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元スレP「安価でアイドルプロデュースしてIA大賞受賞を目指す」
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P(雪歩の言葉を、待とう)
P「……」
雪歩「……」
P「……」
雪歩「……何も、」
P「……?」
雪歩「何も……聞かないんですね」
P「……ああ。雪歩が言ってくれるまで、俺はいつまでも……待つよ」
雪歩「えへへ……なんとなく、わかってました。だって、プロデューサーは……」
雪歩「……いつまでも変わらないで、私の……味方でいてくれるんですよね」
『俺は、いつだって雪歩の味方だよ』
雪歩「……」
『いくらお前の心が変わっても、俺は変わらない。いつだって、頼りにしてくれていい』
雪歩「えへ、えへへ……な、なんだか、あのときのこと、思い出しちゃいましたぁ……」
P「あのとき?」
雪歩「はい……私が、真ちゃんとのこと、プロデューサーに初めて話したとき……」
P「……」
雪歩「私は、あのとき、プロデューサーのこと……ああ、なんて大きくて広い背中を持った人なんだろう、って……」
雪歩「そう……、おも゛っだん……ですぅ……! ……そ、それで、それでぇ……!」
P「……雪歩……」
雪歩「……う、うぅ……! うう゛、えぐっ、ひっぐ……!」
『だから……今は思いっきり、泣いてくれ』
雪歩「……! う、うう……うわああ゛ああん!!!!!」
P(雪歩が、随分と久しぶりに……、涙を流すことが出来た)
P(彼女は泣き虫だ。だけど……ときどき、こうやって、涙を我慢してしまうときがある)
P(それは……こんな風に。自分の心の変化に、戸惑いを隠せないときだ)
P「……落ち着くまで、泣けばいいさ」
雪歩「うぐっ、ずびっ……! え、え゛っ……うわあ゛ぁあああん!」
P(……俺は、雪歩の震える小さな肩を抱きながら、あの日のことを思い出していた)
P(あのときも、こうやって雪歩は……溢れる感情を、涙の形にしてありのままの自分をさらけ出していたんだったな)
「うわあああ゛ああああん!!!!!」
―――
P「……落ち着いたか?」
雪歩「は、はい……ごめんなさいですぅ、何度も何度も……」
P「気にしなくてもいいさ。俺は、雪歩のプロデューサーなんだからな」
雪歩「……あの、プロデューサー……」
P「どうした?」
雪歩「今から、私が何を言っても……私のこと、嫌いにならないでくれますか?」
P「……」
1 当たり前だ
2 約束は出来ない
>>409
P「……当たり前だ」
雪歩「……っ!」
P「雪歩が信じられないなら、俺は、お前がイヤって言うまで叫ぶことも出来るさ」
雪歩「……」
P「……何度も言えるよ。俺が……、雪歩のことを嫌いになるわけない」
ポンポン…
雪歩「! あ、あたま……」
P「……こうすれば、雪歩はすぐ元通りになるんだよな?」
雪歩「そ、そんなに簡単じゃないですぅ!」
P「……」
雪歩「……で、でも……えへ、えへへ……」
ポロポロ…
雪歩「もう……、泣き虫と弱気と……、お別れしちゃったはずなのに……」
雪歩「おかしいですぅ……嬉しいはずなのに、また涙が……ひぐっ」
雪歩「や、やっぱり……! プロデューサーは……ズルイですぅ……!」
―――
P(そのあと、俺は……、今の雪歩の気持ちを聞くことが出来た)
P(雪歩は、時折しゃくりあげながら……、それを一生懸命に語ってくれた)
雪歩「私はもう……いっぱいいっぱい、なんですぅ……!」
P(……雪歩はやはり、無理をしていたらしい)
P(ユニットが有名になるにつれて、雪歩の小さな肩にのしかかる、リーダーのプレッシャー……)
P(あの日、ピピン板橋に指摘された……リーダーとしての力量の無さ)
P(そして何より……言いたい放題に言われて、悔しさでいっぱいのはずなのに、何も言い返せなかった自分の弱さ)
雪歩「いやなんですっ! もう、もう……リーダーとして、みんなを引っ張っていくなんてっ!」
雪歩「もう無理なんですっ! わ、私……頑張っても頑張っても、その先には、もっと大きな頑張りが必要で……!」
雪歩「一体私は……! い、いつまで……頑張ればいいんですかぁっ! うわああああん!!!」
P(雪歩の心の中は……、それらいろんな感情がごちゃまぜに混ざって、真っ黒になってしまっていた)
P(……一体いつまで頑張ればいいのか? それは……俺にもわからない)
P(IA大賞を受賞するまで? アイドルを引退するまで? それとも……死ぬまで?)
