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    元スレ佐天「こ、こっから先は一方通行だァ!?」美琴「えぇー!?」

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    みんなの評価 : ★★★
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    502 :

    原作見てないなら許容できそうな言葉は原作準拠と思っとけ。
    それで何も問題ない。

    504 :

    >>503
    カチッって電極のスイッチ入れてないから一方さんが口でベクトルチョップって言ってるだけだよ。

    505 = 499 :

    逆に考えるんだ、ベクトルでダメージを最小にしている、と

    506 :

    >>504一方さん可愛すぎだろ吹いたwwwwwwww

    507 :

    >>497
    勉強になる。テレポートが自分ごと、アポートが物だけって勘違いしてた
    引き寄せがアポートで、逆はアスポートなんだな

    >>498
    今更で申し訳ないが、
    原作一通りとアニメの超電磁砲を見ていること前提な部分がちらほらありますですよ
    ネタバレとなってしまう内容も多いのでこの先の閲覧には注意をしてくれい

    >>503
    一方さんが打ち止めに本気のベクトルチョップするわけ無いだろう? つまりはそういうことだ

    というわけで待たせたな、今日も深夜の部開催だァ!

    508 = 507 :

    ・AM11:30 177支部

    固法「これ……一体どういうことなのかしら?」

    黒子「額面通りに受け取れば単なる犯罪予告ですわね」

    初春「でも、そんなことする意味が分かりませんよ。クラッキングをするなら相手に気づかれないうちにどこまで防壁を突破できるかが勝負なのに、事前にそれを予告するなんて防壁を強化しろって言ってるようなものです」

    黒子「そうですわよねぇ……となるとこれには別の意味があることになりますわね」

    固法「うーん……この予告によってどういう影響があるかを考えてみると……」

    初春「まずは防壁の強化ですね。まともなネットワーク管理者ならクラッキングの可能性があると分かっているなら防壁の強度を上げたり、普段とは違うルートの回線を構築したり、後は重要なデータのバックアップを取ったりとかですかね」

    黒子「単純に考えるならそういった行動がこのチップを送りつけてきた人物ないし組織にとって都合が良い展開ということですわよね」

    509 = 507 :


    固法「でも、警備員や書庫のデータならまだしも、風紀委員のサーバーにはそれほど重要なデータなんて入ってはいないわよね」

    黒子「でしたらバックアップ狙いという線は置いておけますわね」

    固法「となると、防壁を強化して欲しいってことかしら」

    黒子「ふむ……他にクラッキングをしようとしている輩が居て、それの妨害とかですの?」

    初春「でも、それなら匿名で通報してしまえばいいような気もしますし……」

    初春「それに、今回の予告は学園全体の監視システムへのクラッキングです。しかもご丁寧に『探し物がある』とまで添えられてます」

    黒子「その探し物の内容が更に強度の高い暗号で予告と一緒に収められている辺り、きな臭いなんてもんじゃないですの」

    初春「このファイルが解凍出来れば早いんですが……パスワードの入力欄もちょっと変ですしねぇ」

    黒子「『to:__________』ですか……一体どこへ行けというのやら」

    510 = 507 :


    固法「もしかして、宛名とか? わざわざ風紀委員の符丁をベースにした暗号、更にその中に探し物の内容の入ったファイル……これは明らかに見て欲しいってことよね」

    黒子「なるほど……風紀委員の誰かしらにこの中身を知らせることが目的ですか」

    初春「でも、それならますますおかしくありませんか? だって、相手が分かっているのなら特定の支部にだけでいいはずです。メモリーチップが届けられているのはこの支部だけじゃないんですよ?」

    黒子「そうですわよねぇ……もしこれが宛名なら、第7学区の風紀委員ってことしか分かってない相手への届け物ってことになってしまいますもね」

    初春「第7学区の風紀委員……メモリーチップの暗号を解読できるだけのパソコン知識がある……なんかそんな話どっかで聞いた……や、見たような??」

    固法「あら、初春さんも? 私もなんかそんな話を聞いたことがあるような気がしてるんだけど……」

    黒子「2人とも、何をおっしゃってるんですのよ。この第7学区で私達の知らない風紀委員なんて居ませんでしょうに。それに私の知る限り第7学区の風紀委員で一番こういったことに詳しいのは初春、貴方じゃありませんの」

