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    元スレ娘「セック――」 男「言わせねーよ!?」

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    151 = 1 :

    「俺が何をどう勘違いしてるって?」

    「それは自分で気がついてほしいな」

     あー全く……! 自分の親友ながら腹がたつ。おっさんもおっさんだ。勝手に変な真似しやがって。こっちはにはこっちの日常があって、それについて今めちゃくちゃ苦労してるっていうのに……。

    「それから。これは僕からのお願い、いや、誘いだ」

    「君を世界一のサッカー選手にさせてくれ」

     何を言うかと思ったら。

     なんの脈絡の無いことをさらりと言うなよ。

     いやさ、お前は昔からそういう奴だったけどよ。

    「寝言は寝てからいってくれよ」

     そんな言葉に乗るには、もう遅すぎるんだよ。

     だって。

     速かった俺はもう死んだのだ。

    152 = 41 :

    >>148
    おk
    わからんければググればいい

    153 = 107 :

    分かるが説明した方が分からない人も楽しく読めると思う

    154 = 1 :

    ~男のマンション~
    「さらに遅かったな」

    「ああ、ちょっと宇宙人や陰謀論や世界滅亡諸説について語っていたらお互い熱くなってしまってな」
     嘘だけど。
    「ああ、そういえばさっき見知らぬ宇宙人が勝手に家に入ってきたぞ」

    「それを一番先に言えええええええええええ!!!!!!?!?! あれか!? また俺の部屋にいるのか!?!?」

    「いや、もちろん冗談だ」

     冗談か。

    「ちょっと期待してたのに……」

    「してたのか……」
     宇宙人。居ると信じなきゃ現実ってつらいじゃん?

    「はは、なんか二人とも息ぴったりだねー。もうどれぐらい一緒にいるの?」

     そういえばこいつ、あんまり深く俺たちの関係について聞いてこなかったな。まあ、元々こいつはそういう奴だったっけな。そういう気を遣う奴だから俺みたいなのとも一緒にいられるんだろうけど。
     
    「昨日……もう日付が変わったから正確には一昨日からだ」

    「ええっ!? あの男君がこんなにも打ち解けてるのに!?」

    「ん? そうなのか男?」

    「しらねーよ。でもまあなんか……一昨日知り合ったばかりとは思えないのは確かだけどな……」
     心の声ではもう『こいつ』 とか呼んじゃってるし。

    158 = 1 :

    オフェンシブミッドフィルダー=守備よりも攻撃に特化したポジション。ディフェンスの選手とフォワード(一番前の方に居る選手)の選手の間がオフェンシブミッドのポジション。
    トップ下=フォワードの一個後ろに位置をとる選手。ゲームメイクの能力に長けた選手が多いポジ。パスが巧かったり、ゴールも狙える感じ。
    ボランチ=デフェンダーより前、オフェンシブミッドフィルダーより後ろの位置。守備の割合が大きいが、ゲーム全体を把握して巧く調整してやるようなボジ。

    凄く簡単に書いた。
    分かりやすいかはわかりません。

    続ける

    160 = 1 :

    「驚きだよ~! 僕を名前で呼ぶのに慣れるまで一ヶ月半要した男だよ?」

    「おい、余計なことは話すんじゃねぇ」

    「おお。男はそんな内気な性格をした男だったのか? そうだとは想像に難いのだが」

    「いやー、男の場合は内気というよりツンデレだったね。落ちた後は早かったよ」

    「落とされてねぇし後も糞も何にもねーよっ!」

    「これがツンデレという奴なのか!?」

    「ちげぇよ! 純粋な誤りの修正だ!」

     なんで目をキラキラさせてるんだよ。それはパンダとか観るとき目だろうが。

    「いいやっ! これがツンデレだよ天使ちゃんっ! さあ早く! 捕まえろ~~~っ!!!!!!!!!!!!!」ガッバーーー

    「わかったぞ! とりゃあああああああっ!!」トーーン!!

