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元スレP「安価でアイドルプロデュースしてIA大賞獲得を目指す」
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―――
P(それから雪歩は……緊張の糸が切れたかのように、眠ってしまった)
P(別れの時が近づいてきていることと、何もわからない未来への不安が重なって……)
P(雪歩の小さな体には、大きなプレッシャーがかかっていたのかもしれない)
P(……でも雪歩は、自分の内に秘めた不安をすべて吐き出し……再び立ち上がってくれたようだ)
P(IA大賞……俺達の、夢)
P(もう間も無くだ。もう間も無く……これまで頑張ってきた一年間の、結果が出る)
P(俺はアイドル達のことを、彼女達がこれまで歩いてきた道のことを信じている)
P(だから、きっと……!)
【ある日の風景12 おわり】
【活動54週目 765プロ事務所 朝】
P「さあ、今日も元気にアイドルプロデュースだ!」
P(と、こんなことを言えるのも……もう、最後なんだよな)
P(……いかんいかん。まだ感傷に浸るには早すぎる)
P「さて……みんなの調子は、っと……」
雪歩「プロデューサー、おはようございますぅ!」
真美「おっはよっ、兄ちゃん!」
あずさ「ふふっ、おはようございますー♪」
P(……なるほど。よし、それじゃあ今日はこの子に、意気込みを語ってもらうとしよう!)
P(最後の朝の挨拶。それを締めくくるのに、ふさわしい、この子に……!)
>>360
P「……雪歩!」
雪歩「はいっ!」
P「今日はなんだか、いつもと違って見えるな」
雪歩「えへへ……それはきっと、ユニットのみんなのおかげだと思いますぅ」
雪歩「みんなが、私に元気をくれるから、だから……」
P(……なるほど。よし、ここはこう答えておくことにしよう!)
1 いい感じだな
2 空回りするなよ
>>364
P「いい感じだな、こいつめっ!」
ワッシャワシャ
雪歩「あ、あう、あう……な、なんで頭、わしゃわしゃするんですかぁ?」
P「雪歩が可愛いからだよ! あっはっは!」
雪歩「ぇ、えぇ……も、もう、やめてください~! み、みんないるのに……」カァァ
真美「……ね、ねえ、あずさおね
あずさ「ダメよ、真美ちゃん……邪魔しちゃ、かわいそうでしょ?」
あずあ「もう、こんな光景も……何度も見られないんだから」
真美「……うん。そだねっ! やいやい兄ちゃんっ! 真美も混ぜろ~!」タタッ
あずさ「私も~!」トテテ
P「ああ! みんなまとめて来いっ!」
高木「……時は来た!」
P「うわっ、社長!? なんだか久しぶりな気がしますね」
高木「毎日顔を合わせているのに何を言っているんだね君ぃ……」
高木「ところで、今日のフェスだが……アイドル諸君の様子はどうかな?」
P「……俺達ならこの通り……」
雪歩「えへへ……」
真美「んっふっふ~!」
あずさ「……ふふっ♪」ツヤツヤ
P「ばっちりですよ!」
高木「……うむ! 君の言葉は、勢いがあって実に素晴らしい!」
高木「この調子で、最後まで走り抜けてくれたまえよ!」
みんな「はいっ!」
【活動54週目 首都エリア/ヴァニティプラザ特設会場 昼】
P(……ついに、このときがやって来た!)
P(『FIRE BALL』……IA大賞のノミネートアイドルが一堂に会する、アイドル界最高峰のフェス)
P(アイドルアカデミー連合協会の関係者も、数多く視察に来ているとのことだ)
P(ここで結果を出さなければ、審査にも多大な影響が出るため……、IA大賞を取ることは難しくなってしまうだろう)
P(しかし、勝てば……!)
P「……って、あの姿は……!」
黒井「……では行け! 私のジュピターよ!」
黒井「その圧倒的な力で、すべてのアイドルをケチョンケチョンにしてやるのだ!」
冬馬「フンッ、言われなくても当然だ……どんな相手だろうと俺達なら、楽勝! だぜ!」
P「黒井社長と……ジュピター……!」
黒井「ん? おやおや~?」
P「……お久しぶりですね、黒井社長」
黒井「そこにいるのは、高木のところのおとぼけプロデューサーとその仲間達ではないか」
黒井「こんなところで会うとは奇遇だねぇ。君達は、今日のフェスに見学に来たのかい?」
P「参加を! しに来たんですよ!」
黒井「ハーハッハ! あ、いやこいつは失礼……」
黒井「まさか本当にノコノコと、わざわざ私のジュピターに潰されに来るほどのお馬鹿さん達だとは思わなくてね」
P(くそっ、相変わらず人をバカにしきった態度だ……!)
