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    元スレ娘「セック――」 男「言わせねーよ!?」

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    251 :

    これ前もみた気がする

    253 = 1 :

    >>251
    前も投稿を試みたがことごとく連投規制くらった。
    しびれを切らして●ってリベンジ←今ココ

    254 = 1 :

     水族館。

     俺自身も十年ぶりぐらいだ。
     彼女なんて作らなかった(作れなかったわけでは無い!)から家族と行った以来。

    「おい男! あそこに人が居るぞ!」

    「あー、あれだよ。水槽の掃除してる人だよ」

    「なんでレモンガスボンベを背負っているんだ?」

    「いや、レモンガスボンベだったらすぐ死ぬだろうが。酸素ボンベだよあれは。あれで息継ぎとかしなくてよくなるんだよ」

    「ああ、あれか。テレビで観たことがあるなー、すごいなー」

     いちいちウキウキとしている娘だった。

     チケットを買い、入り口を潜ってすぐそこ。
     曲線的に反り出た水槽。

     雑多な種類の魚たちが銀色の鱗を煌めかせながら通り過ぎていく。

    「へぇ~さすが東京だな。地元の比べると立派なもんだ」

    256 = 1 :

    「おい! あそこ水槽に人とサメが! 人の後ろ割と大きいサメがいるぞ!!」

    「ああーあれは結構でかいなー。何々、ああ、ジンベエザメかー。確かに斑点柄が甚平っぽいかな」

     でもサメと言うよりも鯨っぽい印象だ。

    「な、何を暢気な事を言っているんだ! 危ないっ! やられるぞ!」

     そう言って娘はジンベエザメの水槽へ向かう。

    「おい! 後ろ! 後ろだぁぁあ!!」ゴンゴンゴンゴンゴンっ!!!!

    「ってコラっ!! なにやってんだよ!?!? 他のお客さんめっちゃみてるだろうが!!!!」

    「人が、人が死んでるんだぞっ!?!?」

    「まだ死んでねーよ! というか死なねーよ! 水族館に居るサメは餌をいっぱい貰っていて人とか他の魚おそわない様になってるの!!!」 

     奴らは満腹だと狩りをしない省エネ族なのだ。

    「そ、そうなのか? それは良かった……」
     
     安堵に胸をなで下ろす娘。大げさだ。

    「はぁ……水槽の掃除のたびに死人が出てたら水族館の人材不足がとんでも無いことになるっての」

     しかし、周りの人にクスクス笑われてるのが気になるなぁ……。

     そういえば、俺達は親子だとでも思われているのだろうか? いや、それは見た目の年齢的にちょっと無理があるか。それと同じ理屈でカップルも。

    257 :

    ●を買ってまでするとは…

    258 = 1 :

    係員「あはは、可愛い妹さんですね」

     近くにいた若い係員の女性にそんな事を言われた。

    「あ、え?」

    「おお! イルカの帽子をかぶっているな!」

    係員「ああこれ? うん、ここで働いてる人は海の生き物の帽子をかぶるんだよ~。イルカ好き?」

    「大好きだ! 今日はイルカに会いに来た」

    係員「へぇ~。今日はお兄ちゃんに連れてきて貰ったんだ?」

    「? 男はお兄ちゃんでは無いぞ。大学に行かない『BOCCHI』だ」

    係員「へ、へぇ~……そうだったんだぁ~……」

     すげー怪しい物とか哀れな物を見る目で見られてる……。いや、あんな紹介をされれば当たり前か……。

    「あはは……今のはたちの悪い冗談ですよ。ちょっと訳があって叔母さんの子供を預かってるんですよ。普段は普通に楽しく大学生活してますよ僕」

     平日に堂々と水族館に居るのにこんな事言っても無駄かもしれないが。

    259 = 1 :


    係員「そ、そうだったんですか~。若いのに偉いですねぇ~、子供の面倒みてあげるなんて~」

     棒読みで褒められた。

     そして係員さんはすっと逃げるように俺から娘へと目を移す。

    係員「えーと、イルカ好きなんだよね? それじゃあ、あと十五分ぐらいでイルカショーが始まるよ? 観に行きたい?」

    「行く!」

     一つ返事だった。

    260 = 1 :

