元スレ咲「ノドカの牌??」
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252 = 25 :
――とある雀荘
和「で、今日はこの雀荘なんですか? 最終ステージって言ってましたけど……」
久「そうね。もう明後日からは本戦が始まる。和もこれが終わったら自宅に帰って、明日はゆっくり休んだほうがいいわ。合宿も、雀荘破りもこれで最後」
和「最後っていうわりには、わりと普通そうな雀荘ですね」
久「中に入ればわかるわよ」
タンッ タンッ チーヤ ロンヤ タンッ ツモヤ タンッ
和(あ……本当だ……いつもの雀荘と違う。ここにいる人たちは……)
久(そうよ。みんなこっちの人じゃないわ)
和(関西……ですね)
254 = 25 :
久(プロ試験を行っている機関は、実は二つあるの。そのうち一つは、和が院生をやってる日本麻雀院。もう一つが……関西麻雀院よ)
和(なるほど。あれ、でも、荒川憩さんは関西人でしたけど、こちらでプロ試験を受けていましたよ?)
久(あの子の師匠の赤阪九段いるでしょ? あの人って関西ではかなり危険視されていてね。だからまぁ、いろいろあるみたいなのよ。
普通は、関西の人は関西麻雀院からプロになるわ。別にそうじゃなきゃいけないってことはないし、例外はいっぱいいるけど)
和(そうなんですか。で、今日は一体誰と打つんです……? やっぱりこの雀荘のナンバーワンとツーを倒すんですか……?)
久(んー、それも面白いけど、今日はちゃんと目星をつけてあってね。えっと……)
?「ようっ、久!! びっくりしたで!! 急に連絡寄越すから。インハイ以来やから十年振りくらいか……?
いやー、なんや、自分、とうとうプロになる気になったんかいなー」
256 = 239 :
ネキか
257 = 25 :
和(この人……知ってる……! 関西最強の若手雀士だ……!!)
久「急な頼みに乗ってくれてありがとね、愛宕洋榎七段」
洋榎(27)「ええってええって。で、こっちの小さいのが例のオモロい院生か。
おおっ、こりゃまた主張の激しいおっぱいやのー。うちの絹とどっこいどっこいかそれ以上かもしれへんな~」
和「久さん……まさか……今日の相手って愛宕七段ですか……?」
久「まさか。洋榎はトッププロよ。まだプロにもなってない和が敵う相手じゃないわ。今日の相手は――」
?「おっ……!! うちのふとももレーダーが反応しとる!!」
?「なんやと!? どこや、どこにおるん!!?」
?「なぁそんなことよりもう一局打とうやー!!」
和(子供の声……!!? なんだか久しく聞いていませんでしたね……!!)
261 = 239 :
ぶれないな
262 :
部長が髭だと倉田は誰がやるんだろ
264 = 25 :
怜(15)「おっ!! あの子やあの子……って!!! ふとももよりもさらに魅力的なおっぱいやと!!?
そ、そんな……う、うち、うちはふともも一筋……決しておっぱいなんぞに浮気なんか……」
竜華(15)「あんた、初対面の女の子、しかも年下相手にセクハラかますってどんだけやねん。見てみいや、驚いて目が真ん丸くなっとるやんか」
セーラ(15)「あれ、あの子、洋榎さんと話とるで……ほな、あの子が例の雀荘破りなんとちゃうん?」
和「え、えっと……この人たちは……」
洋榎「うちのオカンの門下生や。去年、関西麻雀院からプロになった新初段三人組。
いま遠征っちゅうことで、うちがオカンの代理で預かっとるねん。で、なんや、久が腕試しの相手がほしいっちゅうから、ちょうどええと思って連れてきたんや」
久「ホント、何から何までありがとね、洋榎」
洋榎「ええってええって。一緒に失われた夏を過ごした仲間……共犯者やんか」
久「そうね……」
洋榎「ほな……早速始めよかー!」
265 = 24 :
支
266 = 185 :
なるほど千里山勢はここで出て来るか
「失われた夏」か……気になるな
267 = 25 :
――
怜「さて……東の院生かなんか知らんけど……うちの力の前では全てが無力やで……」ゴゴゴゴゴゴ
竜華「こらこら、あんま脅したら可哀想やろ。仲良く打とうや。な?」
セーラ「っちゅうか、そのペンギンはなんなん? 胸置き場?」
和「違いますっ!! これは……その――」
怜「なんでもええわ。ほな、お手並み拝見と行きましょかー」コロコロ
269 = 25 :
――
怜「ツモや。2000・4000!」
久(また一発……私も一発率は高いほうだけれど、この子は異常ね。ここまでは百発百中。他の二人も基本的な力が院生とはまるで違う。
新初段と言っていたけれど……既に三、四段くらいの力はある子たちばかりね)
怜(む……なんや? 洋榎さんがオモロい相手連れてくるゆうから楽しみにしとったのに……あんまパッとせえへんな。まあ、下手なわけやないけど……)
セーラ(やけど……随分落ち着いとるな。この子、うちらの三つ下……まだ小学生。それが、こんなドアウェイにおるのに平然としとる……底が読めへん。
しかし、さっきからなんや顔が赤いけど大丈夫なんか……?)
