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    元スレ娘「セック――」 男「言わせねーよ!?」

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    651 = 548 :

     そしてあの大けが。選手としての能力をごっそりと持って行かれたあの瞬間。

     兄はついに折れてしまった。

    ――私はなんてバカな子供だったんだろう。自分の寂しさばかりに気をかけて、兄には何にもしてあげてなかった。

     そう気が付くと、弱い私はやはり泣いてしまうのだった。

     その時、なんとなく昔兄からもらった本の内容を思い出していた。

     脳の病気で記憶を失っていくヒロイン。彼女の病はゆるやかに死に至るもので、ヒロインの幼なじみの少年は彼女を助ける為に先端医療の研究者を志す。記憶を失い行く彼女は、しかし何度も少年に恋する。

     そして最後は大人になった少年が治療方を確立し、彼女を助けてハッピーエンド。

     そんな小説らしい夢物語。

     馬鹿らしい。現実はそんなに甘くないのだ。
     
     私はその時初めて兄から貰った物を嫌いになった。
     
     そして思う。

     夢物語ではない現実の世界で私がすべきことを。

     今後は兄から出来るだけ離れて暮らすべきなのだろうか。

     私も、私の中から兄を消すべきなのだろうか? と。

    652 = 548 :

     だけど、私はやっぱり何処までも甘くて、兄が大好きで忘れることが出来なくて、だから――
     
     だから一つの計画を思いついたのだ。

     他人としてでもいいか兄と一緒に居よう。そう言う我が儘を叶えるための計画だった。

    653 = 578 :

    いい
    すごくいい

    654 :

    ふーゆーがーはーじまるーよー

    655 :

    しえん

    658 :

    3月3日は桃のセック

    659 :

    言わせね・・・・・あれ?

    660 = 548 :

    ~現在、ファミレス店内~

    ついていた嘘を全てバラしてしまうと、心がすっと軽くなった。
    でも、こんな事をいきなり言われた『男』の心境を考えればまたすぐにどんより暗く重い気持ちが湧き出る。

    「……」

    「すべて、本当の話だ」

    『男』は私の顔を見つめたまま、黙り込んでいる。

    私は思わず目をそらした。

    やっぱり、心が痛むのだ。今から自分がやろうとしていることに。

    「信じがたいかもしれないが、私はあなたの妹で、あなたが家族だと思っていた人たちは私たちの父方の叔母一家。そしてあなたが私の母親だと思っている人は私たちの『育ての親』だ」

    「やめてくれ……頭が痛い……」

    『男』息が荒くなる。

    それは一年前に何度も観た記憶喪失の前兆だった。

    662 :

    俺五時には出社するんだけど、
    徹夜で行ってきます。

    663 = 659 :

    >>662
    あなたも出社ですか
    お互い辛いですね、年末の仕事は

    664 = 662 :

    >>663
    お互い社畜ですな…。
    ちなみに30も出勤です。

    665 = 549 :

    がんばれまじがんばれ

    666 :

    やっと追いついた
    おもしれえ

    667 = 548 :

    正直怖かった。

    また失ってしまいそうで。

    また『兄』を傷つけてしまいそうで。

    だけどここで立ち向かわなければならない。

    そうしないと『兄』には会えないのだから。

    「……やめない」

     ここで止めるわけにはいかない。

    「正直、何も話さないままずっと『男』と居るのも悪くないと思った」

    「……! 本当にやめてくれ! 頭が痛いんだ!」

    「あなたは『兄』と同じぐらい優しいし、一緒に居てくれる時間なら『兄』よりもずっと長かった!」

    668 = 548 :

     だけど。

     あなたは『兄』が生きるべきはずだった時間を蝕んでいる。

     偽物だらけの毎日を『兄』なりかわって生きている。

    「その時間は本物じゃない。それは私の為にも、『男』のためにも使われるべきでは無かったんだ……」

     だって、

    「『男』、あなたは偽物だから」

     そして私も偽物になりかけていたから。

    「だからっ!」

     偽物ごっこはもう終わりにしようよ。

    「お兄ちゃんを返してよ!」

    669 = 534 :

    頑張れ
    超頑張れ

    670 = 662 :

    頑張ってくれ!!
    俺も年末の仕事頑張るから。

    671 = 548 :

    頑張ってくれ! 

