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元スレ勇者父「魔王を助けてやってくれ」勇者「え?」
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魔王城 城内
魔王「スライムたちはいつでも出発できるよう待機させてあります」
勇者「うへへ……。まじありがたいっすね」
魔王「もう、でかけるんですか?」
勇者「いえ。ちょっと人間界で起こった様子とか話した後に出発しようと考えています」
魔王「そうですか……」シュン
勇者「……? どうしたんですか、お腹でも痛いんですか?」
魔王「あの、明日出発では、だめなんですか?」
勇者「と、申しますと」
魔王「一週間ぶりに会ったんですもの。もう少し長く勇者さんと一緒にいたい、なんて」
魔王「わがままってことはわかっているんですけど……。それでも……」
勇者「魔王がいいなら私は構いませんよ」
魔王「え、ほ、本当ですか?」
勇者「はい」
魔王「すごくうれしいわ~、ありがとう勇者さん」ニコニコ
勇者(ちょっと魔王かわいい)
側近「こらぁああ!! 勇者あぁぁああ!! 魔王様から離れろおおお!!」
勇者「あ、なんだ、側近さんいたんですね」
側近「当たり前だ! まったく、私がいないとお前はすぐに魔王様に……クドクド」
後見人「側近。いきなり走りだすなど、どうしたというんだ」
勇者「うわ、新キャラだ」
魔王「新キャラ?」
後見人「これはこれは魔王様に勇者殿。ごきげんよう」
勇者「ごきげんようwwwwww」
魔王「? ごきげんよう」
勇者「魔王、この魔物は誰なんですか」
魔王「え、あ、はい。後見人さんですね。摂政、ともいうんでしたっけ……?」
魔王「私のかわりに政務をやってくださっています」
後見人「どうぞ、よろしくお願いします」
勇者「確かそれって国を継ぐ人が成人するまでやる、みたいな役割の人ですよね。魔王まだ成人してなかったの?」
魔王「い、いえ、そういうわけじゃないのですが~……」
魔王「どうも覚えるのが苦手で、なかなか側近の合格がもらえないんです~」
側近「厳しくするのは当然です、魔王様。あなたの決断で国が動くんですから」
魔王「……はい」
勇者「ま、女がやるより男が政務やったほうがいいって聞くし、いいんじゃないですか」
勇者(魔王が政務やったらこれ以上にまったりとした魔界になるかもしれないし)
魔王「うぅ、そうですよね。男の人に負けないようがんばらないと」
後見人「かげながらですが応援していますよ、魔王様」
魔王「はい、ありがとうございます」
勇者(あかん、完全に魔王負けとるわ……)
側近「勇者よ、ここに来たということはそれなりの報告はあるのか?」
勇者「ええ、まあ一応」
側近「それではあちらの個室で話を聞かせてもらおう。後見人、そっちのほうはあなたに任せますよ」
後見人「ああ、わかった」
魔王「あら、後見人さんはお話きかないの?」
後見人「はい、魔王様。しかし後ほど側近から話を聞きますので、ご安心ください」
魔王「そうですか。わかりました。政務のほうよろしくお願いします」
後見人「了解しました」
勇者(っべー。魔王軍が真面目なのはじめみたわー。結構まじめでひくわー)
個室
側近「それで勇者よ。どうだった」
勇者「えーとですね。王に呼ばれて城にいったんです」
勇者「そしたら神がいっているから魔物を殺せ、なんていう電波的なことをいわれまして」
魔王「まぁ、神様がそんなことをいったの? すごいわね~、人間って神様の声を聞けるんですね。ふふっ」
勇者「本当に意味わかってます?」
魔王「はい。えーと、神様が魔物を倒せをいったから私たちを倒すんですよね」
魔王「……あ! ということは……。私たち神様に嫌われてるんですか? どうしましょう……」オロオロ
勇者「ようやくこの結論にたどりついた。魔王は天然なんですね?」
魔王「ち、ちがいますよー! 私天然じゃありません!」
魔王「たとえ勇者さんでも、もう一度同じことをいったら、私怒りますよ」
勇者「あ、はい。すいません」
勇者(でも、天然だよね……)ヒソヒソ
側近(勇者よ。たとえ思っても口にだしてはいけないものもある)ヒソヒソ
魔王「うぅ……、ほ、本題に戻りましょうよ~……」
勇者「王の魔物嫌いは宗教の所為かもしれない説が新たにできましたとさ」
側近「宗教か。それは大きな団体なのか」
勇者「ググったらめっちゃ大規模でびっくりしました」
勇者「ただ新興宗教だったので、なんとかなるかもしれませんね」
側近「なんとか、って、どうするつもりだ」
勇者「ぶっ壊しましょう」
側近(勇者の発言とはおもえんな)
魔王「でも壊すなんてしたらそれこそ悪名が広まってしまいます」
勇者「そんな時に便利なのが勇者なのです」
勇者「結構裏でこそこそ悪いことをやっている噂がありましてね」
勇者「火のないところに煙がたたないとかいいますし、真相次第じゃ英雄になれるかもしれませんよ」
側近「わかった。そちらのほうは私に任せるが良い」
勇者「しらべてくれるんすか」
側近「ああ。任せておけ」
魔王「……」
側近「勇者よ、ほかに何かあるか?」
勇者「いえ、何も」
側近「そうか。次は私からいくつか報告したいことが」
側近「何かに困っている町を探してみたところ、結構な数の町がいろんな問題に悩まされているようです」
