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    元スレ垣根「友達が欲しいんだが」

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    みんなの評価 : ★★★
    タグ : - 麦野沈利 + - とある魔術の禁書目録 + - 一方通行 + - 垣根 + - 垣根帝督 + - 心理掌握 + - 木山 + - 番外個体 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    101 = 78 :

    一方「そォいやよ」

    垣根「ん?」

    一方「オマエのそのパッと見チャラチャラした感じじゃン」

    垣根「そうか?」

    一方「それとダチ無しってのがどうも結びつかねェンだよな」

    垣根「服とかはたまに見た雑誌やら店やらの組み合わせてるセット一式丸ごと買ってっからな。見本通りに間違いはねえよ。ま、多少は自分で組み合わせて着るが」

    一方「それができるなら勝ち組じゃねェか。お前素材は悪くねェ筈なンだからオサレに気ィ使ってそうな気がしたンだよ」

    垣根「そうか? ガチガチの能力開発から開放されて即中二病突入したから客観的にはよくわかんねえわ」

    一方「その単語俺に聞かせんな。悪くねェと思うぞ。ってか髪染めてハネさせてンのはオサレじゃねェの?」

    垣根「床屋に雑誌持って行ってこの髪型でって頼んだ、伸びた部分も色そのまんまなのは未元物質」

    一方「ふーン。俺の今着てるシャツとかの模様? 木原くンにいつもボロクソ言われンだけど」

    垣根「それはテメェが悪い」

    102 = 78 :

    垣根「……今渡ってる中にはコレって子はいねえな」

    一方「またやってンのかよ、飽きねェ奴」

    垣根「あーあ、そろそろ彼女の一人や二人欲しいわ」

    一方「二人もいてどォすんだ」

    垣根「まあ二人は置いといても……、童貞だけはさっさと捨ててえもんだぜ。これだけは俺の未元物質でもどうにもならねえ……」

    一方「マジで言ってるンですかァ!? ――――いやいやいやァ、俺らにはまだはえェンじゃねそういうの」

    垣根「いや、むしろ俺達程度の年齢又は少し下を境に『始まる』らしいぞ」

    一方「なン……だと……?」

    103 = 78 :

    垣根「かといって金に物言わせて素人童貞になるのも負けた気がすんじゃん」

    一方「え……、待て、でもよォ」

    垣根「つまりだ、俺達の戦いはまだまだこれからなわけよ。覚悟は良いか一方通行、これは戦争だ」

    一方「ダチもいない奴が彼女なンざ笑わせやがる」ハッ

    垣根「発言のベクトルを反射する」バーリア

    一方「……不毛な争いはよそォぜ」

    垣根「人間は決して分かり合えない生き物、そう考えていた時期が俺にもありました」

    一方「口寂しくなってきた、ポテトでも頼むかァ?」

    垣根「ヤリイカの唐揚げ行こうぜ。コレにマヨネーズ頼んでつけて食うとやべえ。思わず翼が飛び出る」

    一方「ンじゃそれ行くか」ピッ  オマタセイタシマシタ-

    104 = 78 :

    一方「ォお……イカ舐めてたわ……」

    垣根「テメェ全世界のイカ様にジャンピングスパイラル土下座な」

    一方「このマヨネーズがまた合うな……マヨラーは理解できねェけど」

    垣根「前マヨネーズキッチンなる店に行った事が一回だけあるんだけどな、ヤバかった。何がヤバいって何もかもがヤバかった。略してマヨキチ」

    一方「マヨネーズ基地外の間違いじゃねェのそれ」

    垣根「出るもん出るもん全てがマヨネーズ味、あの時程コーラが美味しかった事はねえ」

    一方「始まりすぎてンな」

    垣根「ピザもグラタンも全てマヨネーズ、カクテルにもマヨネーズ味あったな、飲んでみたかったぜ」

    一方「油っぽそォなカクテルだ」

    垣根「あー、イカうめえ」

    105 :

    支援してほしいか?
    でもしてやらない

    106 = 78 :

    垣根「そういやお前の番号まだ聞いてなかったからたちどころに教えな」

    一方「ン、あァ。赤外線で良いか」カチカチカチ

    垣根「お、おう。………………」カチカチ


    一方「どォしましたかァ」

    垣根「……やり方わかんね」

    一方「貸してみろォ――――――、登録完了ってなァ」

    垣根「……サンキュ」



    垣根(よし、よし、さり気なくアドレスと番号ゲットォ……)
    一方(赤外線使った事ねェっつー事は……、まァ俺も人の事ァ言えたもンじゃねェが)