竜華(時々ぞっとするようなところを切ってくるな。
しかも……驚くべきは第一打以外がノータイムってことや……まさか、何が来たら何を切るって……最初のあの時間で全部計算を終えとるんか……?
いや、まあ、それくらいは大抵のプロができることやけど……にしてもノータイムっちゅうんは訝しいな。迷いとか逡巡ってもんがないんか、この子……)
和()ポー
久(おっ……そろそろお目覚めのようね。もう南入してしまうけれど……ここからがこの子の真骨頂……!!
あの『saki』が消えてしまった今……間違いなくデジタル最強の一人として名が上がる『のどっち』が――デジタルの神の化身が……ここに降臨するっ!!)ゾクッ
洋榎(お、なんかちっこいのの雰囲気が変わったな。怜、竜華、セーラ……気ぃつけや。そいつ……たぶんここから仕掛けてくるで……!)
270 = 185 :
おはよう、のどっち
271 = 24 :
援
272 = 25 :
――
和()ヒュン
洋榎(んー。雰囲気変わったと思うてから……さっきはオリ。今局もまだ二シャンテン……気配も希薄になってしもたし……なんや、期待外れなんか……?
まあ、東場はちょいちょいあったミスが嘘のように消えたっちゅうんは驚きやけどな……)
久(和は数千局スパンで勝率を上げるタイプの雀士……ぱっと見ただけではその強さがわかりにくい。引くときはあっさり引いたりするしね。
けれど……これが一旦攻めに回れば……その速度は飛ぶ鳥すら落とすほど……!!)
和()ヒュン
洋榎(ん……?)
久(あら……?)
怜(む、この一打……一巡前から見えとったけど……一巡経ってもようわからん。
ただ危険牌を打ち出しただけのようにも見えるけど……それだけやと説明がつかへん気がする)
怜(まあ……深く考え過ぎるとド壷に嵌るか……? 別にうちが振り込むことはないんや……普通に回せば大丈夫やろ……)
和()ヒュン
273 = 185 :
咲が和の第1の師匠だとすると、
久は和の第2の師匠になってるなもはや
……あれ、和は誰門下だったっけ?w
274 = 134 :
咲さんが息してない
275 = 59 :
そろそろ咲さん消滅か?
276 = 25 :
咲(ふうん…………面白いね。今の一打は……和ちゃんらしい……)
咲(カンのいい竹井さんや愛宕さんは何かを感じ取ったみたいだけど……今の一打は……一見して不合理なようで……計算上はこれしかないっていう最適な一打。
先の先のずっと先……もう数巡すれば、たぶん和ちゃんの意図にみんなが気付く。
けど……今そのことを理解しているのは和ちゃんだけ。もちろん……竹井さんや愛宕さんなら感性だけでその正解に辿り着いちゃう気がするけどね。
それでも……こと計算力と読みの深さなら……ここにいる誰よりも……和ちゃんは上を行っている……!)
タンッ タンッ ヒュンッ タンッ タンッ タンッ ヒュンッ タンッ
洋榎(ん、おっ……ちっこいのの手牌が……?)
久(伸び悩んでいた和の手が……的確に有効牌を引き入れて進んでいく? そんな魔法みたいな……)
咲(これは……魔法でもなんでもない。元々こうなる確率が一番高かったんだ……自然に場が進んでいるとしたら……この結果は必然……)
怜(ん……嫌な予感するな……おっぱいっ子の手が進んだような気がする。そんなにええ手やなかったように思うたけど……読み間違えてたか……?)
――和『リーチ……』
怜(次巡にリーチやと……?
どないしよ……手出しやから、ここで竜華の捨て牌を鳴けばズラせる感じやが……それやと数巡未来が見えなくなる……別にリーチくらい掛けさせとけばええか……)
278 = 25 :
和「リーチ……」チャ
竜華(おっ、ここで初めてのリーチやね。堅い打ち方するから、てっきり守備型やと思うてたわ……)
怜(さて……どうなるか……)
――和『ツモです。2000・4000』
怜(一発かいな……って、なんや……その手牌……?)ゾッ
怜(待て……待て待て、ちょいタンマや。えっと、その手と捨て牌……それにさっきのあの妙な一打……ってことはなんや、あの時点で既にこのヴィジョンを持ってたんか?)