    初春「それはそうなんですけど……」

    初春&固法&黒子「「「う~ん……」」」

    511 = 507 :

    ・PM00:00

    佐天「あ、このパスタ美味しー」

    美琴「喫茶店風なのに意外と本格的よね、これ」

    佐天「後でニンニクが気になりそうな感じですけどね」

    美琴「香辛料ってどうしてこう匂いの強いものばっかりなのかしらねー」

    美琴「でもあっちの人が食べてるふわとろのオムレツとか、あれもすごい美味しそうだし、意外と穴場を見つけちゃったかもね」

    佐天「あ、本当だ、あれも美味しそー……うぅ、ダイエットしたい人にはなんて厳しいお店」

    美琴「ああいうふわとろ感を出すのって火加減が難しいのよねぇ」

    佐天「うんうん、分かります分かります。あのふわとろ加減はほんと難しいですよね」

    512 = 507 :


    佐天(火加減といえば、打ち止めちゃんのことどうやって切り出せば……)

    美琴(なかなか話題を変える切欠が掴めないわね……当たり障りの無いトークじゃ埒が明かないわね)

    佐天(えぇーい、女は度胸! 当たって砕けろ!)

    美琴(ここはやっぱり多少不自然でも会話をこっちから会話を切り出さないと!)

    佐天美琴「「あの!」」

    佐天「あっ、え、えーと、その御坂さんお先にどうぞ」

    美琴「ふぇ!? ああ、いいって別に佐天さんこそ先にどうぞ?」

    佐天美琴「「……」」

    佐天(え、何、何なのこの流れ……)

    美琴(うぅ、た、タイミングが取れない……何このあの馬鹿と話してる時のような間の悪さは)

    513 = 507 :

    ・PM00:10 177支部

    黒子「もう予告まで1時間を切りましたわね……初春、とりあえず防壁の構築だけでもしてしまってはいかが?」

    初春「そうですね……無理矢理復号するとしても後30分はかかっちゃいそうですし……」

    固法「……あっ!」

    黒子「どうかされまして? 固法先輩」

    固法「思い出したのよ、さっきの話!」

    初春「第7学区のパソコンに強い風紀委員の話ですか?」

    固法「そうそう、それよそれ! 都市伝説の特集か何かで見たんだわ!」

    初春「あー! そうか、それですよ!」

    黒子「……はぁ?」

    514 = 507 :


    初春「ほら、白井さんこのサイトのここを見てください」

    黒子「都市伝説ねぇ……えー、何々……学園都市に凄腕のハッカーが居る……?」

    固法「しかもそのハッカーは風紀委員で、けれども上層部はその力を当てにしていないのでそのハッカーの居る学区だけ不自然にセキュリティが高いという奇妙な状況を生み出している」

    黒子「それがこの第7学区だというのですの?」

    固法「そういうこと。これならさっきまでの疑問に対して合理的な答えになるんじゃないかしら」

    黒子「しかし……都市伝説だなんて……えぇ~?」

    初春「えぇっと、このサイトの投稿文によると……その凄腕ハッカーは通称『守護神(ゴールキーパー)』、だそうです」

    固法「goalkeeper、ね……試すだけ試してみましょうか」

    『to:goalkeeper』

    初春「……行きますよ?」

    黒子「ま、ダメ元ですの、やっておしまいなさいな」

    初春「ラジャー」タンッ

    515 :

    爆発した

    516 = 507 :

    ようやく初春達がメモリーチップの内容に迫るがグループの行動開始まで既に1時間を切った、
    みたいな展開のところで明日に続く

    原作だと守護神の居る詰め所は結構簡単に特定されているんだけど、
    アニメの描写だと原作の詰め所と177支部の位置とか規模が違うんだよね
    どうせ違うならと第7学区丸ごと黒春のセキュリティ下にしてみた
    このSSは佐天さん好きーな>>1がお送りしているためアニメ設定を一部優先しております
    でも黒春もプッシュと、ぶっちゃけイイとこ取りです。節操無くてすまんw