    ~イルカショー。プール前~

     イルカショー。

     恥ずかしながら人生初体験だった。

    「なんでイルカショーなのにアシカが一番手なんだ?」

    「うーん……これは一番手というよりも前座な感じが否めないな……」

     輪っかを器用に受け取るアシカのトリオ。実に年季が入った無駄のない所作だった。

     しかし息荒くひげを揺らす姿が何処となくオッサンを彷彿とされる。残念ながらイルカほどのスター性は感じられない。

     なんか現代社会の序列をそこに観た気がした。

    「どれだけ頑張っても、所詮はイルカ達の前座なのさ……」

    「そうなのか……確かにイルカほどの華々しさは無いからな……」

     そんなこんなで前座が終わる。

    261 = 1 :

     前座が終わればいよいよショー本番。

     ピョーン!
    吊されていた輪を三匹のイルカが連続でくぐり抜ける。大ジャンプだった。

    「うおおおお!!! 飛んだぞ! 羽ないのに!」

     娘は大興奮。飛び散る水しぶきにキャッキャしている。

    「すげーもんだな。俺も初めて観たけど」

     悪くない。最初はどんなもんかと思っていたが、かなり楽しめるぞ!

    「すごいなー。おお、今度は尾ひれで水面に立つ様にして泳いでいる!」

    「すげー!! エビフライみてぇだ!!!」

    「今度はボールをバスケットのゴールにシュートだ!」

    「すげー!! 俺だったら外してたぜ!!!」

     どっちが子供かわからない。

     というかどっちも子供だった。

    イルカショーの人『はーい!! じゃあ、イルカに触りたい人手をあげてー!!!』

    娘&男『はああああああああああああああああああいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!』

    262 :

    ニート探偵でしか再生されん

    263 = 1 :

    イルカショーの人『!?!? あ、あー……じゃあええと、そこのご兄妹のお客さん。下りてきてくださーい……』

     俺たちの鬼気迫る大絶叫に営業スマイルが引いていた。

     いや、だって触りたいじゃん? イルカ。

     そしてイルカたちが待機するプール際へ。

    「Oh////// すごいな……なんかヌメッとしてるけどあったかいぜ……本当にほ乳類なんだな……」

    「なんかお前キャラが崩壊してるよ……でもこいつは……ゴクリ……!?!?!?」

     すげー。
     
     ヌメッとしててあったけー。

     でも灰色の肌は結構傷みたいなのがあって痛そうだ。

    イルカ『……』

     ……。

    「イルカなのにマグロなんだな……」


     そんな感じで。

     俺たちはイルカと触れ合った。

    264 = 1 :

     その後。

     ウニを触るコーナーでウニタワーを作って怒られたり(ヒトデが居たのでそれを一番上にのせてみた)、サメの水槽に餌の小魚を入れる体験をさせて貰ったり、おみやげ屋さんでイルカの帽子を買ったり。

     そんなこんなですっかり夕方になっていた。

    「マンボーが思った以上に大きかったな。そして、もっと愛嬌がある物かと思っていたのだが現物観て少し考えを改めてしまったよ」

    「あー、なんか目が怖いよなあいつら。寄生虫とかもヤバイらしいし」

    「そうなのか……サン○オがアレンジしたマンボーはあんなに愛らしいのに……」

     そんなくだらない話をしながら歩く帰り道。

     娘は早速イルカの帽子を被っている。

     後ろで二つに結っている髪がプラプラ揺れているのと合わさってなんだか宇宙人みたいだ。

    266 = 1 :