怜(えっと……計算上はどうなるんやろ。むうううう…………ああ……! 確かに、これが正解やんっ!!
いや、そりゃ言われてみると納得やけど……いま、うちがその正解に辿り着くのにどれだけ時間掛かった……?)
怜(この子はずっと第一打以外ノータイムで切ってる……あの一打のときも、ノータイムであることに変わりはなかった。
ってことは何か、いまうちが必死こいてやった計算を……あの子はあの一瞬で済ませた……もしくは既に計算済みやったってことか……?
そんな化け物みたいな計算力があってたまるかいな……偶然や……!! 偶然……!!)
怜「(ま、まあ……ズラせばええんやろ。幸い、竜華の捨て牌はまた鳴ける……和了り牌はわかっとるんや……こっからなら全然追いつける)チー!」タンッ
竜華(お、怜が鳴いた? ってことは、この子一発やったんか……?
ってことは次のうちのツモが……。もー、せっかくあとちょっとやったのに面倒なことしてくれたわ……まあええ。この場は怜に預けたるわ)
セーラ(怜がズラしたってことは、和了りはないも同然やな……)
和「ツモ。3000・6000」
怜「はああ!!!?」ガタッ
279 = 234 :
280 = 239 :
ま、ズラしても1枚減っただけにすぎないしな
281 = 25 :
怜(一発を消したのに高めツモやと……!!? なんや……ズラしてもおかまいなしか、この子!!
それとも……まさかうちの上を行く未来視能力とかがあって……うちはそれに踊らされただけやったとか……!!?)
和「ど、どうかしましたか?」ポー
怜「いや、その、見えてたもんと違うっちゅうか、見えてたもんより上を行かれたっちゅうか……。えっと、ぶっちゃけた話……あんたにはどこまで見えてるんや……?」
和「何を言っているのかよくわかりませんが、見えるとか見えないとか、そんなオカルトありえません。私に見えるのは、この……捨て牌と得点が並ぶプレイ画面だけです」
怜「は……? がめ、え……?」
和「さあ、これで私の親番ですね……」
怜(なんや……ようわからんけど、別に不思議な力で和了ったわけやないってことやんな。純粋な計算と技術だけで……ここまでの打牌ができるもんかいな。
しかも、ただの偶然とは言うても……裏技使うて和了りを妨害してるうちの上を行きよった……こんな……こんな打ち手が東に――しかも年下におったなんてな……!
世界……広いわっ!!)
283 = 25 :
怜「せや、おっぱいっ子、あんた、名前は?」
和「原村和です」
怜「うちは園城寺怜や。原村さん……今プロ試験を受けてる言うてたけど……必ず合格してや。
ほんでもって、こんな非公式の場やなくて……プロの世界で、いつかうちと戦ってや。そんときを楽しみに待ってるわ!」
竜華「わっ、怜だけずっこい!! 原村さん、うち、清水谷竜華いうねん。プロになったらうちとも打ってな!!」
セーラ「オレは江口セーラや。原村さん、大阪来たときはいつでも愛宕門下に遊びに来てな。大歓迎やでっ!!」
和「みなさん……はい。ありがとうございますっ!!」
怜「ほな、続き打とうか。原村さんには内緒やったけど、実はこれで負けたら洋榎さんにシバかれてまうんや。やから、死んでも負けへんで!!」
和「私だって……特に罰ゲームはないですが、プライドに賭けて負けられません!!」
怜「よっしゃ……勝負はまだまだこれからやでっ!!」
284 = 25 :
お。
――修正
和「何を言っているのかよくわかりませんが、見えるとか見えないとか、そんなオカルトありえません。私に見えるのは、この……牌と得点が並ぶプレイ画面だけです」
285 = 46 :
しえん
286 = 25 :
――
和「ありがとうございました!!」
怜・竜華・セーラ「おおきに~」
洋榎「いやー、やるな、その子。こいつらもええ刺激になったやろ。
今の十代では宮永照あたりが本命やけど、その子もプロになったら中々ええところまで行くと思うで。ま、まだまだうちの敵やないけどな!」
久「ありがとう。また機会があったらよろしくね」
洋榎「おう。久も、油断してると足元掬われんで。気張りや、待っとるからな」
久「うん……ありがと。じゃあ、行こうか、和。家まで送っていくわ」
和「はい。みなさん、お世話になりました」ペコリ
怜・竜華・セーラ「ほなさいなら~」
289 = 25 :
――自宅
和「ふぅ……やたらめったら強かったですね、関西の新初段三人組さん……」