    517 :

    佐天さんが可愛くて幸せで、初春が黒くて友達思いなら問題ないです

    518 :

    wktkしてきた

    519 :

    原作よく知らないけど初春って自覚が無かったのか・・・

    520 :

    眉毛さんはいずこ

    521 :

    >>519
    K条さんしかり、K山先生しかり、K萌先生しかり、
    都市伝説の張本人はその自覚が無いというとある世界の法則に従ってみました

    >>520
    重福さんは素で発想に無かった とりあえず第2話中の登場は無理っぽい

    というわけでお昼の分、いっくよー

    522 = 521 :


    固法「あっ!」

    初春「どうやらパスワードは正しかったようですね……」

    黒子「鬼が出るか蛇が出るか……」

    初春「これは……!?」

    黒子「垣根帝督? この人物が探し物……というか、探し人ですの?」

    固法「垣根って……第二位のレベル5!?」

    黒子「えぇ!? はー……きな臭いどころかヤバイ事件確定ってところですわね」ハァ

    初春「……あ、あぁ……なんで……?」

    黒子「初春?」

    523 = 521 :


    黒子「初春! 一体どうしましたの?」

    初春「……っ、白井さん、固法先輩、すぐに監視衛星とこの辺り一帯の監視カメラの使用の申請を!」

    固法「それはいいけど、理由は?」

    初春「……2人とも、10月上旬頃に高レベルの能力者同士の戦闘に巻き込まれて、私が負傷したことがあったの覚えてますか?」

    黒子「ええ。……まさか!?」

    初春「はい。すぐに情報管制が敷かれて事件の詳細については閲覧不可になってますけど、その時の高レベル同士の片方がこの垣根って人物です。間違いありません」

    固法「そんな前科のある人物を胡散臭い連中が探してるわけよね……」

    黒子「よりにもよって超能力者(レベル5)ときましたか……最悪ですの」

    初春「ええ、場合によっては大規模な戦闘が起こる可能性があります」

    524 = 521 :

    ・PM00:30 セブンスミスト

    ???「失礼、お嬢さん方」

    佐天「……はい?」

    美琴「はぁ? 誰よあんた」

    ???「相席してもいいかな?」

    佐天「……え、ナニこれ、ナンパ?」

    美琴「席ならまだ他にも空いてるわ。それと、どちら様だっつってんでしょ?」

    垣根「垣根帝督。第二位って言った方が分かるかな?」

    美琴「……はぁぁ!?」

    525 = 521 :


    垣根「いやなに、可愛いお嬢さん達がまるでラブコメのワンシーンのような会話をしていたものだからつい気になってね」

    美琴「そんな程度の理由でわざわざ第二位が声を掛けてくるわけ?」

    垣根「可愛い子を口説くのに理由は要らないさ」

    美琴(うげぇ、海原っぽいこの空気……苦手なタイプだわ)

    佐天「え、第二位って本当に?」

    垣根「もちろん」

    佐天「うわー……御坂さんに続いて第一位と知り合っただけでも奇跡だと思ってたけど、更に第二位に遭遇かぁ……え、ナニこれ私今確変来てる?」

    美琴(第一位……やっぱり普通にその単語が出てくるのね……)

    垣根「…………何?」

    526 = 521 :


     その瞬間垣根の纏う空気が変わったことに気が付いていたのは、彼と同じ超能力者(レベル5)たる第三位、御坂美琴くらいだった。

     ドゴンッ!! という轟音と共に喫茶店の一角が崩壊した。

     まるで竜巻でも発生したかのような強烈な衝撃波と風圧で、テーブルから椅子から垣根帝督の周囲にあったものは全て吹き飛ばされ薙ぎ払われた。『その席に着いていた人物達』も当然無事ではすまない。
    「俺は一般人には基本手は出さないんだけどよ、テメェが第一位の知り合いだってんなら話は別だ」
     店の端まで吹き飛ばした少女に向かいゆっくりと歩を進める。別に彼の能力なら一瞬で間合いを詰めることも出来なくは無いが、それでは面白くない。

