 「……でも、実際は違ったんだよな」
702 = 693 :
垣根 「アイツには守ってくれる存在が出来た。守りたい存在が出来た」
垣根 「自分がどんな奴か知ってる癖に、優しさだとか愛情だとかを振り撒いてくる」
垣根 「周りを見れば誰かがいる。アイツは独りじゃなかったんだ」
垣根 「……絶対的な壁、確かにあったよ」
黄泉川 「……」
垣根 「それにしたって、力意外でこうも差が出ると正直へこむよな」 ハハッ
黄泉川 「……垣根」
垣根 「ま、今となっちゃどうでもいい話だし、俺ももう独りじゃない」
垣根 「さて、焦げ付く前に食べないとな!」 ザクザク
垣根 「おやじさん、うまかったよ」
おやじ 「おおきに!またいつでも来てや!」
垣根 「息子さんと仲良くな!」 ガララ
703 = 693 :
おやじ 「なんや知られてもうたか。まぁぼちぼちな」
黄泉川 「……」
おやじ 「どないしたん?」
黄泉川 「あの子も、愛情を知らないまま育ったじゃん」
おやじ 「……そうか」
黄泉川 「本人は何も言わないけど、内心寂しいんだと思う」
おやじ 「学園都市にはそういう子が沢山おるって聞いたけど、あの兄ちゃんもそうなんか」
黄泉川 (一方通行と垣根に差なんて何もないじゃん。只きっかけが得られなかったってだけで……)
黄泉川 「……私に何か出来ないかな」
704 = 693 :
今日はここまで
ギリギリ間に合わなかった悔しい
次回は土曜日の予定で
705 :
おやじさん・・・あんたの子供は変態でがんばってるよ・・・・・
706 :
>>706
なるほどそうゆうことか
707 :
ああ…おやじさん…なんてことだ…
708 :
>>1乙!
垣根・・・
709 :
お好み焼きとパンの接点があまり見当たらない……
>>1、俺は四六時中ここでお前を待ってるぜ
乙
710 :
>>709
小麦粉じゃね?
>>1乙!
垣根が最後には幸せになりますように
711 :
712 :
>>711
お好み焼きと焼きそばがナチュラルにつながるのもそれはそれでおかしい
何はともあれ>>1乙
713 :
714 :
>>712
大阪のお好み焼き屋にはモダン焼きというのが有ってだな...
715 :
お好み焼き屋には焼きそばもあるのがデフォではなかったのか……
716 :
流れを切って悪いけど、>>1に聞きたい。
垣根の学校生活はもうしないの?
修学旅行は無理だとしても、ていとくんが初めて学食を食べたり、デルタフォースの輪に入ったり、ラブレターを貰う(麦野のツンデレ付き)展開などができると思うのに・・・・
717 :
うぜぇ
718 :
自分で書けばいいだろ
719 :
>>718
あげられたら、きたかと思うからやめてほしい
720 :
あげんなっつってんだろ
あげるな
あげんといて
721 :
これは更新が待ち遠しいスレだな
722 :
今全部読んできた。
もう本当に目から未元物質が…。
とにかく乙
723 :
>>1です
まさかの1週間経過。誠に申し訳ない
ただのおやじのつもりだったけど、予想外の反応にビックリ
こんな時間ですが投下します
724 = 723 :
―――――――――
垣根 「……しかし、学園都市ってのはこうも自然がないのな。撮ってて物足りないっていうか……」 パシャッ
黄泉川 「確かに、ビルとかばっかで味気はないじゃん」
垣根 「旅行とか行ってみたいなー。こっちに来てから一度も外へ出た事ないし」
黄泉川 「旅行…?」
垣根 「色んな奴を連れて観光とか温泉とか、それでそいつを全部写真に撮ってよ……」
垣根 「外の世界っていうの?見てみたいよなー」
黄泉川 (垣根にとって、学園都市は1つの隔離された空間なんだ)
黄泉川 (その上超能力者ともなると、簡単に出す訳にはいかないもんね……)
ネェネェオジョウチャンタチ…
ヤメテクダサイ…!
