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元スレ古畑「another……?」
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古畑「……嘘つきのパラドックスってご存知でしょうか? あるクレタ人がいいました、全てのクレタ人は嘘つきである、と」
古畑「しかしこれ、実際はパラドックスじゃないそうです。全てのクレタ人は嘘つきであるの反対は、あるクレタ人は嘘つきでない」
古畑「つまり『あるクレタ人は嘘つきである』も成立するため、発言者であるクレタ人が偽りを述べたとしても不思議はない」
古畑「んー、とはいえ矛盾しながらも成立している言葉はあるものです」
古畑「『悪意なき悪意』、『公然の秘密』、『天使のような悪魔の笑顔』」
古畑「……いずれにせよ、そうした言葉がふさわしい状況に出くわした時、我々は困惑してしまうものです」
古畑「こんな言葉はどうでしょう? 『生きている死者』」
古畑「……今日は私のちょっとした昔話にお付き合いください」
古畑「しかしこれ、実際はパラドックスじゃないそうです。全てのクレタ人は嘘つきであるの反対は、あるクレタ人は嘘つきでない」
古畑「つまり『あるクレタ人は嘘つきである』も成立するため、発言者であるクレタ人が偽りを述べたとしても不思議はない」
古畑「んー、とはいえ矛盾しながらも成立している言葉はあるものです」
古畑「『悪意なき悪意』、『公然の秘密』、『天使のような悪魔の笑顔』」
古畑「……いずれにせよ、そうした言葉がふさわしい状況に出くわした時、我々は困惑してしまうものです」
古畑「こんな言葉はどうでしょう? 『生きている死者』」
古畑「……今日は私のちょっとした昔話にお付き合いください」
某日 ダム
バシャァン!! ブクブクブク...
???「……」ニヤァ
見崎「……っ」ガクガク
ザザァ...
バシャァン!! ブクブクブク...
???「……」ニヤァ
見崎「……っ」ガクガク
ザザァ...
病院
怜子「町の真ん中を南北に流れているのが、夜見山川ね。橋が二つかかってるでしょう?」
怜子「その北側の向こう岸に、グラウンドが見えないかな?」
古畑「……うーん」ポンポン
怜子「任三郎君、聞いてる?」
古畑「わっかんないなー。怜子さん、八文字で危うい状況を指す言葉、わかりません?」
怜子「……夜見山には、興味なかったりするかな?」
古畑「興味はありますよぉ。でも今じゃなくてもいいでしょう?
古畑「どちらかといえば今優先すべきなのはこっちなんです」
古畑「クロスを解けば沖縄へのペア宿泊券をプレゼント、んん? これ応募期限過ぎてるや、残念」
古畑「でも喉に引っかかってるからやっぱり優先すべきことは間違いない。八文字で危うい状況、ね?」
怜子「町の真ん中を南北に流れているのが、夜見山川ね。橋が二つかかってるでしょう?」
怜子「その北側の向こう岸に、グラウンドが見えないかな?」
古畑「……うーん」ポンポン
怜子「任三郎君、聞いてる?」
古畑「わっかんないなー。怜子さん、八文字で危うい状況を指す言葉、わかりません?」
怜子「……夜見山には、興味なかったりするかな?」
古畑「興味はありますよぉ。でも今じゃなくてもいいでしょう?
