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    元スレ垣根 「ほら、笑って笑って!」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 : ★★
    タグ : - とある魔術の禁書目録 + - レベル5 + - レベル5組 + - 垣根 + - 垣根帝督 + - 麦野沈利 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    ・初SS+初スレです
    ・ギャグになったりシリアスになったりします
    ・基本的に台本形式で、必要な場面のみ地の文がつきます
    ・キャラ崩壊注意

    少しでも暇潰しになれば幸いです。では2時頃から投下します。

    5 = 1 :






    あーあ



    まさか、こんなとこで死ぬとはな



    ま、こっちに来た瞬間から碌な死に方しねえとは思っていたが



    俺の番が来たんだな……







    おお、これが走馬灯か。マジで見えるんだな



    …………



    ハッ、嫌な思い出ばっかだぜ



    一つくらい綺麗な思い出があったっていいだろ俺……



    虚しい人生だったな――――



    8 = 1 :

    ―――――――――
    ―――――
    ―――

    11月20日(土)


    かつて第三次世界大戦の渦中にいた学園都市も、ようやく落ち着きを取り戻した

    冬も迫りつつあって、道行く学生達の多くは厚着をしたりマフラーを巻いたりして寒さを凌いでいる

    そんな中、ある1人の男は久しぶりの外の空気を堪能していた

    高い身長、ホストのような服装、肩まで伸びた茶髪、端正な顔立ち

    すれ違う女子学生が思わず振り返ってしまうのも無理はない

    10 = 1 :


    その男の名は垣根帝督

    学園都市に7人しか存在しない超能力者<レベル5>の内、第二位に位置する実力の持ち主

    そして、学園都市の『闇』たる暗部組織の1つ、『スクール』のリーダーでもある

    いや、リーダー“であった”の方が正しいか

    何故なら、彼は過去に起こした暗部同士の抗争で命を落とし、組織が壊滅してしまったからだ

    では、その命を落とした筈の彼が今こうして街を歩いているのはどういうことか?



    12 = 1 :


    ―――――――――

    1時間前~とある病院~




    垣根は病室のベッドの上で目を覚ました

    天井の照明の眩しさに眉を潜めながら、ゆっくりと上体を起こす

    垣根 「………?」

    垣根は朦朧とする意識の中、状況の理解に努めた

    ここは、病院?

    俺は死んだんじゃないのか?

    様々な疑問が脳内を巡るも、結局解らず仕舞い

    ふと、自分の身体を見てみる

    腕、脚、胴体、隅々まで確認したが、どこにも傷跡らしきものが見当たらなかった

    その後、しばらく手を開いたり閉じたり、肩を回したり等をして異常がないかも確認したが、これも問題なし

    意識もはっきりしてきた頃、病室のドアが開き、誰かが入ってきた

    15 = 1 :


    「調子はどうだね?」

    カエルのような顔をした男は『冥土帰し』と呼ばれる医者だ

    彼の手にかかれば、どんな怪我や病気も無かったかのように治してしまうのだが、垣根はその事を知らない

    垣根 「ああ」

    大丈夫だ、と答えてすぐにハッとする

    垣根 「…じゃなくて、何で俺は生きてんだ?」

    冥土帰しは質問には答えず、ただ黙ってズボンのポケットから何かを取り出した

    冥土帰し 「君の携帯電話だね?」

    垣根 「俺の…?」

    19 = 1 :

    冥土帰し 「君が目を覚ましたら、ここへ掛けるように言われている」

    渡された携帯の画面には番号が表示されていた

    垣根 (誰だ…?)

    暗部の関係者か、統括理事会の人間か…

    どちらにせよ、裏の人間には違いあるまいと高を括り、発信ボタンを押した







    『お目覚めかな?第二位』

    それは、男にも女にも、若人にも老人にも聞こえる声だった

    垣根 「……アレイスター」

    垣根が呟いた人物は、学園都市の頂点に位置する統括理事長、アレイスター・クロウリー

    垣根が死ぬきっかけとなった暗部同士の抗争の最大の目的は“学園都市への反逆”

    その反逆の対象である人物が今、電話の向こうにいるのだ

    22 = 1 :

    アレイスター『お前が今最も疑問に思っているであろうことに答えてやろう』

    垣根 「何?」

    アレイスター『あの時、お前はまだ生きていたのだよ』

    生きていた?と答える間もなく、アレイスターは話を続ける

    アレイスター『あの後すぐにお前を回収し、延命措置を施した』

    アレイスター『お陰で死なずに済んだが、代わりに人としての原型は無くなってしまった』

    アレイスターの話はさらに続いた

    自分の脳が3つに分けられ、能力を吐き出すだけの塊にされたこと

    その後、第三次世界大戦が勃発し、能力を用いた兵器が作られたこと

    垣根 (おちおち死ぬことも出来ねえってか?)