    「鬱陶しいわコラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!」

     こいつらを同時に相手するのは絶対にやめよう。
     体中をもみくちゃにされながらそう思いました マル

    161 :

    投稿用ラノベ書いてるだけに、文章力高いって言われた時にはオードリーみたいに
    「…へへへへへへwwwwww」
    て声出た。
    即興で、途中待たせちゃったけどありがとさにー

    162 = 107 :

    わかりやすい乙

    163 = 1 :

     別に全然緊張してない。
     だって10才だぜ?
     いくら一緒のベッドで寝る事になろうが、そんなの隣に大根を一本置いて寝るのと全くかわりねーよ。いや、むしろ大根の方が緊張しちゃうって。

    「男、ベッドから落ちる恐れがあるからもっとそっちに寄るぞ」

    「……」

    「うーん……これでも少し不安だな……恥ずかしながら私の寝相は相当悪いんだ。もうヤバイぞ、私のは」

    「……」

    「おお、そうだ」

    「……」

    「男、腕を動かすぞ? よし……男の右腕を私の頭の下にして……そしたら男、私の肩を抱くような形に出来るか?
     ……うん、それでいいぞ。後は私が右手で男の胴の反則面を抱える様にして……そうだな、念のために脚も固定しておくか。
    男、私の両脚を男の右足に絡めるから少し持ち上げてくれ」

    「……ひふっ……!」

     な、な、な、な、何なんだこの状況は!?!?!?
     腕枕をしてやっている女の子に抱きつかれ&脚からませだと!?!?
     いやまて男っ! 冷静になれっ! こいつはたかだか10才のガキンチョじゃないか!? 深呼吸していつものお前に戻れは全然どうってことうわああ鼻から息吸うと女の子特有のいい香りが鼻腔に充満しゅるよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!

    「どうした男? 窮屈なら体制を考え直すが?」

    「いやイイよ。じゃなくて別に考え直すなんて面倒な事はしなくてもいいよと言う事だよ」

    164 = 1 :

     いやぁ……。なんか、やっぱり俺がソファーで寝て、友に娘と寝て貰えばよかったなぁ。あいつなら別にこれ位のことでは何にも感じないだろうし。それはそれでむかつくけ。どうせ俺は10才相手にも緊張するドチキン童貞『キング・クズ』だよ。まだまだ小僧だよ……。

    「ならいいな。じゃあお話をしてくれ」

    「はあっ?」

     首を回して横を見ると、娘と目が合う。うっ、上目遣いは止めろっ! 何の意図も無いのだろうけども!

    「寝る前のお話だよ」

     この状況でお話かよ。こっちはとっとと夢の世界に逃げ込んで平常心を取り戻したいってのに。

    165 :

    ちょっと目を離した隙にスポーツ物になってる・・・だと?

    166 = 1 :

    「いや、いっても俺には話すお話が無いぞ……それこそ、誰もが知っている日本昔話系だけだ」

    「ふうむ……私も、そこら一帯はもう制覇した感があるからなあ……」

    「でも男を困らせるわけにはいかないな……楽しみにしてたんだけどなぁ……でも仕方ないよなぁ……」

    「お、おい……そんな風に言われても――」

    「うっ……うぐっ……」

     涙目+上目遣いキターーーーーー!!!!!! じゃなくてえええ! ええっ? 泣くの!? これって泣く様なことなの!? ああっ! えーとこう言うときはもうとにかく適当にメイクサムシングアップ!

    「あっ! ああっ-! 今一個思い出したぞっ! これはやばい名作だよ!」

    「本当かっ!?」ぎゅっ!

    「あ、ああ本当だとも! これはマジでやばいよ。百回話して百回とも大盛況だったもん。寝ながらのお話なのに最後はスタンディングオベーションだったもん!!」

    「それはすごいなっ! じゃあ早速話してくれっ!」脚カラメッ

    「ふはっ!? ああ!? ああっ! 今すぐ始めるぜ!? 乗り遅れるなよ? このビッグウェーブに!!!」

    167 :

    とらドラと激しくテジャヴなのは俺だけなのか?

    168 = 22 :

    キャわえええええええええええええええ

    169 = 1 :

     勢いで色々盛り上げちゃったけど……。
     肝心な話す内容がないようううううう!?!?!

    「さあ! スタート!!」

     スタートしてしまった!

    「え、ええーと……昔々……」

     ああもう! こうなりゃ適当に!