古畑「どちらかといえば今優先すべきなのはこっちなんです」
古畑「クロスを解けば沖縄へのペア宿泊券をプレゼント、んん? これ応募期限過ぎてるや、残念」
古畑「でも喉に引っかかってるからやっぱり優先すべきことは間違いない。八文字で危うい状況、ね?」
怜子「のっぴきならない?」
古畑「の・っ・ぴ・き・ならな、あ、本当だぁ。さすが怜子さん」カリカリ
怜子「不安じゃないの? 友達が出来ないかとか」
古畑「見たことがないのに不安も何もありませんよ。証拠がないのに推理を始めるようなものです」
怜子「……」
古畑「うーん、97年のオリコンシングル年間一位を取った歌手……」ポンポン
怜子「……安室奈美恵」
古畑「あ・む・ろ、うん、お見事」カリカリ
古畑「の・っ・ぴ・き・ならな、あ、本当だぁ。さすが怜子さん」カリカリ
怜子「不安じゃないの? 友達が出来ないかとか」
古畑「見たことがないのに不安も何もありませんよ。証拠がないのに推理を始めるようなものです」
怜子「……」
古畑「うーん、97年のオリコンシングル年間一位を取った歌手……」ポンポン
怜子「……安室奈美恵」
古畑「あ・む・ろ、うん、お見事」カリカリ
水野「今日もホームズですか。探偵少年。他に読むものないの? 少年探偵団とか」
古畑「あれは推理物とは言えません。乱歩なら人間椅子や芋虫を読んだ方がずっといい」ペラ
水野「はぁ……それより今日は夜見北中からお友達が来てくれたの、どうぞ」
風見「……僕達、3組の代表として来ました。僕は風見智彦、クラス委員をやっています」
桜木「同じく、クラス委員の桜木ゆかりです。こっちは……」
赤沢「赤沢泉美よ」
古畑「わざわざご足労いただいて痛み入ります。ちなみに、そちらの方はどういった役職で」
赤沢「……対策係、としか言いようがないわ。転校してきたんでしょう? そのことで、色々とね」
古畑「対策、はぁ。色々というと?」
桜木「あ、あの、これ皆からの……」
赤沢「……いいわ。夜見北、厳密に言えば3年3組にはよくない噂があってね」
古畑「……詳しくお聞かせ願いますか?」
古畑「あれは推理物とは言えません。乱歩なら人間椅子や芋虫を読んだ方がずっといい」ペラ
水野「はぁ……それより今日は夜見北中からお友達が来てくれたの、どうぞ」
風見「……僕達、3組の代表として来ました。僕は風見智彦、クラス委員をやっています」
桜木「同じく、クラス委員の桜木ゆかりです。こっちは……」
赤沢「赤沢泉美よ」
古畑「わざわざご足労いただいて痛み入ります。ちなみに、そちらの方はどういった役職で」
赤沢「……対策係、としか言いようがないわ。転校してきたんでしょう? そのことで、色々とね」
古畑「対策、はぁ。色々というと?」
桜木「あ、あの、これ皆からの……」
赤沢「……いいわ。夜見北、厳密に言えば3年3組にはよくない噂があってね」
古畑「……詳しくお聞かせ願いますか?」
風見「……26年前の夜見北に、夜見山岬っていう、すごく人気のあった男子生徒がいたんだ」
風見「勉強も運動もできて、友達も多かった」
風見「けれどその生徒が突然、事故で亡くなった。そのことを受け止められない生徒も多くてね」
赤沢「その時、ある生徒がこう口走ったらしいの。あいつは死んでなんかいない、ここにいる、って」
赤沢「当然妄言よ。でも、気持ちを落ち着かせるためには、他の生徒や教師も協力しなければならなかった」
桜木「結局、卒業までそれは続いて、卒業式にもその生徒の椅子が用意されたそうです」
桜木「それだけなら、良い話でした。けれど、卒業写真に、本当に写っていたんです。その生徒が……」
古畑「はぁ。それで、その後は?」
風見「……以来、始業式が来るたびに、3組の座席が一つ足りないという事態が起こり始めたんだ」
風見「それに伴って3組の生徒、教師、およびその二親等以内の家族が次々に死んでいくようにもなった」
古畑「……ふぅん」グリグリ
風見「勉強も運動もできて、友達も多かった」
風見「けれどその生徒が突然、事故で亡くなった。そのことを受け止められない生徒も多くてね」
赤沢「その時、ある生徒がこう口走ったらしいの。あいつは死んでなんかいない、ここにいる、って」
赤沢「当然妄言よ。でも、気持ちを落ち着かせるためには、他の生徒や教師も協力しなければならなかった」
桜木「結局、卒業までそれは続いて、卒業式にもその生徒の椅子が用意されたそうです」
桜木「それだけなら、良い話でした。けれど、卒業写真に、本当に写っていたんです。その生徒が……」
古畑「はぁ。それで、その後は?」