黄泉川 「あれは……」
垣根 「黄泉川?」
725 = 723 :
暴漢A 「俺達道に迷っちゃってさー、ちょっと教えてほしいんだけど」 ヒヒッ
暴漢B 「悪いんだけど、一緒に来てくれる?」 ククッ
「ど、どうしよう……」 ヒソヒソ
「私が気を引きますので、その隙に逃げて下さい」 ヒソヒソ
「でもそれじゃあ…!」 ヒソヒソ
「大丈夫です、すぐに助けを呼んでくれれば……」 ヒソヒソ
暴漢A 「なーに内緒話しちゃってんのかなー?」
暴漢B 「俺達にも聞かせてよ」
「では、私が合図をしたらすぐ走って下さい…!」 ヒソヒソ
「わ、分かった…」 ヒソヒソ
黄泉川 「そこで何してるじゃん?」
暴漢AB 「「!?」」 ビクッ
726 = 723 :
黄泉川 「お前ら、またそんなことやってたのか!」
暴漢B 「げっ、黄泉川!」
暴漢A 「に、逃げるぞ!」
タッタッタッタッ……
黄泉川 「全く、こないだ私がとっちめたばっかだってのに……」 フゥ
「あ、ありがとうございます……」
黄泉川 「お前達は確か……初春と佐天だったっけ?」
佐天 「はい、さっきはどうも…」 ペコリ
初春 「今日はパトロール……って訳でもなさそうですが?」
黄泉川 「ああ、今日はちょっと連れとお出掛けしてるだけじゃん」
佐天 「もしかして、恋人ですか!?」
黄泉川 (今日はやけに同じ事聞かれるじゃん……)
黄泉川 「違うよ、ちょっとした知り合いさ」 ハハッ
初春 「その人は今どこに?」
黄泉川 「しまった、置いてきちゃったじゃん…」
佐天 「あれ、誰かがこっちに来るよ?」
727 = 723 :
垣根 「どうしたんだよ、急に走りだして?」
初春 「…っ!!」 ゾクッ
黄泉川 「ゴメンゴメン、ちょっと怪しい奴を見つけたからつい…」
垣根 「ま、それなら仕方ねえか」
佐天 「うわ、見て初春!この人なんかカッコよくない!?」 ヒソヒソ
初春 「……!」 ブルブル
佐天 「初春……?」
垣根 「っ!お前……」
初春 「い、行きましょう佐天さん!」 ガシッ
佐天 「ちょっ、初春!?」
タッタッタッタッ……
黄泉川 「?どうしたじゃん突然……」
垣根 「……」
728 = 723 :
―――――――――
黄泉川 「垣根、どうかしたじゃん?」
垣根 「え、別に何も?」
黄泉川 「嘘、絶対何か隠してるじゃん。私を騙そうったってそうはいかないよ」
垣根 「だから何も…」
黄泉川 「一方通行もそう、何でも自分で解決しようとして誰にも頼ろうとしない……」
黄泉川 「ちょっとは誰かに甘えたっていいじゃんよ」
垣根 「そう言うけど、一方通行と違って俺には甘えられる人間がどこにも……」
黄泉川 「目の前にいるじゃん」
垣根 「えっ」
黄泉川 「これからは私にうんと甘えればいい!」 ドンッ
垣根 「そんな、子供じゃねえんだから……」
黄泉川 「私から見れば十分子供、子供は大人に守られるのが普通じゃん」
729 = 723 :
黄泉川 「そうだ、今日は私の家で晩御飯食べるじゃん!」
垣根 「えっ、えっ?」
黄泉川 「そろそろ一方通行達も帰る頃だろうし、帰って支度しなきゃ」
黄泉川 「ほら、行くよ垣根」
垣根 「あ、ああ……(黄泉川の方こそどうしたんだ?)」
―――――――――
~黄泉川家~
芳川 「おかえり愛穂……って、どうしたのその格好?」
黄泉川 「ジャージ以外の服もいいかなーと思って買ってみたじゃん」
芳川 「そう、よく似合ってるわ」
黄泉川 「今日はこの子も一緒にご飯食べることになったから」
垣根 「どうも」
芳川 「遠慮せずゆっくりしていきなさい」
黄泉川 「さて、早速支度するじゃん」 パタパタ
730 = 723 :
垣根 「――んで、これが今日の写真」 スッ
芳川 「やだ、愛穂ったら可愛いじゃない」
垣根 (結局上がる事になっちゃったけど…) チラッ
黄泉川 「今日はいつもよりがんばらないとね~♪」 トントン
垣根 (テレビでよく見るけど、こういうのを母の背中っていうのかな) ジー
垣根 (小さいようで大きいような、どこか頼りがいのある……)