    呆れるように、改めて学園都市の『闇』を思い知らされた

    24 = 1 :

    垣根 「……で、何で今になって俺を元の姿に戻した?」

    暫しの沈黙の後、アレイスターは言う






    アレイスター『お前はあと少ししか生きられない、と言われたらどうする?』

    26 = 1 :

    垣根 「……は?」

    いきなり何を言い出すんだ?

    アレイスター『あれからお前は能力の研究、生産といったあらゆる事に使われた』

    アレイスター『その影響で、脳に異常が生じたのだよ』

    垣根の能力は、この世に存在しない素粒子を生み出す『未元物質』<ダークマター>と呼ばれるもの

    この世に存在しないとだけあって、既存の物理法則をねじ曲げたりする文字通り“常識の通用しない”能力だ

    謎の多い稀少な能力であるため、科学者の研究魂に一層火がつくのは当然
    垣根 「脳に異常?」










    アレイスター『未元物質が、お前の脳を汚染し始めた』

    28 = 1 :

    垣根はさらに困惑した

    俺の未元物質が、俺自身を汚染する?

    垣根 「そいつは、暴走したからってことか?」

    アレイスター『私も初めはそう考えたが、実際は違った』

    アレイスター『それは、お前の意思で起こしたものだ』



    俺の意思―――


    そうか、何となく分かった気がする


    人間とは呼べない姿で生かされ死ぬことも出来ず、尊厳も何もない

    ただ、機械のように扱われる自分に嫌気がさしたのだろう



    脳の中の僅かに存在した『俺』が許さなかった



    ――ならば、自らの手で終わらせてしまおう

    29 = 1 :



    ――それから垣根は只ぼんやりとアレイスターの話を聞いていた

    一度始まった未元物質による汚染は垣根自身にも止められず、脳が勝手に演算をしている状態であること

    それは目の前の医者、冥土帰しでさえも直す事が出来ない

    ならば、せめて残された時間くらいは人間として過ごさせてやってもいいだろうと

    そしてアレイスターは最後に

    アレイスター『――悪いことをしてしまった』

    と言って、電話を切った
    端末からは一定のリズムを刻む電子音だけが鳴り響く

    ――何に対して言ったのだろう

    俺があと少ししか生きられなくなった事に対して?

    俺が『闇』に堕ちた事に対して?

    俺が昔地獄のような日々を強いられた事に対して?

    30 = 1 :

    少し考え、垣根はすぐに否定した

    垣根 (…って、あいつがそんな事本心で言う訳がねえ)

    馬鹿馬鹿しい、と溜め息混じりに吐き捨て、携帯電話を降ろす

    電話が終わったのを察知すると、ずっと窓の景色を見ている冥土帰しはそのまま話し始めた

    冥土帰し 「僕も長年医者を続けてきたが…」

    冥土帰し 「こんなに悔しい思いをしたのはこれで二度目だ」

    31 = 1 :

    過去に一度、彼程の医者でも完全に治すことが出来なかった少年が1人いた

    その少年は1人の少女を救う為に命を懸け、見事に助け出す

    たがその代償に、少女との思い出を失ってしまった

    彼は必死に記憶を取り戻そうと尽力したが、遂にそれは叶わなかった

    冥土帰しが初めて味わった『敗北』である

    そんな堪えがたい『敗北』が今再び、目の前に立っている


    冥土帰し 「君の脳には黒い斑点のようなものが沢山あってね」

    冥土帰し 「それを幾ら取り除いても、すぐ新しいのが出てくるんだ」

    冥土帰し 「まるで、治されるのを拒むかのように…」

    32 = 1 :