風見「……以来、始業式が来るたびに、3組の座席が一つ足りないという事態が起こり始めたんだ」
風見「それに伴って3組の生徒、教師、およびその二親等以内の家族が次々に死んでいくようにもなった」
古畑「……ふぅん」グリグリ
赤沢「もちろん呪いだとか災いだとか、信じられない話よ。けれど、何年も続く以上は認めなければならなかった」
赤沢「亡霊の執念が強いあまり、一人の生徒、<もう一人>として3組に現れるようになった、ということをね」
古畑「ん~、すいません、突拍子もない話なので呑み込むのに手間取ります。二、三うかがわせてください」
古畑「まず、26年前に死んだ生徒が現れるわけではないのですよね?」
風見「はじめはその生徒の弟か妹が増えていたっていう説がある。ともかくそこで、次々と他の生徒が死ぬようになった」
風見「その後は3組に在籍した時に死んだ生徒が蘇るらしい」
古畑「わかりました。次、そこまで仰るのならば怨霊が人をあやめる力を持っていると見ていらっしゃる」
古畑「では、動機は?」
桜木「正確にはわかりません。人知を超えていることですし……」
赤沢「亡霊の執念が強いあまり、一人の生徒、<もう一人>として3組に現れるようになった、ということをね」
古畑「ん~、すいません、突拍子もない話なので呑み込むのに手間取ります。二、三うかがわせてください」
古畑「まず、26年前に死んだ生徒が現れるわけではないのですよね?」
風見「はじめはその生徒の弟か妹が増えていたっていう説がある。ともかくそこで、次々と他の生徒が死ぬようになった」
風見「その後は3組に在籍した時に死んだ生徒が蘇るらしい」
古畑「わかりました。次、そこまで仰るのならば怨霊が人をあやめる力を持っていると見ていらっしゃる」
古畑「では、動機は?」
桜木「正確にはわかりません。人知を超えていることですし……」
風見「本来あるべき生徒数、つまり始業式に揃うはずだった、一人少ない生徒数に修正しているという仮定があるんだ」
風見「自分が<もう一人>であると自覚した上で、事実に耐えられないから辻褄を合わせるために、ということだね」
赤沢「けれど過去の3組の名簿を調べると、複数の死者がいる例があるからそれはない」
赤沢「もう一つは<もう一人>が自分であると知られたために、というもの」
古畑「ということは、他の三組の生徒は増えた生徒が誰であるか、わからない?」
赤沢「恐らく<もう一人>さえ自覚していないと思うわ」
赤沢「誰かを殺すのも無意識、もしくは本人を超えた力が働いている。それに殺人能力だけじゃない」
赤沢「<もう一人>は戸籍、経歴といったあらゆる記録、記憶が改竄されたまま、3組に所属する」
古畑「あくまでさりげなく3組の人間として、学生生活を送るために、ですか」
桜木「<もう一人>が3組から去った時、卒業した時にあらゆる記録、記憶は失われるそうです」
桜木「3組ではこのことをひっくるめて、現象、と呼んでいます」
古畑「……」グリグリ
風見「自分が<もう一人>であると自覚した上で、事実に耐えられないから辻褄を合わせるために、ということだね」
赤沢「けれど過去の3組の名簿を調べると、複数の死者がいる例があるからそれはない」
赤沢「もう一つは<もう一人>が自分であると知られたために、というもの」
古畑「ということは、他の三組の生徒は増えた生徒が誰であるか、わからない?」
赤沢「恐らく<もう一人>さえ自覚していないと思うわ」
赤沢「誰かを殺すのも無意識、もしくは本人を超えた力が働いている。それに殺人能力だけじゃない」
赤沢「<もう一人>は戸籍、経歴といったあらゆる記録、記憶が改竄されたまま、3組に所属する」
古畑「あくまでさりげなく3組の人間として、学生生活を送るために、ですか」
桜木「<もう一人>が3組から去った時、卒業した時にあらゆる記録、記憶は失われるそうです」
桜木「3組ではこのことをひっくるめて、現象、と呼んでいます」
古畑「……」グリグリ
風見「……ごめん。こんなこと、いきなり言われても信じられないよね」
古畑「いやぁ、お気遣いなく。サスペンスやホラーは小説で慣れております、んふふ」
桜木「一応、災厄がない年というのもあるそうなんです。始業式に座席がぴったりであれば、おそらく」
風見「ねえ、あれは……」ヒソヒソ
赤沢「……私に対策係という名前がついているからには、クラスでもそれなりのことはやっているの」
赤沢「今日は詳しく言えないけれど、事が事だから、あなたにも協力してもらう時があると思うわ」
赤沢「よろしくね、古畑君」スッ
古畑「……はい、こちらこそ」ニギッ