側近「詳しくはその紙をご覧ください」
勇者「A4サイズの紙5枚にずっしりと町名と困っていることがかいてあるよ」
魔王「こんなにあるんですね~……」ペラペラ
勇者「私はどこから回ればいいですかね」
側近「お前は1ページから回ってくれ。私たち魔物は後ろのページから進めていく」
勇者「わかりました。結構めんどくさそうですが頑張ります」
側近「ところで貴様はルーラを覚えたのか?」
勇者「ええ。ばっちりです」
側近「そうか。なら、二日に一度魔王城でお互い報告し合うことにしよう」
勇者「うっす。わかりました」
魔王「…………」
魔王「あ、あの、少しいいですか?」
側近「はい、魔王様。何か質問でも?」
魔王「いいえ、そういうことじゃなくて……。その、私は何をしたら……」
側近「魔王様はここで政治の勉強をしてください」
魔王「……はい」
側近「ほかには何かありますか?」
魔王「いいえ、特には」
勇者「私もないっすね」
側近「それでは今日はこれぐらいにしましょうか。もう少しで晩御飯ですし」
勇者「ごちになりまーすwwwwww」
魔王の部屋
勇者「結局私はまた魔王の部屋で寝るんですね」
魔王「この前はお話できませんでしたから……」
勇者「そういえば魔王、さっきからぜんぜん元気ないですよね。どうしたんですか?」
魔王「え? い、いえ、なにも」
勇者「そうですか? お風呂入っているときとかほぼ無言だったじゃないですか」
勇者「その代わり側近がうるさかったけどwwww」
魔王「……」
勇者「魔王?」
勇者「本当どうしたんですか、元気なさすぎて胸もたれていますよ」
魔王「そ、そんなにたれていますか……? やだ、はずかしい……」
勇者「いえ冗談です。すいませんでした」
魔王「冗談ですか。よかった……」
勇者「でも目はたれていますよね。何か悩みがあるなら打ち明けてください」
勇者「勇者に魔王が相談するのもおかしいような気がしますが」
魔王「それは……今更じゃないですか」
魔王「魔王と勇者が同じ部屋のベッドで寝ながら会話なんて、ね」
勇者「それもそうですね ハハッ」
>>282 sageてんじゃねーか
>>283すまない
魔王「……勇者さん、私ね。少しだけ、落ち込んでいたの」
勇者「……ええ」
魔王「勇者さんや、側近ちゃん、ほかの人たちも頑張ってくれているのに私一人が何もしていなくて」
魔王「こんなのはおかしいな、って思ったんです……」
勇者「でも魔王には政務の勉強があるじゃないですか」
魔王「それは勇者さんが来る前からずっとやっていたわ」
魔王「そういうことじゃなくて、この問題を解決するために私は何をしてきたんだろう、って」
勇者「……」
勇者「……魔王は。魔王は、私たちを動かしています」
勇者「確かに私は父親の命を人質にとられていますけど」
勇者「でも、それだけで世界一周の旅にでようなんて、思えません」
勇者「てんね……ごほっ! えー、魔王の人柄、人じゃないけど、魔物柄に惚れた?」
勇者「いや、まぁ、ひかれたから、この人の為ならやってもいいかなーと」
勇者「魔王がもっとひねくれている性格だったら、私絶対協力しませんしね」
勇者「側近もそうだと思いますよ。あの人は私以上にそっちの気持ちが大きいでしょうが」
勇者「だから、その、自信持ってください。あなたは勇者を動かす力がもうあるんですから」
魔王「勇者さん……」
勇者「でも、それでも落ち込むようでしたら」
勇者「魔王は魔王でしかできないことをみつけてやればいいじゃないですか」
勇者「それは清掃でも、なんでもいいんですよ」
勇者「自分で自分が納得させられる方法であれば、なんでも」
勇者「そんなもんじゃないですか。世界を救うなんて」
勇者「あー!! ほんと、くさいこといって申し訳ないですね! 小卒ですもんで、言葉がうまくでてきません!!」
魔王「……ううん、勇者さん、ありがとう」
魔王「私、とても元気でたわ」
魔王「探してみます。納得できるような、私にしかできない方法」
勇者「あー……はい」
勇者「じゃ、もう寝ますか。明日もはやいですし」
魔王「はい、勇者さんおやすみなさい」
勇者「おやすみかん~」
魔王「あら、それかわいい。おやすみかん~……ふふっ」
>>293
生まれたときから約束されてたサラブレッドじゃないですかー
生まれたときから約束されてたサラブレッドじゃないですかー
勇者(……)
勇者(なんか最近、魔王のほうが人間に。そして王のほうが魔王に思えてきたぞ)
勇者(う~ん、本当に反対だったほうがきっと楽だったんだろうなあ)
勇者(神様、配置間違えたのか。きっとそうに違いない)
勇者(そうしたら、父さんは姫様である魔王と契約して……)
勇者(私は姫様の勇者で)
勇者(うわ、それかっこいいな……どうせならそっち……のほう……が……)zzz……
勇者「希望の朝がきました」
魔王「おはようございます~」
勇者「おっはー」
魔王「あらー。おっはー、です、勇者さんっ。ふふっ」
勇者「ちなみにこれは死語に近い何かです」
魔王「死後? おっはーは死んでいるんですか?」
勇者「どっかの世界の魔王様に殺されてしまいました」
魔王「あら~……、悪い魔王様ですね。私が捕まえておしおきしますね」
勇者「それはそれでみてみたい」
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