    107 = 78 :







    垣根「……もうこんな時間かよ」

    一方「ン……? あァ、良い子はネンネの時間ですってか」

    垣根「今日はお開きにすっか、日ぃ跨ぐにしてもお前の保護者サンが心配すんだろうよ」

    一方「木原くンがァ? ま、今日はこのへンにしといてやるよ」

    垣根「なんで痛めつけた後の不良風なんだよw」

    一方「今日はこンくらいで切り上げておこォか! 体に悪ィからねっ!」ハハッ

    垣根「爽やか通行気持ち悪いです。まじ無いわ」

    一方「オマエ、オマエェェェェェェええええ!」

    108 = 79 :

    一通さんのシャツかっこいいと思うんだけどおれのセンス狂ってんの?

    109 = 78 :

    >>105
    ビクンビクン
    >>108
    ああいうデザインは俺も大好きだけど、あんなんばっかしか着ないから木原くンは美的感覚おかしいんじゃないかと心配してる

    111 = 78 :

    二人「」カランカラン アリガトーゴザイマシター



    垣根「さて、今日は色々とお疲れ様デシタってなあ」

    一方「おゥ」

    垣根「今回は色々と収穫が多かったな。……今度は、いつにする」

    一方「明日明後日はなンか実験が入ってるとかで無理だな。それ以降の暇な日なら良いンじゃねェの?」

    垣根「……おう、じゃあメールするわ」

    一方「ン」

    112 :

    >>108
    俺も欲しいけど着たくはないなwwww

    113 = 78 :

    ファミリーレストランから方向も特に意図無く少し歩いた所で、垣根帝督はふとその歩みを止めた。
    平行して歩いていた一方通行は、なんの前触れも無く唐突に止まった彼に向かって訝しげに振り向く。

    一方「どォしたンだよ、急に止まって。腹でも痛くなりましたってかァ?」
    垣根「なあ、一方通行。一つばかり質問がある。ま、小指の先の爪の垢程度の大した質問じゃあねえんだが」
    一方「やけに勿体振りやがる。さっさと言え」


    一度開きかけた口をまた閉じる垣根帝督を見て、一方通行は同じく口を開きかけてからまた閉じた。ここは、彼が何かを言おうとしている所だ、そんな予感が頭をよぎる。
    普段の軽薄な態度、一方通行に喧嘩を売る時の乱雑な態度、そのどれとも違う様子で垣根提督は佇んでいた。どこかで見覚えがある、と一方通行は思った。
    そして思い出す。ファミリーレストランでコーヒーを飲んでいた彼に突然やってきた彼が声をかけたとき、その時も彼は最初今と同じような様相を呈していた。
    注意深く見なければ判らない程だが、確かに垣根帝督の視線は小刻みに揺れている。何か言葉を捜しているようにも見えた。ならば、自分は待っていてやろう、と。

    一方通行がそう結論付けるまで、およそ五秒。そして暫くの後、垣根提督は口を開いた。

    114 = 78 :

    垣根「とりあえず、俺達今日カラオケ行ったよな」

    一方「おゥ、次はバラードでも歌うかって話した」

    垣根「その後ボウリング行ったな、俺の勝ちだったけど」

    一方「強調するンじゃねェよ。まあ次は負けねェがな」

    垣根「んで、メシ食ってダベった訳だろ」

    一方「又一人、ジロリアン予備軍がこの世に誕生しちまったなァ」

    垣根「でもって、次の約束を取り付けてる、と」

    一方「…………」

    垣根「お前が言ってたんだよなあ、一方通行。友達を作るには、知り合って、過ごして、それを繰り返す事だとよ」


    垣根提督は、そこで一旦言葉を区切った。しかし、一度開いた口を閉じることはしなかった。微妙に合わせていなかった目線が、はっきりと一方通行を向く。



    垣根「っつう事はだ、それに即して判断を下すなら。その……、俺達、もう、友達みたいなもんじゃねえか?」

    115 = 110 :

    提督…だと…?

    116 = 78 :

    そういうところでのミスって、あんま良くないんじゃないの?




    oh........