風見・桜木「……」
赤沢「……じゃあ、私たちはこれで。わからないことがあったら、教室で」パッ
古畑「その際はお世話になります」
古畑「いやぁ、お気遣いなく。サスペンスやホラーは小説で慣れております、んふふ」
桜木「一応、災厄がない年というのもあるそうなんです。始業式に座席がぴったりであれば、おそらく」
風見「ねえ、あれは……」ヒソヒソ
赤沢「……私に対策係という名前がついているからには、クラスでもそれなりのことはやっているの」
赤沢「今日は詳しく言えないけれど、事が事だから、あなたにも協力してもらう時があると思うわ」
赤沢「よろしくね、古畑君」スッ
古畑「……はい、こちらこそ」ニギッ
風見・桜木「……」
赤沢「……じゃあ、私たちはこれで。わからないことがあったら、教室で」パッ
古畑「その際はお世話になります」
廊下
風見「どうだった?」
赤沢「何事もないわ、普通の暖かい手。でも、転校してくるというのが、怪しいわね」
桜木「本当に話してもよかったんでしょうか……それに、『いない者』のことは……」
赤沢「話題にしたらどうなるかわからない以上は教えないほうがいいと思う。自然にわかってもらうのが一番良いわ」
赤沢「なまじ詳しく話して、同情なんて持たれたら困るもの」
風見「……そうだね、うん、そのほうがいい」
風見「どうだった?」
赤沢「何事もないわ、普通の暖かい手。でも、転校してくるというのが、怪しいわね」
桜木「本当に話してもよかったんでしょうか……それに、『いない者』のことは……」
赤沢「話題にしたらどうなるかわからない以上は教えないほうがいいと思う。自然にわかってもらうのが一番良いわ」
赤沢「なまじ詳しく話して、同情なんて持たれたら困るもの」
風見「……そうだね、うん、そのほうがいい」
夜 病棟
チンッ ガチャッ
古畑「……」ポチッ
ガーッ...
古畑「夜見山北中学の方ですか」
見崎「……」
古畑「このたび転入してきた古畑と申します。御縁があった際にはよろしくお願いします」
見崎「……」
古畑「地下に何のご用事が?」
見崎「……届け物があるの。待ってるの、可哀想な私の半身がそこで」
古畑「……」
チンッ ガチャッ
古畑「……」ポチッ
ガーッ...
古畑「夜見山北中学の方ですか」
見崎「……」
古畑「このたび転入してきた古畑と申します。御縁があった際にはよろしくお願いします」
見崎「……」
古畑「地下に何のご用事が?」
見崎「……届け物があるの。待ってるの、可哀想な私の半身がそこで」
古畑「……」
グゥーン...
古畑「夜見山北中の、何年生でしょうか?」
見崎「三年生」
古畑「私と一緒です。えー、なにぶん右も左もわからない土地に来たものですから、不安もございまして」
見崎「……」
古畑「でもフジテレビは映るようで助かりました。ところによっては映らない地域もあるそうですから」
古畑「月曜の9時にドラマを見てからSMAP×SMAPへ直行、それが嫌な月曜日のせめてもの癒しなんです」
見崎「……」
古畑「あのぉ、ご興味はございませんか」
見崎「……」フルフル
古畑「くっくっく、失礼しました」
古畑「夜見山北中の、何年生でしょうか?」
見崎「三年生」
古畑「私と一緒です。えー、なにぶん右も左もわからない土地に来たものですから、不安もございまして」
見崎「……」
古畑「でもフジテレビは映るようで助かりました。ところによっては映らない地域もあるそうですから」
古畑「月曜の9時にドラマを見てからSMAP×SMAPへ直行、それが嫌な月曜日のせめてもの癒しなんです」
見崎「……」
古畑「あのぉ、ご興味はございませんか」
見崎「……」フルフル
古畑「くっくっく、失礼しました」
レーチャンや親父の「一年半ぶりの夜見山は~」、祖父の可哀想にはかなりのヒントになるかと
地下二階
チーン ガチャンッ
『機械室 ボイラー室 霊安室』
古畑「お名前を教えていただいてもよろしいでしょうか?」
見崎「鳴、見崎鳴」
タッ、タッ、タッ、タッ...
古畑「ありがとうございます。またどこかでお会いしましょう」
見崎「……」スタスタ
古畑「あ、ミサキさん! どういう字をお書きになるんですか!?」
見崎「……」クルッ
見崎「たぶん、そのうちわかると思う」
古畑「えっとぉ、それじゃあグレイとラルクだったら?」
見崎「……」クルッ スタスタ
古畑「……んふふ」カリカリ
チーン ガチャンッ
『機械室 ボイラー室 霊安室』
古畑「お名前を教えていただいてもよろしいでしょうか?」
見崎「鳴、見崎鳴」
タッ、タッ、タッ、タッ...