    『未元物質』という能力は今や、1つの病でもあった

    常識通のじない力、常識の通じない病

    それが作り出す領域は何人足りとも寄せ付けない

    それが、生きている限りどんな患者でも治す『冥土帰し』であってもだ

    冥土帰し 「あれが脳を完全に埋め尽くせば、脳のあらゆる機能を失い、君は死ぬ」

    冥土帰し 「そしてその日が来るのは3ヶ月後の2月20日」

    これが、僕が力を出し尽くした答えだ…と語る彼の背中からは、隠しきれない程の悔しさが滲み出る

    垣根は自分の置かれている状況を整理していた

    死んだと思えば実は生きてて、元に戻ったと思えば今度は3ヶ月後に死ぬ…

    何も知らない人がこれを見れば、彼はさぞ悲しみに暮れていると思うだろう

    それか、こんな目に遭わされた事に憤慨するかもしれない

    33 = 1 :

    だが、彼の心情はそれらとは懸け離れていた





    3ヶ月後に死ぬ?

    いや、違う


    垣根 「あんたが気に病む必要はねえよ」

    冥土帰しの眉がピクリと動く

    垣根 「本来なら垣根帝督という人間はあの時死んで……俺の人生はあそこで終わってたんだよ」

    垣根が死を悟った時感じたものは、何ともいえない虚無感だった

    幼き頃から『闇』に飲まれ、明かりも何もない道をひたすら突き進んだ

    出口も見えず、黒く染まっていく自分

    そしていざ自分の人生を振り返ると、これ程虚しいものだったとは思ってもみなかった

    今まで殺してきた人間も同じだったのか…

    垣根 「それがどうだ?死んで当然の俺が今こうして存在している」

    垣根 「俺にとって、これはまたとないチャンスなんだよ」


    ――あと3ヶ月も生きていられる

    虚無感しかなかった人生を変えられるのは今しかない


    34 = 1 :



    垣根 「こうしちゃいられねえ」

    そう言うと垣根はベッドから抜け、椅子の上に綺麗に折り畳まれた服を掴む

    それに着替え、髪を手櫛で軽く整えると

    垣根 「…俺にチャンスをくれてありがとな」

    と冥土帰しの背中に向け、早々と病室から出ていった




    患者が居なくなった病室に佇む医者が1人

    冥土帰し「…患者に慰められたのは初めてだね?」

    これまで経験したことのない出来事に、彼はただ窓からの空を眺めるのみだった

    35 = 1 :

    病院から出た垣根はふと立ち止まり、大きく息を吸い込む

    そしてそれをゆっくりと吐きながら、彼は決意する

    垣根 (俺がしてきたことは決して許される事じゃねえ)

    垣根 (地獄でも何処へでも落とせばいい)

    垣根 (だからこそ、この3ヶ月は悔いのないように生きる)

    垣根 (1分1秒無駄にはしねえ)

    よし、と心の中で決意表明をすると、歩みを進めた


    どこへ行こうか?

    何をしようか?


    そこにいるのは『闇』に生きる人間ではなく、楽しい事を探す1人の少年だった




    垣根 「まずは、あっちへ行ってみるか!」


    36 = 1 :

    今回は以上です。読んでくださった方ありがとうございます!

    長い前ふりですみません、次回から本編開始です。見ての通り、地の文は苦手で……

    次は火曜日を予定してます

    37 :

    おつ
    うむ、これは期待できそうな
    爽やかていと君もこういう流れだとなんとなくアリだな

    39 = 3 :

    ていとくんは本当は爽やかイケメルヘンのはず

    40 :

    こんなに応援できるていとくんは久しぶりだ。

    41 :

    謝る☆に不覚にもじんわりしてしまった

    42 :

    このていとくんは幸せになっていい。
    いや、なるべきだ。

    43 :

    また奥深い良作が生まれちまったな……

    44 :


    最近は 福岡が居る=良作
    という方程式が出来ているな

    45 :

    シリアスいれる意味がわからん
    お前の力量じゃ無理だ
    どっちかにしとけよ

    46 :

    スレタイ見た時は、FF10の笑顔の練習見たいな恥ずかしい話かと思った

    47 :


    これはかなり気になる作品なんだぜ

    49 :


    これは期待
    あとどうやってスレタイに持ってくのかが気になるなww

    50 :

    >>45
    「人を泣かす話は簡単だが、笑わせる話は難しい」って言葉があってだな…
    何故シリアスなら高尚のように扱ってみてギャグを下に見るのだろうか

    まあ実際はどっちも難しいし、どっちもやるよりどっちかのほうが簡単って訳でもないだろ
    題材が多ければそれだけ多くの案が使えるわけだ


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