     えーと……えーと……。

    「あるところに大国を治める偉大な王様がいました」

     娘は余計な突っ込みはしないようで、俺の腕の中で目をぱちくりさせながら真剣に聞いている。

     適当な設定を……えーとこんな感じか……。

    「王様は戦が大好きで、日々剣術の鍛錬を怠りません」

     そんで何かお話の起点になりそうなイベントを……。

    「ある日、王様はいつもの様に城を抜け出し、剣術の鍛錬をするために森へ行きました」

     おお。中々それっぽいぞ!
     
     次は会話シーンの挿入だ!

    170 = 1 :

    王様『てやあああああ!!! とうああああああ!』 バスッ バコッ!!!

    木こり『……』

    王様『うわっはああああああああああうりゃああああぐおおおおおおおあああfoooooooooooooooooh!!!』バッスーン! シュタバシュババシュバーン!!!!!


     シュタッ……


    王様『……! そこのお前ええええええええ! 我が気が付かぬとでも思っていたか! こそこそとのぞき見る様な真似はやめて、今すぐ姿を晒すがいい!!! 我のこの伝説の剣の鋭い切っ先で、お前の喉を一突きにしてやろうぞ!!!!』

    木こり『ひああああああっ!!!!! ごめんなさいいいいい!!! あまりにも美しい刀裁きにみとれていたのです!!! 偶然です!!! 偶然なのです王様あああ!!!!!』


    「木こりは木の陰から飛び出し、そのまま王様の足下へとジャンピング土下座しました」

    171 = 1 :

    王様『なんだお前は。ただの平民ではないか! 私の命を狙う敵国の刺客かと思って割とビビったぞ!!!! 名を名乗れ! そして我にひれ伏せ!!!!!』

    木こり『ひいいいいいっ!?!?!? キキ、キ、木こりですうっ!!! あとこれ以上はひれ伏せませんですぅっ!!!!!!!!!』

    王様『キキ・キ・キコリニデスウだとっ!?!? まさかあの一家のご子息!?!?』

    木こり『いや普通に木こりですっ!!! というかそんな名前の貴族が実在するんですかっ!?!?!?』

    「強くて戦好きの王様はいつも敵国から狙われていて、どんな時でも気が抜けず、いつもピリピリしていたのでした」

    王様『なんだ。ただの木こりか。気構えて損したぞ。まあどうでもいいんだが。あ。でも慰謝料はもらわないとな-? ほらちょっと飛んでみ? 木こりでも銅貨ぐらいもってんだろ?』

    木こり『一国の主がそんなちんけなカツアゲしちゃうんですかっ!? ていうかさっきから伝説の剣でそこのウンコつついてるのは何なんですか!?!? ネームバリューが大暴落ですよ!?!?!?』

    王様『おまえうるさいよ』

    木こり『え? あれ? なんか僕がわるいのか? というかいつの間にか王様のボケに激しく突っ込んでいたけど、これって何かの罪に問われるんだろうか!? すみません! どうか家族だけは!!!』

    172 = 1 :

    王様『え……そういえば結構失礼だったよな……今のやりとり。うん、国家反逆罪で死刑になってもおかしくないな』

    木こり『ひいいいいいいいっ!!!! そんなあああ!! でも家族は助けてくれますよねっ!?!?!?!?!?』

    王様『いや。別にお前を死刑にする気はないよ』

    木こり『え? 助けてくださるんですか!? なんと王様の徳高きことおおお!!!!!!』

    王様『もちろんロハとはいかないぜ。ちゃんと体で払って貰う』

    木こり『えっ……///// それってもしかして/////////』

    王様『いやいや違うから!?!? ってズボンを下ろすな! 何で結構乗り気なんだよ!?!? 俺が言ってるのは、俺の側近として城で働けということだ!!!』

    木こり『そ、側近?』

    王様『そうだ。今の側近の奴らって厳しいんだよなぁ……だからそいつらを左遷してお前を側近に迎え入れる。そしておやつを三時以外にも食べられて、夜十時以降も夜更かし出来る生活を手に入れるのだ!』

    木こり『今の時代、子供でもそんなルール守りませんけどね……というかそんなに簡単に側近変えちゃっていいんですか?』

    王様『え? ああ。まあ、俺はいいと思うよ!』

    木こり『僕、こんな王様の国に住んでたのかぁ……』



    「こうして、木こりは王様の側近になるのでした」

     うん。割とまともに進んでるぜ! この調子だ。

    174 = 107 :

    しえん

    175 :