    「しかし、今日は楽しかったなー。たぶん、人生で一番楽しかった!」

     そんな事を、本当に屈託のない笑顔で言う。

     夕日のオレンジに照らされるそれがとてもまぶしい。

     そしてちょっとストレート過ぎて照れる。

    「はん、この程度で楽しいなんて言ってたらこの先ぶっ飛び過ぎてマジバイヤーだぜ姉さん? こっからマジでギンギマリだぜ? ah hun?」

    「本当か!?」

     イルカの宇宙人が俺に抱きつく。

    「当たり前だっつーの。まあ、色々終わるのに時間かかりそうだし、その間に俺がお前のリストをコンプリートしちゃうって寸法だぜ!」

     こいつの事情がどうなるのか。まだ全然不透明。

     でもなんだろう。

     まだ出会って数日なのに。

     こいつのこの笑顔を見ていると嬉しくなるのだ。もっと見ていたくなるのだ。

    「あははっ! 大好きだぞっ! 男!!」

     小さい宇宙人の頭を撫でてやり、手をつなぐ。

     駄目人類とイルカの宇宙人は仲良くオレンジ色に染まっていた。

    267 = 22 :

    かわいい

    268 = 220 :

    娘ちゃんかわいいよ

    269 :

    マンボーってなんかやらしいな

    270 = 1 :

    ~深夜、男のマンションの玄関~ 

     家に帰ってきて飯を食って数時間後。テレビを見終わった娘を俺の部屋に連れて行った。

     そろそろ娘は寝ただろうか。

    「じゃあ……今日もジメジメ未練たらっしく言ってみるか-!」 

     無意味に明るく言ってみた。

     余計惨めな気分になるだけだった。

    「……まあ、特に目標があるわけじゃないんだけどな」

     ランニング。軽い走り込み。そして基本的な筋トレ。
     
     それらは膝を壊した後も、結局観るだけだった大学サッカー部の幽霊部員になった後も止めずに続けていた。

     惨めにダラダラジメジメと。目的なんて無い癖に。

     ただ、止めたら自分が消えてしまいそうだから。

     今までの自分が無かった事になりそうだから。

     そんなくだらない理由で続けていた。

    「今日は少しペース早めでいっときますかー」

    271 = 21 :

    からの生存戦略

    272 = 1 :

     最近買い換えたランニングシューズに手をかける。
    「……? なんだこれ?」

     ランニングシューズの片方に、一枚の紙が入っていた。

     取り出してみる。

    「……友の奴……またこう言う余計な事を……」

     あーあ。
     
     何が『男改造計画その一 ~世界一のサッカー選手への道~』 だよ。小学生でも考えないっての。

     ざっと目を通すと、筋トレのメニューや、走り込みをする際に意識する点、その他には友が独自に考えた『俺の現在の体のパフォーマンスの限界』を引き出すカギなど、いろんな項目に別れてびっしりと書き込まれている。

     見た感じの印象だと、高校の時にやっていたメニューと同等、またはそれ以上にハードなものかもしれなかった。

    「本当に余計なお世話だよな~……」

     そしてたちが悪い。

    「お前にここまでして貰ったらさー」

     簡単に無碍にできないよなー。と。

     俺がそう思うことをあいつは解ってやってる。

    「世界一のサッカー選手なんてお笑いだけどさ」

     ふっと、なんだか懐かしい様な気持ちが溢れる。

    273 :

    友の膝を壊したのは分かるんだが何故こいつの膝が壊れてるんだ?

    274 = 1 :

    「次の試合に出るぐらいなら考えてもいいかもしれないな……」

     言って、自分で驚いた。

     試合に出てもいいかもしれないなんて。

     もう一度やってみようなんて。

     そんな事思った自分に酷く驚く。

    「あーあ。やっぱりまだ未練たらたらなのかねー」

     彼女なんて出来たこと無いけど。

     人を好きになった事なんて数える程だけど。

     それでもこれは。この気持ちは否定できやしない。

     やっぱり俺は、惨めなまでにサッカーに一途なのだ。

    275 = 1 :

    >>273
    軽く触れておいて、後で過去の話書こうと思ってた。
    分かりづらくてごめんな。

    276 :

    これ前にも同じようなやつ書いてなかった?