     自分の身に何が起こったのか佐天には理解できなかった。分かるのは吹き飛ばされた時に壁に打ちつけた全身が痛みに悲鳴を上げていることくらいだ。吹き飛ばされた時に耳をやられたのか音はろくに聞こえない。横倒しに倒れたまま霞む視界で捉えたものは彼女に向かって近づいてくる垣根帝督の姿。……そして、更にその後方で立ち上がる頼れる友人の姿だった。

     咄嗟に磁力を放出し不可視のクッションを作ることで美琴は吹き飛ばされた衝撃から身を守ることが出来た。が、それだけだ。垣根帝督の攻撃に気づくことは出来なかった。不運なことに彼の意識が向けられていたのは同席していた佐天涙子の方であり、彼女の方ではなかった。
     だから反応が遅れた。
     もし垣根帝督の『敵意』が美琴本人に向けられていれば、また違っていたかもしれない。しかし結果としてそれが致命的な力量の差を美琴に伝えていた。感覚的に理解できた。自分では垣根帝督には及ばないと。
     けれどここで引くことは出来ない。
     垣根帝督は悠然と佐天の方に向かって歩を進めている。このまま放置すればどうなるかなど考えるまでもない。
    「待ちなさいよ……。この私を、御坂美琴を無視すんじゃないわよ!」
     敵わないと知りつつも声を荒げる。超電磁砲(レールガン)、御坂美琴に大切な友人を見捨てるという選択肢は、無い。

    527 = 521 :

    というわけでお昼の分はここまで

    ごめ、シリアスにシリアスにって念じてたら普通に小説になってた
    カッキー退場までこのノリで行くと思う、悪いね、テヘ☆

    528 :


    >都市伝説の張本人はその自覚が無い

    しかも全員イニシャルにKがあるという

    529 :

    ヘタレじゃない垣根帝督・・・だと・・・!?

    そんな帝督は原作以外で見たことがない


    530 :

    >>528
    ってか禁書って名字のか行の人多くないか?

    531 :

    へーたれじゃない
    へーたれじゃない
    ていとくなのーさー

    へーたれじゃない
    へーたれじゃない
    常識通じない


    532 :

    良いね
    読みやすい文は大歓迎だ

    533 :

    セリフと地の文は改行した方がいいかも……
    あと一つの文が長い場合とかも分けた方が読みやすい、のかな?

    十分読みやすいから文句言うのもアレですね。
    偉そうにすまぬ

    534 :

    知り合いってだけで手を出す小物ていとくんかわいい

    535 :

    ナンパしてるていとくんギャグキャラかとおもいきやシリアスやるんかい

    536 :

    なんなの
    このドキドキハラハラする展開…
    >>1 超乙です。

    537 :

    佐天(うっわ…この人、メルヘンチックな翼生やしてるよ……さすがに引くわー)

    538 :

    >>533
    おお、確かに台詞と地の文は改行挟む方が読みやすそうだな今から書いてくる

    うん、そうなんだ 週末だから今帰ってきたとこなんだ
    何度も言ってるけどこれはノーストックなんだ なので今から書くわけだ
    今日の深夜の部、真面目に深夜になるかも、テヘ☆

    539 :

    ごめん>>1さん
    明日起きてから読むね…

    540 :

    がんばって書いてくれ
    朝これ読む為に起きるからww

    541 :

    >>540
    お、嬉しいことを言ってくれるじゃないか

    1レス当たりの文字数が圧倒的に増えてるからレス数自体は少ないけど、
    いつもと同じくらいの続きが書けたんで深夜の部を投下しに来たぜい

    542 = 541 :