咲(けど、和ちゃんもやられっぱなしじゃなかったよね)
和「はい。院生になってから……順位争いとか、若獅子戦とか、プロ試験予選とか……色々ありましたけど、初めてプロの世界に触れたような気がしました。
私……強くなりましたかね……?」
咲(強くなったよ。技術もそうだけど、精神的な面でも)
和「今、私が咲さんと打ったら?」
咲(もちろん東一局でトぶね)
和「そんなところだと思いました。ホント、咲さんの強さは異次元ですよ。過去の時代ではどうだったんですか?」
咲(もちろん最強だったよ。まさに国士無双。並び立つものが一人もいない状態)
和「今の時代ではどうですか? 赤土さんや、熊倉五花は? 霞先生は?」
咲(たぶん勝てるね。トバすとなるとちょっと本気出さないとだけど)
和「じゃあ……小鍛治九冠は……?」
咲(わからない……あの人だけは……打ってみないとわからない。だから……今……すごくわくわくしてる……いつかあの人と打ってみたい。
今は……それしか考えられないな)
290 = 25 :
和「私がプロになれば、そのチャンスはあるかもですね」
咲(うん、頑張って)
和「そう言えば……もし、小鍛治九冠に勝っちゃったときは……咲さん、どうするんですか?」
咲(どうするんだろうね。私にも、わからないよ)
和「そうですか……」
和(咲さん……なんでしょうか。すごく……寂しそうです。
高い高い山の頂上に咲く一輪の花のように……誰も到達できない頂にいる咲さんの心は……もしかして……いつの時代になっても……ずっと孤独なままなのでしょうか……)
和「咲さん」
咲(ん……?)
和「何かあったら、いつでも言ってくださいね」
咲(はは、和ちゃん。今はプロ試験に集中。私のことは、そうだね、いつかちゃんと話すから……)
和「はい。わかりました。では、今日はこれで寝ますね。おやすみなさい……」
291 = 239 :
しえん
292 = 152 :
じけん
294 = 25 :
和「」スゥスゥ
咲(和ちゃん……寝顔……可愛いな……)スッ
咲(まあ……そうだよね……触れないよね……)スー
咲(仕方ないか。私、死んでるんだし。幽霊なんだし……)
咲(こんなに近くにいるのにな……手が届く距離にいるのにな……触れ合えないなんて……)
咲(麻雀……麻雀となら、いろんな人に触れられる……けど……)
咲(私が触れると……みんな壊れちゃうんだ……)
――森林限界を超えた高い山の上。
――そこに花が咲くこともある。
咲(思い出したくなかったのにな……というか……最初は完全に忘れてたのに……和ちゃん……最初の一人目から……どんどん引き当てていくから……)
咲(もう……全部思い出しちゃったよ。私が……一つ前の……三代目の『宮永咲』が……何をして……どうなったのか……)
咲(部長……まだ……私のこと覚えててくれたんですね……)
咲(照だって……あの頃は小さかったのに……忘れてなかったんだね……一目で私を見つけてくれた……)
咲(他の人もみんな元気そうだったな……私は……私は……)
咲(いや、今は自分のことより、和ちゃんのプロ試験を見守ろう。うん……今は――)
296 = 185 :
三代目とは……
299 = 25 :
――プロ試験本戦・初日
和(とうとう……本戦ですか)
和(予選を勝ちあがった十二人で、二ヶ月間、総当り戦をする。全試合数は495半荘。一日に、午前一回、午後二回、夜一回の計四半荘を行う)
和(それを、延べ42日間――最終日だけは三局で終わるけど――やって、合格者が決まる。一人当たりが打つ半荘数は、実に167半荘)
和(一位と二位に白星が、三位と四位に黒星がついて、白星の数が多い三人が合格。何よりも連対率が問われる勝負方式。
同点の場合はトップ率、次にポイント順で合格が決まる)
和(167個の二倍だから、334個の星を取り合う。去年、照さんは不戦敗の黒星一つで合格した。
荒川さんと辻垣内さんは、不戦敗の黒星一つと、加えて、二人と照さんの三人が同卓する計九半荘の黒星を互いに押し付けあって、結果は荒川さんが黒四つ、辻垣内さんが黒五つ)
和(167回も半荘をやって……二位を下回ったのが多くてたったの六回……人間が成し遂げられる数値じゃありません)
和(けれど……それくらいの数値を出さないと、プロにはなれない……!)
和(行きましょう……自分を信じて……!!)ゴッ
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