    同じ文章みたことあるぞ

    277 = 1 :

    ~時間は流れていく~

     次の日も。

     その次の日も。

     そのまた次の日も。

     多分一週間と少し。

     俺たちはリストに従っていろんな事をした。

    「いやー、吉野家で紅ショウガの使いすぎで注意される奴を見ることになるとは思わなかった」

    「いや、デ○ズニーランドでミ○キーに「あの、あんまり触らないでください」と普通のトーンで注意される人の方が珍しいのではないか」

     まあ、本当に色々なところに行って色々な事をした。

     ゲーセン、カラオケ、ボーリング、動物園、スクランブル交差点、高級店をウィンドーショッピン、東京タワー、
    夜景、プール、ピンポンダッシュ、二人だけの鬼ごっこやかくれんぼ、ザリガニ釣り、野球観戦……。
    言い出したら切りがない。よくもまあ一週間と数日でここまでやったもんだ。

    278 = 1 :

     俺にしては珍しく、ちょっと飛ばし過ぎた感がある。

     娘も疲れた様子で歩いていた事が多かった気がするし。

    「これだけ遊んだのはいつぶりだろうか……というかこんなに遊んだ事ねーよ」

     金が水のようにするする何処かに行ってしまうなんて初めての体験だよ。

     俺が知らないだけで、世の中にはこんなにも多くの娯楽があったのか。

    「ああ、私も生まれて初めてだよ。多分、一生分遊んだぞ」

     まあ一生分は言い過ぎでも。

    「ああ、なんか遊ぶのも結構な体力がいるもんだな」

    「確かにな。こんなに楽しくて疲れたのは初めてだ」

     楽しんでくれたならよしてするか。

    279 = 1 :

     いや。

     それだけでいいんだろうか。
     やっぱり色々引っかかる。

    「……あのさ」

    「? どうした」

    「楽しかったあとにこう言う話するのもアレだけど……お前のお母さん。お前を俺に預けたっきりなんの連絡もない。お前もお前で自分の家いわねーし」 

     しかも家の母親まで黙りときた。

    「俺はさー。こう言う『解らない』だとか『知らされない』だとかが嫌いだ」

    「でもさ。お前に理由があったり、叔母さんに理由があったりするのは……今では冷静に見る事が出来る。良しとするほど俺は出来た人間じゃないけど、少しの間看過するぐらいは出来るつもりだ」

     でもだ。

     何か根本的におかしいとは思わないか?

     つまり。

     預けるだけなら俺の実家でいいわけだし。

     じいさんとばあさんの家もあるわけだ。

     そのなかで、なんで一番無責任そうで、一番若い俺が選ばれる?

     面倒に思ってるわけでは無く、純粋に。何か引っかかる。

    280 = 1 :

    「お前が何か抱えてる様に思えてならない」

    「だから俺はお前のことが心配だ」

     嘘偽りなく言った本心。

    「お前のことを助けたいとも思ってる。短い間しかまだ付き合いが無いけど――」

     いざ言おうと思うと結構緊張する。別に恋人になってくれと告白するわけでもないのに。

    「――お前の事が大事だ。多分友達とか親友とか、もしくはそれ以上に思える」

     俺には妹がいるけど。やっぱり妹と比べても同じぐらいに大事だった。

    「だから話してほしい。お前が言いたい事とか、お前が一人じゃ抱えきれず背負いきれない物を」

    「……」

     娘は何処か悲しそうな。何かを諦めた様な目で俺を見る。

    281 = 1 :

    「……もう少し……約束しよう、もう少ししたら全部話す」

     そして、と娘が付け加える。

    「全部謝る」

    「……わかった。俺もお前を急かしてる訳じゃない。ただお前の力になりたいってだけだ」

    「……ありがとう」

     いつもの張りのある声ではなく、しぼんだ声でそういう。

     力になれないのがもどかしい。

     こんな小さな女の子の力になってやれない俺が情けなかった。

    「……今日は一緒に寝ようか」

     そうやって。

     何か変化の予感を残して。その日は終わっていく。 

    282 = 1 :