古畑「ありがとうございます。またどこかでお会いしましょう」
見崎「……」スタスタ
古畑「あ、ミサキさん! どういう字をお書きになるんですか!?」
見崎「……」クルッ
見崎「たぶん、そのうちわかると思う」
古畑「えっとぉ、それじゃあグレイとラルクだったら?」
見崎「……」クルッ スタスタ
古畑「……んふふ」カリカリ
三神宅
怜子「それじゃ、夜見山での決まりその3は、クラスの決めごとは絶対守ること」
怜子「東京では自主性を重んじるようにって言われてたかもしれないけど、ここは村意識が高いところだからね」
怜子「任三郎君みたいな子は、特に注意が必要」
古畑「クラスでの決めごとと言うと?」
怜子「ううん……中心にいる人には逆らっちゃいけないとか、友達づきあいはしっかりしないといけないとか」
古畑「現象のこととか?」
怜子「……聞いてたんだ。まあ私が夜見北に行った年は、ひどい年だったけど……」
怜子「それじゃ、夜見山での決まりその3は、クラスの決めごとは絶対守ること」
怜子「東京では自主性を重んじるようにって言われてたかもしれないけど、ここは村意識が高いところだからね」
怜子「任三郎君みたいな子は、特に注意が必要」
古畑「クラスでの決めごとと言うと?」
怜子「ううん……中心にいる人には逆らっちゃいけないとか、友達づきあいはしっかりしないといけないとか」
古畑「現象のこととか?」
怜子「……聞いてたんだ。まあ私が夜見北に行った年は、ひどい年だったけど……」
古畑「えー、怜子さんは一昨年から学校に勤務を始めたんですよね? それ以来も現象は確認していらっしゃった?」
怜子「……それどころか、一昨年は3組の担任だったわ。去年は、違ったけど」
怜子「一昨年は、いわゆる<ある年>だったわ」
古畑「起こったこと、よろしければ具体的にお話し願えますか」
怜子「……3組のことはね、関わっただけでも危うい目に遭うの」
怜子「だから任三郎君も、出来るだけ穏便に。間違っても深く首を突っ込まないほうがいいわ」
古畑「……」ジィ
怜子「こうして話してるだけでも、ひょっとしたら駄目なのかもしれない。だから、ね?」
古畑「……かしこまりました」コクリ
怜子「……それどころか、一昨年は3組の担任だったわ。去年は、違ったけど」
怜子「一昨年は、いわゆる<ある年>だったわ」
古畑「起こったこと、よろしければ具体的にお話し願えますか」
怜子「……3組のことはね、関わっただけでも危うい目に遭うの」
怜子「だから任三郎君も、出来るだけ穏便に。間違っても深く首を突っ込まないほうがいいわ」
古畑「……」ジィ
怜子「こうして話してるだけでも、ひょっとしたら駄目なのかもしれない。だから、ね?」
古畑「……かしこまりました」コクリ
怜子「まあ、大丈夫よ。大丈夫と信じるしかない。被害がないように、あったとしても少なく済むように祈って」
怜子「古畑君は、転校生だから呑み込めないことも多いでしょうけれど」
古畑「今のところは呑み込めないのは確かですが、それが揺ぎ無い事実ならば認めなければならない、その覚悟は出来ております」
怜子「そう……うん、それじゃあ夜見北での決まりその4は、学校では公私の区別をつけること。間違っても学校では……」
古畑「おやすみなさぁい」スタスタ
怜子「ちょっと! 任三郎君、これ結構大事なのよ!」
古畑「それは怜子さんのことじゃないですかぁ」
怜子「それはそうだけど! 学校では怜子さんじゃなくて三神って……」
古畑「夜はプロ野球ニュースを見たら寝ることにしているんです。阪神は調子が良いようですね」スタスタ
怜子「古畑君は、転校生だから呑み込めないことも多いでしょうけれど」
古畑「今のところは呑み込めないのは確かですが、それが揺ぎ無い事実ならば認めなければならない、その覚悟は出来ております」
怜子「そう……うん、それじゃあ夜見北での決まりその4は、学校では公私の区別をつけること。間違っても学校では……」
古畑「おやすみなさぁい」スタスタ
怜子「ちょっと! 任三郎君、これ結構大事なのよ!」
古畑「それは怜子さんのことじゃないですかぁ」