    男と友の話か

    177 = 1 :

    「その日から王様は木こりに側近に必要な剣術を教え、木こりはどんどんと剣に腕を上げていきました」

    「数年の月日が経つと、木こりはすっかり王を慕う様になり、二人はもう親友と呼べる間柄になっていて、戦場での二人の息のあった連携は敵兵達を震え上がらしました」

    「……しかし……」

     なんだろう。

     ただの作り話のおとぎ話だ。

     なのに。 

     なのになんで古傷をほじくり返している気分になっているんだろう。

    「しかしある日の事です」

    「とある敵国の兵士群を相手取っていた王様と木こりとその他の兵達」

    「その日の王様の剣捌きはいつものそれよりも一段も二段も落ちる物でした。少し前の戦いで負った傷がまだ治直っていなかったのです」

    王様『とうとう追い詰めたぞ! 敵国の王よ!』

    敵国の王『追い詰められてなどいないぞ。兵を失えど、私にはこの剣と、消しても消えぬ闘争心が残っている』

    木こり『降参する気は無いのですか……王様、どうします?』

    王様『無論、お望み通り伝説の剣の錆になってもらうまでだ……!』 シュタッ

    179 = 107 :

    しえん

    180 = 1 :

     ズキッ

    王様『クッ……! こんな時にも痛むか! この軟弱な体め……! 木こり! 位置をとれ! いつも通りに片づけるぞ!』

    木こり『はいっ!!』


    「二人の連携は……完璧だった」

     そうだった。

     完璧なはずだった。


    王様『とりゃあああ!!!』

    敵国の王『くっ!!!! 噂に違わぬ速さだ!!! だがまだかわせる範疇だ!』

    シュンッ!

    王様『紙一重だな! 敵国の王よ! それではこの一撃は――相棒とのこの一撃は避けきれないだろう!!!!!!!!!!!!』

    182 :

    しえーん

    183 = 1 :

    「……王様は自分の持てるすべての力を振り絞り……敵国に王へと走り出しました」

     暗い。狭い。

     そんな場所から嫌な記憶が顔をのぞかせる。

     あの日。 

     あの寒空の下に広がるピッチ。

     俺。

     そして友。

     ゴール前。
     
     全力でディフェンダーを抜きにかかった俺。

     もう一人のディフェンダーを背負ってコースを空ける友。

    186 = 1 :

    王様『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!』

     ズキッ

    あの時、時間は酷くゆっくりと流れた。


    王様『くっ!!! これしき――くっ!?!?――』

     前の試合で痛めた脚が、まだ痛かった。

     でも、無理を押して試合に出たのだ。

     スカウトが来る。そう聞いていたから。

     日本のリーグの中では一、二を争う大きなクラブ。

     そこのスカウトに俺の技術、センス、そして試合を俺のものにするゴールを見せつけて、俺の実力を知らしめてやろう。

     なんて事を考えていた。

     

    187 = 1 :

    馬鹿だった。

     自分のことしか、考えていなかった。

     後半45分。

     ロスタイム一分。

     スコアラインは0-0。

     ゴール前。

     全力で走る俺――

    目の前の友。

    188 = 107 :

    しえん

    190 = 1 :

    敵国の王『わ、解った!!! 私がわるかったよ! 降参する! ほらっ!!!』

    世界は音を失って。

     王様はもう止まれずに。

     バランスを崩したまま愚かしく、滑稽に進んでいく。

    王様『――木こり!! 避けてくれっ!!!!!』

    木こり『え――』

     あの時のあいつ――友の顔はしわ一つとして忘れることが出来ない。

     まさかこんな簡単に。

     まさかこんないきなり。

     まさか自分の大好きな物を奪われるなんて。

     そんな事が起こるなんて思ってもいないような。

    191 = 1 :


    「――王様は止まりきれず、木こりは避けきれず」

    「伝説の剣は木こりの脚を突き抜けた」


     ゴールポストと俺の体に挟まれた友の右足。

     悲鳴。

     担架。

     あざ笑うかのように、俺の愚かさを晒すように。スコアボードに点灯する皮肉な『1』


    「……こうして、木こりは戦場を去ることになり、二度と戻りませんでした」

     続かない物語。

     もう、あいつの中で終わってしまって……紡げない物語。

    「……めでたし、めでたし……ははっ」
     娘は今どんな顔をしているんだろう。

     こんな救いも落ちもない話を聞かされてしまって。いったいどんな顔をしているのだろうか。

     見たくない。

    192 = 22 :

    え?