    「ぁぁぁああああアアアッ!」

     放たれる光の強さがそのまま電撃の槍の威力を如実に示していた。過去、この出力の電撃が通じなかったのは第一位とあの少年だけだ。眩い光と共に激烈な破壊力を秘めた光速の一撃が放たれる。
     ―-直撃。巻き上がる粉塵で店内の視界が一時的に遮られる。けれど磁力線や電子線を感知できる彼女にこの程度の視界不良は関係ない。そのまま美琴は次なる手を模索する。彼女には視えているからだ。電撃の槍が直撃したはずの第二位が微動だにせずその場に佇んでいるのが。

    「さすがは第三位、たいした威力じゃねぇか」

     ブォ! という強風が視界を晴らした。その風を起こしたのであろう白い翼を背に生やした垣根帝督の姿が顕わになる。如何なる理屈か分からないが、その翼が電撃を弾き彼を守ったことは明白だった。

    「ずいぶんとファンシーね。……似合ってないわよ」
    「安心しろ。自覚してる」

     言葉と共に美琴が動く。そして垣根も動いた。
     時折雷撃を放ちながら円を描くように距離を保って移動しようとする美琴に対し、垣根は翼をはためかせると一直線に飛んだ。自然、垣根の起動も曲線を描くが美琴との距離は一気に縮まっていく。美琴はわざとばらつきを大きくして制圧面積を広げた雷撃を放ち垣根を牽制する。彼の前面に大きく広がった白い翼が雷撃を打ち消したところで、
     ミシッという音を彼は聞いた。
     見れば周囲に大小様々な物体が漂っている。テーブル、椅子、食器類、果てはレジスターまで、金属部品のあるものが無理矢理に引き寄せられ押し合い圧し合い軋みを立てている。

    「電撃が効かないなら押し潰せってか? 底が知れるぞ、第三位」
    「……黙りなさいっ!」

     次の瞬間、美琴は一気に磁力を強め、垣根を包囲していた『バリケード』を押し潰した。無論この程度で仕留められるとは思っていない。僅かな時間でいいから『溜め』を作るためにわざわざこんな大仰な攻撃を仕掛けたのだから。美琴の最大出力、10億V超の破壊の電光を撃ち出すために。

    543 :

    待ってたぜ

    544 = 541 :


     一瞬の静寂後、吹き荒れる紫電の本流がバリケードごと垣根提督を飲み込んだ。かつてあの少年に向かって放ったものとは違う、本気の攻撃。たっぷり10秒は放電してようやく店内は本来の明るさに戻っていた。

    「やれやれ、だから底が知れるって言っただろ」

     放電の熱量で完全に炭化していたバリケードの成れの果ての中から、そんな声が聞こえてきた。

    「テメェは電撃使い(エレクトロマスター)、自由に電気を操る能力者だ。正確には電子なのか磁力に干渉してんのかは俺の知ったこっちゃねぇがな」
    「……嘘でしょ」

     無傷。
     白い繭のように変形した白い翼は完全に電撃を防いでいた。

    「何も難しいことはねぇ。要は電撃を通さない、そういう物質で囲んじまえばいい」
    「電気抵抗で熱量だって馬鹿にならないはずなのにっ……!」
    「それがこの世界にある普通の物理現象ならな」

     垣根は再び翼の形に戻った白い凶器を弓を引き絞るようにそらせていく。
     ズァ!! と6枚の翼が勢い良く羽ばたき、猛烈な暴風を生み出していく。巻き起こる嵐によって美琴はいとも簡単に吹き払われた。
     轟! という暴風とともにノーバウンドで壁に打ちつけられる。衝撃で肺から無理矢理空気が押し出されて息が詰まった。意識を刈り取られそうになりながらも必死に歯を食いしばる。痛みと悔しさで涙に滲む視界に垣根帝督の平然と佇む姿が映った。

    「俺の未元物質(ダークマター)に常識は通用しねぇ」

     学園都市に7人しか居ない超能力者(レベル5)。けれどその第二位と第三位には絶望的な程に差があった。

    545 = 541 :