怜子「それはそうだけど! 学校では怜子さんじゃなくて三神って……」
古畑「夜はプロ野球ニュースを見たら寝ることにしているんです。阪神は調子が良いようですね」スタスタ
翌朝
プルルル... ピッ
古畑「……はい、もしもし」
古畑母「あ、任三郎ちゃん? 今日が登校の日なのよね? お母さん、ちゃんと覚えてたわ」ケラケラ
古畑「こんな朝っぱらに起こさないでよ、七時半までは寝てたいんだ」
古畑母「そんな声出さずにぃ、私はあの人とうまくやってるから。任三郎ちゃんも頑張りなさいね」
古畑「そっちどうあろうと知らないよ。そっちが勝手に頑張って私も勝手に頑張る、それだけじゃない」
古畑母「うんもう……ま、とにかく向こうの好意に甘えてるんだから、迷惑はかけないようにね」
古畑母「ええと他には……あ、そうそう、お義父さんとお義母さんにもよろしく。じゃあね」ピッ
古畑「……着信拒否にしてやろうかな」
プルルル... ピッ
古畑「……はい、もしもし」
古畑母「あ、任三郎ちゃん? 今日が登校の日なのよね? お母さん、ちゃんと覚えてたわ」ケラケラ
古畑「こんな朝っぱらに起こさないでよ、七時半までは寝てたいんだ」
古畑母「そんな声出さずにぃ、私はあの人とうまくやってるから。任三郎ちゃんも頑張りなさいね」
古畑「そっちどうあろうと知らないよ。そっちが勝手に頑張って私も勝手に頑張る、それだけじゃない」
古畑母「うんもう……ま、とにかく向こうの好意に甘えてるんだから、迷惑はかけないようにね」
古畑母「ええと他には……あ、そうそう、お義父さんとお義母さんにもよろしく。じゃあね」ピッ
古畑「……着信拒否にしてやろうかな」
縁側
レーちゃん「レーチャン、ドーシテドーシテ」
古畑「……ブッサイクなツラだぁ」ジィ
レーちゃん「ゲンキダシテ、レーチャン」
祖母「あら、任三郎ちゃんどうしたの?」
古畑「あのぉ、この子名前はなんていうんです?」
祖母「あぁ、レーちゃんよ」
古畑「自分の名前を言われてるうちに口癖になってるんですか、いけませんよそれはぁ」
古畑「なにより『ちゃん』付けで名前を呼ぶと『ちゃん』までが名前だと……」
祖母「あぁ、もう面倒だからレーちゃんが名前ってことに決めてるのよ。ご飯出来てるから、食べなさい」
古畑「……んっふっふ」カリカリ
レーちゃん「レーチャン、ドーシテドーシテ」
古畑「……ブッサイクなツラだぁ」ジィ
レーちゃん「ゲンキダシテ、レーチャン」
祖母「あら、任三郎ちゃんどうしたの?」
古畑「あのぉ、この子名前はなんていうんです?」
祖母「あぁ、レーちゃんよ」
古畑「自分の名前を言われてるうちに口癖になってるんですか、いけませんよそれはぁ」
古畑「なにより『ちゃん』付けで名前を呼ぶと『ちゃん』までが名前だと……」
祖母「あぁ、もう面倒だからレーちゃんが名前ってことに決めてるのよ。ご飯出来てるから、食べなさい」
古畑「……んっふっふ」カリカリ
怜子「任三郎君、おはよう」
古畑「あれ、もう学校に?」
怜子「学校の先生も色々大変なのよ。本当は送っていきたいところだけど」
怜子「公私の区別には、ちょうどいいでしょ?」
古畑「たとえそんなことをなさらなくても問題ないとだと存じますが」
古畑「なによりその御化粧を前にすると流石に別人扱いせざるをえません」
怜子「好意なのか悪意なのかはかりかねるわね……まぁいいわ。ともかく、行ってきます」
怜子「古畑君も、遅刻しないように」
古畑「かしこまりました」
古畑「あれ、もう学校に?」
怜子「学校の先生も色々大変なのよ。本当は送っていきたいところだけど」
怜子「公私の区別には、ちょうどいいでしょ?」
古畑「たとえそんなことをなさらなくても問題ないとだと存じますが」
古畑「なによりその御化粧を前にすると流石に別人扱いせざるをえません」
怜子「好意なのか悪意なのかはかりかねるわね……まぁいいわ。ともかく、行ってきます」
怜子「古畑君も、遅刻しないように」
古畑「かしこまりました」
学校
久保寺「とにかく、皆さんと仲良くしてください。何かあったら私か、副担任の三神先生にでも、相談を」