    117 = 78 :


    ほんの少しだけ、一方通行が目を見開く。絶対時間にして数秒もたっていない筈だったが、垣根帝督にとってはどれだけの相対時間の経過に感じていただろうか。

    果たして、一方通行は表情を崩す。ほのかに、頬が赤い。そして彼が良くする、挑発的な笑みの色を浮かべて



    一方「おい知ってっかァ、『垣根帝督』。本日最後の授業だ。ダチとか友情っつゥクソッタレな代もンはな」

    こう言った。





    一方「態々友情を確認したりなンか、しねェもンなンだぜ?」

    118 = 78 :

    今度は垣根帝督が、目を見開く番だった。
    言葉をかみ締めるように反芻していたのだろうか。しかし、次の瞬間には彼も普段の彼らしい表情へと戻っている。

    ……しかし、何時も通りの表情に戻るまでの一瞬の境界から、本当に嬉しそうな笑顔が覗いていたのを見た者は果たしていたのだろうか。



    垣根「そーかよ、そいつは目から鱗が飛び出ちまった」

    一方「そォいうこった、な」

    垣根「俺はこっちだから、行くぜ。――――――じゃあ、またな」

    一方「……おゥ、またなァ」


    背を向けて歩き出す二人ではあったが、そのそれぞれに浮かんでいたのは、柔らかい表情で。共に口は、自然な弧を描いていたのである。

    119 = 110 :

    なにこの一方さん中二臭いのにカッコいい

    120 = 78 :

    こっからはエピローグみたいなもんです
    上でめっさ動揺したけど、あのタイミングでの誤字は流石に死にたいw

    121 = 79 :

    いや気にすんなし

    しかしこの二人が仲良くしてるのはいいな

    122 = 78 :

    垣根「…………」メルメルメル
    垣根「…………」メルメルメル
    垣根「…………」メルメル ピッ


    『とりあえず明々後日が空いてるから、次会うのはその日にしようぜ。何するかはその時決めりゃいいだろ』

    垣根「これでよし、と」
    垣根「…………」
    垣根「…………」
    垣根「…………」ブーン、ブーン
    垣根「!」カチカチカチ
    垣根「んだ、スパムかよ」
    垣根「…………」
    垣根「…………」ブーン、ブーン
    垣根「…………ぉ」カチカチ

    『わかった』


    垣根「あいつ……」メルメルメルメル ピピッ


    『てめぇ返信短すぎんだよwww マメじゃねえとモテねえぞwwww お疲れさん』
    To 一方通行 

    垣根「…………メール振り分けか」

    垣根「…………」カチカチ

    垣根「友達、っとぉ」

    123 = 110 :

    エピローグ?第二章のプロローグの間違いですよね。

    124 :

    エピローグ?
    ここから怒濤のレベル5メンバー制覇の間違いですよね

    125 :






    木原「随分と遅いお帰りじゃねぇか一方通行」

    一方「…………チッ」

    研究者兼、同居人兼、保護者たる木原数多の声が帰宅した一方通行にかけられる。
    舌打ちと同時にその横を通り抜ける様子を見て、木原数多は内心ため息をついた。
    『今日は、晩飯はいらねェ』と、突然言い出した一方通行に何があったのかを問いただしたい気持ちはあるにはある。しかし、聞いたからといって素直に答えるような少年では無い事を彼は経験に裏打ちされた形で熟知していた。
    だから恐らくこのまま自室に向かって、そのまま明日の朝まで出てくるまい。そう断じた木原数多の未来予測はしかし、早々に破られる事になる。

    一方通行は、今のソファに乱暴に座ってからボソリと口を開いた。

    一方「なァ、木原くン」
    木原「どうした?」


    近頃めっきり自分から話しかけてこなくなっていた一方通行が、珍しくも自分から口を開いている。
    そんな程度の事に喜んでいる自分に苦笑しつつ、木原数多はそのいかつい顔に気付かない程度の喜色を乗せて一方通行の様子を窺った。

    126 = 125 :

    一方「俺さァ……、今日ダチができたわ」

    木原「――――そいつぁ」



    聞き返したくなる衝動を何とか押さえ込んだ木原数多の顔が、今度は一目見てわかるほどの驚きに歪んだ。
    一方通行は相変わらず視線をこちらに向けずそっぽを向いたままだが、木原数多の経験上この仕草をとるときのこの少年は、およそ間違いなく照れているのである。