芳川 「どうしたの?さっきから愛穂ばっか見て……」
垣根 「ん?ああ、なんか見とれちゃって……」
芳川 「惚れちゃった?」
垣根 「そ、そうじゃなくて、なんつーか……強いんだなーって」
芳川 「?」
垣根 「俺達の戦いに割り込んで来たり、怪我させた俺を簡単に許しちゃったり、俺を子供扱いしたり……」
垣根 「なんか、黄泉川には勝てる気がしねぇ」
731 = 723 :
芳川 「あの学園都市最強をも丸め込むのだから当然よ」 フッ
芳川 「……でも、そんな愛穂も初めは苦しんだわ」
垣根 「え?」
芳川 「私が愛穂に一方通行達の世話を持ち掛けた日、彼女一晩中悩んだの」
芳川 「大きな罪を犯したあの子を受け入れられるのか、自分にあの子を守れるのか、ずっとね……」
芳川 「そして、彼女は引き取る事を決意したわ。何があっても自分はあの子の味方でいようって、そう誓ったの」
垣根 「……」
黄泉川 「垣根ー、ちょっといいかなー?」
垣根 「悪い。なんだー?」 スタスタ
732 = 723 :
垣根 「……これでいいのか?」
黄泉川 「うん、ありがと」
黄泉川に呼ばれた垣根は、炊飯器の中へ切った具材と水を入れていく。どうやらシチューを作るらしい
垣根 (……にしても、炊飯器で作れるのか?)
今までにない画期的な調理法に疑心暗鬼ながらも、蓋を閉じてスイッチを押した
黄泉川 「……垣根は今まで、1人で何でも乗り切ってきたんだね」
お好み焼き屋での話の続きだろうか?
垣根 「お陰様で、力だけはあったからな」
形だけの笑みで答える
733 = 723 :
いつか、自分の出生について調べたことがあった
彼にとって両親の存在は戸籍表に書かれた名前とDNAの検査結果のみ
顔も性格も覚えてないそれを親だと言われたところで、彼は納得出来る筈もない
だが不思議なことに、この2人から『帝督』という名を授かったのだけは覚えていた。
何故それだけを……いや、何故それ以外忘れたのか
実質彼は学園都市で生まれ育ったようなもの。故に、親の愛情など知る由もない……
黄泉川 「じゃあ、人の温もりも知らないじゃん……」
そう言って、黄泉川は垣根の方へと歩み寄る
垣根 「黄泉川?」
直後、垣根の思考は完全に停止した
気付けば、黄泉川に抱きしめられていたのだ
734 = 723 :
垣根 「え!?ちょっ……!」
――事象の解析、完了。抱擁である事が判明。原因不明。用途不明。これによる身体への影響……
学園都市第二位の頭脳が混乱していた
恐らく、突然能力が使えなくなった時以上に冷静さを失っている筈
何だ、どういう事だ?
黄泉川 「……温かいでしょ?」
耳元でする柔らかい声でハッと我に帰る
黄泉川 「人って、こうやって抱きしめられると安心するの。母親のお腹にいた時を思い出すから……」
垣根 「あ……」
さっきまでの混乱が嘘のように、垣根の脳内はみるみる落ち着きを取り戻していった
同時に、身体から温もりが伝わってくる。何とも心地良い温度だ
黄泉川 「今は違うじゃん、垣根にも守ってくれる存在がちゃんといる」
黄泉川の腕に一層力が入る
黄泉川 「……言わなくても分かるじゃん?」
735 = 723 :
ああ、なんて優しい人なんだ
これが、忘れかけていた“愛情”……
母のような、偽り1つない無償の愛
そんな人を俺は――
垣根 「黄泉川、俺……」
黄泉川 「何も言わなくていいじゃん。今は黙って私に甘えてればいい……」
垣根の考えなど黄泉川にはお見通しだった
垣根 (……やっぱり、黄泉川には勝てる気がしねぇ)
彼は今愛情というものを全身で感じている。頭の頂辺から足の爪先、心の隅々まで余すことなく……
優しくて、胸が締め付けられて、しかし抗い難い
彼女にもっと早く出会っていれば、今とはまた違う世界が見えただろう。
――もう暫く、この温もりに包まれたい
それは、垣根が生まれて初めて誰かに甘えた瞬間だった
736 = 723 :
打止 「ただいまー!ってミサカはミサカは上機嫌でドアを開けてみたり!」 ガチャッ
番外 「はぁー、荷物持つの疲れた」