     次の日。

     俺の通う大学にて。

    「おい男。何処を見ても若い男女しかいないぞ」

    「……だから来たくなかったんだよ」

     文化祭とかいう何処がどう文化的なのか理解に苦しむ大騒ぎ。
     
     その渦中で俺と娘は人いきれにのまれていた。

     どこもかしこもチャランポランな男女でごった返すここはまさにアウェイ。娘に『興味深いな。行ってみたい』と言われなければ絶対に来なかった。

    「しかし、色んな屋台が並んでいるな」

     門をくぐってすぐのここは屋台ゾーン。

     何か食べ物が焼ける音。氷水がかき混ぜられる音。人を呼び込もうと大声で宣伝して回ってる男女の声。
     嫌って程に多様な物がごった返していた。

    「まあ、お祭りと同じ様なものだよ。中では文化系のサークルとかが色々やってるけど」

     去年は文化祭にも参加していたのだ。

     てきとーなサークルでスポーツ喫茶的なのをやっただけだが。

    283 = 22 :

    ふむ

    284 = 1 :

    「ほう。さすが学生の最終形態大学生。規模が違うな」

     いや、俺が言うのもなんだけど、大学生って最もお遊びが過ぎる部類の学生だと思うぜ。

    「まあ、その通り規模だけなら立派なもんだから暇はしないと思うぜ」

    「そうか。ならざっと回ってみるか」

    「おうよ」

     そんあ感じで。

     俺たちは文化祭をぼちぼち楽しむのだった。

    285 = 1 :

    二時間後。

    「何故か知らないが両手がふさがっている」

     両手に袋。中には大量のお菓子。

    「お前がそんな魔性の持ち主だとはな……」

     何処に行っても。何をしていても。

     娘は絶対と言っていい確率で大学生たちを虜にしていた。

     『可愛いいいいいいいい!!!!』『ちっちゃああああああああああああああああああい!!!!!!!』『だっこしたああああああああい!!!』『デゥフフッwwwく、黒髪ロリ美少女発見でござるwww神速で撮るべしw撮るべしwww』

     などなど。

    「そういえば、私が女子大学生たちと話している間にカメラを持った男と何処か行っていたな? どうしてたんだ?」

    「ああ、あいつか。あれだよ。友達になったんだよ。メールアドレスと電話番号と本名を聞いて絶対に、顔写真付きで廃棄されるべき汚物、としてネット上に公開しないよ☆っていう堅い誓いを交わしていた」

    「おお、男にも友達が出来たのか。私もなんだか知らないが沢山アドレス交換したぞ」

     娘の携帯のアドレス帳の登録件数が夢の三桁代を叩き出していた。

     俺はギリギリ十件なのに……。

    286 = 1 :

    「くっ……! ま、まあさすが子供だな。大人受けが抜群だ」

     俺はあんまり受けていた記憶ないけどね……。

    「しかし」

     もう殆どの事はやったんじゃないか?

     変な自主制作映画をチラ見したり、バンド演奏を観てみたり。屋台で色々買い食いするのはもちろん、文化系のサークルも結構のぞいた。

    「まあ、大学の文化祭なんてのはこんなもんだ」

     そろそろ帰るか。

     そんな風に思ったとき。

    「あーーーーー!!!!!!!!!」

     人がごった返す構内。その喧噪の中に一際うるさく響く声。

     思わずその声の主から目をそらし、背を向ける。

     やっかいなのに出会ってしまった。

    287 = 1 :