    驚きが、喜びに変わるまでそう時間はかからなかった。学園都市第一位というあまりにも大きすぎる枷を負っている少年は、その業故にこれまでまともな人間関係を構築していたとはとてもいえたものではない。
    そして自信過剰でも自慢でもなく木原数多は自分が只一人、一方通行の周りで打算も遠慮もなく『このクソガキ』と接しているのだという自負があった。

    だから。だからこそ、この人よりも優しいはずの――――それこそがもしかしたら親バカ故の意識過剰なのかもしれないが――――少年に友達と呼べる存在が出来たことを、木原数多はその心から祝福した。
    その時の彼は、世間において『父親』と呼ばれる存在がよく浮かべる表情をしていたように思う。依然そっぽを向く一方通行の目にその表情はは映ってはいなかったが。


    木原「そうか……テメェにもとうとう友達がな……。赤飯でも炊いてやろうか?」

    一方「喧嘩売ってンですかァ!? このクソッタレが!」

    木原「目上にそういう口調は良くねぇと、んど言やぁ理解するんだァアン!?」ゴンッ!

    一方「――――ってェ! ……ったくゥ、反射が利かねェとかなんでそんな技法身に付けやがったんだか」

    木原「ガキはな、痛い思いしねえとわっかんねぇからな。これも愛の鞭ってやつだ」

    一方「……ケッ。――――ン、メールか? …………」メルメルメル



    木原数多は、喜んでいた。そして同時に、願っていた。
    この素直ではない少年の、友人が出来たという喜びがどうか裏切られませんように、と。
    だが勿論そのような危惧が全くの杞憂である事は、貴方達もご存知の通りであるのだが。









                    ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                     d⌒) ./| _ノ  __ノ

    127 :

    おつ
    でも最後なんて書いてあるのか読めない

    128 :

    愛の鞭で木原神拳使うなよ

    129 = 125 :

    読んでくれた人マジでありがとうな、コメントくれた人マジでありがとうな
    こういう感じでスレに文章投下するのとか初めてだから実は心細かったんや

    元々よくある小ネタスレに落としたネタがここまで膨らんでくれて良かった、楽しんでくれてたら嬉しい。
    構成上、後四部位ネタとかはあるのだけど、ただドンドンキャラ崩壊が進んでいく感じがしてたからここまでで終わらせるのも一つだと思うんだ

    どうだろう、一応もし書くなら次の話は
    麦野「友達って、なるもんじゃないんだ」
    なんだけど

    130 :

    それは何秒後に投下開始ですか?

    所で上条さんは出る予定あんの?

    131 = 128 :

    上条さん出すとフラグばっか立ててカプ厨とキャラアンチがわくからいらないんじゃね?

    132 = 125 :

    マジで? 上条さんは四部目のキーキャラなんやまあこの次のには出ないけど

    一応書かせてもらう、ありがとう。だけどキャラ崩壊とか酷そうだったら誰か途中で言ってくれよな、ある程度の矯正はできるだろうから

    続ける意思表示に序盤だけ投下してくな

    133 = 125 :

    あ、どっかで見たような展開があってもかんべんなwww

    134 = 125 :

    麦野「もう細かい話は良いよ……」

    絹旗「麦野、私達はこの件について断固とした決意を新たにしています。一言で言い表すなら、超麦野も程ほどにして下さい」

    フレンダ「いくら麦野でもそろそろ直すべきだよそういうのは!」

    麦野「良いじゃない別に……、限定だか何だか知らないけどお菓子食べただけでしょ?」

    絹旗「でもあの時滝壺本当に落ち込んでたんですよ! 超鬱だったんですよ!」

    麦野「ああもう、また新しいの買ってあげれば良いんじゃない! それで文句出ないわね?」

    フレンダ「結局そういう問題じゃないんだって……」

    絹旗「そんな考え方ずっとしてたらいつか後悔しますよ?」



    麦野「…………っせえ」

    麦野「うっせえんだガキ共!! 仲良くピーチク雑音垂れ流してんじゃねえぞ!!」

    135 = 125 :

    フレンダ「で、でもそうやって嫌な事からずっと目を背け続けられる訳ない訳よ!」

    絹旗「ち、ちょっフレンダそれ超言い過ぎですって!」

    フレンダ「こっちだって少しは麦野の事を本当に思って――――」

    麦野「纏めて明日のゴミに出されたいのかよ!? ァア!?」ブンッ

    フレンダ「…………!!」ビクッ

    滝壺「…………そうやって、力を振りかざすの?」

    麦野「ぐッ――――――!」



    絹旗「麦野……」

    フレンダ「……」

    麦野「ァァ判った! こんな場所ごときッこっちから願い下げってなァァァ!! テメェら纏めて野垂れ死にやがれ畜生共がッッ!」ゴガァァァァァァン!