一方 「先に手ェ洗えよー」
芳川 「おかえり、楽しかった?」
垣根 「!!」 ビクッ
黄泉川 「あ、帰ってきたじゃん」
垣根 「よ、黄泉川!早く……!」 バタバタ
737 = 723 :
―――――――――
一方 「――今日は黄泉川と遊んでただァ?全く何考えてンだか……」
垣根 「お前こそ、水族館とはまた珍しいな」
一方 「俺はガキ共(+α)の面倒見ンので楽しむ暇なンざなかったっての」 フー
打止 「今日は紳士だったもんね、ってミサカはミサカは意外にも紳士なあなたもアリって意見が多かったと伝えてみたり」
番外 「なんか、今日の黄泉川おしゃれだね。ジャージ以外の格好なんて初めて見たかも」
垣根 「ああ、あれ俺が選んだんだ。他にもこんなものを……」 スッ
打止 「ファッションショーみたい!ってミサカはミサカは驚嘆しながら写真を眺めてみたり!」
番外 「やっぱ体型いいよねー、でもこれならミサカにだって……」
一方 「オマエにゃまだ早い」
番外 「何とでも言えば~?私にはこの身体があるんだもん。ねー?」
打止 「ずるーい、ミサカも行くー!ってミサカはミサカは対抗心を燃やしてみたり!」
番外 「ミサカと張り合おうなんて10年早いよ☆」 ギャハッ
芳川 (彼ったら、あの子達と自然に馴染んでるわね……)
738 = 723 :
黄泉川 「みんな出来たじゃん」 パタパタ
打止 「シチューだー!ってミサカはミサカはお腹が鳴るのを止められなかったり!」 グー
一方 「オマエも食うのか?」
垣根 「なんか黄泉川に呼ばれたからな」
黄泉川 「皆で食べるともっと美味しくなるじゃん!」
芳川 「この場合、どっちがお兄ちゃんになるのかしらね」
一方 「俺に決まってンだろ」
番外 「どうかな~?あっちの方が身長高いしイケメンだし?」
一方 「人は見た目じゃねェ、中身だ」
黄泉川 「はいはい、じゃあ手を合わせて…」
「「「「「「いただきます!」」」」」」
739 = 723 :
この日食べた夕飯は格別だった
食べているだけで安心感が得られる、魔法のような、不思議な力の込められた料理
これが、“母の味”なのだろうか……?
結局垣根は3回もおかわりをし、それを見て皆は笑みを溢す
黄泉川もまた、嬉しそうな顔で垣根を見つめていた――
―――――――――
垣根 「黄泉川、ありがとな」
黄泉川 「礼なんていいじゃん。またいつでもおいでよ」
黄泉川 「私が、私達が味方でいるから」
垣根 「……」
垣根 「そうだ、1枚写真撮らせてくれよ!」
黄泉川 「え、いいけど……」
740 = 723 :
垣根 「はい皆集合ー」
打止 「なになにーってミサカはミサカは呼ばれて来たよ」 トコトコ
一方 「俺眠いンだけど……」
垣根 「今から写真撮るからそこ並んでー」
芳川 「どうしたのいきなり?」
番外 「撮るなら可愛く撮りなさいよ~?」
垣根 「家族写真ってやつを撮ってみたかったんだ。黄泉川達がその第一号って訳」
一方 「家族……」
垣根 「そういうこと。あ、黄泉川もうちょい……」
一方 「……」 ニヤッ
今日は形に出来ない沢山のものを貰った……
それを形として残せるのがこのカメラ
この瞬間のこの気持ちを忘れないように、ここに残して置こう
――その日が来るまで
垣根 「それじゃ、撮るよー」
お馴染みのフレーズと共に、シャッターを切る音が静かに響いた
741 = 723 :
以上です
今回は逆に翻弄される垣根でした
母は偉大なり
次回は日曜日の予定で
744 :
乙カレー
745 :
黄泉川まじ聖母
746 :
垣根×黄泉川もアリかな、と思ふ
747 :
黄泉川はみんなのお母さん
つまりだ、俺のお母さんなんだよ!
それと>>1乙
748 :
いい話過ぎて泣きそう
749 :
>>1乙
誰かこの垣根を救ってくれよ…
750 :
1から一気に読んだけどすげえ面白い
そしてていとくんが更に好きになったわ
みんなの評価 : ★★
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