元スレ古畑「another……?」
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301 = 196 :
ピカチュー、ジューマンボルトッ ピィカチュゥゥ!
怜子「それよりポケモンなんて見てるのね、珍しい」
古畑「んふふ、見るものが何にもない時はよく見ていたもので」
怜子「へぇ。でも中学校じゃ、下校したころには」
古畑「東京じゃ夜にやってるんですよ。こっちじゃ夕方みたいですけれど」
怜子「あぁ、あるわねそういうの。ドラマなんかが放送しないってこともあるわ」
古畑「と言いますと?」
怜子「去年流行ったドラマあるでしょ、木村拓哉が主演の。あれなんかは時間帯がズレるだけでよかったけど」
古畑「あぁ、夏に放送していた」
怜子「いや、秋から冬だったでしょ。ゲレンデのシーン、印象的だったもの」
古畑「あぁ、そうでしたっけ……」
302 = 128 :
探りを入れてきたか
303 = 196 :
怜子「……あんまり訊きたくないけど、探索のほうは順調?」
古畑「うーん、なんともいえないところです」
怜子「本当は止めたいところなんだけどね。任三郎君にとっては、お父さんのこともあるだろうから」
古畑「弔いってつもりはないんですけどねえ。正直、よく覚えていない父親ですし」
怜子「そっか……くれぐれも気をつけてね。私も出来る限りのことはするから」
怜子「あんまり、頼りにはならないかもしれないけど」
古畑「そんなことは全く。怜子さんは今の3組をまとめているだけでも凄いものです」
怜子「……うん、ありがとう。それじゃ、私余った仕事やらなくちゃいけないから。それじゃ」
古畑「……」
304 :
この頃ってポリゴンショックの頃か
306 = 196 :
古畑「うーん……」ガサゴソ
怜子「ん? 任三郎君、また兄さんの写真さがしてるの?」
古畑「んー、いやぁ。この間落とした絵の中に気になったものがありましたもので」ガサゴソ
怜子「へえ。美術部に興味が出てきたり?」
古畑「そこまではまだぁ、ふふふ。そういえば、見崎さんも美術部でしたよね。昔からああいった方で?」
怜子「……ああいった、っていうと語弊があると思う。先輩後輩問わず話しかけてる所はよく見かけたし」
怜子「それに部活にも毎回来る子だしね。ただ、あんなことがあった以上は、寡黙になるのも仕方ないわ」
古畑「実際に絵の指導などしていかがですか」
怜子「そうねえ、あの子家がお人形屋さんをしてるのよ」
怜子「ちゃんとしたモデルに触れてるからか、等身やバースの取り方がすごくうまいの」
怜子「でも、描く人間の表情は暗かったり、時々腕や目のない絵を書いたりしてね。もっと明るい絵を描いてほしいんだけど」
怜子「まあ所詮は部活動だし、それ以上口出しはできないでいるわ」
古畑「そういえば、見崎さんの絵はこの家に」
怜子「……ないわね、うん。そもそも、たいていは卒業した時に余ったのをもらうって感じだもの」
307 = 196 :
古畑「なるほど……あ、これだ」ピラッ
怜子「ああ、それ。好きなのね、そのおどろおどろしい絵」
古畑「ええ。そういえば、誰のものか思い出せましたか?」
怜子「あぁ……思い出すのも忘れてたわ。色々あったから……」
怜子「でも、やっぱり誰のものか思い出せないわね……」
古畑「この辺の絵が誰のものかすべて思い出すってことは無理ですものね」
怜子「だけど直感だったりで思い出せるはずなんだけどね。裏に名前を書いてるものもあるし」
古畑「『M』。やっぱり望月君のものじゃ?」ジィ
怜子「そんな記憶はないんだけど……」
古畑「……あれ、『M』の横に……」ボソッ
祖母「怜子、任三郎ちゃん、ご飯出来たわ」
怜子「あぁ、はぁい。先行ってるわね、任三郎君」スタスタ
古畑「『R.M』……」
308 :
おさーるさーんだよー
309 = 219 :
出かけるから保守頼んだ!