    「男くん!! こんな所でなにやってるの!!!」

    「目をそらさない!!!」

     回り込んで、俯いていた俺の顔を無理矢理下からのぞき込むそいつ。

    「チームの練習にも来ない。サークルのミーティングにも来ない。その上授業もめちゃくちゃサボってる!! 今の今まで何処でどんな油をうってたのかなー!?」

     大音量に思わず顔を上げ、そのまま仰け反る。うるさすぎるんだよ……。

    「えーと、これはこれは。○○大学サッカー部マネージャー兼なんとかサッカー研究部部長さんじゃないですか……」

    「アジア南米欧州サッカー研究部だよ! 自分の所属サークルぐらい把握しといてよね!? というかもしかして私の名前も忘れてたりしない!?」

    「いやいや、そんな失礼な事は無いって」

     ……。

    「久しぶりだな、なんとかかんとか!」

    「私の名前は部分的にも覚えてないの!?!?」

     いやまあ冗談だけど。

    288 :

    おもしろい

    290 :

    これはかなりの良スレ
    すごい引き込まれる
    支援

    291 = 225 :

    修羅場の予感

    292 :

    女を嫁にください

    293 :

    早く娘の画像くれ

    294 = 1 :

    「いやまあ女……俺にも色々あったんだよ」

     長い髪を後ろで一本に纏め、どっかのクラブチームの赤いレプリカユニフォームを纏った長身ですらっとした体型のこの女子。サッカーオタクのハイテンション。

     名を女と言う。
     
     大学に入ってから知り合っただけなのにこの通りかなり馴れ馴れしい。

    「名前覚えててくれたんだ……さすがに忘れられてたら悲しすぎたよ。で、言い訳はなにかな? 聞くだけ聞くよ?」

    「えーと、色々ってのは色々で、最近だとほら、こいつとか」

     娘の肩を両手で掴んで、女の前につき出してみせる。

    「まさか男くんつ!!!!!!!!!!!!」

     女が俺の股間を指さしながら大絶叫した。

    「お前とおんなじ反応した奴がいたなあ!!!! もう一度言うけど違う!!! そして子供の前でそういう事やめろ!!!!!」

    「子供っ!?!?!?!?!?」

    「叔母さんのな!!!」

     やっぱり俺の周りはめんどくさい奴ばかりだった。

    295 = 1 :

    >>294

    >>女「まさか男くんつ!!!!!!!!!!!!」
    でっかい つ になってた。

    まあ続ける。

    296 = 1 :

    「色々あって、今は俺と暮らしてる」

    「え~!? 本当に? というかそういう事なら今すぐ私に電話しなよ! 色々手伝ったのに!」

    「そういえばお前に無理矢理連絡先の交換させられたっけ……けどまあ、そこまで大変じゃなかったよ」

    「娘という。好きに呼んでくれていいぞ」

    「あ、あたしは女だよ! 男くんのお友達!」

     友達だったの俺たち。初耳だぜ。

    「あ、そうだ! 積もる話もあることだし、ウチの『喫茶、ピッチで汗を流す漢達』で歴代の名試合を観戦しながら話そうよ! というか強制だよ! 本当なら男くんも働く側だったんだから!」

    「なんだよその汗臭そうな喫茶店は……まあちょっとぐらいならいいけどよ」

     二時間歩きっぱなしだったから少し座りたいし。

     そんな感じで。

     俺たちは喫茶、ピッチで汗を流す漢達に入店するのだった。

    297 = 1 :

    「うおっ! なんだこれ! 店内が芝だらけじゃねーか!!」

     短く刈りそろえられた芝が本来ならあるべき床の上敷き詰められていた。

     ちなみに人の入りはまあまあで、弱小研究部にしては健闘している方だろう。

    「ふっふーん! どうだこの天然芝! 去年は許可が下りなかったけど、今年は頑張って許可をもぎ取ったんだよ! ○○大学文化祭の奇跡だよ!」

     また余計な事に情熱を捧ぐ奴だなー……。こんな一発芸みたいなのにいったい幾らかかっているのやら。

    「はい! メニューだよっ!」

     必要以上に大きな声で元気に言う女。

     俺は軽くため息を吐きながらメニューを受け取った。

    「えーとなになに……って水しかねーじゃねーか!」

     A4の紙にでかでかと『水』とだけ印字されていた。

     これじゃあメニューではなく標識だろう。

    299 = 292 :

    水…どう味わっても…水…

    300 :

    水道水なら飲み放題!


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