P(なんとか黒井社長に、一糸報いてやりたいな。でも、どうすれば……?)
1 悪口を言い返す
2 全力で無視する
3 その他
>>372
P「……」
黒井「ハーッハッハ! もう返す言葉もないか!」
P「……」
黒井「まあ、それも仕方あるまい。このセレブで、エレガントで、ゴージャ――
P「……さあ、みんな! 気合を入れていこうな!」
雪歩「はいっ!」
黒井「……ス、な……ううん? ……ゲホン! よく聞こえなかったようだね」
P「相手は、あのジュピターだ。相手にとって不足はない……しかし!」
黒井「……おい、この私を無視して、勝手に話を進めるんじゃあない!」
P「お前達ならできる! なんてったって、これまで俺達は――
冬馬「……おい、何勝手に盛り上がってんだ」
P「……っ! き、君は……!」
黒井「……」
黒井「……」
冬馬「さっきから黙って見てりゃ……自分達ならできる、だと?」
P「……何がおかしいんだ」
冬馬「笑わせるぜ! 765プロは本当に、妄想しがちなバカの集まりらしいな!」
雪歩「……っ……!」
冬馬「……聞いたぜ、如月千早はこのIA大賞を辞退したらしいな」
P「……ああ」
冬馬「その如月の代わりに出てきたのが、お前達みたいな仲良しクラブの甘ちゃんユニットってわけだ!」
冬馬「ハーッハッハ! これがバカじゃなくて、何だって言うんだ!」
P「……俺達は、千早に勝ったんだ。それは実力を認められたってことじゃないのか?」
冬馬「どうせ、裏でコソコソと汚い真似をして勝ったんだろう! 俺はちゃんと知って」
雪歩「そんな言い方、あんまりですぅうう!!」
冬馬「!?」
雪歩「ち、千早ちゃんにはっ! 私達、正々堂々戦って、そして勝ちました!」
冬馬「……」
雪歩「あなたは見ていたんですか!? 私達のフェスを!」
冬馬「いや……見てねーけど……」
雪歩「じゃあもう、勝手なこと言わないでくださいっ!」
真美「ヒューヒュー!」
P「言ったれ言ったれ!」
冬馬「クソッ……なんだよ、お前……前のときもそうやってつっかかってきてよぉ!」
雪歩「最初につっかっかって来ているのは、いつもあなたの方ですっ! 違いますか!?」
冬馬「……いや、確かにそりゃそーかもしんねーけど……」
雪歩「そうでしょう!? だ、だからもう……!」
冬馬「な、なんだよ……また泣くのか!?」
雪歩「泣きませんっ!!」
雪歩「……はぁ、はぁ……!」
冬馬「……フン。お前……萩原雪歩、だっけ?」
雪歩「……はい」
冬馬「そこまで言うなら、覚悟は出来るんだろうな?」
雪歩「覚悟……?」
冬馬「俺達に、全力で倒される覚悟だよ。もう手加減できねーぞ」
雪歩「……手加減なんて、最初からいりません」
雪歩「それに……そんな覚悟も、必要ありませんっ!」
雪歩「私達は、勝ちにきたんですからっ!」
冬馬「へえ……」カチン
冬馬「面白いこと言うじゃねーか」
雪歩「……」
冬馬「それじゃあ、見せてみろよ。萩原……、お前の力をなっ!」
雪歩「……」
雪歩「……見せるのは、私の力じゃありません……」
雪歩「見せるのは……!」
雪歩「私達の力ですっ!!」
雪歩「……私はあなたと違って、ひとりではなんにもできません」
雪歩「ずっとずっと……そうでした。そして、これからもそれは……同じです」
雪歩「くじけそうになったとき、全部全部やめてしまいたくなったとき……これまで何度だってありました」
雪歩「……でも、その度に……!」
雪歩「真美ちゃんが、私を笑顔にしてくれました」
真美「んっふっふ~♪」
雪歩「あずささんが、私を暖かく抱きしめてくれました」
あずさ「……ふふっ」
雪歩「そして……、プロデューサーが……」
P「……」
雪歩「暗闇に迷った私に、最初の一歩をくれました……!」
雪歩「私の隣には、いつだって……、仲間がいてくれたんですっ!!」
雪歩「そうやって、ひとりでは何もできないダメダメな私は……ようやくここまで来れましたっ!」
雪歩「だから……! だからこそ!」
雪歩「だからこそ私達は負けないっ!!」
冬馬「……っ……」
雪歩「ジュピターさん達に勝って……教えてあげますっ!」
雪歩「仲間と一緒にいることの強さを! そして……!」
雪歩「変えてあげますっ! ひとりでなんでも出来ると思っているような、あなたなんて、もう……!」
スゥ……
雪歩「……穴掘って……埋めてやりますぅうううううううぅううう!!!!」
雪歩「……はぁ、はぁ……っ……プロデューサー……!」
P「……ああ。よく言ったな」
雪歩「はい……っ!」
P(こんなとき、いつも雪歩は……自分の言った言葉にこわくなって、俺の元に駆けてきてたのに……)
P(……強くなったな、雪歩……!)