    136 = 125 :




    絹旗「超凄い勢いで出て行きましたね…………」

    フレンダ「あっちゃあ。ごめん、ここまで言うつもりは無かったんだけどつい……」

    滝壺「でも、むぎのは私達に危害を加えなかった」

    絹旗「にしては玄関のドアが超ボロボロ……、物に当たって人に当たらず、ですか」

    フレンダ「ま、なんにしても暫くすれば帰って来ると思う訳よ。今は優先度高い依頼も無いし、アイテムは開店休業って所ね」

    滝壺(むぎの大丈夫かな……)

    フレンダ「当面の問題は、開けっぴろげ風通しが良くなった扉をどうするか、って訳かー」

    絹旗「とりあえずござでもぶら下げときますかね」ガサガサ

    137 = 125 :

    学園都市において七人のみ認められている超能力者(レベル5)。その第四位、麦野沈利は鼻息も荒く都市を闊歩していた。

    事の発端、そしてその理由は至極単純なものだった。
    彼女が、彼女の属している『アイテム』、その組織のメンバーである滝壺理后という少女が大切にしていた(らしい)お菓子を食べてしまった、というものである。

    落ち込む滝壺理后を慰めたのは絹旗最愛とフレンダという同じく『アイテム』所属の二人の少女。彼女らにも何か溜まったものがあったらしく、三人は結束して麦野に直訴しに来たというだけの話だった。
    勿論、そこで麦野沈利が己の非を認めて謝罪していたならば違った道があったのかもしれない。

    しかし、かもしれない、というのは起こり得なかった仮定の話で、実際に麦野沈利の口から飛び出たのは「代わりの品を買ってくれば文句無いでしょう」との発言だ。それは、世間一般で言うところの見事なまでの逆切れである。
    その一連の流れの結果として、麦野沈利は感情の赴くままに自身の住まうマンションを後にして冒頭に至る、そういう訳だ。



    暫く当ても無く歩く事で、彼女の頭も適度に冷え始めている。だからといって、つい先ほど飛び出してきた場所に引き返すつもりなど毛頭無い。
    そんなことは彼女のプライドが許さないし、何より帰ったとしても気まずいことこの上ないだろう。その空気を霧散させる為にやるべきことは一つだと彼女の明晰な頭脳は弾き出してはいたが、それこそやはり彼女のプライドが許す行為ではなかった。

    ただ、あの時。フレンダの発した言葉に我を忘れた麦野沈利を止めたのは。
    激情に任せて振りかぶった手を止めさせたのは、恐怖でも威嚇でもなかった滝壺理后の自身を見る静かな眼差しだった。
    その眼差しを思い起こした彼女は、辺りをはばからず忌々しげに大きく舌打ちの音を響かせた。

    138 = 125 :



    それから少しの時間がたった時。麦野沈利は、第六学区にあるゲームセンターまで足を伸ばしていた。
    理由は特にない。徒歩でブラブラとしていた時に、目についたのがこのゲームセンターだったからだ。

    麦野(ゲーセンかぁ……、暫くこんなとこにも来てなかったなぁ)

    そんな思考に導かれるように入った店内は、一瞬その中の喧騒で音が聞こえなくなるような錯覚を覚えるという懐かしいものだった。
    適当にぶらついていると、いくつもの機種、筐体が目に付く。逆に、全く見たことも無いような目新しい機種等も同様だ。
    ふと目に入った横一列に並ぶダーツのゲームは、以前『アイテム』でゲームセンターに赴いた時に皆それなりにできる中でもフレンダが異様なまでの実力を発揮していたものだった事を思い出す。

    麦野沈利は、ズキリ、と胸が痛むのを感じた。唇をかみ締めている彼女の端正な顔は僅かに歪んでいた。

    彼女が漠然と感じていたのは、孤独だった。
    誰一人自分を理解しようとせず、恐る恐る遠巻きに眺めてはこちらの視線に気がつくと体を震わせてその身を隠そうとする。擦り寄ってくる奴らは皆すべからく下心の持ち主だ。
    『アイテム』等といっても、所詮は恐らく同じようなものだったのだろう。彼女達は麦野沈利の能力の下に集っているのであり、決して彼女の人格が認められているわけではない。
    今日の事が良い例だ。あの瞬間のフレンダの、恐怖に硬直した表情。あんなものを、これから自分は永遠に見ていかねばならないのか。それも生きている限りずっと。