    俺も700~800の間には終わるように善処する。

    672 = 659 :

    あなたが頑張ってくれるから・・・・
    私も日本経済のために頑張れるわ

    674 = 636 :

    あんたならできる

    676 = 548 :

    ~路地裏、逃げ出した男~

    吐き気を感じた時にはもう胃の中の物を半分以上吐き出していた。

    人気の少ない路地裏。
    ファミレスから逃げ出した俺は隠れるようにかがみ込む。

     それにしても。

    「何だよあいつ……いきなり変なこと言いやがって……」

     あんな嘘っぱちを俺に話すなんて、どういうつもりなんだよ……。

    「全部、嘘だよな?」

     自分の存在を確かめる為に右の掌を眺める。

     大丈夫だ。俺はココにいて、ちゃんと昔の事だって思い出せ――

    「うあああああ……っ! 頭が……っ!」

     嘘だろ? おかしいって。

     あるべき記憶がない。

     あると思っていた記憶が見当たらない。

    「おえっ――」

     痛みに耐えかねて胃液が逆流してくる。

    677 :

    鬱エンドはやめてくれ

    明日乗り切れる気がしない

    678 :

    だがきれいにまとまっていればそれで良いと思うんだ

    681 = 677 :

    682 = 677 :

    683 = 542 :

    ほむ

    684 = 548 :

     頭の中を乱暴にまさぐられる痛みを伴う不快な感覚が増していく。

     何かを探すような手つきを感じる。

     誰かが何かを探している。そんな感覚。

    「俺が偽物ってどういう意味だよっ!」 

     俺が偽物。

     『娘』は『妹』 で、俺は『兄』だって?

     そんなの信じられないだろうが。あり得ないだろうが。

     なのに、なんでこんなに混乱しているんだよ俺は!

    何でだよ……。

     もう屈んだ体勢すら維持できない。俺はゆっくり倒れていく。

     目の前はゴミ捨て場だけど、そんな事はもう些末な事だった。

    685 = 677 :

    686 = 677 :

    687 = 542 :

    689 = 548 :

     その時。

     手にどこか懐かしい感触を覚えた。

     ゴミ捨て場。
     何の変哲も無いただのゴミ溜めから何を思い出すというのか。だけど、手から感じるその感覚は確かに懐かしい。

     力を振り絞って首を持ち上げ、その手に触れる物をみる。

    「何だよ……」

     ただの本じゃないか。

     こんなもん、何だって言うんだ。

    「うっ……うっ……」

     とうとう俺も気が触れてしまったのかもしれない。本を触っただけなのに涙がとまらない。

    『キャッチャー・イン・ザ・ライ』

     有名なタイトルだった。

     それこそサッカーばかりやってきた無学な俺ですら知ってるくらい。

     だけど、なんで俺はこんな本を見つけたぐらいの事で泣いてるんだ?

     この本にそんな深い思い入れが有るわけじゃ無いだろう。

     思い入れじゃないとしたらこの感覚はなんだ――

    690 = 548 :

    「あー……なんだそういう事か……」

     これはいつか俺が拾った本だった。
     誰かのために拾って、その誰かを喜ばせようとしていたんだっけ。

    「誰にこんなもん上げようと思ったんだっけなぁ……」

     思い出せない誰か。
     その誰かを想うと何故か涙が止まらない。

    「こんな本だけじゃ喜べないのになぁ……」

     必要なのはそんなもんじゃ無いだろう。なんて誰かに向けての怒りが沸く。
     誰への?
     もう分かってるさ。さすがに、馬鹿な俺だって。

    「立ち上がれよ……」

     抜けた力を呼び戻すように命令する。誰にでも無く、ただ自分自身に。
     なんとかゴミまみれながらも立ち上がる。

     散々な姿だろう。
     みっともない姿だろう。

     だけど行かなきゃ。

     そいつが誰なのかを確かめにいかなきゃ。
     ずっと俺を待ってるやつ。しょうもないお土産なんかを宝物みたいに大切にする奴が俺を待ってるから。

    ――たとえ偽物だとしても、俺は走り出す。

    692 = 677 :

    693 :

    実話か

    694 = 677 :

    698 = 548 :

    ~ファミレス~

     きっともう店を出ただろう。

     そんな駄目もとで戻ったファミレスにそいつは居た。

     あっけないというか。こいつらしいというか。まるで全てがお見通しみたいな感じで、最後までまるで食えない奴だ。

    「戻ってくるって信じてた」

    「はは……そんなに信頼されてるのかよ……その『兄』って奴は」

     本当に。マジで妬けるよ。

    「はぁ……信じがたいけど、信じるしかないよな」

     今まで感じない振りをしてきた違和感たちに一度気が付いてしまうと、もうそれは無視出来ない。

     俺は偽物で、本物が他にいる。

    「俺ってなんだったんだろうな」

    「俺なんて居なくてもよかったんじゃないか?」

    「……そんな事は無い」

    「はは、そう言われると悪い気はしないな。つーか結構報われるかも」

    「……短かったけど、楽しかったよ……」

    699 = 548 :

     そろそろお別れだ。

     お別れの仕方はもう分かっている。

    「私も楽しかった……絶対に忘れない」

     右手の本。

     さっきゴミ捨て場で拾ったうすきたない古本だ。

     それを妹に差し出す。

     これで本当にお別れ、というかバトンを本来もっていなきゃいけなかった奴に返さなきゃならない。

    「ありがとう……っ!」

     本がゆっくり妹の手に触れる。

    ――そして、俺の意識は急激に揺らいでいく。
    どうやらこれで本当に終わりらしい。
    意外とあっけない物だな。動揺していない自分も以外だし。

    まあとにかく。

    ――あとは頼むぜ。本物の『お兄ちゃん』


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