冬馬「……フン。行くぞ、お前ら」
翔太「あっれ~? 冬馬君、もしかして熱くなっちゃった?」
冬馬「はあ? 何言って――
北斗「ま、冬馬の気持ちもわからなくはないかな。ここまでお熱いアプローチを受けたら、そりゃあ、ね」
冬馬「あ、ああアプローチ!? なっ、なななな何言ってんだ!?」
雪歩「違いますぅ! アプローチなんかじゃないですぅ! 私が好きなのは……もごもご」
真美「ゆきぴょんゆきぴょん、ダメだよ! 今そういうアレじゃないんだから! 今はあっちのターン!」
冬馬「お、俺はただなあ……!」
翔太「あははっ! 冬馬君、慌てちゃっておっかしい~!」
冬馬「くっそ……! お前らいつだって、そうやって俺をからかいやがって……!」
北斗「はははっ、冗談だよ、冬馬。俺達だって、ちゃんとわかってるさ」
北斗「……お嬢さん?」
雪歩「……なっ、なんですか?」
北斗「俺達、今日はいつも通り、普通に勝つつもりでいたんだけど……」
翔太「そうだねっ! ちょっと予定変更かも。勝ちが決まってる勝負、なんて思わないようにするよっ!」
北斗「この通り、冬馬が熱くなっちゃったからさ。もし泣いちゃったら……ごめんね? そのときは慰めてあげるから」
雪歩「そ、そんな必要ありませんっ!」
P「そうだそうだ! 雪歩が泣いたときは、この俺が……もごもご」
あずさ「プロデューサーさん、今はあちらのターン、みたいですよ~?」
北斗「ははは、あなた達も、相変わらず仲が良いみたいで何よりですよ!」
P「……余計なお世話だ」
北斗「ああ、これは失礼。それじゃあ……またステージの上で会いましょう。チャオ☆」
翔太「じゃーねっ!」
冬馬「あっ、ちょ、ちょっと、待てよお前ら! ちくしょう、俺の台詞まで奪いやがって……!」
P「……」
P(ジュピターって……もっとこう、クールな連中かと思ってたけど)
P(あの冬馬の扱いを見ているかぎり、意外とそうでもないのかな?)
P(……まあ、関係ないな。相手が誰であろうと……全力を出すだけだ!)
P「よし……じゃあ、俺達もそろそろステージへ向かおう!」
みんな「はいっ!」
―――
スタッフ「皆さん、そろそろ時間なので、お願いします!」
みんな「はいっ!」
スタッフ「お隣のステージでは、ジュピターが本番の準備に入っています」
スタッフ「向こうに負けないくらい、ステージを盛り上げて下さいね!」
みんな「はいっ!」
P「よし、みんな……準備はいいな?」
雪歩「ばっちりですぅ!」
P「……泣いても笑っても、これがIA大賞における、最後のステージだ。だから……」
真美「せっかくなら、笑わなきゃ、だよねっ!」
あずさ「最後まで、みんなと一緒に、私達らしく……ですよね、プロデューサーさん?」
P「……ああ! みんな……これまでの一年間の努力を全て出し切り、そして……」
P「思いっきり、楽しんでこいっ!」
みんな「はいっ!」
―――
雪歩「……みんな! 気合を入れていきますぅっ!」
真美「うんっ!」
あずさ「はいっ!」
雪歩「誰が相手だって、どんな大舞台だって、そんなの関係ありません!」
真美「真美達は、真美達らしくっ!」
あずさ「これまでも、そして……、これからもっ!」
あずさ「3!」
真美「2っ!」
雪歩「……1!」
「「「……トップアイドルーっ!!!!」」」
【フェス FIRE BALL (ロッソストラーダ VS ジュピター)】
ワー ワー
雪歩「……」
雪歩(……これが最後。でも、ここで止まるわけにはいかない)
スゥ……
……―― ARE YOU READY!! I'M LADY!! 始めよう ――……
ワァァアアアア!!!
雪歩(これはまだ、夢の途中。私達は勝って……それでもまだまだ、歩き続ける)
雪歩(私達と、あなたの……大切な夢に向かって……!)
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