    いや、コレこそがきっと学園都市において七人しかいないレベル5、超能力者の背負うべき業なのだ。
    絶大な力には、当然絶大なる責任が伴う。そのツケを自分は払っているだけなのだ――――――、と。
    麦野沈利は自身を守るため、そう無理やり自分を納得させた。心に残る寂しさから目を背けたままに。

    139 = 125 :

    「――――――!」
    「――――――!」
    「――――――!」

    麦野(……あぁ、うるせぇな)



    騒いでいるバカの声が耳障りだ、と彼女は思った。同時に、これだけ機嫌の悪い自分の側で騒いでしまった事を悔いろ、とも。

    彼女が行おうとする事を有体に言えば、完全な八つ当たりだ。腹が立っている側で騒がれた。ムカつく。ぶち殺し確定だ。ただそれだけのシンプルな理屈だった。
    哀れな子羊のツラを拝ませてもらおうと俯いていた顔を上げた彼女は、途端ぽかんと口を開いたまま硬直する。

    自身の目が節穴になったかと錯覚した。寧ろ、錯覚していて欲しいとも願った彼女の思いとは裏腹にそれは間違いなく現実のものだった。

    一方「ァァァァァ! なンでこういうときに限ってトリプルに当たるンですかァァァ!?」デレレンッ

    垣根「ひゃはは! ざまあ見やがれ神様ってのはなぁ、日ごろの行いとやらをちゃぁぁぁんとご覧になってるってなあ!!」

    一方「ほォ、吠えやがるか未元物質」

    垣根「今更真面目に言ってもおせえんだよ! この俺の華麗なる投擲で勝利をこの手に掴むところを刮目してやがれ!!」

    一方「クソがァ……、勝ち誇るにはまだはえェぞ……」

    垣根「オマエこそ諦めが悪い。どこに当たっても俺の得点はお前の得点を下回る、ヤバげなら態と外しちまえばいいってなあ……。――――絶望しろ、一方通行」ビュッ ポウンッ バキーン

    垣根「なん……だと……?」

    一方「ぎゃははwwwwwww神様ァ見てるもンだなァ、垣根くゥゥゥゥゥゥンwwwwww 一発目からど真ん中とァ流石の俺でも予想だにしなかったぜェ!!」



    騒ぐ子羊達の正体は、そう。泣く子も黙る我らが学園都市第一位第二位のコンビであったのだ。
    ハイテンションに騒ぐ彼ら。空いた口が塞がらない彼女。ゲームセンターの喧騒から切り離されたこの不思議空間。そんな奇妙な光景から、この物語は始まる――――

    140 = 125 :

    以上が導入部なんや
    また二日三日用事が入っててペース投下は出来ないけど、頑張って書き進めていくんで頑張るぜ

    だいぶハイペースに投下した性で貯金も大分使い込んじゃったので今日はここまでです
    またねー

    141 :

    俺もこんな友達欲しかったなぁ

    142 :

    あぶねぇ
    むぎのん八つ当たりしてたらバラバラにされてたな

    143 :

    一瞬爆撃されたかとも思ったら投下だったでござる

    本当に学生みたいなノリが二人とも楽しそうだな
    ラストとエピローグの二人が可愛すぎる

    144 :

    ラストの照れる一方さんかわいい
    4部ってことはレベル5削板・御坂編もありそうだ

    145 :

    フレンダの活躍マダ?

    147 :

    とっとと書け太郎

    148 :

    木原くンの言ったこと覚えてる一方さんかわいいな
    多分興味ないフリして聞いてるって思ったらヤバイ

    149 :

    友達って良いよね。俺も100人友達欲しいんだけど
    二度三度フレンダ期待のレスを目撃したのでほんの少しだけフレンダを登場させるシーンを追加しました、結構先でだけどなww

    見てくれる人がいるなんて、こんなに嬉しい事は無い……
    二部の流れがもう少ししたら整理し切れるから、そしたら投下始めます
    相変わらずハエが止まるような速さだけど頑張るよ!

    150 :

    待ってる


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