P(……そんなこと、この小さな少女に……耐えられる、はずがない)
P(俺は……それが、最初に会ったあのときから、わかっていたはずなのに……!)
P「……」
1 もう、無理しなくてもいいよ
2 もう全部、やめてしまおう
>>416
P「……もう、無理しなくてもいいよ」
雪歩「……え……?」
P「頑張ること、もうやめよう。リーダーとして皆を引っ張っていくのも、つらい思いをしながらアイドル活動をするのも……」
P「ぜんぶぜんぶ、やめてしまおう……」
雪歩「……」
P「俺も……、雪歩には、プレッシャーをかけすぎていたのかもしれない」
P「雪歩が今、どんな気持ちでいるのも知らずに……頑張れ、頑張れ、って」
雪歩「……っ……」
P「……ごめんな」
雪歩「そ、そんな……あ、謝らないでくださいっ! プロデューサーは、何も……!」
雪歩「悪いのは、ぜんぶぜんぶ、私ですっ! わ、私が……こんなに、ダメダメだから……!」
雪歩「私は、いつもあなたの強さに頼って……、それで……っ!」
雪歩「わ、私が……、真っ暗闇の中にいても、プロデューサーが……、いつでもっ!」
雪歩「最初の一歩を……、私にくれて……! だから私は頑張れたんですぅ!」
P「……」
雪歩「だから、謝らないでくださいぃ……! ぷ、プロデューサーに謝られたら、わ、私の……」
雪歩「今までの大切な思い出も、皆との楽しかった記憶も……、ぜんぶぜんぶ! なかったことにっちゃいますぅ……!」
P(雪歩、やっぱり、お前は……)
P「……なあ、雪歩。アイドルは……好きか?」
雪歩「え……?」
P「みんなと一緒に、歌って踊って演技して……ファンの皆を、笑顔にして」
P「そういうの……、もうイヤか?」
雪歩「……それは……」
P「きっと、そうじゃないと思う。だってステージの上の雪歩は……最高に輝いているから」
P「心から楽しんでいないと、あんな笑顔にはなれない。ファンの心を、あれほど掴むこともできない」
P「だから……」
雪歩「……」
P「これからは、ゆっくり、歩いて行こう」
雪歩「……ゆ、ゆっくり……?」
P「ああ。雪歩って、雪を歩く、って書くだろ? ……そんな風にさ」
P「雪の上を、ゆっくりゆっくり……雪が形を変える感覚を、足の裏に感じるくらいに」
P「一歩ずつ、一歩ずつ……踏みしめながら……歩いていこう」
雪歩「……そこに、」
P「……?」
雪歩「そこに……私が歩く、その、隣に……。プロデューサーはいてくれますか?」
P「……もちろんだよ」
雪歩「……」
雪歩「えへへ……、それなら……」
雪歩「それなら、私……もう、ちょっとだけ……頑張れる、かもしれません」
P(……ようやく雪歩が、笑顔を取りもどしてくれた)
P(思いっきり涙を流したあとに浮かぶ、雪歩の笑顔は……、触れたら消える雪のように儚く……)
P(俺は、それを見ながら、初めて雪歩に会った日のことを思い出していた)
P(……けれど、やはり俺の心にはひとつ、どうしても忘れられない事実があった)
P(ずっと隣にいてやる……そんな、叶わないかもしれない約束を、俺はまた……)
【ある日の風景5 おわり】
ゆっくりゆっくり
生きていることを確かめさせながら
死が近づいていることを認識させるんだ
残酷なほどに 優しく
切り刻め
生きていることを確かめさせながら
死が近づいていることを認識させるんだ
残酷なほどに 優しく
切り刻め
>>425
ヒッ
ヒッ
【活動28週目 765プロ事務所 夜】
P(PVの撮影の仕事も終わり、ようやく俺は、東京の765プロ事務所へと帰ってきた)
P(雪歩はどうやら……、頑張る気持ちを、取り戻してくれたようだった)
P(しかし俺達の前には、きっとこれからまだまだ、多くの障害が訪れることだろう)
P(これまで以上に、より一層、気合を入れていかないといけないな!)