310 = 196 :
学校
古畑「あぁ、やっぱり……」
体育教師「だけど、こんなこと聞いてどうするんだ。4月に職員室で……」
古畑「いえこちらの都合です。ところで、三神先生はここに三年間勤務なさっているんですよね」
古畑「どういった教師ですか、先生から見まして」
体育教師「あぁ、といってもこれは話していいものかなあ……まあいいか」
体育教師「一年目にしていきなり3年3組の教師に抜擢されて、大変だろうと思ったんだが」
体育教師「立派に勤めていらっしゃったよ。いくら在校経験があるとはいえな」
古畑「具体的には」
体育教師「……実はその年、例の対策に選ばれた生徒が役目を放棄する事態が起きてしまったんだ」
体育教師「何人も死んでしまったからには、その生徒は人間不信どころか負い目まで感じてしまってな」
体育教師「家に引きこもってしまった生徒を、三神先生は自宅に行くなり電話するなり必死にケアなさっていた」
古畑「はぁ、素晴らしいことです」
体育教師「あとは、お前も大体わかってるはずだと思うが」
311 = 196 :
美術室
古畑「……」ポンポン ジィ ピラッ
ガラッ
望月「あれ、古畑君。珍しいね。もしかして……」
古畑「美術部に入る気はないよ」
望月「あ、そっか……」ショボン
望月「ところで、その絵は……」
古畑「いつか言った君が描いたんだろうと睨んでいる絵」ピラッ
望月「……ホントだ、僕の絵だよ。これ、三神先生の家にあったの?」
古畑「うん。どういう点で君の絵だと思ったの?」
望月「……」ボー
古畑「……望月君?」
望月「えっ? あっ、ご、ごめん。えっとそうだな、これ油絵っていうんだ」
312 = 181 :
しえん
313 = 196 :
望月「ざっくりいうと油絵って絵の具が他の絵とは違ってね」
望月「特に溶き油っていって、絵の具のノリをよくする水みたいな役割をするものがある」
望月「けれど、僕はこの溶き油の扱いに苦労して、色のムラが出来たり他の色と混ざったりすることが多くてさ」
望月「今はそうでもないけど、初めの頃の特徴がよく出てるんだよ、これ。雑でしょ」
古畑「そうかぁ、でももっと具体的に言えるところ、ない?」
望月「えっと……あっ、ここ。サインが描いてるでしょ、隅の方に」
古畑「ああ、この『R.M』?」
望月「違う違う、反対の方。小さく『Y.M』って書いてるんだ。絵画の中にサインを隠す人がいてね、そのちょっとした真似みたいなもので」
古畑「えっと、じゃあこの『R.M』は」
望月「『R.M』? ……あっ、確かに書いてるね。しかも、僕のもの。でも、これは……」
古畑「……」
314 = 196 :
古畑「ところで何描いたのこれ。真ん中に茶色の塊があって周りは黒やら深い緑やらで暗く覆われてるけど」
望月「えーと……あれ、何を描いたんだっけ? そもそも、こんな絵……?」
古畑「いや、君が忘れてどうすんのさ」
望月「ううん、ごめんね、本当に思い出せないんだ……」ピラッ
古畑「そういえばこれムンクのあれに似てる感じだね、ゆらゆらしてる感じで」
望月「あぁ、そうだね……これさ、三神先生の家にあったんだよね?」
望月「もしかしたら僕のデッサンを三神先生が仕上げてくれた?」
古畑「なんでそんなことする必要があるの。大体塗り方まで君に似せられるの」
望月「だよね、あはは……」ジィ
古畑「……ふぅん」
316 = 196 :
ガラッ
古畑「あぁ、見崎さん、こんにちはぁ」
見崎「……美術部に興味があるの? 古畑君」
古畑「えー、実はさほど。ふっふっふ」
見崎「となると望月君と対策会議、か。ねえ、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
望月「えっ、なにを?」
古畑「死者が誰か、ですね」
見崎「色々な所に訊き込みしてるから、きっとそろそろ証拠が集まってると思うんだけど」
見崎「それに、私も話さないといけないことがあるしね」
古畑「……左目のことですか」
望月「えっと……」
見崎「そう。今更冗談なんて言うと思わないでね」シュルッ スッ
望月「あっ、見崎さん、その目……」
見崎「……この左目はね、死の色をみることが出来る」
見崎「生きている人とは違う色、つまり、死者だけ特別な色で見ることが出来るの」
318 = 196 :
望月「そ、それってどういう……」
見崎「死の色、といっても形容がしがたいものなんだけど。ドロドロした緑に包まれて、時折黒が交じって」
見崎「まぁ、そんなことはどうでもいいや。私は写真からだって死の色を見ることが出来る」ドサッ
望月「アルバム、これって26年前の……」
見崎「夜見山岬は一目瞭然だから、古畑君のお父さんが誰か、当ててあげる。これでしょ、襟足が長くて、微笑みを浮かべてる人」
古畑「……」コクリ
見崎「……といっても、事前に調べることはできるから眉唾でしょうけど」
古畑「いえ、信じますよ」
見崎「……」
古畑「大変な勇気をもって、その事実を教えてくれたのだとお察しします」
古畑「今まで、今の今まで事実を隠していらっしゃったのも、私を慮ってくれたのだとお察しします」
望月「それってどういう……」
見崎「そう。死者は三神先生よ」
319 = 236 :
展開早いな
320 = 196 :
望月「……えっ?」
見崎「……」
暗転
古畑「えー、長きにわたってお付き合いいただきありがとうございました。紆余曲折を経て、この難事件は解決できそうです」