    194 = 1 :

    「ははっ……! これはまだお前には難しい話だったかな? 
    これはいわゆるイングランド産の民族伝承系のお話で、エンディングには色々な説があるんだぜ? 
    あと、王様の側近が木こりじゃなくて奴隷商人であったりするエディションもあってだな、
    特に伝説の剣に関する設定は地域によって伝承が違って、その中でも群を抜いて奇抜なのが――」

    「なぜ泣いているんだ?」

    「えっ?」

    「さっきから、なぜ泣いているんだ?」

     思わず娘の方に首を回してしまう。二つの大きな瞳が俺を真っ直ぐ見据える。

    「ははっ……えーと……これはあれだよ! ナイアガラの滝だぜ!? 知ってたか? 実はナイアガラの滝は俺の顔面上にあったのだ!」

    「……」

     くだらない冗談。いつも通りの逃げ。
     止まらぬ涙は、まさにナイアガラの滝のそれだったが。

    195 = 1 :

    「……その後、王様はどうしたのだ」

     親友を、かけがえのない相棒を傷つけた王様は。

    「……罪悪感から逃げるように走り続けた王様の剣は……いつか折れてしまい、王様も――」

    「――二度と戦場には戻らなかった」

     それで本当にこのお話は終わる。

    「……何がいけなかったのだろうな」

    196 = 1 :

    「自分の傷をおしても戦を続ける王を誰が責められよう? それが王の責務であり、やはり正しいことに思える。持つべき者は、それを半端にしてはいけない、そんな風に思う」

    「そして」

    「木こりは……王の親友は彼を恨んだのだろうか? 慕っていた友を、勇敢な王を、果たして恨んだのだろうか」

     そんなの決まってる。

     こんなのは俺が一番しっていなきゃいけないはずだ。

    「もちろん」

     そうだ。

     そうなのだ。

    「もちろん……恨むわけが無かったよ。木こりは……親友はそういう奴だった……」

    「そうだろうな。そんな気がする。だとすると、王の親友はさぞ心を痛めたのだろうなぁ……」

    197 = 1 :

    「……」

    「自分の所為で、王を追い詰めて、最後には王の剣を折るという結末を迎えてしまう。それはきっと酷く痛かったのだろうなぁ……それこそ、自分が失ったものに対する痛みよりも、もっともっと痛かったのかもしれない」

    「……ああ……きっとそうだった……」

     ……きっとそうなのだ。

     愚かな裸の王様の親友は。
     どうしようもなく優しいのだ。

     見てるこっちが痛いほどに。

     奪ったこっちが失ってしまうほどに。

    「だったら」

     娘の小さくて白い手が、俺の頬に触れ、涙をぬぐう。

    「二人の友情はそのままなのだろう? だったらそれはハッピーエンドだな」

     だから。

    「そんなに泣かなくてもいいのではないか? 涙とは……きっと、もっとどうしようもないときに流すものだろう?」

    198 = 1 :

    娘の手が俺の頭を優しくなでる。

     誰かにこんなに真っ直ぐ優しくされたのはいつぐらいだろう。思い出せない。

     娘の言葉が胸に響く。

     涙が溢れる。

    「あははっ……っく……じゅ、じゅっしゃ……10才のっ……がっ、ガキにぃ…なぐっ、なっ…慰められるようなぁ……や、くっ、ふうっ…! 奴はぁなぁ……! も……もうっ……とっ…とっくに……」

    「とっくにどうしようもねぇんだよおおおおおおお! うわあああああああん!!!!!!!」

    「お、おいおい……そこまで泣く話だったか? いや、感情移入の仕方は人それぞれだと思っているが……」

     まあ、と娘は呆れたように。

     諦めたように。

     とても優しく言う。

    「生きてれば、泣くことも必要だろう」

     そういってより強く俺を抱きしめる。
     その安らぎに俺は身を任せて、気が付いたら目を閉じていて。

     まるで小さな天使に縋るようにして眠りに落ちた。

    199 = 22 :

    ふう

    200 = 1 :

    そしてまた男の過去編が続きます。

    なんかゴメン。


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