三神「よろしくね、古畑君」
古畑「なかなか年季の入った学校なんですねぇ。旧校舎まであるとは」
古畑「取り壊すわけにもいかない事情もあるのでしょうが」
久保寺「……大方は耳に入れているようですね」
久保寺「一応、この校舎はあのことが始まってから建てたもののようです」
久保寺「この校舎に移れば、という考えがあったのかもしれませんが、駄目だったようで」
古畑「あのぉ、お言葉ですが3組をなくすことで解決できないものでしょうか? 4階をなくすみたいに」
久保寺「A組B組、といったように名前を変えることは試してみたようです。結果は、いうまでもなく」
久保寺「恐らく第3学年の3番目のクラスであれば、ということでしょうね」
古畑「ははぁ、厄介なもんですねえ~」
三神「……もう教室です。込み入った話はほどほどに」
久保寺「とにかく、皆さんと仲良くしてください。何かあったら私か、副担任の三神先生にでも、相談を」
三神「よろしくね、古畑君」
古畑「なかなか年季の入った学校なんですねぇ。旧校舎まであるとは」
古畑「取り壊すわけにもいかない事情もあるのでしょうが」
久保寺「……大方は耳に入れているようですね」
久保寺「一応、この校舎はあのことが始まってから建てたもののようです」
久保寺「この校舎に移れば、という考えがあったのかもしれませんが、駄目だったようで」
古畑「あのぉ、お言葉ですが3組をなくすことで解決できないものでしょうか? 4階をなくすみたいに」
久保寺「A組B組、といったように名前を変えることは試してみたようです。結果は、いうまでもなく」
久保寺「恐らく第3学年の3番目のクラスであれば、ということでしょうね」
古畑「ははぁ、厄介なもんですねえ~」
三神「……もう教室です。込み入った話はほどほどに」
教室
古畑「えー、東京から参りました古畑任三郎と申します」
古畑「シャーロック・ホームズと同じ誕生日というのが、一つの誇りです。どうかよろしくお願いします」
一同「……」
久保寺「3組の新しい仲間として、今日から古畑君と仲良くしてください」
久保寺「お互い助け合って、無事一年を終えて、卒業を迎えられるようにしましょう」
一同「……」
久保寺「では、古畑君はあそこの席に」
古畑「はぁい」テクテク
古畑「……」チラ
見崎「……」
古畑「……」ガタッ
古畑「えー、東京から参りました古畑任三郎と申します」
古畑「シャーロック・ホームズと同じ誕生日というのが、一つの誇りです。どうかよろしくお願いします」
一同「……」
久保寺「3組の新しい仲間として、今日から古畑君と仲良くしてください」
久保寺「お互い助け合って、無事一年を終えて、卒業を迎えられるようにしましょう」
一同「……」
久保寺「では、古畑君はあそこの席に」
古畑「はぁい」テクテク
古畑「……」チラ
見崎「……」
古畑「……」ガタッ
王子「シャーロック・ホームズと同じ誕生日ってことは、ホームズが好きなんだ?」
古畑「はい。心から敬愛しております。ワトスン君と代わりたいくらいです」
綾野「ねえねえふるはっちゃん、東京ってすごいんでしょ? 地下鉄が分刻みで来るんだって?」
古畑「だそうですね。私は乗ったことがありませんが」
古畑「何が楽しくて人に押しつぶされながらガタゴトガタゴト揺られないといけないんだか」
猿田「しかし、それを移動手段にするしかないもんもおるしのう」
古畑「健康のためにも自転車通勤が一番良いです。そして勤務先も10分程度で行けるところが良い」
勅使河原「だけど悲惨だよな、東京からこんなヘンピなところに来ちまうだなんて」
望月「まあ、不幸中の幸いというか、三神先生の家に居候っていうのは羨ましいよね」
古畑「はい。心から敬愛しております。ワトスン君と代わりたいくらいです」
綾野「ねえねえふるはっちゃん、東京ってすごいんでしょ? 地下鉄が分刻みで来るんだって?」
古畑「だそうですね。私は乗ったことがありませんが」
古畑「何が楽しくて人に押しつぶされながらガタゴトガタゴト揺られないといけないんだか」
猿田「しかし、それを移動手段にするしかないもんもおるしのう」