古畑「この事件を難事件たらしめているのは、他の事件と違い、決して嘘をつかない人間を相手にするということです」
古畑「もっとも一方では、現象自体は嘘を付くので、あまりに完璧な嘘を見抜く戦いであったのかもしれません」
古畑「そんな中でいえることが三つほど」
古畑「一つ目は人の手であろうと人外の手であろうと、やはり完全犯罪などありえないということです」
古畑「二つ目は<いないもの>なんていう対策は考えない方がいいということ」
古畑「原作にとって<いないもの>である私が言えた立場でもありませんが」
古畑「三つ目は……んー、やはり『Another』は面白いということです」
古畑「綾辻行人さん原作の『Another』、ハードカバーは1995円。文庫版は上下巻各700円」ドサッ
古畑「えー、こちらはコミカライズ。清原紘さん作画で全4巻、それぞれ角川書店から」ドサッ
古畑「Blu-ray&DVDは現在第2巻までが発売中、5月25日には3巻が、そして5月26日には完全受注限定の0巻が……」カタッ
古畑「……あ、これはもう受注が終了しているようです。ふっふっふ、古畑任三郎でした」
321 = 196 :
宣伝も終わったのでちょっと出かけてきます
1時間くらいで戻ってこれるかなあ、と
322 = 236 :
乙
綾辻さんは初期の館シリーズが一番好きだ
323 = 308 :
ふう
326 :
宣伝って…
なんだこのスレ
328 :
アマゾン「0巻販売はまかせろー!」
330 = 308 :
こ
332 = 328 :
こ
333 :
いーまいーずーみーはかーわいーいー
334 = 181 :
ほ
335 = 308 :
む
336 :
ほ
338 = 179 :
ほ
339 = 188 :
保守はまかせろー
341 = 173 :
ほ
342 :
教室
勅使河原「なぁニン、死者がわかったのは、受け止めるけどさ。俺達、大丈夫なのかな」
勅使河原「たとえば、その事実を告げた瞬間に……」
古畑「それしか方法がないんだよ。別に帰ってもいい。むしろ恐れるのが普通さ」
勅使河原「うっ……」チラッ
望月「……」
勅使河原「はぁ……わーった。どうせ乗りかかった船だ」
勅使河原「それに、仮に大丈夫だったときに立ち会わなけきゃ誰が死者かどころか、お前達の苦しみも忘れちまうかもしれねえからな」
古畑「ありがとう、勅使河原君」
勅使河原「……お前に感謝されるっていうのも、なんかむず痒いな……」
ガラッ
一同「!」
344 = 342 :
三神「……皆、どうしたの、集まって私に用事だなんて」
古畑「えー、実は大事なことを聞いてもらいたくてお呼びいたしました。まずはこちらをお聞きください」
カチャッ ジィィィ
松永『ええと、俺の名前は松永克己。1983年度の3年3組の生徒だ』
三神「えっ、マ、マツ?」
松永『俺がこのテープを残そうと決めたのは、2つの理由があるんだ。一つは俺自身の、罪の告白』
松永『もう一つは、後輩である君達にアドバイスを伝えたい』
三神「そ、それって……うっ」ズキッ
望月「み、三神先生!」
松永『そこで思い当たった。そいつがクラスに紛れ込んだ<もう一人>なんだって』
松永『まだ10日くらいしか経ってないけど死者も出ていないから、災厄は止まったと見て良いんだと思う』
三神「う、ううっ……」ガクッ
勅使河原「三神先生、大丈夫ですかっ!?」
古畑「……」
347 = 342 :
松永『どうやったら災厄を止められるか。死者を死に返す。<もう一人>を殺すんだ。これが唯一の方法だ』
三神「はぁ、はぁっ……」ズキズキ
古畑「お辛い思いをさせて申し訳ありません。ですが、これを聞いていただかなくては話は始まらないのです」
三神「そうね……でも、こんなこと、無理に決まってるわ……」スクッ
古畑「仮に生徒が死者ならばそうです。ですが」
古畑「死者が教師であるならば、殺しという手段に訴えなくても可能であると存じます」
三神「えっ……? ちょっと、待って、私が、死者だっていうの?」
古畑「……」コクッ
三神「そ、そんなっ……しょ、証拠は」
古畑「まず一つは職員室のことです。三神先生、4月になにがあったか思い出せませんか?」
古畑「災厄に関することなのですけれども」
三神「……ごめんなさい、思い出せないわ」
349 = 342 :
古畑「でしたか。確認しますが、災厄が<ある年>か<ない年>かを判定するには」
古畑「座席が一つ足りないという事態が起きていなければならない。そこでなんですが」
古畑「実は四月に配置が変わった時に、職員室の座席が一つ足りないという事態が起きていたそうです」
三神「……あっ」
古畑「まあ瞬時に思いだせないのも無理はない。滅多に起こらないことですから。ただ、この学校の場合は別です」
古畑「覚えている教師が何人かいらっしゃいました。最早座席は補われ、そうした証拠はなくなっておりますが」
古畑「しかしですよ、そもそも3組は今年は<ない年>だと判断されていたんです。始業式には座席が過不足なくあった」
古畑「<いないもの>も作らずに済んだ。だけど災厄は始まってしまった」
三神「……で、でも座席が足りないことを、3組の皆が確認し忘れた可能性だって」
古畑「確かに痕跡が消え、それを証明する方法もない以上この証拠は不十分です」
古畑「しかし、三神先生が死者だとする手掛かりには十分だ。何より、証拠はまだあります」
350 = 268 :
キテター
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