―――
P「さてと……来週の予定を確認したし、俺も帰るかな」
高木「ああ君、ちょっといいかな。少し話したいことがあるんだが……」
P「は、はい……えーっと」
P(うわあ、帰ろうとしていたのに、社長に声をかけられてしまった)
P(こういうときは、大体嫌な知らせなんだよな……だけど……)
P「は、はい! 今行きます……」
P(決して断れない……なぜなら俺は、サラリーマンだから……とほほ)
―――
P「……ゼノグラシアが?」
高木「ああ……完敗、だったらしい」
P(……俺の予感は、当たってしまった……)
P(社長からの話、それは……春香達ゼノグラシアが、たった一人の少年に、大きなフェスで負けてしまったというもの)
P(あまりにも圧倒的な力の差を見せ付けられ、そして……最後まで、ろくにアピールもさせてもらえないまま)
P(無残に負けてしまったらしい……)
P「……っ……は、春香達はいま……!」
高木「うむ、それなんだが――
ガチャ
千早「失礼します……社長、お呼びでしょうか?」
高木「おお、如月君……ちょうどよかった、ふたり一緒に、話しておこう」
―――
千早「……っ……。そう、ですか……春香達が……」
高木「ウォッホン! ではまず、君達が最も気になるであろう、今後の彼女達について話しておこう」
高木「……今回のフェスは、いかんせん規模が大きかった。IAUの関係者も、何人か視察に来ていたようだしね」
P「……そこで、負けたとなると」
高木「ああ……ゼノグラシアの、今年のIA大賞ノミネートは、難しくなってしまっただろうね」
P(……ただ負けるのならまだいい。しかし、今回のような完敗となると……)
千早「……春香達は、今どうしているんですか?」
高木「……彼女達は、私が思っていた以上に強い女の子達だった」
高木「少し落ち込んではいたようだが……今ではもう、持ち前の明るさを取り戻したようだ」
P「……」
P(きっと社長は……俺達が必要以上に心配をしないように、ウソをついてくれているんだな……)
高木「私が君達をここに呼んだのは、他でもない。彼について、知っておいてもらおうと思ったのだよ」
高木「ゼノグラシアを、圧倒的な力で倒した、その少年の名前は……」
P「……」
千早「……」
高木「961プロ所属の……天ヶ瀬冬馬だ」
P「……ん?」
P(あま、あまが……せ? どこかで聞いたことがあるような……)
『俺はっ、天ヶ瀬冬馬だっ!! よく覚えとけ!!』
P「……!」
P(アイツか……! あのライブの日、俺達に散々喧嘩を売ってきた、あの茶髪の少年……!)
P(天ヶ瀬冬馬……! 羅刹でもなく、竜馬でもなく……冬馬! この名前、決して忘れないぞ!)
千早「強敵に……、なりそうですね」
高木「ああ実にそのとおりだ……君達も、くれぐれも注意してくれたまえ」
P「……わかりました」
―――
ガチャ… バタン
P「……」
千早「……」
P「なあ、千早」
千早「なんですか?」
P「今の社長の話を聞いて……どう思う?」
千早「……それは……」
P「……」
千早「……ふふっ、たぶん、プロデューサーと一緒です」
P「そうだよな……」
千早「……私も少し、軌道を修正して……本格的にIA大賞を狙ってみるかもしれません」
P「ん? 今までは、狙っていなかったのか?」
千早「い、いえ……そういうわけでは、ないんですけれど……」
P「……何か、他に目標が?」
千早「……私は……」
P「……」
千早「歌姫・歌王子フェスに参加することを、これまでの目標にしてきたんです」
P「……そうだったのか」
P(歌姫・歌王子フェス……IAやIUとはまた違う、アイドルの祭典)
P(本物の実力を持った者でしか、その存在を確認することができない……、幻のフェス)
P(そのフェスを制する者は、その地域の王者として認められる、とのことだ)
P(華やかさが売りのIAとは異なり、完全に実力主義の世界……)
P(まあ、ぜんぶ、社長の受け売りだけどな)
千早「……私はアイドルには、正直あまり興味はありません。でも、そのフェスに限っては、話が別です」
P「歌にこだわる千早らしいよ……それに参加することは、一流のアーティストとして世間に認められることも同じだからな」
千早「ええ。だけど……、しばらくは、私はその目標を、封印したいと思います」
P「……」
千早「私は、アイドルになります。そして……、961プロの、その天ヶ瀬冬馬を……!」
P「……俺だって、同じ気持ちだ。春香達の夢を、終わらせたアイツを……絶対に!」
P・千早「「倒す!」」
千早「……ということで、プロデューサー。実は、お願いがあるんですけれど……」
P「ん? なんだ、協力できることがあるなら、なんでもするぞ」
千早「本当ですか! ああ……良かったです、そう言ってもらえて」
P「同じ希望に燃える仲間同士だからな……それで、なんだ? お願いって」
千早「……あの、そのですね……わ、私を……」
千早「プロデュース、してくれませんか?」
【活動28週目 おわり】
>>437
乙
乙
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