古畑「健康のためにも自転車通勤が一番良いです。そして勤務先も10分程度で行けるところが良い」
勅使河原「だけど悲惨だよな、東京からこんなヘンピなところに来ちまうだなんて」
望月「まあ、不幸中の幸いというか、三神先生の家に居候っていうのは羨ましいよね」
勅使河原「本当だよなあ、久保寺は、まあ悪くないんだけど陰気だし」
風見「そういうこと言ってると内申に響くぞ」
望月「あははっ」
古畑「……」キョロキョロ
ガヤガヤ ガヤガヤ
勅使河原「ど、どうした?」
古畑「いやぁ。なんでもございません」
風見「……」タラリ
勅使河原「……お、おおそうだ古畑、昼休みになったら校内案内してやるよ」
古畑「本当ですか? 助かります」
ガラッ
教師「おまえら席につけー」
勅使河原「おお、やべ。それじゃな」
古畑「……」グリグリ
風見「そういうこと言ってると内申に響くぞ」
望月「あははっ」
古畑「……」キョロキョロ
ガヤガヤ ガヤガヤ
勅使河原「ど、どうした?」
古畑「いやぁ。なんでもございません」
風見「……」タラリ
勅使河原「……お、おおそうだ古畑、昼休みになったら校内案内してやるよ」
古畑「本当ですか? 助かります」
ガラッ
教師「おまえら席につけー」
勅使河原「おお、やべ。それじゃな」
古畑「……」グリグリ
校庭
ソレー イキマース マカセロー
古畑「……」
高林「何の病気だったの?」
古畑「ええと、君はぁ……」
高林「僕は高林郁夫。心臓が悪くて、体育は無理なんだ」
古畑「高柳?」
高林「高林。……なんにせよ、君は走ったことがあるんだよね。羨ましいな」
古畑「走るのなんて寿命を縮めるだけだよ」
高林「僕は生まれた頃からまともに走ったことがないんだ。いつか、とは思うんだけどね」
古畑「そう思ってるうちは大丈夫なんじゃない。一番いけないのは諦めてしまうことだからね」
高林「……」
古畑「体と心は案外つながってるらしいからね。だから高崎君の気の持ちようでは……」
高林「高林」
ソレー イキマース マカセロー
古畑「……」
高林「何の病気だったの?」
古畑「ええと、君はぁ……」
高林「僕は高林郁夫。心臓が悪くて、体育は無理なんだ」
古畑「高柳?」
高林「高林。……なんにせよ、君は走ったことがあるんだよね。羨ましいな」
古畑「走るのなんて寿命を縮めるだけだよ」
高林「僕は生まれた頃からまともに走ったことがないんだ。いつか、とは思うんだけどね」
古畑「そう思ってるうちは大丈夫なんじゃない。一番いけないのは諦めてしまうことだからね」
高林「……」
古畑「体と心は案外つながってるらしいからね。だから高崎君の気の持ちようでは……」
高林「高林」
ワー ワー ナカオーウデダイジョウブカー
高林「……うっ」ガクッ
古畑「大丈夫?」スッ
高林「ちょっと保健室に。一人で大丈夫だから……」スクッ
古畑「私もついでに保健室で寝たいんだよ」
高林「……」
ソコダー オグラーケイツイダイジョウブカー
桜木「あれ、高林君は……」
古畑「保健室に行きました。あなたは足が芳しくないようで」
桜木「えっ、ああ、この間体育で挫いてしまって……学校は、慣れそうですか?」
古畑「おかげさまで。ところでなんですが、病院でこの学校の生徒と会いまして」
古畑「ええと、なんて言ったかなあ……ミサキ、さん?」
桜木「っ!」
高林「……うっ」ガクッ
古畑「大丈夫?」スッ
高林「ちょっと保健室に。一人で大丈夫だから……」スクッ
古畑「私もついでに保健室で寝たいんだよ」
高林「……」
ソコダー オグラーケイツイダイジョウブカー
桜木「あれ、高林君は……」
古畑「保健室に行きました。あなたは足が芳しくないようで」
桜木「えっ、ああ、この間体育で挫いてしまって……学校は、慣れそうですか?」
古畑「おかげさまで。ところでなんですが、病院でこの学校の生徒と会いまして」
古畑「ええと、なんて言ったかなあ……ミサキ、さん?」
桜木「っ!」
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