     「お姉様っ!!」

     もはや悲鳴というよりも絶叫。第177支部に白井黒子の慟哭が響く。
     支部に届けられた不審なクラッキング予告に第二位という大物が関わっていることが分かり、白井達は監視衛星を含めた学園都市全体の監視システムを使って、メモリーチップの差出人達よりも先に垣根帝督を捜索しようとしていた。事態がどう動くにしろ、事態の起こる場所そのものが分からなければどうにもならないと判断したからだ。
     友人の身を案じた初春が捜索のついでにと監視カメラで2人の友人の姿を追ったところ、垣根提督が2人に話しかけているのを捕捉した。万が一に備えて警備員(アンチスキル)への出動を要請しようとしていた矢先、画面には彼女達の想像を超える展開が映し出されたのである。

     『あの御坂美琴』が一方的にうちのめされている。

     白井を含めた177支部の面々にとって超電磁砲は少なからず特別な人物であった。いくつかの事件で共に手を携えた戦友として、敬愛する友人として、尊崇に値する能力者として。超能力者(レベル5)という肩書きも併せて、ある種超越的な存在であったとも言えるだろう。
     その彼女ですらまるで歯が立たない、そんなものが存在するということ自体、彼女達にとって完全に想像の埒外だったのだ。

    546 = 541 :


    「こんな、こんなことって……」

     3人の中の一番の年長者である固法ですら困惑と混乱の中から抜け出せずに居た、その時。
     カタタタッ! とキーボードに指を走らせる音だけが室内に響き渡った。

    「固法先輩、警備員への出動要請お願いします。白井さんは現場へ」
    「う、初春さん……?」
    「早く!」

     有無を言わさぬその迫力は、決して絶望や自棄から来るものではなく、けれど間違いなくこの状況にあって希望を掴まんとする執念からのものだった。その強い言葉に、思考の停まっていた白井の意識は急速に現実に引き戻された。

    「っ初春、何か手がありますの!?」
    「……今12:45、クラッキング予告の15分前です。もしチップの送り主達が垣根帝督を捕縛するために動いているのだとしたら、彼を見つけるだけでなく取り押さえられるよう、準備をしているはずです」
    「そうか、垣根帝督とやり合うことまで想定していたなら彼に対抗できるだけの用意がされているはずよね」
    「第二位の位置情報と、時限つきですが第7学区全体の監視カメラへのアクセス権限を得るキーコード、この2つを収めたファイルをチップに使われていた暗号コードを使って暗号化。これをばら撒きます」

     時限つきとはいえアクセス権限を開放すると言っているに等しい。暴挙と呼んで差し支えないほどの発言に、友を助けるためなら何でもするという覚悟が込められているのは確かめるまでもなかった。

    「……! なら私に時間を稼げというわけですのね?」
    「5分か10分か。垣根帝督のところにこのファイルを見た人達が駆けつけるまで、1分でも1秒でも長く時間を稼ぐ。悔しいけどそれが2人を助けられる唯一の可能性です!」

     伊達に長いことコンビを組んでいるわけではない。これ以上の言葉は不要と、互いに頷き合うと次の瞬間には白井の姿は虚空へと消えていた。同時、初春の指がファイルを送信するためのエンターキーを叩く。

    「この際どこの誰だろうが構いやしません。ここまでお膳立てしたんですから、間に合わなかったら絶対に身柄を拘束してやります」

     もはや事態は彼女の手を離れた。これ以上初春に出来ることは何もない。
     ただ一つ、祈ることを除いて。

    547 = 541 :

    や、待たせたね どうにか今日も深夜分を投下できたぜよ
    っていうかカッキーかっこ良すぎだろこれ……自分で書いててなんだけど

    げふんげふん、明日のお昼分は多分普通に投下できるかな?
    というわけで今日の分はここまで

    548 :

    乙!
    ていとくんの普通なの久々に見たなー

    549 :


    寝ずに待ったかいがあったんだよ

    550 :

    カッキーもかっこいいが初春に惚れるわ
    かっこよすぎだろ…乙!


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